JP4235309B2

JP4235309B2 - 口紅組成物

Info

Publication number: JP4235309B2
Application number: JP10687999A
Authority: JP
Inventors: 哲篠島; 孝司南; 美和曽山
Original assignee: Shiseido Co Ltd
Current assignee: Shiseido Co Ltd
Priority date: 1999-04-14
Filing date: 1999-04-14
Publication date: 2009-03-11
Anticipated expiration: 2019-04-14
Also published as: JP2000297012A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は口紅組成物、とくにその長期保存安定性とつやおよび使用性の改善に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に口紅用組成物にはワックス、及び各種液状油分が配合されており、特に近年口紅塗布時につやが要求されることから、つやを付与する油分としてラノリンや重質流動イソパラフィンが汎用されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ラノリン類は酸化劣化に起因する悪臭の発生が認められており、特に口紅用組成物はその販売前後にわたって長期に保存される可能性があり、しかも唇という臭いを感じやすい部分に適用されるため、悪臭の発生は極めて重大な問題となっていた。
【０００４】
また、重質流動イソパラフィン類はそれ自体が高粘度であるため、口紅用組成物中に多配合すると使用性、特にのびが悪くなるといった現象が見られていた。
本発明は前記の従来技術の課題に鑑み為されたものであり、その目的はつやを損なうことなく、軽い使用性で、且つ長期保存安定性に優れた口紅用組成物を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明者らが詳細に検討したところ、水添ロジンイソステアリン酸グリセリルと重質流動イソパラフィンとを組み合わせて配合することにより、ラノリンと同等のつやを付与する機能があり、さらにメチルフェニルポリシロキサンを組み合わせることによって、つやを損なわずに使用性が大幅に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる口紅用組成物は、水添ロジンイソステアリン酸グリセリルと重質流動イソパラフィンとメチルフェニルポリシロキサンとを含むことを特徴とする。
【０００６】
また、本発明にかかる口紅組成物においては、水添ロジンイソステアリン酸グリセリルが５〜２０重量％と、重質流動イソパラフィンが１０〜２０重量％と、メチルフェニルポリシロキサンが１０〜３０重量％配合されていることが好適である。
また、本発明にかかる口紅組成物においては、重質流動イソパラフィンの平均分子量が５００〜３０００であることが好適である。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明における水添ロジンイソステアリン酸グリセリルは下記構造式を有する。
【０００８】
【化１】

