JP4235355B2 - 戸用面付け錠 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、面付け錠に関し、特に戸の端面から受け金具が固着された戸枠或いは相手側の戸の方向へ同期的に突出する鎌片とデッドボルトとを備える戸用面付け錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の面付け錠の一例は、実公昭45−18399号公報に記載されている。この公報に記載の実施例は、錠ケース本体に駆動、伝動、施錠部材等の複数個の部材が組み込まれている。
【0003】
しかして、これらの部材は、例えばシリンダーと共に回転する駆動カム、上端部に駆動カムの駆動腕と係合するスパナ形状の中間伝動片、この中間伝動片の下端部に突設された連結ピンを介してその中央部が枢着された左右対称の碇型鎌片、この鎌片と重合しかつ前記中間伝動片がその枢軸を中心にして回転すると、鎌片の回転突出する方向へ同時に水平移動するデッドボルト等から構成されている。
【0004】
しかしながら、上記構成の面付け錠にあっては、次に列挙するような問題点があった。
(1)まず各部材の組立が面倒である。例えば各部材の組立の際、駆動カムをシリンダーに嵌め込み、次に中間伝動片をシリンダーの駆動腕に係合するようにその枢軸を介して錠ケースに取付け、次に前記枢軸とは別部材の中心軸に碇形状鎌片を軸支すると共に、該鎌片の中央部の係合孔に前記中間伝動片の連結ピンを係合すると言う具合であった。
(2)次に前記(1)の構成のように、部品点数が多い。その結果、面付け錠を安価に製作することができない。
(3)さらに、駆動カムの駆動力がデッドボルトにダイレクトに伝達しないので、各部材の作動がスムースでない。
(4)前記(3)の理由により、操作片等の回動操作に安定感やクリック感を得られない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、組立が容易であること、安価に製作をすることができること、操作片等の駆動力がダイレクトに鎌片並びにデッドボルトに伝達すること、操作片等の回動操作に安定感やクリック感を得られることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の戸用面付け錠は、戸の端面から戸枠方向へ同期的に突出する鎌片とデッドボルトとを備える戸用面付け錠に於いて、ケース本体7内に、その取付け基部に連設する一端部にピン状の駆動軸22を有し、かつ、前記取付け基部が表側の摘み3と中心回動軸21を介して一体的に固定され、かつ前記摘み3と一体不可分に回動する第1駆動板20を設け、またケース本体7内に、鎌片30の垂直部を軸支する固定支軸15を設け、前記摘み3の前記中心回動軸21を基準にして弧状に揺動する前記駆動軸22に、鎌片30の垂直部に形成した垂直案内長孔32と、この垂直案内長孔32と常に重なり合うデッドボルト35の係合孔37とを嵌め合わせたことを特徴とする。
【0007】
上記構成に於いて、戸用面付け錠はケース本体7に固定される蓋体9を備え、該蓋体の内壁面には、第1駆動板20の駆動軸22と係合する係合部43を有するシリンダー側の第2駆動板40が設けられていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は蓋体を外した使用状態の一例を示す概略説明図である。まず、この図1を参照に環境部材を簡単に説明する。なお、本発明の細部については説明ないし図示しない。
Xは面付け錠で、この面付け錠Xは戸2の端面部の壁面に固着手段を介して取付けられる。普通一般にキー操作によって内筒部材が回転するシリンダーは、戸2の外壁面側に、一方、操作片としての摘み3は、戸2の内壁面側に位置する。
4はストライク,受け片などの受け金具で、この受け金具4は、例えば戸2の端面と対向する戸枠5に固着手段を介して固定されている。もちろん、戸2が親子戸の関係である場合には、受け金具4は相手側の戸5に固定される。したがって、後述する面付け錠Xの鎌片30とデッドボルト35は、施錠時、戸枠5又は相手側の戸の方向、つまり、受け金具4の受穴6に向かって同期的に突出する。
【0009】
次に錠箱1は、弁当箱状のケース本体7(図3参照)と、このケース本体7の開口部8に固定的に嵌合する矩形状の蓋体9(図4参照)とから成る。ケース本体7及び蓋体9に形成した貫通状の取付け孔、小切欠部等の説明は省略する。
【0010】
さて、鎌片30とデッドボルト35とを取外した図3を参照にしてケース本体7等を説明する。10は各部材が設けられている垂直ベース部(化粧板部)で、この垂直ベース部10には側壁部11が突壁状に周設されている。12は側壁部11の左右に形成された案内切欠部で、この案内切欠部12にデッドボルトが嵌合し、かつ、水平方向に摺動する。またこの案内切欠部12から鎌片が回転突出する。
【0011】
