JPH05168465A - ファフィア・ロドチーマの突然変異株およびその培養によるカロチノイド類の製造方法 - Google Patents

ファフィア・ロドチーマの突然変異株およびその培養によるカロチノイド類の製造方法

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JPH05168465A
JPH05168465A JP34318291A JP34318291A JPH05168465A JP H05168465 A JPH05168465 A JP H05168465A JP 34318291 A JP34318291 A JP 34318291A JP 34318291 A JP34318291 A JP 34318291A JP H05168465 A JPH05168465 A JP H05168465A
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carotene
strain
carotenoids
echinenone
mutant strain
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JP34318291A
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Toshio Yajima
敏夫 矢島
Masanori Hirano
正徳 平野
Jiyungo Okada
淳吾 岡田
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Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 β−カロチンもしくはエキネノンまたはこれ
らの類縁カロチノイドを高選択性で効率よく生産する微
生物を提供する。 【構成】 アスタキサンチンの生合成前駆体に相当する
カロチノイド類、特に、主として、β−カロチンおよび
エキネノンからなる群より選ばれるカロチノイド類の高
い生産性を有するファフィア・ロドチーマ(Phaff
ia rhodozyma)の突然変異株を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ファフィア・ロドチー
マ(Phaffia rhodozyma)に属するカ
ロチノイド類の生産能を有する菌株およびその培養によ
るカロチノイド類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ファフィア・ロドチーマはそれ自体赤色
に変化するアスタキサンチン生産菌として周知である。
一方、多種多様な用途が考えられる天然色素である他の
カロチノイド類も最近注目を集めるようになってきた。
例えば、β−カロチンは天然黄色色素として食品などに
有用であるばかりでなく、栄養素としての認識も深まり
ビタミンと同様に扱われている。また、β−カロチンに
は抗酸化作用、発癌抑制作用および紫外線などの有害作
用の予防効果なども認められており、食品、医薬品およ
び化粧品分野など産業上広汎な利用が期待できる生理活
性物質である。さらに、β−カロチンの4位ケト体であ
るエキネノンもβ−カロチンと同様な分野への用途が期
待されている。
【0003】これらのカロチノイド類は動植物源をはじ
めとし、天然界に広く分布していることが知られてお
り、それらから単離抽出することが可能である。しかし
ながら、例えば、β−カロチンは甲殻類や赤色魚類にそ
の存在が知られている(Comparative Bi
ochemistry & Physiology,
,69〜79ページ,1970)が、その存在量は極
めて少なく、またカロチノイド類の種類も多様であるた
め、これらから経済的にβ−カロチンを採取することは
極めて困難である。また、エキネノンもウニやナマコな
どのキョクヒ動物に存在することが知られているが、β
−カロチンと同様にそれらからの経済的な採取は困難で
ある。
【0004】さらに、これらのカロチノイド類を生産す
る微生物も知られており、例えば、エキネノンを生産す
る微生物としては、ミクロコッカス・ロゼウス(Mic
rococcus roseus)(J.Bacter
iol.,104,272〜274ページ,197
0)、ブレビバクテリウム・エスピー(Breviba
cterium sp.)(Appl.Enviro
n.Microbiol.,55,2505〜2510
ページ,1989)、ファフィア・ロドチーマ(Pha
ffia rhodozyma)(J.Gen.Mic
robiol.,115,173〜183ページ,19
79)などが、そしてβ−カロチンを生産する微生物と
してはドナリエラ(Dunariella)(特公昭6
