JP4245502B2 - 基板の塗装方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板の塗装方法に関するものである。特に、本発明は、自然物などの表面の模様を忠実に再現した模様を有する基板の塗装方法に関する。
従来の建築板の塗装方法では、建築板は、下塗りシーラー処理を施され、表面に凹凸を有している。建築板は、コンベアにより搬送される。予め塗装すべき柄模様に対応する柄パターンのパターンデータがコンピュータに記憶される。コンピュータの制御信号に基づきバルブ制御装置により、ジェットノズルから色のインクを建築板に噴射している(例えば、特許文献1参照)。また、従来の基板の塗装方法では、基板は下層着色塗膜を有する。基板はコンベアにより搬送される。柄模様に対応する柄パターンデータがコンピュータに記憶される。コンピュータの制御信号によってピエゾ素子の振動を制御してインクの吐出を制御し、基板の表面に柄模様を塗装している(例えば、特許文献2参照)。
特許第3115136号公報(第2〜3頁、図1〜図3) 特開平10−128231号公報(第3〜9頁、図1〜図7)
しかし、従来の塗装方法では、建築板などのデザイナは、キー及びマウスを操作して、柄模様に対応する柄パターンデータをコンピュータの画面上で作成しなければならなかった。すなわち、デザイナは、コンピュータの画面を見ながら柄模様を作図し、作図した図形に必要な色を付けなければならなかった。したがって、自然物などの対象物の表面の模様などを忠実に再現した柄模様を作成するには膨大な作図時間を必要とし、また、複雑な模様を有する対象物に関しては模様の再現性が不十分になることがあった。
本発明の目的は、自然物などの対象物の表面の模様などを忠実に再現した柄模様を有する基板の塗装方法及び塗装装置を提供することにある。
本発明は、基板の塗装方法において、対象物を準備する段階と、対象物の1つの面をスキャナの入力部に配置し、対象物の表面の模様をスキャナにより直接読み込む段階と、スキャナにより直接読み込んだ模様データを画像処理する段階と、画像処理した模様データを用いて、基板の表面に塗装するための塗装データを作成する段階と、前記塗装データを用いてインクジェットプリンタによって基板の表面に塗装処理を行う段階と、を含むことを特徴とする。本発明の方法により、自然物などの対象物の表面の模様などを再現した柄模様を有する基板を短時間に効率良く製造することができる。
本発明において、前記スキャナにより直接読み込む段階は、対象物の表面にほぼ直角方向から光を照射し、連続的に対象物の表面を掃引して(すなわち、対象物の表面を連続的に移動させながらスキャナを走査させて)、対象物の表面の画像を読み込み、その画像データを記憶するように構成されるのがよい。本発明において、前記画像処理する段階は、濃淡の調整、色の修正、縦横比の調整のうちの少なくとも1つを行うように構成されるのがよい。本発明において、前記塗装データを作成する段階は、模様データを配列させたり、模様データを拡大縮小させたり、模様データを回転させたり、複数の模様データを組み合わせたりすることのうちの少なくとも1つを行うように構成されるのがよい。また、本発明に関連する技術においては、基板の塗装方法は、対象物を準備する段階と、対象物に複数の方向から光をあてながら、対象物をデジタル写真撮影する段階と、デジタル写真撮影した模様データを画像処理する段階と、画像処理した模様データを用いて基板の表面に塗装するための塗装データを作成する段階と、インクジェットプリンタによって、基板の表面に塗装処理を行う段階とを含む。
本発明に係る基板の塗装方法を実施するのに用いることができる基板の塗装装置においては、対象物を支持するための対象物支持手段と、対象物に関するデータを読み込むための対象物データ読み込み装置と、塗装処理を制御するための中央処理装置と、基板に塗装するための塗装実行手段と、基板を支持するための基板支持手段とを備え、対象物データ読み込み装置は、対象物の表面にほぼ直角方向から光を照射するための照射手段と、対象物の表面の画像を連続的に読み込むための読み込み手段と、対象物の表面に対してX方向、或いは、Y方向に読み込み手段を連続的に走査させて移動させるための移動手段とを含むように構成される。前記中央処理装置は、照射手段の照射の動作を制御するための照射制御手段と、読み込み手段の読み込みの動作を制御するための読み込み制御手段と、移動手段の動作を制御するための移動制御手段と、対象物データ読み込み装置の動作を制御するためのデータ入力制御手段と、データ入力制御手段が出力する信号を受け入れて画像データを記憶するための画像データ記憶手段と、画像データ記憶手段が記憶している画像データを用いて画像データを処理するための画像データ処理手段と、画像データ処理手段が出力する信号を受け入れて塗装データを作成するための塗装データ作成手段と、塗装データ作成手段が出力する信号を受け入れて塗装作業を制御するための塗装制御手段とを含むように構成される。上記の塗装装置を用いることにより、自然物などの対象物の表面の模様などを再現した柄模様を有する基板を短時間に効率良く製造することができる。
上記の塗装装置において、対象物データ読み込み装置は、スキャナで構成され、対象物支持手段は、光線を透過することが可能な透明な支持板で構成されるのが好ましい。この構成により、対象物の表面の凹凸によって、引き伸ばし写真の中に影の部分が発生するおそれをなくすことができる。また、上記の塗装装置において、中央処理装置は、塗装データ作成手段が出力する信号を受け入れて塗装データを記憶するための塗装データ記憶手段を含むように構成されるのが好ましい。この構成により、1度記憶した塗装データを繰り返し使用することができる。また、上記の塗装装置において、塗装実行手段は、インクジェットプリンタで構成され、塗装制御手段は塗装実行手段の塗装動作を制御するように構成され、塗装制御手段は、塗装データ作成手段が作成した塗装データを用いて塗装実行手段の制御を行い、基板の表面に塗装処理を行うように構成され、この塗装処理のとき、塗装制御手段は、基板の表面に柄模様を描画出現させるように基板支持手段の動作を制御するように構成されるのが好ましい。この構成により、短時間で確実な塗装作業を行うことができる。また、上記の塗装装置において、塗装制御手段は、基板支持手段の動作状態及び/又は基板の動作状態を検出するセンサ手段を備えるように構成されるのが好ましい。この構成により、所望の模様を正確に塗装することができる。
