JP2005239592A - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 塗布のし易さ、皮膚への密着性(優れたフィット感)等の官能面や外観形状の持続性が良好であり、特に皮膚への密着性が良好である事から、製剤中に配合した薬効成分の経皮吸収にも優れた、経時安定性が良好であり、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップスティック、頬紅、ファンデーション、皮膚保護クリーム、軟膏等の幅広い用途に利用が可能な皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 水酸基価から算出した平均重合度2〜20のポリグリセリンと、炭素数8〜22の分枝脂肪酸でエステル化したポリグリセリン分枝脂肪酸エステルと、融点が30℃以上の油性成分とを含有する皮膚外用剤を用いる。
【解決手段】 水酸基価から算出した平均重合度2〜20のポリグリセリンと、炭素数8〜22の分枝脂肪酸でエステル化したポリグリセリン分枝脂肪酸エステルと、融点が30℃以上の油性成分とを含有する皮膚外用剤を用いる。
Description
本発明は、特定のポリグリセリン分枝脂肪酸エステルと、融点が30℃以上の油性成分を含有する皮膚外用剤に関し、更に詳しくは、塗布のし易さ、皮膚への密着性(優れたフィット感)等の官能面や外観形状の持続性に優れ、且つ経時安定性に優れた皮膚外用剤に関するものである。
従来、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップスティック、頬紅、ファンデーション、皮膚保護クリーム、軟膏等の皮膚外用剤は、液体油分、融点が30℃以上である油性成分である固形ワックスを主成分とし構成されている。固形ワックスは製品形状や成形性に重要であり必須成分である。一般に固形ワックスとしては、ミツロウ、カルナウバロウ等の天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等の鉱物系ワックス等が使用されており、液体油分としては、流動パラフィン、ポリブテンやポリイソブチレン等の炭化水素油、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油が使用されている。しかしながら、これら液体油分を用いて得た皮膚外用剤は、塗布のし易さ、皮膚への密着性(優れたフィット感)等の官能面や外観形状の持続性において劣るものであった。これらの問題を解決した技術として、特許文献1が報告されている。しかしながら、必須成分である液体油分のオレフィンオリゴマーは、本発明のポリグリセリン分枝脂肪酸エステルに比べ、臭気が強く、また耐熱性や経時変化臭が劣るものであるため、製品臭気や経時安定性面において問題があった。以上のことから、融点が30℃以上である油性成分である固形ワックスを用いて、上記問題点を解決できる液体油分の開発が求められていた。
特開2003−160425号公報
本発明が解決しようとする課題は、塗布のし易さ、皮膚への密着性(優れたフィット感)等の官能面や外観形状の持続性に優れ、且つ経時安定性に優れた皮膚外用剤を提供することである。
本発明者らは、上記問題を解決するため鋭意検討した結果、特定のポリグリセリン分枝脂肪酸エステルを用いた皮膚外用剤が、上記課題を解決し得ることを見出だし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、水酸基価から算出した平均重合度2〜20のポリグリセリンと、炭素数8〜22の分枝脂肪酸でエステル化したポリグリセリン分枝脂肪酸エステルと、融点が30℃以上の油性成分とを含有する皮膚外用剤に関するものである。
本発明により、塗布のし易さ、皮膚への密着性(優れたフィット感)等の官能面や外観形状の持続性に優れ、且つ経時安定性に優れた皮膚外用剤を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するポリグリセリン分枝脂肪酸エステルは、水酸基価から算出した平均重合度2〜20のポリグリセリンと、炭素数8〜22の分枝脂肪酸でエステル化したポリグリセリン分枝脂肪酸エステルを使用する、その中でポリグリセリン分枝脂肪酸エステルの原料であるポリグリセリンは、水酸基価から算出した平均重合度4〜10のポリグリセリン、分枝脂肪酸は炭素数18のイソステアリン酸がより好ましく、分枝脂肪酸の付加モル数はポリグリセリン1モルに対して4〜12モル、好ましくは7〜9モルでエステル化したポリグリセリンイソステアリン酸エステルである。
本発明において、ポリグリセリン分枝脂肪酸エステルの配合量は皮膚外用剤に対して1〜99重量%、本発明の効果の点から5〜85重量%が特に好ましい。
本発明で使用する融点が30℃以上の油性成分としては、ミツロウ、カルナウバロウ等の天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等の鉱物系ワックス等が挙げられ、皮膚外用剤組成物に適用可能なものであれば特に制限はない。
本発明において、融点が30℃以上の油性成分の配合量は皮膚外用剤に対して1〜40重量%、本発明の効果の点から5〜35重量%が特に好ましい。
尚、本発明に係る皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、植物性、動物性及び合成の油脂類、液状の炭化水素油類、エステル油類、多価アルコール等の保湿剤、水、紫外線吸収剤、抗酸化剤、防腐剤、顔料、色素、香料等を配合することが出来る。
