JPH1161035A - 水系塗料組成物 - Google Patents

水系塗料組成物

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JPH1161035A
JPH1161035A JP9243465A JP24346597A JPH1161035A JP H1161035 A JPH1161035 A JP H1161035A JP 9243465 A JP9243465 A JP 9243465A JP 24346597 A JP24346597 A JP 24346597A JP H1161035 A JPH1161035 A JP H1161035A
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resin
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徹也 宮川
Seika Jiyo
静華 徐
Kiyomi Hata
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料の貯蔵安定性に著しく優れており、しか
も形成される塗膜の加工性及び耐傷付き性に特に優れた
水系塗料組成物を提供する。 【解決手段】 酸成分として芳香族多塩基酸の含有率が
高く、しかも重量平均分子量が9,000以上又は相対
粘度が1.20以上の高分子量のポリエステル樹脂と有
機アミン化合物(またはアンモニア)と両親媒性の有機
溶剤と保護コロイド作用を有する化合物と水より成るポ
リエステル樹脂水分散体と親水性アミノ樹脂とを含有す
る水系塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系塗料組成物に
関するものであり、更に詳しくは、塗料の貯蔵安定性に
優れており、しかも加工性及び耐傷付き性に特に優れた
塗膜を形成し得る水系塗料組成物であり、特に缶用塗料
やPCM(プレコートメタル)用塗料として好適な水系
塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】実質的に多塩基酸成分と多価アルコール
成分より成る高分子量のポリエステル樹脂(所謂、オイ
ルフリーアルキド樹脂)は、繊維、フィルムや各種成形
材料として使用されているばかりでなく、塗料、イン
キ、接着剤、各種コーティング剤等の分野においても、
良好な顔料分散性、形成される塗膜の優れた加工性、耐
薬品性、耐候性、各種基材への密着性等により、各種の
バインダー成分として大量に使用されている。その中で
も、缶用塗料やPCM用塗料としては、ポリエステル樹
脂/アミノ樹脂、ポリエステル樹脂/多官能イソシアネ
ート化合物等の焼付け塗料が種々提案されており、実用
化されている。しかしながら、これらの塗料は、有機溶
剤を含むため、消防法等に規定された危険物であり、作
業環境の悪化を招くばかりか、焼付け時に多量の有機溶
剤が揮発することから、環境汚染や省資源の点からも好
ましくない。この観点から、塗料業界でも従来の溶剤型
塗料から、粉体塗料、ハイソリッド塗料、水系塗料、U
V・EB塗料への移行が進みつつある。その中でも、水
系塗料は、溶剤型塗料と同様に液状であり、現行の塗料
製造及び塗装ラインをほぼそのまま使用できるといった
長所を有するため、代替技術のうちで最も有望視されて
いる。
【0003】飲料缶、食缶をはじめとする金属缶に用い
られる缶用塗料や建築内外装材、家電製品等に使用され
るPCM用塗料に要求される代表的な性能としては、塗
料の貯蔵安定性及び塗膜の金属板への密着性、耐薬品
性、耐水性、耐候性は勿論のことながら、塗装、焼付け
後に施される種々の成形、加工に耐え得る塗膜の加工性
(可撓性)及び成形時、或いは輸送時の摩擦等により傷
が付かない塗膜硬度(耐傷付き性)を必要とする。しか
しながら、塗膜の加工性と硬度は一般に相反する性能で
あり、両者を両立させることは困難であり、ましてや水
系塗料で前述の塗料の安定性や塗膜性能を兼ね備えてこ
れを達成することは極めて困難であった。
【0004】例えば、特開平6−346020号公報等
には、アルキルエーテル化アミノ樹脂にオキシカルボン
酸を共重合させ、次いで塩基性化合物で中和した特定の
アミノ樹脂とポリエステル樹脂水分散体とを組み合わせ
ることで、塗膜の加工性、硬度を保持させる記載がなさ
れている。しかし、この場合でも塗膜の鉛筆硬度は最高
2Hであり、耐傷付き性に関しても満足できるものでは
ない。
【0005】また、塗膜の耐傷付き性を向上させる方法
として、塗料中にみつろう、鯨ろう、牛脂、カルバナワ
ックス、ラノリンワックス等の動植物性の潤滑剤、又は
ポリエチレンワックス等の合成ワックス、或いはシリコ
ーンオイル等を滑剤として添加する方法がよく知られて
いる。しかしながら、これらの滑剤は溶剤型塗料を主体
として開発されたものであり、水系塗料に添加すると著
しく塗料の安定性を損なう恐れがある。更に、上記滑剤
は、成形、加工時や経時で塗膜表面から脱離してしま
い、耐傷付き性が損なわれるという問題がある。これを
改善する方法として、特開平6−293864号公報に
は、変性シリコーンオイル及びテフロン含有複合水分散
体ワックスを添加すること、更に特開平7−11192
号公報には、四フッ化エチレン樹脂を添加することが記
載されている。しかしながら、これらの滑剤は高価であ
り、塗料の安定性を損なう恐れをも有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状を
鑑みてなされたものであり、その目的は、塗料の貯蔵安
定性や塗膜の金属板への密着性、耐薬品性、耐水性、耐
候性等に優れており、更には塗膜の加工性(可撓姓)に
も優れ、しかも一切の滑剤を添加しなくとも耐傷付き性
にも優れた塗膜を形成し得る水系塗料組成物、特に缶用
及びPCM用塗料として有用な水系塗料組成物を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、 1.下記(A)〜(E)成分より成るポリエステル樹脂
水分散体及び平均重合度5以下の親水性アミノ樹脂を少
なくとも含有し、その固形分比が95/5〜60/40
重量%であることを特徴とする水系塗料組成物。 (A)多塩基酸成分と多価アルコール成分より実質的に
構成され、多塩基酸成分の50モル%以上が芳香族多塩
基酸であり、多価アルコール成分が主としてエチレング
リコール及び/又はネオペンチルグリコールで構成され
ており、酸価が10〜40mgKOH/gであり、重量平
均分子量が9,000以上又は相対粘度が1.20以上
であるポリエステル樹脂 (B)アンモニア及び/又は沸点が250℃以下の有機
アミン化合物 (C)ポリエステル樹脂に対して可塑化能力を有する両
親媒性の有機溶剤が水系塗料組成物に対して3〜12重
量% (D)保護コロイド作用を有する化合物がポリエステル
樹脂に対して0.01〜3重量% (E)水
【0008】2.上記1記載の水系塗料組成物であっ
て、水媒体中に分散して存在する樹脂微粒子の粒径分布
が、下記(a)、(b)及び(c)のうちの1つ以上の
条件を満足するものであることが望ましい。 (a)水媒体中に分散している樹脂微粒子の粒径分布に
おける体積基準でのメディアン径が2μm 以下であり、
かつ最大粒径が10μm を越えない。 (b)水媒体中に分散している樹脂微粒子の体積基準で
の粒径分布において、最も細粒子側に位置する分布のモ
ード径が1μm 以下であり、かつ80%粒径が4μm を
越えない。 (c)水媒体中に分散している樹脂微粒子の体積基準で
のメディアン径が2μm以下であり、かつ最も細粒子側
に位置する分布のモード径が1μm 以下であり、更に下
式(1)を満足する。 log(90%粒径/10%粒径)≦1 (1) 3.上記1又は2記載の水系塗料組成物であって、ポリ
エステル樹脂を構成する多塩基酸成分の65モル%以上
がテレフタル酸であることが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。 (ポリエステル樹脂)本発明で使用するポリエステル樹
脂は、本来それ自身で水に分散又は溶解しない本質的に
疎水性のものであり、多塩基酸成分と多価アルコール成
分より実質的に構成されるものであって、多塩基酸と多
価アルコール類より実質的に合成されるものである。以
下に該ポリエステル樹脂の構成成分について説明する。
【0010】ポリエステル樹脂の多塩基酸成分を形成す
る多塩基酸としては、芳香族多塩基酸、脂肪族多塩基
酸、脂環族多塩基酸があげられ、芳香族多塩基酸のうち
の芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタ
ル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフ
ェニルジカルボン酸等をあげることができ、必要に応じ
て耐水性を損なわない範囲で少量の5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸や5−ヒドロキシイソフタル酸を用いる
ことができる。脂肪族多塩基酸のうちの脂肪族ジカルボ
ン酸としては、シュウ酸、(無水)コハク酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、水添ダ
イマー酸等の飽和ジカルボン酸、フマル酸、(無水)マ
レイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン
酸、ダイマー酸等の不飽和ジカルボン酸等を挙げること
ができ、脂環族多塩基酸のうちの脂環族ジカルボン酸と
しては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン
酸、2.5-ノルボルネンジカルボン酸(無水物)、テトラ
ヒドロフタル酸(無水物)等を挙げることができる。
【0011】全多塩基酸成分に占める芳香族多塩基酸成
分の含有率の合計は、50モル%以上が好ましい。この
値が50モル%未満の場合には、脂肪族多塩基酸及び脂
環族多塩基酸に由来する構造が樹脂骨格中の過半を占め
るため、形成される塗膜の硬度、耐汚染性、耐水性が低
下する傾向があり、脂肪族及び脂環族のエステル結合が
芳香族エステル結合に比して耐加水分解性が低いため
に、ポリエステル樹脂水分散体、つまりは水系塗料組成
物の貯蔵安定性が低下することがある。したがって、水
系塗料組成物の貯蔵安定性及び優れた塗膜性能(特に塗
膜硬度)を確保するためには、全多塩基酸成分に占める
芳香族多塩基酸成分の含有率は60モル%以上、更には
70モル%以上が好ましく、形成される塗膜の他の性能
とバランスをとりながらその加工性(可撓性)、耐水
性、耐薬品性、耐候性を向上させることができる点にお
いて、ポリエステル樹脂を構成する全多塩基酸成分の6
5モル%以上がテレフタル酸であることは、本発明の目
的を達成するうえで特に好ましい態様である。
【0012】一方、ポリエステル樹脂の多価アルコール
成分を形成する多価アルコールについては、グリコール
として、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数が
6〜12の脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコ
ールを挙げることができる。炭素数2〜10の脂肪族グ
リコールとしては、エチレングリコール、1,2 −プロピ
レングリコール、1,3 −プロパンジオール、1,4-ブタン
ジオール、2−メチル−1,3 −プロパンジオール、1,5
−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6 −
ヘキサンジオール、3−メチル−1,5 −ペンタンジオー
ル、1,9 −ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプ
ロパンジオール等、炭素数6〜12の脂環族グリコール
としては、1,4 −シクロヘキサンジメタノール等を挙げ
ることができる。エーテル結合含有グリコールとして
は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、更にビスフェノール類の2つ
のフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピ
レンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られる
グリコール類、例えば2,2 −ビス(4−ヒドロキシエト
キシフェニル)プロパン等を挙げることができる。ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコールも必要により使用し得る。た
だし、エーテル構造は塗膜の耐水性、耐候性を低下させ
ることから、その使用量は全多価アルコール成分の10
重量%以下、更には5重量%以下にとどめるべきであ
る。
【0013】本発明で使用するポリエステル樹脂を構成
する全多価アルコール成分の50モル%以上、更には6
5モル%以上がエチレングリコール及び/又はネオペン
チルグリコールからなるグリコール成分で実質的に構成
されていることが好ましい。エチレングリコール及びネ
オペンチルグリコールは工業的に多量に生産されている
ことから安価であり、しかも形成される塗膜の諸性能に
バランスがとれ、エチレングリコール成分は特に耐薬品
性を、ネオペンチルグリコール成分は特に耐候性を向上
させるという長所を有する。
【0014】本発明で使用するポリエステル樹脂は、必
要に応じて3官能以上の多塩基酸及び/又は多価アルコ
ールを共重合したものであってもよいが、3官能以上の
多塩基酸としては(無水)トリメリット酸、(無水)ピ
ロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン
酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒド
ロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロ
トリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカル
ボン酸等が使用される。一方、3官能以上の多価アルコ
ールとしてはグリセリン、トリメチロールエタン、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用さ
れる。3官能以上の多塩基酸及び/又は多価アルコール
は、全多塩基酸成分あるいは全多価アルコール成分に対
し0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%の範囲で共
重合されるが、10モル%を越えるとポリエステル樹脂
の長所である塗膜の高加工性(可撓性)が発現されなく
なる。
【0015】また、必要に応じて、ラウリン酸、ミリス
チン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リ
ノール酸、リノレン酸等の脂肪酸やそのエステル形成性
誘導体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シ
クロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸
等の高沸点のモノカルボン酸、ステアリルアルコール、
2−フェノキシエタノール等の高沸点のモノアルコー
ル、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、
p−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やそ
のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
【0016】かかるポリエステル樹脂は、前記のモノマ
ー類より公知の各種の方法を用いて合成される。例え
ば、(a)全モノマー成分及び/又はその低重合体を不
活性雰囲気下で180〜250℃、2.5〜10時間程
度反応させてエステル化反応を行い、引き続いて触媒の
存在下、1Torr以下の減圧下に220〜280℃の温度
で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めてポリエ
ステル樹脂を得る方法、(b)前記重縮合反応を、目標
とする分子量に達する以前の段階で終了し、反応生成物
を次工程で多官能のエポキシ系化合物、イソシアネート
系化合物、オキサゾリン系化合物等から選ばれる鎖長延
長剤と混合し、短時間反応させることにより高分子量化
を図る方法、(c)前記重縮合反応を目標とする分子量
以上の段階まで進めておき、モノマー成分を更に添加
し、不活性雰囲気、常圧〜加圧系で解重合を行うことで
目標とする分子量のポリエステル樹脂を得る方法等を挙
げることができる。
【0017】ポリエステル樹脂より水分散体を得る(以
下、水性化)に必要なカルボキシル基は、樹脂骨格中に
存在するよりも樹脂分子鎖の末端に偏在していること
が、水系塗料組成物の安定性及び形成される塗膜の耐水
性の面から好ましい。副反応やゲル化等を伴わずに、高
分子量のポリエステル樹脂の分子鎖末端に特定量のカル
ボキシル基を導入する方法としては、前記の方法(a)
において、重縮合反応の開始時以降に3官能以上の多塩
基酸又はそのエステル形成性誘導体を添加するか、或い
