JP4253192B2 - ミシンの針板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミシンの針板に係り、特に糸切り装置を備えるミシンに用いられる針板に関する。
【0002】
【従来の技術】
糸切り装置110を備える従来のミシンについて説明する。このミシンは、図7に示すように、縫い針101が挿入される針穴102を備える針板と、針板の下方に設けられ,上糸及び下糸の切断を行う糸切り装置110と、糸切り装置110の下方に設けられ,上糸によるループに下糸を挿通させる釜機構103とを備えている。
なお、縫製時には、上糸Uは図示しないミシンの上方に位置する上糸供給源から、上糸Uの送りに対して調節可能な摩擦力を加えて張力を付与する図示しない糸調子及び所定のタイミングで上糸Uの引き上げを行う図示しない天秤を介して縫い針に至り、さらに、縫い針の糸通し穴に通されて布地に至る。一方、下糸Dは、釜機構103の内部に位置する図示しないボビンから繰り出され、針穴102から針板の上方の布地に至るようになっている。この上糸及び下糸は縫い針の上下動と釜機構との協働により交絡され、当該布地に縫い目を形成する。
【0003】
また、上記糸切り装置110は、図9に示すように、往復回動する動メス111と、動メス111の往動方向の回動により運ばれる上糸が係止される糸たぐり部材112と、動メス111の復動方向の回動により運ばれる上糸と下糸とを切断する固定メス113とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
なお、上糸の縫い針101から釜機構103に至るまでの部分を上流側部分U1とし、釜機構103から布地に至るまでの部分を下流側部分U2とする。そして、動メス111は、その往動により上糸の上流側部分U1を糸たぐり部材112に係止し、復動により上糸の下流側部分と下糸Dとを固定メスに運ぶ。
【0004】
前述の図7と図8とに基づいて、縫製完了後の上糸の切断動作を説明する。縫製時には、釜機構103により捕捉された上糸ループに対して、釜機構の中釜をくぐらせる動作が行われる。中釜からは下糸が繰り出されることから、中釜をくぐらせることで上糸ループに下糸が挿通される。上糸の切断動作は、上記釜機構の動作の途中の過程から開始される。
即ち、中釜のほぼ半分までを上糸ループにくぐらせると、上糸の上流側部分U1は、中釜に対して一方の面側に位置し、上糸の下流側部分U2及び下糸Dは、中釜に対して他方の面側に位置する状態となる(図7(A))。
そして、上述のように並んだ上糸U1,U2及び下糸Dに対して動メス111が作動し、往動方向(図7における時計方向)の回動を行い、動メス111の往動方向側に向けられた尖部111cで上記上糸U1,U2及び下糸Dを選り分け、凹部111aにより上糸U1のみを捕捉して往動方向に運ぶ(図7(B))。
さらに、動メス111は、糸たぐり部材112まで上糸U1を運び、糸たぐり部材112に上糸U1を係止する(図7(C))。
その後、上糸ループに対して中釜がくぐる状態が終了し、動メス111は復動方向に移動方向が切り替わり、動メス111の復動方向に設けられた凹部111bにより上糸U2及び下糸Dを捕捉する(図8(A))。かかる時点で、上糸は糸調子による張力付与状態を緩められ、下糸は当初から低張力状態であるため、動メス111によりその復動方向に容易に運ばれる。
そして、復動方向の移動先に設けられた固定メス113と動メス111との間に上糸U2及び下糸Dが挟まれて、これらの切断が行われる(図8(B))。
なお、図7,8にあってはその説明を明確に行うために上糸U1とU2との間隔は実際より離間して図示しているが、これらは実際には釜機構103の構造上、より近接している。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−258196号公報(第5図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例は、糸切り装置110の動メス111により上糸の上流側部分U1を選別する場合に、糸切り装置110の上方に位置する針穴102の穴幅に応じて上糸が穴幅方向に振れ、位置が安定しない為、U1を選別できなかったり、動メス111の往動方向側凹部111aから外れて、糸たぐり部材112に係止できない場合があった。
