JP4234129B2

JP4234129B2 - ローラチェーン用リンクプレート及びその製造方法

Info

Publication number: JP4234129B2
Application number: JP2005307451A
Authority: JP
Inventors: 敏彦宮澤; 利文佐藤
Original assignee: Tsubakimoto Chain Co
Current assignee: Tsubakimoto Chain Co
Priority date: 2005-10-21
Filing date: 2005-10-21
Publication date: 2009-03-04
Anticipated expiration: 2025-10-21
Also published as: GB2431449A; US20070093333A1; CN1952433A; JP2007113738A; DE102006048462B4; GB2431449B; DE102006048462A1; US7704175B2; GB0617854D0; CN1952433B

Description

本発明は、ローラチェーンに関するものであって、特に、内燃機関のタイミングドライブシステムに用いられるローラチェーンを構成するリンクプレートおよびその製造方法に関するものである。

内燃機関のタイミングドライブシステムに用いられるローラチェーンを構成するリンクプレート及びその製造方法としては、例えば、図５及び図６に示したような発明が、本願発明者らによって、開発されている。なお、図６は、図５のＶＩで示す加工領域を拡大視したものである。

すなわち、図５に示すように、供給ロールから引き出された帯状鋼板Ｈをリンクプレート打ち抜き金型Ｄ内にパイロット孔Ｒに基づいて間欠的に順送り出す。最初にピン粗打ち抜き加工型ｄ４により、帯状鋼板Ｈの中心線上に一対のピン孔５１０、５１２を打ち抜く。次に図６に詳述したようにリンクプレート５００の長手方向両端に切り代Ｋを残して、前記ピン孔５１０、５１２の外方に左右一対の半円弧５１４、５１６と、前記左右一対の半円弧５１４、５１６の両端を結ぶ上下一対の直線部５１８、５２０を備えた形状のプレート粗打ち抜き加工型ｄ５により打ち抜く。

粗打ち抜き加工をすると図８（ａ）に示すように加工断面に“だれ１０”、“破断粗面２０”、“バリ３０”が生じる。そのため、図６に示したように前記プレート粗打ち抜き加工型ｄ５の輪郭より僅かに大きな形状をしたプレートシェービング加工型Ｓ４を用いて、粗打ち抜きされたリンクプレートの外周にシェービング加工を施すことにより、粗打ち抜き加工面を僅かに削り落とし、図８（ｂ）に示すような滑らかな剪断面（シェービング面）４０とする。符号５０で示したものは、シェービング加工後のスクラップである。なお、図８では、シェービング面、粗打ち抜き加工面をかなり誇張して描写しているが、実際には、シェービングの削り代ＤＳは、０．１ｍｍ程度である。

なお、本発明でいう「シェービング加工」とは、図８（ａ）に示したように一次加工と称する粗打ち抜き加工時に帯状鋼板を加工型（一般に“ポンチ”と呼ばれる）で打ち抜いて形成した粗打ち抜き周縁部の輪郭よりも、僅かに大きな輪郭を有するシェービング加工型を用い、図８（ｂ）に示したように前記ポンチと同様にして前記帯状鋼板の粗打ち抜き周縁部を押し抜くことにより、前記粗打ち抜き周縁部の輪郭を少量削り取り、前記ポンチで打ち抜く粗打ち抜き加工時に生じた粗面や“だれ１０”、“破断粗面２０”、“バリ３０”を除去して、粗打ち抜き周縁部の表面粗度や表面精度を向上させる二次加工をいう。

次に、ピン孔５１０、５１２の内周面にピンシェービング加工型Ｓ３により、シェービング加工を施す。そして、最後に粗打ち抜き加工型ｄ６で切り代を切断し、リンクプレート５００が完成する（例えば、特許文献１参照）。

また、プレートシェービング加工型を図７にＳ５として示すように、テンショナレバーやガイドレバーが摺接するため、特に、平滑性が要求されるリンクプレートの上下一対の直線部のみをシェービング加工することも提案されている。

