JP4254287B2 - 水性樹脂分散体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性樹脂分散体の製造方法に関する。また、水性樹脂分散体の製造方法で得られる水性樹脂分散体と水性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
平均粒子径1μmを超える粒子が存在する水性樹脂分散体は、数日程度の貯蔵期間で沈降が認められる。粒子径が小さければ貯蔵安定性が増加するため、さまざまな微細化の試みがなされている。1μm以下の微細な粒子径の水性樹脂分散体を得るためには高剪断力を比較的長時間必要とする。
一方、加工性・耐腐食性が良好で、低分子の抽出程度が少ない衛生性に優れた塗膜物性を得るためには樹脂は高分子である必要がある。しかし、樹脂が高分子になると樹脂溶液の粘度は高くなる。また、環境を守る観点からはできる限り有機溶剤を少なくすることが求められている。
【0003】
一般に、液体中の液滴を微細化するためには、転相点近傍で液滴に高剪断力をかける必要があること、剪断負荷時間が一定時間以上必要であることは公知である。そして転相点を離れると、もはや分散は不可能になると考えられてきた。代表的理論としては、例えば図1(非特許文献1より)に見られるように、水と流動性パラフィンのような粒子の境界面のはっきりした液滴については、転相点近傍とはいえ、(分散粒子内部の粘度)と(分散粒子の外側の粘度)の粘度比が5以下でなければ不可能と考えられてきた。
【0004】
以下、(分散粒子内部の粘度)/(分散粒子の外側の粘度)を粘度比Pと略称する。図1において、(臨界Weber数)=(分裂を起こす最小の剪断速度)×(静止時の液滴径)×(分散粒子の外側の粘度)/(液滴の界面張力)が表される。
【0005】
本発明における粘度は、粘性についての詳細な記述が必要な場合以外は便宜上B型粘度計#4ローター0.6rpmの値を示した。粘度が非常に高いまたは低いために0.6rpmの値が求まらない場合は別の回転数で求めて補外した。
(分散粒子の外側の粘度)を単に水の粘度1mPa・sとすれば、5mPa・s以上の樹脂溶液は微細化できないことになる。したがって、粘度比5以下とは極めて大きなハードルであると考えられ、転相点を過ぎた水性樹脂分散体については再分散による微細化は不可能であると考えられてきた。
【0006】
そのため、従来においては転相点一点に強力な剪断力をかける事にこだわったため、処理液が高粘度になると動力が莫大に必要になるだけでなく発熱が制御できなくなる問題点を有していた。特に、高温に弱い水性樹脂分散体においては深刻な問題であった。例を挙げると、
【0007】
特許文献1ではカルボキシル基含有アクリル樹脂成分、エポキシ樹脂成分及びエポキシ樹脂用硬化剤樹脂成分を単独又は組み合わせで含む有機溶剤溶液とアンモニアまたはアミン類の水溶液とともにインラインミキサーを用いて先ずW/O型分散体を得、続いて第二段のインラインミキサーで水をさらに混合しO/W型水性樹脂分散体を得ている。
この方法では例えば実施例1の、アクリル樹脂とエポキシ樹脂に対して同量の有機溶剤を使用していることからもわかるように多量の有機溶剤を用いており、生成した水性樹脂分散体を脱溶剤する工程が必要である。第二段のインラインミキサーによる工程はW/OからO/Wへの転相を含み、この分散過程において最も高い粘度になるが、微細な粒子を得るためには最も大きな剪断力を必要とする。有機溶剤を少なくすると系の粘度が上昇し、インラインミキサーで分散できないまたは微細な粒子が得られなくなる。
【0008】
特許文献2では同一容器内に混合混錬部と高速剪断機構部を有する分散機を提案しているが、高粘度品の分散は困難で、有機溶剤溶液が20〜300ポイズが好ましいとしており、これは2〜30Pa・sに相当する。また、使用するエポキシ樹脂の数平均分子量が8000より大きくなるとアクリル樹脂との反応時、粘度が高くなり過ぎ、安定な乳化が困難としており、原料の分子量をある程度以上大きくすることが困難である。
【0009】
特許文献3では、予備乳化混合液を100〜10000kg/cmの圧力で平面部に衝突させることによって微細化する方法が開示されている。対象物を細管通過後衝突させるタイプの微細化分散機はこの他にも提案されているが、細管を通過させる過程で圧力損失が生じることと極めて短時間に集中する大きな仕事であるため、高粘度品に応用した場合に温度を制御できない激しい発熱がある割に微細化効果が少ない。また、短時間の作用であるために樹脂溶液の種類によっては微細化できない場合がある。更に、熱に弱い水分散体には使用できない。
【0010】
特許文献4では高滞留、かつ高剪断型の連続処理装置が開示されている。この技術では、処理効率を上げるために滞留時間を短くすると剪断力がかからないまま分散機を通り抜けてしまうショートパスの現象を生じやすい。ショートパスが発生すると一部分大きな粒子が生成してしまう。また、滞留時間を短くできないと処理量が小さくなり実用に適さなくなる。しかしながら、この技術は数千Pa・s以上の高粘度品には適用できるので、条件を選べば本発明の微細化分散装置の代わりに使用できる可能性がある。
【0011】
特許文献5、特許文献6、特許文献7で用いられている分散機は処理量が多いのは利点だが、コンパクトな設計であるため、50Pa・sを超える高粘度の水分散体では発熱量の抑制が困難になる。また、特許文献8に代表される衝突型の装置ほどではないが、剪断力の作用を受ける時間がまだ不十分である。
特許文献9の微小液滴形成装置も高粘度品には対応できない。
【0012】
特許文献10における複合乳化装置は、粘度が比較的低い場合は本発明の微細化分散装置の代わりに使用できる。剪断力を任意の時間かけ続けることができる点と、転相工程から微細化工程を経て水希釈工程まで一つの装置で行える点は優れている。しかしながら、微細化しようとする分散体の粘度が30Pa・sを超えるあたりから「高速で回転しうる円板型攪拌手段」の羽根に分散体の巻きつき現象が生じ、有効な微細化分散ができなくなる。また剪断力が作用した部分とそうでない部分が混在したままひとつの装置内で分散するために微細化が完了するには多大な時間を要してしまい、非効率な面もある。
以上に見られるとおり、高粘度樹脂溶液を微細化分散する方法も装置も十分ではなかった。
【0013】
【特許文献1】
特開平1−292068号公報
【特許文献2】
特開平4−220433号公報
【特許文献3】
特開平5−98192号公報
【特許文献4】
特開平5−222201号公報
【特許文献5】
特開平8−117578号公報
【特許文献6】
特開平10−226981号公報
【特許文献7】
特開2001−140190号公報
【特許文献8】
特開平5−98192号公報
【特許文献9】
特開平8−196887号公報
【特許文献10】
特開平7−173294号公報
【非特許文献1】
化学工学論文集第2巻第3号(1976)、244ページの図3
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