糸たぐり部材112は、切断後の縫い針101に残る上糸の長さを稼ぐために設けられており、上糸が係止されない場合、縫い針101の残り長さが極端に短くなる。すると、次の縫製の際に縫い針から上糸が脱離し、縫製ミスを生じ易くなる、という不都合があった。
【0007】
これを防止するためには、糸たぐり部材112を針落ち位置Oのより近傍に配置するか動メス111の往動方向側に設けられた凹部111aの深さdを深く形成するという方法が考えられるが(図9参照)、前者の場合は、結局のところ、縫い針101の上糸の残り長さを短くしてしまうという問題を生じてしまう。
【0008】
また、後者の場合には、凹部111aの深さdだけ往動方向に余分に動メス111を回動させなければならず、その回動スペースを確保する都合上、同方向についての糸切り装置110の大型化を生じてしまう、という問題があった。
糸切り装置110は、釜機構の釜軸の軸線方向(以下、釜軸方向とする)に沿って並ぶ上糸U1,U2,下糸Dとの中から上糸U1のみを選別する機能上、動メス111の回動方向は釜軸方向に直交する方向に沿わせる必要があり、一方、釜機構は一般に縫い針101の駆動モータから分岐して動力を付与されることから釜軸方向はミシンベッドの長手方向に沿っている場合が多い。
その場合、糸切り装置が動メスの回動方向に大型化を生じると、ミシンベッドがその長手方向に直交する方向(幅方向)に大型化を生じることとなる。かかる場合、ミシンベッドの先端部が小径の筒状とされるシリンダベッドミシンのように、ミシンベッドの幅が小さいミシンについては、特に、動メスの凹部を深くするという方法を採ることはできず、縫い針に残る糸端長さを十分に確保することができなかった。従って、切断後、縫い針から上糸が外れてしまうという問題を解決することはできなかった。
【0009】
さらに、上記従来例のもう一つの問題点を図10に基づいて説明する。かかる図10は前述した図8(B)の状態を、釜軸に沿った方向から見た説明図である。なお、前述の動作説明図7,8はわかりやすく図示する都合上、各構成の上下間隔を広く表しているが、実際は、図10に示すように、各構成は接近する配置が採られている。
図10によれば、上糸Uは各構成に対して随所で著しく屈曲し、その結果、随所で摺動摩擦を生じて上糸の供給源側から上糸を十分に引き出すことができず、切断後の縫い針101における上糸の残り長さが十分に確保することができないという不都合を生じていた。
【0010】
また、針板の下方となる面と針穴の内面との境界は、曲率半径を大きな曲面形状とすることが縫製の仕上がりに不適であることから十分に摩擦低減を図られておらず、糸たぐり部材に係止された上糸は針穴内面の下端部において高い摩擦力を受けて、切断後の縫い針101における上糸の残り長さが十分に確保することができないという不都合を生じていた。
【0011】
本発明は、糸切り装置による上糸切断後の縫い針における上糸の残り長さを充分に確保すると共に確実に糸切りを行うことをその目的とする。
また、より望ましくは、縫い針の上糸の残り長さを確保しつつも糸切り装置の大型化を防止することを他の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上糸及び下糸の切断を行う糸切り装置と、糸切り装置の下方に設けられ,上糸によるループに下糸を挿通させる釜機構と、を備えると共に、糸切り装置は、略水平方向に沿った往復回動動作の往動により釜機構に対して上流側となる上糸を選別し,復動により釜機構に対して下流側となる上糸を切断位置に運ぶ動メスと、当該動メスに選別された上流側となる上糸を係止する糸たぐり部材とを備えるミシンのミシンベッド上面に設けられる針板であって、縫い針が挿入される針穴を備えると共に、その下方側となる面に、針穴の動メスの往動方向側の端部から同方向にほぼ沿うように針穴よりも幅が狭い糸案内溝を設ける、という構成を採っている。
【0013】
上記記載中「往動」とは、往復回動する動メスの一方の方向への回動動作をいい、「復動」とは、往復回動する動メスの他方の方向への回動動作をいう。
上記構成では、縫い針が針穴を通って下方に位置するときに、釜機構が上糸を捕捉し、ループを形成する。そして、上糸が釜機構に係合すると、釜機構の上方において、釜機構に対して上流側となる上糸と下流側となる上糸とが並んだ状態となる。これらに対して、糸切り装置の動メスがその往動により釜に対して上流側となる上糸のみを選別して捕捉し、糸たぐり部材まで運ぶ。
