JP4247593B2 - エンジンの吸気装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用4サイクルエンジンにおいて、エンジンルーム内の吸気マニホールドを設置条件に対応させたエンジンの吸気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車のエンジンルーム内に搭載するエンジンはトランスミッションと連結され、縦置きまたは横置きに支持され、気筒列の側方に吸排気のマニホールドブロックが設けられている。
そこで、車両用エンジンの吸気システムにおいては、吸気マニホールドのシリンダヘッドの接続側をそれぞれ2つの吸気ポートに分岐し、一方側にスワールコントロールバルブ(以下SCV)を装着したもの(特開平6−117260号公報参照)が提案されている。この構成は、低速時にSCVを閉じて片方の吸気ポートから空気を吸入することで、燃焼室内でスワール流を発生させ、混合気を希薄燃焼させる。また、高速時に両方の吸気ポートから空気を吸入することで、高速時の出力を向上させるようにしている。また、2つの吸気ポートにおいて管径を異なる構成としたもの(特開2000−73774号公報参照)もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、エンジンルーム内に各種機能を持った装置を設置するようになってきたため、エンジンの搭載位置も見直されるようになってきた。
まず、横置きエンジンにおいては、右ハンドル仕様の車両ではブレーキブースタ(マスタシリンダもしくはリザーバタンク等)がエンジンに近接し、サージタンクや吸気管と干渉する虞がある。
【0004】
また、エンジンとトランスミッションの間に電動発電機を介在させ、エンジン動力の補助および燃費の向上を図るハイブリッド仕様においては、エンジンの一端側に電動発電機とトランスミッションを連結することになる。電動発電機はエンジンのクランク軸と一体に回転し、バッテリのエネルギによってエンジンの加速を補助する。また、減速時にはエネルギを回生し、バッテリに蓄え燃費を向上させる。
【0005】
電動発電機を装着する場合、トランスミッションの位置を変更することは以下の動力伝達機構に影響するので困難である。トランスミッションの位置が元のままであると、エンジン、電動発電機及びトランスミッションを一体にしたパワートレーンの全長が伸びているので、結局、エンジンの搭載位置を変更することになる。
しかしながら、エンジンの搭載位置を変更する場合でも、サージタンク及び吸気管のレイアウトが難しいものとなる。
【0006】
本発明は、エンジンルーム内スペースを有効に活用できるようにしたエンジンの吸気装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、請求項1の発明は、電動発電機を介してトランスミッションへ連結するエンジンの気筒列配置中心部位からサージタンクを前記トランスミッション側に、かつ、クランクシャフトと略平行な方向にずらして設け、
前記サージタンクに連結する吸気マニホールドには、前記サージタンクからスワールコントロールバルブ(SCV)ユニットを介してシリンダヘッドに接続する吸気管形成
全ての前記吸気管を、前記サージタンクから前記トランスミッション側に向けて伸ばしたのち、前記SCVユニット側に向けて反転させて、その後、前記吸気管を湾曲させて前記SCVユニットを介して前記シリンダヘッドに接続し、
前記吸気管のうち、前記トランスミッション側に最も近い吸気管を前記SCVユニットの前記電動発電機側の端部より前記トランスミッション側に向けて突出させた後、前記SCVユニット側に向けて反転させて、その後、前記吸気管を湾曲させて前記SCVユニットを介して前記シリンダヘッドに接続する一方、
前記吸気管のうち、前記トランスミッションから最も遠い吸気管を前記SCVユニットの接続側で他の吸気管と比べて最も大きく湾曲させて形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、エンジン上面視において、車両部品を前記SCVユニットの接続側で最も大きく湾曲する吸気管と前記エンジンに近接して配設したことを特徴とする。
【0009】
以上の構成において、エンジンに近接してマスタシリンダを設ける場合、サージタンクをエンジン中心部位からずらしたので、エンジンルーム内でマスタシリンダとインマニは互いに干渉しないレイアウトになる。
