JP4251328B2 - タンクローリの計量装置及び計量方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、ハッチの中央には荷卸し用ハッチが設けてあるため、検尺棒の取付け位置は、中央から離れた位置とならざるを得ない。検尺棒を中央から離れた位置に設置した場合は、タンクローリが停車した路面が傾斜している場合には、当該路面の傾斜の影響を受けてハッチ内の油面も水平面に対して傾斜するため、油量の計量が不正確となる。
ここで、検尺棒による従来の計測方法では、タンクローリの上部に作業員が登上しなければならず、係る作業は夜間においては大変に危険な作業となる。従って、検尺棒によらずに液位を計測することが望まれていた。
その様な要請に対して、各種のレベルセンサ或いは液面計(油面計)を適用することが考えられる。
しかし、タンクローリの各ハッチ毎に油面計等を設けた場合においても、タンクローリは必ずしも水平状態で停車するとは限らない。特に、給油所においては、地下タンクの位置、すなわちタンクローリの停車位置は平坦ではない場合が多い。その様にタンクローリが傾斜した箇所に停車している場合には、油面計等からのデータからハッチ内の油量を直接求めることが出来ないので、尺割荷卸の信頼性に問題が生じる。
しかし、当該技術は、タンクローリ車からの荷卸作業を容易にすることが目的であり、上述した問題を解決するものではない。
そして、従来技術の様に検尺棒を用いる必要が無いので、夜間における尺割荷卸作業に際して、作業員がタンクローリの頂部に登上する必要がなく、安全性も向上する。
この場合においても、検尺棒を用いる必要が無く、作業員がタンクローリの頂部に登上する必要がないので、特に夜間における尺割荷卸作業に際して、安全性が向上する。
先ず、本発明を実施するタンクローリの油量計測装置の概要について、図1、図2に基づいて説明する。
各ハッチ21の上端部(ハッチ上部)には液面計(油面計)22が設けられ、その液面計22からハッチ21内の垂直下方に向かって、液面センサ(油面センサ)23が、ハッチ21の底部近傍まで延在するように配置されている。
供給パイプLoのハッチ21側と反対側の端部近傍には油供給用のバルブVが介装されている。
一方、給油所(ガソリンスタンド)の、しかるべき領域の地下Gには地下タンク5が埋設してあり、この地下タンク5は、地上側の注油口3と注油パイプLtで接続されている。
タンクローリ1の後端は、注油口3近傍に接近し、タンクローリ1の供給パイプLoが注油口3に接続され、そして、荷卸しされるべきレギュラーガソリンが充填されているハッチ21の送出口29における図示しない排出バルブが開放される。次に、供給パイプLo後端の排出用バルブVが開放されて、タンクローリ1のハッチ21内のレギュラーガソリンが、給油所の地下タンク5に供給される(注油される)。
第1実施形態及び第2実施形態は、その様な傾斜した場所においても、正確に荷卸し量或いは積み込み量を決定できる様に構成されている。
図4は、タンクローリのタンク2を立体的に且つ積載された燃料油を透視して見た斜視図である。ここで、タンク2はハッチ(図4では明示せず)を有しており、当該ハッチは、タンク2の前後方向(車軸方向)に直交する断面の形状が、一様な楕円形状に構成されている。なお、図4では明示されていないが、当該タンク2は、複数(図示では4区画:図1及び図2参照)のハッチを設けている。
図5は、左右方向の傾斜が無い場合におけるハッチ21の、タンク2の前後方向(車軸方向)に直交する断面を示している。すなわち、図5は、上方に隙間を残した状態で燃料油が積載された状態(液面はラインLで示される)の楕円形状のハッチ21を、正面から見た断面図である。
ここで、液面ラインLと楕円との交点をc、−cとし、交点cのX座標とY座標をX1、Y1、交点−cのX座標とY座標をX2、Y2とする。そして、X軸と線分ocで形成される角度をθで表し、交点cからY軸への垂線とY軸との交点をdで表す。
尚、長径の両端点(楕円形のX軸座標)の符号もa、−aで示し、短径の両端点(楕円形のY軸座標)の符号もb、−bで示している。