【0014】
このとき、上流側の上糸は上下方向に沿った状態から動メスの往動方向側に傾斜し、針穴に接触する部分では、当該針穴の往動方向側の端部において当該往動方向に向かって形成された糸案内溝に入り込んだ状態となる。
かかる糸案内溝は、少なくとも針穴の同方向幅よりも狭ければよいが、例えば、糸が入り込むことができ且つこの溝に沿って糸が摺動可能であって可能な限り狭いことが望ましい。
そして、このように糸案内溝に入り込んだ状態で上糸は糸たぐり部材まで運ばれるために、針穴の幅の範囲で両側に振れる状態の発生が効果的に抑制される。また、上糸が糸案内溝に入り込んだ状態は、切断が終了するまで維持されるので、糸たぐり部材に係止された状態以降も継続して上糸の振れは抑制される。
このため、上糸の動メスからの不慮の脱離が効果的に抑制されることとなり、縫い針における切断後の上糸の残り長さが適正に確保される。
【0015】
また、上糸が糸案内溝に入り込んだ場合、針穴から糸たぐり部材に渡る上糸の傾斜角度及び糸たぐり部材の前後における上糸のなす角度の屈曲の度合いが緩和され、動メスの移動による上糸の引き出し動作が円滑に行われることとなる。従って、上糸は動メスの移動により円滑に送られ、縫い針における切断後の上糸の残り長さが適正に確保される。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、針穴の内面と針板の下方側となる面との境界とを曲面で連ねると共に,針穴の内面と糸案内溝の底面との境界を曲面で連ね、針穴の内面と針板の下方側となる面と間の曲面よりも,針穴の内面と糸案内溝の底面と間の曲面の曲率半径を大きくする、という構成を採っている。
【0017】
上記構成では、請求項1記載の発明と同様の作用を奏すると共に、上糸が糸たぐり部材に係止された状態において、上糸は糸案内溝内に入り込むので、針穴内面と針板の下方となる面との境界部に接することがなく、より曲率半径の大きな針穴内面と糸案内溝の底面との境界に設けた曲面に接する状態となるので、動メスの移動による上糸の送り動作が円滑に行われることとなる。従って、上糸は動メスの移動により円滑に送られ、縫い針における切断後の上糸の残り長さが適正に確保される。
なお、かかる場合、糸案内溝は通常の縫製に際しては、上糸が入り込むような配置ではないことから、上述のように曲率半径の大きな曲面を設けたことによる縫製に対する影響を及ぼすことはない。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。図2は本発明の実施形態たるシリンダベッドミシン10の斜視図である。かかるシリンダベッドミシン10は、その外形的な概略が、その下部に位置するミシンベッド11と、ミシンベッド11の一端部から上方に立ち上げられたミシン胴部12と、ミシン胴部12の上方からミシンベッド11に沿うように延設されたミシンアーム13とから構成されている。
そして、ミシンベッド11は、ミシン胴部12とは反対側の端部にミシンベッド11の長手方向に沿って延設された略筒状のシリンダ形状部14が設けられている。
なお、ミシン10の構成を説明するにあたって、後述する縫い針15の上下動方向をZ軸方向とし、これと直交する方向であってミシンベッド11及びミシンアーム13の長手方向をY軸方向とし、Z軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をX軸方向とする。
【0019】
シリンダベッドミシン10は、ミシンアーム13の先端部に設けられ,ミシンモータ(図示略)により上下方向に往復駆動する縫い針15と、ミシンアーム13の上部に設けられ,縫い針15に上糸を供給するための図示しない上糸供給源と、この上糸供給源と縫い針15との間で上糸を所定の荷重で挟持してその送り方向の移動に所望の抵抗力を発生させる糸調子装置16と、この糸調子装置16と縫い針15との間で所定のタイミングで天秤17により上糸の引き上げを行う天秤装置と、ミシンベッド11のシリンダ形状部14の上面に設けられ,縫い針15の先端部を挿通させる針穴21が設けられた針板20と、シリンダ形状部14内であって針板20の下方に設けられ,上糸及び下糸の切断を行う糸切り装置110と、糸切り装置の下方に設けられ,上糸によるループに下糸を挿通させる釜機構103とを備えている。