4−43167号公報)、コアネフォラ・トリスポラ
Choanephora trispora)(特公
昭48−35087号公報)などが挙げられる。
【0005】しかしながら、いずれも目的のカロチノイ
ドを工業的規模で得るには生育性が劣るか、蓄積量が低
いか、または特定のカロチノイドの蓄積に対する選択性
が低いなどの理由により、満足できるものでない。より
具体的にβ−カロチンの生産について概観してみると、
ドナリエラは緑藻類に属する微生物で、これを用いるこ
とでかなり高収率でβ−カロチンを製造できるが、その
生育に際して光を必要とするなど、一般的な発酵槽で培
養できないため、現在培養池を掘って生産しているが、
至適培養条件の管理が煩雑であり、その生産性は低い。
また、糸状菌に属するコアネフォラは、その形態的特徴
より菌体がペレット(小塊)を形成したり、菌糸が長く
延びてパルプ状になり菌体への酸素供給が律速になる場
合が多く、ファフィア等の酵母と比較して一般に培養が
困難である。一方、エキネノンの生産について概観して
みると、上記微生物が生産するカロチノイド類は、主と
してカンタキサンチンやアスタキサンチンであり、全カ
ロチノイド類中のエキネノン含量は一般に低い。例え
ば、ミクロコッカス・ロゼウスでは5%(29μg/g
−乾燥菌体)であり、ブレビバクテリウム・エスピーK
Y−4313株では20〜35%(450μg/g−乾
燥菌体)であり、そしてファフィア・ロドチーマでは2
〜4%(65.9μg/g−乾燥菌体)である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述するように、β−
カロチンまたはエキネノンを単離採取する観点に立て
ば、従来の動植物源はもとより、微生物源も満足できる
ものとはいえない。そこで本発明の目的は、β−カロチ
ンまたはエキネノン、さらにその他のアスタキサンチン
前駆体のいずれかのカロチノイドの製造に適する微生物
を提供すると共に、それらを培養して目的とするカロチ
ノイド類の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、工業的に
安価で効率のよいカロチノイド類を生産する微生物を探
索してきたところ、アスタキサンチンを生産するファフ
ィア・ロドチーマを、突然変異せしめることによりエキ
ネノンまたはβ−カロチンばかりでなく、その他のアス
タキサンチン生合成前駆体のいずれかの生産性およびそ
の選択性を個別に高める変異菌株を見い出して本発明を
完成した。
【0008】従って、本発明によれば、上記課題は、フ
ァフィア・ロドチーマの突然変異株であって、アスタキ
サンチンに至るまでの生合成経路のいずれかが遮断され
ているかまたは障害を受けていて、アスタキサンチン生
合成前駆体いずれかのカロチノイド類を主として生産す
る突然変異株の提供、好ましくは、主としてβ−カロチ
ンおよびエキネノン(4−ケト−β−カロチン)からな
る群より選ばれるカロチノイド類を生産する突然変異株
を提供することによって解決される。
【0009】かかる変異株は、ファフィア・ロドチーマ
の栄養培地として既知のいずれかの培地を用い、適当な
培養条件下で培養することによりβ−カロチンまたはエ
キネノンを選択性よく、かつ効率よく製造することがで
きる。以下、本発明をより具体的に説明する。本発明に
いう突然変異株は、適当な変異誘発源、例えば、エチル
メタンスルホネート、N−メチル−N′−ニトロ−N−
ニトロソグアニジン(以下「NTG」と略称する)、ブ
ロモウラシルなどの化学的処理剤を用いるか、あるいは
UV照射などの物理的手段を用いて誘導されるもの、さ
らに、得られた変異株を同様の変異手段に供するか、ま
たは細胞融合もしくは形質転換して得られるものも包含
する意味で用いられている。こうして誘導され、アスタ
キサンチンに至るまでの生合成経路のいずれかが遮断さ
れているかまたは障害を受けているとは、アスタキサン
チンに至る生合成前駆体のいずれかを主として生産する
ようになっていれば、その変異状態如何を問わず、特定
のカロチノイドを選択性よく生産するような変異状態を
意味する。限定されるものでないが、上記生合成経路の
主要生産物を例示して概述すると、次のものが挙げられ
る。
【0010】HMG−CoA→メバロン酸→…→フィト
エン→フィトフルエン→ ノイロスポレン→リコペン→…→β−カロチン→エキネ
ノン→ 3−ヒドロキシエキネノン→フェニコキサンチン→アス
タキサンチン (Andrewesら、Phytochemistry, 1976, 第15巻、1003〜
1007ページ参照)。 従って、本発明の変異株は、上記アスタキサンチンの生
合成前駆体、例えば、リコペン、β−カロチン、エキネ
ノン、3−ヒロドキシエキネノンおよびフェニコキサン