有機溶剤の使用を減じ環境を守りながら、安定な水性樹脂分散体を得るためには、高粘度の樹脂溶液に高剪断力をかける必要が生じる。これは少量であれば可能なので、まず、第一には、少量ずつ連続分散する手法を用いる。
それでも転相点近傍では100Pa・s以上の大きな粘度になってしまい、通常の分散機では動力が不足してしまう。そこで、第二に、転相点近傍では攪拌動力は強く剪断速度は比較的小さい分散機で第一の分散を行い、転相後の粘度の低くなった予備分散体に温度を管理して高剪断速度を与え微細化分散する工程を含む多段分散法を用いる。
第三に、微細化分散工程は本発明において最も重要な要素のひとつであり、(1)高剪断力を、(2)たとえば30秒から数時間までの比較的長時間、(3)温度管理しながら、かけつづける事が可能な分散装置を工夫した。
すなわち、本発明は、温度を管理して比較的長時間連続多段の分散を行う事により、高粘度であっても微細な水性樹脂分散体を得ることを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、いくつかの解決策と発明を得た。
発明者らは、上記の理論と実験を検証した結果、水性樹脂分散体の場合、分散粒子に外部から働きかける力の要素になる“分散粒子の外側の粘度”としては対象としている水性樹脂分散体の粘度(VF)を採るのが適切と考えた。
さらに、“分散粒子内部の粘度”そのものは▲1▼粒子内の溶剤組成が粒子外と出入りし平衡状態になること、▲2▼平衡定数が液温その他さまざまな条件で変化し得ること、▲3▼平衡状態にならず、遷移中の非定常状態の場合もあること、▲4▼粒子が小さいために直接測定が困難であること、▲5▼測定時に遠心分離など手段で平衡状態を壊してしまうこと、などにより測定が困難である。しかし、およそ水添加前の樹脂溶液粘度の近傍であると考えられることから、本発明では“分散粒子内部の粘度”として水添加前の樹脂溶液粘度(VE)で代用することとした。したがって、本発明では“粘度比”Pを(VE:水添加前の樹脂溶液粘度)/(VF:水性樹脂分散体の粘度)として計算した。
【0016】
発明者らは、水性樹脂分散体の境界面は連続的に変化する層と考え、必ずしも粒子の最内部粘度と最外部粘度の比=粘度比が5以下でなくても微細化分散が可能ではないかと考え実験を重ねたところ、粘度比が500以下であれば微細化が可能であることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明の第1の発明は、極性基を含有する樹脂を有機溶剤に溶解した32Pa・s/100℃以上の高粘度樹脂溶液(E)である重量平均分子量3000〜10万で、かつ、酸価50〜500のアクリル樹脂(A)と重量平均分子量2万〜20万の芳香族系エポキシ樹脂(B)をアミン類(C)と有機溶剤(D)の存在下部分反応させた、部分反応樹脂溶液または重量平均分子量2万〜20万の芳香族系エポキシ樹脂(B)を有機溶剤(D)で溶解した溶液中に、極性基をもつアクリルモノマーを含む共重合性アクリルモノマー類と重合開始剤を滴下し、グラフト反応させた後、アミン類(C)を添加して部分中和した溶液に水を添加し、最大粘度Vmax100Pa・s以上であり、200/秒以下の剪断速度で転相させて形成したO/W型の予備分散体(F)を、剪断速度400/秒以上可能な構造と動力を有する微細化分散装置の下部から導入し、剪断速度400/秒以上でエマルジョン粒子の平均粒子径を1μm以下に微細化分散した後、上記微細化分散装置の上部から排出することを特徴とする水性樹脂分散体の製造方法である。
【0017】
第2の発明は、最大粘度Vmaxが80℃で500Pa・s以上であり、かつ、高粘度樹脂溶液(E)の粘度(VE)と予備分散体(F)の粘度(VF)との比:P=(VE)/(VF)が、10〜500である第1の発明に記載の水性樹脂分散体の製造方法である。
【0021】
本発明は、転相点近傍の高粘度の領域では力の強い低剪断型の分散機を用いて粗分散し、得られた水性樹脂分散体を高剪断速度下で微細化分散するものである。
剪断速度は一般に速度勾配とも呼ばれ、(速度差)/(距離)で定義されている。しかしながら、この値が注目している系全体において一様とは言えないために、代表値としてどういう値を用いるかは必ずしも明確とは言えず、複雑な計算方法も多い。したがって、本発明においては、なるべく簡単に計算できる方法を用いるべきだと考え、回転している攪拌翼やローターのピンの周速値を容器壁面とのクリアランスで除した値を用いる。
すなわち、本発明において、(剪断速度〔/秒〕)=(回転体の周速〔m/秒〕)/(回転体と容器壁面とのクリアランス〔m〕)
とする。
【0022】
本発明の水性樹脂分散体の製造方法は、極性基を含有する樹脂を有機溶剤に溶解した高粘度樹脂溶液(E)に水を添加しながら剪断速度200/秒以下で攪拌し、最大粘度を経過、転相点を迎え、O/W型の予備分散体(F)を得るまでの工程1と、予備分散体(F)を剪断速度400/秒以上で攪拌し、樹脂分散粒子を平均粒子径1μm以下に微細化分散する工程2から構成される。
そして、工程2において、予備分散体(F)を縦型に配置した微細化分散装置の下部から導入し、温度管理条件下で400/秒以上の高剪断速度下でエマルジョン粒子の平均粒子径1μm以下に微細化分散した水性樹脂分散体(G)を上記微細化分散装置上部から排出する。
また、必要に応じて、微細化分散後の水性樹脂分散体(G)にさらに水を添加し、消泡剤・湿潤剤・滑り剤・硬化剤などの添加剤や粘度調節・固形分量調節を行い、水性塗料とする工程3から成る。
【0023】
本発明は二段以上の分散工程を含む多段分散法であり、工程2で高剪断をかけることが特に重要である。
工程2において剪断速度が400/秒未満では、予備分散体(F)を微細化分散することができない。可能であれば1000/秒以上が好ましい。
【0024】
本発明は、工程1の、高粘度樹脂溶液(E)に水を添加し転相させ予備分散体(F)を得る過程の最大粘度Vmaxが100Pa・s以上であるが、最大粘度Vmaxが80℃で500Pa・s以上がより好ましい。また、高粘度樹脂溶液(E)の粘度(VE)と転相後の予備分散体(F)の粘度(VF)との比:P=(VE)/(VF)が、10〜500の範囲が好ましい。
【0025】
予備分散体(F)の粘度は添加する水の量と温度と剪断速度で変化するので、同一温度・同一剪断速度で測定する必要がある。その上で、極性基を必須成分とする高粘度樹脂溶液(E)の粘度に比較し1/500を越える(粘度比500未満)ように水の量を調節する。添加する水の量が多すぎると1/500以下(粘度比500以上)になり、微細化が不可能になる。添加する水の量が少なすぎると水性樹脂分散体の粘度が高いために微細化分散時の発熱が大きくなる、分散機の動力が多く必要になるなどの不都合が生じるので、目的に応じて適切な水の量と分散温度を選択する。
粘度比が10以下であれば、微細化分散のためには良好な条件だが、高粘度品を高剪断速度で分散しなくてはならないために分散機には過酷な条件となる。
【0026】