【0020】
(釜機構)
図3は、針板20の下方に位置する構成をY軸方向から見た概略構成図である。 上記釜機構103は、前述した従来例の釜機構と同じ構成のものであるため、各図中では、その全体的な形状を二点鎖線でのみ示すものとし、重複する説明は省略する。
釜機構103は、シリンダ形状部14内において糸切り装置110の下方に配置され、下糸の供給源となるボビンを内部に備える中釜と、中釜の外周に回転可能に設けられ,剣先により上糸ループを捕捉する外釜と、ミシンモータの駆動力が伝達されて外釜を回転駆動する釜軸とを備えている(各構成についてはいずれも図示略)。そして、釜軸はY軸方向に沿って配設されると共にシリンダ形状部14の先端部側と同じ側の端部に中釜及び外釜が配置されている。
【0021】
中釜はその内部に位置するボビンから下糸の繰り出しを行う一方で、外釜は回転動作により剣先で捕捉した上糸ループに中釜をくぐらせる。この動作により、上糸ループに下糸が挿通された状態が形成され、その後の天秤機構による上糸の引き上げ動作により、縫い目が形成される。
【0022】
ここで、釜機構103により、上糸のループに中釜が半分くぐらされると、上糸は、中釜を挟んで折り返す状態となる。そして、上糸の中釜よりも上流側(より縫い針15に近い側)となる部分U1と、下流側(より布地の縫い目に近い側)となる部分U2とが、Y軸方向に沿って並んだ状態となる。そして、下流側の上糸U2は、上流側の上糸U1よりもシリンダ形状部14の先端側に位置する状態となる。また、このとき、下糸Dも上流側の上糸U1よりもシリンダ形状部14の先端側に位置する状態となる(図7(A)参照)。このように上糸U1,U2及び下糸DがY軸方向に沿って並んだ状態を利用して、糸切り装置110は、上流側の上糸U1のみを選別し、これ以外の切断を行うことを可能としている。
なお、上糸についてU1とU2と別符号を付しているが、これらは釜機構103の下部においてつながっている。
【0023】
(糸切り装置)
糸切り装置110を図4及び図9糸切り装置110は、前述した従来例の糸切り装置と同じ構成のものであるため、重複する説明は省略する。
糸切り装置110は、シリンダ形状部14内において、糸たぐり部材112,動メス111,固定メス113の順番でX軸方向に沿って並んで配置されている。また、動メス111は、上述の釜機構によりY軸方向に沿って並ぶ上糸U1,U2及び下糸Dから上糸U1を選別する機能上、その回動端部がほぼX軸方向に沿って回動を行う。また、動メス111は、その回動端部はシリンダ形状部14の先端側、その基端部(回動中心側)はミシン胴部12側となるように配設されている。
【0024】
そして、動メス111の上糸U1を捕捉するための凹部111aは、動メス111の往動方向F側において回動半径方向について回動端部からやや回動中心寄りの位置に形成され、上糸U2及び下糸Dを捕捉するための凹部111bは、動メス111の往動方向B側において回動端部に位置している。これにより、Y軸方向に沿って並ぶ上糸U1,U2及び下糸Dの中から最も動メス111の回動中心に近い上糸U1のみを往動方向の回動により選別することを可能としている。
【0025】
(針板)
図1(A)は針板20の要部をX軸方向(図3における左側)から見た状態を示し、図1(B)は針板20の要部をY軸方向(図1(A)における左側)から見た状態を示し、図1(C)はZ軸方向(図1(A)における上側)から見た状態を示す。
針板20は、X−Y平面に沿ってシリンダ形状部14の上部に配設される板状部21と、板状部21における縫い針15の針落ち位置の下面側に設けられた円柱状の突起部22とを備え、これらをZ軸方向に沿って貫通する針穴23が形成されている。
針穴23は、上方向又は下方向から見てX軸方向に沿った長穴状に形成されている。そして、針板20の下方側となる面に相当する突起部22の下端面上において針穴23の動メス111の往動方向F側の端部からF方向に向かって糸案内溝24が形成されている。
【0026】
糸案内溝24は、針穴23の往動方向F側の端部の内面から突起部22の側面まで貫通した状態で形成されている。かかる糸案内溝24は、糸切り装置110による糸切断動作において動メス111が上糸U1を選別して糸たぐり部材112まで押して導く際に、上糸U1を入り込ませてY軸方向の振れを防止するために形成されている。
