JP4242335B2 - 振動起動無線装置,構造物検査システム及び構造物検査方法 - Google Patents
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上述した従来の構造物検査装置は、送信子及び受信子を、コンクリート構造物等の被検査物の表面に密着させて設置し、送信子から弾性波パルス信号(振動)をコンクリート構造物内に伝搬させ、被検査物内の欠陥から反射されてくるエコー信号を、上記受信子により検出し、そのエコー信号の特性(大きさ、弾性波パルス信号の入力からの時間ずれ、時間幅、周波数成分の変化など)から、異常部の大きさ,位置を推定することが可能である。
また、特許文献1に示す構造物検査装置にあっては、コンクリート構造物内の欠陥が小さい場合、音波の反射がノイズレベルに近く、エコー信号として検出し難いため、欠陥が認識されずに見逃されてしまうという問題がある。
また、特許文献1に示す構造物検査装置にあっては、電車やジェットコースターの走行音がエコー信号に重畳し、解析を困難とするため、電車やジェットコースターの走行中、欠陥の検出処理が行えないという問題がある。
本発明の構造物検査方法は、上記構造物検査方法において、構造物内部に予め決められて把握されている振動起動無線装置の位置がマトリクス状態である構造物検査方法である。
本発明のプログラムは、上記プログラムにおいて、構造物内部に予め決められて把握されている振動起動無線装置の位置がマトリクス状態であり、この位置のデータが含まれるプログラムである。
このように構造物内部に埋め込まれている振動起動無線装置の位置がマトリックス状である場合は、それらの位置に周期的かつ規則性があるため位置把握・結果の解析が容易である。
本発明の記録媒体は、上記各プログラムのいずれかが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
以下、本発明の第1の実施形態による構造物検査装置を図面を参照して説明する。図1は同第1の実施形態による構造物検査装置の構成例を示すブロック図である。
この図において、振動起動無線装置1は、たとえば、アクティブ型の非接触ICタグまたはICカードなどの非接触IC媒体であり、コンクリート構造物2内部に3次元マトリクス状、すなわち高さ方向及び深さ方向に対して、予め決められて把握されている位置において各々複数配置されている。
ここで、上記振動起動無線装置1は、例えば、コンクリート構造物2の鉄筋を組み立てた際、このコンクリート構造物2内部において3次元マトリクス状の配置となるように、この鉄筋に取り付けられた後、コンクリートが流し込まれる工程により、コンクリート構造物2内部に埋め込まれる。
上記振動発生部4の発生する振動としては、超音波等を用いることが可能である。
図2に示す時系列に測定された測定結果の一覧表群が、各コンクリート構造物2単位に各々、上記データベース9に記憶される。
測定位置番号と、振動起動無線装置1の配置情報との交差部分の欄に、その測定位置に振動を与えたときに、対応する振動起動無線装置1が起動した場合「1」が書き込まれ、起動しない場合に「0」が書き込まれ、起動の有無が所定の符号により分類されることになる。
また、振動起動無線装置1の配置情報は、例えば、図3に示すように、m−p−qの構成をしており、図1において振動発生部4が配置される測定位置が規定される2次元平面がx−y平面であるとすると、mがz方向(深さ方向)の層番号を示し、pがy方向(高さ方向)の行番号を示し、qがx方向(幅方向)の列番号を示しており、コンクリート構造物2内の各振動起動無線装置1の3次元における位置を示している。
振動起動無線装置1は、コンクリート構造物2内を伝搬する振動の周波数に共振して、すなわち測定に用いられる超音波などの特定の周波数に共振し、振動の強度を増幅する共振部11(必要に応じて付加するようにしても良い)と、この増幅された振動を電力に変換する(振動エネルギを電気エネルギに変換する)振動・電力変換回路12と、振動・電力変換回路12の出力する電圧が予め設定された電圧を超えた場合、送信回路14に無線信号を発信させる制御信号を出力する制御回路13と、制御回路13からの制御信号が入力されると、内部に記憶された(製造時に書き込まれる)識別情報を付加して無線信号を、アンテナを介して発信する送信回路14とを有している。