本発明においては、上記のポリグリセリン分枝脂肪酸エステルと融点が30℃以上の油性成分を加熱混合し、均一に溶解して皮膚外用剤とする。
本発明に係る皮膚外用剤の具体的な用途としては、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップスティック、頬紅、ファンデーション、皮膚保護クリーム、軟膏等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
表1に示す処方にて、皮膚外用剤に係るリップグロスを調製した。リップグロスは、全成分を加熱しながらディスパーミキサーで均一に加熱混合し、金皿に流し込み冷却することにより調製した。
表1に示した実施例及び比較例の皮膚外用剤に係るリップグロスを用いて、以下に示す評価を実施した。
(官能評価)
25℃での粘度が2,000cps以上の粘稠油分を含有する化粧料。
20名の健常女性パネラーにより「塗布のし易さ」、「皮膚への密着性」の項目について官能評価した。尚、各評価項目を5点満点とし、20名の平均点を算出し、以下の基準により評価した。その結果を表1に示す。
◎:4.5点以上(非常に良好である)
○:4.0点以上、4.5点未満(良好である)
△:3.0点以上、4.0点未満(やや悪い)
×:3.0点未満(悪い)
(経時安定性評価)
実施例1〜3及び比較例1〜2の皮膚外用剤に係るリップグロスを、40℃の恒温槽にて1ヶ月暴露し、その時の経時変化臭及び外観形状の持続性について評価した。尚、以下の基準により評価した、その結果を表1に示す。
○:調製直後品と比べ、臭気及び外観形状について差がない。
△:調製直後品と比べ、僅かに異臭がある及び/又は外観形状に差がある。
×:調製直後品と比べ、異臭がある及び/又は外観形状に差がある。
(官能評価)
25℃での粘度が2,000cps以上の粘稠油分を含有する化粧料。
20名の健常女性パネラーにより「塗布のし易さ」、「皮膚への密着性」の項目について官能評価した。尚、各評価項目を5点満点とし、20名の平均点を算出し、以下の基準により評価した。その結果を表1に示す。
◎:4.5点以上(非常に良好である)
○:4.0点以上、4.5点未満(良好である)
△:3.0点以上、4.0点未満(やや悪い)
×:3.0点未満(悪い)
(経時安定性評価)
実施例1〜3及び比較例1〜2の皮膚外用剤に係るリップグロスを、40℃の恒温槽にて1ヶ月暴露し、その時の経時変化臭及び外観形状の持続性について評価した。尚、以下の基準により評価した、その結果を表1に示す。
○:調製直後品と比べ、臭気及び外観形状について差がない。
△:調製直後品と比べ、僅かに異臭がある及び/又は外観形状に差がある。
×:調製直後品と比べ、異臭がある及び/又は外観形状に差がある。
表1に示したとおり、実施例1〜3の皮膚外用剤に係るリップグロスは官能面及び経時安定性が共に良好であった。これに対し、比較例1〜2のリップグロスは官能面若しくは、経時安定性の何れか一方において不十分な結果であった。
(使用感評価)
実施例4は、皮膚保護クリーム、軟膏等の例として、アトピー性皮膚炎患者20名に、実施例1のスクワラン1%を、油溶性甘草エキスに置換した皮膚外用剤と、油溶性甘草エキス1%配合のワセリン軟膏のそれぞれを4週間連続使用し、アトピー性皮膚炎の改善を、「改善した」、「やや改善した」、「改善していない」の何れかであるかを自分で判断してもらった。その回答の結果を人数にて表2に示す。
(使用感評価)
実施例4は、皮膚保護クリーム、軟膏等の例として、アトピー性皮膚炎患者20名に、実施例1のスクワラン1%を、油溶性甘草エキスに置換した皮膚外用剤と、油溶性甘草エキス1%配合のワセリン軟膏のそれぞれを4週間連続使用し、アトピー性皮膚炎の改善を、「改善した」、「やや改善した」、「改善していない」の何れかであるかを自分で判断してもらった。その回答の結果を人数にて表2に示す。
実施例5 口 紅
A相 (重量%)
ノナイソステアリン酸デカグリセリル 33.50
キャンデリラロウ 14.00
セレシン 4.00
マイクロクリスタリンワックス 3.00
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 29.00
流動パラフィン 15.00
B相
赤色104号 0.50
黄色4号 1.00
A相を80℃にて加温して均一溶解した後、冷却しロールミルで均一に練る。これにB相を添加し脱泡後、型に流し込み急冷して口紅を得た。
A相 (重量%)
ノナイソステアリン酸デカグリセリル 33.50
キャンデリラロウ 14.00
セレシン 4.00
マイクロクリスタリンワックス 3.00
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 29.00
流動パラフィン 15.00
B相
赤色104号 0.50
黄色4号 1.00
A相を80℃にて加温して均一溶解した後、冷却しロールミルで均一に練る。これにB相を添加し脱泡後、型に流し込み急冷して口紅を得た。
実施例6 リップクリーム
(重量%)
オクタイソステアリン酸デカグリセリル 60.50
カルナバロウ 5.00
キャンデリラロウ 10.00
セレシン 2.50
サラシミツロウ 2.00
カカオ脂 5.00
流動パラフィン 15.00
全成分を85℃にて加温して均一溶解した後、ディスパーミキサーで分散する。脱気後、70℃で型に流し込み急冷して、リップクリームを得た。
(重量%)
オクタイソステアリン酸デカグリセリル 60.50
カルナバロウ 5.00