は、重縮合反応の終了直前に多塩基酸の酸無水物を添加
する方法、前記の方法(b)において、大部分の分子鎖
末端がカルボキシル基である低分子量ポリエステル樹脂
を鎖長延長剤により高分子量化させる方法、前記の方法
(c)において、解重合剤として多塩基酸又はそのエス
テル形成性誘導体を使用する方法等が好ましい態様であ
る。
【0018】かかる方法にて合成されるポリエステル樹
脂の酸価は10〜40mgKOH/g、特に10〜35mg
KOH/gが好ましい。この酸価が40mgKOH/gを
越えると、形成される塗膜の耐水性が劣る場合がある。
一方、酸価が10mgKOH/g未満の場合は、水性化に
寄与するカルボキシル基量が十分でなく、良好なポリエ
ステル樹脂水分散体、ひいては良好な水系塗料組成物を
得ることができない。また、かかるポリエステル樹脂
は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー,ポリスチレン換算)で測定される重量平均分子量が
9,000以上又は相対粘度は1.20以上でなければ
ならない。このいずれの条件も満たさない場合には、水
系塗料組成物から形成される塗膜に十分な加工性(可撓
性)が付与されない。ポリエステル樹脂の重量平均分子
量は10,000以上、更には12,000以上が特に
好ましい。上限については、45,000以下が好まし
い。45,000を越えるとポリエステル樹脂の製造時
の作業性を悪化させるおそれがあるばかりでなく、この
ようなポリエステル樹脂を使用した水分散体では粘度が
異常に高くなる場合がある。また、相対粘度は1.22
以上が好ましく、1.24以上がより好ましい。一方、
相対粘度の上限については、1.95以下が好ましく、
この値を越えるとポリエステル樹脂の製造時の作業性を
悪化させるおそれがあるばかりでなく、このようなポリ
エステル樹脂を使用した水分散体では粘度が異常に高く
なる場合がある。本発明において、ポリエステル樹脂水
分散体中のポリエステル樹脂の含有率は、アミノ樹脂と
の固形分配合比、用途、乾燥膜厚、成形方法等によって
適宜選択されるべきであるが、一般的には10〜50重
量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で使用され
る。後述するような製造方法によって得られたポリエス
テル樹脂水分散体は、ポリエステル樹脂の含有率が20
重量%以上といった高固形分濃度であっても貯蔵安定性
に優れ、他の成分を添加してゆく際にも極めて安定であ
るという長所を有する。しかし、ポリエステル樹脂の含
有率が50重量%を越えると、該水分散体の粘度が著し
く高くなり、実質的に他成分の配合や得られた水系塗料
組成物の成形が困難となってしまう場合がある。
【0019】(塩基性化合物)本発明の水系塗料組成物
には、ポリエステル樹脂微粒子間の凝集を防ぐために、
塩基性化合物を使用することが必要である。この塩基性
化合物は、ポリエステル樹脂の水性化に際して使用して
これを中和することが好ましく、中和反応で生成したカ
ルボキシアニオン間の電気反発力によって、或いは、後
述のごく少量の特定の保護コロイド作用を有する化合物
との併用により、ポリエステル樹脂微粒子間の凝集を防
ぎ、優れた他成分との混合安定性及び水系塗料組成物と
して優れた貯蔵安定性を発現することができる。塩基性
化合物としては塗膜形成時、或いは焼付け硬化時に揮散
する化合物が好ましく、アンモニア及び/叉は沸点が2
50℃以下の有機アミン化合物等を使用する。望ましい
有機アミン化合物の例としては、トリエチルアミン、
N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチル
エタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチ
ル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミ
ン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチ
ルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチル
アミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピ
ルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミ
ノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、
3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリ
ン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を
挙げることができる。塩基性化合物は、ポリエステル樹
脂中に含まれるカルボキシル基に応じて、少なくとも部
分中和し得る量、すなわち、カルボキシル基に対して
0.5〜1.5倍当量を添加することが望ましい。0.
5倍当量未満では塩基性化合物添加の効果が認められな
いおそれがあり、1.5倍当量を越えると、ポリエステ
ル樹脂水分散体が著しく増粘する場合があり、他成分と
の混合時にも著しく増粘する場合がある。
【0020】(有機溶剤)本発明では、ポリエステル樹
脂水分散体、ひいては水系塗料組成物の安定性を確保す
るために、ポリエステル樹脂に対して可塑化能力を有す
る両親媒性の有機化合物を使用することが必要である。
この有機溶剤は、特に、ポリエステル樹脂より水分散体
を得る(水性化)に際して使用することが望ましく、こ
の段階で使用することにより後述の水性化処理速度を加
速させたり、或いは生成したポリエステル樹脂水分散体
の安定性を確保することができる。但し、沸点が250
℃を越えるものは、あまりに蒸発速度がおそく、塗膜の
焼付け時にもこれを十分に取り除くことができないた
め、沸点が250℃以下であり、しかも毒性、爆発性や
引火性の低い、所謂、有機溶剤と呼ばれる汎用の化合物
が対象となる。
【0021】本発明でいう有機溶剤に要求される特性
は、両親媒性であること、前記のポリエステル樹脂に対
して可塑化能力を有することである。ここで両親媒性の
有機溶剤とは、20℃における水に対する溶解性が少な
くとも5g/L以上、望ましくは10g/L以上である
ものをいう。この溶解性が5g/L未満のものは、ポリ
エステル樹脂の水性化処理速度を加速させる効果に乏し
く、安定性が十分ではないポリエステル樹脂水分散体お
よび水系塗料組成物しか提供できない。また、有機溶剤
の可塑化能力は、次のような簡便な試験によって判断す
ることができる。すなわち、対象とするポリエステル樹
脂から3cm×3cm×0.5cm(厚さ)の角板を試作し、
これを50mlの有機溶剤に浸漬して25〜30℃の雰囲
気で静置する。3時間後に角板の形状が明らかに変形し
ているか、或いは、厚さ方向に対して1kg/cm2 の力
を静的に加えながら0.2cm径のステンレス製の丸棒を
接触させた際に、丸棒の0.3cm以上が角板に侵入する
場合、その有機溶剤の可塑化能力はあると判断される。
可塑化能力が無いと判断される有機溶剤は、水性化処理
速度を加速させる効果及びポリエステル樹脂微粒子を安
定化させる効果に乏しい。
【0022】かかる有機溶剤としては、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタ
ノール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコ
ール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノー
ル、シクロヘキノール等のアルコール類、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケト
ン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチ
ル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n
−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢
酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピ
オン酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等のエステ
ル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレン
グリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリ
