JP4243630B2 - 特に内燃機関の燃料噴射装置のための高圧ポンプ - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の上位概念に記載の形式の、特に内燃機関の燃料噴射装置のための高圧ポンプから出発する。

背景技術
内燃機関の燃料噴射装置のためのそのような高圧ポンプは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９８４４３２６号明細書から公知である。高圧ポンプは複数のポンプエレメントを備えており、ポンプエレメントはそれぞれポンプピストンを備えており、ポンプピストンはポンプ作業室を制限（画成）する。ポンプピストンは、回転駆動式の駆動軸によって、戻しばねの力に抗してストローク（往復）運動で駆動される。ポンプピストンは、少なくとも間接的にスリーブ状のタペットを介して駆動軸に支持されており、タペットは、高圧ポンプのケーシングの孔内でポンプピストンの運動方向で案内されている。戻しばねは、少なくとも間接的にポンプピストンおよびタペットに支持される。この場合戻しばねによって、ポンプピストンは、タペットに接触状態で保持され、またタペットは、駆動軸に接触状態で保持されるよう所望される。この場合タペットは、ピストンポンプの横方向力を受容する機能も、駆動軸に支持する機能も有する必要がある。特に駆動軸に対するタペットの支持が、タペット内で支承されたローラを介して行われる場合、タペットの構造が複雑になり、タペットはたとえば鋳造部品または鍛造部品として形成することができるが、大きな重量を有する。したがってガイド機能、ポンプピストンのための横方向力受容および駆動軸に対する支持機能は、個別的な構成部材に分配するよう所望される。この場合戻しばねは、全ての構成部材に作用するよう所望され、このことは構成部材の製造誤差に基づいて困難である。構成部材の間に遊びが存在すると、遊びは特にポンプピストンの運動方向転換領域（これは内側および外側の死点である）で現れ、これによって構成部材が互いに衝突するようになり、このことによって構成部材の磨耗が高められる。

発明の利点
これに対して請求項１の特徴部に記載の構成を有する本発明の高圧ポンプの利点によれば、横方向力受容の機能がタペットによって、また駆動軸に対する支持機能が支持エレメントによって満たされ、この場合弾性変形可能なばね受けによって、ポンプピストンおよびタペットに対する戻しばねの支持が、構成部材の製造誤差とは無関係に保証されている。

従属請求項には、本発明による高圧ポンプの有利な実施形態および改良形を記載した。

実施例の説明
次に本発明の実施例を図示し、詳しく説明する。

図１および図２には、内燃機関の燃料噴射装置のための高圧ポンプを示した。高圧ポンプはケーシング１０を備えており、ケーシング１０は複数部分から形成されており、ケーシング１０内に駆動軸１２が配置されている。駆動軸１２は、ケーシング１０内で、駆動軸１２の回転軸線１３方向でみて相互間隔を有する２つの支承位置を介して回動可能に支承されている。支承位置は、ケーシング１０の様々な部分に配置することができる。

両方の支承位置の間に位置する領域で、駆動軸１２は、回転軸線１３に対して偏心的に形成されたカム２６を備えており、ここではカム２６はマルチ型カム（Mehrfachnocken）として形成することができる。高圧ポンプは、ケーシング１０内に配置された、ポンプピストン３４を備えた単数または複数のポンプエレメント３２を備えており、ポンプピストン３４は、駆動軸１２によって、カム２６を介して、駆動軸１２の回転軸線１３に対して少なくとも実質的に半径方向でポンプピストン３４の長手軸線３５に沿って往復運動で駆動される。ポンプピストン３４は、ケーシング１０におけるシリンダ孔３６またはケーシング１０におけるインサート内で密に摺動可能に案内されていて、かつシリンダ孔３６において、駆動軸１２とは反対側の端面で、ポンプ作業室３８を制限する。ポンプ作業室３８は、ケーシング１０内で延びる燃料供給通路４０を介して、燃料供給部、たとえば搬送ポンプと接続されている。ポンプ作業室３８への燃料供給通路４０の開口に、ポンプ作業室３８に開口する入口弁４２が配置されており、入口弁４２は、ばね負荷された弁部材４３を備えている。さらにポンプ作業室３８は、ケーシング１０内で延びる燃料流出通路４４を介して出口と接続されており、出口はたとえば高圧アキュムレータ１１０と接続されている。ポンプ作業室３８への燃料流出通路４４の開口に、ポンプ作業室３８から開放する出口弁４６が配置されており、出口弁４６もまたばね負荷された弁部材４７を備えている。高圧アキュムレータ１１０と、単数または有利には複数のインジェクタ１２０とが接続されており、インジェクタ１２０を通って内燃機関のシリンダに燃料が噴射される。