特開２００５−２１９１１号公報（第５−７頁、第２−３図）

しかしながら、上述した図５乃至図７に示したような従来のローラチェーン用リンクプレートの製造方法では、粗打ち抜き加工領域とシェービング加工領域について、特別な配慮をしていなかったため、以下のような問題が指摘されていた。

まず、第１に切り代として残した帯状鋼板の角にプレートシェービング加工型の先端が接触し、プレートシェービング加工型が欠けたりして寿命が短くなることが懸念されていた。第２にプレートシェービング加工型を図７にＳ５として示したようなリンクプレートの上下一対の直線部のみをシェービングする加工型に変えた場合、シェービング面と粗抜き打ち面の境界部を結ぶ線（図４（ａ）におけるＣ１−Ｃ１線）がピン孔を横断するため、反りが生じリンクプレートが破断しやすくなるという課題が生じていた。第３に高い表面粗度や表面精度を要求される高価なシェービング加工型と高い精度が要求されない安価な粗打ち抜き加工型がほぼ同一の形状を有しているため、シェービング加工型の製作に高額な費用がかかり、ローラチェーンの製造原価が高くなる一因となっていた。

そこで、本発明の目的は、前述したような従来の技術の問題点を解決するものであって、（１）プレートシェービング加工型の長寿命化を図ると共に、（２）シェービング面と粗抜き打ち面の境界部を結ぶ線がピン孔を横断せずリンクプレートの反りを抑制し、リンクプレート自身の長寿命化を図り、（３）さらにプレートシェービング加工型のコストダウンを図り、ローラチェーンの製造原価を低く抑えたローラチェーン用リンクプレートの製造方法を提供するとともに、その製造方法で製造されたリンクプレートを提供することである。

本発明は、帯状鋼板を異なる複数の加工型からなる一連のリンクプレート打ち抜き金型へ間欠的に順送りして粗打ち抜き加工した後の粗打ち抜き周縁部にシェービング加工を施すローラチェーン用リンクプレートにおいて、前記リンクプレートが、左右に一対のピン孔と前記ピン孔の外方に、左右一対の半円弧と、前記左右一対の半円弧の両端を結ぶ上下一対の直線部を備えた形状を有しており、前記シェービング加工をする加工範囲を、前記リンクプレートの周縁の上下部分であって、それぞれ前記直線部から前記半円弧上で且つ前記ピン孔両端の最外側位置までとしたローラチェーン用リンクプレートにより上記の課題を解決するものである。

本発明は、帯状鋼板を異なる複数の加工型からなる一連のリンクプレート打ち抜き金型へ間欠的に順送りして粗打ち抜き加工した後の粗打ち抜き周縁部にシェービング加工を施すローラチェーン用リンクプレートにおいて、前記リンクプレートが、左右に一対のピン孔と前記ピン孔の外方に、左右一対の半円弧と、前記左右一対の半円弧の両端を結ぶ上下一対の直線部を備えた形状を有しており、前記シェービング加工をする加工範囲を、前記リンクプレートの周縁の上下部分であって、それぞれ前記直線部から前記半円弧上で且つ前記ピン孔両端の最外側位置としたことによって、（１）プレートシェービング加工型の長寿命化が図られ、（２）シェービング面と粗抜き打ち面の境界部を結ぶ線がピン孔を横断せずリンクプレートの反りを抑制し、リンクプレート自身の長寿命化が図られ、（３）プレートシェービング加工型のコストダウンが図られる。

以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
まず、図１は、本発明を用いて編成されたローラチェーンＲＣを一部破断して示した斜視図であって、多数のローラチェーン用リンクプレート１００がピンＣＰとローラＬＲによってチェーン長手方向に無端状に連結されているローラチェーンＲＣを示している。