本発明の塗装方法を用いることにより、自然物などの対象物の表面の模様などを再現した柄模様を有する基板を短時間に効率良く製造することができる。また、本発明の塗装方法を用いることにより、自然物などの対象物の表面の模様などを忠実に再現した柄模様を有する基板を製造することができる。
以下に、本発明の塗装方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(1)スチール写真撮影
本発明により塗装する柄模様、特に天然石に擬似する外観模様としては、世界各地で産出する天然の大理石、花崗岩、石灰岩、玄昌石、又はその他の種々の銘石等の建築用石材を唯単に割ったり、特定方向に切断したり、又は更にその表面を研削、研磨したときに出現する模様、又はそれらが繋がった連続模様がある。本発明の方法を用いると、これらの外観を忠実に再現した柄模様を基板の表面に効率良く塗装することができる。本発明に関連する技術では、天然石などの対象物の表面の模様を写真撮影する。対象物としては、上記の天然石のほかに、和紙、織物、鉄などの金属板、木材、タイル、葉、押し花などが挙げられる。すなわち、本発明により塗装する柄模様の対象は、れんがのような自然のものであってもよいし、陶器や紙などのような人工のものであってもよい。
このような対象物の表面の模様データを作成する第1の方法は、銀塩フィルム(「135フィルム」など)を用いるスチール写真である。図1を参照すると、模様データを作成する第1の方法において、最初に、対象物を準備する(段階101)。対象物として、例えば、天然の大理石を、ほぼ直方体状に切断したものを準備する。次に、対象物の1つの面をスチール写真撮影する(段階102)。スチール写真撮影に用いるフィルムは、カラーフィルムであってもよいし、白黒フィルムであってもよい。次に、対象物を撮影した撮影フィルムを現像して、適当と思われる撮影フィルムの1つのこまを拡大プリントする(段階103)。次に、引き伸ばし写真をスキャナの撮影部に配置して、スキャナによって引き伸ばし写真の写真データを読み込む(段階104)。図2を参照すると、天然の大理石を撮影し拡大プリントした引き伸ばし写真をスキャナによって読み込んだ模様データの例が示されている。一般に、対象物の1つの面を写真撮影すると、対象物の表面の凹凸によって、引き伸ばし写真の中に影の部分が発生することがある。再び図1を参照すると、必要に応じて、スキャナによって読み込んだ模様データをコンピュータにより画像処理する(段階105)。画像処理は、例えば、濃淡の調整、影の部分の修正、色の修正、縦横比の調整などである。
次に、必要に応じて画像処理した模様データを用いて、コンピュータにより、基板の表面に塗装するための塗装データを作成する(段階106)。塗装データは、模様データを配列させたり、模様データを拡大縮小させたり、模様データを回転させたり、複数の模様データを組み合わせたりすることにより行うことができる。次に、コンピュータにより作成した塗装データを用いてインクジェットプリンタヘッドのノズル孔からのインク吐出の制御を行い、基板の表面に所望の柄模様を描画出現させる塗装処理を行う(段階107)。塗装処理の詳細は後述する。
(2)デジタル写真撮影
本発明に関連する他の技術では、天然石などの対象物の表面の模様を写真撮影する。このような対象物の表面の模様データを作成する第2の方法は、対象物をデジタル写真撮影する方法である。図3を参照すると、模様データを作成する第1の方法において、最初に、対象物を準備する(段階121)。対象物として、例えば、天然の大理石を、ほぼ直方体状に切断したものを準備する。次に、対象物の1つの面をデジタル写真撮影する(段階122)。図4を参照すると、天然の大理石をデジタル写真撮影しプリントアウトした写真の例が示されている。一般に、対象物の1つの面をデジタル写真撮影すると、対象物の表面の凹凸によって、引き伸ばし写真の中に影の部分が発生することがある。このような影の部分の発生を阻止するために、リングフラッシュ(リングストロボ)を用いるか、複数のストロボを異なる方向から対象物に向けて発光させるか、複数の光源(スタジオ用ライトなど)を異なる方向から対象物に向けて照射させるかなどのいずれかの方法で対象物に複数の方向から光をあてるのが好ましい。ストロボ又はライトの数は2個であるのが好ましく、4個であるのが一層好ましい。4個のストロボ又はライトを、対象物の上下左右の4つの方向から照射させることにより、対象物における影の部分の発生を効果的に阻止することができる。
再び図3を参照すると、必要に応じて、デジタル写真撮影によってメモリに記憶した模様データをコンピュータにより画像処理する(段階123)。画像処理は、例えば、濃淡の調整、影の部分の修正、色の修正、縦横比の調整などである。影の部分の修正は、色の変更によって行うこともできるし、影の部分の色を周囲と比較して、色を段階的に補間することによって行うこともできる。
次に、必要に応じて画像処理した模様データを用いて、コンピュータにより、基板の表面に塗装するための塗装データを作成する(段階124)。塗装データは、模様データを配列させたり、模様データを拡大縮小させたり、模様データを回転させたり、複数の模様データを組み合わせたりすることにより行うことができる。次に、コンピュータにより作成した塗装データを用いてインクジェットプリンタヘッドのノズル孔からのインク吐出の制御を行い、基板の表面に所望の柄模様を描画出現させる塗装処理を行う(段階125)。塗装処理の詳細は後述する。
(3)スキャナによる読み込み
本発明の塗装方法は、天然石などの対象物の表面の模様をスキャナにより直接読み込む方法を用いている。図5を参照すると、本発明の塗装方法において、最初に、対象物を準備する(段階141)。対象物として、例えば、天然の大理石を、ほぼ直方体状に切断したものを準備する。次に、対象物の1つの面をスキャナの入力部に配置し、対象物の表面の模様をスキャナにより直接読み込む(段階142)。スキャナにおいては、対象物の表面にほぼ直角方向から光を照射し、連続的に対象物の表面を掃引して、対象物の表面の画像を読み込み、その画像データを記憶することができる。すなわち、本発明の塗装方法では、照射装置により対象物の表面にほぼ直角方向から光を照射し、この照射状態を維持しながら、対象物の表面に対してX方向、或いは、Y方向に画像読み込み装置を連続的に走査させ、対象物の表面の模様を画像データとして連続的に読み込み、読み込んだ画像データを記憶装置(メモリなど)により記憶するように構成するのがよい。
