図8は従来の電子機器内部の概略構成を示す回路構成図である。
図8に示す電子機器100は、電子機器100全体を制御するマイコン110と、このマイコン110と有線接続する周辺回路120とを有し、マイコン110は、信号を入出力する複数のポート111を備え、これらポート111を通じて周辺回路120と有線接続するものである。
各ポート111は、周辺回路120に対して出力信号を外部出力するための出力ポート機能と、周辺回路120からの入力信号を内部入力するための入力ポート機能とを有し、システム設計者の設定で出力ポート機能及び入力ポート機能の何れか一方にのみ設定することができるものである。
マイコン110は、出力ポート機能に設定したポート111(111A)を通じて出力信号を周辺回路120に外部出力する出力バッファ112と、入力ポート機能に設定したポート111(111B)を通じて周辺回路120からの入力信号を内部入力する入力バッファ113と、このマイコン110全体を制御する制御部114とを有している。尚、各ポート111は、出力バッファ112及び入力バッファ113を備え、出力ポート機能に設定された場合には出力バッファ112を使用し、入力ポート機能に設定された場合には入力バッファ113を使用するものである。
制御部114は、出力ポート機能を設定したポート111A及び出力バッファ112を通じて出力信号を周辺回路120に出力する出力信号処理を実行すると共に、入力ポート機能を設定したポート111B及び入力バッファ113を通じて周辺回路120からの入力信号を内部入力する入力信号処理を実行するものである。
周辺回路120は、電源部(以下、単にVDDと称する)121と、このVDD121と接続する抵抗器122Aと、この抵抗器122Aと接続する発光ダイオード(以下、単にLEDと称する)123Aとを有し、LDE123Aは、出力ポート機能を設定したポート111Aと接続するものである。
制御部114は、出力信号処理において出力バッファ112及びポート111Aを通じて出力信号を外部出力すると、この出力信号に基づきLED123AをON/OFF制御するものであり、例えば“L”レベルの出力信号を出力すると、LED123AをON制御し、“H”レベルの出力信号を出力すると、LED123をOFF制御するものである。
また、周辺回路120は、VDD121の他に、このVDD121と接続する抵抗器122Bと、一方の接点を抵抗器122Bに接続すると共に、他方の接点をグランド124に接地するスイッチ123Bとを有し、抵抗器122B及びスイッチ123B間に入力ポート機能を設定したポート111Bを接続した構成とし、マイコン110側では、入力ポート機能を設定したポート111B及び入力バッファ113を通じて、ポート111Bの端子電圧を検出し、この検出結果に基づきスイッチ123BのON/OFF状態を示す入力信号を取り込むものである。
制御部114は、入力信号処理において入力バッファ113及びポート111Bを通じて、ポート111Bの端子電圧が“H”レベルとなると、スイッチ123BがOFF状態であるとの入力信号を取り込み、ポート111Bの端子電圧が“L”レベルとなると、スイッチ123BがON状態であるとの入力信号を取り込むものである。
図8に示す電子機器100によれば、ポート111毎に出力ポート機能又は入力ポート機能の何れか一方を設定し、出力ポート機能を設定したポート111Aを通じて周辺回路120内部のLED123Aをマイコン110からON/OFF制御し、入力ポート機能を設定したポート111Bを通じて周辺回路120内部のスイッチ123BのON/OFF状態をマイコン110に取り込むことができる。
また、このような従来の電子機器の公知技術としては、単一機能のポート、すなわち入力ポート機能を設定したポートを用いて、コンデンサの充放電動作の完了時間を検知し、この検知結果に基づいて複数個のスイッチのON/OFF状態等の操作状態をマイコン側に取り込む技術内容がある(例えば特許文献1参照)。
また、他の公知技術としては、一つの入力ポート機能を設定したポートを用いて、二接点スイッチの操作状態をマイコン側に取り込む技術内容がある(例えば特許文献2参照)。
特開平9−204254号公報(図1及び要約書参照)
特開2000−3630号公報(図1及び要約書参照)
