JP4235108B2 - 外因性カロテノイド生合成阻害剤の非在下で適切な培地中で高収量のリコペンを産生するブラケスレア・トリスポラ - Google Patents

外因性カロテノイド生合成阻害剤の非在下で適切な培地中で高収量のリコペンを産生するブラケスレア・トリスポラ Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
発明の分野
本発明は、外因性カロテノイド生合成阻害剤の非在下に適切な培地中でリコペンを産生するブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)(B.トリスポラ)株、これらの株によるリコペンの自然で効率の良い生産法、この方法に非常に適した培地、及びいずれのカロテノイド化合物にも適した、好ましくはリコペンに適した単離法に関する。
発明の背景
リコペンは赤色カロテノイドである。多くの生物に低レベルで見出され、天然に見られるほとんどのカロテノイドの生合成前駆物質である。しかしながら、高レベルでこの天然色素を含む供給源はほとんどない。一方、抗酸化性や他の潜在的に有利な性質があることからこの化合物には商業的興味が増している。
現在、リコペンを生産するいくつかの方法が既知である。第一の方法は化学合成である(Meyer(2002), Chemie in unserer Zeit 36(3):178-192)。化学的方法は、天然物として認められる産物を得られない欠点がある。第二の方法はトマトからの抽出である(国WO 97/48287又はEP 608027)。植物からの抽出は、フルーツトマト中のリコペン濃度が低いために非常に費用のかかる方法である。
リコペンは、また、B.トリスポラの発酵によって生産することができる。B.トリスポラは、1950年代の後期からβ-カロテンの生産に用いられてきた。リコペンの発酵生産の最初の試みは、米国特許第3,097,146号に記載されている。その中で、特定の好ましい発酵条件下で、リコペンがB.トリスポラによって、実用的にカロテノイドを排して産生されることが主張されている。しかしながら、培養pH値が発酵を通じて6.6より高いことを除いてこれらの特定の条件が何であるかは明瞭に開示されていない。リコペンの収量は非常に低く、最大レベルが150mg/lである。実験データは、産生されたカロテノイドが実質的に純粋なリコペンであるというクレームを支持することを示していない。
後の方法には、β-カロテンの形成を阻止するとともにリコペンの蓄積を促進させる特異的化学カロテノイド生成阻害剤が用いられた。この技術の例は、米国特許第3,369,974号、日本特許第48016189号、同第48016190号、同第73016189号、同第73016190号、ロシア特許第2102416号、日本特許第09313167号、米国特許第3369974号に見ることができる。この方法により、1030mg/lに達するリコペン濃度が得られ、付随して205mg/lのβ-カロテンも生成された。これまで、リコペン代謝の阻害剤として多くの化合物が試験されてきたが、食品等級の化合物は有効でないことが分かっている(Mehta & Cerda-Olmedo(1999), Mycoscience 40:307-310)。
β-カロテンの合成が遮断されたるとカロテノイド産生に関して問題があり得ることが知られている。カロテノイド生成は、(+)株と(-)株を共存培養した場合に産生される性ホルモンであるトリスポリン酸によって刺激される。同時に、β-カロテンはトリスポリン酸の前駆物質であるので、β-カロテン産生を遮断するとすべてのカロテノイドの産生が減少することになる。WO 00/77234には、十分なβ-カロテン産生の非存在下でカロテノイド生成を刺激するという課題は外部供給源からトリスポリン酸を添加することにより解決できることが教示されている。本出願には、β-カロテンの産生株B.トリスポラの発酵によって又はリコペンを蓄積するその変異体によってリコペンを生産する方法が記載される。リコペンを蓄積する変異体は、既にMehta Bら(1995, Appl. Microbiol. Biotechnol., 42:836-838)に記載されている。そのようなリコペン産生変異株は、以後、Mehta変異体と呼ぶ。Mehta変異体は変異導入によって得られ、寒天平板上で阻害剤を添加せずに少量のリコペン200μg/g乾燥重量を産生した。Mehta変異体はリコペン収量が不十分なためにバイオテクノロジー用途に有益でないとMehtaは結論した。WO 00/77234では、このMehta変異体による最大リコペン生産は同一条件下でβ-カロテンの産生株と阻害剤を用いることにより得られる生産レベルが約4%であったので、このMehta変異体によるリコペンの生産はβ-カロテン産生株を用いて阻害剤としてイミダゾールを添加して得られた生産より明らかに劣っている。容量生産性が示されないので、従来技術との比較が難しいが、バイオマス生産が50g/l(すでに真菌振盪フラスコ培養としては高い推定値である)と仮定すると、Mehta変異体によって最高濃度約60mg/lのリコペンを産生することができるかもしれないと我々は算出している。この生産評価は、上記米国特許第3,097,146号で以前に得られたものより更に少ない。
従って、自然発酵と単離工程を用いて高収量のリコペンを得る効率の良い方法がなお求められている。本発明は、そのような方法を提供する:特定の外因性カロテノイド生成阻害剤を一切含まず、発酵に一般に用いられる成分だけを含む微生物学的に適切な培地中で新規なB.トリスポラ株によるリコペンの生産方法。本発明の株の利点は、発酵工程においてリコペンを産生することが可能となることであって、前記発酵工程の天然特性を損なう化合物は存在せず、産生したリコペンの食品等級特性を損なう産物は添加されないことである。
発明の詳細な説明
リコペンを生産する技術において既知の方法と対照的に、本発明は、カロテノイド生合成経路を阻害する外部添加を一切用いずに、発酵に一般に用いられる適切な培地上でリコペンを高生産する方法を提供する。このことは、化学変異導入と選抜によって得られた変異体の使用によって達成される。古典的な変異導入によって以前に見出された変異体(1995, Appl. Microbiol. Biotechnol., 42:836-838)の特徴を考えると、そのような変異体を発見することができることは非常に驚くべきことである。
