JP4290559B2 - ブラケスレアトリスポラ(Blakesleatrispora)の(+)株及び(−)株を使用する混合培養物の発酵によるβ−カロテンの生産方法 - Google Patents

ブラケスレアトリスポラ(Blakesleatrispora)の(+)株及び(−)株を使用する混合培養物の発酵によるβ−カロテンの生産方法 Download PDF

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Description

本発明は、β−カロテンを過剰に産生するブラケスレアトリスポラ(Blakeslea trispora)の(+)株及び(−)株を選択する方法、並びに食品分野及び製薬分野において直接的に適用されるβ−カロテンの安定した製造を可能にする当該菌株の新しい発酵方法を記載する。
カロテノイドは、ある種の細菌、菌類及び光合成生物によって合成されるイソプレノイド起源の色素である。カロテノイドは下記の2つのタイプに分けることができる:
(i)カロテンと呼ばれる純粋な炭化水素(これには、β−カロテン、α−カロテン、γ−カロテン又はリコペンなどの化合物が含まれる)、及び
(ii)キサントフィルと呼ばれる、酸素を様々な形態(ヒドロキシル基、エポキシ基など)で含有する分子(これには、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、カプサンチン、カンタキサンチン、ルテインなどが含まれる)。
これらの化合物はすべて、ヒトの食事において、抗酸化物質(ガン及び他の疾患の防止)や、ビタミンAの前駆体として、重要な役割を果たしている。健康に対するそれらの有益な効果及びそれらの魅力的な色のために、カロテノイドは、着色剤及び食品添加物として商業的に非常に重要視されている[Ninet L.及びRenaut J.(1979)、微生物技術(Microbial Technology)(編者:Peppler HJ、Perlman D、第2版)、第1巻、Academic Press、NY、529頁〜544頁]。
β−カロテンは、その化学合成が1956年以来知られているカロテノイドである。β−カロテンは、536.9の分子量を有し、11個の共役二重結合を有する分子(C4056)である。その色は、結晶状態では赤みがかった紫色であり、油性溶液では黄色がかったオレンジ色であり、水性分散物ではオレンジ色である。合成されたβ−カロテンは、オールトランス異性体の立体配置を有しており、その一方、様々な天然源から得られたβ−カロテンは、様々な形態(オールトランス、モノシス、ジシス及びポリシス)を有している。
微生物の生合成によるカロテノイドの生産は、化学的プロセスと生物学的プロセスとの間で競合する古くからの一例である。生物工学的プロセスの長所としては、とりわけ、天然にしか存在しない立体配座異性体が得られるだけでなく、より複雑な構造のカロテノイドを簡便な方法で得られることがある。β−カロテンを生産するための工業的な生物工学的プロセスは、化学合成と競合しているが、藻類のズナリエラサリナ(Dunaliella salina)及び菌類のブラケスレアトリスポラ(B.trispora)の使用に基づいている。ブラケスレアトリスポラ(B.trispora)を用いた生産プロセスには、β−カロテンの最大収量を達成するために、その(+)株及び(−)株の混合発酵を必要とする。混合培養物におけるカロテノイドの収量増大は、β因子又はトリスポリック酸と呼ばれる一群の酸化合物の産生に関連する[国際特許出願公開WO00/77234;Caglioti L.他(1966)、Tetrahedron、増刊7:175頁〜187頁]。β−カロテンは、(+)株及び(−)株の両方によって産生されるが、両者はβ−カロテンをレチナールに代謝し、続いて4−ジヒドロトリスポロールに代謝する。(+)株は、ジヒドロトリスポリック酸及びそのメチルエステル(4−ジヒドロトリスポリック酸メチル)を形成させるための基質として4−ジヒドロトリスポロールを利用する。(−)株に関する限り、(−)株は、4−ジヒドロトリスポロールをトリスポロールに代謝する。最後に、4−ジヒドロトリスポリック酸メチルは(−)株によってトリスポリック酸に変換され、そしてトリスポロールは(+)株によってトリスポリック酸に変換される。トリスポリック酸の生合成に関するこの記載は、このプロセスで、多くの共代謝物が生成し、共代謝物の一部は(+)株及び(−)株の両方に共通しているが、他の共代謝物はそれらの一方に特異的であることから、単純化して記載されている。これらの共代謝物の相対的な量は、菌株に依存して変化する。
β−カロテンの生合成経路(スキーム1)が、B.trisporaに系統学的に関連する菌類(フィコミセスブラケスリーアヌス(Phycomyces blakesleeanus)及びムコールシルシネロイデス(Mucor circinelloides)など)において記載されている[Arrach N.他(2001)、Proceedings of the National Academy of Sciences USA、98:1687頁〜1692頁;Velayos A.他(2000)、European Journal of Biochemistry、267:5509頁〜5519頁]。少なくとも3つの酵素が、この生合成には必要である:
(i)フィトエンシンターゼ(これは、2分子のゲラニルゲラニルピロリン酸を結合して、フィトエンを形成する)、
(ii)フィトエンデヒドロゲナーゼ(これは、4つの二重結合をフィトエン分子に導入して、リコペンを合成する)、及び
(iii)リコペンシクラーゼ(これは、リコペンを基質として使用して、β−カロテン分子の両端に存在する環を形成する)。
この菌類におけるβ−カロテンの生合成経路は、P.blakesleeanusについて記載された生合成経路と類似することが、B.trisporaの変異体の分析に基づいて結論された[Metha B.J.及びCerda−Olmedo E.(1995)、Applied Microbiology and Biotechnology、42:836頁〜838頁]。フィコミセスブラケスリーアヌス(P.blakesleeanus)の場合、その菌糸の黄色の色を変異によって変化させることができ、そのような変異により、赤色、白色又は様々な色調の黄色に着色されている菌糸体を持つ菌株を生じる。赤色の変異体は、リコペンを蓄積し、一方、白色の変異体は、カロテノイドの産生性を欠くか、フィトエンを蓄積している。

Figure 0004290559
菌株を選択するために工業微生物学において使用されているシステムの1つは、フローサイトメトリーに基づいている。この技術により、不均一な集団から変異体の亜集団を選択することが可能となる。これを達成するために、蛍光の測定及び光散乱の測定などの非破壊的な方法が使用される。変異体の単離は、細胞の選別及び分離を可能にするサイトメーター(「Sort」)に接続された付帯装置によって行われる。亜集団の選択は、収量に直接的又は間接的に関連する特定のパラメーターを測定することに基づいている。フローサイトメトリーは、目的とするその生成物が自己蛍光性である生物学的サンプルには特に有用である。β−カロテンは実際には蛍光性分子ではないが、488nmの波長のアルゴンレーザーで励起されたときには、励起状態からその基底状態に戻るとき、エネルギーの喪失により、600nmを超える波長で検出される放射遷移のプロセスが生じる。この性質により、目的とする変異体を直接選択することが可能になる。
B.trisporaの発酵によるβ−カロテンの生産が様々な特許に記載されている(米国特許第3522146号、ソ連邦1592327、ロシア2053301、及び米国特許第5422247号)。米国特許第5422247号には、B.trisporaの選択された菌株を特定の発酵条件において使用する3.5g/l〜7g/lのβ−カロテンの生産が特許請求されている。
本特許では、9g/lのβ−カロテンを生産することを可能にする菌株の新しい選択方法及び改善された発酵条件が記載される。
本発明は、菌類のB.trisporaを用いて高収量のβ−カロテンを得るための一連の方法を記載する。本発明は、(i)β−カロテンの過剰産生体であるB.trisporaの変異体を作製及び選択するための方法の設計、並びに(ii)改善された発酵条件の開発からなる。
B.trisporaは、β−カロテンの生物工学的生産にとって工業的に非常に重要な菌類である。実際、本発明の方法は、現在工業的に使用されている合成方法と競合し得ることを証明する。
β−カロテンの過剰産生体である菌株を得ることを目指して、最初に、変異誘発法を、変異誘発剤のエチルメタンスルホナート(EMS)及びN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)を用いてB.trisporaの(+)株及び(−)株について開発した。変異処理される胞子の懸濁物を、YpSs培地を用いて斜面培養物から得た。胞子を、それぞれの斜面培養物に0.1%トリトンX−100溶液10mlを加えることによって再懸濁した。菌糸残留物を、細孔サイズ20μmのナイロンフィルターによるろ過で除いた。懸濁物における胞子の濃度は、約10胞子/mlであった。EMSを用いた変異方法は、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)における3%EMS溶液中の10胞子/mlの胞子を、室温で60分間インキュベーションし、約99%の死亡率を達成することからなった。変異処理された胞子を、0.1%トリトンX−100で3回洗浄し、15℃で2分間、3000rpmで遠心分離した。NTGを用いた変異方法は、250μg/mlのNTG及び0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を含有する溶液中の10胞子/mlの胞子を、室温で30分間インキュベーションし、約95%の死亡率を達成することからなった。変異処理された胞子を、0.1%トリトンX−100で3回洗浄し、15℃で2分間、3000rpmで遠心分離した。0.1%トリトンX−100が補充されたSutterIV固体培地を含有するペトリ皿に、変異処理された胞子を播種し、25℃で4日間インキュベーションして、単離されたコロニーを得た。