チンのいずれかを選択性よく生産するが、好ましい変異
株としては、主としてβ−カロチンおよびエキネノンか
らなる群より選ばれるカロチノイドを生産する株を挙げ
ることができる。かかる、突然変異株であって、主とし
てアスタキサンチン生合成前駆体、特にβ−カロチンお
よびエキネノンからなる群より選ばれるカロチノイド類
を生産するとは、これらの変異株が生産する総カロチノ
イド類の主たる成分がβ−カロチンまたはエキネノンで
あることを意味する。以下、生合成前駆体のうち、β−
カロチンおよびエキネノンを例にとり、本発明を説明す
るが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0011】主たる成分がβ−カロチンまたはエキネノ
ンであるとは、それらの総カロチノイド類に占める含有
量がそれらを効率よく採取できるものであればよく、ま
た効率よく採取できる範囲は一緒に生産される他のカロ
チノイド類の種類および組成によって変化するので限定
的でないが、一般に、β−カロチンにあっては、総カロ
チノイド類当り60重量%以上、好ましくは90重量%
以上であり、そしてエキネノンにあっては総カロチノイ
ド類当り50重量%以上、好ましくは80重量%以上で
あることをいう。
【0012】変異誘発に使用することができるファフィ
ア・ロドチーマは、カロチノイド類の生産能を有する微
生物であれば樹液および土壌を初めとする天然界から得
られたものであるか、既存のタイプカルチャーより入手
できるものであってもよい。後者の具体例としては、ア
メリカン・タイプカルチャー・コレクションより、AT
CC24201,ATCC24202,ATCC242
03,ATCC24228,ATCC24229,AT
CC24230およびATCC24261として入手で
きる菌株を挙げることができる。好ましくは、これらの
菌株から何らかの変異誘発手段または形質導入や細胞融
合などによってカロチノイド類、特にアスタキサンチン
の生産性が高まった菌株を用いるのがよい。
【0013】このことは、上述のようにβ−カロチンお
よびエキネノンがそれぞれアスタキサンチン生合成系に
おけるある種の前駆体であることが窺えるので、変異処
理によって、これらの前駆体からアスタキサンチンへの
生合成経路を遮断またはその経路に障害をもたらすこと
によって、必然的にそれらの前駆体の生産量を高めるこ
とができるからである。
【0014】かかる、アスタキサンチンの生産性が高ま
った菌株の具体的なものとしては、同時係属中の特願平
3−77949号明細書に記載する、FERM P−1
2118、FERM P−12117、FERM P−
12119を挙げることができる。なお、本明細書で使
用する「FERM P」の番号は、通商産業省工業技術
院微生物工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託
された番号を意味する。
【0015】したがって、本発明の菌株はこれらの微生
物から上記変異源を用いる変異誘発手段によって誘導さ
れ、総カロチノイド類の生産性を低減することなく、β
−カロチンまたはエキネノン生産性の選択性が高まった
菌株が好ましい。これらの具体的なものとしては、平成
3年12月18日付で上記寄託センターに寄託され、寄
託番号FERM P−12662およびFERM P−
12661が、それぞれ付されたファフィア・ロドチー
マ13−Y131株(β−カロチン生産株)および同1
3−E116株(エキネノン生産株)を挙げることがで
きる。
【0016】本発明の突然変異株の作出は、上記変異源
を用いる常法によって行うことができる。例えば、上記
のようなアスタキサンチンの高い生産能を有する菌株を
用い、上述のようにNTGまたはUV照射などにより変
異処理を施した菌体を適当に希釈し、YM寒天培地に接
種し、生育したコロニーの色調を肉眼で観察し、黄色色
調の強い株を選択し、次いでそれらを培養生育した後、
生産する色素を確認することによって、それぞれ個別に
β−カロチンおよびエキネノン生産性変異株をうること
ができる。
【0017】こうして得られる変異菌株は、ファフィア
・ロドチーマの培養に通常用いられる培地に培養して、
β−カロチンまたはエキネノンの生産に供することがで
きる。この培養に用いる炭素源としては例えばグルコー
ス、サッカロース、ガラクトース、セロビオース、キシ
ロース、デンプンおよび糖蜜などが挙げられ、窒素源と
しては、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウ
ム、水酸化アンモニウム、コーンスティープリカー、酵
母エキス、ペプトン、麦芽エキスおよび尿素などが挙げ
られる。また、培養に用いる無機塩としては、例えば、
リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸マ
グネシウム、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜
鉛、塩化第二鉄、硫酸銅およびモリブデン酸ナトリウム
が挙げられ、その他微量栄養素として、例えばビオチ
ン、イノシトール、チアミン、パントテン酸カルシウ
ム、ピリドキシンなどを添加することができる。
【0018】さらに、カロチノイドの生合成代謝に影響
を及ぼす代謝中間体やその類似化合物、例えば、β−イ
オノン、シトラールやゲラニオールなどを添加すること
により、所期のカロチノイドの生産性を高めることがで
きる。また、培地のpHは3〜7.5に調整するのが望ま
しい。培養は、好気的条件下、15〜27℃、好ましく
は20〜22℃の範囲の温度において培養することによ
り目的のカロチノイドを多量に含有する菌体が得られ
る。培養終了後遠心分離などの処理により菌体を取得
し、常法に従い溶媒抽出し、カラムクロマトグラフィ
ー、分取薄層クロマトグラフィーなどにより処理して、
培養物からβ−カロチンまたはエキネノンを単離精製す
ることができる。なお、これらのカロチノイドの培養時
間は、用いる菌株や培地組成、培養温度によって異なる
が、振盪培養、タンク培養ともに2〜10日間でそれら
の蓄積量を最高にすることができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲をこれらに限定することを意
図するものでない。例1 β−カロチン生産性13−Y131株の取得 ファフィア・ロドチーマATCC24201株を、YM
培地(YM Broth,Difco社製、21g/
l)で20℃、48時間培養し集菌後、減菌水で2回洗
浄したのちリン酸緩衝液(0.02M,pH6.0)5ml
に懸濁させた。この懸濁液に変異誘発剤としてN−メチ
ル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)
を5μg/mlとなるように添加し、懸濁液を20℃で1
時間振盪した。ついで集菌後、減菌水で2回菌体を洗浄
した。変異処理後、懸濁液を減菌水で1000倍程度に
希釈し、希釈懸濁液0.1mlをYM寒天培地(YM A
gqr,Difco社製、41g/l)に塗抹して20
℃で72時間培養しコロニーを得た。
【0020】こうして得られた約107 個のコロニーの
中から肉眼で色調の赤くなった株を選択し、このうち特
に色調の赤い株、13−Leu株(FERM P−12
118)を得た。本菌は野生株と比較してアスタキサン
チン生産能が約5倍に上昇した菌株である。さらに、1
3−Leu株を親株とし、上記の方法で変異処理を繰り
返した。こうして得られた約106 個のコロニーの中か
ら肉眼で色調の黄色くなった株を選択し、このうち特に
色調の黄色い株、13−Y131株を選抜した。β−カロチンの生産 酵母エキス3g/l、麦芽エキス3g/l、ペプトン5
g/lおよびグルコース10g/l(pH6.2)からな
る培地(YM培地)を試験管に5ml加え、ファフィア・
ロドチーマ13−Y131株を一白金耳接種し、20℃
にて24時間振盪し前培養を行った。ついで、酵母エキ
ス3g/1、麦芽エキス3g/1、ペプトン5g/l、
グルコース10g/l(pH6.2)からなる培地(YM
培地)を、500ml容坂口フラスコに50ml加え、先の
前培養液1mlを接種し20℃にて120時間振盪培養を
行った。培養終了後遠心分離により菌体を集め、β−カ
ロチンの分離を行った。菌体よりβ−カロチンの抽出 培養終了後、遠心分離により集めた菌体にガラスビーズ
とアセトンを加え、ホモジナイザー(日本精機製作所
DX−1型)を用い5分間粉砕した。ワットマンGF/
D濾紙を用いて吸引濾過後、濾液(アセトン粗抽出液)
をアセトン粗抽出液:生理食塩水:ジエチルエーテル=
100:80:60の割合で混合し反復抽出を行った。
この抽出液をNo.2濾紙(東洋濾紙)を用いて濾過
し、その濾液を40℃で減圧乾固した後n−ヘキサン1
0ml、またはシクロヘキサン10mlに溶かし、n−ヘキ
サン定溶溶液、シクロヘキサン定溶溶液としてβ−カロ
チンの分析に供した。β−カロチンの可視部吸収スペクトルの測定 上記の方法で抽出した、n−ヘキサン定溶溶液、シクロ
ヘキサン定溶溶液を用いて可視部吸収スペクトルを測定
した。測定には島津自記分光光度計UV−2200を用
いた。得られた可視部吸収スペクトルはn−ヘキサン
中、及びシクロヘキサン中とも、標準β−カロチン(化
学合成品)のスペクトルと一致した。β−カロチンのTLC分析 上記の方法で抽出したn−ヘキサン定溶溶液を用いて、
β−カロチンのTLC分析を行った。薄層クロマトプレ
ートはメルク社製、シリカゲル60−F254 シラナイズ
ドを使用した。また溶媒にはn−ヘキサンを用いて室温