(X2/a2)+(Y2/b2)=1 (式1)
この時の燃料油の積載部分の面積S、すなわち、図5の楕円形において液面ラインLよりも下方の領域の面積Sは、楕円の下半分の面積(楕円の半分の面積πab/2)と、三角形ocdの面積の2倍(2×(X1・Y1/2)=X1・Y1)と、扇形ocaの面積の2倍の数値(扇形ocaの面積については、以下、図6に基づいて説明する)を合計した値で表される。すなわち、面積Sは
S=「楕円の下半分の面積」+2×Δocd(=X1・Y1)+2×扇形oca
なる式で表される。
周知のように、円における扇形oefの面積は以下のようにして求められる。
扇形oefの面積=πb2×sin−1(d/b)/2π
=b2×sin−1(d/b)/2 (式2)
ここで、「sin−1(d/b)」は扇形oefの中心角である。
したがって、扇形oacの面積=ab×sin−1(d/b)/2 (式3)
この式3を上述した面積Sを求める式に代入すれば、左右方向の傾斜が無い場合における燃料油の積載部分の面積Sは、
S=πab/2+X1・Y1+absin−1(d/b)
として表される。
X軸と楕円(図7で示すの同じ楕円)との交点をa(図7の右側)、j(図7の左側)、Y軸と楕円との交点をb(図7の上方のみ図示)、液面ラインLと楕円との交点をc(図7の右側:座標X1、Y1)、f(図7の左側:座標はX2、Y2)、液面ラインLとY軸との交点(液面センサで計測された液位)をdとする。
更に、c点からY軸に下ろした垂線とY軸との交点をg、f点からY軸に下ろした垂線とY軸との交点をhとする。
なお、X1=|cg|、Y1=|og|であり、X2=|fh|、Y2=|oh|となる。
この場合、d点、c点、g点で構成される角度、及びd点、f点、h点で構成される角度は、共に、傾斜角Φと等しくなる。
S=楕円形下半分の面積(s1)+Δocdの面積(s2)+Δofdの面積(s3)+扇形ocaの面積(s4)+扇形ofjの面積(s5) (式4)
楕円形下半分の面積s1は、s1=πab/2である。
Δocdの面積s2は、s2=d・X1/2で表される。
同様に、Δofdの面積s3は、s3=d・X2/2で表される。
扇形の面積は、θ1、θ2が、θ1=tan−1(Y1/X1)、θ2=tan−1(Y2/X2)となるので、積分によって求めることも可能であるが、(式2)、(式3)で前述したように、半径bの円の扇形の面積b2sin−1(Y1/b)/2にa/bを乗じて求めれば良い。
これ等を上記(式4)に代入すれば、(式4)は
S=πab/2+d・X1/2+d・X2/2+absin−1(Y1/b)/2+absin−1(Y2/b)/2 (式4´)
Y=tanΦ・X+d (式5)
また楕円の式を再掲して、
(X2/a2)+(Y2/b2)=1 (式1)
式1と式2の連立方程式を解き、そのときの二つの解が、交点c、交点fの座標(X1、Y1)、(X2、Y2)として与えられる。そして、係る解により、X1、Y1、X2、Y2がa、b、d、Φで表現されることとなる。
図8は、例えば、液面センサ23がハッチ21の前後方向の中央にあるものと仮定して、ハッチ21の上下方向の中央にZ軸(横軸)、前後方向の中央に(図示の左右方向)にY軸を設けた座標系を、前後方向の傾斜角Ψだけ傾けて示している。
dn=d+Zn・tanΨ (式6)
したがって、ハッチ21に積載された油量Vは、微小区分の面積をSとすれば、下式7によって求められる。
V=∫S(d)・dZ (式7)
例えば、左右方向における傾斜角Φの計測に際しては、専用の傾斜センサを設ける代わりに、中心線CLから距離Wだけオフセットして配置した液面センサ23Aを設ける。
図9で示す様に、左右方向の傾斜角度がΦの給油所において、液面センサ23Aで計測された液位(液面位置)を点mで示し、点mから中心線CLに下ろした垂線と中心線CLとの交点を点nで示すものとする。点dと点nの距離をrとすれば、距離rは、油槽所の様に平坦な場所において(液面センサ23Aで)計測された液位「d」と、傾斜角度がΦの給油所において(液面センサ23Aで)計測された液位「m」との差として求まる。