図6を参照すると、天然の大理石をスキャナにより直接読み込み、その結果をプリントアウトしたアウトプットデータの例が示されている。一般に、対象物の1つの面をスキャナにより直接読み込むと、対象物の表面の凹凸によって、引き伸ばし写真の中に影の部分が発生することはない。なぜなら、スキャナにおいては、対象物の表面にほぼ直角方向から光を照射しているからである。再び図5を参照すると、必要に応じて、スキャナにより直接読み込んで記憶装置(メモリなど)に記憶した模様データをコンピュータにより画像処理する(段階143)。画像処理は、例えば、濃淡の調整、色の修正、縦横比の調整などである。本発明のこの塗装方法では、影の部分の修正を行う必要はない。
次に、必要に応じて画像処理した模様データを用いて、コンピュータにより、基板の表面に塗装するための塗装データを作成する(段階144)。塗装データは、模様データを配列させたり、模様データを拡大縮小させたり、模様データを回転させたり、複数の模様データを組み合わせたりすることにより行うことができる。次に、コンピュータによ作成した塗装データを用いてインクジェットプリンタヘッドのノズル孔からのインク吐出の制御を行い、基板の表面に所望の柄模様を描画出現させる塗装処理を行う(段階145)。塗装処理の詳細は後述する。
(4)塗装処理
次に、本発明の塗装方法において、基板を塗装する塗装処理について説明する。本発明の塗装方法において用いられるピエゾ振動方式のインクジェットプリンタヘッドは公知であり、種々の形式のものが知られている。それらのヘッドの個々の構成素子の拡大概略断面図を図7〜図10に例示する。図7〜図10に例示する形式の個々の構成素子からなるヘッドを用いる場合には、インク供給口1から供給されたインクはインク室2に入る。またピエゾ駆動信号によりピエゾ振動素子3を振動させ、その振動により振動板4を振動させて、ノズルプレート5に設けられたノズル孔6よりインク液滴を噴出させる。なお、図7〜図10に示すヘッドにおいては1個のインク室に対して1個のノズル孔が設けられているが、1個のインク室に対して複数個のノズル孔を設けてもよい。
本発明で用いるピエゾ振動方式のインクジェットプリンタヘッドのノズル孔は好ましくは内径20〜100μmの孔であり、突起状基体又はプレート状基体中に形成されたものであり得る(図7〜図10参照)。該ノズル孔はコンベアの幅方向に直線状に一列に配置されていてもよく、あるいは例えば16個、32個又は64個のノズル孔を1ブロックとし、ブロック毎に階段形状、凹凸形状、山形状あるいはこれらの組み合わせ形状で配列してもよい。ノズル孔の配列については完全な一直線状に配列するよりも、一定個数をブロック化し、ブロックを組み合わせて配列する方が、不良ノズル孔の検出等のメンテナンスの面から好ましい。ノズル孔とノズル孔との間の距離は好ましくは30〜150μmであるが、ノズル孔径並びにノズル孔間ピッチは所望の画質精度により適宜選択できる。なお、ノズル孔の内径を20〜100μmとし、ノズル孔とノズル孔との間の距離を30〜150μmとすることにより、画質精度50〜350dpiの柄パターンを描画することができる。
インクの供給は、ごく微弱な静圧、もしくはノズル孔と同水準よりやや低い位置にインク液面がある常圧状態のインクタンクより行われる。上記のような配列状態で配置されているインクジェットプリンタヘッドのノズル孔からのインク吐出の制御は、上記のパターンデータを記憶したコンピュータの制御信号によってピエゾ振動素子を制御振動させ、その振動により振動板を介してインク室の容積を変化させることによって行われる。このことにより基板の表面に所望の柄模様、好ましくは画質精度が50〜350dpiである柄模様を描画出現させることができる。現時点での建築用途では、画質精度が50dpi以上であれば実用上問題はないが、現時点で使用されているプリンタの性能や、連続印刷適性、印刷スピード等を考慮すると画質精度を350dpi以下とすることが好ましい。本発明の塗装方法においては、コンベアの搬送速度としては一般的には1〜50m/分の速度が使用可能であるが、生産性や画質等を考慮すると10〜35m/分の範囲内が好ましい。
本発明で使用するインクは、インクジェットプリンタ用インクのバインダーとして公知の種々のバインダーを含有することができ、例えば、アクリル共重合体、ヒンダードアミン基含有アクリル共重合体、加水分解性シリル基含有アクリル共重合体、含フッ素共重合体、加水分解性シリル基含有含フッ素共重合体、アルコキシシラン加水分解縮合体、ロジン変性フェノール、アルキド樹脂、ポリアミド、マレイン酸系樹脂等や、紫外線やレドックス触媒で架橋可能な分子中に不飽和基を有するポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の重合性プレポリマー、あるいは、一般には可塑剤として知られているエポキシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤やフタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル類、ポリプロピレンアジペート等のポリエステル系可塑剤、あるいは、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリグリコール類を挙げることができる。これらのバインダー成分は、ガラス転移点が50℃以下であるのが好ましく、ガラス転移点が45℃以下のものであるのが一層好ましく、その種類に応じて水溶液、水分散体、溶剤溶液、溶剤分散体等として用いることができる。
本発明において使用できるアクリル共重合体としては、共重合する単量体の合計重量に基づいて、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル及び(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの1〜3種を合計で70重量%以上用いて得られる共重合体が耐紫外線劣化性の面から好ましく、又、より高度な耐候性能を発揮させるためには、官能基としてヒンダードアミン基を0.5〜5重量%含有し、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチル及び(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの1〜3種を合計で30重量%以上用いて得られる共重合体が一層好ましい。該アクリル共重合体は、溶剤溶液、水分散体等の形で使用される。該アクリル共重合体としては、数平均分子量が6,000〜200,000であるものを使用するのが好ましい。該アクリル共重合体は溶剤揮発乾燥型や、あるいはアミノプラスト架橋硬化型、ブロックイソシアネート解離架橋乾燥型等の形式のものである。