β−カロテンの過剰産生体であるB.trisporaの(−)株を選択するために用いられた方法論は下記の通りであった:
(i)蛍光に基づく細胞選択技術(FACS、蛍光活性化細胞選別)の使用、
(ii)γ−カロテン及び他のカロテノイドのより低い収量、並びに
(iii)コロニーの色強度。
FACSを使用してβ−カロテン産生変異体を選択するために、変異処理された胞子をPDA培地において増殖させ、0.1%トリトンX−100で洗浄し、細胞選別器及び分離器と連結させたフローサイトメーターで分析した(「FACSort」、蛍光活性化細胞選別)。この技術を使用すると、最高レベルの自己蛍光を有する変異体の亜集団を選択することが可能である。β−カロテンは実際には蛍光性分子ではないが、488nmのアルゴンレーザーで励起された場合、600nmを超える波長で検出される蛍光放射を発する。この方法では、検出される自己蛍光は胞子中のβ−カロテンの含有量に比例する。
選択された胞子をPDA培地(Difco)に播種して、25℃でインキュベーションし、β−カロテンの過剰産生体である変異体が濃いオレンジ色になることを観察した。β−カロテン産生変異体の選択を、γ−カロテン及び他のカロテノイドにおける当該変異体のより低い収量を指標として、下記のように行われた。
即ち、FACSortによって単離された、より高レベルの自己蛍光を有する変異体の亜集団を、混合培養におけるβ−カロテンの収量を測定する目的で、液体培地において発酵させた。発酵終了後直ちに、β−カロテン及び他のカロテノイドをHPLCによって定量した。このようにして、(i)β−カロテンのより高い収量、及び(ii)γ−カロテン及び他のカロテノイドのより低い収量を示す、様々な変異体が選択された。VKPM F−744の(−)株について両方の方法を適用して、本発明者らは、CMA1(−)株、CMA2(−)株、CMA3(−)株及びCMA4(−)株を選択した(スキーム2)。
Figure 0004290559
スキーム2は、変異方法及び選択方法を使用してB.trispora VKPM F−208(−)株から得られた様々なB.trispora(−)株の発生系統を示す。UVは紫外線、SNは自然選択、NTGはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、EMSはエチルメタンスルホナート、FACSは蛍光活性化細胞選別を表す。
下記の記号体系が、選択された菌株を示すために使用された:
CM=カロテンマイナス(−)、CP=カロテンプラス(+)。
親の世代間の関係は、アルファベット順に従う(AはBの親で、BはCの親である。以降同様)。文字の後に付けられた数字は変異体の番号に対応する。例えば、CMA1(−)の名称は、これがカロテン産生株(C)で、マイナス(M)で、CMBの親で、変異体番号1であることを意味する。同じように、CMA1(−)、CMA2(−)、CMA3(−)及びCMA4(−)は、1つの世代、すなわち、同じ世代の変異体1、変異体2、変異体3及び変異体4に対応する。
β−カロテン産生変異体の選択が、コロニーの色強度を関数として、下記のように行われた。即ち、CMA1(−)株の変異処理された胞子を、YEPDA固体培地の培養皿に播種し、増殖したところで、CMA1(−)親株よりも濃い黄色がかったオレンジ色を有するコロニーを選択した。このようにして、黄色がかった濃いオレンジ色を有する2つのコロニーを単離し、これらをCMB1(−)及びCMB2(−)と称した。
B.trispora(+)のβ−カロテン過剰産生変異体の選択を、変異処理された胞子を、SutterIV固体培地を含有するペトリ皿において増殖させることによって行った。次に、各コロニーの一部を、予めB.trispora(−)が播種されているPDAの培養皿に移した。固体培地でのβ−カロテンの収量を、(+)株のコロニーと(−)株のコロニーとの交差域における色強度の指標として評価した。このようにして、B.trispora CPA1(+)株を選択した(スキーム3)。この菌株は、高収量のβ−カロテンを、一連の(−)株との混合固体培養においてもたらした。その後、B.trispora CPA1(+)株の収量を、液体培地での混合培養において分析した。
Figure 0004290559
スキーム3は、変異方法及び選択方法を使用して、B.trispora VKPM F−117(+)から得られたB.trispora(+)株の発生系統を示す。UVは紫外線、SNは自然選択、NTGはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、EMSはエチルメタンスルホナートを表す。
固体培地で選択されたB.trisporaの(+)株及び(−)株を、液体培地及び混合培養におけるβ−カロテンの収量を測定する目的で、フラスコにおいて発酵させた。このために、(+)株及び(−)株の種菌を別々のフラスコで増殖させ、その後、2つの菌株の混合発酵をフラスコにおいて行った。発酵終了後直ちに(約6日)、B.trisporaの菌糸を渦状撹拌によって溶解し、β−カロテンを有機溶媒(例えば、アセトン)で抽出し、その濃度及び純度をHPLCによって測定した。得られた収量は、6.0g/l〜7.0g/lの間で変化した。