本発明は、まず、特異的外因性カロテノイド生合成阻害剤の非在下に適切な培地中で適切なブラケスレア・トリスポラ株の反対の接合型と少なくとも3日間共存培養した場合に、少なくとも0.3g/lのリコペンを産生することができるブラケスレア・トリスポラ株に関する。好ましくは少なくとも0.5g/l、好ましくは少なくとも0.7g/l、好ましくは少なくとも0.8g/l、最も好ましくは少なくとも1.2g/l、更に最も好ましくは少なくとも1.5g/lのリコペンが産生される。産生したリコペンの量は、発酵工程の終わりに測定される。
好適実施態様において、適切な培地とは、発酵培地中で一般に用いられる成分だけを含んでいる培地を意味する。従って、工程の天然特性を損なう化合物は存在せず及び/又は産生したリコペンの食品等級特性を損なう産物は添加されず及び/又は費用のかかる添加剤は添加されない。
この培地は、外因性カロテノイド生合成阻害剤を含まない。本発明との関連において、カロテノイド生合成阻害剤とは、β-カロテンの形成を特異的に阻害するとともにリコペンの蓄積を促進させる物質である。カロテノイド生合成阻害剤は、また、リコペンの代謝を特異的に阻害する物質として定義することができる。発酵中に存在するかもしれない唯一の特定のカロテノイド生合成阻害剤は、株自体によって産生される可能性のあるものである。カロテノイド生合成阻害剤の例は、WO 200077234、米国特許第3,369,974号、日本特許第48016189号、日本特許第48016190号、Mehta & Cerda-Olmedo(1999)、Cerda-Olmedo & Huetterman(1986) Angewandte Botanik 60:59-70、日本特許第73016189号、日本特許第73016190号、ロシア特許第2102416号、日本特許第09313167号、米国特許第3369974号に記載されている。これらの阻害剤は、N-複素環化合物、例えば、イミダゾール、ピリジン、モルホリン又はその置換誘導体、又は第三アミノ化合物であってもよい。本発明に関連して、チアミンは第三アミンとして考慮しない。チアミンはB.トリスポラの必須ビタミンであるので、発酵培地中に存在しなければならない。
好ましくは、カロテノイド生合成阻害剤は、少なくとも10w/w%のβ-カロテンの形成を阻止するとともに付随してカロテノイド生合成阻害剤が存在しない状態に比べて少なくとも10w/w%のリコペンを促進させることができるであろう。好ましくは少なくとも20%、更に好ましくは少なくとも30%、更に好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%、更に最も好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%のβ-カロテン形成が阻止される。
好ましくは、トリスポリン酸は発酵中に添加されない。トリスポリン酸が発酵中に添加されない場合、存在するかもしれないトリスポリン酸の唯一の供給源は株自体によって産生される天然のトリスポリン酸である。
好ましくは、適切な培地は、1種以上の炭素源、1種以上の窒素源、無機塩類、チアミンを含んでいる。添加し得る炭素源は、簡単な又は複雑な栄養素であり、炭水化物又は脂肪、例えば、デキストリン、デンプン、グルコース、サッカロース、フルクトース、マルトース、マルトデキストリン、動物油又は植物油が含まれる。適切な培地は、好ましくは、無機又は有機の同化できる窒素源、例えば、ダイズ粉、トウモロコシ粉、可溶性留出分、酵母エキス、綿実粉、ペプトン、カゼイン、アンモニア、アンモニウム塩、硝酸塩、コーンエキス、コーンスティープ固体、コーンスティープリカー等を有する。適切な培地中に存在することが好ましい無機塩類としては、リン酸塩、硫酸塩、塩化物、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムが含まれる。栄養素の割合は、B.トリスポラ株の増殖に要求されるものに基づいて、また、リコペン生産レベルで求めることができる。発酵は、好気的条件で且つ液中培養で行なうことが好ましい。好ましくは、適切な培地は、本出願において更に定義されるようにC源として高い含量の糖を含んでいる。最も好ましい培地は、下記表1で定義される。発酵工程は、20〜34℃を含む温度で行なうことができる。或いは、発酵工程は、続く工程段階を独立して最適化することができるように、この範囲内で2以上の異なる温度にて行なうことができる。好ましくは、温度は発酵の第一工程においてホストの最適増殖に適するように選択し、第二工程において、ホストによるリコペンの最適生産に適するように選ぶことができる。更に好ましくは、リコペンの生産に適した温度はホストの増殖に適した温度より低い。温度は共に20〜34℃である。増殖に適した温度は、好ましくは25〜32℃、更に好ましくは32℃であり、リコペン生産に適した温度は好ましくは20〜25℃、更に好ましくは22℃である。
或いは、また、他の好適実施態様によれば、発酵工程は流加発酵(fed-batch fermentation)工程である。そのような流加発酵工程では、発酵の開始に適切な培地に栄養素の供給に加えて、発酵中、発酵系に供給することにより1種以上の栄養素が供給される。或いは、発酵中、発酵系に供給することにより1種以上の栄養素が供給され、そのことにより、発酵中に消費された栄養素が補充される。流加系の利点の一つは、糖のような栄養素の望ましくない高濃度を避け得ることである。供給原料によって供給し得る潜在的に有害な栄養素の他の例は、アンモニア又は高濃度が望ましくない他の栄養素である。流加発酵の第二の利点は、栄養素の1つが消耗した後に、そのような栄養素を加えることにより発酵の延長が可能であることである。流加工程の使用によって、しばしばバイオマス濃度が高くなり、産物濃度が高くなる。
発酵工程の終わりに存在するカロテノイドの濃度は、種々のカロテノイドの特徴的な吸収極大を考慮して、カロテノイドの抽出後に分光光度法で測定することができる。或いは、カロテノイドは、HPLC又は他のクロマトグラフィー法によって分離することができ、その後、共通吸収波長で、又は種々のカロテノイドに特異的な異なる波長で検出することができる。異なるクロマトグラフィー特性又はスペクトル特性を有するかもしれないカロテノイドの立体異性体の出現に特に注意を払うことがある。生合成経路の一次産物がトランス異性体であること、および、試料の処理又は産物の単離中に種々の程度で種々のシス異性体への異性化が生じることがあることは当該技術において既知である。従って、カロテノイド化学種の全生産レベルは、すべての立体異性体レベルの合計であると考えられる。