本発明において使用できる加水分解性シリル基含有アクリル共重合体は、一分子中に少なくとも一個の加水分解性シリル基を側鎖又は末端に含有するアクリル共重合体である。具体的には、共重合体を構成する全単量体の50重量%以上(合計量)の量の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜6のアルキルエステル及び該単量体と共重合可能な加水分解性シリル基を含む単量体を必須成分とする共重合体であり、該加水分解性シリル基含有アクリル共重合体は溶剤溶液、水分散体(特開平5−25354号公報に記載のもの)等の形で使用される。該加水分解性シリル基含有アクリル共重合体としては、重量平均分子量が4,000〜200,000のものを使用するのが好ましく、重量平均分子量が6,000〜150,000のものを使用するのが一層好ましい。該加水分解性シリル基含有アクリル共重合体は、主として、有機金属等の硬化触媒によって縮合架橋がなされるものである。
本発明において使用できる含フッ素共重合体としては、例えば特開昭57−34107号公報、特開平6−100750号公報に記載されている塗料用樹脂として開発された溶媒揮発乾燥型、アミノプラスト焼付硬化型、ブロックイソシアネ−ト解離架橋硬化型等がある。本発明において使用できる加水分解性シリル基含有含フッ素共重合体は、一分子中に少なくとも一個の加水分解性シリル基を側鎖に有する含フッ素共重合体である。具体的には、フルオロオレフィンとアルキルビニルエーテル及び該各単量体と共重合可能な加水分解性シリル基を含む単量体を必須成分とする共重合体であり、該加水分解性シリル基含有含フッ素共重合体は溶剤溶液等の形で使用される。該加水分解性シリル基含有含フッ素共重合体としては、重量平均分子量が4,000〜60,000のものを使用するのが好ましく、重量平均分子量が6,000〜50,00のものを使用するのが一層好ましい。該加水分解性シリル基含有含フッ素共重合体は、主として、有機金属等の硬化触媒によって縮合架橋がなされるものである。
本発明において使用できるアルコキシシラン加水分解縮合体は、酸性触媒の存在下での、一般式R−Si(OR″)3(式中、RはC1 〜C5 のアルキル基又はC1 〜C4 のアシル基であり、R″はC1 〜C8 のアルキル基である)又は一般式RR′Si(OR″)2(式中、RはC1 〜C5 のアルキル基であり、R′はC1 〜C4 のアシル基であり、R″はC1〜C8 のアルキル基である)で表されるオルガノアルコキシシランの加水分解部分縮合体である。但し、両者とも複数の単量体を使用して縮合させる場合があり、R、R′及びR″が必ずしも同一の炭素数ではない。該アルコキシシラン加水分解縮合体は水溶液、溶剤溶液等の形で使用される。該アルコキシシラン加水分解縮合体としては、重量平均分子が400〜8, 000のもを使用するのが好ましく、重量平均分子が800〜5, 000のものを使用するのが一層好ましい。該アルコキシシラン加水分解縮合体は、主として、有機金属等の硬化触媒によって縮合架橋がなされるものである。
本発明において使用できるロジン変性フェノール、アルキド樹脂、ポリアミド、マレイン酸系樹脂や、紫外線やレドックス触媒で架橋可能な分子中に不飽和基を有するポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の重合性プレポリマー、エポキシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、あるいは、ポリグリコール類は公知であるので、ここに例示していない。
バインダー成分として用いる上記のような化合物類は、それぞれ単独で使用してもよいし、或いは、相溶性のある範囲においてそれらの化合物類の2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、バインダー成分として用いる上記のような化合物類は悪影響を受けない範囲で架橋剤又は重合触媒と混合して使用することも可能であり、具体的には、室温条件下では架橋反応が進行しないような架橋剤又は重合触媒、例えば、アミノプラスト架橋系、ブロックイソシアネート架橋系、紫外線架橋系等を用いることができる。しかし、室温条件下で架橋反応が進行する架橋剤又は重合触媒、例えば、イソシアネート架橋系、エポキシ架橋系、金属触媒架橋系、酸・塩基架橋系等を用いるとピエゾジェットプリンタのインク液滴の大きさが不安定になるので、好ましくない。
本発明で使用するインクは、少なくとも一種の着色顔料を含有しており、代表的な着色顔料として、酸化チタン、酸化鉄、複合酸化物(ニッケル・チタン系、クロム・チタン系、ビスマス・パナジウム系)、カーボンブラックなどの各種の無機系顔料や、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、アンスラピラミジン、フタロシアニン、スレン、ジオキサジンなどの各種の有機顔料がある。また、インク中に分散している着色顔料の平均粒子径については、一般的な多くの顔料の一次粒子径は60nm近辺であり、また、粒子同士の凝集も発生するので、60nm未満の平均粒子径を安定的に確保することは難しい。また、平均粒子径が1,000nmを超えると沈殿、インクジェットプリンタヘッドのノズル孔の詰まりの原因となる傾向があるので、平均粒子径1000nmを超える分散状態は好ましくない。従って、着色顔料の平均粒子径は、60〜1000nmの範囲内であるのが好ましく、80〜800nmの範囲内であるのが更に好ましく、160〜400nmの範囲内であるのがなお一層好ましい。
本発明で使用するインクは、溶剤として水又は有機溶剤を適宜含有する。有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール系溶剤;酢酸正プロピル、酢酸正ブチル、酢酸第二ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤;石油ベンジン、ゴム揮発油、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶剤が代表的なものとして挙げられる。
本発明で使用するインクは、以上に説明したバインダー、着色顔料及び溶剤を主成分とし、更に必要に応じて各種の体質顔料、添加剤、改質剤を適宜混合して使用することができる。各種の添加剤、改質剤としては、分散剤、沈殿防止剤、表面改質剤、紫外線吸収剤、水分捕捉剤、防腐剤、PH調整剤、界面活性剤等がある。この場合における各成分の配合割合は、バインダー4〜50重量%、着色顔料1〜30重量%、溶剤49〜95重量%であり、その他の成分はバインダーの固形分100重量部に対し0.1〜10重量部の範囲内で使用可能である。