選択された菌株を、β−カロテンの収量を測定するためにパイロットプラント発酵装置において培養した。このために、選択された菌株を別々にフラスコで増殖させて、中間増殖用タンクに別々に移し、最後に一緒にして発酵させた。発酵は、100時間〜140時間インキュベーションして行なった。一連の異なる発酵において得られたβ−カロテンの平均収量は、CPA1(+)株/CMA3(−)株で7.2g/lであり、CPA1(+)株/CMB2(−)株で6.8g/lであった。CPA1(+)株/CMA3(−)株の発酵において、種菌の培養期間を48時間から46時間に減らしたとき、その収量が7.7g/lに増大したことが見出された。同様に、CPA1(+)株/CMB2(−)株の発酵において、種菌の培養期間を48時間から46時間に減らしたとき、その収量が7.1g/lに増大したことが見出された。次に、本発明者らは、β−イオノンを添加する最適なプログラムを確立することによってCPA1(+)株/CMA3(−)株からのβ−カロテンの収量を増大させることに成功した。この方法では、8.7g/lの範囲での収量が達成された。最後に、酸素注入を伴う発酵システムを開発し、これにより、(i)CPA1(+)株/CMA3(−)株の発酵において、β−カロテンの収量を少なくとも9g/lにまで増大させること、並びに(ii)γ−カロテン及び他のカロテノイドの蓄積を低下させることが可能となった。
(ブダペスト条約に従った微生物の寄託)
ブラケスレアトリスポラのこれらの菌株は、ブダペスト条約の規定に従って、ロシア国立工業微生物コレクション(Russian National Collection of Industrial Microorganisms)(VKPM)(GNII Genetika,Dorozhny Proezd 1、Moscow 113545、ロシア)に、下記の番号及び日付で寄託されている:
VKPM F−117、1979年12月21日;
VKPM F−208、1979年12月20日;
VKPM F−551、1992年11月19日;
VKPM F−674、1992年11月19日;
VKPM F−726、1997年1月21日;
VKPM F−727、1997年1月21日;
VKPM F−736、1997年10月7日;
VKPM F−741、1998年1月28日;
VKPM F−744、1998年1月28日;及び
VKPM F−816、2000年12月13日。
下記の実施例により、本発明を詳細に記載するが、これらは、本発明を限定するものではない。
B.trisporaの(+)株及び(−)株の変異方法
最初に、変異誘発法をB.trisporaの(+)株及び(−)株について開発し、そのために、下記のことを検討した:
(i)様々なタイプの変異誘発剤、
(ii)変異原の濃度、
(iii)胞子の濃度、
(iv)インキュベーションpH、及び
(v)処理時間。
このようにして、エチルメタンスルホナート(EMS)及びN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)を、変異誘発剤として選択した。
変異処理される胞子の懸濁物を、下記の組成を有するYpSs培地を用いて斜面培養物から得た:
4g/lの酵母抽出物、
15g/lの可溶性デンプン、
1g/lのKHPO
0.5g/lのMgSO・7HO及び15g/lの寒天、
5.8の最終pH。
胞子を、それぞれの斜面培養物にトリトンX−100の0.1%溶液10mlを加えることによって再懸濁した。菌糸残留物を、細孔サイズ20μmのナイロンフィルターでろ過して除いた。懸濁物中の胞子濃度は、約10胞子/mlであった。
EMSを用いた変異方法は、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)の3%EMS溶液中における10胞子/mlの胞子を、室温で60分間インキュベーションし、約99%の死亡率を達成することからなった。変異処理された胞子を0.1%トリトンX−100で3回洗浄し、15℃で2分間、3000rpmで遠心分離した。
NTGを用いた変異方法は、250μg/mlのNTG及び0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を含有する溶液中で、10胞子/mlの胞子を、室温で30分間インキュベーションし、約95%の死亡率を達成することからなった。変異処理された胞子を0.1%トリトンX−100で3回洗浄し、15℃で2分間、3000rpmで遠心分離した。
変異処理された胞子を用いて、0.1%トリトンX−100が補充されたSutterIV固体培地を含有するペトリ皿に播種した。SutterIV培地の1リットルあたりの組成は下記の通りである:
40gグルコース、4gL−アスパラギン、10gKHHPO、40mlの50x微量成分溶液、及び30gの寒天。
50x微量成分溶液は、25g/lのMgSO・7HO、1.82g/lのCaCl・2HO、0.05g/lのチアミン、0.1g/lのクエン酸、0.075g/lのFe(NO・9HO、0.05g/lのZnSO・7HO、0.17g/lのMnSO・HO、0.025g/lのCuSO・5HO、及び0.025g/lのNaMoO・2HOから作製される。