また、エンジンとトランスミッションの間に電動発電機を介在させたシステムにおいても、エンジンとサージタンクを湾曲した吸気マニホールドにより相対的にオフセットされたレイアウトにしたので、サージタンクのレイアウト及びトランスミッションの位置は既存エンジンと同じで良い。
また、湾曲した吸気マニホールドの使用により、スワールコントロールバルブの設置条件において、スワール流の流速を速くするか、または大量の空気を吸気し易くさせ、エンジンの性能を向上させる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図2ないし図4に示すように、車両に搭載するハイブリッド型のパワートレインは、エンジン1と、エンジン1の気筒列方向の一端側に連結した電動発電機2及びトランスミッション(T/M)3から構成されている。エンジン1の側方には吸気マニホールド4及び排気マニホールド5が配置され、これらはスワールコントロールバルブ(SCV)ユニット6を介してシリンダヘッド7に連結されている。なお、符号8はシリンダブロック、符号9はSCVである。
【0011】
上記エンジン1の吸気系はスロットルボディ10がサージタンク11に一体に設けられ、サージタンク11から複数の吸気管12が伸び、その先部は図1に示すように、管径を異ならせて2つの吸気ポートが形成され、太い方をプライマリポート13と称し、細い方をセカンダリポート14と称している。2つの吸気ポートはSCVユニット6に接続され、各プライマリポート13はセカンダリポート14よりトランスミッション3側に形成され、SCV9を配設している。
【0012】
また、エンジン1はエンジンルームに横置きにされており、車両が右ハンドル仕様のときに、ブレーキブースタ15がエンジン1に近接しマスタシリンダ16が吸気マニホールド4の位置に侵入してくる。したがって、図1に示すように、まず、サージタンク11を、エンジン1の気筒列配置中心部位からトランスミッション3側に、かつ、クランクシャフトに略平行にずらして設ける。つぎに、吸気管12を一旦サージタンク11からトランスミッション3側に伸ばし、その後湾曲させてSCVユニット6に連結させている。このときの吸気管12に、SCVユニット6への進入する角度θを持たせている。
【0013】
吸気管12はトランスミッション3から最も離れた気筒に接続したものがもっとも大きく湾曲して設けられ、トランスミッション3側にゆくにしたがって、吸気管12の湾曲度合いが小さくなるよう形成され、各2つの吸気ポートは前述したようにSCV9を備えたプライマリポート13がトランスミッション3側に位置される。
このように吸気管12を湾曲させることで、吸気管12とマスタシリンダ16が干渉することを防いでいる。
【0014】
吸気管12を湾曲させた吸気マニホールド4を使用することにより、ハイブリッド型のエンジン1では、電動発電機2の挿入分だけエンジン1をずらせ、サージタンク11のレイアウト及びトランスミッション3の位置は変更せず、エンジンマウント及び吸排気系を新作するだけでパワートレインの搭載が成立する。これにより電動発電機2を設けたシステムと設けていないシステムとに共通で同じ吸気システムを利用でき、駆動系を新作するよりコスト、信頼性の面で有利である。
【0015】
ところで、吸気管12は大きな角度θをもってSCVユニット6に連結され、スロットルボディ10からの吸入空気は、吸気管12の上記角度θ及び吸入空気の遠心力が原因となってエンジンの2つの吸入ポートに均等に流入しなくなる。(図1において左側のセカンダリポート14の方が空気が流入し易い)。
【0016】
図1(a)に示すように、エンジン駆動において低速時、管径の太いプライマリポート13に取り付けられたSCV9が閉じ、管径の細いセカンダリポート14に吸入空気が流れ、強いスワール流を発生する。図1(b)に示すように、高速時、SCV9が開くと吸入空気は両方のポート13,14に流れ、大きな出力を発生するが、セカンダリポート14の方が遠心力により空気が流入し易く、セカンダリポート14から吸入される空気でより強力なスワール流を発生し、燃費向上に貢献する。
【0017】
次に,他の実施の形態を説明する。
他の実施の形態は吸気マニホールド4の吸気系が、図5(a),(b)に示すように、SCV9を備えた管径の太いプライマリポート13が管径の細いセカンダリポート14より外側に湾曲した構造となっており、前出のものとはプライマリポート13とセカンダリポート14との配置を異ならせている。