転相点近傍の最大粘度Vmaxが比較的粘度が低い場合は、特開平7−173294号公報に開示された複合乳化装置や、特開平8−117578号公報に開示された分散機が工程2の微細化分散装置として応用できる可能性がある。分散機の具体例として、株式会社ユーロテック社製CAVITRONホモジナイザーをあげることができる。
【0027】
水性樹脂分散体の粘度(VF)が50Pa・s以上では、工程1から使用すると分散機の能力を超え、分散できないが、力は強いが剪断速度は小さい高粘度用の攪拌機で一度転相点近傍の最高粘度域を通過した後の二段目の微細化工程で使用すれば、粘度が1/10程度まで下がっているので、能力を生かすことができる。
【0028】
粘度がさらに高くなって最大粘度Vmaxが80℃で500Pa・s以上の場合は転相後の粘度も高いため上記方法では不可能になる。そこで、連続的に処理する新規な微細化分散機を用いる。たとえば、以下の図4と図5に示すピンミキサーが適している。
【0029】
図4は、剪断速度400/秒以上にできる構造と動力を有する微細化分散装置であって、縦型微細化分散装置の縦断面の概略図である。図4は、シリンダー部3、ローター部1、ローターを駆動するモーター部5に大きく分けられる。シリンダー3の内周部とローター1の外周部には相互にピン2、4が具備されている。予備分散体(F)はシリンダーの下部入口8よりシリンダー部とローター部の間に導入され、攪拌、微細化分散された後、シリンダーの上部出口9より外部へ排出される。シリンダー3の外周部には熱媒または冷媒の入口、出口が具備されており、微細化分散処理中の予備分散体(F)の厳密な温度管理が可能になっている。また、図示していないが、装置内の任意の箇所において温度が測定され、設定温度との差により適宜温度制御がされる。そして、滞留時間取っても液温を30℃〜100℃に保つことができる温度制御機能を有する。
【0030】
図5は、縦型の微細化分散装置の横断面の概略図である。また、図5のみにおいてローター内に熱媒または冷媒を通す表記をしているが、図4においても可能である。
【0031】
本発明で用いられる高粘度樹脂溶液(E)が、重量平均分子量3000〜10万で酸価50〜500のアクリル樹脂(A)と重量平均分子量2万〜20万の芳香族系エポキシ樹脂(B)とを有機溶剤(D)中でアミン類(C)を用いて部分反応させた部分反応樹脂溶液が主成分である場合、缶用塗料として優れた塗膜物性と厚塗り・高温短時間焼付け塗装性に優れた水性樹脂分散体の水性塗料を得ることができる。
【0032】
高粘度樹脂溶液(E)は、重量平均分子量2万〜20万の芳香族系エポキシ樹脂(B)を有機溶剤(D)で溶解した溶液中に、極性基をもつアクリルモノマーを含む共重合性アクリルモノマー類と重合開始剤を滴下し、グラフト反応させた後、アミン類(C)を添加して部分中和した溶液を主成分とする場合もまた、缶用塗料として優れた塗膜物性と厚塗り・高温短時間焼付け塗装性に優れた水性樹脂分散体の水性塗料を得ることができる。
【0033】
本発明の水性樹脂分散体の製造方法の好ましい概略を図2、図3に示した。
図2のように、全ての工程を連続方式で行う方が工業的には最も効率が良い。強力で効率良い分散と優れた温度管理を行うためには図2に示す連続分散方式が適している。すなわち、高粘度樹脂溶液(E)に水を添加し転相直後またはその近傍の予備分散体(F)を得る工程1の分散装置Vから取り出した予備分散体(F)の一定量をポンプWで、縦型に配置された微細化分散装置の下部から導入して微細化分散し、その後、上部から排出した水性樹脂分散体(G)を、次の水希釈工程Yに連続的に移行する密閉系連続製造法を用いる多段分散法である。
しかし、図3のように、実験室規模または多品種対応など目的に応じて循環式のラインで製造することも可能である。
【0034】
本発明における、高粘度樹脂溶液(E)に適用される樹脂としては、天然の高分子、あるいは合成により得られるアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、珪素樹脂などの合成高分子を含むことができる。混合した樹脂や、グラフト反応や縮合反応などにより部分的に結合した部位を持つ樹脂も含むことができる。
【0035】
極性基としてはカルボキシル基、スルフォン酸基、水酸基、エーテル基などを例として挙げることができる。アクリル樹脂であれば、カルボキシル基はアクリル酸やメタクリル酸などのカルボン酸を含むモノマーを共重合することによって樹脂中に導入できる。ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂であれば、水酸基やカルボキシル基は官能基を二つ以上持つモノマー、たとえば、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸などやその無水物、トリメリット酸およびその無水物を原料に用いれば良いし、水酸基に上記のような二塩基酸を作用させても良い。
【0036】
高粘度樹脂溶液(E)として、酸価を有するアクリル樹脂と部分反応させた自己乳化型エポキシ樹脂を用いれば、すぐれた水性塗料を得ることができる。自己乳化型エポキシ樹脂は酸価を有するアクリルモノマー類をエポキシ樹脂にグラフトしても得ることができる。
【0037】
高粘度樹脂溶液(E)に適用される樹脂溶液として良好な例は、重量平均分子量3000〜10万で、かつ、酸価50〜500のアクリル樹脂(A)と重量平均分子量2万〜20万の芳香族系エポキシ樹脂(B)をアミン類(C)と有機溶剤(D)の存在下部分反応させた、部分反応樹脂溶液(E1)や、重量平均分子量2万〜20万の芳香族系エポキシ樹脂(B)を有機溶剤(D)で溶解した溶液中に、極性基をもつアクリルモノマーを含む共重合性アクリルモノマー類と重合開始剤を滴下し、グラフト反応させた後、アミン類(C)を添加して部分中和した溶液を主成分とする樹脂溶液(E2)がある。
【0038】
極性基は種類・目的により適切な量が異なるが、カルボキシル基であれば、樹脂全体に対する酸価が10〜300程度を良好に使用できる。酸価が小さいと水性化が困難になり、水性樹脂分散体が得られても安定性が悪い。
極性基を持つアクリルモノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸などカルボキシル基と炭素・炭素二重結合を持つモノマーを例として挙げることができる。
【0039】
本発明で樹脂の分子量は基本的にGPCで測定したスチレン換算の重量平均分子量を使用する。本発明で扱う高分子の領域では数平均分子量は低分子領域の僅かなベースラインの凹凸で数値に誤差を生じやすいためである。数平均分子量は場合により参考値を示す。
スチレン換算を用いるのは化合物の極性の違いによる誤差などの懸念はあるものの、業界ですでに広く用いられ、共通の認識が得られていると考えられるためである。分子量標準のスチレンも市販されているので、特にGPC測定条件を述べる必要がない状況になっていると判断できる。
【0040】