次に図1又は図3を基準にすると、15は前記垂直ベース部10の上端部の中央部に設けられた固定支軸で、この固定支軸15にはメネジ16が形成されている。この固定支軸15は、図4に示す蓋体9を図示しない固着具を介して固定する機能を有する。17は垂直ベース部10の下端部寄りの左右部に設けられた左右一対のメネジ杆で、これらのメネジ杆17も前記固定支軸と同様に固着具を介して蓋体を固定する機能を有する。
【0012】
次に20は表側の摘み3と該摘み3の中心回動軸21を介して、不番の取付け基部が一体に設けられた内側の第1駆動板で、この第1駆動板20は、前記取付け基部に連設する下端部がやや先細りしたヘラ状に形成され、ケース本体7内に回動或は揺動可能に位置している。図3では説明の便宜上、表側の摘み3と、この摘み3の中心回動軸21とを仮想線で示している。
【0013】
しかして、第1駆動板20は、その取付け基部が前記中心回動軸21に固定されているので、操作片としての摘み3を室内側から回すと、第1駆動板20も回転する。その意味で摘み3と第1駆動板20は不可分一体の部材である。第1駆動板20は、その取付け基部に連設する幅広上端部の中央部にピン状の駆動軸22を有している。また第1駆動板20は先細り状下端部にピン状の連結可動軸23を有している。
【0014】
次に25は第1駆動板20の下端部に、その嵌合上端部25aが前記連結可動軸23を介して枢着された揺動杆で、この揺動杆の下端部25bは、垂直ベース部10の下端部の中央部を内側に折曲形成した支板26に摺動自在に支持されている。
【0015】
27は揺動杆25の嵌合上端部25aと支板26との間に設けられた復帰バネで、この復帰バネ27は、本実施例では揺動杆25に巻装されたコイルスプリングである。揺動杆25は、第1駆動板20が中心回動軸21を基準として左右に回転すると、支板26に形成された貫通小孔26aを中心に左右に揺動する。この時揺動杆25は復帰バネ27のバネ力に抗して多少上下方向にもスライドする。
【0016】
次に30は固定支軸15を介してケース本体7内に揺動自在に設けられた鎌片である。鎌片30の形状を図5に示す。この図5で示すように鎌片は全体として小船などで使用される碇形状をしている。
【0017】
しかして、31は垂直部の上端部に形成された円形の軸孔で、鎌片30はこの軸孔31を介してケース本体7の固定支軸15に振り子状に取付けられる。32は同じく垂直部に形成された垂直案内長孔で、この垂直案内長孔32は前記軸孔30付近から湾曲状掛合部33の中央部寄りの部位まで形成されている。鎌片30を固定支軸15に取付けると、垂直案内長孔32内には第1駆動板20の駆動軸22が位置する。前記湾曲状掛合部33は左右対称のフック部であり、施錠時、図1で示すように受け金具4の受穴6に入り込んで受け金具4に係合する。
【0018】
次に35は第1駆動板20の駆動軸22を介してケース本体7に設けられたデッドボルト(以下、「デッド」と称する。)である。デッド35は前述したようにケース本体の案内切欠部12に嵌合し、かつ、水平(左右)方向に摺動する。デッド35は、図6で示すように長板状に形成され、その中央部には突起部36が連設形成されている。
【0019】
しかして、前記突起部36には山形形状の係合孔37が形成され、該係合孔37を介して第1駆動板20の駆動軸22に係合する。デッド35と第1駆動板20とが係合すると、図1で示すようにデッド35の係合孔37と鎌片30の垂直案内長孔32は常に重なり合っている。したがって、デッド35は端面L型、端面チャンネル形状などその形態の如何を問わず、前記駆動軸22と係合するように互いに重合状態に組合せられている。なお、いずれか一方に突出する両端部の板状施錠部38,38は左右同一である。
【0020】
次に図4及び図9を参照に蓋体9について簡単に説明する。図4で示すように蓋体9の内壁面9aには第2駆動板40が回動自在に設けられている。また図9で示すように蓋体9の外壁面には図示しないシリンダーの駆動軸と係合する回転体41が設けられている。前記回転体41の軸42と第2駆動板40は不可分一体である。この第2駆動板40も第1駆動板20と同様に下端部先細りのへら状に形成されているが、上端部に第1駆動板の駆動軸22と係合する係合部としての係合小孔43が形成されている点が異なる。
【0021】
次に本発明の施錠片(鎌片とデッド)の組み合わせについて説明する。例えば図3の状態に於いて、鎌片30とデッド35とをケース本体7に取付ける場合には、まず、鎌片30の軸孔31をケース本体7の固定支軸15に嵌め合わせ、次に鎌片30の垂直案内長孔32とデッド35の係合孔37とを重ね合わせた状態で両方の孔32,37に駆動軸22を嵌め入れる。それで施錠片の組立が直ちに完了する。
【0022】