しかしながら、これら上記従来の電子機器によれば、マイコンのポート毎に、システム設計者の設定で出力ポート機能及び入力ポート機能の何れか一方にしか設定することができないため、例えば入力ポート機能及び出力ポート機能の異なるポート機能をポートに設定する場合、機能毎にポートを割り当てなければならず、例えばポート数が物理的に少ないマイコンの場合、そのポート数を確保することは非常に難しい。そこで、ポートの数を増やすためにマイコン外部に拡張用ICを増設することも考えられるが、部品点数の増加及び増設スペースの確保等の問題が発生し、ひいては電子機器の小型化の妨げともなる。
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マイコンのポートの有効利用を図りながら、電子機器の小型化に大きく貢献することができる電子機器及びポート設定方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の電子機器は、電源とグランドとに接続される周辺回路であって、電源側に一端が接続されるコンデンサと、前記コンデンサの他端側に一端が接続され、グランド側に他端が接続されるスイッチと、を備える周辺回路と、前記コンデンサの前記一端側に接続され、信号を入出力するポートを有し、前記ポートに出力ポート機能を設定することで、このポートを通じて出力信号を前記周辺回路に出力する出力信号処理を実行すると共に、前記ポートに入力ポート機能を設定することで、このポートを通じて前記周辺回路から前記スイッチのオン状態あるいはオフ状態を示す入力信号を内部入力として入力信号処理を実行するマイコンと、を備え、前記マイコンは、前記出力ポート機能の設定中に、入力ポート設定信号を検出すると、現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶する出力状態記憶手段と、前記ポートに対する前記出力ポート機能の設定中に、入力ポート設定信号を検出すると、このポートに対して前記入力ポート機能を切替設定し、前記入力ポート機能の切替設定後、前記出力ポート設定信号を検出すると、前記出力状態記憶手段に記憶中の出力状態に基づき、前記出力ポート機能を切替設定するポート機能設定手段と、前記ポートの端子電圧を検出する電圧検出手段と、前記出力状態記憶手段にて前記現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶すると、前記電圧検出手段で検出されたポートの端子電圧値をリセットし、リセット後に前記電圧検出手段を介して予め定められたタイミングで前記端子電圧を検出し、この検出した端子電圧値が閾値を超えている場合、前記入力信号として、前記スイッチがオフ状態とする信号の入力を前記周辺回路から受けたと判断し、前記端子電圧値が閾値を超えていない場合、前記入力信号として、前記スイッチがオン状態とする信号の入力を前記周辺回路から受けたと判断する入力状態認識手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の電子機器は、前記ポート機能設定手段が、前記ポートに対する前記入力ポート機能の設定中に、出力ポート設定信号を検出すると、このポートに対して前記出力ポート機能を切替設定するようにした。
本発明の電子機器は、前記出力ポート機能の設定中に、前記入力ポート設定信号を検出すると、現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶する出力状態記憶手段を有し、前記ポート機能設定手段は、前記入力ポート機能の切替設定後、前記出力ポート設定信号を検出すると、前記出力状態記憶手段に記憶中の出力状態に基づき、前記出力ポート機能を切替設定するようにした。
本発明の電子機器は、前記ポートの端子電圧を検出する電圧検出手段と、前記出力状態記憶手段にて前記現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶すると、前記電圧検出手段の検出結果である端子電圧値をリセットするリセット手段と、このリセット手段にて前記端子電圧値をリセットした後、所定タイミングでの前記端子電圧を前記電圧検出手段にて検出し、この検出した端子電圧値が閾値を超えたか否かを判定する閾値電圧判定手段と、この閾値電圧判定手段の判定結果に基づいて、前記入力信号処理に関わる入力信号の内容を判断する入力状態認識手段とを有するようにした。
