JP4238316B2 - 電子写真現像用キャリア芯材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真現像用キャリア芯材に関し、特にフェライト粒子からなる電子写真現像用キャリア芯材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真複写機などの画像形成装置において電子写真現像用のトナーとキャリアからなる二成分系現像剤が使用され、この二成分系現像剤のキャリア芯材としてフェライト粒子を使用することが知られている。このようなフェライト粒子をキャリア芯材として使用するキャリアが画像に付着して画質が低下することを防止するため、フェライト中の銅成分の含有量を0.1〜2500ppm、亜鉛成分の含有量を0.1〜5000ppm、ニッケル成分の含有量を0.1〜2000ppmとし、フェライトの平均粒径を20〜120μmとすることにより、画像へのキャリアの付着量を低減させて高画質化を図ることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2990329号公報(段落番号0010−0015)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、電子写真複写機などの画像形成装置では、画像の高精細化や高画質化の要求がさらに高まっており、上記の特許第2990329号公報に開示されたキャリアでは、画像へのキャリアの付着量の低減は必ずしも十分ではなくなっている。
【0005】
また、二成分系現像剤のトナーの粒径を小さくして高画質化を達成しようとする試みがなされており、それに伴ってキャリアの粒径も小さくすることが望まれているが、キャリアの粒径を小さくすると、キャリアの飛散量が増大するという問題がある。
【0006】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、キャリア芯材としてのフェライト粒子の粒径が同じでもキャリアの飛散量を低減させることができる、電子写真現像用キャリア芯材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、電子写真現像用キャリア芯材としてのフェライト粒子中の銅含有量を0.30〜2.0重量%とすることにより、この範囲外の銅含有量の場合と比べて、同じ平均粒径のフェライト粒子でも、実効磁力(1000エルステッドの磁場における磁化)σ1000を1〜3emu/g程度高くしてキャリアの飛散量を低減させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明による電子写真現像用キャリア芯材は、一般式(CuO)x(MO)y(Fe2O3)z(ただし、MはFe、MnおよびMgから選ばれる一種以上の2価の金属元素、x+y+z=1)で示されるフェライト粒子からなり、Cuの含有量が0.30〜2.0重量%、好ましくは0.30〜1.5重量%、さらに好ましくは0.35〜1.2重量%であることを特徴とする。この電子写真現像用キャリア芯材において、フェライト粒子の飽和磁化σs(emu/g)に対する1000エルステッドの磁場における磁化の強さσ1000(emu/g)の比σ1000/σsが0.70≦σ1000/σs≦0.98である磁気特性を有するのが好ましい。また、フェライト粒子の90%以上が粒径5〜150μmであるのが好ましい。さらに、電子写真現像用キャリア芯材に100Vの電圧を印加した時の静抵抗値が1×105〜1×1011(Ω・cm)であるのが好ましい。
【0009】
また、本発明による電子写真現像用キャリアは、上記のいずれかのフェライト粒子を樹脂で被覆したことを特徴とする。この電子写真現像用キャリアにおいて、樹脂の被覆量が0.1〜5.0重量%であるのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明による電子写真現像用キャリア芯材の実施の形態では、一般式(CuO)x(MO)y(Fe2O3)z(ただし、MはFe、MnおよびMgから選ばれる一種以上の2価の金属元素、x+y+z=1)で示されるフェライト粒子からなるキャリア芯材中のCuの含有量を0.30〜2.0重量%、好ましくは0.30〜1.5重量%、さらに好ましくは0.35〜1.2重量%とする。
【0011】
このようにフェライト粒子中の銅の含有量を0.30〜2.0重量%にすることにより、この範囲外の銅含有量の場合と比べて、同じ平均粒径のフェライト粒子でも、実効磁力(1000エルステッドの磁場における磁化)σ1000を1〜3emu/g程度高くしてキャリアの飛散量を低減させることができる。
【0012】
また、このフェライト粒子を0.1〜5.0重量%の樹脂で被覆することによって、樹脂コーティングを施した電子写真現像用キャリアを形成することができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明による電子写真現像用キャリア芯材の実施例について詳細に説明する。
【0014】
[実施例1]
Fe2O350.0モル%、MnO9.7モル%、MgO39.7モル%、CuO0.6モル%となるように秤量して混合し、これに水を加えてスラリー化した後、スプレードライヤーで造粒した。これを大気雰囲気下において1170℃で焼成した後、解粒し、篩分けをして、平均粒径35μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、0.37重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは41.7emu/g、実効磁力(1000エルステッドの磁場における磁化)σ1000は39.8emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は4.2×109Ω・cmであった。さらに、このフェライト粒子をキャリア芯材として現像器内に300g投入し、スリーブを回転数500rpmで10分間回転させて飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は47mgであった。
【0015】
[実施例2]
Fe2O350.0モル%、MnO9.1モル%、MgO39.1モル%、CuO1.8モル%とした以外は実施例1と同様の方法により平均粒径35μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、1.10重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは41.3emu/g、実効磁力σ1000は39.6emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は1.1×1010Ω・cmであった。さらに、実施例1と同様の方法で飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は42mgであった。
【0016】
[比較例1]
Fe2O350.0モル%、MnO9.85モル%、MgO39.85モル%、CuO0.3モル%とした以外は実施例1と同様の方法により平均粒径35μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、0.18重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは40.5emu/g、実効磁力σ1000は38.6emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は3.5×109Ω・cmであった。さらに、実施例1と同様の方法で飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は97mgであった。
【0017】
[比較例2]
Fe2O350.0モル%、MnO7.5モル%、MgO37.5モル%、CuO5.0モル%とした以外は実施例1と同様の方法により平均粒径35μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、3.05重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは38.0emu/g、実効磁力σ1000は36.5emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は6.3×109Ω・cmであった。さらに、実施例1と同様の方法で飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は123mgであった。