にて展開した。これより得られた菌体抽出液のRf値は
0.88で、標準β−カロチン(化学合成品)のRf値
と一致した。β−カロチンのHPLC分析 上記の方法で抽出した、n−ヘキサン定溶溶液を用いて
β−カロチンのHPLC分析を行った。以下に分析条件
及び使用機器を記す。分析条件及び使用機器 溶媒 : アセトニトリル/メタノール/テト
ラヒドロフラン=58/38/7 流速 : 1.0ml/min カラム圧 : 75kgf /cm2 温度 : 25℃ サンプル量 : 20μl 検出 : 450nm カラム : CAPCELL C−18 CG1
20−3(センシュー科学社製)4.6mm×150mm ポンプ : HITACHI L−6000 検出器 : 島津 SPD−6AV 上記条件で菌体抽出液をHPLC分析した結果、菌体抽
出液ピークのリテンションタイムは13.6min で標準
β−カロチン(化学合成品)ピークのリテンションタイ
ムと一致した。
【0021】以上、可視部吸収スペクトルの測定、TL
C分析、HPLC分析によって本菌の菌体抽出液の主成
分はβ−カロチンであると同定した。β−カロチンの定量 上記の方法で抽出したn−ヘキサン定溶溶液を用いてβ
−カロチンの定量を行ない、450nmにおける吸光係数
(E1% 1cm )を2595としてn−ヘキサン中でのβ−
カロチン量を算出した。上記の方法で菌体中のβ−カロ
チン量を測定したところ、1.8mg/g−乾燥菌体であ
った。例2 β−カロチン生産性24201−Y3株の取得 ファフィア・ロドチーマATCC24201株を、YM
培地(前述)で20℃、48時間培養し集菌後、減菌水
で2回洗浄したのちリン酸緩衝液(0.02MpH6.
0)5mlに懸濁させた。この懸濁液に変異誘発剤として
N−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン
(NTG)を5μg/mlとなるように添加し、懸濁液を
20℃で1時間振盪した。ついで集菌後減菌水で2回菌
体を洗浄した。
【0022】変異処理後、懸濁液を減菌水で1000倍
程度に希釈し、希釈懸濁液0.1mlをYM寒天培地(前
述)に塗抹して20℃で72時間培養しコロニーを得
た。こうして得られた約105 個のコロニーの中から肉
眼で色調の黄色くなった株を選択し、このうち特に色調
の黄色い株、24201−Y3株を得た。β−カロチンの生産 酵母エキス3g/l、麦芽エキス3g/l、ペプトン5
g/l、グルコース10g/l(pH6.2)からなる培
地(YM培地)を試験管に5ml加え、ファフィア・ロド
チーマ24201−Y3株を一白金耳接種し20℃にて
24時間振盪し前培養を行った。ついで、酵母エキス3
g/l、麦芽エキス3g/l、ペプトン5g/l、グル
コース10g/l(pH6.2)からなる培地(YM培
地)を、500ml容坂口フラスコに50ml加え、先の前
培養液1mlを接種し20℃にて120時間振盪培養を行
った。β−カロチンの抽出、分析、及び定量 培養終了後、実施例−1に説明した方法でβ−カロチン
の抽出、分析、定量を行った。分析の結果本菌の菌体抽
出液の主成分はβ−カロチンであると同定した。また定
量の結果β−カロチン含量は0.7mg/g−乾燥菌体で
あった。例3 エキネノン生産性13−E116株の取得 ファフィア・ロドチーマATCC24201株にNTG
による変異処理を施して、乾燥菌体当りのアスタキサン
チン含量が5倍程度に増大したファフィア・ロドチーマ
13−Leu株(FERM P−12118)を、減菌
したYM培地50mlの入った500ml容坂口フラスコに
1白金耳植菌し、20℃で48時間振盪培養した。集菌
後、蒸留水で2回洗浄したのち、0.02Mリン酸緩衝
液(pH6.0)5mlに懸濁した。この懸濁液に変異誘発
剤としてNTG溶液を15μg/mlになるように添加
し、20℃で1時間振盪した。ついで遠心分離により集
菌し、同様のリン酸緩衝液で3回菌体を洗浄した。この
菌体懸濁液を減菌水で1000倍程度希釈したのち、Y
M寒天培地に0.1mlずつ塗末して20℃で5日間培養
しコロニーを得た。こうして得られた赤いコロニーの中
にわずかに混在するオレンジ色のコロニーをYM寒天培
地に分離した。
【0023】単一コロニー1つを減菌したYM液体培地
50mlの入った坂口フラスコに1白金耳植菌し、これを
20℃で5日間振盪培養した。培養液を遠心分離にかけ
て集菌し、アセトンを添加して冷却下ホモジナイザーで
破砕後吸引濾過した。アセトン抽出を2回繰り返して得
られた抽出液に対し生理食塩水、エチルエーテルをそれ
ぞれ80%、60%になるように添加し、分液ロートで
分離した。エーテル層を分取し、さらに生理食塩水20
mlを加えて同様にエーテル層を分取した。濾過した後に