播種された培養皿を、単離されたコロニーを得るために25℃で4日間インキュベーションした。
β−カロテンの過剰産生体であるB.trispora(−)の変異体を選択するための方法
本実施例では、(i)蛍光に基づく細胞選択技術(FACS、蛍光活性化細胞選別)の使用、(ii)γ−カロテン及び他のカロテノイドのより低い収量、並びに(iii)コロニーの色強度に基づく、B.trispora(−)のβ−カロテン過剰産生株を選択するための方法を記載する。本発明で使用されたB.trispora(−)株の発生系統をスキーム2に示す。
FACSによるβ−カロテン産生変異体の選択を、実施例1に記載されるようにEMSで変異処理された胞子から出発して行った。変異処理された胞子をPDA固体培地に播種して、25℃で7日間インキュベーションした。インキュベーション終了時、胞子を遠心分離によって集め、トリトンX−100の0.1%溶液で2回洗浄した。それぞれの培養皿の培養物を1mlの最終容量で懸濁した。B.trisporaの変異胞子を、FACSort装置(Becton Dickinson)でのフローサイトメトリーによって分析した。励起を488nmのアルゴンレーザーで行い、下記のパラメーターについて評価した:
前方散乱(FSC)、
側方散乱(SSC)、及び
600nmから始まる蛍光放射(FL3検出器を使用した)。
β−カロテンの過剰産生体である変異体を、FL3検出器において最高レベルの自己蛍光を有する胞子亜集団を純化することによって選択した。このようにして単離された胞子を、単離されたコロニーを得る目的で、PDA培地に播種した。コロニーのそれぞれの収量を、実施例4に記載されるようなB.trispora CPA1(+)株との混合培養によるフラスコ発酵によって分析した。10個の変異体コロニーを用いて得られた結果は以下の通りであった。
即ち、5個のコロニー(50%)は、B.trispora VKPM F−744(−)親株に対して、β−カロテン収量の有意な増加を示し、30%のコロニーは、親株と類似した収量を示し、残る20%は、親株よりも少ない量を産生した(図1)。β−カロテン収量が増大した5個の変異体(CMA1(−)、CMA2(−)、CMA3(−)、CMA4(−)及びF9(−))の中で、そのうちの1個だけ(F9(−))が、他より多量のγ−カロテン及び他のカロテノイドを有していた。そのため、これは破棄された。最大の純度及び収量のβ−カロテンを有する菌株は、CMA1(−)であった。したがって、これを、次のサイクルの変異(スキーム2)の親株として選択した。
β−カロテンの過剰産生体である変異体の選択が、コロニーの色強度を関数として、以下のように行われた。
即ち、CMA1(−)株を、実施例1に記載されるような変異誘発に付した。変異処理された胞子をYEPDA固体培地(20g/lのバクトペプトン、10g/l酵母抽出物、20g/lグルコース、20g/l寒天、最終pH6.0)の培養皿に播種して、25℃で24時間インキュベーションし、その後、20℃で48時間〜72時間インキュベーションした。最後に、CMA1(−)親株よりも濃い黄色がかったオレンジ色を有するコロニーを選択した。このようにして、β−カロテンの過剰産生体であると考えられる、濃いオレンジ色を有する2つのコロニーが単離され、これらはCMB1(−)及びCMB2(−)と称された。その後、B.trisporaのCMA1(−)株、CMA2(−)株、CMA3(−)株、CMA4(−)株、CMB1(−)株及びCMB2(−)株の収量を、実施例4、実施例5、実施例6及び実施例7に記載されるように、液体培地でのCPA1(+)株との混合培養において分析した。スキーム2には、本発明において使用されたB.trispora(−)の菌株の発生系統を示す。
β−カロテンの過剰産生体であるB.trispora(+)の変異体を選択するための方法
B.trispora(+)のβ−カロテン過剰産生変異体の選択を、実施例1に記載されるような変異処理された胞子を使用して行った。これらの胞子を、SutterIV固体培地を含有するペトリ皿に播種し、25℃で7日間インキュベーションして、単離されたコロニーを得た。次に、各コロニーの一部を、予めB.trispora(−)を播種しているPDA培地の培養皿に移した。(+)株と(−)株との播種点間の距離は約2cmでなければならない。固体培地におけるβ−カロテンの収量が、(+)株のコロニーと(−)株のコロニーとの交差域における着色強度から推定される。このようにして、B.trisporaのCPA1(+)株を選択したが。この株は、一連の(−)株との混合固体培養において、より高収量のβ−カロテンをもたらした。その後、B.trisporaのCPA1(+)株の収量を、実施例4、実施例5、実施例6及び実施例7に記載されるように、液体培地での混合培養において分析した。スキーム3には、本発明において使用されたB.trispora(+)の菌株の発生系統を示す。
B.trisporaの(+)株と(−)株との混合培養によるフラスコにおけるβ−カロテンの生産方法