ここで、超音波などの特定の周波数に共振する共振部11を設けた場合、測定時に供給する振動の周波数のみで振動起動無線装置1が起動されるため、構造物に対して他の異なる周波数の振動が存在しても、異常検出の測定を行うことが可能である。
さらに、振動起動無線装置1毎の制御回路13に設定されている、無線信号を発信させる周期は、複数の振動起動無線装置1からの無線信号の衝突を避けるため、1つのコンクリート構造物2に埋め込まれる振動起動無線装置1毎に異なるようにしてもよい。
上記識別情報は、コンクリート構造物2の建設時において、コンクリート構造物2内部に配置される配置情報に対応して、構造物検査装置3のデータベース9に配置テーブルとして記録される。
使用する背景技術として、振動・電力変換回路12に圧電セラミックを用いた非接触ICタグが考えられる。
この非接触ICタグを駆動するための電気エネルギが、数十mWの電力(例えば、動作電圧を+2.5Vとし、駆動電流を3.5mA程度とする)とする場合、この電力を圧電セラミックにより発生できれば十分であることになる。
以下に示す(1)式は、圧電セラミック(バイモルフ型発電機)の簡易論理モデルから導かれる出力電流を与える。
Io=jωAo,Ao= {d31・W・L・(1+β)・So}/{2・s11E} …(1)
この(1)式において、Io:出力電流、ω:角周波数、d31:圧電定数、W:圧電セラミックの幅、L:圧電セラミックの長さ、β:(振動の)減衰比、So:歪量の最大値、s11E:電界一定の場合の弾性コンプライアンスである。
このため,上記(1)式から求められる電流Ioと適切な抵抗値を選び回路設計すれば、十分な電圧及び電流(電力)を得ることが可能である。そこで、これ以降では,上記式のIoのみを検討する。
例えば、圧電セラミックの標準材料特性より、上記(1)式に必要なパラメータは、以下のような数値を取る。
圧電ひずみ定数(圧電定数)d31(単位;[10−12m/V]) → −130〜−230、
弾性コンプライアンス(弾性定数)s11E(単位;[10−12m2/N]) → 12〜16、
また、(1)式のAoを求める式における他のパラメータとして、超音波を与え続けるとの測定条件を想定するならば、振動は減衰しないのでβ=0となり、圧電セラミックの幅(W)と圧電セラミックの長さ(L)それぞれを、共に10mm(すなわち、10[10−3m]とし、歪量の最大値(So)をおおよそ1/100と仮定する。
Ao={d31・W・L ・(1+β)・So}/{2・s11E}
={−180・10・10・(1+0)・1/100}/{2・14}
={−180・10・10/100}/{28}
=−180/28
≒−6.4×10−6[m・N/V] …(2)
が求められる。
そこで、この同じ超音波の周波数が0.5MHzの場合、Io=jωAoにこの周波数と(2)式の結果を代入すると、
Io=jωAo=j・(2π・0.5×106)・(−6.4×10−6)
=j・π・(−6.4)
=j・(−6.4π)[A] …(3)
の電流が求められる。
また、(3)式における計算の最終行における単位の変換について少し述べる。
基本単位の乗除で表される組立単位により、各単位は以下のように与えられる。
周波数 [Hz]=[1/s]
エネルギ [J]=[N・m] ; 力[N]=[J/m]
電荷 [C]=[A・s]→[A]=[C/s]
電圧 [V]=[J/C]→[C]=[J/V]
したがって、上述した(3)式において、
電流[A]=[C/s]=[J/(V・s)]
=[N・m/(V・s)]=[m・N・Hz/V]
の関係が用いられている。
・コンクリートが表面から見通した振動起動無線装置1の面積S-tagを10×10[mm2]、すなわち、102[10−6m2]とする。
・コンクリート表面より、深さ方向へ半球状に超音波が拡散すると仮定すれば、
球体S-globeの表面積(4π(0.3)2)[m2]の半分で除算することにより、振動起動無線装置1まで伝播する超音波の強度が求められ、これに比例した電流が振動起動無線装置1の振動・電力変換回路12により生成される。
Io=jωAo・S-tag / {(1/2)・ S-globe}
=j・(−6.4π)・(102×10−6)/{(1/2)・4π(0.3)2}