本発明の電子機器は、電源及びグランド間にコンデンサ及びスイッチを直列接続すると共に、前記電源及びコンデンサ間に前記ポートを端子接続し、前記スイッチのオン動作で前記コンデンサへの充電動作を開始する構成を有し、前記出力状態記憶手段にて前記現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶すると、前記リセット手段にて前記ポートの端子電圧値をリセットし、前記所定タイミングでの前記端子電圧を検出し、この検出した端子電圧値が閾値を超えたか否かを前記閾値電圧判定手段にて判定し、前記閾値電圧判定手段にて前記端子電圧値が閾値を超えたと判定されると、前記入力状態認識手段にて前記スイッチがオフ状態であると判断し、前記閾値電圧判定手段にて前記端子電圧値が閾値を超えたと判定されなければ、前記入力状態認識手段にて前記スイッチがオン状態であると判断するようにした。
上記目的を達成するために本発明のポート設定方法は、電源とグランドとに接続される周辺回路であって、電源側に一端が接続されるコンデンサと、前記コンデンサの他端側に一端が接続され、グランド側に他端が接続されるスイッチと、を備える周辺回路と、前記コンデンサの前記一端側に接続され、信号を入出力するポートを有し、前記ポートに出力ポート機能を設定することで、このポートを通じて出力信号を前記周辺回路に出力する出力信号処理を実行すると共に、前記ポートに入力ポート機能を設定することで、このポートを通じて前記周辺回路から前記スイッチのオン状態あるいはオフ状態を示す入力信号を内部入力として入力信号処理を実行するマイコンと、を備える電子機器における前記マイコンのポート設定方法であって、前記マイコンが、前記出力ポート機能の設定中に、入力ポート設定信号を検出すると、現在の出力ポート機能に関わる出力状態を出力状態記憶手段に記憶するステップと、前記ポートに対する前記出力ポート機能の設定中に、入力ポート設定信号を検出すると、このポートに対して前記入力ポート機能を切替設定し、前記入力ポート機能の切替設定後、前記出力ポート設定信号を検出すると、前記出力状態記憶手段に記憶中の出力状態に基づき、前記出力ポート機能を切替設定するポート機能設定ステップと、前記出力状態記憶手段にて前記現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶すると、電圧検出手段で検出されたポートの端子電圧値をリセットし、リセット後に前記電圧検出手段を介して所定タイミングで前記端子電圧を検出し、この検出した端子電圧値が閾値を超えている場合、前記入力信号として、前記スイッチがオフ状態とする信号の入力を前記周辺回路から受けたと判断し、前記端子電圧値が閾値を超えていない場合、前記入力信号として、前記スイッチがオン状態とする信号の入力を前記周辺回路から受けたと判断するステップと、を含む。
本発明のポート設定方法は、前記ポートに対する前記入力ポート機能の設定中に、出力ポート設定信号を検出すると、このポートに対して前記出力ポート機能を切替設定するようにした。
本発明のポート設定方法は、前記出力ポート機能の設定中に、前記入力ポート設定信号を検出すると、現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶し、前記入力ポート機能の切替設定後、前記出力ポート設定信号を検出すると、記憶中の出力状態に基づき、前記出力ポート機能を切替設定するようにした。
本発明のポート設定方法は、前記現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶すると、前記ポートの端子電圧値をリセットし、このリセット後、所定タイミングでの前記端子電圧を検出し、この検出した端子電圧値を閾値が超えたか否かを判定し、この判定結果に基づいて、前記入力信号処理に関わる入力信号の内容を判断するようにした。
上記のように構成された本発明の電子機器によれば、前記ポートに対して前記出力ポート機能及び前記入力ポート機能を切替設定可能とし、前記出力ポート機能の設定中に、入力ポート設定信号を検出すると、同ポートに対して前記入力ポート機能を切替設定するようにしたので、単一のポートに出力ポート機能及び入力ポート機能両方のポート機能を持たせることで、ポートの有効利用を図り、さらには電子機器の小型化に大きく貢献することができる。
本発明の電子機器によれば、前記ポートに対して前記入力ポート機能の設定中に、出力ポート設定信号を検出すると、このポートに対して前記出力ポート機能を切替設定するようにしたので、単一のポートに出力ポート機能及び入力ポート機能両方のポート機能を持たせることで、ポートの有効利用を図り、さらには電子機器の小型化に大きく貢献することができる。