コール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエ
チルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチ
ルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、更には、
3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブ
タノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢
酸エチル等を例示することができる。これらの溶剤は単
一でも、また2種以上を混合しても使用できる。
【0023】これら例示した有機溶剤のうち、以下の2
条件を満足する化合物を単一で使用するか、また2種以
上を混合して使用する場合、ポリエステル樹脂の水性化
処理速度を加速させる効果が特に優れるばかりでなく、
これらの化合物がポリエステル樹脂水分散体に対して2
〜10重量%、特に好ましくは3〜8重量%含有する水
分散体は貯蔵安定性が特に優れることから、水系塗料組
成物の安定性に優れ、しかも塗膜形成性に優れる等の長
所を有し、特に好ましい態様である。(条件1)分子中
に、炭素原子が直接4個以上結合した疎水性構造を有す
ること(条件2)分子末端に、ポーリング(Pauli
ng)の電気陰性度が3.0以上の原子を1個以上含有
する置換基を有し、該置換基中の電気陰性度が3.0以
上の原子と直接結合している炭素原子の13C−NMR
(核磁気共鳴)スペクトルのケミカルシフトが、室温、
CDCl3 中で測定した場合に50ppm 以上であるよう
な極性の置換基を有すること
【0024】(条件2)で規定される置換基としては、
アルコール性ヒドロキシル基、メチルエーテル基、ケト
ン基、アセチル基、メチルエステル基等を例示でき、前
記2条件を満足する化合物のうち、特に好適な有機溶剤
としては、n−ブタノール、イソブタノール、sec−
ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコ
ール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコー
ル、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、
シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸−n−
ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸
−3−メトキシブチル等のエステル類、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル等のグリコール誘導体、更には、3−メトキシ−3−
メチルブタノール、3−メトキシブタノール等を例示す
ることができる。
【0025】かかる有機溶剤は、沸点が100℃以下で
あったり、水と共沸可能であれば、水性化工程中、ある
いはその後の工程でその一部又はその全てを系外に除去
(ストリッピング)することができるが、最終的には水
系塗料組成物に対して3〜12重量%含有させることが
必要であり、好ましくは3〜10重量%、更に好ましく
は3〜8重量%である。有機溶剤が水系塗料組成物に対
して3重量%未満の場合には、塗膜形成性に劣り、具体
的にはハジキ、ワキ等の塗膜欠陥が発生し易くなる。一
方、水系塗料組成物に対して該有機溶剤の含有率が12
重量%を越えると、水系塗料本来の目的が損なわれるだ
けでなく、後述する水系塗料組成物中の水媒体に分散し
ている樹脂微粒子の二次粒子の存在割合が高くなるた
め、該水系塗料組成物の粘度が異常に高くなったり、貯
蔵安定性に劣ったりするという不具合を生じる。また、
水系塗料組成物に含有される有機溶剤の30重量%以
上、更には40重量%以上がポリエステル樹脂水分散体
が製造される以前の段階でこれに添加されていることが
好ましい。70重量%を越える有機溶剤がポリエステル
樹脂水分散体の製造工程以降に添加される場合、後述す
る粒径分布を満足しない水系塗料組成物が生成する場合
がある。
【0026】(保護コロイド作用を有する化合物)本発
明の水系塗料組成物には、水系塗料組成物の貯蔵安定性
を確保するために保護コロイド作用を有する化合物を使
用することが必要である。この保護コロイド作用を有す
る化合物は、特に、ポリエステル樹脂水分散体を製造す
るに際して使用することが望ましく、この段階で使用す
ることにより、前述の有機溶剤を系外に除去(ストリッ
ピング)する工程、或いは貯蔵時のポリエステル樹脂水
分散体の安定性及びアミノ樹脂等を添加した際の混合安
定性、更には水系塗料組成物としての優れた貯蔵安定性
をも得ることができる。本発明でいう保護コロイド作用
を有する化合物(以下単に、保護コロイド)とは、水媒
体中の樹脂微粒子の表面に吸着し、所謂、「混合効
果」、「浸透圧効果」、或いは「容積制限効果」と呼ば
れる安定化効果を示して樹脂微粒子間の凝集を防ぐ作用
を有するものであり、ポリビニルアルコール、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニ
ルピロリドン、ポリアクリル酸、アクリル酸及び/又は
メタクリル酸を一成分とするビニル単量体の重合物、ポ
リイタコン酸、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、膨
潤性雲母等を例示することができる。かかる化合物は水
溶性、或いは、塩基性化合物で部分的に中和することに
よって水溶化するが、形成される塗膜の耐水性を損なわ
ないためには、該塩基性化合物はアンモニア及び/又は
前記の有機アミン化合物でなければならない。また、少
量添加で保護コロイドとしての作用を発現し、形成され
る塗膜の耐水性、耐薬品性等を損なわないためには、該
保護コロイドの数平均分子量は2,000以上でなけれ
ばならず、2,500以上、更には3,000以上が好
ましい。かかる保護コロイドは、ポリエステル樹脂に対
して3重量%以下、更に好ましくは2重量%以下で使用
すれば、形成される塗膜の諸性能を低下させること無
く、上述の各種安定性を著しく向上させることができ
る。また、かかる保護コロイドを使用することにより、
ポリエステル樹脂の酸価及び前記有機溶剤の含有量を低
減できることから、これをポリエステル樹脂に対して
0.01〜3重量%、更には0.03〜2重量%の範囲
で使用することは好ましい態様である。
【0027】(ポリエステル樹脂水分散体の製造方法)
本発明の水系塗料組成物の製造に際しては、まずポリエ
ステル樹脂水分散体を製造することが望ましいが、この
ポリエステル樹脂水分散体を得る方法としては、各種の
公知の方法が採用され、特に以下の方法が次の理由から
推奨される。すなわち、1)芳香族多塩基酸成分、特に
テレフタル酸成分の含有率が高く、比較的高分子量のポ
リエステル樹脂であっても、特殊なモノマー成分や、塗
膜の乾燥、焼付け後にもイオン性基が残存するような構
造をポリエステル樹脂中に一切、導入せず、しかも、界
面活性剤のような低分子量の親水性化合物を外部添加し
ないでも水性化でき、2)有機溶剤の含有量を十分に低
減でき、しかも、ストリッピングしなくてもこれを達成
することができ、更に、3)高固形分濃度であっても貯
蔵安定性及びアミノ樹脂等の他成分を添加する際の混合
安定性に極めて優れたポリエステル樹脂水分散体を、
4)特殊な設備を使用せず、しかも比較的単純な工程で
安定した品質で生産できる製造方法である。
【0028】本発明で特に推奨されるポリエステル樹脂
水分散体の製造方法は、具体的には、粉末ないし粒状の
ポリエステル樹脂を室温付近で水媒体に混合・粗分散さ
せる分散工程と、これを撹拌しながら決められた温度ま
で加熱する加熱工程と、ポリエステル樹脂のガラス転移
温度もしくは60℃のうちの高い方の温度〜90℃で所
定の条件で撹拌して該ポリエステルを微粒子化する水性
化工程と、これを40℃以下まで冷却する冷却工程とい
う4工程から実質的に構成されており、これらの工程が
連続で実施される。処理装置は、槽内に投入された水媒
体と樹脂粉末ないしは粒状物の混合物を適度に撹拌で
き、槽内を60〜90℃に加熱できればよく、固/液撹
拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置を
使用することができる。かかる装置として、プロペラミ
キサー、タービンミキサーのような一軸の撹拌機、ター
ビン・ステータ型高速回転式撹拌機(特殊機化工業
(株)製、「T.K.Homo−Mixer」「T.