このため、糸案内溝24は、Y軸方向の幅が針穴23よりも狭く設定されている。当該糸案内溝24のY軸方向幅は、少なくとも針穴23よりも狭いことが必須であり、上糸U1のY軸方向の振れを防止する観点から、上糸U1が入り込むことが可能であって、内部での摺動を妨げない範囲でなるべく狭く設定することが望ましい。
【0027】
また、針穴23のF方向側端部において、Y軸方向の一方(図1(A)における左側)に偏った配置で形成されている。つまり、糸切り装置110における上糸U1の選別の際に、上糸U1,U2及び下糸Dの中で上糸U1がY軸方向の同じ方向に偏って位置しており、各糸の内での上糸U1の配置と針穴23における糸案内溝24の配置とを一致させることで、円滑に上糸U1を糸案内溝24内に導くことを可能としている。
【0028】
さらに、糸案内溝24は、その底面(溝としての底面、即ち、図1(A)(B)における上面)と針穴23のF方向側端部の内面との境界を曲面形状としている。図3に示すように、針穴23の内面と突起部22の下端面との境界も曲面形状に形成されているが、針穴23の下端部の曲面の曲率半径R1よりも糸案内溝24と針穴23との境界曲面の曲率半径R2の方が大きく設定されている。糸案内溝24と針穴23との境界曲面は上糸U1が摺接して移動するため、曲率半径R2はより大きく設定することが望ましい。一例を挙げると、曲率半径R1は0.3〜0.4[mm]、曲率半径R2は2〜3[mm]に設定される。
針穴23の下端部の曲面は、その曲率半径を大きく設定すると縫製に際してその仕上がりに影響を及ぼすことからせいぜい上記範囲内に設定されるが、糸案内溝24は、縫製にあっては上糸及び下糸に影響を与えない位置に設けられていることから、十分に大きく設定することが可能である。
【0029】
(実施形態の動作説明)
シリンダベッドミシン10の糸切り動作について説明する。糸切り装置110は従来例の説明と同じ動作を行うため、前出の図7,8を参照しつつ、図3〜図5に基づいて説明する。
まず、縫製終了時において、釜機構103により捕捉された上糸ループに対して、釜機構の中釜をくぐらせる動作が行われる。そして、中釜のほぼ半分までを上糸ループにくぐらせると、上糸U1,U2及び下糸Dは、X軸方向に沿って並び、上糸U2及び下糸Dは動メス111の回動中心から遠方に、上糸U1はやや回動中心よりに配置される(図7(A))。
【0030】
上述の状態において、動メス111は往動方向F側に向かって回動し、その凹部111aが上糸U1のみを捕捉して(図7(B))、糸たぐり部材112まで運んでいく。これにより、上糸U1は糸たぐり部材112に係止される(図7(C))。
かかる上糸U1の捕捉から運ばれる過程において、図4,5に示すように、当該上糸U1は針穴23から糸案内溝24内に入り込み、当該糸案内溝24の両側の側壁に阻まれてY軸方向の振れが防止された状態で動メス111に運ばれるため、当該動メス111の往動方向側凹部111aからの不慮の脱離は効果的に防止される。
【0031】
その後、上糸ループに対して中釜がくぐる状態が終了し、動メス111は復動方向Bに移動方向が切り替わり、動メス111の凹部111bにより上糸U2及び下糸Dを捕捉する(図8(A))。かかる時点で、上糸は糸調子による張力付与状態から開放され、上糸U2及び下糸Dは動メス111により固定メス113まで運ばれて切断が行われる(図8(B))。
【0032】
上記動メス111の復動の開始から切断が行われるまでの工程において、上糸U1は糸たぐり部材112に係止されていることから動メス111の復動により張力を受け、糸供給源から上糸の繰り出しが行われ、図3に示すように、糸案内溝24の開始端部や糸たぐり部材112において摺動しつつ下流側に移動を行うことになる。
つまり、上糸U1は糸案内溝24内において針穴23の内面との境界に形成された曲面と接触するが、当該曲面は十分にその曲率半径R2が大きく設定されているため、上糸U1は円滑に摺動し供給源からの繰り出しの妨げとならない。従って、切断後における縫い針15の上糸の残り長さが十分に確保される。
【0033】