本発明で使用するインクは、上述の各成分を混合、練合したのち、本発明の方法で使用するインクジェットプリンタのノズルの直径の約1/10以下のポアサイズを有するフィルターを用いて濾過、精製して得られる。本発明で使用するインクの粘度は、2〜12mPa・s(20℃)であるのが好ましく、4〜10mPa・s(20℃)であるのが一層好ましい。インクの粘度がこの範囲から外れると、ノズルから吐出されるインクが正常なドット状のインク滴となりにくい場合もあるので好ましくない。又、インクのその他の性状として、表面張力が20〜60ダイン/cmであり、比重が0.7〜1.5であることが好適である。
本発明でいう下層着色塗膜を有する基板とは、基材が外壁材や内装材に使用されるスレート板、木片セメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、軽量骨材混入セメント板、発泡コンクリート板、ガラス繊維強化セメント板、珪酸カルシウム板、炭酸マグネシウム板、又はその他の水硬性板材であり、その表面が平面であっても、あるいは凹凸に加工されていてもよい。又、下層着色塗膜とは基板の表面に予め施された塗装膜であり、焼付型、常乾型、活性エネルギー線硬化型等の有機溶剤系、水系、無溶剤系等の従来から公知の各種着色塗料の何れかのタイプの塗料の塗装によって得られるものや、これらと焼付型、常乾型、活性エネルギー線硬化型等の有機溶剤系、水系、無溶剤系等の従来から公知の基材補強プライマーの何れかのタイプの塗料との組み合わせによって得られる塗装膜である。
該下塗着色塗膜を施した建築用板材(以下、単に塗板という)をコンベアに載せて前方に搬送する。コンベアの上方にはインクジェットプリンタのプリンタヘッドを配備し、プリンタヘッドには、コンベアの巾方向全体に亘って、前記の口径の複数のノズルを前記のピッチで下向きに配置する。本発明の塗装方法においては、上記コンベアの幅方向に配列したピエゾ振動方式のインクジェットプリンタヘッドのノズル孔列をコンベアの移動方向の前後に複数列配置し、それぞれのノズル孔列から異色のインクを吐出させて多色塗装することもできる。
又、本発明の塗装方法においては、表面仕上がり外観の調整や耐久性の確保を目的として、柄模様を塗装した塗膜の全表面にクリヤー塗料を塗装することもできる。本発明で使用できるクリヤー塗料は、透明もしくは半透明のクリヤー塗料又は着色クリヤー塗料であり、該クリヤー塗料として、焼付型、常乾型、活性エネルギー線硬化型等の有機溶剤系、水系、無溶剤系等の従来から公知の各種クリヤー塗料の何れのタイプも有用に用いることができる。又、これらのクリヤー塗料には、艶消剤、顔料類、各種ビーズ類、金属粉、セラミック粉等をインク塗布面を隠蔽しない程度の量で混合使用することも可能である。これらの塗料は、公知のエアースプレー、エアレススプレー、フローコーター、ロールコーター等の塗装機を用いて塗装することが可能である。また、クリヤー塗料の塗装時期については、柄模様のインク面が未乾燥状態の時でも乾燥後でもよい。
次に本発明の実施の形態について図7〜図10並びに図11〜図13を参照して説明する。図11は本発明の実施の形態の一例を説明するための一部欠載概略正面図であり、図12は図11に示す実施の形態の右側概略側面図であり、図13は本発明の実施の形態の他の例を説明するための右側概略側面図である。図11及び図12に示すように、下層着色塗膜を予め施した基板7はコンベア8により前方に搬送される。コンベア8の上方には、図7〜図10に例示するような個々の構成素子からなるピエゾ振動方式のインクジェットプリンタヘッド9がコンベア8の幅方向全体にわたって配置されており、インクジェットプリンタヘッド9の個々の構成素子は、ノズル孔6(図7〜図10参照)が、例えば30〜150μmのピッチで配置されるように配列されている。インクジェットプリンタヘッド9の個々の構成素子のインク供給口1には、インクタンク10内の塗装用インク11を送り込むパイプ12が接続されている。図11においては、パイプ12は個々の構成素子の左端のもののみに接続されているが、これは図面を簡略化するためであり、実際には個々の構成素子の全てのものに接続されている。
塗装すべき柄模様に対応する柄パターンを記録したパターンデータ13をコンピュータ14にインプットする。コンピュータ14はインプットされたパターン9に基づきピエゾ振動素子制御装置15に制御信号を送信し、ピエゾ振動素子制御装置15はインクジェットプリンタヘッドの個々の構成素子のピエゾ振動素子3を振動制御する。コンベア8上の基板搬送路の両側の所定位置にそれぞれ投光器16と受光器17とを設けて光電管式センサーを構成し、検出信号をコンピュータ14に送信する。エンコーダ18はコンベア8の駆動ロール19に連結しており、極小回転角、例えば2000分の360度の極小回転角毎にコンピュータ14にパルス送信する。
上記のように構成された装置を用いて実施する本発明の実施の形態は次の通りである。表面が平面であるか、あるいは凹凸に加工されており、予め下層着色塗膜が形成されている被塗装用基板7(図11及び図12には、凹凸に加工された被塗装用基板を用いる場合を示している)を下塗りシーラー処理した後、コンベア8上を搬送させる。該基板7の前端部が所定位置に到達したことを光電管式センサーが検出して、検出コンピュータ14に送信する。一方、コンベア8の作動に併い、駆動ロール19に設けたエンコーダ18からパルスがコンピュータ14に発信されている。コンピュータ14は該センサからの信号により上記パルスを計数し始め、パルス数が予め記憶させた設定領域に至るとパルス数に応じて、前記の柄パターンのパターンデータ13に基づく制御信号を逐次ピエゾ振動素子制御装置15に送信指令し、これによりピエゾ振動素子制御装置15がインクジェットプリンタヘッド9の複数の構成素子のピエゾ振動素子を個別に制御振動させ、複数のノズル孔6から前記搬送中の基板7の表面の所要位置にインクを吐出して前記柄パターン13に基づく柄模様を描画する。この際、基板7とノズル孔6とは無接触であるので、基板7の表面に凹凸模様がある場合にも上記柄模様の描画が支障なく行われる。