すべてのカロテノイドの全異性体を検出することは困難であろう。従って、2つの十分に検出された産物の割合によってカロテノイド生合成変異体を確認することが便利であろう。本発明との関連において、2つの重要なカロテノイドは、親株の主要な産物であるβ-カロテンと、変異体の主要な産物であるリコペンである。変異体又は工程条件は、関連した試料中に存在するリコペンとβ-カロテンの比によって特徴付けることができる。或いは、変異体は存在する全カロテノイドの割合として産生した全リコペンの量によって特徴づけることができる。結果として、本発明との関連において(特に示されない限り)リコペンとβ-カロテンのそれぞれの濃度はシス-およびトランス-リコペンとシス-およびトランス-β-カロテンそれぞれの濃度の合計に対応する。複数のカロテノイドが存在するために、β-カロテンとリコペンの合計は本株によって産生されたカロテノイドの全量の約90w/w%である(特に示されない限り)。
好適実施態様によれば、用いられる株は、特異的外因性カロテノイド生合成阻害剤の非在下に適切な培地中で適切なブラケスレア・トリスポラ株の反対の接合型と少なくとも3日間共存培養した場合に、少なくとも70w/w%のリコペンと20w/w%未満のβ-カロテン、好ましくは少なくとも75%と15%未満、更に好ましくは少なくとも80%と10%未満、最も好ましくは少なくとも85%と5%未満を産生することができる。ここに示された%は、本株によって産生されたカロテノイドの全量に対する割合としてのリコペンとβ-カロテンのそれぞれの%である。
好適実施態様によれば、用いられる株は特異的外因性カロテノイド生合成阻害剤の非在下に適切な培地中で適切なブラケスレア・トリスポラ株の反対の接合型と共存培養した場合に、少なくとも70w/w%、好ましくは少なくとも75%、更に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも85%のリコペンを産生する。ここに示された%は、本株によって産生されたカロテノイドの全量の割合としてのリコペンの%である。
更に好適な実施態様によれば、用いられる株は、この株が特異的外因性カロテノイド生合成阻害剤の非在下に適切な培地中で適切なブラケスレア・トリスポラ株の反対の接合型と少なくとも3日間共存培養した場合に、リコペンとβ-カロテンの比が4:1より大きいカロテノイド混合物を産生した。他の好適実施態様においては、更に、本株は主成分としてリコペンを含むカロテノイド混合物を産生した。他の好適実施態様においては、更に、本株はフィトエンからβ-カロテンへの生合成経路を構成するカロテノイドの混合物を産生した。
本発明の他の態様によれば、リコペンとβ-カロテンの比が4:1より大きいカロテノイド混合物が得られる。好ましくは、主成分としてリコペンを含むカロテノイド混合物が得られる。他の好適実施態様においては、更に、フィトエンからβ-カロテンへの生合成経路を含むカロテノイドの混合物が得られる。他の好適実施態様においては、更に、上で定義したカロテノイドの混合物を含むバイオマスが得られる。従って、このバイオマスは、更に、飼料、食品又は化粧品適用に使用し得る。
得られた最も好ましいカロテノイド混合物は、0〜5w%のニューロスポエン、0〜5w%のフィトエン、0〜10w%のβ-カロテン、5〜20w%のβ-カロテン、70〜90w%のリコペンを含んでいる。更に最も好ましい混合物は、0〜2w%のニューロスポレン、0〜2w%のフィトエン、0〜5w%のβ-カロテン、5〜15w%のβ-カロテン、80〜90w%のリコペンを含んでいる。
本発明の株は、化学変異導入と選抜により得ることができる。種々の変異導入法は、当該技術において既知である(例えば、Rowlands (1984),Enzyme Microb. Technol. 6:3-10を参照のこと)。これらの方法の一つは、ニトロソ-グアニジン(NTG)、エチル-メタン-スルホネート(EMS)、又はニトロキノリンオキシド(NQO)を含む変異導入化学薬品で処理することである。他の方法は、変異導入放射線、例えば、UV光、γ線又はX線で処理することである。選抜法については、寒天培地上で培養したときにコロニー色の逸脱に関する選抜がカロテノイド生合成変異体に特に有力であるが、他の基準、例えば、コロニーや菌糸の形態、胞子形成特性、増殖速度、阻害化合物又はストレス状態に対する抵抗、又は株改良プログラムに一般に用いられる他の方法も同様に用いることができる。
最も好適な実施態様によれば、リコペン産生株はブラケスレア・トリスポラlyc26(-)である。この株は、β-カロテン産生親株B.トリスポラ111(-)から出発して変異導入因子として1-メチル-3-ニトロ-ニトロソグアニジン(NG)とγ線を用いた変異導入および選抜の複数ラウンドによって得られた。上で定義した適切な増殖培地中で種の適切な(+)株、例えば、β-カロテンに用いられる株と共存培養で増殖した場合に、株lyc26(-)は最も量の多いカロテノイドとしてリコペンを産生し、全カロテノイドの70%を超えると計算される。ブラケスレア・トリスポラlyc26(-)はブラケスレア・トリスポラVKPM F-822としてオールルシアンコレクションオブコマーシャルマイクロオーガニズムス(All-Russian Collection of Commercial Microorganisms)に寄託されているので、公的に利用できる。リコペンは、株lyc26(-)で試験したすべての増殖培地で産生された主要なカロテノイドである。好ましくは、本発明の変異体は、本出願で更に定義されるC源として高含量の糖を有する培地で培養される。最も好ましくは、本変異体は、表1に示される培地で培養される。好ましくは、用いられる株は、VKPM F-822として寄託された株と実質的に同一の特性を有する。
他の好適実施態様においては、用いられる株はVKPM F-822として寄託された株に由来するか又はその後代の株である。
本発明は、更に、好ましくは実施例8で定義された方法を用いることによる、上で定義した株のリコペンを産生するための使用に関する。