重量平均分子量3000〜10万で、かつ、酸価50〜500のアクリル樹脂(A)は上記極性基を持つアクリルモノマーと、その他の共重合性アクリルモノマー類との混合物を、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルなどのラジカル重合開始剤を用いて、70℃〜150℃の温度で共重合させることにより、得られる。
【0041】
上記共重合性アクリルモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチルなどのメタクリル酸エステル類、スチレン、αメチルスチレン、などのフェニル核を持つモノマー、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの水酸基含有のモノマー、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−置換アルコキシル基含有のモノマー、その他アクリロニトリルやグリシジル基含有モノマーなど多くのモノマーが使用でき、いくつかを選択することができる。
【0042】
重合開始剤の量と反応温度を選択して、重量平均分子量を3000〜10万にすることができる。重量平均分子量が3000未満では加工性などの高度な塗膜物性を保持できず、10万を越えると有機溶剤量の少ない溶液では非常に粘度が高くなり、取り扱いが困難になる傾向がある。
【0043】
また、酸価の調節は極性基を持つモノマーの組成比を調節して得ることができる。重量平均分子量2万〜20万の芳香族系エポキシ樹脂(B)としてはビスフェノールAやビスフェノールFなどの二官能フェノールとエピクロルヒドリンをアルカリ触媒のもとで反応させ、高分子量化することによって、末端にグリシジル基を持つエポキシ樹脂を得ることができる。末端のグリシジル基にフェノール性水酸基やアルコールや脂肪酸などを反応させれば、グリシジル基の量を調節できる。フェノール類を反応させ、両末端が実質的に完全にフェノール性水酸基になったものをフェノキシ樹脂と呼ぶが、フェノキシ樹脂の名称の製品群の中にも意識的にグリシジル基を一部残しているものもある。
【0044】
本発明の対象となるエポキシ樹脂、フェノキシ樹脂として代表的なものをいくつか例示する。ジャパンエポキシレジン(株)製ではビスフェノールAを原料とした、エピコート1009、エピコート1010やビスフェノールFを原料としたエピコート4010Pなどがあり、フェノキシ樹脂としてはエピコート4250やエピコート1256がある。
【0045】
東都化成(株)製ではビスフェノールAを原料としたエポトートYD−019、エポトートYD−7019、エポトートYD−7020などがあり、フェノキシ樹脂としてはフェノトートYP−50やフェノトートYP−70などがある。
【0046】
アミン類(C)としては、アンモニアと、トリエチルアミンなどのアルキルアミン類、2−ジメチルアミノエタノールのようなアルコールアミン類やエチレンジアミンのような多価アミンやモルホリン、ピリジンなどが使用できる。
【0047】
有機溶剤(D)は最終目的である水性塗料に要求される性能によって決定される塗料中に最低必要な有機溶剤であり、用途によって異なるので、本発明ではなんら限定するものではない。しかし、一般的には水と樹脂の双方に対していくらかの溶解性を持ち両者の仲立ちができる性質のものが良い。また、塗料が良好な塗装性を持つためには重要であり、ロールコートのように、ニュートニアンな流動性を好む場合は樹脂も水も良く溶解するものが選択され、スプレーコートのように非ニュートン流動を目的とする場合には水に対する溶解性が少なく、樹脂を良く溶解するものを選択する。塗料の乾燥・焼付け条件によって、溶剤の沸点を選択する。その他水性塗料の泡立ち・泡消え性や濡れ性も重要で、表面張力など溶剤の諸性質を調べて選択する。地球環境保護、塗料取り扱い環境の保護の観点からできる限り少なくかつ安全な溶剤を選択する必要がある。
【0048】
具体的には以下のような溶剤の中から数種類を選択する。例を挙げると、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ヘキシルアルコール、ノニルアルコールなどのアルキルアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテルなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルエステル類、酢酸エチルなどのエステル類、ダイアセトンアルコールなどのケトンアルコール類、シクロヘキサノンなどのケトン類などがある。
【0049】
上記アクリル樹脂(A)と芳香族系エポキシ樹脂(B)は有機溶剤(D)中でアミン類(C)を触媒として反応させて、極性基を必須成分とする高粘度樹脂溶液(E)を得る。
【0050】
有機溶剤(D)はアクリル樹脂(A)の合成にも必要である。したがって、本発明を限定するものではないが、典型的な方法の第一は、まず、有機溶剤(D)中でアクリル樹脂(A)を合成し、その中に芳香族系エポキシ樹脂(B)を入れて溶解し、その後に適切な反応条件を設定して、アミン類(C)を添加し、反応を開始すれば良い。この反応は進むにつれて酸価が低下し、エポキシ当量が上昇し、粘度が上昇するので、その程度を判定して、終点を決めることができる。反応が進みすぎると粘度が高くなりすぎるために目的とする粘度と固形分の塗料を得ることができなくなる。またさらに進みすぎると一般にゲル化する。粘性や塗膜物性も反応程度によって変化するので、適切な範囲で反応の終点としなければならない。酸価を持っている未反応のアクリル樹脂成分は水相に溶解するので、水性樹脂分散体を遠心分離し、水相の不揮発分を定量し、樹脂全体との比率を計算することによって、未反応アクリル樹脂/全アクリル樹脂の比率を定量できるので、反応程度を確認できる。
【0051】
典型的な方法の第二は有機溶剤(D)中で芳香族系エポキシ樹脂(B)を入れて溶解した後、極性基を持つアクリルモノマーを含む共重合性アクリルモノマー類と重合開始剤を滴下し、グラフト重合させた後、アミン類(C)を添加し部分中和して得ることができる。この反応程度は、未反応アクリルモノマーの残量をガスクロマトグラフィーで定量できる。概略であれば、不揮発分を測定しても知ることができる。
【0052】
アクリル樹脂(A)成分と芳香族系エポキシ樹脂(B)の比率も本発明を制限するものではないが、目的とする塗料の性能で適切な範囲を選択できる。
アクリル樹脂(A)成分と芳香族系エポキシ樹脂(B)の部分反応樹脂溶液を調製した後、本発明の工程1、工程2の手順で、水性樹脂分散体(G)を得る。
【0053】
本発明における高粘度樹脂溶液(E)の溶液粘度は制限しないが、100℃で500Pa・s以上がより好ましい。水を段階的に添加していくと、樹脂の種類・官能基の種類と量・温度によって異なるが、粘度は一般に最大値を経て転相点に到る。水を添加するにつれて、▲1▼系の温度が低下するために粘度が上昇するためと、▲2▼樹脂溶液相と水相がお互いの連続相に邪魔され自由に活動できなくなるためであると考えられる。
【0054】