本発明の電子機器によれば、出力ポート機能の設定中に、入力ポート設定信号を検出すると、現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶しておき、入力ポート機能の切替設定後、出力ポート設定信号を検出すると、同記憶中の出力状態に基づき、前記出力ポート機能を切替設定するようにしたので、出力ポート機能を再開する場合、入力ポート機能切替設定前、すなわち出力ポート機能中断前の出力ポート機能の出力状態に戻すことができる。
本発明の電子機器によれば、現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶すると、同ポートの端子電圧値をリセットし、同リセット後の所定タイミングでの端子電圧を検出し、この検出した端子電圧値が閾値を超えたか否かを判定し、この判定結果に基づいて、前記入力信号処理に関わる入力信号の内容を判断するようにしたので、出力ポート機能及び入力ポート機能両方のポート機能を単一ポートに持たせたとしても、入力ポート機能としての入力信号の内容を確実に認識判断することができる。
本発明の電子機器によれば、コンデンサの充放電動作を利用して、閾値電圧判定手段にてポートの端子電圧値が閾値を超えたと判定されると、スイッチがオフ状態であると判断し、端子電圧値が閾値を超えたと判定されたのでなければ、スイッチがオン状態であると判断するようにしたので、出力ポート機能及び入力ポート機能両方のポート機能を単一ポートに持たせたとしても、入力ポート機能としてのスイッチのON/OFF状態を確実に認識判断することができる。
上記のように構成された本発明のポート設定方法によれば、前記ポートに対して前記出力ポート機能及び前記入力ポート機能を切替設定可能とし、前記出力ポート機能の設定中に、入力ポート設定信号を検出すると、同ポートに対して前記入力ポート機能を切替設定するようにしたので、単一のポートに出力ポート機能及び入力ポート機能両方のポート機能を持たせることで、ポートの有効利用を図り、さらには電子機器の小型化に大きく貢献することができる。
本発明のポート設定方法によれば、前記ポートに対して前記入力ポート機能の設定中に、出力ポート設定信号を検出すると、このポートに対して前記出力ポート機能を切替設定するようにしたので単一のポートに出力ポート機能及び入力ポート機能両方のポート機能を持たせることで、ポートの有効利用を図り、さらには電子機器の小型化に大きく貢献することができる。
本発明のポート設定方法によれば、出力ポート機能の設定中に、入力ポート設定信号を検出すると、現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶しておき、入力ポート機能の切替設定後、出力ポート設定信号を検出すると、同記憶中の出力状態に基づき、前記出力ポート機能を切替設定するようにしたので、出力ポート機能を再開する場合、入力ポート機能切替設定前、すなわち出力ポート機能中断前の出力ポート機能の出力状態に戻すことができる。
本発明のポート設定方法によれば、現在の出力ポート機能に関わる出力状態を記憶すると、同ポートの端子電圧値をリセットし、同リセット後の所定タイミングでの端子電圧を検出し、この検出した端子電圧値が閾値を超えたか否かを判定し、この判定結果に基づいて、前記入力信号処理に関わる入力信号の内容を判断するようにしたので、出力ポート機能及び入力ポート機能両方のポート機能を単一ポートに持たせたとしても、入力ポート機能としての入力信号の内容を確実に認識判断することができる。
以下、図面に基づいて本発明の電子機器に関わる実施の形態について説明する。図1は本実施の形態を示す電子機器内部の概略構成を示す回路構成図である。
図1に示す電子機器1は、この電子機器1全体を制御するマイコン10と、このマイコン10と有線接続する周辺回路20とを有し、マイコン10は、信号を入出力する複数のポート11を備え、各ポート11を通じて周辺回路20と有線接続するものである。尚、図1においては、説明の便宜上、ポート11の数を一つしか示さないが、ポート11の数は複数あるものとする。
周辺回路20は、電力を供給するVDD21と、VDD21と接続する抵抗器22と、この抵抗器22と接続するLED23と、LED23と接続するコンデンサ24と、その一方の接点をグランド25に接地し、他方の接点をコンデンサ24と接続するスイッチ26とで接続構成し、コンデンサ24は、スイッチ26がON操作されると、VDD21からの電荷を蓄える充電動作を実行し、スイッチ26がOFF操作されると、蓄えられた電荷が放電する放電動作を実行するものである。
マイコン10は、ポート11毎に、出力ポート機能及び入力ポート機能を切替設定可能にし、マイコン10全体を制御する制御部12を有し、さらに、各ポート11には、出力ポート機能設定時に使用する出力バッファ13及び入力ポート機能設定時に使用する入力バッファ14を備えている。