K.Homo−Jettor」、IKA−MASCHI
NENBAU社製、「Ultra−Turrax」)、
高速剪断型ミキサと槽壁面を掻き取るスクレーパ付き低
速摺動型の混練パドルやアンカーミキサを併用した複合
型撹拌機(特殊機化工業(株)製、「T.K.Agi−
Homo−Mixer」、「T.K.Combimi
x」)を例示することができる。処理装置は、バッチ式
であってもよく、原料投入と処理物の取り出しを連続で
行うような連続生産式のものであってもよい。また処理
槽は密閉できるものが好ましいが、使用する有機溶剤の
沸点が100℃以上であれば開放型のものであっても作
業に支障を生じることはない。
【0029】ポリエステル樹脂水分散体を構成する成分
のうち、ポリエステル樹脂及び保護コロイドは分散工程
が終了するまでに系に添加されていなければならない
が、上述の塩基性化合物及び有機溶剤は、分散工程〜水
性化工程の任意の工程でこれを添加することができる。
ポリエステル樹脂の塊状化を防ぐ目的で実施される分散
工程は、通常、室温下での撹拌によって行われるが、次
工程の加熱工程に時間を要する場合には、槽内を加熱し
ながら分散工程を実施してもよい。その際、槽内温度が
40℃に達するまでにポリエステル樹脂粉末ないし粒状
物を水媒体に均一分散しておく必要がある。分散工程の
終点、すなわち、ポリエステル樹脂粉末ないし粒状物が
水媒体に均一分散している状態とは、T.N.Zwie
tering(Chemical Engineeri
ng Science,8巻,244頁,1958年)
が定義した「完全浮遊状態」、すなわち、粒子が一個も
槽底に1〜2秒以上留まってない状態のことであり、槽
内はこの「完全浮遊状態」を達成する完全浮遊撹拌速度
JS以上で撹拌されていることが好ましい。この状態を
保って系は加熱され、ポリエステル樹脂のガラス転移温
度もしくは60℃のうちの高い方の温度〜90℃で、通
常、15〜120分間撹拌を続けることで目標とする水
分散体を得ることができる。生成した水分散体は撹拌し
ながら40℃以下まで冷却される。後述のアミノ樹脂等
の他成分とポリエステル樹脂水分散体を混合する際は、
冷却工程が終了した時点、すなわち40℃以下で実施す
るのが好ましい。40℃を越える条件で他成分を加える
と、添加方法にも依るが、相分離を起こしたり、系が著
しく増粘する場合があり、また後述するような粒径分布
を満足しない水系塗料組成物が生成する場合がある。
【0030】(ポリエステル樹脂水分散体の粒径分布)
かかる方法にて調製されたポリエステル樹脂水分散体に
おいては、水媒体中に均一に分散しているポリエステル
樹脂微粒子の粒径分布について、次の(イ)、(ロ)及
び(ハ)の1つ以上の条件を満足することが好ましい。 (イ)水媒体中に分散しているポリエステル樹脂微粒子
の粒径分布における体積基準でのメディアン径が2μm
以下であり、かつ最大粒径が10μm を越えない。 (ロ)水媒体中に分散しているポリエステル樹脂微粒子
の、体積基準での粒径分布において、最も細粒子側に位
置する分布(山)のモード径が1μm 以下であり、かつ
ポリエステル樹脂微粒子の80%粒径が4μm を越えな
い。ここで、モード径とは、分布(山)のピークに位置
するフラクションの中央値である。また、80%粒径と
は、体積基準での粒径分布において、細粒子側より各フ
ラクションの粒子量を積算していった場合に、総積算し
た粒子量に対して80%に位置する粒径のことである。 (ハ)水媒体中に分散しているポリエステル樹脂微粒子
の粒径分布における体積基準でのメディアン径が2μm
以下であり、かつ最も細粒子側に位置する分布のモード
径が1μm 以下であり、更に下記式(1)を満足する。 log(90%粒径/10%粒径)≦1 (1) ここで、式(1)において90%(あるいは10%)粒
径とは、体積基準での粒径分布において、細粒子側より
各フラクションの粒子量を積算していった場合に、総積
算した粒子量に対して90%(あるいは10%)に位置
する粒径のことである。式(1)で表される分布の広が
りについては、0.98以下、更には0.96以下が特
に好ましい。分散粒子の粒径に関わる(イ)、(ロ)及
び(ハ)の1つ以上の条件を満足することによって、該
水分散体の優れた貯蔵安定性及び他成分との混合安定
性、そしてこれを一成分とする水系塗料組成物の貯蔵安
定性が発現する。
【0031】かかる粒径分布は、調製されたポリエステ
ル樹脂水分散体をなんら希釈することなく測定されるも
のであり、該水分散体の水媒体中に分散して存在するポ
リエステル樹脂微粒子の凝集状態をも含めた情報であ
り、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製
作所製,SALD−2000「高濃度測定システム」)
により測定可能である。
【0032】(アミノ樹脂)本発明の水系塗料組成物に
は、水系塗料組成物の硬化剤として親水性のアミノ樹脂
を使用することが必要である。アミノ樹脂は、尿素及び
/叉はメラミンにホルムアルデヒドとアルコール(RO
H)が付加縮合したものの総称である。本発明では、全
骨格構造の70モル%以上が尿素及び/又はメラミンよ
り構成されることが望ましい。このように、アミノ樹脂
の基本骨格として尿素及びメラミンが使用されることが
望ましいが、親水性を阻害しない程度、すなわち、全骨
格構造に対して30モル%未満の範囲でアセトグアナミ
ン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル等の疎水性の
骨格構造を導入してもよい。これらの疎水性の骨格構造
を30モル%以上含有すると、前記のポリエステル樹脂
水分散体との混合の際に著しく増粘したり、該水分散体
が破壊されて沈澱が生成する場合がある。また、基本骨
格を形成するこれら含アミノ化合物に対して、全アミノ
基の2倍当量のホルムアルデヒド及びアルコールを付加
縮合させる必要はなく、また、これらの反応の際にはあ
る程度の自己縮合を伴うことから、本発明でいうアミノ
樹脂とは、上記の含アミノ化合物のアミノ基が、その
まま残存しているか(−NH2 )、イミノメチロール
基(−NHCH2 OH)、イミノアルキルエーテル基
(−NHCH2 OR)、ジメチロールアミノ基{−N
(CH2 OH)2 }、部分アルキルエーテル化ジメチ
ロールアミノ基{−N(CH2 OH)CH2 OR}、
完全アルキルエーテル化ジメチロールアミノ基{−N
(CH2 OR)2 }のいずれかの構造に変換され、しか
もこれら〜が縮合して数量体〜数十量体に高分子量
化した複雑で様々な構造を含有する化合物の総称であ
る。但し、本発明ではその平均重合度は5以下でなけれ
ばならない。平均重合度が5を越えると、もはや親水性
とはいえなくなり、前記ポリエステル樹脂水分散体との
混合の際、或いはその後すぐに著しく増粘する場合があ
る。平均重合度としては1.2〜3.5更には1.2〜
3が好ましい。また、アルコール(ROH)としては、
該アミノ樹脂中のアルキルエーテル基の70モル%以
上、更には80モル%以上がメチルエーテル基であるこ
とが好ましい。その他のアルキルエーテル基としては、
エチルエーテル基、n−プロピルエーテル基、イソプロ
ピルエーテル基、n−ブチルエーテル基、イソブチルエ
ーテル基等を例示できるが、メチルエーテル基の含有率
が70モル%未満の場合には親水性が十分とはいえず、
ポリエステル樹脂水分散体との混合の際、或いはその後
すぐに著しく増粘するか、水分散体が破壊されて沈澱が
生成する場合がある。
【0033】本発明の水系塗料組成物は、上記ポリエス
テル樹脂水分散体及びアミノ樹脂を少なくとも含有し、
その固形分比が95/5〜60/40重量%であり、9
0/10〜65/35重量%、更には85/15〜70
/30重量%であることが好ましい。アミノ樹脂の固形
分比が5重量%未満の場合には、どのような乾燥、焼付
け条件を採用しても、塗膜の耐傷つき性、耐溶剤性、耐
水性は十分ではない。アミノ樹脂の固形分比が40重量