転相点は電気伝導度が急激に大きくなるなど系の性質が大きく変化するので、知ることができる。転相直後またはその近傍とは最大粘度を越えた後の電気伝導度が大きく変化するあたりの状態を指す。このときの分散体を水性樹脂分散体(F)とする。
【0055】
最大粘度が50Pa・s以上になると、ホモジナイザーやクレアミックスのような、狭い間隙に液を吸い込み回転子と壁の剪断により微細化する型の分散機は、吸い込みが困難になり、使用できなくなる。デゾルバーやディスパーと呼ばれている円盤状高速攪拌型分散機は、攪拌円盤および攪拌軸に液が巻きつく現象が現れ、やはり分散が困難になる。本発明は上記のような攪拌機であっても、事前に適当な分散条件を選び、粒子径としては目的に達することができなくてもとりあえず、分散し、最大粘度を越えた後であれば、再度分散を行なうことができ、微細化分散できることを示す。
【0056】
さらに粘度が高くなって、転相後であっても50Pa・sを越えるようになるともはや上記分散機では微細化できなくなる。
予備分散体(F)が100Pa・sを超える場合は、本発明の微細化分散装置:剪断速度400/秒以上にできる構造と動力を持ち、かつ、滞留時間を30秒以上取っても処理中の液の温度を30℃以上100℃未満に保つことができる加熱・冷却能力を持っている分散装置を用いることによって微細化分散することができる。
【0057】
本発明の水性樹脂分散体の製造方法においては、さらに目的に応じて、工程のどこでも適切な条件で有機溶剤、中和剤、界面活性剤、消泡剤、滑り剤、硬化剤、防錆剤、顔料、充填剤などを添加・配合することができる。硬化剤としてアミノ樹脂やフェノール樹脂が一般的に使用できる。
【0058】
本発明の製造方法で得られた水性樹脂分散体の用途としては、塗料が挙げられる。この場合、得られた水性樹脂分散体に水を添加し必要に応じて消泡剤・湿潤剤・滑り剤・硬化剤等の添加剤や粘度調節・固形分量調整を行う。得られた塗料はブリキ板、クロムメッキ鋼板、ティンフリースチール、アルミ板等の金属板に塗装することが出来る。特に缶内面塗料として有効である。
塗装方法としてはロールコーター、スプレー、電着塗装等が可能であるが、ロールコーターでの塗装性能に優れている。焼付け条件は、たとえば雰囲気温度150℃〜400℃で5秒〜30分間の範囲で目的に応じて選ぶことができる。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。なお、例中「部」、「%」はそれぞれ「重量部」、「重量%」を示す。粘度は基本的にB型粘度計#4ローター、0.6rpmの安定した値を求めた。0.6rpmで値が求められない場合は0.3rpmまたは1.5〜30rpmの値から補外して求めた。分子量はGPCで測定し、スチレン換算の重量平均分子量を基本にした。分布が必要な場合は適宜、数平均分子量や各組成を示した。
【0060】
〔アクリル樹脂溶液(a1)の製造〕
1)メタクリル酸 3.47部
2)アクリル酸エチル 2.45部
3)スチレン 2.25部
4)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 13.3部
5)エチレングリコールモノイソブチルエーテル 26.6部
6)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.02部
7)メタクリル酸 10.42部
8)アクリル酸エチル 7.36部
9)スチレン 6.74部
10)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 6.69部
11)エチレングリコールモノイソブチルエーテル 13.38部
12)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.06部
13)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.01部
14)エチレングリコールモノイソブチルエーテル 0.05部
15)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.01部
16)エチレングリコールモノイソブチルエーテル 0.05部
17)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.01部
18)エチレングリコールモノイソブチルエーテル 0.05部
19)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2.35部
20)エチレングリコールモノイソブチルエーテル 4.73部
合計 100.00部
【0061】
攪拌機、窒素導入管、水冷式冷却管、温度センサー、滴下タンクを設置した200L反応釜に1)〜6)を仕込み、攪拌しながら130℃まで加熱した。滴下タンクに混合溶解した7)〜12)を入れ、反応釜内温130℃を保持しながら、2時間で滴下した。
滴下終了後、1時間ごとに13)と14)、15)と16)、17)と18)の各混合物を添加した。
17)と18)の混合物を添加した後、1時間経過してから不揮発分測定を行い反応完了を確認した。その後、19)と20)を添加、冷却し、不揮発分32.7%、数平均分子量4800、重量平均17000、酸価277のアクリル樹脂溶液(a1)を得た。
【0062】
〔アクリル樹脂溶液(a2)の製造〕
1)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 13.65部
2)メタクリル酸 12.55部
3)アクリル酸エチル 8.36部
4)スチレン 6.97部
5)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 18.58部
6)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.186部
7)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.021部
8)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.212部
9)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.021部
10)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.212部
11)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.021部
12)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.212部
13)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 29.621部
14)エチレングリコールモノイソブチルエーテル 9.384部
合計 100.000部
【0063】
