JP4698466B2 - 橋脚の健全性評価システムとその健全性評価プログラム - Google Patents
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Description
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、橋脚(B2)の健全性を評価する橋脚の健全性評価システムであって、河川(R)の水位(H)が所定高さを超えたときに前記橋脚の振動を検出する振動検出部(2a)の出力信号を高速フーリエ変換処理して、この橋脚の卓越振動数を演算する演算部(2g)と、前記演算部が演算した前記橋脚の卓越振動数に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定する特定部(2k)と、前記特定部が特定した前記橋脚の固有振動数に基づいてこの橋脚の安定性を評価する評価部(2n)とを備え、前記特定部は、前記演算部が演算した前記橋脚の卓越周波数のうち、前記橋脚が健全な状態であるときにこの橋脚に衝撃荷重試験を実施して予め測定したこの橋脚の固有振動数に対応する卓越周波数をこの橋脚の固有振動数として特定することを特徴とする橋脚の健全性評価システム(1)である。
図1は、この発明の実施形態に係る橋梁の健全性評価システムの使用状態を示す側面図である。図2は、この発明の実施形態に係る橋梁の健全性評価システムの使用状態を示す正面図であり、図2(A)は橋脚が安定状態であるときの正面図であり、図2(B)は橋脚が不安定状態であるときの正面図である。図3は、この発明の実施形態に係る橋梁の健全性評価システムの構成図である。
図4に示す縦軸は、加速度スペクトル(10-6gal*sec)であり、横軸は振動数(Hz)である。太線は、低水時(水深0m)の橋脚微動のフーリエスペクトルを示す波形であり、細線は増水時(水深2.7m)の橋脚微動のフーリエスペクトルを示す波形であり、いずれも実際の鉄道橋梁の橋脚微動を測定して周波数解析した波形である。図4に示すように、低水時には橋脚の固有振動数の応答が明瞭ではないが、増水時には橋脚が揺すられるために橋桁の固有振動数の応答よりも橋脚の固有振動数の応答のほうが明瞭になる。増水時の波形には、加速度スペクトルが極大となる4つの卓越振動数f1〜f4が存在するが、フーリエスペクトルからだけではこれらの卓越振動数f1〜f4のいずれが橋脚の固有振動数に対応するのか不明である。このため、橋脚に重錘を衝突させて橋脚の固有振動数を測定する衝撃荷重試験を実施して橋脚の固有振動数を予め特定しておき、増水時の橋脚の卓越振動数f1〜f4を演算したときに、演算後の卓越振動数f1〜f4のいずれが橋脚の固有振動数に対応するかを判断することができる。図4に示す波形では、橋桁の固有振動数は3.5Hzであり、橋脚の固有振動数は11.3Hzであるが、増水時の卓越振動数f1〜f4を演算することによって、4つの卓越振動数f1〜f4のうちの一つの卓越振動数f3が橋脚の固有振動数に対応することが分かる。このように、特定部2kは、河川Rの水位Hが所定高さを超える増水時の橋脚B2の卓越振動数f1〜f4を、衝撃試験などによって予め特定されている橋脚B2の固有振動数と照合して、複数の卓越振動数f1〜f4のうち卓越振動数f3が橋脚B2の固有振動数であると特定する。
図6は、この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの健全性評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図3に示す制御部2tの動作を中心として説明する。
図6に示すステップ(以下、Sという)100において、河川Rの水位Hの検出開始を水位検出部2cに制御部2tが指令する。計時部2iが所定時間毎に動作開始信号を制御部2tに出力すると、健全性評価装置2A全体への電力の供給開始を制御部2tが電源部2qに指令し、水位検出部2cが河川Rの水位Hの検出を開始して水位検出信号を信号処理部2dに出力する。
図7は、この発明の実施形態に係る橋脚の健全性評価システムの表示装置の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図3に示す制御部3eの動作を中心として説明する。
図7に示すS200において、データ送信を制御部3eが通信部3aに指令する。図1及び図2に示すように、橋脚B2の健全性を確認するときには、利用者Mが表示装置3を現場に持ち運び、この表示装置3の図示しない操作部を操作してデータ送信動作が選択される。その結果、制御部3eが通信部3aにデータ送信を指令し、通信部3aから通信部2sにデータ送信が指令される。