%を越える場合には、塗膜の加工性が低下する。本発明
の水系塗料組成物の樹脂固形分は特に限定されるもので
はないが、通常、15〜50重量%の範囲が好ましい。
【0034】(水系塗料組成物の製造方法)前記ポリエ
ステル樹脂水分散体に所定量のアミノ樹脂を添加し、振
とう、或いは、撹拌して塗料化することができる。なか
でも、ポリエステル樹脂水分散体を撹拌しておき、そこ
へアミノ樹脂を少量ずつ添加していくことが好ましい。
尚、アミノ樹脂の粘度が高く作業性に劣る場合は、予め
これに水や前記有機溶剤を加えて低粘度化しておくこと
ができるが、有機溶剤で希釈する場合はアミノ樹脂の含
有率が少なくとも30重量%以上、好ましくは50重量
%以上に留めるべきである。30重量%に達しない場
合、後述の粒径分布を満足できない場合が発生し、水系
塗料組成物の安定性に劣る。また、振とう、撹拌の方法
は特に限定されるものではない。
【0035】本発明の水系塗料組成物は、必要に応じて
硬化助剤として有機アミン化合物でブロックした酸触
媒、例えば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸等を樹脂固形分に対して0. 01〜3重量
%添加してもよい。また、同様にレベリング剤、消泡
剤、ワキ防止剤、顔料分散剤等の各種添加剤を添加して
もよい。また酸化チタンや亜鉛華、カーボンブラック等
の顔料や染料を添加し、塗料化することもできる。更
に、本発明ではより一層の塗膜の耐傷付き性を確保する
目的で、塗料の貯蔵安定性を損なわない範囲で前述の滑
剤を添加してもよい。
【0036】(水系塗料組成物の樹脂微粒子の粒径分
布)かかる方法にて調製された水系塗料組成物において
は、水媒体中に均一に分散している樹脂微粒子の粒径分
布について、次の(a)、(b)及び(c)の1つ以上
の条件を満足することが好ましい。 (a)水媒体中に分散している樹脂微粒子の粒径分布に
おける体積基準でのメディアン径が2μm 以下であり、
かつ最大粒径が10μm を越えない。 (b)水媒体中に分散している樹脂微粒子の体積基準で
の粒径分布において、最も細粒子側に位置する分布のモ
ード径が1μm 以下であり、かつ樹脂微粒子の80%粒
径が4μm を越えない。 (c)水媒体中に分散している樹脂微粒子の粒径分布に
おける体積基準でのメディアン径が2μm 以下であり、
かつ最も細粒子側に位置する分布のモード径が1μm 以
下であり、更に下記式(1)を満足する。 log(90%粒径/10%粒径)≦1 (1) 分散粒子の粒径分布に関わる(a)、(b)及び(c)
の1つ以上の条件を満足することによって、該水系塗料
組成物の優れた貯蔵安定性が発現する。
【0037】メディアン径は0.3〜2μm 、更には
0.3〜1.8μm が好ましい。最大粒径は8μm 以
下、更には7μm 以下が好ましい。
【0038】最も細粒子側に位置する分布のモード径は
0.05〜1μm 、更には0.08〜1μm が好まし
い。80%粒径は3.8μm 以下、更には3.5μm 以
下が好ましい。
【0039】メディアン径は0.3〜2μm 、更には
0.3〜1.8μm が好ましい。最も細粒子側に位置す
る分布のモード径は0.05〜1μm 、更には0.08
〜1μm が好ましい。また式(1)で表される分布の広
がりは0.98以下、更には0.96以下が特に好まし
い。
【0040】かかる粒径分布は、上述のポリエステル樹
脂水分散体と同様に、調製された水系塗料組成物をなん
ら希釈することなく測定されるものであり、該水系塗料
組成物中に分散して存在する樹脂微粒子の凝集状態をも
含めた情報であり、該水系塗料組成物が酸化チタンや亜
鉛華のような無機粒子を含有する場合は、遠心分離等の
適当な方法によりこれを除去して測定することができ
る。
【0041】本発明は、酸成分として芳香族多塩基酸、
特にテレフタル酸の含有率が高く、しかも重量平均分子
量が9,000以上、又は相対粘度が1.20以上の高
分子量のポリエステル樹脂を高固形分濃度で水媒体中に
分散した水分散体と特定のアミノ樹脂とが容易に配合で
き、しかも優れた貯蔵安定性を有する水系塗料組成物を
提供できるが、更には、該水系塗料組成物から形成され
る焼付け塗膜が、優れた金属板への密着性、加工性、耐
水性、耐薬品性、耐候性等を兼ね備えているだけでな
く、滑剤を添加しなくても塗膜の耐傷付き性にも優れて
いる。
【0042】本発明における水系塗料組成物において
は、水媒体中に分散している樹脂微粒子の一次粒子とし
ての粒径分布だけでなく、一次粒子の凝集状態及びその
量も、水系塗料組成物の貯蔵安定性に大きく影響を及ぼ
すので、この凝集状態を高度に制御することにより、塗
料組成物の貯蔵安定性を著しく改善することができる。
【0043】ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸とし
て芳香族多塩基酸、特にテレフタル酸の含有率が高く、
しかも重量平均分子量が9,000以上、又は相対粘度
が1.20以上であるポリエステル樹脂と前記のアミノ
樹脂とを適量配合して成る塗料組成物より形成される焼
付け塗膜は、塗膜性能に顕著に優れており、特別な添加
剤等を使用することなく、優れた塗膜の加工性や硬度を
発現する塗膜を形成できることは非常に画期的なことで
あり、更に、耐傷付き性に優れることは予測の域を遥か
に越えものである。本発明の水系塗料組成物から形成さ
れる塗膜の耐傷付き性が著しく優れる理由は十分には理
解されていないが、塗膜が十分に硬く、しかも耐水性や
耐薬品性が優れることからも伺えるように、ポリエステ
ル樹脂とアミノ樹脂とがミクロに相溶して適度な架橋構
造を形成しているためと考えられる。
【0044】
【実施例】以下に実施例によって本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。なお、実施例中に単に「部」とあるのは「重量
部」を意味する。各分析項目は以下の方法に従って行っ
た。
【0045】(1)ポリエステル樹脂の組成1 H−NMR分析(バリアン社製,300MHz )より求
めた。また、 1H−NMRスペクトル上に帰属・定量可
能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂につ
いては、封管中230℃で3時間メタノール分解を行っ
た後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析を行
った。
【0046】(2)ポリエステル樹脂の重量平均分子
量、相対粘度 前述したように、GPC分析(島津製作所製,溶媒:テ
トラヒドロフラン,紫外−可視分光光度計、検出波長2
54nmにより検出,ポリスチレン換算)より求めた。ま
た、相対粘度はポリエステル樹脂をフェノール/1,1,2,
2 −テトラクロロエタンの等重量混合溶媒に1重量%の
濃度で溶解し、ウベローデ粘度管を用いて、20℃で測
定した。
【0047】(3)ポリエステル樹脂の酸価 ポリエステル樹脂1gを30mlのクロロホルム又はジメ
チルホルムアミド(DMF)に溶解し、フェノールフタ
レインを指示薬としてKOHで滴定を行い、中和に消費
されたKOHのmg数を酸価として求めた。
【0048】(4)ポリエステル樹脂のガラス転移温度 ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差
走査熱量測定)装置(パーキン エルマー社製 DSC
7)を用いて昇温速度10℃/min の条件で測定を行
い、求めた。
【0049】(5)ポリエステル樹脂水分散体の固形分
濃度 調整された水分散体を適量秤量し、これを該水分散体中
に含まれる有機溶剤の沸点以上の温度で残存物(固形
分)の重量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求
めた。
【0050】(6)ポリエステル樹脂水分散体及び水系
塗料組成物の粒径分布 ポリエステル樹脂水分散体、或は水系塗料組成物をなん