次に主要部材の作用について説明する。本発明は、前述したように操作片等の駆動力がダイレクトに鎌片30並びにデッド35に伝達することを目的としている。この観点から図7及び図8を参照にして説明する。今仮に摘み3を矢印A(時計方向)へ回転すると、摘み3と第1駆動板20は一体不可分の関係にあるから、第1駆動板20は摘み3のダイレクトな動きに従い中心回転軸21を基準にして矢印A(時計方向)へ回転する。したがって、駆動軸22も円弧を描きながら同方向へ回転する。前述したように駆動軸22は鎌片30とデッド35の両方の孔32,37を貫通しているので、駆動軸22が円弧を描きながら矢印A方向へ移動すると、鎌片30はその垂直案内長孔32を介し、かつ、固定支軸15を支点に矢印B(反時計方向)へと回転する。一方、デッド35は係合孔37を介し、かつ、ケース本体7の案内切欠部12に案内されながら鎌片30と同期的に矢印C(右方向)へと水平移動する。このように摘み3を操作すると、中心回転軸21を基準にして弧状に回転する第1駆動板20のダイレクトな駆動力により二つの施錠片30,35は安定的に移動する。
【0023】
また本発明は、操作片等の回動操作に安定感やクリック感を得られることを目的とする。この観点から説明すると、揺動杆25は第1駆動板20の下端部に枢着されていると共に支板26に摺動自在に支持されているので、復帰バネ27のバネ力に抗してリンク的な揺動をすると、つまり、第1駆動板20が図7の垂直状態から図8で示す傾倒状態になり、鎌片30の湾曲状掛合部33並びにデッド35の施錠部38が受け金具4に係合すると、復帰バネ27が直ちに復帰するので、「カチャッ」といったような安定感やクリック感を得ることができる。
【0024】
【実施例】
デッド35の端面は、本実施例ではチャンネル形状である。したがって、鎌片30の湾曲状掛合部33は、デッド35の施錠部38に対して出没する。二つの施錠片30,35は左右の両勝手(左方の戸、右方の戸)に対応するように同一或いは対象に形成されている。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては、次に列挙するような効果がある。
(1)鎌片とデッドとをケース本体に取付ける場合、鎌片の軸孔をケース本体の固定支軸に嵌め合わせた上で鎌片の垂直案内長孔とデッドの係合孔とを重ね合わせ、かつ、これらの孔に駆動軸を嵌め入れるだけで良い。従って、ケース本体に対する施錠片の組込みが極めて簡単である。
(2)摘みと第1駆動板は一体不可分の関係にあるから、第1駆動板は摘みのダイレクトな動きに従い中心回転軸を基準にして回転する。したがって、操作片等の駆動力がダイレクトに鎌片並びにデッドに伝達するので、安定的な作動が得られる。
(3)請求項2に記載の発明は、シリンダー側からキー操作しても前記(1)及び(2)の効果を得ることができる。
(4)構成する部品点数が少ないので、安価に製作をすることができる。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図10は本発明の一実施例を示す各説明図。
【図1】蓋体を取外した内部構造の概略説明図。
【図2】摘みがある表面側から見た説明図。
【図3】蓋体並びに施錠片(鎌片とデッドボルト)を取外した内部構造の概略説明図。
【図4】蓋体の内壁面側の説明図。
【図5】鎌片の説明図。
【図6】デッドボルトの説明図。
【図7】第1駆動板と施錠片との関係を示す説明図(作動の中途状態)。
【図8】施錠時の第1駆動板と施錠片との関係を示す説明図。
【図9】蓋体の外壁面側の説明図。
【図10】図1の面付け錠に於いて、蓋体を取付けた説明図。
【符号の説明】
X…面付け錠、1…錠箱、2…戸、3…摘み、4…受け金具、5…戸枠、6…受穴、7…ケース本体、8…開口部、9…蓋体、10…垂直ベース部、11…側壁部、12…案内切欠部、15…固定支軸、20…第1駆動板、21…中心回動軸、22…駆動軸、23…連結可動軸、25…揺動杆、26…支板、27…復帰バネ、30…鎌片、31…軸孔、32…垂直案内長孔、33…掛合部、35…デッドボルト、36…突起部、37…係合孔、38…施錠部、40…第2駆動板、41…回転体、42…軸、43…係合小孔。

Claims (2)

  1. 戸の端面から戸枠方向へ同期的に突出する鎌片とデッドボルトとを備える戸用面付け錠に於いて、ケース本体7内に、その取付け基部に連設する一端部にピン状の駆動軸22を有し、かつ、前記取付け基部が表側の摘み3と中心回動軸21を介して一体的に固定され、かつ前記摘み3と一体不可分に回動する第1駆動板20を設け、またケース本体7内に、鎌片30の垂直部を軸支する固定支軸15を設け、前記摘み3の前記中心回動軸21を基準にして弧状に揺動する前記駆動軸22に、鎌片30の垂直部に形成した垂直案内長孔32と、この垂直案内長孔32と常に重なり合うデッドボルト35の係合孔37とを嵌め合わせたことを特徴とする戸用面付け錠。
  2. 請求項1に於いて、戸用面付け錠はケース本体7に固定される蓋体9を備え、該蓋体の内壁面には、第1駆動板20のピン状の駆動軸22と係合する係合部43を有するシリンダー側の第2駆動板40が設けられていることを特徴とする戸用面付け錠。
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