本発明の他の態様によれば、C源として高含量の糖を有する適切な培地が提供される。C源として高含量の糖は、C源として高含量の容易に同化できる糖を意味する。そのような培地は、B.トリスポラ変異体によるリコペンの産生にきわめて適している。この点で、容易に同化できる糖は、主として単糖類と二糖類からなる混合物であるとして定義される。そのようなC源の例は、デキストロース、グルコース、フルクトース又は高マルトースシロップである。対照的に、β-カロテン産生に伝統的に用いられる生産培地は、主な同化できる糖源としてデンプン、例えば、ダイズ粉又はトウモロコシ粉を含むC源、例えば、表3に記載される培地を含んでいる。或いは、容易に同化できる糖源を含むが、他のC源、例えば、植物油と組合わせて含む培地、例えば、表11に記載される培地が用いられてきた。これらの培地設計の論拠は、増殖に非常に適しているが、カロテノイドの形成を抑制すると考えられることである。驚くべきことに、B.トリスポラの変異体によるリコペン生産は、主炭素源として容易に同化できる糖を含む生産培地において非常に効率の良いことがわかった。これらの培地は、容易に同化できる糖として好ましくは50質量%、更に好ましくは60%、なお更に好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%の炭素を含む。これらの割合で、窒素源に含まれる炭素も考慮された。他の好適実施態様によれば、これらの培地は、少なくとも5w%、更に好ましくは少なくとも6w%、最も好ましくは少なくとも10w%の容易に同化できる糖を含んでいる。
最も好ましくは、培地は下記表1に定義される通りである。
発酵全体のpHはリコペン生産に影響する重要なパラメータであるとは見出されない。滅
菌前のpHは6.2〜8.4、好ましくは7.5〜8.4の範囲にあってよい。
表1: 最適化培地(全成分 は g/100ml):
マルトースシロップ 8.0-14.0
コーンエキス 4.0-8.0
パン酵母(乾燥) 0.03-0.07
KH2PO4 0.04-0.06
NaCl 0.1-0.5
MnSO4・7H2O 0.005-0.015
チアミン 0.0002
植物油 3.0-6.0
水道水 84.8-71.4
滅菌前pH 6.0-8.4
本発明は、また、適切なホストを用いてリコペンを生産するための、上で定義した又は好ましくは表1に定義した好ましい培地の使用に関する。
本発明の他の態様は、上で定義した株を用いて適切な培地中で適切なブラケスレア・トリスポラ株の反対の接合型と少なくとも3日間共存培養してリコペンを生産する方法に関する。好ましくは、用いられる適切な培地は、上記説明で定義した適切な培地である。他の好適実施態様によれば、前記方法は上記のようなカロテノイド生合成の特異的外因性阻害剤の存在下に行なわれる。他の好適実施態様によれば、前記方法は、外因性トリスポリン酸の存在下に行なわれる。更に好ましくは、前記方法は、上記表1で定義した最適化培地を用いて行なわれる。培養は、複数の段階、例えば、別々の増殖段階と生産段階で行なうことができる。増殖段階は各接合型について別個に行い、続いて同時生産培養を行なってもよい。また、生産培養は接合型の一方だけから出発することができ、もう一方は実際の生産相の開始の後に添加してもよい。好ましくは、前記株は少なくとも2日間、更に好ましくは少なくとも3日間、更に好ましくは少なくとも4日間、最も好ましくは少なくとも5日間共存培養される。
共存培養後、例えば低温殺菌により、ブロスを不活性化し、例えばろ過により、バイオマスを集める。続いて、バイオマスを乾燥、真空乾燥、流動床乾燥又はベルト乾燥により更に安定化することができる。
他の好適実施態様においては、リコペンは菌糸体から分離されない。上で定義したカロテノイドの混合物を含むバイオマスが提供される。従って、このバイオマスは、飼料、食品又は化粧品用に使用し得る。
或いは、また、更に好ましくは、リコペンは細胞含量を放出することを可能にする細胞破壊について記載された方法によって湿潤又は乾燥菌糸体から分離される。リコペンは、可溶性であるいかなる溶媒に溶解することもできる。菌糸体からリコペンを分離する二つの方法、抽出又は単離が好ましい。好ましくは、このことは、アルコール、ケトン又はエステル、例えば、アセトン又は酢酸エチル、アルカン、例えば、n-ヘキサンのような適切な溶媒で抽出することにより行なうことができる。或いは、このことは、例えば、CO2、おそらく共溶媒として機能する有機溶媒で超臨界抽出によって行なうことができる。
或いは、また、更に好ましくは、このことは、水不混和溶媒の使用を特徴とする直接単離法やWO 01/55100(引用により本願明細書に含まれるものとする。)に記載されたカロテノイド含有界面層の単離によって行なわれる。最も好適な実施態様によれば、用いられる直接単離法は次に定義される方法である。
本発明の他の態様によれば、結晶性カロテノイド化合物の調製方法である、直接単離法が提供され、前記方法は、
(a) カロテノイド含有細胞、好ましくは微生物源からのカロテノイド含有細胞、を破壊する工程と、
(b)脂質を除去するのに適した溶媒、好ましくは酢酸エチル、更に好ましくはn-ブタノールで前記結晶性カロテノイド破壊細胞混合物を洗浄し、カロテノイド含有界面部分を分離する工程と、
(c) 工程(b)で得られた適切な前記結晶性カロテノイドをアルカリで、pH9〜12で10〜95℃、好ましくは30〜85℃、最も好ましくは50〜75℃の温度において、場合により低級アルコールの存在下で、処理する工程と、
(d) 場合により、前記アルカリ処理した結晶性カロテノイド懸濁物に塩を添加する工程と、
(e) 場合により、液相から前記結晶性カロテノイド懸濁物を分離する工程と、
(f) 場合により、前記結晶性カロテノイド懸濁物を塩含有水溶液で洗浄する工程と、
(g) 場合により、前記結晶性カロテノイド懸濁物を、場合により低級アルコールの存在下で、酸性水溶液で洗浄する工程であって、その洗浄液のpH値が1〜5、更に好ましくは2〜4であり、前記低級アルコール/水混合物中の低級アルコールと水との比が、好ましくは5:1〜1:5、更に好ましくは1:1〜1:2である、前記工程と、
(h) 第一洗浄手順において前記結晶性カロテノイド懸濁物を低級アルコールで洗浄する工程であって、工程(b)〜(e)と(f)の作業順序は任意である、前記工程と、