ら希釈すること無く、2枚のガラス製のプレパラートに
挟んで均一な薄層として供し、レーザー回折式粒度分布
測定装置(島津製作所製,SALD−2000「高濃度
測定システム」)により、20℃で粒径分布を分析し
た。得られた光強度曲線から粒径分布を求める演算処理
においては、屈折率1.6−0.1iを採用し、得られ
た結果は、分布関数への近似やスムージング処理等のい
かなる処理も行わなかった。また、最大粒径は、最大粒
径フラクションの上限値を代表値とした。尚、顔料とし
て酸化チタンを含む水系塗料組成物については、遠心分
離機を用い、5,000〜12,000rpm で1〜20
分の遠心分離を行い、固形分に対する酸化チタンの含有
率が1重量%未満でかつ、酸化チタン以外の固形分濃度
が計算値の98%以上を満たす上澄液を調整し、これを
分析に供した。ここで、酸化チタンの含有率は、上澄液
から上記(5)に従って固形分を得た後に、電気炉(最
高500℃)中で注意深く灰化させ、灰分の重量を測定
して算出した。
【0051】(7)ポリエステル樹脂水分散体の粘度 コーン・プレート型の回転粘度計((株)レオロジ製,
MR−3ソリキッドメータ)を用い、剪断速度10 sec
-1、30℃での粘度を測定した。但し、水分散体のチキ
ソ性を考慮して、回転を始めて定常状態になった時点で
の粘度を求めた。
【0052】(8)水系塗料組成物の貯蔵安定性 調整した塗料組成物について、その塗料粘度(秒で表
現)をフォードカップ#4を用いて、調整時及び室温で
1カ月貯蔵後に25℃の条件下で測定し、以下の基準に
従って評価した。 ○:外観の変化が認められず、調整時及び貯蔵後の塗料
粘度の差が10秒以内におさまっている。 △:外観の変化は認められないが、調整時及び貯蔵後の
塗料粘度の差が10秒を越えてしまう。 ×:相分離、沈殿、固化等の明らかな外観変化が認めら
れる。 尚、酸化チタンを配合した塗料組成物について○と評価
されたものについては、更にJIS K−5400に従
い、粒ゲージ(線条法)を用いて10μm 以上の粗大粒
子の有無を調べ、以下の基準に従い評価を行った。 ◎:10μm 以上の粗大粒子が認められない。 ○:10μm 以上の粗大粒子が認められる。
【0053】(9)塗膜の光沢 目視により判断した。なお、酸化チタンを添加した塗膜
の光沢は、グロスメーター(堀場製作所、グロスチェッ
カIG−310)で60゜反射率を測定した。
【0054】(10)塗膜の加工性(可撓性) 塗装鋼板を塗装面が外面になるように、しかも折り曲げ
部に同じ板厚のものを挟んだ状態で折り曲げ、屈曲部に
発生する割れを40倍の蛍光顕微鏡で観察し判定した。
表3〜5中の「nT」とは、折り曲げ部に同じ板厚のも
のをn枚挟んだ場合でも屈曲部に割れを発生しない最少
枚数を意味する。
【0055】(11)塗膜の硬度(鉛筆硬度) 鋼板の塗面をJIS S−6006に規定された高級鉛
筆を用い、JIS K−5400に従って測定した。
【0056】(12)塗膜の耐傷付き性 塗装鋼板の塗装面に、市販のティン・フリー・スチール
板(TFS0.2mm厚、テンパーT4)を載せ、50g
/cm2 の荷重を加えながらティン・フリー・スチール板
の圧延方向に対して直角方向に室温でそれぞれ往復50
回擦り合せた。そして、以下の基準に従って評価を行っ
た。 ○:塗膜に全く損傷が認められない。 △:塗膜表面に傷が認められるが金属が露出するには至
っていない。 ×:金属が露出している。
【0057】(13)塗膜の耐溶剤性 キシレンを含浸させたガーゼを用いて塗膜をこすり、下
地が現れるまでの往復回数を記録した。
【0058】(14)塗膜の耐熱水性 塗装鋼板を60℃の熱水浴中で1時間処理し、塗膜の表
面状態を目視にて判断した。なお、酸化チタンを配合し
た塗膜は次式で表される光沢保持率(%)を求めた。 光沢保持率(%)=(処理後の光沢/処理前の光沢)×
100
【0059】(ポリエステル樹脂の製造例) ポリエステル樹脂A−1 テレフタル酸1,578g、イソフタル酸83g、エチ
レングリコール374g、ネオペンチルグリコール73
0gからなる混合物をオートクレープ中で、260℃で
2.5時間加熱してエステル化反応を行った。次いで二
酸化ゲルマニウムを触媒として0.262g添加し、系
の温度を30分で280℃に昇温し、系の圧力を徐々に
減じて1時間後に0.1Torrとした。この条件下で更に
重縮合反応を続け、1.5時間後に系を窒素ガスで常圧
にし、系の温度を下げ、260℃になったところでイソ
フタル酸50g、無水トリメリット酸38gを添加し、
255℃で30分撹拌し、シート状に払い出した。そし
てこれを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉
砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画をポリエステル
樹脂A−1として得た。ポリエステル樹脂A−1の分析
結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】ポリエステル樹脂A−2〜A−6 ポエステル樹脂A−1と同様な方法で種々のポリエステ
ル樹脂A−2〜A−6を製造した。各樹脂の分析結果を
表1に示す。
【0062】ポリエステル樹脂A−7 テレフタル酸1,973g,イソフタル酸104g、エ
チレングリコール430g、ネオペンチルグリコール9
80gからなる混合物をオートクレープ中で、260℃
で2.5時間加熱してエステル化反応を行った。次いで
二酸化ゲルマニウム0.329gを添加し、系の温度を
30分で280℃に昇温し、その後、系の圧力を徐々に
減じて1時間後に0.1Torrとした。この条件下で更に
重縮合反応を続け、1.5時間後に系を窒素ガスで常圧
に戻し、系の温度を下げ、250℃になったところでネ
オペンチルグリコール52gを添加し、245℃で30
分撹拌を続け、更に系を200℃まで降温し、無水フタ
ル酸56gを添加して10分反応をさせた後に、ポリエ
ステル樹脂A−1と同様な方法で粒状のポリエステル樹
脂A−7を得た。樹脂の分析結果を表1に示す。
【0063】ポリエステル樹脂A−8 テレフタル酸1,417g、イソフタル酸244g、エ
チレングリコール344g、ネオペンチルグリコール7
84gからなる混合物をオートクレープ中で、260℃
で2.5時間加熱してエステル化反応を行った。次いで
二酸化ゲルマニウム0.273gを添加し、系の温度を
30分で280℃に昇温し、その後、系の圧力を徐々に
減じて1時間後に0.1Torrとした。この条件下で更に
重縮合反応を続け、1.5時間後に系を窒素ガスで常圧
に戻し、系の温度を下げ、250℃になったところで無
水トリメリット酸57.5gを添加し、245℃で10
分間攪拌を続け(第1段階の解重合)、更に系を210
℃まで降温し、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン31.5gを添加して60分間反応
させた(第2段階の解重合)。そして、ポリエステル樹
脂A−1と同様な方法で粒状のポリエステル樹脂A−8
を得た。樹脂の分析結果を表1に示す。
【0064】ポリエステル樹脂A−9 ポリエステル樹脂A−8と同様に、酸無水物を添加して
第1段階の解重合を行った後、多価アルコール成分を添
加して第2段階の解重合を行い、ポリエステル樹脂A−
9を製造した。解重合剤の種類、添加量及び得られた樹
脂の分析結果を表1に示す。
【0065】(ポリエステル樹脂水分散体の製造例)以
下の方法によってポリエステル樹脂水分散体を得た。水
性化条件及び得られたポリエステル樹脂水分散体の分析
結果を表2に示す。 水性化条件X:ジャケット付きの2Lガラス容器を備
え、しかも装着時にはこれが密閉状態となる卓上型ホモ
ディスパー(特殊機化工業(株)製,TKロボミック
ス)を用いて、ガラス容器に、ポリエステル樹脂 30
0g、エチレングリコール−n−ブチルエーテル80
g、ポリビニルアルコール(ユニチカ(株)「ユニチカ