ポンプピストン３４は、支持エレメント５０と、支持エレメント５０内で、駆動軸１２に向いた側で支承された円筒形のローラ５２とを介して、駆動軸１２のカム２６に支持されている。支持エレメント５０は、たとえばほぼ円筒形に形成されていて、かつ凹部５４を有しており、凹部５４内でローラ５２は回動可能に支承されている。ローラ５２の回転軸線５３は、駆動軸１２の回転軸線１３に対して少なくともほぼ平行に延びている。ポンプピストン３４は、支持エレメント５０に向いた側の端部で、残りのポンプピストン３４に対して拡径されたピストン脚部５６を備えており、ポンプピストン３４はピストン脚部５６の端面で、支持エレメント５０に接触している。

支持エレメント５０は、スリーブ状のタペット６０に嵌め込まれており、タペット６０は、高圧ポンプのケーシング１０の孔６２内で、ポンプピストン３４の運動方向で、つまりポンプピストンの長手軸線３５の方向で移動可能に案内されている。タペット６０は一貫して中空に形成されていて、かつ駆動軸１２に向いた側の端部領域を有しており、端部領域において、支持エレメント５０がタペット６０に僅かな隙間を有して収容されており、支持エレメント５０に、駆動軸１２とは反対側で、内向きに突入するリングカラー６４が接続しており、リングカラー６４は、支持エレメント５０に、駆動軸１２とは反対側で重畳する。

ポンプピストン３４に、ポンプ作業室３８を制限する端部からばね受け６６が被せ嵌められており、ばね受け６６はピストン脚部５６に支持されている。ばね受け６６と高圧ポンプのケーシング１０との間で、プレロード（予荷重）のかけられた戻しばね６８が配置されており、戻しばね６８はたとえば圧縮コイルばねとして形成されている。ばね受け６６は中央領域１６６で、ポンプピストン３４の長手軸線３５の方向でピストン脚部５６に接触する。周辺領域２６６でばね受け６６は、ポンプピストン３４の長手軸線３５の方向で、タペット６０における支持部としてのリングカラー６４に支持エレメント５０とは反対側で接触する。ばね受け６６は弾性的に成形されており、それも周辺領域２６６が中央領域１６６に対してポンプピストン３４の長手軸線３５の方向で可動に成形されている。図２には、ばね受け６６は弾性変形状態で図示した。非変形の出発状態で、ばね受け６６は、フラットに形成するか、または既に周辺領域２６６で図２に示したようなたわみを有することができる。ばね受け６６は、たとえば金属薄板から形成されていて、かつ有利には戻しばね６８よりも小さな剛性を有することができる。戻しばね６８によって、ばね受け６６を介してポンプピストン３４はピストン脚部５６で支持エレメント５０に接触保持され、支持エレメント５０はローラ５２で駆動軸１２のカム２６に接触保持される。さらに戻しばね６８によって、ばね受け６６を介してタペット６０はリングカラー６４で支持エレメント５０に接触保持される。ばね受け６６の弾性変形によって、ばね受け６６の、ピストン脚部５６に対する接触も、タペット６０のリングカラー６４に対する接触も保証され、しかも個々の構成部材の製造誤差に基づいて生じ得るような、ピストン脚部５６におけるばね受け６６のための接触面と、タペット６０のリングカラー６４におけるばね受け６６のための接触面とがポンプピストン３４の長手軸線３５の方向で互いにずれている場合でも保証される。戻しばね６８の、ばね受け６６よりも大きな剛性によって、ばね受け６６の弾性変形が得られるので、ばね受け６６は確実にピストン脚部５６にもタペット６０のリングカラー６４にも接触する。

ポンプピストン３４の吸込ストローク時（この場合ポンプピストン３４は戻しばね６８によって半径方向内向きに運動する）には、ポンプ作業室３８は、入口弁４２の開放状態で燃料供給通路４０を通って燃料充填され、この場合出口弁４６は閉鎖されている。ポンプピストン３４の搬送ストローク時（この場合ポンプピストン３４は駆動軸１２のカム２６によって戻しばね６８の力に抗して半径方向外向きに運動する）には、ポンプピストン３４によって、出口弁４６の開放状態で、高圧下の燃料は燃料流出通路４４を通ってアキュムレータ１１０に搬送され、この場合入口弁４２は閉鎖されている。