実施例1、実施例2及び実施例3に記載されるようにして選択されたB.trisporaの(+)株及び(−)株を、液体培地及び混合培養におけるβ−カロテンの生産レベルを測定する目的で、フラスコにおいて発酵させた。
このために、種菌用培地を、1リットルあたり下記の組成で調製した:
23gのダイズ粉、
47gのトウモロコシ粉、
0.5gのKHPO及び
0.002gのチアミン塩酸塩。
pHを6.3に調節した。(+)株を、67mlの培地を含有する500mlフラスコに、10胞子/mlの割合で播種した。(−)株を、100mlの培地を含有する500mlフラスコに、10胞子/mlの割合で播種した。両タイプの種菌を、25℃及び250rpmで44時間インキュベーションした。
発酵培地は、1リットルあたり下記の組成を有し、pHを6.3に調節した:
44gのダイズ粉、
19gのトウモロコシ粉、
10gのオレンジ粉、
0.5gのKHPO
0.28gのイソニアジド、
0.002gのチアミン塩酸塩、
10gのレシチン及び
100gの植物油。
培地を、フラスコあたり20mlの割合で250mlの三角フラスコに分けた。発酵培地を含有するフラスコに、(+)株と(−)株とを1/10の比率で混合した10%混合物を接種した。フラスコを25℃及び250rpmでインキュベーションし、48時間目に、β−イオノンを培養培地1リットル当たり1mlの割合で添加した。発酵終了時(6日)、発酵培地及び塩化メチレン/メタノール(1/1)の混合物を調製した。溶媒との混合により、B.trisporaの菌糸が溶解されて、細胞内のβ−カロテンが放出された。β−カロテンを有機相に抽出し、その後、アセトンで希釈した。β−カロテンの濃度及び純度を、逆相HPLCを使用して測定した。
CPA1(+)株と、CMA1(−)株、CMA2(−)株、CMA3(−)株、CMA4(−)株、CMB1(−)株及びCMB2(−)株との各混合発酵において得られた収量は6.0g/l〜7.0g/lの間で変化した(図1)。
発酵装置におけるB.trisporaの(+)株と(−)株との混合培養によるβ−カロテンの生産方法
実施例2、実施例3及び実施例4に記載されるようにして選択されたB.trisporaのCMA1(−)株、CMA2(−)株、CMA3(−)株、CMB1(−)株及びCMB2(−)株を、β−カロテンの収量を測定するために、CPA1(+)株と一緒にパイロット段階の発酵装置において培養した。このために、種菌用培地を、1リットルあたり下記の組成で調製した:
23gのダイズ粉、
47gのトウモロコシ粉、
0.5gのKHPO
0.002gのチアミン塩酸塩。
pHを6.3に調節した。(+)株及び(−)株を、500mlの培地を含有する2000mlフラスコに別々に播種し、25℃及び250rpmで44時間〜48時間インキュベーションした。
それぞれの菌株を、1リットルあたり下記の組成を有する培養培地を含有する栄養増殖用タンクに0.1%で移し、そのpHを6.0に調節した:
29gのファルマメディア(Pharmamedia)、
47gのトウモロコシ粉、
0.5gのKHPO
0.002gのチアミン塩酸塩及び
1gの消泡剤。
(+)株を、0.66v/v/m(容量/容量/分)で通気しながら25℃〜27℃でインキュベーションし、(−)株を、1.5v/v/mで通気しながら27℃〜29℃でインキュベーションした。インキュベーション条件におけるこれらの違いは、これら2つの菌株の増殖の違いをもたらし、その結果、発酵装置における混合時において、その生理学的状態が、最大の収量を達成するために好適になる。
46時間インキュベーションした後、(+)株及び(−)株を1/10の比率で混合し、10%混合物を使用して1リットルあたり下記の組成を有する発酵培地に播種し、初期pHを5.9に調節した:
50gのダイズ粉、
25gのトウモロコシ粉、
15gのオレンジ粉、
0.5gのKHPO
0.28gのイソニアジド、
0.002gのチアミン塩酸塩、
10gのダイズレシチン、
80gの植物油及び
0.175gの消泡剤。
発酵液を、150rpm〜250rpmの間で変化させて撹拌するとともに1v/v/m〜1.5v/v/mで通気しながら、25℃〜28℃の温度で120時間〜140時間インキュベーションした。pHをアンモニア又はリン酸で制御した。発酵の40時間目〜50時間目の間において、植物油におけるβ−イオノンの10%溶液を、1リットルの発酵培地あたり10g加えた。
同様に、発酵の70時間目〜80時間目の間において、植物油におけるエトキシキンの10%溶液を、1リットルの発酵培地あたり10g加えた。
発酵終了時、β−カロテンの濃度及び純度を、実施例4に記載されるように評価した。得られた結果を図2に示す。CPA1(+)株とCMA3(−)株との一連の異なる発酵において得られたβ−カロテンの平均収量は、48時間インキュベーションされた種菌由来の発酵槽では、7.2g/lであり、46時間インキュベーションされた種菌の発酵槽では、7.7g/lであった。CPA1(+)株とCMB2(−)株との収量は、48時間インキュベーションされた種菌由来の発酵槽では、6.8g/lであり、46時間インキュベーションされた種菌の発行槽では、7.1g/lであった。このことは、種菌のインキュベーション時間が2時間減少したことにより、β−カロテンの収量がおよそ5%〜7%増大したことを意味している。本実施例は、β−カロテンの収量が、(i)インキュベーション時間、並びに(ii)2つの菌株のそれぞれに対して確立された増殖条件によって、どのように影響されるかを明瞭に明らかにしている。