=j・(−6.4)×10−4/{2・0.09}
=j・(−3.6)[10−3A]
=j・(−3.6)[mA] …(4)
が電流を生成、すなわち圧電セラミックによるバイモルフ型発電機を用いることで、振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。
また、上述した計算においては、コンクリート構造物2のコンクリート表面から、深さ0.3mとしているが、さらにより深いコンクリート内部も、必要な振動強度を与えることで測定は可能と考えられる。
その理由は,上記の計算では超音波の伝播が完全な半球状とし、これには超音波発生器とコンクリート表面との接触が理論上の集中点を仮定している。
しかし、実際の超音波発生器とコンクリートとの接触面積は、直径数〜十数cm程度あるので、垂直方向には超音波が半球状よりも拡散が抑えられ、その分の超音波のパワーがより深い方向へと伝わるためである。
まず、鉄筋コンクリートを用いた構造物、例えばコンクリート構造物2の建設施工の段階において、振動起動無線装置1を埋め込む。
なお,鉄筋コンクリート構造物(住宅)の施工の流れは次の通りである。
1.基礎工事(構造物の基礎部分の工事)
↓
2.外壁型枠の組立(基礎の上に登用型枠を組み立てる)
↓
3.鉄筋の組立(外側の型枠の内側に鉄筋を縦横に配置する)
↓
4.断熱材の取付(断熱ボードを内壁全面に取り付ける)
↓
5.天井部分の組立(型枠の天井部分にも断熱ボードを取り付ける)
↓
6.型枠の完成(上部まで型枠工事を完了)
↓
7.コンクリートの流し込み(コンクリートを型枠内の隅々まで流し込む)
↓
8.型枠の解体(コンクリートの硬化後、型枠パネルを取外す)
↓
9.完成(鉄筋コンクリート住宅の完成)
(1)第1の埋込み方法としては、鉄筋コンクリートで構成されるコンクリート構造物2を施工する際に、鉄筋を組立の段階がある。
この段階において、組立てた鉄筋に振動起動無線装置1を取り付け位置に固定し、その後、コンクリート打込(流し込み)を行うことにより、所望の3次元マトリクス状となる配置位置に埋め込むことができる。
すなわち、コンクリート打込を複数の段階に分け(3次元マトリクスの高さ方向y軸の列数に対応した段階)、その段階の間に、先に打込を終えたコンクリート上へ、配置位置を指定して、振動起動無線装置1を挿入(配置)する。
順次この処理を繰り返していくことにより、振動起動無線装置1を配置後のコンクリート打込みにより、この配置した挿入した振動起動無線装置1が完全にコンクリート中に埋め込まれ、所望の3次元マトリクス状となる配置位置に埋め込むことができる。
また、各コンクリート構造物2で同様に、振動起動無線装置1を所定の位置に埋込み、このとき、配置情報とその位置に埋め込んだ振動起動無線装置1の識別情報との対応を、各コンクリート構造物2毎に配置テーブルとして、指示操作及び表示部7によりデータベース9に書き込む。
このとき、各振動起動無線装置1は、所定の振動が与えられることにより起動し、自身の識別番号を付加した無線信号を発信する。
そして、解析部8は、順次入力される識別情報を、上記配置テーブルを参照して、対応する配置位置番号へ変換し、図2の測定結果の一覧表の対応する、測定位置番号及び配置位置番号の位置にある欄に「1」を書き込む。
ここで、データベース9の上記一覧表の初期状態において、各測定位置番号及び配置位置番号に対応する、無線信号が受信されたか否かの結果を記述する欄は全て「0」となっている。
この測定位置番号は、測定位置に振動発生部4を配置した時点で、利用者が指示操作及び表示部7から入力する。
このとき、設定及び制御部5が利用者により振動の供給を開始し、解析部8が無線信号の入力されている全ての振動起動無線装置1からの無線信号を、同一の振動起動無線装置1から2回以上(複数回)入力されたことを検出し、検出結果を設定及び制御部5へ出力し、制御部5が検出結果を入力したことを検出して振動の供給を停止させる。
そして、上述した初期測定を各測定位置毎に行い、1つのコンクリート構造物2が終了すると、次のコンクリート構造物2に対して同様の測定を行い、解析部8はこれらの測定毎に入力される測定結果を、初期値の一覧表(これ以降は、この1回の検査結果をコンクリート構造物2単位と呼ぶこととする)に順次書き込む。