Φ=tan−1(r/W)
このように、ハッチの中心線CLから距離Wだけオフセットして配置した液面センサ23Aを設ければ、専用の傾斜角度検出用のセンサを省略することが出来る。
図3において、コントロールユニット10は、微小区分分割ブロック11と、微小区分油量演算ブロック12と、ハッチ油量演算ブロック13と、表示手段14とによって構成されている。
微小区分油量演算ブロック12は、液面センサ23(d)、前後傾斜センサ24(Ψ)及び左右傾斜センサ25(Φ)からの入力信号(d、Ψ、Φの計測値)を受信し、上述した式4´を用いて、微小区分の油量を演算する。
明確には図示されていないが、係る構成においては、微小区分油量演算ブロック12とハッチ油量演算ブロック13とにより、前記式7に従って積分してハッチ21全体の積載油量を求める場合も包含する。
先ず、ステップS1では、楕円形断面のハッチの長径a(長軸の1/2)、短径b(短軸の1/2)、ハッチ21の前後方向の長さ寸法Ltを入力する。
次のステップS2では、コントロールユニット10は、微小区分分割ブロック11において、ハッチ21を車両(タンクローリ)1の前後方向(車軸方向)に所定の数だけ分割する。
そして、ステップS6では、ハッチ油量演算ブロック13で、ハッチ21の車軸方向全長Ltに渡って微小区分の油量を積分して、ハッチ21に積載された油量の全量を演算する。
演算されたハッチ21中の燃料油の油量は、表示手段であるモニタ14に表示される(ステップS7)。
ここで、制御終了の判断としては、例えば、モニタ14に表示された油量の数値が一定値のまま、一定時間経過しても変動が無い状態で、当該ハッチの送出口29の図示しないバルブを閉鎖した旨の信号を受信した場合等が挙げられる。
これに対して、第2実施形態では、次に述べる様な近似を用いて、ハッチ内の油量を計算する。
そして、傾斜角度Φ、Ψが10°未満であれば、左右方向及び前後方向に傾斜している場合の油量が、平坦な箇所にローリが停車している場合における油量に対する誤差(以下「全体の誤差」と記載する)は、左右方向のみに傾斜しており前後方向には平坦な場合における誤差(以下「左右のみ傾斜の誤差」と記載する)に、前後方向のみに傾斜しており左右方向には平坦な場合における誤差(以下「前後のみ傾斜の誤差」と記載する)を乗算した結果(以下「乗算の誤差」と記載する)と概略同様である。そして、全体の誤差に対して、乗算の誤差(「左右のみ傾斜の誤差」×「前後のみ傾斜の誤差」)は、0.3%未満の差異しか無い。
そして、液面センサ23により計測された液位と、前後傾斜角(Ψ)とから、同一の液位における基準容量に対応する補正係数(前後傾斜補正係数:「前後のみ傾斜の誤差」に対する補正係数)を求める。それと共に、液面センサ23により計測された液位と、左右傾斜角(Φ)とから、同一の液位における基準容量に対応する補正係数(左右傾斜補正係数:「左右のみ傾斜の誤差」に対する補正係数)を求める。
係る手法によれば、第1実施形態で説明したような積分を行うためのソフト、すなわち複雑な処理を行うソフト、を開発する工数が省略できる。
なお、上述した「前後のみ傾斜の誤差」に対する補正係数と、「左右のみ傾斜の誤差」に対する補正係数とは、予め用意しておくことが出来る。
尚、上述した「乗算の誤差」の補正係数、「前後のみ傾斜の誤差」に対する補正係数、「左右のみ傾斜の誤差」に対する補正係数は、予め演算や実測等で求めた数値を、テーブルやマップの形態で、記憶手段に記憶させればよい。
コントロールユニット10Aは、基準容量演算ブロック15と、補正条件決定ブロック16と、ハッチ油量演算ブロック13Aと、データベース19と、表示手段14と、から構成されている。
データベース19には、前述した前後傾斜補正係数(「前後のみ傾斜の誤差」に対する補正係数)のテーブル(表)或いはマップと、左右傾斜補正係数(「左右のみ傾斜の誤差」に対する補正係数)のテーブル(表)或いはマップが記憶されている。
そして、ハッチ油量演算ブロック13Aに、「乗算の誤差」の補正係数を送信する。