【0018】
[実施例3]
Fe2O352.0モル%、MnO47.0モル%、CuO1.0モル%となるように秤量して混合し、これに水を加えてスラリー化した後、スプレードライヤーで造粒した。これを窒素雰囲気下において1180℃で焼成した後、解粒し、篩分けをして、平均粒径65μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、0.55重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは82.3emu/g、実効磁力σ1000は67.4emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は5.7×105Ω・cmであった。さらに、実施例1と同様の方法で飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は53mgであった。
【0019】
[実施例4]
Fe2O358.0モル%、MnO41.0モル%、CuO1.0モル%とした以外は実施例3と同様の方法により平均粒径65μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、0.45重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは85.3emu/g、実効磁力σ1000は70.4emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は4.2×105Ω・cmであった。さらに、実施例1と同様の方法で飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は66mgであった。
【0020】
[比較例3]
Fe2O352.0モル%、MnO47.9モル%、CuO0.1モル%とした以外は実施例3と同様の方法により平均粒径65μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、0.05重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは81.6emu/g、実効磁力σ1 000は64.5emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は1.1×106Ω・cmであった。さらに、実施例1と同様の方法で飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は89mgであった。
【0021】
[比較例4]
Fe2O352.0モル%、MnO43.0モル%、CuO5.0モル%とした以外は実施例3と同様の方法により平均粒径65μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、2.59重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは79.4emu/g、実効磁力σ1000は61.2emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は5.0×105Ω・cmであった。さらに、実施例1と同様の方法で飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は142mgであった。
【0022】
[実施例5]
Fe2O398.0モル%、CuO2.0モル%となるように秤量して混合し、この混合物100重量部に対して、還元剤としてカーボンブラック1.1重量部を加え、さらに水を加えてスラリー化した後、スプレードライヤーで造粒した。これを窒素雰囲気下において1150℃で焼成した後、解粒し、篩分けをして、平均粒径90μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、0.80重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは91.1emu/g、実効磁力σ1000は68.2emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は7.2×107Ω・cmであった。さらに、実施例1と同様の方法で飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は72mgであった。
【0023】
[比較例5]
Fe2O399.9モル%、CuO0.1モル%とした以外は実施例5と同様の方法により平均粒径90μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、0.04重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは92.3emu/g、実効磁力σ1000は65.6emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は6.5×107Ω・cmであった。さらに、実施例1と同様の方法で飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は138mgであった。
【0024】
[比較例6]
Fe2O390.0モル%、CuO10.0モル%とした以外は実施例5と同様の方法により平均粒径90μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子のCuを定量したところ、4.19重量%であった。また、このフェライト粒子の飽和磁化σsは87.4emu/g、実効磁力σ1000は60.2emu/gであり、100Vの電圧を印加した時の静抵抗値は5.0×105Ω・cmであった。さらに、実施例1と同様の方法で飛散量を測定したところ、キャリア芯材の飛散量は356mgであった。
【0025】
上記の実施例および比較例の結果を表1にまとめて示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、電子写真現像用キャリア芯材としてのフェライト粒子中の銅含有量を0.30〜2.0重量%にすることにより、この範囲外の銅含有量の場合と比べて、同じ平均粒径のフェライト粒子でも、実効磁力(1000エルステッドの磁場における磁化)σ1000を1〜3emu/g程度高くすることができ、それによってキャリアの飛散量を低減させることができる。
Claims (6)
- 一般式(CuO)x(MO)y(Fe2O3)z(ただし、MはFe、Mn、またはMn+Mg、x+y+z=1)で示されるフェライト粒子からなり、前記フェライト粒子のCuの含有量が0.30〜2.0重量%であり、前記フェライト粒子の90%以上が粒径5〜150μmであり、前記フェライト粒子の1000エルステッドの磁場における磁化の強さσ 1000 が39.6emu/g以上であり且つ前記フェライト粒子の飽和磁化σ s (emu/g)に対する1000エルステッドの磁場における磁化の強さσ 1000 (emu/g)の比σ 1000 /σ s が0.70≦σ 1000 /σ s ≦0.98である磁気特性を有することを特徴とする、電子写真現像用キャリア芯材。
- 前記MがFeであることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真現像用キャリア芯材。
- 前記Cuの含有量が0.30〜1.5重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子写真現像用キャリア芯材。
- 前記Cuの含有量が0.35〜1.2重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子写真現像用キャリア芯材。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のフェライト粒子を樹脂で被覆したことを特徴とする、電子写真現像用キャリア。
- 前記樹脂の被覆量が0.1〜5.0重量%であることを特徴とする、請求項5に記載の電子写真現像用キャリア。
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