該水添ロジンイソステアリン酸グリセリルの組成物中への配合量は、良好なつやを得るためには５重量％以上配合することが好ましい。また、水添ロジンイソステアリン酸グリセリルの配合量の上限値は２０重量％以下が好ましい。これを超えて配合してもつやの向上は望めないばかりか、のびの点で重くなることがあるので好ましくない。
【０００９】
また、本発明において前記水添ロジンイソステアリン酸グリセリルとともにつやを良くするために用いられる重質流動イソパラフィンは、イソブテンとｎ−ブテンの共重合体において、末端の２重結合も含め水素添加した側鎖を有する飽和タイプの長鎖状炭化水素の混合物である。重合度は重合条件を変えることで種々のものが得ることができる。本発明ではその入手の容易性や粘度等の観点から平均分子量５００〜３０００のものが好ましく用いることができ、とくに１０００付近のものが最適である。該重質流動イソパラフィンの組成物中への配合量は、つやを良くする上では１０重量％以上が好ましい。また、重質流動イソパラフィンの上限値は、他の成分との相対的関係から２０重量％以下が好ましい。これを超えて配合するとのびの点で重くなることがある。
【００１０】
また、本発明において口紅組成物ののびの悪さを抑えるため、メチルフェニルポリシロキサンを配合するが、その効果を得るためにはメチルフェニルポリシロキサンを１０〜３０重量％配合することが必要であり、メチルフェニルポリシロキサンの粘度は５〜１００ｃｓが好ましい。１０重量％より少ないと、のびの点で重くなる傾向があり、３０重量％を超えて配合するとつやが悪くなる傾向がある。
【００１１】
本発明において他に配合される成分として炭化水素系ワックスは、一般に化粧料等に用いられるものであれば何でもよく、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ポリエチレンワックス、セレシンワックス等が挙げられる。炭化水素系ワックスの配合量は、油分に対する固化力によっても異なるが、口紅用組成物全量中の０．５〜２５重量％が好ましく、さらに好ましくは３〜１０重量％である。０．５重量％未満であると、保型性が保てず、２５重量％を越えると、グロス光沢が失われることがある。
【００１２】
本発明のつや出し用口紅組成物には発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じ、ワックス、油分、水、保湿剤、界面活性剤、顔料、樹脂、粘土鉱物、酸化防止剤、防腐剤、紫外線防止剤、香料等を配合することができる。
【００１３】
【実施例】
次に実施例によって本発明を更に詳しく説明する。本発明はそれによって限定されるものではない。配合量は重量％である。本発明者らは本発明の口紅組成物を検討するに当たって各種試験を行った。実施例に先だちその効果試験方法及び評価基準について説明する。
【００１４】
［のび］
専門パネル（１５名）に各実施例、比較例の口紅用組成物（試料）を使用してもらい、官能で５段階評価（総合評価）し、その平均値で評価した。
＜評価基準＞
１：のびが悪い（重い）
２：のびがやや悪い（やや重い）
３：のびが普通
４：のびがやや良い（やや軽い）
５：のびが良い（軽い）
（評価）
◎ ：評価値（平均値）４．５以上５．０まで
○ ：評価値（平均値）３．５以上４．５まで
△ ：評価値（平均値）２．５以上３．５まで
× ：評価値（平均値）１．５以上２．５まで
××：評価値（平均値）１．０以上１．５まで
【００１５】
［つや］
専門パネル（１５名）に各実施例、比較例の口紅用組成物（試料）を使用してもらい、官能で５段階評価（総合評価）し、その平均値で評価した。
＜評価基準＞
１：つやがない
２：つやがややない
３：つやが普通
４：つやがやや良い
５：つやが良い
（評価）
◎ ：評価値（平均値）４．５以上５．０まで
○ ：評価値（平均値）３．５以上４．５まで
△ ：評価値（平均値）２．５以上３．５まで
× ：評価値（平均値）１．５以上２．５まで
××：評価値（平均値）１．０以上１．５まで
【００１６】
［臭い］
口紅用組成物の加速劣化試験を実施し、臭い評価を行った。
なお、加速劣化試験はＣＤＭ試験（Conductmetric Determination Method）により、酸化劣化誘導時間を測定することにより行った。
【００１７】
（定義）
試料を反応容器に入れ加熱しながら乾燥空気を送り込む。酸化により生成された揮発性の分解生成物を水中に捕集し、その誘電率が急激に変化する折曲点までの時間を酸化劣化誘導時間（Induction Time）として求め、試料の酸化安定性の指針とした。
【００１８】
（方法）
ランシマットＥ６７９型（メトローム社製）を用い、油脂一般試験法2.2.4.28.2-93（ＣＤＭ試験）に基づいて測定を行った。測定温度は１２０℃、空気流量２０Ｌ／ｈで測定した。
＜評価基準＞
○：酸化誘導時間が４８時間以上
△：酸化誘導時間が２０時間以上４８時間未満
×：酸化誘導時間が２０時間以下
【００１９】
従来技術
まず、下記表の従来の口紅組成物ないしつや成分であるラノリンを従来のように多量配合した口紅組成物を調製し、前記各試験を行った。比較例１はつや成分を含まない口紅組成物。比較例２〜６はいずれもつや成分としてラノリンを含む口紅組成物である。
【００２０】
【表１】

【００２１】
上記結果より、つや成分であるラノリンを配合しない口紅組成物である比較例１は臭いの点では問題ないが、つやに劣ることがわかる。これに対してつや成分のラノリンを配合した比較例２〜６の口紅組成物は、つやの点では優れているが劣化に伴う臭いの点で問題があることがわかる。したがって、ラノリンを従来のように多量配合した口紅組成物は長期保存には向かないことがわかる。
【００２２】
構成成分
そこで、本発明者らはラノリンの配合をできる限り少なくし、ラノリンと同等のグロス光沢に優れる口紅組成物を得るべく検討を行った。下記表２および表３にその過程で得た口紅組成物の組成と試験結果を示す。
【００２３】
【表２】