β−イオノンの添加についての特定のプログラムを使用した発酵槽におけるB.trisporaのCPA1(+)株とCMA3(−)株との混合培養によるβ−カロテンの生産方法
実施例2、実施例3及び実施例4に記載されるようにして選択されたCPA1(+)株及びCMA3(−)株を、β−カロテンの収量を測定する目的で、パイロット段階の発酵槽において培養した。発酵条件(種菌、栄養増殖用タンク及び発酵槽)は、異なるβ−イオノン添加プログラムを用いたことを除いて、実施例5に記載される通りであった。
実施例5で確立されたβ−イオノン添加プログラムは、発酵の40時間目〜50時間目の間において、植物油におけるβ−イオノンの10%溶液を、1リットルの発酵培地あたりの10g供給することからなった。この実施例においては、新しい一連の添加プログラムを分析して、下記の改善された結果を得た。
即ち、発酵の40時間目〜50時間目の間に1リットルの発酵培地当たり植物油中のβ−イオノンの10%溶液を10g、発酵の60時間目〜70時間目の間に1リットル当たりさらに10g、かつ発酵の100時間目〜105時間目の間に1リットル当たりさらに5g供給するというものである。
発酵終了時、β−カロテンの濃度及び純度を、実施例4に記載されるように評価した。CPA1(+)株とCMA3(−)株との一連の異なる発酵において得られたβ−カロテンの平均収量は、実施例5に記載されるβ−イオノン添加プログラムを使用したときには7.2g/lであるが、本実施例に記載の改善されたプログラムを用いた場合には、8.7g/lであった。これらの結果により、β−イオノンの添加プログラムとβ−カロテンの収量との間には密接な関連が存在することが確認される。
酸素を注入した発酵槽でB.trisporaの(+)株と(−)株との混合培養を行なうβ−カロテンの生産方法
実施例2及び実施例3に記載されるようにして選択されたB.trisporaのCPA1(+)株及びVKPM F−744(−)株を、β−カロテンの収量を測定する目的で、パイロット段階の発酵槽において培養した。発酵条件(種菌、中間増殖用タンク及び発酵槽)は、酸素を注入して発酵培地の溶存酸素の量を増大させたこと以外は、実施例5に記載される通りであった。
対象発酵(酸素のさらなる添加を伴わない)を、150rpm〜250rpmの間で変化させて撹拌するとともに1v/v/m〜1.5v/v/mで通気しながら行った。酸素注入を伴う発酵の場合には、発酵槽に導入される空気を、純酸素ビンに接続して酸素富化したことを除いて、同じ条件を用いた。このようにして、空気の酸素含有量を21%から24.5%へと増大させた。酸素補充を発酵の40時間目〜70時間目の間において行った。酸素補充を伴う条件で、発酵培地の溶存酸素の平均濃度は49%の値に達し、一方、酸素の添加を伴わない培地中では、溶存酸素の平均濃度は34%であった。
発酵終了時、β−カロテンの濃度及び純度を、実施例4に記載されるように評価した。CPA1(+)株とVKPMF−744(−)株との一連の異なる発酵において得られたβ−カロテンの平均収量は、酸素添加を伴わない場合には6.7g/lであるが、酸素を注入したときには7.1g/lであった。このことは、発酵期間中に、発酵培地に溶解する酸素の濃度がその最小値にあるときには、さらなる酸素を供給することによってβ−カロテンの収量を増大させることが可能であることを明らかにしている。この技術を、CPA1(+)株及びCMA3(−)株について実施例6で確立された発酵条件に適用することにより、9g/lを超える収量が得られた(図3)。
さらに、発酵装置に入る空気を酸素富化することにより、γ−カロテン及びβ−ゼアカロテンなどの他の望ましくないカロテノイドの収量の減少がもたらされた。前に記載された一連の実験におけるγ−カロテンの平均収量(β−カロテンに対する相対的な百分率として)は、酸素注入がない場合には1.8%であり、酸素注入がある場合には1.2%であった。さらに、β−ゼアカロテンの値は、酸素注入がない場合には1.0%であり、酸素が注入されたときには僅か0.5%であった。培養液への酸素注入量と(i)β−カロテン収量の増大並びに(ii)γ−カロテン及びβ−ゼアカロテンの減量との間には密接な関連が存在することが、これらの結果に基づいて結論される。
B.trisporaのCPA1(+)株とB.trisporaの一連の(−)株との混合フラスコ培養によるβ−カロテンの生産を示す。縦軸:g/l;横軸:FACSortシステムを用いて選択したF、Fなどの変異体であり、これらから、フラスコ発酵後、CMA1、CMA2、CMA3及びCMA4を選んだ(実施例2)。L25(−)は、VKPM F−744(−)に対応する。 発酵槽における、B.trisporaのCPA(+)株と一連のB.trisporaの(−)株との混合培養によるβ−カロテンの生産を示す。縦軸:L25(−)の収量に対する相対%。L25(−)は、VKPM F−744(−)に対応する。 酸素の直接的な注入を行わない場合(対象)、又は酸素の直接的な注入を使用した場合の発酵槽におけるCPA1(+)株/L25(−)株及びCPA1(+)株/CMA3(−)株の混合発酵によるβ−カロテンの生産を示す。縦軸:g/l。L25(−)はVKPM F−744(−)に対応する。