マイコン10のポート11は、周辺回路20内部のLED23及びコンデンサ24間に端子接続することで、マイコン10及び周辺回路20は電気的に接続することになる。
マイコン10の制御部12は、ポート11を出力ポート機能に切替設定することで、出力バッファ13及びポート11を通じて出力信号を周辺回路20に出力信号処理(後述する主プログラム処理)を実行すると共に、ポート11を入力ポート機能に切替設定することで、入力バッファ14及びポート11を通じて周辺回路20からの入力信号を内部入力する入力信号処理(後述する割込み処理)を実行するものである。
尚、主プログラム処理とは、例えば周辺回路20内部のLED23をマイコン10側の出力信号でON/OFF制御する処理である。また、割込み処理とは、主プログラム処理中に周期的に周辺回路20内部のスイッチ26のON/OFF状態(例えば手動によるキー入力操作)を入力信号としてマイコン10側に取り込む処理である。
主プログラム処理時において制御部12は、出力バッファ13及びポート11を通じて、例えば“L”レベルの出力信号を出力すると、LED23をON制御し、“H”レベルの出力信号を出力すると、LED23をOFF制御するものである。
また、割込み処理時において制御部12は、入力バッファ14及びポート11を通じて、ポート11の端子電圧に基づき、スイッチ26のON/OFF状態の入力信号を取り込むものである。尚、スイッチ26のON/OFF状態とは、例えば人手によるキーの入力操作状態に相当するものである。
図2は本実施の形態に関わる電子機器1内部のマイコン10の主プログラム処理及び割込み処理のタイミング動作を示す説明図である。
マイコン10の制御部12は、通常、図2に示すように主プログラム処理(出力信号処理)を実行し、周期的に、同主プログラム処理を中断して割込み処理を実行するものである。尚、主プログラム処理の1サイクル所要時間を100m秒、割込み処理の1サイクル所要時間を2μ秒とした場合、主プログラム処理を100m秒実行する度に同主プログラム処理を2μ秒間中断し、この2μ秒間に割り込み処理を実行するものである。
図3は制御部12内部の概略構成を示すブロック図である。
図3に示す制御部12は、ポート11に対して出力ポート機能及び入力ポート機能を切替設定するポート機能設定部31と、現在の出力ポート機能に関わる出力信号の出力状態を一時記憶する出力状態メモリ部32と、同ポート11及び周辺回路20間のX点に関わる端子電圧を検出する電圧検出部33と、この制御部12全体を制御する主制御部34とを有している。
主制御部34は、電圧検出部33にて検出した端子電圧値(出力状態)をリセットするリセット部34Aと、端子電圧値が閾値を超えたか否かを判定する閾値電圧判定部34Bと、この閾値電圧判定部34Bの判定結果に基づいてスイッチ26のON/OFF状態を認識判断する入力状態認識部34Cとを有している。
ポート機能設定部31は、ポート設定信号に応じて、ポート11に出力ポート機能又は入力ポート機能を切替設定するものであり、例えば出力ポート機能設定中に、入力ポート設定信号を検出すると、現在設定中の出力ポート機能を入力ポート機能に切替設定することで割込み処理を実行すると共に、例えば入力ポート機能設定中に出力ポート設定信号を検出すると、現在設定中の入力ポート機能を出力ポート機能に切替設定することで主プログラム処理を開始するものである。尚、入力ポート設定信号は、後述する割込みプログラム処理の開始タイミングで周期的に発生し、出力ポート設定信号は、後述する割込みプログラム処理中の割込み処理の終了タイミングで発生するものである。
出力状態メモリ部32は、入力ポート設定信号を検出すると、出力ポート機能に関わるポート11の現在の出力状態、すなわち現在の主プログラム処理時に関わる出力状態を一時記憶するものである。尚、出力状態とは、出力信号のレベル状態(H/L)に相当するものである。
また、ポート機能設定部31は、出力ポート設定信号を検出すると、現在設定中の入力ポート機能を出力ポート機能に切替設定する際に、出力状態メモリ部32に記憶中の出力状態に基づき、主プログラム処理中断前の元の出力状態に戻すものである。
電圧検出部33は、LED23及びコンデンサ24間に接続したポート11に関わるX点の端子電圧を検出するものである。