【００２４】
上記結果より、水添ロジンイソステアリン酸グリセリル、重質流動イソパラフィンおよびメチルフェニルポリシロキサンの全てを含む本発明にかかる実施例１および２の口紅組成物は、のび、つや、臭いの３点ともに優れているのがわかる。そして、前記表１と比較してもラノリンと対等のつやを達成していることがわかる。
【００２５】
これに対して、比較例７は、メチルフェニルポリシロキサンを含んでおらず、のびの点でかなり劣ることがわかる。また、実施例１および２の構成のうち、メチルフェニルポリシロキサンを同じシリコーン系油分のジメチルポリシロキサンに変えた比較例８および比較例９はつやの点で劣ったものとなった。また、上記表にはないがメチルフェニルポリシロキサンの代わりにエステル油あるいは流動パラフィンを用いても同様につやが落ちる傾向がある。
【００２６】
したがって、メチルフェニルポリシロキサンのみがつやを落とさずにのびを良くすることがわかる。
つぎに、シリコーン系油分以外の成分についての検討結果を表３に示す。
【００２７】
【表３】

【００２８】
上記結果より、本発明の必須構成成分から水添ロジンイソステアリン酸グリセリルの構成を欠いた比較例１０の組成物はのびおよびつやの点でまだ十分とはいえないことがわかる。なお、上記表にはないが重質流動イソパラフィンの構成を欠いた組成物でも同様にのびおよびつやの点が不十分であった。
【００２９】
また、ラノリンを比較的少量含む実施例３および実施例４の組成物においては、臭い（長期保存安定性）の評価に問題がないことからわかるように、ラノリンを５重量％程度まで配合することには問題はない。しかしながら、比較例１１よりわかるようにラノリンを５重量％程度配合したとしても、この程度では口紅組成物としてのつやを付与することはできない。
【００３０】
したがって、前記表２および表３より、水添ロジンイソステアリン酸グリセリルと、重質流動イソパラフィンと、メチルフェニルポリシロキサンとを含む組成物により、初めてのび、つや、臭いの３点ともに優れた口紅組成物となることがわかる。
また、重質流動イソパラフィンの平均分子量が２０００の試験例１と４０００の試験例２の評価結果から、本発明における重質流動イソパラフィンの平均分子量は約３０００までが好適であることがわかる。
【００３１】
水添ロジンイソステアリン酸グリセリルの配合量
つぎに水添ロジンイソステアリン酸グリセリルの配合量の検討を行った。その結果を下記表に示す。
【表４】

【００３２】
上記結果より、水添ロジンイソステアリン酸グリセリルの配合量は約５〜２０重量％が好適であることがわかる。なお、試験例７と試験例８を比較すると、重質流動イソパラフィンの配合の多い試験例８のほうが重いのびを示した。また、試験例３は、重質流動イソパラフィンおよびメチルフェニルポリシロキサンの配合量が少ない例であるが、このように他成分の配合が少ないと水添ロジンイソステアリン酸グリセリルの配合量が５重量％であってもつや等が劣ることがある。
【００３３】
重質流動イソパラフィンの配合量
つぎに重質流動イソパラフィンの配合量の検討を行った。その結果を下記表に示す。
【表５】

【００３４】
上記結果より、重質流動イソパラフィンの配合量が１０重量％より少ないとつやの点で劣り、２０重量％を超えて配合されるとのびの点で悪くなることがわかる。したがって、重質流動イソパラフィンの配合量は１０〜２０重量％が好適であることがわかる。
【００３５】
メチルフェニルポリシロキサンの配合量
つぎにメチルフェニルポリシロキサンの配合量の検討を行った。その結果を下記表に示す。
【表６】

【００３６】
上記結果より、メチルフェニルポリシロキサンの配合量が、１０重量％より少ないとのびの点で劣り、３０重量％を超えて配合されるとつやの点で悪くなることがわかる。したがって、メチルフェニルポリシロキサンの配合量は１０〜３０重量％が好適であることがわかる。
【００３７】
【発明の効果】
本発明の口紅組成物は、水添ロジンイソステアリン酸グリセリルと、重質流動イソパラフィンと、メチルフェニルポリシロキサンとを含むことにより、つやを損なうことなく、軽い使用性で、且つ長期保存安定性に優れた口紅用組成物とすることができる。

Claims

水添ロジンイソステアリン酸グリセリルが５〜２０重量％と、重質流動イソパラフィンが１０〜２０重量％と、メチルフェニルポリシロキサンが１０〜３０重量％配合され、かつデキストリン脂肪酸エステルを含まないことを特徴とする口紅用組成物。
請求項１に記載の組成物において、重質流動イソパラフィンの平均分子量が５００〜３０００であることを特徴とする口紅用組成物。