(i) (a)〜(f)工程から得られた粗カロテノイド結晶を第二洗浄手順において水又は低級アルコールと水の混合物で洗浄する工程と、
(j) 前記結晶を新しい溶媒で洗浄する工程と、
(k) 前記結晶を乾燥する工程と
を含んでいる。
カロテノイド含有微生物細胞は、選択したカロテノイド産生微生物の適切な発酵工程から得ることができる。カロテノイド含有微生物は、細菌、真菌、藻類又は酵母であってもよい。好ましくは、ケカビ(Mucorales)目、好ましくはブラケスレア・トリスポラの真菌、ドウナリエラ(Dunaliella)属の藻類、又はファフィア(Phaffia)属酵母、好ましくはファフィア・ロドシーマ(Phaffia zhodozyma)である。更に好ましくは、上で定義したブラケスレア・トリスポラ変異体がこのカロテノイド含有微生物である。この方法は、既知のどのカロテノイド化合物の単離をも可能にする。好ましいカロテノイド化合物は、リコペン、β-カロテン、フィトエン、アスタキサンチンである。
工程(a)
得られた微生物細胞と発酵液を含む発酵ブロスは、カロテノイド結晶の単離に直接用いることができる。或いは、本発明の方法を行なう前に、ろ過又は遠心分離のような適切な方法で発酵液から微生物細胞を分離することができる。
カロテノイド含有微生物細胞は、機械的、化学的及び/又は酵素的処理によって細胞壁を破壊することにより開放される。例えば、細胞は、ホモゲナイゼーション、音波処理、自己消化、浸透圧細胞融解及び/又は原形質分離にかけられ、場合によっては界面活性剤、酸、塩基、酵素、自己分解増強物質、浸透圧細胞融解剤、例えば、塩、及び/又は原形質分離剤のような適切な物質を添加してこれらに供することができる。このようにして、結晶性カロテノイド破壊細胞混合物が細胞から放出される。
工程(b)
次に、このようにして得られた結晶性カロテノイド破壊細胞混合物は精製される。
回収工程の収量を改良するために、結晶性カロテノイド破壊細胞混合物は、a.o.脂質、好ましくは、結晶性カロテノイドの溶解度が低い水と混和しない有機溶媒を除去するのに適した溶媒で洗浄される。この溶媒は、結晶性カロテノイド懸濁物の量の1%〜100%の量、好ましくは10%〜40%、更に好ましくは20%〜30%で添加される。脂質除去に必要な溶媒の量は微生物バイオマスからカロテノイドを溶媒抽出するのに必要な溶媒の量よりかなり少ないことに注意する。水と混和しない好ましい溶媒はヘキサン、又は酢酸エチルである。好ましくは、溶媒は酢酸エチルである。他の好ましい溶媒は、イソプロパノール又はn-ブタノールのようなアルコールである。n-ブタノールは1-ブタノールとも呼ばれる。最も好ましくは、溶媒はn-ブタノールである。
本発明に言及される洗浄には、選択した溶媒の適切な量で洗浄すべき物質を懸濁又は撹拌する工程と、デカンテーション又は遠心分離、続く適切な層を回収する工程が含まれる。
工程(c)
次の精製工程は、前の工程で得られた適切な結晶性カロテノイド層をアルカリで処理する工程からなる。アルカリ処理は、pH9〜12のアルカリ水溶液をカロテノイド層に添加し、続いて10〜95℃、好ましくは30〜85℃、更に好ましくは50〜75℃の温度で適切な時間、好ましくは撹拌しながらインキュベートする工程を含んでいる。アルカリ溶液とカロテノイド層との比は、都合により約5:1〜約1:1(w/w)に変化してもよい。アルカリ処理の時間は、処理中に加えられるpHと温度が低いほど、処理が長くなければならないという意味で、典型的には適用するpHと温度に依存する。例えば、アルカリ処理は、pH12で75℃の温度において2時間又はpH10で50℃の温度で8時間行なうことができる。場合によっては、アルカリ処理は、低級アルコールの存在下で行なうことができる。
工程(d)、(e)、(f)
アルカリ処理後、水溶性の塩、例えば、塩化ナトリウム、更に好ましくは酢酸ナトリウムを、場合によってはアルカリ処理結晶性カロテノイド層に添加することができる。次に、結晶性カロテノイド層は、液相から分離することができ、場合により塩含有水溶液で洗浄してもよい。結晶性カロテノイド層の分離は、ろ過、遠心分離又は冷却のような当該技術において既知の方法で行なうことができる。
次の精製工程を適用する前に、結晶性カロテノイド層を1回以上水洗してもよい。
工程(g)
場合により、粗カロテノイド結晶は、水又は低級アルコールと水の混合物で1回以上結晶を洗浄することを含む第二洗浄手順を適用することにより精製することができる。洗浄溶液のpH値は、好ましくは1〜5、更に好ましくは2〜4である。水は、どのような適切な酸によって酸性にしてもよく、例えば、硫酸又は塩酸又は酸性緩衝液、例えば、ホウ酸/塩酸又はクエン酸/塩酸緩衝液で酸性にすることができる。低級アルコール/水混合液中の低級アルコールと水との比は、好ましくは5:1〜1:5、更に好ましくは1:1〜1:2である。
続いて、ろ過又は遠心分離のような適切な方法によって液相から結晶を分離する。
工程(h)、(i)
次に、結晶性カロテノイド層は、懸濁物を低級アルコールで洗浄することを含む第一洗浄手順に供され、粗カロテノイド結晶を得る。この第一洗浄手順は、1回以上繰り返すことができる。
典型的には、本発明に従って行なわれる洗浄工程には、結晶性カロテノイド層又は(粗)カロテノイド結晶を洗浄液と撹拌すること、続いて結晶性カロテノイド層又は結晶を液相から分離することが含まれる。
好ましくは、上記方法工程(a)〜(g)は、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)の順序で行なわれる。他の好適実施態様によれば、上記方法工程(a)〜(g)は(a)、(g)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順序で行われる。
本発明全体を通じて、低級アルコールは(C1-6)アルコールとして定義され、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールである。本明細書において、低級アルコールは単一のアルコールでもよく、2種以上のアルコールの混合物であってもよい。好ましくは、この低級アルコールはエタノール、1-ブタノール又は1-ブタノールとエタノールの混合物である。
工程(j)
その後、結晶は新鮮な溶媒で1回以上洗浄される。新鮮な溶媒は、低級アルコール、好ましくはエタノール、又は酢酸エステル又は低級アルコール、好ましくは酢酸エチルである。更に好ましくは、新鮮な溶媒は食品等級の溶媒である。