また、図3と図10とを比較すると分かるように、糸案内溝24が未形成の場合(図10の場合)には、上糸U1は突起部の下端面から糸たぐり部材112で折り返すようにして固定メス113側に至り、突起部の下端面から糸たぐり部材112までの高さ方向の距離が短いために、糸たぐり部材112を介して折り返す上糸U1の両側部分のなす角度θ2は小さくなり、糸たぐり部材112において摺動摩擦を生じやすい。
一方、糸案内溝24を設けた場合(図3の場合)には、上糸U1は突起部22の針穴23の下端より上方となる糸案内溝24の底面から糸たぐり部材112で折り返すようにして固定メス113側に至るため、糸たぐり部材112までの高さ方向の距離を溝の深さ分だけ余分に確保することが可能となる。従って、糸たぐり部材112を介して折り返す上糸U1の両側部分のなす角度θ1は大きくなり、糸たぐり部材112における摺動摩擦を低減することが可能である。
従って、糸案内溝24の存在により、動メス111の復動時において上糸U1は円滑に摺動することで供給源からの良好な繰り出しを実現し、切断後における縫い針15の上糸の残り長さがより十分に確保される。
【0034】
(実施形態の効果)
以上のように、シリンダベッドミシン10にあっては、針板20の針穴23に糸案内溝24を設けたことにより、糸切り動作を行う際に、上糸U1が脱落を生じることなく動メス111により良好に糸たぐり部材112まで運ばれるため、高い信頼性をもって、縫い針15における切断後の上糸残り長さを十分に確保することが可能となる。これにより、次回の縫製時における上糸抜けによる縫製ミスの発生を効果的に抑制することが可能となり、シリンダベッドミシン10の信頼性も向上する。
【0035】
また、動メス111からの上糸U1の脱落を防止するために動メス111の凹部111aを深く形成する必要がなく、X軸方向における糸切り装置110の幅の大型化を回避することが可能となる。このため、シリンダベッドミシン10のシリンダ形状部14のようにX軸方向幅が狭い箇所に糸切り装置110を配設しても動メス111からの上糸U1の脱落を効果的に防止し、特に信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0036】
また、糸案内溝24により上糸U1の脱落防止効果がより顕著であれば、動メス111の凹部111aをより浅くすることができ、ひいては、糸切り装置110のX軸方向幅を小型化し、さらに、シリンダ形状部14をより狭小化することも可能となる。
【0037】
(その他)
針板20は、突起部22を備え、その下端面に糸案内溝24を形成する構成としたが、突起部24を設けなくても良いことはいうまでもない。図6は、板状部21Aのみからなる針板20Aについて針穴23A及び糸案内溝24Aを設けた例を示す図であり、図6(A)は針板20Aを図1(A)と同じX軸方向から見た状態を示し、図6(B)は針板20Aの要部をY軸方向(図6(A)における左側)から見た状態を示し、図6(C)はZ軸方向(図6(A)における上側)から見た状態を示す。
【0038】
上記針板20Aは針板20と同様にシリンダベッドミシン10のシリンダ形状部に配設され、針穴23Aのその形状,向き,幅は前述の針穴23と同じである。また、糸案内溝24Aの向き,配置,幅,機能,その底面と針穴23Aの内面との境界曲面の曲率については糸案内溝24と同様である。
但し、糸案内溝24はその出口が突起部22の側面に設けられているのに対して、糸案内溝24Aは板状部21Aの下面に設けられている点が異なっているが、これはその機能上影響を及ぼすものではない。
かかる針板20Aも前述の針板20と全く同じ作用を奏し、全く同じ効果を得ることが可能である。
【0039】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、針穴に糸案内溝を設けたことにより、糸切り装置の動メスにより糸たぐり部材まで上糸が運ばれる際の糸振れを防止することができるので、上糸の動メスからの不慮の脱離を防止し、着実に上糸を糸たぐり部材に係止させることが可能となる。従って、高い信頼性をもって、縫い針における切断後の上糸残り長さを十分に確保すると共に確実に糸切りを行うことが可能となる。さらに、これにより、次回の縫製時における上糸抜けによる縫製ミスの発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0040】