基板7に多色の柄模様を塗装する場合には、図13に示すように、複数の上記と同様のインクジェットプリンタヘッド20,21,22,23をコンベア8の移動方向の前後に複数列配設し、これらのインクジェットプリンタヘッドのそれぞれの列に異なる色のインクを供給し、異色のインクを吐出させてコンベア8上を搬送される基板7の表面に多色の柄模様の塗装を行う。なお、本発明の塗装方法においては、インク塗布面のままでは、インク塗着膜厚が5μm以下で、又樹脂量も少ないため、耐擦傷性や耐久性が不充分であることもあり、クリヤー塗料を基板7へのインク塗布後、全面に塗布することが好ましい。本クリヤー塗料の塗装によって唯単に耐久性が向上するばかりでなく、光沢の調整や色の補正等仕上り外観をより高度なものにすることができるという効果もある。
(5)塗装装置の構成
次に、本発明の塗装方法に用いられる塗装装置の構成の一例を説明する。図14を参照すると、塗装装置200は、天然石などの対象物202を支持するための対象物支持手段204と、対象物202に関するデータを読み込むための対象物データ読み込み装置210と、塗装処理を制御するための中央処理装置(CPU)220と、基板250に塗装するための塗装実行手段240と、基板250を支持するための基板支持手段242とを備える。対象物202として、例えば、天然の大理石を、ほぼ直方体状に切断したものを準備する。次に、対象物202の1つの面を対象物支持手段204に配置する。対象物支持手段204は、例えば、光線を透過することが可能な透明な支持板で構成される。この透明な支持板はガラス、アクリルなどで形成されるのが好ましい。対象物データ読み込み装置210は、対象物202の表面にほぼ直角方向から光を照射するための照射手段212と、対象物202の表面の画像を連続的に読み込むための読み込み手段214と、対象物202の表面に対してX方向、或いは、Y方向に読み込み手段214を連続的に走査させて移動させるための移動手段216とを含む。対象物データ読み込み装置210は、スキャナなどで構成することができる。対象物データ読み込み装置210は、照射手段212により対象物202の表面にほぼ直角方向から光を照射し、読み込み手段214により連続的に対象物202の表面を掃引して、対象物202の表面の模様を画像データとして読み込むことができる。
中央処理装置(CPU)220は汎用コンピュータやパーソナルコンピュータで構成することができる。中央処理装置(CPU)220には、入力装置(キーボード、カードリーダ、ディスク読み取り装置など)、出力装置(プリンタ、ディスク書き込み装置、表示装置など)、記憶装置(ROM、RAM、ディスクタイプのメモリ、テープタイプのメモリなど)などを接続することができる。中央処理装置(CPU)220は、照射手段212の照射の動作を制御するための照射制御手段222と、読み込み手段214の読み込みの動作を制御するための読み込み制御手段224と、移動手段216の動作を制御するための移動制御手段226と、照射制御手段222及び読み込み制御手段224及び移動制御手段226の動作、すなわち、対象物データ読み込み装置210の動作を制御するためのデータ入力制御手段228と、データ入力制御手段226が出力する信号を受け入れて画像データを記憶するための画像データ記憶手段230と、画像データ記憶手段230が記憶している画像データを用いて画像データを処理するための画像データ処理手段232と、画像データ処理手段232が出力する信号を受け入れて塗装データを作成するための塗装データ作成手段234と、塗装データ作成手段234が出力する信号を受け入れて塗装作業を制御するための塗装制御手段238とを含む。必要に応じて、中央処理装置(CPU)220は、塗装データ作成手段234が出力する信号を受け入れて塗装データを記憶するための塗装データ記憶手段を含むように構成することができる。照射制御手段222、読み込み制御手段224、移動制御手段226、データ入力制御手段228、画像データ処理手段232、塗装データ作成手段234、塗装制御手段238は、動作の内容をプログラムしたソフトウェアとして中央処理装置(CPU)220にインストールすることができる。画像データ記憶手段230は、RAM、磁気ディスク、磁気テープなどで構成することができる。
画像データ処理手段232が実行する画像処理は、例えば、濃淡の調整、色の修正、縦横比の調整などを含む。塗装データ作成手段234が作成する塗装データは、例えば、模様データを配列させたり、模様データを拡大させたり、模様データを縮小させたり、模様データを回転させて傾いた状態で配置させたり、複数の模様データを組み合わせたりすることを含む。塗装実行手段240は、インクジェットプリンタで構成することができる。塗装制御手段238は塗装実行手段240の塗装動作を制御する。すなわち、塗装制御手段238は、塗装データ作成手段234が作成した塗装データを用いて塗装実行手段240、すなわち、インクジェットプリンタヘッドのノズル孔からのインク吐出の制御を行い、基板250の表面に所望の柄模様を描画出現させる塗装処理を行う。塗装処理のとき、塗装制御手段238は、基板250の表面に所望の柄模様を描画出現させるように基板支持手段242の動作を制御する。基板支持手段242は、例えば、コンベア、X−Yテーブルなどで構成される。必要に応じて、塗装制御手段238は、基板支持手段242の動作状態及び/又は基板250の動作状態を検出するセンサ手段(図示せず)を備えることができる。センサ手段は、エンコーダ、赤外線センサ、光センサなどで構成することができる。
図15は、大理石をスキャナにより直接読み込んだ模様データを用いて、本発明の塗装方法により塗装した基板の模様の配列の一例を示す正面図である。図15を参照すると、基板250の表面には、基準となる模様データにより作成した模様ユニット252が複数配列されている。すなわち、基板250の表面の上から2段目には、4個の模様ユニット252が横に並んで配置されている。基板250の表面の上から1段目には、上から2段目の模様ユニット252に対して横方向に半ピッチずらして、5個の模様ユニット252が横に並んで配置されている。ただし、基板250の表面の上から1段目では、左端の模様ユニット252hと、右端の模様ユニット252jは半分だけが描かれている。基板250の表面の上から4段目には、基板250の表面の上から2段目と同じような配列で4個の模様ユニット252が横に並んで配置されている。基板250の表面の上から3段目には、基板250の表面の上から1段目と同じような配列で模様ユニット252が横に並んで配置されている。以下、同様な配列で、基板250の表面に模様ユニット252が複数配列されている。模様ユニット252の配列は、例えば、模様ユニット252を拡大させたり、模様ユニット252を縮小させたり、模様ユニット252を回転させて傾いた状態で配置させたり、複数の模様ユニットを混在させて配置したりすることができる。