図２は、本発明の実施例であるローラチェーン用リンクプレートの製造方法を説明する図であり、図３は、図２のＩＩＩで示す加工領域の拡大図である。本実施例のローラチェーン用リンクプレート１００は、ピン孔１１０、１１２、プレート背面１１８、１２０からなる基本的な構造を備えている。本実施例では、帯状鋼板Ｈを、ピン孔１１０、１１２内面を形成するピン粗打ち抜き加工型ｄ１、プレート背面１１８、１２０を形成するプレート粗打ち抜き加工型ｄ２等を備えた一連のリンクプレート打ち抜き金型Ｄへプレート単位で間欠的に順送りしてピン粗打ち抜き加工型ｄ１、プレート粗打ち抜き加工型ｄ２によって、粗打ち抜き加工する。その後、プレート粗打ち抜き加工型ｄ２に見合う加工型、すなわち、粗打ち抜きされたリンクプレートの輪郭より若干大きな輪郭を有するプレートシェービング加工型Ｓ２によってシェービング加工が施され、その次に粗打ち抜きされたピン孔１１０，１１２の内周面にピン粗打ち抜き加工型ｄ１に見合う加工型、すなわち、粗抜き打ちされたピン孔直径より若干大きな直径を有するピンシェービング加工型Ｓ１によってピン孔１１０、１１２内面にシェービング加工が施される。

この時、図３に示すようにプレートシェービング加工型Ｓ２は、プレート粗抜き打ち加工型ｄ２と同形ではなく、ピンのピッチ間隔Ｐにプレート孔径Ｈｄを足した距離Ｐ＋Ｈｄの幅をシェービングするような形状にしている。

このような形のプレートシェービング加工型Ｓ２を用いる理由は、内燃機関のタイミングドライブシステムに用いられるローラチェーンのリンクプレートは、リンクプレートの端面にテンショナレバーやガイドレバーが摺接するため、上下一対の直線部の平滑性が重要である。一方、左右の半円弧上の部分は、特に別部材と摺接するわけではないので、高価なシェービング加工は出来るだけ回避したい。

ところが、図７に示したようなプレートシェービング加工型Ｓ５を用いてリンクプレートの上下一対の直線部だけをシェービング加工した場合、図４（ａ）に示したように直線部と半円弧状部の境界に粗打ち抜き加工部分（半円弧状部）とシェービング加工部分（直線部）の境界が来る。そのため、上下の境界線を結んだ線がピン孔を跨ぐようになるため、粗打ち抜きされたリンクプレートが反りやすく、その結果、図４（ａ）にＣ１−Ｃ１線で示した位置で破断されやすい。その理由は、図４（ａ）にＣ１−Ｃ１断面斜視図として記載した図から分かるように切断面は、ピン孔を跨いでいるため断面積が少ないからである。

また、本発明者らが鋭意研究を進めたところ、シェービング加工領域と粗抜き打ち加工領域の境界に生じる段差がリンクプレートの疲労破壊の起点位置となりやすいことを究明した。プレート端面のシェービング加工の際にプレートのピン孔両端の最外側位置（図４（ｂ）に示したＰ＋Ｈｄ）までシェービング加工を行うことによって、シェービング加工領域と粗打ち抜き加工領域を結ぶ線がピン孔を跨がない。その結果、リンクプレートの反りが減少し、リンクプレートが破断することが抑制される。すなわち、図４（ｂ）に示すようにシェービング加工領域をチェーンピッチ間隔Ｐにリンクプレートに穿孔されたピン孔径Ｈｄを足した領域、すなわち、Ｐ＋Ｈｄとする。このように加工領域の調整を図ることによって、図４（ｂ）にＣ２−Ｃ２断面斜視図として記載した図から分かるように切断面は、ピン孔を跨がないため断面積が大きいからである。

さらに、本発明によれば、プレートに生じる変形を少なくできるため、反ったリンクプレートが隣接したリンクプレートと干渉することで発生する屈曲不良を防止できる。また、帯状鋼板からリンクプレートを切り離す時に生じるリンクプレートの反りがピン孔両端の最外側位置よりも外側で生じるため、リンクプレートに穿孔されたピン孔間のピッチに影響を及ぼすことがなく狙い通りのチェーン長さが得られる。また、ピンとブシュの斜め当たりを防げるためチェーンの摩耗伸び性能が向上するばかりか、ブシュ、ローラの寿命も向上する。さらに均一なチェーンピッチが得られることによって、スプロケットと均一な噛み合いとなり、不整噛み合い音を低減させることが出来る。