(1) この実施形態では、河川Rの水位Hが所定高さを超えたときの振動検出部2aの出力信号に基づいて、橋脚B2の卓越振動数を演算部2gが演算する。このため、河川Rの増水によって橋脚B2の微動レベルが増大することを利用して、橋脚B2の卓越振動数を容易に特定することができる。また、橋脚B2の振動を低水時には検出しないため効率的にデータを処理することができ、電源の消費を抑え橋脚B2の健全性を安価に評価することができる。
(1) この実施形態では、鉄道車両が走行する橋梁Bを例に挙げて説明したが、自動車が走行する橋や歩行者のみが通行する橋などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、振動検出部2aによって橋梁Bの幅方向(Y軸方向)の振動を検出する場合を例に挙げて説明したが検出方向を限定するものではなく、幅方向(Y軸方向)、長さ方向(X軸方向)又は高さ方向(Z軸方向)の少なくとも一方の振動を状況に応じて検出可能なように振動検出部2aを配置することもできる。
2A〜2C 健全性評価装置
2a 振動検出部
2c 水位検出部
2e 振動情報記憶部
2f 水位情報記憶部
2g 演算部
2h 卓越振動数情報記憶部
2j 固有振動数情報記憶部
2k 特定部
2m しきい値情報記憶部
2n 評価部
2p 評価情報記憶部
2s 通信部
2t 制御部
3 表示装置
3a 通信部
3b 表示部
3c 評価情報記憶部
3e 制御部
B 橋梁
B2 橋脚
B3 橋脚基礎
R 河川
S 洗掘
H 水位
Claims (6)
- 橋脚の健全性を評価する橋脚の健全性評価システムであって、
河川の水位が所定高さを超えたときに前記橋脚の振動を検出する振動検出部の出力信号を高速フーリエ変換処理して、この橋脚の卓越振動数を演算する演算部と、
前記演算部が演算した前記橋脚の卓越振動数に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記橋脚の固有振動数に基づいてこの橋脚の安定性を評価する評価部とを備え、
前記特定部は、前記演算部が演算した前記橋脚の卓越周波数のうち、前記橋脚が健全な状態であるときにこの橋脚に衝撃荷重試験を実施して予め測定したこの橋脚の固有振動数に対応する卓越周波数をこの橋脚の固有振動数として特定すること、
を特徴とする橋脚の健全性評価システム。 - 請求項1に記載の橋脚の健全性評価システムにおいて、
前記特定部は、前記橋脚の卓越振動数の移動平均に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定すること、
を特徴とする橋脚の健全性評価システム。 - 請求項1又は請求項2に記載の橋脚の健全性評価システムにおいて、
前記評価部は、前記橋脚の固有振動数の変化に基づいてこの橋脚の安定性を評価すること、
を特徴とする橋脚の健全性評価システム。 - 橋脚の健全性を評価するための橋脚の健全性評価プログラムであって、
河川の水位が所定高さを超えたときに前記橋脚の振動を検出する振動検出部の出力信号を高速フーリエ変換処理して、この橋脚の卓越振動数を演算する演算手順と、
前記演算手順において演算した前記橋脚の卓越振動数に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定する特定手順と、
前記特定手順において特定した前記橋脚の固有振動数に基づいてこの橋脚の安定性を評価する評価手順とをコンピュータに実行させ、
前記特定手順は、前記演算手順において演算した前記橋脚の卓越周波数のうち、前記橋脚が健全な状態であるときにこの橋脚に衝撃荷重試験を実施して予め測定したこの橋脚の固有振動数に対応する卓越周波数をこの橋脚の固有振動数として特定する手順を含むこと、
を特徴とする橋脚の健全性評価プログラム。 - 請求項4に記載の橋脚の健全性評価プログラムにおいて、
前記特定手順は、前記橋脚の卓越振動数の移動平均に基づいてこの橋脚の固有振動数を特定する手順を含むこと、
を特徴とする橋脚の健全性評価プログラム。 - 請求項4又は請求項5に記載の橋脚の健全性評価プログラムにおいて、
前記評価手順は、前記橋脚の固有振動数の変化に基づいてこの橋脚の安定性を評価する手順を含むこと、
を特徴とする橋脚の健全性評価プログラム。
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