図16は、大理石をデジタル写真撮影した模様データを用いて、本発明の塗装方法により塗装した基板の模様の配列の一例を示す正面図である。基板250’の表面に、図15に示した配列と同様に、複数の模様ユニット252’が配列されている。基板250’の表面の上から1段目、上から3段目、上から3段目では、左端の模様ユニット252h’と、右端の模様ユニット252j’は半分だけが描かれている。
(1)塗料などの例
実施例で用いたシーラー塗料、中塗塗料、インクジェットプリンタ用インク及び上塗塗料(クリヤー)並びに中塗塗料の主剤成分に用いたアクリル樹脂ワニスは次の通りである。
(1・1)シーラー塗料
タケネートMP301(クルードジフェニル メタンジイソシアネートプレポリマー) 50.0重量% 酢酸ブチル 25.0重量% キシレン 25.0重量%からなる溶液100重量部を酢酸ブチル・キシレン(1:1)混合物200重量部で希釈したもの。
(1・2)アクリル樹脂ワニス
スチレン 15.0重量%アクリル酸メチル 21.5重量%アクリル酸n−ブチル 2.0重量%メタクリル酸ヒドロキシエチル 11.0重量%アクリル酸 0.5重量%キシレン 30.0重量%酢酸ブチル 20.0重量%になるように調製したもの。
(1・3)中塗塗料A
アクリル樹脂ワニス 50.0重量%酸化チタン(白) 15.0重量%酸化鉄(黄褐) 0.24重量%酸化鉄(赤錆) 0.02重量%カーボンブラック(黒) trace硫酸バリウム 7.74重量%酢酸ブチル 6.0重量%キシレン 21.0重量%からなる主剤100重量部と、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト 70.0重量%酢酸ブチル 30.0重量%からなる硬化剤10重量部と、酢酸ブチル・キシレン(1:1)混合物からなるシンナー30重量部とを混合して得られた粘度17〜18秒/イワタカップ、塗色1.8Y8.7/1.9(マンセル値)の、二液エナメル調合品。
(1・4)中塗塗料
アクリル樹脂ワニス 50.0重量%酸化チタン(白) 15.5重量%カーボンブラック(黒) 0.04重量%硫酸バリウム 7.46重量%酢酸ブチル 6.0重量%キシレン 21.0重量%からなる主剤100重量部と、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト 70.0重量%酢酸ブチル 30.0重量%からなる硬化剤10重量部と、酢酸ブチル・キシレン(1:1)混合物からなるシンナー30重量部とを混合して得られた粘度17〜18秒/イワタカップ、塗色7.2G8.4/0.2(マンセル値)の、二液エナメル調合品。
(1・5)インクジェットプリンタ用インク
顔料として表1に記載の顔料を表1に記載の量(重量%、以下同じ)で用い、バインダーとしてアルコキシシランを表1に記載の量で用い、分散剤としてポリプロピレングリコールを表1に記載の量で用い、溶剤としてイソプロピルアルコールを表1に記載の量で用い、表1に記載の分散部分をメディアミルで十分に分散させ、その後、調整部分と混合、攪拌した。その後250メッシュのフィルターを自然落下条件下で通過させて、原料インク(インク黄、インク赤及びインク黒)を調製した。それらの原料インクの性状は表1に記載の通りであった。
Figure 0004245502
尚、表1中のParmanent yellow HR はチバガイギー社製の商品名であり、Cromophtal Red A3Bはチバガイギー社製の商品名であり、BP1400はコロンビアカーボン社製の商品名であり、ポリプロピレングリコールは数平均分子量Mnが1380であり、重量平均分子量Mwが1960であるものであり、アルコキシシラン縮合物は、還流冷却器及び攪拌器を備えた反応器にメチルトリメトキシシラン100重量部、ジメチルジメトキシシラン30重量部、イソプロピルアルコール55重量部及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート20重量部を装入し、60℃で4時間反応させ、その後室温まで冷却し、アセチルアセトン20重量部を加えて得た加熱残分30%の樹脂溶液である。
上記で得たインク黄、インク赤及びインク黒を用い、表2に記載の組成(量は重量部)となるように混合して実施例1及び実施例2で用いるインクジェットプリンタ用混合インクA、B、C及びDを調製した。
Figure 0004245502
(1・6)上塗塗料(クリヤー)
メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルと γ−メタクロイルプロピルトリメトキシシラン との共重合物及びキシレン・イソプロピル アルコール(9:1)混合物からなる アクリルシリコン(加熱残分50%) 80.0重量% キシレン 15.0重量% イソプロピルアルコール 5.0重量%からなる主剤100重量部と、 ジイソプロポキシアルミニウム エチルアセトアセテート 5.0重量% イソプロピルアルコール 95.0重量%からなる触媒溶液10重量部と、酢酸ブチル・キシレン(1:1)混合物からなるシンナー20重量部とを混合して得られた触媒二液性クリヤー調合品。
(2)実施例1:
基材として石綿セメント平板(見かけ比重1.62)を用いた。この基材の表面に前記のシーラー塗料を塗布量80g/m2 (wet塗着量)となるようにエアレススプレー塗装し、その後100℃で3分間乾燥した。このシーラー塗装した表面に前記の中塗塗料Aを塗布量100g/m2 (wet塗着量)となるようにエアレススプレー塗装し、その後100℃で5分間乾燥した。
ジェットプリンタとして紀州技研工業株式会社製JET−HQを用い、ノズルとして1個のインク室に対して孔径50μmの3個のノズル孔を60μm間隔で設けた形式の径330μmのノズルをノズルの中心間距離1.5mmで配置して用い、コンベアの幅方向に配列したピエゾ振動方式のインクジェットプリンタヘッドのノズル孔列をコンベアの移動方向の前後に2列配置した図11に示す形式の装置を用いて、上記のようにして得た下層着色塗膜を有する基板をコンベアにより搬送しながら、大理石の柄模様に対応する柄パターンデータを予め記憶させたコンピュータの制御信号によって、インクジェットプリンタヘッドのノズル孔に直結するインク室の壁面のピエゾ振動素子の振動を制御してインク吐出を制御することにより、第1列のノズル孔列から前記の混合インクA100重量部とイソプロピルアルコール50重量部との混合物からなるジェットインクを塗布量15g/m2 (wet塗着量)で吐出させ、一方、第2列のノズル孔列から前記の混合インクB100重量部とイソプロピルアルコール50重量部との混合物からなるジェットインクを塗布量9g/m2 (wet塗着量)で吐出させて大理石の柄模様を塗装した。