リセット部34Aは、出力状態メモリ部32に主プログラム処理に関わる現在の出力状態を一時記憶すると、割込み処理にてスイッチ26のON/OFF状態を判断するためにポート11の端子電圧値を強制的に一度、リセットするものである。尚、リセット部34Aは、端子電圧値を完全にリセットするために、周辺回路20内に残る浮遊電荷を放電すべく、所定時間(強制リセット期間)待つものである。
閾値電圧判定部34Bは、リセット部34Aにて端子電圧値の完全リセットが完了すると、入力ポート機能切替設定後のタイミングD(図5参照)時点での端子電圧値を検出し、この端子電圧値が入力バッファ閾値を超えたか否かを判定するものである。尚、入力バッファ閾値は、最適値に設定されているものとする。
入力状態認識部34Cは、閾値電圧判定部34Bにて端子電圧値が入力バッファ閾値を超えたと判定されると、スイッチ26がOFF状態であると判断し、閾値電圧判定部34Cにて端子電圧値が入力バッファ閾値を超えたと判定されたのでなければ、スイッチ26がON状態であると判断するものである。
尚、請求項記載のポート機能設定手段はポート機能設定部31、出力状態記憶手段は出力状態メモリ部32、電圧検出手段は電圧検出部33、リセット手段はリセット部34A、閾値電圧判定手段は閾値電圧判定部34B、入力状態認識手段は入力状態認識部34C、出力信号処理は主プログラム処理、入力信号処理は割込み処理に相当するものである。
次に本実施の形態を示す電子機器1の動作について説明する。図4は本実施の形態の割込みプログラム処理に関わる制御部12の処理動作を示すフローチャート、図5は割込みプログラム処理に関わるポート11の端子電圧値の変動を端的に示す説明図である。
図4に示す割込みプログラム処理は、図2に示す主プログラム処理中に周期的にスイッチ26のON/OFF状態をマイコン10に取り込む割込み処理を実行するための処理である。
図4においてマイコン10の制御部12は、出力ポート機能設定中、すなわち主プログラム処理中に入力ポート設定信号を検出すると、割込みプログラム処理を開始するのであるが、この際(図5に示すタイミングA)、現在設定中の出力ポート機能、すなわち主プログラム処理の出力状態を検出し、この出力状態を出力状態メモリ部32に一時記憶する(ステップS11)。尚、出力状態とは、図5のタイミングAに関わる現在の出力信号のH/L状態に相当するものである。
制御部12は、主プログラム処理の出力状態を出力状態メモリ部32に一時記憶すると、図5に示すタイミングBの時点でリセット部34Aを通じて出力状態(端子電圧値)を強制的にリセットするためのリセット動作を実行する(ステップS12)。尚、主プログラム処理の出力状態を強制的にリセットすると、出力ポート機能を設定中のポート11の出力状態は“L”レベルになるため、LED23はON制御することになる。しかしながら、出力状態が強制的に“L”レベルとなる期間は非常に短かい時間であるため、LED23が点灯表示しても視覚的には違和感を与えることはない。
制御部12は、リセット部34Aにて出力状態(端子電圧値)のリセット動作を実行すると、出力状態(端子電圧値)が完全にリセットされるまでの所要時間(強制リセット期間)、すなわち完全リセット待ち時間タイマをスタートし、この完全リセット待ち時間が経過したか否かを判定する(ステップS13)。尚、ステップS13の処理は、ステップS12にてリセット動作を実行したとしても、周辺回路20内に浮遊電荷が残るため、この浮遊電荷を完全に無くすための待ち処理である。
制御部12は、ステップS13にて完全リセット待ち時間が経過したのであれば、ポート機能設定部31を通じて現在設定中の出力ポート機能を入力ポート機能に切替設定する(ステップS14)。尚、周辺回路20内のコンデンサ24は、スイッチ26のON/OFF動作に応じて充放電動作を行うため、ポート11の端子電圧は変動することになる。
制御部12は、この入力ポート機能に切替設定(タイミングC)後、監視タイミングD時点での端子電圧値を、電圧検出部33を通じて検出する(ステップS15)。
制御部12は、監視タイミングDでの端子電圧値を検出すると、閾値電圧判定部34Bを通じて、この端子電圧値が入力バッファ閾値を超えたか否かを判定する(ステップS16)。
制御部12は、閾値電圧判定部34Bにて端子電圧値が入力バッファ閾値を超えたと判定されると、図5(b)及び(d)に示すように、入力状態認識部34Cを通じて入力状態、すなわちスイッチ26がOFF状態であると判断する(ステップS17)。尚、スイッチ26のOFF状態の認識判断は、OFF状態を示す入力信号がマイコン10に取り込まれたことになる。