上記所定の範囲は、コンクリート構造物2の材料特性において、実験的に求められた、振動起動無線装置1が起動する振動のエネルギが伝搬する範囲を示している。
このとき、解析部8は、データベース9にある解析対象の全てのコンクリート構造物2に対して上記検出を行った後、各コンクリート構造物2における全ての測定位置において所定の範囲にある振動起動無線装置1の所定数から無線信号が入力されていることを検出した場合、対応するコンクリート構造物2に対する処理をステップS4へ進め、一方、いずれかの測定位置において所定の範囲にある振動起動無線装置1の所定数から無線信号が入力されないことを検出した場合、対応するコンクリート構造物2に対する処理をステップS9へ進める。
このとき、解析部8は、データベース9にある全てのコンクリート構造物2に対して上記検出を行った後、他のコンクリート構造物2と所定の比率で一致したことを検出した場合、このコンクリート構造物2に対する処理をステップS5へ進め、一方、他のコンクリート構造物2と所定の比率で一致しないことを検出した場合、このコンクリート構造物2に対する処理をステップS9へ進める。
このとき、各振動起動無線装置1は、所定の振動が与えられることにより起動し、自身の識別番号を付加した無線信号を発信する。
そして、解析部8は、順次入力される識別情報を、上記配置テーブルを参照して、対応する配置位置番号へ変換し、図2の測定結果の一覧表の対応する、測定位置番号及び配置位置番号の位置にある欄に「1」を書き込む。
ここで、データベース9の上記一覧表の初期状態において、各測定位置番号及び配置位置番号に対応する、無線信号が受信されたか否かの結果を記述する欄は全て「0」となっている。
この測定位置番号は、測定位置に振動発生部4を配置した時点で、利用者が指示操作及び表示部7から入力する。
このとき、設定及び制御部5が利用者により振動の供給を開始し、解析部8が無線信号の入力されている全ての振動起動無線装置1からの無線信号を、同一の振動起動無線装置1から2回以上(複数回)入力されたことを検出し、検出結果を設定及び制御部5へ出力し、設定及び制御部5が検出結果を入力したことを検出して振動の供給を停止させる。
ここで、一覧表は、コンクリート構造物2毎に独立したホルダにおいて、構造定期診断の測定の度に、初期測定の一覧表の後に、測定順に時系列に別のファイルとして、解析部8により生成される。
このとき、解析部8は、一覧表のデータパターンが異なっておらずに一致することを検出した場合、このコンクリート構造物2に対する解析処理をステップS7へ進め、一覧表のデータパターンが異なっていることを検出した場合、このコンクリート構造物2に対する解析処理をステップS9へ進める。
このとき、解析部8は、データベース9にある全てのコンクリート構造物2に対して上記検出を行った後、他のコンクリート構造物2と所定の比率で一致したことを検出した場合、このコンクリート構造物2に対する処理をステップS8へ進め、一方、他のコンクリート構造物2と所定の比率で一致しないことを検出した場合、このコンクリート構造物2に対する処理をステップS9へ進める。
(このステップS9においては、補修作業等を繰り返したコンクリート構造物2における振動起動無線装置1からの無線信号のデータパターンが、他のコンクリート構造物2と大幅に異なる場合を検出するために行う。)
これにより、利用者は、表示された予定に対応して、コンクリート構造物2の定期診断として測定を行う。
これにより、利用者は、異常があると通知されたコンクリート構造物2に対して、他の方法により詳細な診断を行い、検出された異常箇所に対して適切な処理を施す。
すなわち、利用者は、新たな定期診断の間隔により、解析部8が指示操作及び表示部7に表示する次の定期診断の予定に従いステップS9の処理を行う。
(1)構造物を建設した時(ステップS1,S2,S3,S4からなるステージ)
建設時に振動起動無線装置1を埋め込み、その振動起動無線装置1からの無線信号の受信の有無の測定を行う。
そして、埋め込んだ多数の振動起動無線装置1タグから受信がある(またできれば同じ構造物が他にすでにあって、その測定結果の一覧表と比較して著しい違いがない)ならば、次回の定期診断まで安心できる。