上記のようにして得た大理石の柄模様を有する表面に前記の上塗塗料を塗布量80g/m2 (wet塗着量)となるようにエアレススプレー塗装し、その後120℃で15分間乾燥した。この様にして得られた基板は画質精度300〜320dpiで大理石の柄模様を有していた。
(3)実施例2:
基材として石綿セメント平板(見かけ比重1.62)を用いた。この基材の表面に前記のシーラー塗料を塗布量80g/m2 (wet塗着量)となるようにエアレススプレー塗装し、その後100℃で3分間乾燥した。このシーラー塗装した表面に前記の中塗塗料Bを塗布量100g/m2 (wet塗着量)となるようにエアレススプレー塗装し、その後100℃で5分間乾燥した。
ジェットプリンタとして紀州技研工業株式会社製JET−HQを用い、ノズルとして1個のインク室に対して孔径50μmの3個のノズル孔を60μm間隔で設けた形式の径330μmのノズルをノズルの中心間距離1.5mmで配置して用い、コンベアの幅方向に配列したピエゾ振動方式のインクジェットプリンタヘッドのノズル孔列をコンベアの移動方向の前後に2列配置した図11に示す形式の装置を用いて、上記のようにして得た下層着色塗膜を有する基板をコンベアにより搬送しながら、大理石の柄模様に対応する柄パターンデータを予め記憶させたコンピュータの制御信号によって、インクジェットプリンタヘッドのノズル孔に直結するインク室の壁面のピエゾ振動素子の振動を制御してインク吐出を制御することにより、第1列のノズル孔列から前記の混合インクC100重量部とイソプロピルアルコール50重量部との混合物からなるジェットインクを塗布量15g/m2 (wet塗着量)で吐出させ、一方、第2列のノズル孔列から前記の混合インクD100重量部とイソプロピルアルコール50重量部との混合物からなるジェットインクを塗布量9g/m2 (wet塗着量)で吐出させて花崗岩の柄模様を塗装した。
上記のようにして得た花崗岩の柄模様を有する表面に前記の上塗塗料を塗布量80g/m2 (wet塗着量)となるようにエアレススプレー塗装し、その後120℃で15分間乾燥した。この様にして得られた基板は画質精度300〜320dpiで花崗岩の柄模様を有していた。
本発明の塗装方法を用いて、自然物などの表面の模様などを再現した柄模様を有する基板を製造することができる。
模様データを作成する第1の方法を示すフローチャートである。 大理石を撮影し拡大プリントした引き伸ばし写真をスキャナによって読み込んだ模様データの例を示す図である。 模様データを作成する第2の方法を示すフローチャートである。 大理石をデジタル写真撮影しプリントアウトした写真の例を示す図である。 本発明の塗装方法において、対象物の表面の模様をスキャナにより直接読み込む方法を示すフローチャートである。 大理石をスキャナにより直接読み込みプリントアウトしたアウトプットデータの例を示す図である。 本発明で用いるピエゾ振動方式のインクジェットプリンタヘッドの個々の構成素子の一例を示す拡大概略断面図である。 本発明で用いるピエゾ振動方式のインクジェットプリンタヘッドの個々の構成素子の他の一例を示す拡大概略断面図である。 本発明で用いるピエゾ振動方式のインクジェットプリンタヘッドの個々の構成素子の更に他の一例を示す拡大概略断面図である。 本発明で用いるピエゾ振動方式のインクジェットプリンタヘッドの個々の構成素子の別の一例を示す拡大概略断面図である。 本発明の実施の形態の一例を説明するための一部欠載概略正面図である。 図11に示す実施の形態の右側概略側面図である。 本発明の実施の形態の他の例を説明するための右側概略側面図である。 本発明の塗装方法に用いられる塗装装置の構成の一例を示すブロック図である。 大理石をスキャナにより直接読み込んだ模様データを用いて、本発明の塗装方法により塗装した基板の模様の配列の一例を示す正面図である。 大理石をデジタル写真撮影した模様データを用いて、本発明の塗装方法により塗装した基板の模様の配列の一例を示す正面図である。
符号の説明
1 インク供給口
2 インク室
3 ピエゾ振動素子
4 振動板
5 ノズルプレート
6 ノズル孔
7 基板
8 コンベア
9 インクジェットプリンタヘッド
10 インクタンク
11 塗装用インク
12 パイプ
13 パターンデータ
14 コンピュータ
15 ピエゾ振動素子制御装置
16 投光器
17 受光器
18 エンコーダ
19 駆動ロール
20、21、22、23 インクジェットプリンタヘッド
202 対象物
204 対象物支持手段
210 対象物データ読み込み装置
212 照射手段
214 読み込み手段
216 移動手段
220 中央処理装置
222 照射制御手段
224 読み込み制御手段
226 移動制御手段
228 データ入力制御手段
230 画像データ記憶手段
232 画像データ処理手段
234 塗装データ作成手段
238 塗装制御手段
240 塗装実行手段
242 基板支持手段

Claims (2)

  1. 基板の塗装方法において、
    表面に凹凸がある自然物である対象物を準備する段階と、
    前記対象物の1つの面をスキャナの入力部に配置し、前記対象物の表面の模様をスキャナにより直接読み込む段階と、
    前記スキャナにより直接読み込んだ模様データを画像処理する段階と、
    前記画像処理した模様データを用いて、基板の表面に塗装するための塗装データを作成する段階と、
    前記塗装データを用いてインクジェットプリンタによって基板の表面に塗装処理を行う段階とを含み、
    前記画像処理する段階は、濃淡の調整、色の修正、縦横比の調整のうちの少なくとも1つを行うように構成されており、
    前記スキャナにより直接読み込む段階は、前記対象物の表面にほぼ直角方向から光を照射し、対象物の表面を連続的に移動させながら前記スキャナを走査させて、前記対象物の表面の画像を読み込み、その画像データを記憶するように構成される、
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記塗装データを作成する段階は、模様データを配列させたり、模様データを拡大縮小させたり、模様データを回転させたり、複数の模様データを組み合わせたりすることのうちの少なくとも1つを行うように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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