ポバール」050G)0.05重量%水溶液600g及
び該ポリエステル樹脂中に含まれる全カルボキシル基量
の1.2倍当量に相当するN,N−ジメチルエタノール
アミン(以下、DMEA)を投入し、6,000rpm で
撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認め
られず、完全浮遊状態となっていることが確認された。
そこでこの状態を保った10分後にジャケットに熱水を
通し、加熱した。そして容器内温度が68℃に達したと
ころで撹拌を7,000rpm とし、容器内温度を70〜
72℃に保って更に20分撹拌し、乳白色の均一な水分
散体を得た。そしてジャケット内に冷水を流して350
0rpm で撹拌しながら室温まで冷却し、ステンレス製フ
ィルター(635メッシュ、平織)を用いて濾過した。
【0066】水性化条件Y:有機溶剤としてn−ブタノ
ール 50g、保護コロイド水溶液としてポリイタコン
酸(磐田化学工業(株)製、PIA−728)の0.0
5重量%水溶液600gを用いる以外は水性化条件Xと
同様の操作で水性化を行った。
【0067】水性化条件Z:DMAEの添加量をポリエ
ステル樹脂中の全カルボキシル基量に対して1.5倍当
量とし、PVA水溶液の濃度を0.3重量%とする以外
は水性化条件Xと全く同様の操作で水性化を行った。
【0068】
【表2】
【0069】(水系塗料組成物の製造及び塗膜の形成,
評価) 実施例1 ポリエステル樹脂水分散体B−1(固形分濃度30.3
%)を撹拌しながら、前記B−1の固形分80部に対し
てメラミン樹脂イソブタノール溶液(三井サイテック
(株)製、サイメル325,固形分濃度80%)を固形
分で20部を徐々に添加し、室温で30分間撹拌して水
系塗料組成物を得た。次いで、これを市販のTFS
(0.2mm厚、テンパーT4)上に塗布し、70℃で3
0秒間予備乾燥を行った後、170℃で10分間焼付け
を行い、膜厚約10μm の硬化塗膜を得た。得られた水
系塗料組成物の分析結果及び硬化塗膜の評価結果を表3
に示す。
【0070】
【表3】
【0071】実施例2〜11及び比較例1〜5 各種ポリエステル樹脂水分散体およびアミノ樹脂溶液を
用いて、実施例1と同様の方法にて塗料化し、実施例1
と同様の操作で硬化塗膜を得た。得られた水系塗料組成
物の分析結果及び硬化塗膜の評価結果を表3及び4に示
す。尚、実施例11においては、アミノ樹脂溶液として
メラミン樹脂イソプロパノール/イソブタノール溶液で
ある三井サイテック(株)製、サイメル370(固形分
濃度88%)を用いた。
【0072】
【表4】
【0073】比較例6 ポリエステル樹脂水分散体B−9を用いる以外は実施例
1と同様の方法にて塗料化を試みたところ、アミノ樹脂
を添加後、攪拌中に凝集物が発生し、攪拌を止めると沈
殿となり、経時でその量が増えていくのが観察された。
【0074】実施例12及び比較例7 アミノ樹脂溶液として、前述のサイメル325とベンゾ
グアナミン樹脂エチレングリコールブチルエーテル溶液
(三井サイテック(株)製マイコート106(固形分濃
度77%)を固形分重量比で、75/25(実施例1
2)、或いは、30/70(比較例7)混合したもの
を、攪拌しているポリエステル樹脂水分散体B−12に
徐々に滴下し、その後、室温で1時間攪拌を続けて塗料
化を行った。得られた水系塗料組成物を用い、実施例1
と同様にして硬化塗膜を得た。得られた水系塗料組成物
の分析結果及び硬化塗膜の評価結果を表3及び4に示
す。
【0075】実施例13 ポリエステル樹脂水分散体B−1 85部(固形分)に
対して、前記サイメル325,15部(固形分)、酸化
チタン(石原産業(株)製,タイペークCR−50)9
0部、ガラスビーズ200部を配合したものをペイント
シェーカーで1時間、振とう分散した。次いでガラスビ
ーズを除去し、前記TFS上にこれを塗布、170℃で
10分間の焼付けを行い、乾燥膜厚10μm の白色塗膜
を得た。得られた白色塗料組成物の分析結果及び硬化塗
膜の評価結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】実施例14〜15 各種ポリエステル樹脂水分散体を用いる以外は、実施例
13と同様に塗料化、塗装を行った。得られた白色塗料
組成物の分析結果及び硬化塗膜の評価結果を表5に示
す。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、酸成分として芳香族多
塩基酸の含有率が高く、しかも重量平均分子量が9,0
00以上、又は相対粘度が1.20以上の高分子量のポ
リエステル樹脂とアミノ樹脂とを主成分とする優れた貯
蔵安定性を有する水系塗料組成物を提供することがで
き、しかも、該水系塗料組成物から形成される焼付け塗
膜が、優れた金属板への密着性、加工性、耐水性、耐薬
品性、耐候性等を兼ね備えているだけでなく、滑剤を添
加しなくても塗膜の耐傷付き性にも優れることから、特
に缶用塗料やPCM用塗料として好適である。更に、本
発明によれば、無機粒子を含有しない水系塗料組成物か
ら形成される塗膜であっても、優れた加工性を保持しな
がら優れた鉛筆硬度を得ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 徐 静華 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 畑 喜代美 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)〜(E)成分より成るポリエ
    ステル樹脂水分散体及び平均重合度5以下の親水性アミ
    ノ樹脂を少なくとも含有し、その固形分比が95/5〜
    60/40重量%であることを特徴とする水系塗料組成
    物。 (A)多塩基酸成分と多価アルコール成分より実質的に
    構成され、多塩基酸成分の50モル%以上が芳香族多塩
    基酸であり、多価アルコール成分が主としてエチレング
    リコール及び/又はネオペンチルグリコールで構成され
    ており、酸価が10〜40mgKOH/gであり、重量平
    均分子量が9,000以上又は相対粘度が1.20以上
    であるポリエステル樹脂 (B)アンモニア及び/又は沸点が250℃以下の有機
    アミン化合物 (C)ポリエステル樹脂に対して可塑化能力を有する両
    親媒性の有機溶剤が水系塗料組成物に対して3〜12重
    量% (D)保護コロイド作用を有する化合物がポリエステル
    樹脂に対して0.01〜3重量% (E)水
  2. 【請求項2】 水媒体中に分散して存在する凝集状態の
    ものも含めた樹脂微粒子の粒径分布が、下記(a)、
    (b)及び(c)のうちの1つ以上の条件を満足するも
    のであることを特徴とする請求項1記載の水系塗料組成
    物。 (a)水媒体中に分散している樹脂微粒子の粒径分布に
    おける体積基準でのメディアン径が2μm 以下であり、
    かつ最大粒径が10μm を越えない。 (b)水媒体中に分散している樹脂微粒子の体積基準で
    の粒径分布において、最も細粒子側に位置する分布のモ
    ード径が1μm 以下であり、かつ80%粒径が4μm を
    越えない。 (c)水媒体中に分散している樹脂微粒子の体積基準で
    のメディアン径が2μm以下であり、かつ最も細粒子側
    に位置する分布のモード径が1μm 以下であり、更に下
    式(1)を満足する。 log(90%粒径/10%粒径)≦1 (1)
  3. 【請求項3】 ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸成
    分の65モル%以上がテレフタル酸である請求項1又は
    2記載の水系塗料組成物。
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