本発明の好適実施態様においては、結晶性カロテノイド懸濁物の最初の2回の洗浄手順に用いられる低級アルコールと結晶の最終洗浄に用いられる新鮮な溶媒は同一溶媒である。
工程(k)
本発明の方法の最終工程においては、結晶は乾燥される。
結晶性カロテノイドの単離用の従来の抽出/結晶化工程と比べて本発明の重要な利点は、カロテノイドを抽出するための有機溶媒の使用が避けられることである。結果として、得られたカロテノイド化合物の結晶格子に溶媒はほとんど取り込まれない。
本発明の他の態様においては、本発明の方法は粗結晶性カロテノイド組成物、好ましくは粗結晶性カロテノイド懸濁物のカロテノイド含量を高めるために用いられる。
本発明を次の実施例によって更に説明する。
実施例
実施例1: 株単離と特徴解析
β-カロテン産生親株B.トリスポラ111(-)から出発して変異導入因子として1-メチル-3-ニトロ-ニトロソグアニジン(NG)とγ線を用いて複数ラウンドの変異導入と選抜によってブラケスレア・トリスポラlyc26(-)株を得た。変異導入処理のため、胞子懸濁液を水中の10%グリセロールと5%ラクトースの溶液で調製した(106〜107胞子/ml)。NG変異導入のため、100mMトリス-HCl緩衝液(pH=8.0)中の150μg/ml NGの溶液を用いた。γ線変異導入については、約1ミリラドの線量を用いた。いずれの方法においても、変異導入暴露は、胞子の1%生存を達成することを目標とした。リコペン産生変異体は、麦汁寒天平板上で培養した場合の赤色特性によって選抜した。
lyc26(-)株は、次の形態学的特徴を示す。
麦汁寒天上:
コロニー増殖: 制限されている
気中菌糸: わずかに綿毛で覆われ、絡み合った、薄いえんじ色
胞子形成: 不良

SM 17-1寒天上:
コロニー増殖: 平坦なコロニーで制限されている
気中菌糸: 密集した、ピンク色、わずかに隆起した中心
胞子形成: 非常に不良

lyc26(-)株の特徴は安定である。前記株は非病原性である。SM17-1寒天は、表2に示される下記組成を有する。
表2: SM 17-1培地(濃度 g/l)
グルコース 3
MgSO4・7H2O 0.05
L-アスパラギン 0.2
KH2PO4 0.2
酵母エキス 0.1
デオキシコール酸Na 0.1
チアミン 0.00002
寒天(Difco) 20
実施例2:寒天平板上でのリコペン生産
炭素源として広範囲の単糖類や二糖類(例えば、グルコース、アラビノース、フルクトース、ラクトース、マルトース)を用いた改変SM17-1寒天上で、β-カロテン産生培養の抽出物で含浸したフィルターディスクを上層した場合、B.トリスポラ株の菌糸lyc26(-)株はえんじ色であった。β-カロテン生産に用いられるB.トリスポラ(+)株と(-)株の接合培養で産生されたトリスポリン酸は、変異体lyc26(-)でのリコペン産生を刺激するのに明らかに有効であった。β-カロテン産生培養に用いた株は、親株111(-)株と(+)株VKPM F-820又はVKPM F-821であった。
実施例3:振盪フラスコにおけるリコペン生産
β-カロテン生産に適しているとして当該技術において知られたコーン-ダイズ培地を、適切なB.トリスポラ(+)株との共同培養におけるB.トリスポラ株lyc26(-)によるリコペン生産に用いた。本実施例においては、(+)株として株VKPM F-820とVKPM F-821を用いた。
(-)株と(+)株を麦汁寒天スラント上で28℃の温度にて20時間暗所、続いて昼光ランプによる照明によって22℃の温度にて8〜12日間別々に培養した。接種材料を得るために、気中菌糸と胞子を蒸留水で寒天表面から洗い落とした。
そのようにして得られた懸濁液を用いて表3に示されるように構成された50mlの液体培地を含む750mlのエルレンマイヤーフラスコに接種するために用いた。
表3: 液体培地(全成分はw/v%として)
コーン粉 4.7
ダイズ粉 2.3
KH2PO4 0.05
チアミン 0.0002
水道水 残量
pH 6.2〜6.7に調節した後にNaOHで滅菌
滅菌 120℃で45分間
(-)株および(+)株を回転振盪器(250 rpm)で26〜27℃の温度にて48時間別々に培養した。このようにして得られた培養懸濁液を用いて表4に示される下記組成を有する50 mlの生産培地(1)を含む750 mlの生産フラスコに接種した。
表4: 生産培地(1)(w/v%)
コーン粉 1.73
ダイズ粉 4.0
KH2PO4 0.05
チアミン 0.0002
ヒマワリ油 8.0
水道水 残量
pH 6.1〜6.5に調節した後にNaOHで滅菌
滅菌 120℃で45分間
播種のため、10 mlの(-)株培養物および1 mlの(+)株培養物を用いた。続いて、生産フラスコを回転振盪器(250 rpm)で26〜27℃にて5日間インキュベートした。
5日後培養ブロスの0.5ml試料を1mlの水で希釈し、遠心分離した。沈降物を1mlの96%エタノールに再懸濁し、遠心分離した。沈降物を集め、クロロホルムを含むポッターチューブ内でホモゲナイズした。クロロホルムを集め、新鮮なクロロホルムでホモジナイゼーションを続けた。呈色がクロロホルム画分によって取り出されなくなるまでこれを繰り返した。集めたクロロホルム画分をプールし、全量をクロロホルムで10mlに調整した。βカロテンとリコペンの生産レベルをHPLCで求めた(表5)。分析用試料を0.5mlのクロロホルムエキスを95mlのアセトンで希釈することにより調製した。本実施例では、βカロテンとリコペンの存在を測定した。実施例6で行なわれる他の少量カロテノイドの存在は測定しなかった。表5の最後の欄で計算されたリコペン含量は、リコペン生産量とリコペンとβカロテン生産量との割合である。
変異体lyc26(-)が主要なカロテノイド産物としてリコペンを産生し、そのリコペン生産が接合培養に用いられる(+)株と無関係にβ-カロテン生産より4〜5倍多いことは明らかである。また、変異体によって産生したカロテノイドの絶対レベルが適切な(+)株との相互作用に非常に左右されること、且つ種々の(+)株が多かれ少なかれ好ましい結果を得ることができることも明らかである。
比較実験においては、β-カロテン産生親株111のリコペン産生とβ-カロテン産生について同じ組の(+)株と同じ実験条件を用いて試験した。株111のリコペン生産は、0.03g/lより少なかった。株111のβ-カロテン生産は、2.8〜3.4g/lであった。