最初にこの技術を導入する特別なケースにおいては、他の診断と合わせて、どの程度の範囲(表面からの深さや振動発生部4を当てた位置から、x,y及びz方向にどの位の領域に埋め込んだタグからの受信があれば良いのか検証を行う必要がある)。
各コンクリート構造物2に対して定期的な診断を行い、建設時や過去に測定した一覧表のデータパターンとの比較し、(また,他の同じ構造の他のコンクリート構造物2の一覧表のデータパターンとも比較して)診断(異常箇所の解析処理)を行う。
比較結果が同じと検出されれば、コンクリート構造物2の状況が良好であることが検出できる。
この定期的な診断は、従来例のように、与えた振動信号に対するエコー信号の波形解析などを必要としない簡易なものであり、定期診断に要する時間を短縮することができる。
上述した定期診断において、過去のデータや同様構造の他のコンクリート構造物2との一覧表のデータパターンと、定期診断で測定した一覧表のデータパターンとの違いが検出された場合、異常が検出されたとして、違う診断手法でより詳細な測定を行う。その詳細な測定の結果から補強工事など実施するケースもある。
また、異常と検出され、補強工事などが実施されたコンクリート構造物2に対して、その後の定期診断の間隔を短くし、一覧表のデータパターンの変化、すなわちコンクリート構造物2の異常の経過をより綿密に測定することとなる。
第2の実施形態は、第1の実施形態と異なり、図1に示すコンクリート構造物2のような構造物内部に埋め込むのではなく、図5に示す鉄道のレール22の下部に敷かれる枕木20や、図6に示す遊園地のジェットコースター31のレール32を支持する支持部30へ、振動起動無線装置1を取り付けて使用する構成である。
しかしながら、第2の実施形態において、振動起動無線装置1は第1の実施形態と同様の構成である。
構造的にことなる点は、図5の構成において、走行時における電車21の車輪23とレール22との接触による振動を、振動起動無線装置1を起動する振動として使用し、また、 図6の構成において、走行時におけるジェットコースター31の車輪33とレール32との接触による振動を、振動起動無線装置1を起動する振動として用いるため、第2の実施形態の構造物検査装置3では、第1の実施形態にある振動発生部4及びこれを制御するための設定及び制御部5は構成として不要である。
上述した構成により、この第2の実施形態による構造物検査装置3は、電車21やジェットコースター31に搭載され、リアルタイムに枕木20や支持部30の異常の検出処理を行う。
例えば、枕木20の下部の砂利が雨で流れてしまった場合を想定すると、この場合の周波数の振動によっては振動起動無線装置1は起動せず、異常ということになる。
こうすることで、振動起動無線装置1は、あらかじめ設定されている正常な周波数の振動を与えられることにより、共振部11が振動を増幅し、振動・電力変換回路12へ供給するため、これにより起動され、起動情報に自身の識別情報を付加して発信する。
構造物検査装置3において、受信部6は振動起動無線装置1からの無線信号を受信し、識別情報をこの無線信号から抽出し、解析部8へ出力する。
解析部8における処理は、第1の実施形態と同様であり、振動起動無線機1を設置した初期測定を行い、定期診断において初期測定及び過去のデータパターンが異なるか否かにより、異常部分の検出を行う。
また、解析部8は、入力する識別情報に対応した配置位置を、上記配置テーブルを参照することにより抽出し、配置位置に対応させて一覧表へ無線信号の発信の有無を書き込む。
図6においては、第1の実施形態の構造物単位に対応する部分として、振動が伝搬する範囲において、形状の近い領域を選択して対応させ、領域内における測定位置は図5と同様にレールにマーク(例えば磁気テープ)を設けて、構造物検査装置3がこのマークを読み込むことで測定位置の測定位置番号を検出する。
当然、電車の場合と同様に、ジェットコースターは出発地点からの走行距離(経過時間)により測定位置を把握できる。さらに振動起動無線装置1の無線信号に含まれる識別情報から判断される。
また他の測定位置の把握と仕方としては次のようなものが考えられる。
電車は駅からの走行距離(経過時間)により測定位置を把握できる。振動起動無線装置1の無線信号に含まれる識別情報(これは同無線装置毎に違う)により測定位置を特定できる。仮にある無線装置からの無線信号が観測できない場合は、その位置の前後の無線装置からそれぞれの識別情報を持つ無線信号が測定されるため、それらの位置の間にあるはずの無線装置からの無線信号のみが観測ができなかったことも判断できる。