減圧濃縮して得られたエーテル抽出物をn−ヘキサンに
溶解し、分光光度スキャニングにかけ得られた吸収スペ
クトルの結果、吸収スペクトルの形及び最大吸収波長が
458nmのみであることから、このカロチノイドはエキ
ネノンと同定された。そしてさらに薄層クロマトグラフ
ィー分析とHPLC分析でも確認した。
【0024】こうして得られたエキネノン生産変異株フ
ァフィア・ロドチーマ13−E116株を取得した。本菌株のエキネノン含量の算出 アセトン溶媒中での458nmにおける吸光度の値と分子
吸光係数2158から計算すると2.32mg/l、菌体
量4.52g/lよりエキネノン含量は0.51mg/g
−乾燥菌体となる。参考までに、従来技術と本発明のエ
キネノン含量をまとめると以下のようになる。 ─────────────────────────────── 菌 株 名 エキネノン含量 ─────────────────────────────── ミクロコッカス・ロゼウス (Micrococcus roseus)ATCC 516 29 μg/g-乾燥菌体 ─────────────────────────────── ブレビバクテリウム・エスピー (Brevibacterium sp.)KY 4313 450 μg/g-乾燥菌体 ─────────────────────────────── ファフィア・ロドチーマ (Phaffia rhodozyma )UDC 67-210 65.9 μg/g-乾燥菌体 ─────────────────────────────── 13-E116 510 μg/g-乾燥菌体 ───────────────────────────────例4 13−Y131株によるβ−カロチンの生産 例−2で取得した13−Y131株を用い、さらにβ−
カロチン生産能を高めるべく種々、培養条件の検討を行
った。その結果、以下に記した培養法を用いることによ
り菌体中のβ−カロチン含量は3.6mg/g−乾燥菌体
にまで増加した。なお、β−カロチンの抽出及び分析法
は例−1の方法に従った。
【0025】酵母エキス3g/l、麦芽エキス3g/
l、ペプトン5g/l、グルコース10g/l(pH6.
2)からなる培地(YM培地)を試験管に5ml加え、フ
ァフィア・ロドチーマ13−Y131株を一白金耳接種
し20℃にて24時間振盪し前培養を行った。ついで、
酵母エキス3g/l、麦芽エキス3g/l、ペプトン5
g/lおよびグルコース50g/l(pH6.2)からな
る培地を、500ml容坂口フラスコに50ml加え、先の
前培養液1mlを接種し20℃にて120時間振盪培養を
行った。培養終了後遠心分離により菌体を集め、β−カ
ロチンの分離を行った。このように培地中のグルコース
濃度を5倍にすることにより菌体中のβ−カロチン含量
は約2倍に増加した。例5 13−E116株によるエキネノンの生産 グルコース50g/l、酵母エキス6g/l、麦芽エキ
ス6g/lおよびポリペプトン10g/l(pH6.2)
の組成からなる培地50mlずつを、500ml容坂口フラ
スコ2本に入れ減菌した後、ファフィア・ロドチーマ1
3−E116株を1白金耳植菌し、20℃で7日間培養
した。培養液から集菌し、例2と同様にアセトンとエー
テルを用いて抽出を行った。抽出液を集め、減圧濃縮
し、薄層クロマトグラフィーにより分取、精製すると、
1.2mgのエキネノンが得られた。また、この時のエキ
ネノン含量は0.96mg/g−乾燥菌体であった。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、β−カロチンまたはエ
キネノンを高い選択性で効率よく生産するファフィア・
ロドチーマの突然変異株が提供される。したがって、か
かる変異株の培養により前記カロチノイド類の工業的生
産が可能になる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ファフィア・ロドチーマ(Phaffi
    rhodozyma)の突然変異株であって、アス
    タキサンチンに至るまでの生合成経路のいずれかが遮断
    されているかまたは障害を受けていて、アスタキサンチ
    ンの生合成前駆体いずれかのカロチノイド類を主として
    生産する突然変異株。
  2. 【請求項2】 アスタキサンチンの生合成前駆体がβ−
    カロチンおよびエキネノンからなる群より選ばれるカロ
    チノイド類である請求項1記載の突然変異株。
JP34318291A 1991-12-25 1991-12-25 ファフィア・ロドチーマの突然変異株およびその培養によるカロチノイド類の製造方法 Pending JPH05168465A (ja)

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