エンジン駆動において低速時は、SCV9が閉じてセカンダリポート14から空気が流入し、スワール流を発生する。高速時には、SCV9が開いてプライマリポート13からも空気が流入する。このとき、遠心力の影響を受けた吸入空気は管径の太いライマリポート13側にスムーズに流入し、燃焼室内には多量の空気が流入し、出力向上に貢献する。
以上のように、本発明の吸気マニホールド4の吸気管12を湾曲した構成により、エンジン搭載上の干渉物を回避しながらパワートレインを設置することができると共に、エンジン出力性能あるいは燃費性能を確保することができるものである。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上述べた通りであり、請求項1に記載の発明では、狭いエンジンルーム内において、吸気管を湾曲させて希薄燃焼システムのレイアウトを実現させると共に、遠心力の影響が大きい管径の細いポートに空気を多く流入させることができるので、高速時に従来よりもより強力なスワール流を発生させ、燃費向上を図ることができる。
又は、狭いエンジンルーム内において、吸気管を湾曲させて希薄燃焼システムのレイアウトを実現させると共に、遠心力の影響が大きい管径の太いポートに空気を多く流入させることができるので、高速時に従来よりもさらに吸入空気量を増大させ出力向上を図ることができる。
さらに、電動発電機をエンジンとトランスミッションの間に介在させると、パワートレイン全体の全長がその分大きくなるが、吸気管を湾曲させて他の部品との干渉を防ぎ、狭いエンジンルーム内に設置することができるので、その状態でも希薄燃焼を実現でき、燃費向上を図ることができる。このように、駆動系の変更は吸気マニホールドの形状を変えるだけで済むので、既存車両を共通化させることがで、コスト、信頼性の面で有利となる。
請求項2に記載の発明では、請求項1の構造において、トランスミッションから最も遠い吸気管をSCVユニットの接続側で他の吸気管と比べて最も大きく湾曲させたことで、エンジン上面視において、このSCVユニットの接続側で最も大きく湾曲する吸気管とエンジンに近接する位置にスペースを設けることができる。これにより、このスペースを利用して、車両部品を吸気管に干渉しないように配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態のエンジンの吸気装置を、(a)SCVの閉弁、(b)SCVの開弁により説明する模式図である。
【図2】図1の吸気装置を備えたエンジンの斜視図である。
【図3】図2に示すエンジンの上面図である。
【図4】図2に示すエンジンの要部拡大図である。
【図5】本発明による他の実施の形態のエンジンの吸気装置を、(a)SCVの閉弁、(b)SCVの開弁により説明する模式図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 電動発電機
3 トランスミッション
7 シリンダヘッド
9 スワールコントロールバルブ
11 サージタンク
12 吸気管
13 管径の太いポート
14 管径の細いポート

Claims (2)

  1. 電動発電機を介してトランスミッションへ連結するエンジンの気筒列配置中心部位からサージタンクを前記トランスミッション側に、かつ、クランクシャフトと略平行な方向にずらして設け、
    前記サージタンクに連結する吸気マニホールドには、前記サージタンクからスワールコントロールバルブ(SCV)ユニットを介してシリンダヘッドに接続する吸気管形成
    全ての前記吸気管を、前記サージタンクから前記トランスミッション側に向けて伸ばしたのち、前記SCVユニット側に向けて反転させて、その後、前記吸気管を湾曲させて前記SCVユニットを介して前記シリンダヘッドに接続し、
    前記吸気管のうち、前記トランスミッション側に最も近い吸気管を前記SCVユニットの前記電動発電機側の端部より前記トランスミッション側に向けて突出させた後、前記SCVユニット側に向けて反転させて、その後、前記吸気管を湾曲させて前記SCVユニットを介して前記シリンダヘッドに接続する一方、
    前記吸気管のうち、前記トランスミッションから最も遠い吸気管を前記SCVユニットの接続側で他の吸気管と比べて最も大きく湾曲させて形成したことを特徴とするエンジンの吸気装置。
  2. エンジン上面視において、車両部品を前記SCVユニットの接続側で最も大きく湾曲する吸気管と前記エンジンに近接して配設したことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気装置。
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