ここで、上記の説明では、ピンのピン孔を有するリンクプレート、すなわち外リンクプレートについて説明しているが、孔にブシュが圧入されるリンクプレート、すなわち内リンクプレートであっても同様に適用できる。また、ローラを有さないブシュチェーンであっても同様の効果を奏することは言うまでもない。

本発明は、耐久性、信頼性、低騒音等が要求される内燃機関のタイミングドライブシステムに好適に使用される。

本発明を用いて編成されたローラチェーンの斜視図。本発明のローラチェーン用リンクプレートの製造方法を説明する図。図２のＩＩＩで示す加工領域の拡大図。（ａ）は、従来例のシェービング加工領域を示し、（ｂ）は、本発明のローラチェーン用リンクプレートの加工領域を示す図。従来例の製造方法を説明する図。図５のＶＩで示す加工領域の拡大図。従来例の別の製造方法を説明する図。粗抜き打ち加工とシェービング加工を説明する図。

符号の説明

１０・・・だれ
２０・・・破断粗面
３０・・・バリ
４０・・・シェービング面
５０・・・スクラップ
１００、５００・・・リンクプレート
１１０、１１２、５１０、５１２、７１０、７１２・・・ピン孔
１１８、１２０、５１８、５２０、７１８、７２０・・・プレート背面
ＲＣ・・・ローラチェーン
ＣＰ・・・ピン
Ｈ・・・帯状鋼板
Ｒ・・・パイロット孔
Ｄ・・・リンクプレート打ち抜き金型
ｄ１・・・ピン粗打ち抜き加工型
ｄ２・・・プレート粗打ち抜き加工型
ｄ３・・・プレート打ち抜き加工型
ｄ４・・・引用例で使用されるピン粗打ち抜き加工型
ｄ５・・・引用例で使用されるプレート粗打ち抜き加工型
ｄ６・・・引用例で使用されるプレート打ち抜き加工型
ｄ７・・・別の引用例で使用されるプレート打ち抜き加工型
Ｓ１・・・ピンシェービング加工型
Ｓ２・・・プレートシェービング加工型
Ｓ３・・・引用例で使用されるピンシェービング加工型
Ｓ４・・・引用例で使用されるプレートシェービング加工型
Ｓ５・・・別の引用例で使用されるプレートシェービング加工型

Claims

帯状鋼板を異なる複数の加工型からなる一連のリンクプレート打ち抜き金型へ間欠的に順送りして粗打ち抜き加工した後の粗打ち抜き周縁部にシェービング加工を施すローラチェーン用リンクプレートにおいて、
前記リンクプレートが、左右に一対のピン孔と前記ピン孔の外方に、左右一対の半円弧と、前記左右一対の半円弧の両端を結ぶ上下一対の直線部を備えた形状を有しており、
前記シェービング加工をする加工範囲を、前記リンクプレートの周縁の上下部分であって、それぞれ前記直線部から前記半円弧上で且つ前記ピン孔両端の最外側位置までとしたこと
を特徴としたローラチェーン用リンクプレート。
帯状鋼板を異なる複数の加工型からなる一連のリンクプレート打ち抜き金型へ間欠的に順送りして粗打ち抜き加工した後の粗打ち抜き周縁部にシェービング加工を施すローラチェーン用リンクプレートの製造方法において、
前記リンクプレートが、左右に一対のピン孔と前記ピン孔の外方に、左右一対の半円弧と、前記左右一対の半円弧の両端を結ぶ上下一対の直線部を備えた形状に前記粗打ち抜き加工され、
前記シェービング加工をする加工範囲を、前記リンクプレートの周縁の上下部分であって、それぞれ前記直線部から前記半円弧上で且つ前記ピン孔両端の最外側位置までとしたこと
を特徴としたローラチェーン用リンクプレートの製造方法。