キャンデリラロウ 10.00
セレシン 2.50
サラシミツロウ 2.00
カカオ脂 5.00
流動パラフィン 15.00
全成分を85℃にて加温して均一溶解した後、ディスパーミキサーで分散する。脱気後、70℃で型に流し込み急冷して、リップクリームを得た。
実施例7 油性ファンデーション(スティックタイプ)
A相 (重量%)
デカイソステアリン酸デカグリセリル 15.00
固形パラフィン 7.50
マイクロクリスタリンワックス 7.00
ジメチルポリシロキサン 15.00
ステアリン酸カルシウム 5.00
B相
タルク 3.00
カオリン 20.00
マイカ 3.00
酸化チタン 20.00
ベンガラ 1.00
黄酸化鉄 3.00
黒酸化鉄 0.50
A相を85℃にて加温して均一溶解した後、これに予め混合粉砕したB相を撹拌しながら添加し、コロイドミルで磨砕分散する。脱気後70℃で型に流し込み急冷して、油性ファンデーションを得た。
A相 (重量%)
デカイソステアリン酸デカグリセリル 15.00
固形パラフィン 7.50
マイクロクリスタリンワックス 7.00
ジメチルポリシロキサン 15.00
ステアリン酸カルシウム 5.00
B相
タルク 3.00
カオリン 20.00
マイカ 3.00
酸化チタン 20.00
ベンガラ 1.00
黄酸化鉄 3.00
黒酸化鉄 0.50
A相を85℃にて加温して均一溶解した後、これに予め混合粉砕したB相を撹拌しながら添加し、コロイドミルで磨砕分散する。脱気後70℃で型に流し込み急冷して、油性ファンデーションを得た。
実施例5〜7に示した皮膚外用剤について、上記と同様に官能評価及び経時安定性評価を実施した。その結果を表3に示す。
表3に示したとおり、実施例5〜7に示した皮膚外用剤は官能面及び経時安定性共に良好な結果であった。
本発明の皮膚外用剤は、塗布のし易さ、皮膚への密着性(優れたフィット感)等の官能面や外観形状の持続性が良好であり、特に皮膚への密着性が良好である事から、製剤中に配合した薬効成分の経皮吸収にも優れた、経時安定性が良好な皮膚外用剤であり、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップスティック、頬紅、ファンデーション、皮膚保護クリーム、軟膏等幅広い用途に利用が可能なものである。
Claims (1)
- 水酸基価から算出した平均重合度2〜20のポリグリセリンと、炭素数8〜22の分枝脂肪酸でエステル化した分枝脂肪酸エステルと、融点が30℃以上の油性成分とを含有する皮膚外用剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004048881A JP2005239592A (ja) | 2004-02-25 | 2004-02-25 | 皮膚外用剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004048881A JP2005239592A (ja) | 2004-02-25 | 2004-02-25 | 皮膚外用剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005239592A true JP2005239592A (ja) | 2005-09-08 |
Family
ID=35021710
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004048881A Pending JP2005239592A (ja) | 2004-02-25 | 2004-02-25 | 皮膚外用剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005239592A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007102125A3 (en) * | 2006-03-06 | 2008-01-03 | Procter & Gamble | Lipophilic personal care composition |
JP5255749B2 (ja) * | 2003-09-05 | 2013-08-07 | 阪本薬品工業株式会社 | 化粧品用抱水性油性原料及び化粧品 |
JP2014012653A (ja) * | 2012-06-04 | 2014-01-23 | Sakamoto Yakuhin Kogyo Co Ltd | 化粧料用油剤及びそれを配合する化粧料 |
-
2004
- 2004-02-25 JP JP2004048881A patent/JP2005239592A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5255749B2 (ja) * | 2003-09-05 | 2013-08-07 | 阪本薬品工業株式会社 | 化粧品用抱水性油性原料及び化粧品 |
WO2007102125A3 (en) * | 2006-03-06 | 2008-01-03 | Procter & Gamble | Lipophilic personal care composition |
JP2014012653A (ja) * | 2012-06-04 | 2014-01-23 | Sakamoto Yakuhin Kogyo Co Ltd | 化粧料用油剤及びそれを配合する化粧料 |
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