(a)診断測定装置を搭載した電車21や、ジェットコースター31の運転回数を増やすことで、定期診断の回数を実質的に増加させる。
(b)これまで、構造物検査装置3を搭載していない電車21やジェットコースター31へ、新たに構造物検査装置3を搭載して運転させることで、定期診断の階数を実質的に増加させる。
(c)これまで、構造物検査装置3搭載の電車21やジェットコースター31で測定したデータは全て記録するわけでない(記録データ量が非常に多くなるなどの理由から)。
したがって、振動起動無線装置1の設置や運転間隔をそのままとし、測定したデータを履歴として残し、比較診断する頻度を増加させる。
2…コンクリート構造物
3…構造物検査装置
4…振動発生部
5…設定及び制御部
6…受信部
7…指示操作及び表示部
8…解析部
9…データベース
11…共振部
12…振動・電力変換回路
13…制御回路
14…送信回路
Claims (9)
- 振動として与えられる特定の周波数の振動に共振し、当該特定の周波数の振動を増幅する共振部と、
増幅された前記振動の振動エネルギを電気エネルギに変換する振動・電力変換部と、
前記電気エネルギにより、自身の識別情報を含む無線信号を周期的に発信する発信部と、
前記振動・電力変換部が出力する電気エネルギが予め設定された電圧値を超えたことを検出した場合、前記発信部を起動させて無線信号を発信させる制御部と
を有することを特徴とする振動起動無線装置。 - 構造物に設けられた請求項1記載の振動起動無線装置に所定の振動を与え、起動した振動起動無線装置が発信する無線信号により、前記構造物の欠陥を検出する構造物検査装置であり、
前記無線信号を受信する受信部と、
建設直後において前記構造物の所定の測定位置にて振動を与え、測定位置毎に起動した振動起動無線装置からの無線信号の有無を初期データとして記憶するデータベースと、
前記位置毎に信号を与え、前記振動起動無線装置からの無線信号の有無の結果を前記データベースと比較し、構造物の欠陥の位置を検出する解析部と
を有することを特徴とする構造物検査装置。 - 前記構造物が橋梁または建築物あるいは堤防であり、
前記所定の振動として、超音波を用いること
を特徴とする請求項2記載の構造物検査装置。 - 前記構造物が車両の走行するレールを支持するものであり、
前記所定の振動として、前記車両が走行する際に発生する前記車両の車輪と前記レールとの接触による振動であること
を特徴とする請求項2に記載の構造物検査装置。 - 前記振動起動無線装置は複数設けられ、前記無線信号を発信する周期として互いに異なる周期が設定されていること
を特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の構造物検査装置。 - 前記構造物内部に予め決められて把握されている位置が3次元マトリクス状であることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の構造物検査装置。
- 構造物の予め決められて把握されている位置に設けられた請求項1に記載した振動起動無線装置に所定の振動を与え、起動した振動起動無線装置が発信する無線信号により、前記構造物の欠陥を検出する構造物検査方法であり、
起動した振動起動無線装置からの前記無線信号を受信部により受信する受信処理と、
建設直後において前記構造物の所定の測定位置にて振動を与え、測定位置毎の信号起動無線装置からの無線信号の有無を初期データとして記憶する過程と、
前記測定位置毎に振動を与え、前記振動起動無線装置からの前記無線信号の有無の結果を前記初期データと比較し、構造物の欠陥の位置を検出する解析過程と
を有することを特徴とする構造物検査方法。 - 前記信号起動無線装置は複数設けられ、前記無線信号を発信する周期として互いに異なる周期が設定されていること
を特徴とする請求項7記載の構造物検査方法。 - 前記構造物内部に予め決められて把握されている位置が3次元マトリクス状であることを特徴とする請求項7に記載の構造物検査方法。
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