実施例4: 改良培地におけるリコペン生産
(+)株と(-)株について別々の種培養物の調製を、実施例3におけるように、同一株を用いて行なった。しかしながら、このとき(+)株の前培養物を24時間だけインキュベートした。(-)株と(+)株のこれらの懸濁液を用いて表6に示される下記組成を有する生産培地(2)に接種した。
表6: 生産培地(2)(w/v%)
マルトースシロップ 12.0
コーンエキストラクト 6.0
パン酵母(乾燥) 0.05
KH2PO4 0.05
NaCl 0.3
MnSO47H2O 0.01
チアミン 0.0002
植物油 4.0
水道水 残量
滅菌前pH 8.0
110℃で30分間滅菌
生産培養物のインキュベーション条件と分析手順は実施例3のようにした。結果を表7に示す。本実施例においては、β-カロテンとリコペンの存在を測定した。実施例6で行ったように微量のカロテノイドの存在は測定しなかった。表7の最後の欄で計算したリコペン含量は、リコペン生産量とリコペンとβ-カロテン生産量との割合である。
生産培地(2)が生産培地(1)よりも変異体による非常に高いリコペン生産レベルを支持することが明らかである(表5と表7の比較)。また、リコペンのβ-カロテンに対する割合に関して、生産培地(2)は生産培地(1)より良好である(表5と表7の比較)。本実施例においては、接合に用いた(+)株VKPM F-820はVKPM F-821よりリコペン生産が非常に高い。実施例3においてはVKPM F-821(+)株は生産されるリコペン濃度について最も好ましい結果を生じた。このことは、十分に(+)株と(-)株との比の最適化という既知の問題によるものであろう。即ち、異なる株は異なる培地において異なる増殖速度を有することがあり、このことにより生産相において存在する各株のバイオマスの実際の量に差が生じ、それ故リコペン収量について差を生じさせると予想される。その他の実験条件、例えば、培地が選ばれたならば、接合株の比を最適にすることは当業者の通常の能力範囲内である。
比較実施例においては、この改良培地において同じ組の(+)株および同じ実験条件を用いて、β-カロテン産生親株111のリコペン生産について試験した。この培地において、株111のリコペン生産は20〜30mg/l以下であったが、この親株によるβ-カロテン産生レベルは2.5〜3.2g/lに達した。
親株111によるβ-カロテンの生産は用いられる培地によって影響しないと我々は結論する(実施例3と比較)。この改良培地は、lyc26変異体によるリコペン生産に非常に適している。
実施例5: 10リットルの発酵槽におけるリコペン生産
下で定義される200mlの培地を満たした2000mlのフラスコを用いる以外は、実施例3のように(+)株と(-)株の別個の種培養物の調製を行なった。複数のフラスコを用いて発酵槽培養に十分な接種材料を得た。
生産培地(3)は、実施例4で使用した培地に基づいているが、表8に示したように、大容量までのスケールアップが容易であるように工業的に利用できる原料を用いて改変したものである。
表8: 生産培地(3)(濃度 g/kg)
スゥイートMシロップ(Cerestar) 75
80%乾燥物質(68%がマルトースである)
コーンスティープ固体 30
Engevita乾燥不活性酵母(DSM) 5
KH2PO4 -
NaCl 3
MnSO4 7H2O 0.1
チアミン 0.002
ダイズ油 5 ml
水道水 残量
滅菌前pH NaOHでpH= 6.7に調整
120℃で120分間滅菌
生産培養は、初期培地量4kgを含む10リットルの発酵槽中で32℃の温度にて、200 rpmの撹拌速度、6リットル/分の通気で行なった。泡消剤Basildon(Basildon Chemical Co.,アビンドン、英国)を必要な場合に添加し、溶存酸素は常に25%飽和より大きくした。1000gの(-)株の成熟種培養物と500gの(+)株の成熟種培養物と120gの滅菌ダイズ油の混合物を含むフラスコで培地に接種した。接種後、培養物の温度を48時間32℃に保持した。温度を22℃に調節した後、培養を更に72〜120時間延長した。培養のpHは制御しなかった。出発値は6.2であり、続いて発酵の終わりに6.8に達するまでpHが上がった。
分析のために規則的な時間間隔で試料を取り出した。試料の一部をリコペンの分光光度分析とブロスの乾燥物質含量に直接用いた。試料のその他の部分をホモゲナイズし、実施例6に記載されるように、後にカロテノイドスペクトルの詳細な分析に用いるべく-20℃で凍結した。
分光光度分析については、0.5mlのブロスを3容量の水で希釈し、遠心分離した。沈降分を1.5mlの96%エタノールで再懸濁し、遠心分離した。
沈降物をポッターチューブに移し、呈色がすべてクロロホルム画分に抽出されるまでクロロホルムで処理した。クロロホルム画分をろ過して粒状物質を除去した。アセトンブランクに対して507nmで吸収を測定するために、抽出物の一部をアセトンで100倍に希釈した。5日間の発酵後に、リコペンのレベルは2回の測定で1.36g/lと1.60g/lであることがわかった。ブロスの乾燥物質含量は42g/kgであったので、バイオマスのリコペン含量は平均3.5%であった。
実施例6: カロテノイドスペクトルの分析
実施例5で得られた凍結試料を解凍した。ガラスビーズ(5 g)を250mgの試料に添加し、その混合物を30秒間激しく振盪した。次に、2mlのクロロホルムとピリジンの混合物(容量で200:1)を添加し、試料を90分間激しく振盪した。次に、8mlの酸化防止剤BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)アセトン溶液(100mg/l)を添加し、全試料を十分に混合した。次に、5 mlのこの溶液を3000rpmで5分間遠心分離し、上清画分のカロテノイドスペクトルをHPLCにより、Beckman Ultrasphere ODSカラムと、移動相として800mlのアセトニトリル、200mlのメタノール、80mlのヘキサン、1mlのトリエチルアミンを用いて測定し、複数の波長における種々のピークを検出した。
個々のカロテノイドの検出に用いた波長および修正に用いた吸光係数を下記表9に示す。
表9: 検出波長(nm)および吸光係数(E.C.)