また、制御部12は、ステップS16にて端子電圧値が入力バッファ閾値を超えたと判定されたのでなければ、図5(a)及び(c)に示すように、入力状態認識部34Cを通じて入力状態、すなわちスイッチ26がON状態であると判断する(ステップS18)。尚、スイッチ26のON状態の認識判断は、ON状態を示す入力信号がマイコン10に取り込まれたことになる。
制御部12は、ステップS17又はステップS18の入力状態の判断結果を得ると、中断した主プログラム処理を再開すべく、図5のタイミングEでポート機能設定部31を通じて入力ポート機能から出力ポート機能に切替設定し(ステップS19)、図5のタイミングEでステップS11にて出力状態メモリ部32に一時記憶した出力状態に戻し(ステップS20)、この割込みプログラム処理を終了する。
本実施の形態によれば、単一のポート11に対して出力ポート機能及び入力ポート機能を切替設定可能とし、このポート11に対して出力ポート機能設定中(主プログラム処理中)に入力ポート設定信号を検出すると、同ポート11に対して出力ポート機能を入力ポート機能に切替設定するようにしたので、単一ポート11に出力ポート機能及び入力ポート機能を持たせることでポート11の有効利用を図り、さらには電子機器1の小型化に大きく貢献することができる。
本実施の形態によれば、ポート11に対して入力ポート機能の設定中に、出力ポート設定信号を検出すると、このポート11に対して出力ポート機能を切替設定するようにしたので、単一ポート11に出力ポート機能及び入力ポート機能を持たせることで、ポート11の有効利用を図り、さらには電子機器1の小型化に大きく貢献することができる。
本実施の形態によれば、出力ポート機能設定中に、入力ポート設定信号を検出すると、現在の出力ポート機能に関わる出力状態を出力状態メモリ部32に一時記憶しておき、入力ポート機能の切替設定後、出力ポート設定信号を検出すると、同記憶中の出力状態に基づき、前記出力ポート機能を切替設定するようにしたので、出力ポート機能を再開する場合、入力ポート機能切替設定前、すなわち出力ポート機能中断前の出力ポート機能の出力状態に戻すことができる。
本実施の形態によれば、出力ポート機能設定中(主プログラム処理中)に現在の出力ポート機能に関わる出力状態を出力状態メモリ部32に一時記憶すると、割込み処理によるスイッチ26のON/OFF状態を確実に認識判断できるようにすべく、ポート11の端子電圧値をリセットし、リセット後の所定タイミングDの端子電圧を検出し、この検出した端子電圧値が入力バッファ閾値を超えたか否かを判定し、ポート11の端子電圧値が入力バッファ閾値を超えたと判定されると、スイッチ26がOFF状態であると認識判断し、端子電圧値が入力バッファ閾値を超えたと判定されたのでなければ、スイッチ26がON状態であると判断するようにしたので、単一のポート11に出力ポート機能及び入力ポート機能両方を持たせたとしても、入力ポート機能としてのスイッチ26のON/OFF状態を確実に認識判断することができる。
尚、上記実施の形態においては、図4に示すステップS12及びステップS13の割込みプログラム処理にて非常に短い期間(強制リセット期間)であるにせよ強制的に端子電圧をリセット、すなわち出力状態を“L”レベルにすることで、周辺回路20のLED24をONさせてしまうことになる。そこで、このような事態に対処すべく、周辺回路20の構成を図6に示す回路構成にしても良い。尚、図1に示す周辺回路20と同一の構成については同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
図6に示す周辺回路20Aは、VDD21と接続するリレー41と、このリレーと接続するLED23Aと、LED23Aをソース側に接続し、グランド25をドレイン側に接地し、ポート11をゲート側に接続するMOS−FET42と、保護ダイオード43とを有し、FET41は、ポート11からの“L”レベルの出力信号に応じてON動作するが、前述したように強制的に“L”レベルの出力信号が出力されるのは数マイクロ秒であるため、数マイクロ秒の短時間の“L”レベルの出力信号ではリレー41を動作させることができないため、その結果、LED23AがON動作することもなく、動作上に支障が生じることもなくなる。
また、上記実施の形態においては、割込み処理にて周辺回路20内のスイッチ26のON/OFF状態をマイコン10側に取り込むようにしたが、例えば周辺回路20のスイッチ26の代わりに、図7に示すようにトランジスタ26B及びダイオード29Bを配置する回路構成にしたとしても、同トランジスタ26BのON/OFF状態を取り込むことができ、同様の効果が得られることは言うまでもない。