また、動メスの往動方向側に深い凹部を設ける必要がなく、その分、動メスの往復ストローク長を拡張する必要がなく、ひいては短縮することが可能となるため、糸切り装置の大型化を防止しさらには小型化を図ることが可能となる。
【0041】
さらに、糸切り装置の大型化を防止しさらには小型化図ることができることから、これをミシンベッドに装備する場合に、当該ミシンベッドの幅の拡大を防止しさらには小型化を図ることが可能となる。このため、ミシンベッド幅の小型化を必須とするシリンダベッドミシンにあっては、縫い針からの上糸脱離の防止が困難であったが、本発明によりこれを効果的に抑制することが可能となり、さらにはよりミシンベッド幅の縮小化を図ることが可能となる。
【0042】
また、糸案内溝を設けたことにより、上糸が入り込んだ場合、針穴から糸たぐり部材に渡る上糸の傾斜角度及び糸たぐり部材の前後における上糸のなす角度の屈曲の度合いが緩和されことになるため、屈曲部における摺動摩擦力を低減し、動メスの移動による上糸の送り動作を円滑に行わせることが可能となる。従って、上糸が動メスの移動により円滑に送られ、縫い針における切断後の上糸の残り長さを適正に確保することが可能となる。
【0043】
請求項2記載の発明は、針穴の内面と糸案内溝の底面との境界に他の部分より曲率半径の大きな曲面を形成したので、上糸が糸案内溝に入り込んだ場合、上記曲率半径の大きな曲面に接することとなる。従って、動メスの移動による上糸の送り動作を円滑に行わせることが可能となり、上糸が動メスの移動により円滑に送られ、縫い針における切断後の上糸の残り長さを適正に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は発明の実施形態たるシリンダベッドミシンに装備される針板の要部をX軸方向から見た状態を示し、図1(B)はY軸方向から見た状態を示し、図1(C)はZ軸方向から見た状態を示す。
【図2】発明の実施形態たるシリンダベッドミシンの斜視図である。
【図3】針板の下方に位置する構成をY軸方向から見た概略構成図である。
【図4】糸切り装置の要部と糸案内溝との関係を示すためにこれらを上方から見た説明図である。
【図5】糸切り装置の要部と糸案内溝との関係を示すためにこれらを斜方から見た説明図である。
【図6】図6(A)は針板の他の例をX軸方向から見た状態を示し、図6(B)はY軸方向から見た状態を示し、図6(C)はZ軸方向から見た状態を示す。
【図7】従来例の動作説明図であり、図7(A)〜(C)の順で進行する各工程を示している。
【図8】図7の工程に続く従来例の動作説明図であり、図8(A)〜(B)の順で進行する各工程を示している。
【図9】従来の糸切り装置を示す平面図である。
【図10】従来例における針板の下方に位置する構成を釜軸方向から見た概略構成図である。
【符号の説明】
10 シリンダベッドミシン
11 ミシンベッド
14 シリンダ形状部
20 針板
23 針穴
24 糸案内溝
103 釜機構
110 糸切り装置
111 動メス
112 糸たぐり部材

Claims (2)

  1. 上糸の切断を行う糸切り装置と、前記糸切り装置の下方に設けられ,前記上糸によるループに下糸を挿通させる釜機構と、を備えると共に、前記糸切り装置は、略水平方向に沿った往復回動動作の往動により前記釜機構に対して上流側となる上糸を選別し,復動により前記釜機構に対して下流側となる上糸を切断位置に運ぶ動メスと、当該動メスに選別された前記上流側となる上糸を係止する糸たぐり部材とを備えるミシンのミシンベッド上面に設けられる針板であって、
    縫い針が挿入される針穴を備えると共に、その下方側となる面に、前記針穴の前記動メスの往動方向側の端部から同方向にほぼ沿うように前記針穴よりも幅が狭い糸案内溝を設けたことを特徴とするミシンの針板。
  2. 前記針穴の内面と前記針板の下方側となる面との境界とを曲面で連ねると共に,前記針穴の内面と前記糸案内溝の底面との境界を曲面で連ね、
    前記針穴の内面と前記針板の下方側となる面と間の曲面よりも,前記針穴の内面と前記糸案内溝の底面と間の曲面の曲率半径を大きくしたことを特徴とする請求項1記載のミシンの針板。
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