先ず、ステップS11では、楕円形断面のハッチ21の長径a及び短径b、ハッチ21の前後方向の長さ寸法Ltを入力する。次のステップS12では、液面センサ23により液位(油面のレベル)を計測する。そして、次のステップS13では、計測した液位を用いて、傾斜が無いと仮定した場合の油量(基準容量)を計測する。
演算された油量はモニタ14に表示される(ステップS18)。
或いは、左右傾斜補正係数及び前後傾斜補正係数を決定し、両者を乗算して「乗算の誤差」の補正係数を求め、当該補正係数を基準容量に乗算して、ハッチ内の油量を求めても良い。
2・・・ローリタンク/タンク
3・・・注油口
4・・・平坦面
4c・・・傾斜面
5・・・地下タンク
6・・・荷役制御装置
7、8・・・信号ケーブル
10、10A・・・制御手段/コントロールユニット
21・・・ハッチ
22・・・油面計
23・・・液面センサ
24・・・前後傾斜計測手段/前後傾斜センサ
25・・・左右傾斜計測手段/左右傾斜センサ
Claims (5)
- 車軸方向と直交する断面が一様な楕円形状のハッチを有するタンクローリの計量装置において、ハッチ内の液位を計測する液面計測手段と、車両の前後方向の傾斜を計測する前後傾斜計測手段と、車両の左右方向の傾斜を計測する左右傾斜計測手段と、計量制御手段とを有し、該計量制御手段は、液面計測手段により計測された液位と、前後傾斜計測手段で計測された前後傾斜角度と、左右傾斜計測手段で計測された左右傾斜角度とに基づいて、ハッチ内に積載された油量を決定する様に構成されていることを特徴とする計量装置。
- 前記計量制御手段は、微小区分分割手段と、微小区分油量演算手段と、ハッチ油量演算手段とを有し、前記微小区分分割手段は、均一な楕円形状の断面を有し且つ前後方向について微小寸法だけ延在する微小区分にハッチを分割する演算処理を行う様に構成されており、微小区分油量演算手段は、液面計測手段により計測された液位と、前後傾斜計測手段で計測された前後傾斜角度と、左右傾斜計測手段で計測された左右傾斜角度とに基づいて、油で満たされた部分の面積を微小区分毎に演算すると共に、その面積に微小厚みを乗じた微小区分油量を演算する様に構成されており、ハッチ油量演算手段は、前記演算した各微小区分の油量を積分してハッチ油量を演算するように構成されている請求項1の計量装置。
- 前記計量制御手段は、基準容量演算手段と、ハッチ油量演算手段と、記憶手段とを有し、記憶手段は、前後傾斜計測手段によって計測された前後傾斜角及び液面計測手段により計測された液位に対応して決定される前後傾斜補正係数と、左右傾斜計測手段によって計測された左右傾斜角及び液面計測手段により計測された液位に対応して決定される左右傾斜補正係数とを記憶する様に構成され、前記基準容量演算手段は、前記液面計測手段で計測された液位から傾斜が存在しない場合のハッチ内の油量を演算する様に構成されており、ハッチ油量演算手段は、前記傾斜が存在しない場合のハッチ内の油量に前後傾斜補正係数と左右傾斜補正係数とを乗じることによってハッチ内の油量を演算する様に構成されている請求項1の計量装置。
- 請求項1、請求項2の何れかのタンクローリの計量装置を用いた計量方法において、液位を計測する工程と、前後傾斜角及び左右傾斜角を計測する工程と、計測した液位、計測した前後傾斜角及び左右傾斜角に基いてハッチ内に貯留された油量を演算する工程、とを有することを特徴とする計量方法。
- 請求項1、請求項3の何れかのタンクローリの計量装置を用いた計量方法において、液面を計測する工程と、前記液面計測手段で計測された液位から傾斜が存在しない場合のハッチ内の油量を演算する工程と、前後傾斜角及び左右傾斜角を計測する工程と、前後傾斜角及び液面計測手段により計測された液位に対応して前後傾斜補正係数を決定し、左右傾斜計測手段によって計測された左右傾斜角及び液面計測手段により計測された液位に対応して左右傾斜補正係数を決定する工程と、演算された傾斜が存在しない場合のハッチ内の油量に前後傾斜補正係数及び左右傾斜補正係数を乗じてハッチに貯留された油量を演算する工程、とを有することを特徴とする計量方法。
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