攪拌機、窒素導入管、水冷式冷却管、温度センサー、滴下タンクを設置した200L反応釜に1)を仕込み、攪拌しながら140℃まで加熱した。滴下タンクに混合溶解した2)〜6)を入れ、反応釜内温140℃を保持しながら2時間で滴下した。
滴下終了後、1時間ごとに7)と8)、9)と10)、11)と12)の各混合物を添加した。
11)と12)の混合物を添加した後、1時間経過してから不揮発分測定を行い反応完了を確認した。その後、13)と14)を添加、冷却し、不揮発分28.1%、数平均分子量6200、重量平均分子量20000、酸価294のアクリル樹脂溶液(a2)を得た。
【0064】
〔エポキシ樹脂(B)〕
芳香族系エポキシ樹脂(B)は市販品b1〜b5を使用した。数平均分子量、重量平均分子量、エポキシ当量を表1に示す。
【0065】
【表1】
Figure 0004254287
【0066】
〔フェノール樹脂溶液(h1)の製造〕
1)ビスフェノールA 19.2部
2)p−クレゾール 4.8部
3)37%ホルマリン 17.2部
4)25%アンモニア水 1.3部
5)n−ブタノール 14.4部
6)キシレン 4.8部
7)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 38.3部
合計 100.0部
【0067】
1)〜3)を窒素置換した反応釜に仕込み、加熱して70℃30分間攪拌して溶解した。55℃まで冷却し、4)を10〜15分間かけて滴下した。発熱に注意しながら70℃に温度制御した。70℃1時間反応後、5)と6)の混合溶剤に抽出した。分離した水層を捨て、さらに溶剤層と同量の水を添加し、激しく攪拌後静置し水層を捨てた。溶剤層に7)を加え、減圧で脱水・溶剤置換を行った。不揮発分26%、重量平均分子量2500のフェノール樹脂溶液(h1)を得た。
【0068】
〔フェノール樹脂溶液(h2)の製造〕
1)イオン交換水 6.4部
2)21.5%水酸化ナトリウム水溶液 5.8部
3)ビスフェノールA 11.3部
4)37%ホルマリン 32.2部
5)20%塩酸 5.6部
6)n−ブタノール 14.5部
7)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 24.2部
合計 100.0部
【0069】
1)〜4)を順番に、窒素置換した反応釜に発熱に注意しながら仕込み、50℃2時間と70℃1時間反応後40℃まで冷却し、5)と6)を仕込み攪拌して抽出した。分離した水層を捨て、さらに溶剤層と同量の水を添加し、激しく攪拌後静置し、水層を捨てた。溶剤層に7)を加え、減圧で脱水・溶剤置換を行った。不揮発分30%、重量平均分子量680のフェノール樹脂溶液(h2)を得た。
【0070】
〔フェノール樹脂溶液(h3)の製造〕
1)21.5%水酸化ナトリウム水溶液 2.9部
2)ビスフェノールF 7.3部
3)37%ホルマリン 14.1部
4)20%塩酸 2.9部
5)n−ブタノール 36.4部
6)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 36.4部
合計 100.0部
【0071】
1)〜3)を順番に、窒素置換した反応釜に発熱に注意しながら仕込み、60℃5時間反応後40℃まで冷却し、4)と5)を仕込み攪拌して抽出した。分離した水層を捨て、さらに溶剤層と同量の水を添加し、激しく攪拌後静置し、水層を捨てた。溶剤層に6)を加え、減圧で脱水・溶剤置換を行った。不揮発分30%、重量平均分子量640のフェノール樹脂溶液(h3)を得た。
【0072】
〔予備分散体(f1)の製造〕
1)アクリル樹脂溶液(a1) 22.2部
2)エポキシ樹脂(b1) 13.9部
3)エポキシ樹脂(b2) 14.6部
4)エポキシ樹脂(b3) 8.1部
5)2−ジメチルアミノエタノール 2.4部
6)イオン交換水 20.5部
7)イオン交換水 10.1部
8)フェノール樹脂溶液(h1) 1.7部
9)フェノール樹脂溶液(h2) 6.5部
合計 100.0部
【0073】
1)〜4)を反応釜に仕込み、120℃2時間攪拌し溶解確認後、内温を105℃まで下げ、5)を添加し、アクリル樹脂とエポキシ樹脂の反応を開始した。105℃2時間で終点とした。この時の粘度は32Pa・s/100℃(632Pa・s/70℃)であった。
6)を少しずつ断続的に添加、攪拌して、水と樹脂が十分に混合分散していることを確認した。6)が4.9部添加された時点の粘度は160Pa・s/90℃であった。6)添加終了時点の粘度は215Pa・s/90℃であった。80℃に冷却した時点が最大粘度であり、824Pa・sであった。
【0074】
次いで、これに7)を添加した。7)の添加中に系の粘度が急激に低下し、電気伝導度が0〜10μSから500μSに急上昇し、転相が確認できた。7)添加終了時点で粘度は18Pa・s/70℃であった。従って70℃における粘度比は632/18=35となる。
この間の攪拌は10〜30rpm(剪断速度20〜60/秒)で行った。
【0075】
更に8)と9)を添加混合して、予備分散体(f1)を得た。この時点の不揮発分は45.8%、粘度は40Pa・s/50℃、粒子径は6.1μmであった。
【0076】
〔予備分散体(f2)の製造〕
1)アクリル樹脂溶液(a2) 24.4部
2)エポキシ樹脂(b4) 16.1部
3)エポキシ樹脂(b5) 22.7部
4)イソブタノール 2.3部
5)2−ジメチルアミノエタノール 2.1部
6)イオン交換水 12.5部
7)イオン交換水 18.8部
8)フェノール樹脂溶液(h3) 1.1部
合計 100.0部
【0077】
1)〜3)を反応釜にしこみ、120℃2時間攪拌し、溶解確認後、内温を110℃まで下げ、4)と5)を添加し、アクリル樹脂とエポキシ樹脂の反応を開始した。開始時点の粘度は220Pa・s/110℃であった。110℃2時間で終点とした。この時の粘度は470Pa・s/110℃であった。この粘度は700Pa・s/100℃、3300Pa・s/70℃であった。
水と樹脂が相溶していることを確認しながら、6)を少しずつ断続的に添加した。攪拌は10〜30rpm(剪断速度20〜60/秒)で行った。途中の最大粘度は790Pa・s/85℃であった。
冷却しながら7)を少しずつ添加した。7)を添加中に系の粘度が急激に低下し、電気伝導度が0〜10μSから500μS以上に急上昇し、転相が確認できた。7)添加終了時点で粘度は240Pa・s/70℃であった。したがって、70℃の粘度比は3300/240=14となる。最後に8)を添加混合した。得られた予備分散体(f2)の不揮発分は46%、粘度は490Pa・s/50℃、粒子径は4.4μmであった。
【0078】
〔予備分散体(f3)の製造〕
1)アクリル樹脂溶液(a2) 23.0部
2)エポキシ樹脂(b4) 15.1部
3)エポキシ樹脂(b5) 21.3部
4)イソブタノール 2.2部
5)2−ジメチルアミノエタノール 2.0部
6)イオン交換水 11.7部
7)イオン交換水 23.6部
8)フェノール樹脂溶液(h3) 1.1部
合計 100.0部
【0079】
1)〜6)添加までは実施例3と同じ。