カロテノイドの相対量をそれぞれの特異的波長における吸収から、吸光係数の差について修正して算出した。表10に示されるように、カロテノイドの下記の相対量が明らかになった。
表10: 変異体によって産生したカロテノイド混合物
リコペンがB.トリスポラ株lyc26(-)で産生される最も量の多いカロテノイドであることは明らかである。B.トリスポラの生合成経路によって産生されるリコペンの形は、トランス立体異性体である。シス形への異性化は、リコペンの試料処理又は単離の際に、処理条件に依存して種々の程度で生じる。産生された全リコペン(トランスとシス)の相対量は82.9%である。産生された全β-カロテン(トランスとシス)の相対量は10.7%である。リコペンとβ-カロテンとの比率が7.7であることが分かった。
実施例7: 振盪フラスコにおけるリコペン生産培地とβ-カロテン生産培地間のカロテノイドスペクトルの比較
同一株を用いて、実施例3に記載される手順に従って振盪フラスコ実験を行なった。同一の接種物と種培養手順を用いるがβ-カロテンに適した生産培地を用いた並行実験を行なった。このβ-カロテン生産培地は表11に示される下記組成を有する。
表11: β-カロテン生産培地(w/v%)
デキストロース(Boom) 3
コーンスティープ固体(Roquette) 3.15
KH2PO4 0.05
チアミン 0.0002
コーン油(Cerestar) 3.8
pHをKOHで6.0〜6.5に調整する
120℃で40分間滅菌する
実施例3のリコペン生産培地と本実施例のβ-カロテン生産培地間の主な違いは、リコペン生産培地の糖のレベルが非常に高いことである。両培地において産生したリコペンとβ-カロテンとの比率を表12に示す。
表12: リコペンとβ-カロテンとの比率に対する培地の影響
用いられる培地のタイプは変異体lyc 26によって生じたカロテノイドスペクトルに影響すると我々は結論する。高レベルの糖を含む実施例3のリコペン培地は、高収量のリコペンを得るのに特に適している。
実施例8: 抽出によるリコペンの単離
実施例5の手順に従って10リットルの発酵槽中で生成した3リットルの発酵ブロスをSeitz 2リットルフィルタを用いてろ過した。ろ過ケーキを1800mlのプロセス水で洗浄した。続いて、洗浄したケーキを押出し、減圧下40℃で一晩乾燥した。
約100 gのバイオマスを乾燥物質含量78%で回収した。バイオマスを500 mlの新鮮な酢酸エチルで40℃にて10分間引き続いて抽出した。全部で8回の抽出サイクルを行い、最後に3800gの抽出物を得た。
抽出物をろ過し、最終容量が約500mlになるまで40℃で濃縮した。加熱を停止し、圧力を継続的に減圧して蒸発を続けた。9℃の温度にて操作を停止した。G2ガラスフィルタを用いて得られた懸濁物をろ過した。針状の形の結晶が見られた。
結晶を周囲温度で100 mlの新鮮な酢酸エチルで洗浄し、100mlの新鮮なエタノールで洗浄した。40℃で一晩乾燥した後、最後に0.23gの結晶を回収した。結晶のリコペン含量は50〜80%であり、リコペンの4〜8%がシス異性体であった。
実施例9: リコペンの直接単離
実施例5の手順に従って10リットルの発酵槽中で生成した2リットルの発酵ブロスを500バールにてAPV Lab60ホモジナイザーを3回通してホモゲナイズした。このホモジナイズしたブロスに0.3容量の1-ブタノールを添加し、その混合液を5000rpmで5分間遠心分離した。同一の遠心分離条件を次のすべての遠心分離工程に用いた。界面部分を集め、100容量の1-ブタノールで洗浄した。その混合液を遠心分離し、沈降分を集めた。沈降物と、1-ブタノールと水からなる混合液を1:2:10の容量比で調製した。pHをNaOHで11.5〜12.6に調整し、その混合液を80℃で2時間インキュベートした。酢酸ナトリウムを最終濃度50 g/lに添加し、その混合液を遠心分離した。引き続き、10容量の水を上層に添加し、上層のpHをHClで3.5に調整し、その混合液を周囲温度で45分間インキュベートした。続いて、0.1容量の1-ブタノールを添加し、全混合液を遠心分離した。界面部分を集め、10容量のエタノールを添加した。その混合液を遠心分離し、沈降分を集めた。この部分を10容量のエタノールで洗浄し、遠心分離し、減圧下40℃で145分間乾燥した。
このようにして得られた結晶は80%のトランス-リコペン、1%のシス-リコペン、3.5%のβ-カロテンを含むことがわかった。

Claims (10)

  1. VKPM F−822である、単離されたブラケスレア・トリスポラ株
  2. VKPM F−822として寄託された株又はその後代に由来する、単離されたブラケスレア・トリスポラ株
  3. 請求項1又は2に記載の株を用いてリコペンを生産する方法であって、前記株を適切な培地中で適切なブラケスレア・トリスポラ株の反対の接合型と少なくとも3日間共存培養する工程を含み、特異的外因性カロテノイド生合成阻害剤の存在下に行なわれることを特徴とする、前記方法。
  4. 少なくとも0.7g/lのリコペンを産生することができる、請求項3に記載の方法。
  5. 少なくとも0.8g/lのリコペンを産生することができる、請求項3に記載の方法。
  6. 少なくとも1.5g/lのリコペンを産生することができる、請求項3に記載の方法。
  7. 産生する全カロテノイドに対する割合として少なくとも70w/w%のリコペンを産生することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 産生する全カロテノイドに対する割合として少なくとも80w/w%のリコペンを産生することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. リコペンをβ−カロテンに対して4:1より大きい比で産生することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
  10. 適切な培地が下記成分(全成分g/100ml)を含むことを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法:
    マルトースシロップ 8.0〜14.0
    コーンエキス 4.0〜8.0
    パン酵母(乾燥) 0.03〜0.07
    KHP0 0.04〜0.06
    NaCl 0.1〜0.5
    MnS0(7H0) 0.005〜0.015
    チアミン 0.0002
    植物油 3.0〜6.0
    水道水 84.8〜71.4。
JP2003540329A 2001-10-29 2002-10-24 外因性カロテノイド生合成阻害剤の非在下で適切な培地中で高収量のリコペンを産生するブラケスレア・トリスポラ Expired - Fee Related JP4235108B2 (ja)

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