高圧ポンプを備えた内燃機関の燃料噴射装置を示す縦断面図である。 高圧ポンプの、図１の符号ＩＩで示した部分を示す拡大図である。

符号の説明

１０ ケーシング、 １２ 駆動軸、 １３ 回転軸線、 ２６ カム、 ３２ ポンプエレメント、 ３４ ポンプピストン、 ３５ 長手軸線、 ３６ シリンダ孔、 ３８ ポンプ作業室、 ４０ 燃料供給通路、 ４２ 入口弁、 ４３ 弁部材、 ４４ 燃料流出通路、 ４６ 出口弁、 ４７ 弁部材、 ５０ 支持エレメント、 ５２ ローラ、 ５３ 回転軸線、 ５４ 凹部、 ５６ ピストン脚部、 ６０ タペット、 ６２ 孔、 ６４ リングカラー、 ６６ ばね受け、 ６８ 戻しばね、 １１０ 高圧アキュムレータ、 １１６ 中央領域、 １２０ インジェクタ、 ２６６ 周辺領域

Claims (8)

1. 特に内燃機関の燃料噴射装置のための高圧ポンプであって、
   少なくとも１つのポンプエレメント（３２）が設けられており、該ポンプエレメント（３２）が、ポンプピストン（３４）を備えており、該ポンプピストン（３４）が、ポンプ作業室（３８）を制限しており、ポンプピストン（３４）が、少なくとも間接的に駆動軸（１２）によって、戻しばね（６８）の力に抗して往復運動で駆動されるようになっており、ポンプピストン（３４）が、少なくとも間接的にスリーブ状のタペット（６０）を介して駆動軸（１２）に支持されており、戻しばね（６８）が、少なくともポンプピストン（３４）に作用するようになっている形式のものにおいて、
   タペット（６０）に、支持エレメント（５０）が嵌めこまれており、該支持エレメント（５０）に、ポンプピストン（３４）が、駆動軸（１２）に向かって支持されており、支持エレメント（５０）が、少なくとも間接的に駆動軸（１２）に支持されており、戻しばね（６８）が、ばね受け（６６）を介してポンプピストン（３４）およびタペット（６０）に作用するようになっており、ばね受け（６６）が、ポンプピストン（３４）の運動方向で弾性変形されており、該ばね受け（６６）の弾性変形によって、ポンプピストン（３４）に対するばね受け（６６）の接触面（５６）の位置とタペット（６０）に対するばね受け（６６）の接触面（６４）の位置との偏差が補償されるようになっていることを特徴とする、高圧ポンプ。
2. 戻しばね（６８）によって、タペット（６０）が、支持エレメント（５０）に接触状態で保持されている、請求項１記載の高圧ポンプ。
3. タペット（６０）が、支持エレメント（５０）のための、内向きに延びる支持部（６４）を備えており、該支持部（６４）でタペット（６０）が、駆動軸（１２）に向かって支持エレメント（５０）に接触している、請求項２記載の高圧ポンプ。
4. ばね受け（６６）が、中央領域（１６６）で、ポンプピストン（３４）に作用するようになっていて、かつ周辺領域（２６６）で、タペット（６０）に作用するようになっている、請求項１から３までのいずれか１項記載の高圧ポンプ。
5. ポンプピストン（３４）が、支持エレメント（５０）に向いた側の端部で、該端部を除くポンプピストン部分に対して拡径されたピストン脚部（５６）を備えており、該ピストン脚部（５６）に、ばね受け（６６）が作用するようになっている、請求項４記載の高圧ポンプ。
6. ばね受け（６６）が、戻しばね（６８）よりも小さな剛性を有している、請求項１から５までのいずれか１項記載の高圧ポンプ。
7. 駆動軸（１２）に向いた側で支持エレメント（５０）にローラ（５２）が回動可能に支承されており、該ローラ（５２）が、駆動軸（１２）に沿って転動するようになっている、請求項１から６までのいずれか１項記載の高圧ポンプ。
8. 支持エレメント（５０）が、少なくともローラ（５２）の支承部（５４）の領域で、磨耗防止層を備えている、請求項７記載の高圧ポンプ。

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