冷却しながら7)を少しずつ添加した。7)を添加中に系の粘度が急激に低下し、転相が確認できた。7)添加終了時点で粘度は133Pa・s/70℃であった。したがって、70℃の粘度比は3300/133=25となる。最後に8)を添加混合した。
得られた水性樹脂分散体(f3)の不揮発分は43.4%、粘度は250Pa・s/50℃、粒子径は4.5μmであった。
【0080】
〔予備分散体(f4)の製造〕
1)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 13.4部
2)エチレングリコールモノイソブチルエーテル 2.3部
3)エポキシ樹脂(b4) 16.1部
4)エポキシ樹脂(b5) 22.7部
5)メタクリル酸 3.1部
6)アクリル酸エチル 2.1部
7)スチレン 1.7部
8)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.5部
9)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.05部
10)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
11)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.05部
12)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
13)過酸化ベンゾイル75%水25%混合品 0.05部
14)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
15)イソブタノール 2.3部
16)2−ジメチルアミノエタノール 2.1部
17)イオン交換水 12.36部
18)イオン交換水 18.59部
19)フェノール樹脂溶液(h3) 1.1部
計 100.00部
【0081】
1)〜4)を反応釜にしこみ、120℃2時間攪拌し、溶解確認後、内温を110℃まで下げ、滴下タンクに仕込んで混合溶解した5)〜8)を2時間かけて滴下した。滴下終了後1時間ごとに9)と10)の混合物、11)と12)の混合物、13)と14)の混合物を添加し、アクリルモノマーとエポキシ樹脂の反応を完結させた。内温を100℃まで下げ、15)と16)を添加混合した。粘度は630Pa・s/100℃、2900Pa・s/70℃であった。
十分に水と樹脂が相溶していることを確認しながら17)を少しずつ断続的に添加した。攪拌は10〜30rpm(剪断速度20〜60/秒)で行った。途中の最大粘度は640Pa・s/85℃であった。
冷却しながら18)を少しずつ添加した。電気伝導度で転相を確認した。18)添加終了時点で粘度は190Pa・s/70℃であった。したがって、70℃の粘度比は2900/190=15となる。最後に19)を添加混合した。
得られた予備分散体(f4)の不揮発分は46%、粘度は390Pa・s/50℃、粒子径は5.6μmであった。
【0082】
[実施例1]
予備分散体(f1)を図2の連続多段分散ラインにて、微細化分散装置として図4及び図5に示したピンミキサーXを用い、滞留時間30分、600回転(剪断速度1060/s)で攪拌微細化分散した。
ここで用いられるピンミキサーXは、内容量1.8L、モーター容量3kW、内径107mm、処理長219mm、処理容積1.69L、ピンは5mm角型。ローターについては軸直径35mm、ピンの長さ33mm、ピン本数は1周12本の16段、ピン間隔2mm、クリアランス3mm。シリンダーについてピン長さ27mm、ピン本数は1周12本の15段、クリアランス9mmであった。
得られた水性樹脂分散体の粒子径は0.5μmであった。
この分散体1800gにイオン交換水と添加剤(消泡・湿潤剤)サーフィノール104を2.1g追加し、不揮発分33%、有機溶剤量15%、#4フォードカップの粘度が25℃で46秒の水性塗料(実1)を得た。
【0083】
[実施例2]
予備分散体(f1)を、実施例1と同様のラインで、同じピンミキサーXを用い、滞留時間10分で、1100回転(剪断速度1900/秒)で攪拌微細化分散した。得られた水性樹脂分散体の粒子径は0.4μmであった。
この分散体1800gにイオン交換水と添加剤(消泡・湿潤剤)サーフィノール104を2.1g追加し、不揮発分33%、有機溶剤量15%、#4フォードカップの粘度が25℃で46秒の水性塗料(実2)を得た。
【0084】
[比較例1]
予備分散体(f1)600gを、1L・直径8.5cmの円筒フラスコに移し、最大径7.4cmの錨羽100回転(剪断速度70/秒)で攪拌した。60分後の粒子径は変化なく、6.1μmであった。この分散体にイオン交換水と添加剤(消泡・湿潤剤)サーフィノール104を0.7g追加し、不揮発分33%、有機溶剤量15%、#4フォードカップの粘度が25℃で46秒の水性塗料(比1)を得たが、室温一週間以内に沈降分離してしまった。
【0085】
[実施例3]
予備分散体(f2)を実施例1と同様のラインで、同じピンミキサーXを用い、微細化分散した。
滞留時間20分、1000回転(剪断速度1700/秒)、処理中の予備樹脂分散体の温度は82℃から88℃で、微細化分散した。処理後の水性樹脂分散体の粒子径は0.32μmであった。
この分散体にイオン交換水と添加剤(消泡・湿潤剤)サーフィノール420を全水性樹脂分散体に対して0.1%相当量を追加し、不揮発分30%、有機溶剤量13.5%、#4フォードカップの粘度が25℃で28秒の水性塗料(実3)を得た。
【0086】
[実施例4]
予備分散体(f3)を実施例1と同様のラインで、同じピンミキサーXを用い、微細化分散した。
滞留時間20分、1000回転(剪断速度1700/秒)、処理中の水性樹脂分散体の温度は82℃から88℃で、微細化分散した。処理後の水性樹脂分散体の粒子径は0.46μmであった。
この分散体にイオン交換水と添加剤(消泡・湿潤剤)サーフィノール420を全水性樹脂分散体に対して0.1%相当量を追加し、不揮発分30%、有機溶剤量13.5%、#4フォードカップの粘度が25℃で28秒の水性塗料(実4)を得た。
【0087】
[実施例5]
予備分散体(f4)を実施例1と同様のラインで、同じピンミキサーXを用い、実施例4と同様に微細化分散した。処理後の水性樹脂分散体の粒子径は0.5μmであった。この分散体にイオン交換水と添加剤(消泡・湿潤剤)サーフィノール420を全水性樹脂分散体に対して0.1%相当量を追加し、不揮発分30%、有機溶剤量13.5%、#4フォードカップの粘度が25℃で28秒の水性塗料(実5)を得た。
【0088】
[比較例2]
予備分散体(f2)600gを、1L・直径8.5cmの円筒フラスコに移し、最大径7.4cmの錨羽根100回転(剪断速度70/秒)で攪拌した。60分後の粒子径は変化なく、4.4μmであった。この分散体にイオン交換水と添加剤(消泡・湿潤剤)サーフィノール420を0.9g追加し、不揮発分30%、有機溶剤量13.5%、#4フォードカップの粘度が25℃で28秒の水性塗料(比2)を得たが、室温一週間以内に沈降分離してしまった。