Claims (9)

  1. ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の(+)株及び(−)株の混合培養物を用いた発酵によるβ−カロテンの生産方法であって、
    該菌株の栄養成長段階(vegetative growth stages)の培養期間を、種菌培養(inoculum)及び一次培養(primary cultures)の両方で制御し、
    β−イオノンを、発酵の40時間目から105時間目までに自動プログラムに従って、少なくとも3周期の間に添加して、発酵が行なわれることを特徴とする方法。
  2. β−イオノンが、40時間目〜50時間目の間、60時間目〜70時間目の間及び100時間目〜105時間目の間に添加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記の最初の2つの周期のそれぞれにおいて、発酵培地1リットルにつき、植物油におけるβ−イオノンの10%溶液を、少なくとも10g添加し、かつ3番目の周期において、発酵培地1リットルにつき、該溶液を、少なくとも5g添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 酸素を、発酵の開始から終了までに加えることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  5. 酸素を、40時間目〜70時間目の間に加えることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  6. 発酵培地中の溶存酸素の平均値が、初期酸素に対して35%〜60%の間に維持されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 前記種菌培養(inoculum)として、播種前のインキュベーション時間が、42時間〜50時間である培養が用いられることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記一次成長培養(primary vegetatives)として、播種前のインキュベーション時間が、35時間〜55時間である培養が用いられることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. (a)ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の(+)株の種菌を、800胞子/ml〜1000胞子/mlの範囲で播種し、
    (b)ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の(−)株の種菌を、10000胞子/ml〜60000胞子/mlの範囲で播種し、
    (c)ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の(+)株及び(−)株の種菌を、25℃で46時間培養し、
    (d)ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の(+)株の一次培養物に、0.1%(v/v)のその種菌を播種し、
    (e)ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の(−)株の一次培養物に、0.1%(v/v)のその種菌を播種し、
    (f)ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の(+)株の一次培養物を、26℃で44時間〜48時間培養し、
    (g)ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の(−)株の一次培養物を、28℃で44時間〜48時間培養し、
    (h)ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の(+)株及び(−)株の一次培養物を、1(+)/10(−)(v/v)の比率で混合し、
    (i)各発酵槽に、(h)に記載したブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の(+)株と(−)株との10%(v/v)混合物を播種し、
    (j)混合された培養物が26℃で5日間〜6日間にわたってインキュベーションされることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
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