【0089】
[比較例3]
予備分散体(f2)600gを、1L・直径8.5cmの円筒フラスコに移し、直径4cmのディスパー羽根で攪拌しようとしたが、羽根に予備分散体(f2)が巻き付く状態になり分散は不可能であった。また、ホモジナイザーでの分散も試みたが、予備分散体(f2)を吸い込むことができず、分散は不可能であった。
【0090】
[比較例4]
予備分散体(f2)を(株)ユーロテック社製CAVITRONホモジナイザーで微細化分散を試みた。そのままではポンプで押し込んでも動力負荷が高く分散できないので、水希釈し、粘度を下げて分散を試みた。
不揮発分41%、粘度64Pa・s/70℃(粘度比3300/64=52)でローター回転数11200rpmにすると定格5.5kWのモーターの負荷が9.3〜10kWであった。少しずつ水を添加し粘度を下げ、不揮発分35%、粘度8.1Pa・s/70℃(粘度比3300/8.1=410)まで変えて11200rpmで分散を試みたが、いずれも粒子径は変化せず、4.4μmであった。
実施例1〜5と比較例1〜4について分散条件をまとめると、表2のようになる。
【0091】
【表2】
Figure 0004254287
【0092】
〔塗料性状・塗膜物性の評価〕
実施例1〜5および比較例1、2で得られた水性塗料について、塗料としての性状および塗膜物性を以下の方法で評価し、結果を表3に示した。
[塗膜物性測定用の試験パネル作成条件]
(1)実施例1、2と比較例1で得られた塗料について
クロム処理鋼板100cm2あたり乾燥塗膜厚50〜60mgになるようにナチュラルロールコーターを用いて塗装し、200℃10分間焼付け乾燥した。
(2)実施例3、4、5と比較例2で得られた塗料について
アルミ板100cm2あたり乾燥塗膜厚70〜80mgになるようにバーコーターを用いて塗装し、260℃10秒間焼付け乾燥した。
【0093】
[評価条件]
(1)貯蔵安定性:塗料を50℃恒温器に保存し、定期的に外観、性状を目視にて評価した。
○:一ヶ月経過しても沈殿が生じない。
×:一週間経過後に沈殿が生じた。
(2)ピール剥離強度(下地密着性):ナイロン系接着剤を塗装面ではさみ、200℃で熱圧着した5mm幅の試験片を用い、Tピール剥離強度を測定した。また、試験片を熱水中30分間浸漬後冷却乾燥した後、Tピール剥離強度(処理後ピール剥離強度)を測定した。単位はkg/5mmで示した。
【0094】
(3)耐水性:パネルを耐圧釜にて125℃40分水中に浸漬後冷水で急冷し、塗膜の表面状態を観察した。
○:変化なし
△:部分的に白化
×:全面が白化
(4)加工性:塗装板の塗膜を外側にして二つ折にし、折り曲げ加工した。加工部位に食塩水を電解液として通電し電流値を測定し、以下の基準で評価した。
○:5mA未満
△:5〜50mA
×:50mAを超えるもの
【0095】
(5)耐フレーバー阻害性:塗装板試験片と活性炭処理水を満たした耐熱ガラス製ボトルにフタをし、蒸気殺菌処理した後の、内溶液のフレーバーの変化を調べ以下の基準で判定した。
○:全く変化なし
△:少し変化あり
×:著しい変化あり
【0096】
(6)厚膜塗装性(ワキ):実施例3、4、5と比較例3、6の塗料を、アルミ板100cm2あたり乾燥塗膜厚130〜140mgとなるようにバーコーター塗装し、350℃雰囲気中で乾燥した。塗膜表面を観察し、以下の基準で評価した。
○:塗膜面が平滑、かつ泡粒状のワキがない
△:小さなワキが少しある
×:塗膜面全体に激しくワキがある
【0097】
【表3】
Figure 0004254287
【0098】
【発明の効果】
本発明の水性樹脂分散体の製造方法は、極性基を含有する樹脂を有機溶剤に溶解した高粘度樹脂溶液(E)に水を添加し、最大粘度Vmax100Pa・s以上であり、200/秒以下の剪断速度で転相させて形成したW/O型の予備分散体(F)を、剪断速度400/秒以上可能な構造と動力を有する微細化分散装置の下部から導入し、剪断速度400/秒以上でエマルジョン粒子の平均粒子径を1μm以下に微細化分散した後、上記微細化分散装置の上部から排出することを特徴とする水性樹脂分散体の製造方法であるので、平均粒子径1μm以下の微細な粒子径の水性樹脂分散体は沈降しにくく、経時安定性が良好である。本発明により高分子量の樹脂を原料に用いる事ができ、塗料としたときの塗膜物性が良好な水性樹脂分散体が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、非特許文献1(化学工学論文集第2巻第3号(1976)、244ページの図3)を引用したものであり、粘度比PとWeber数(分裂限界時における無次元剪断速度)の関係を示したものである。横軸は粘度比P、縦軸は臨界Weber数(分裂限界時における無次元剪断速度)、(A)は分裂しない領域、(B)は分裂を起こす領域である。
【図2】図2は、本発明の水性樹脂分散体の製造工程の概略の一例である。
【図3】図3は、本発明の水性樹脂分散体の製造工程の概略の一例である。
【図4】図4は、微細化分散装置の縦断面の概略図である。
1:ローター
2:ローターのピン
3:シリンダー
4:シリンダーのピン
5:ローターを駆動するモーター
6:熱媒または冷媒の入口
7:熱媒または冷媒の出口
8:水性樹脂分散体(F)の入口
9:水性樹脂分散体(F)の微細化分散後の出口
【図5】図5は、微細化分散装置の横断面の概略図である。
1:ローター
2:ローターのピン
3:シリンダー
4:シリンダーのピン
5:熱媒または冷媒の流入部分
6:水性樹脂分散体(F)の処理部分

Claims (2)

  1. 極性基を含有する樹脂を有機溶剤に溶解した32Pa・s/100℃以上の高粘度樹脂溶液(E)である重量平均分子量3000〜10万で、かつ、酸価50〜500のアクリル樹脂(A)と重量平均分子量2万〜20万の芳香族系エポキシ樹脂(B)をアミン類(C)と有機溶剤(D)の存在下部分反応させた、部分反応樹脂溶液または重量平均分子量2万〜20万の芳香族系エポキシ樹脂(B)を有機溶剤(D)で溶解した溶液中に、極性基をもつアクリルモノマーを含む共重合性アクリルモノマー類と重合開始剤を滴下し、グラフト反応させた後、アミン類(C)を添加して部分中和した溶液に水を添加し、最大粘度Vmax100Pa・s以上であり、200/秒以下の剪断速度で転相させて形成したO/W型の予備分散体(F)を、剪断速度400/秒以上可能な構造と動力を有する微細化分散装置の下部から導入し、剪断速度400/秒以上でエマルジョン粒子の平均粒子径を1μm以下に微細化分散した後、上記微細化分散装置の上部から排出することを特徴とする水性樹脂分散体の製造方法。
  2. 最大粘度Vmaxが80℃で500Pa・s以上であり、かつ、高粘度樹脂溶液(E)の粘度(VE)と予備分散体(F)の粘度(VF)との比:P=(VE)/(VF)が、10〜500である請求項1に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
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