JP4233963B2 - 白色金合金ロウ材 - Google Patents

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本発明は、ステンレス鋼用のロウ材に関するものであって、特に、低温でロウ付けでき、良好な耐食性、十分な接合強度を有するロウ付けを行うことができ、しかも、白色の宝飾品や時計外装部品のロウ付けに適した白色金合金ロウ材に関する。
ロウ付けは、接合すべき母材の間にロウ材と呼ばれる接合用金属を添加して、加熱することによって、ロウ材と母材との間をぬれ現象と毛細管現象を利用して接合する方法である。
このようなロウ付けは、比較的容易に出来る金属の接合技術として古くから知られており、操作が容易で、応用範囲が広いことなどから、現在でも様々な分野で使用される重要な金属加工方法の一つである。これに伴って、色々な産業分野で用いられ、ロウ材の種類も多岐に渡ってきている。
しかしながら、金属やその合金の種類によっては、有効なロウ材が見つけられていないものがある。ステンレス鋼もその一つである。すなわち、ステンレス鋼は、耐食性、耐熱性、機械的強度ともに優れた特性を有しているために、様々な分野に広範に用いられているが、ステンレス鋼が本来有するこれらの諸特性を満足する有効なロウ材が提供されていないのが現状である。
すなわち、従来のステンレス鋼に用いるロウ材としては、非特許文献1(財団法人日本規格協会による「ステンレスのおはなし」)に記載されているように、例えば、白色系の金属ロウ材として、銀ロウ(Ag基ロウ)、ニッケルロウ(Ni基ロウ)が知られている。
この中で、Ag基ロウは、ロウ材自体の融点が800℃から1000℃であり、例えば、JIS規格によるBAg−8(融点780℃)も、ステンレス鋼部材のロウ付けに使用されることもある。しかしながら、Agを用いているので、硫化銀などが生成して黒変色するなど耐食性が良好でなく、時計などの外観的、装飾的要求が求められる部材のロウ付けにはあまり使用されていない。
一方、Ni基ロウは、例えば、JIS規格によるBNi−2(融点1000℃)も、ステンレス鋼部材のロウ付けに使用されることもある。しかしながら、通常水素などの還元雰囲気中で、およそ800℃以下であれば、結晶の粗大化は起こらないが、このようなNi基ロウは、例えば、BNi−2のように、融点が1000℃で、高融点であるので、ロウ付け時の高温のために、ステンレス鋼の結晶組織の粗大化が起こってしまうことになる。
このように結晶組織が粗大化すると、表面が粗くなり美観が良好でなく、しかも、機械的強度、耐食性が低下することになる。このため、粗大化した組織を研磨などを行って取り除き、その後、鏡面仕上げなどの工程が必要となる。
また、このようなNi基ロウでは、湯流れ性の改善を目的として、PやBなどの元素を添加しているが、この添加元素が耐食性に影響して、耐食性が低下することになっている。
なお、以下において、このようなステンレス鋼の母材において結晶が粗大化する温度である800℃を、母材の「結晶粗大化温度」と言う。
一方、特許文献1(特公昭61−10235号公報)には、ステンレス鋼に適し、耐食性に優れた白色系の金属ロウ材として、Cr、Fe、Si、Niを主成分としたロウ材(融点が1000℃から1200℃)が提案されており、1050℃から1250℃のロウ付け温度でロウ付けしたことが記載されている。
しかしながら、この特許文献1の金属ロウ材は、その融点が、1000℃から1200℃であり、母材の結晶粗大化温度(800℃)以上であるため、ロウ付けに使用すると母材であるステンレス鋼の結晶組織の粗大化が起こってしまう。
従って、この場合にも、結晶組織が粗大化して、表面が粗くなり美観が良好でなく、しかも、機械的強度、耐食性が低下することになる。このため、粗大化した組織を研磨などを行って取り除き、その後、鏡面仕上げなどの工程が必要となる。
さらに、ステンレス鋼では、接合方法として、溶接も広く用いられている。しかしながら、溶接は、接合強度、耐食性の点では問題ないが、部分的に高温に熱するために組織の粗大化が起こり、加工部分を後加工することが必要になる。
また、溶接の一種であるプロジェクション溶接は、接合する部材の構造が複雑であると、プロジェクション部に均一に電流を集中させにくくなり、溶接が困難な場合がある。
特公昭61−10235号公報 「ステンレスのおはなし」財団法人日本規格協会発行(特に、第132〜133頁参照)
従って、現在、ステンレス鋼部材を接合する方法において、耐食性が良好で、結晶組織が粗大化しない温度での接合が可能で、しかも、十分な接合強度を得ることが可能な全ての条件を満足する接合方法は存在しないのが実情である。
一方、図7に示したように、従来、時計ケース100は、ケース本体102とバンドの連結を行うための先カン部104〜110を含め、一体部品として製造されるのが一般的である。
しかしながら、近年、デザインの自由度拡大の要請から、図8に示したように、ケース本体102と先カン部104〜110を異なった面状態で仕上げたいという要望がある。例えば、ケース本体102は、ミラー面仕上げ、先カン部104〜110は、ヘアーライン面仕上げというように、異なった面状態で仕上げたい場合である。
しかしながら、従来は、図7に示したように、ケース本体102と先カン部104〜110は一体部品として製造されており、それぞれ連続した面を有しているために、ミラー面とヘアーライン面の界面をくっきりと出すことは困難であった。
さらに、このように、ケース本体102と先カン部104〜110とが一体部品から構成される一体型の場合には、その製造方法として、コスト的に有利な鍛造方法によって製造しているのが一般的である。しかしながら、このような鍛造方法による製造方法では、鍛造工程を経なければならないため、先カン部104〜110の形状が、鍛造によってデザイン的に大きく制約されることになっていた。
また、先カン部104〜110には、図7に示したように、バンドを取り付けるためのバネ棒を挿入するバネ棒装着穴112が形成されている。このバネ棒装着穴112は、時計ケース100を作製した後に、ドリルにより穿設することによって形成していたが、外側からバネ棒装着穴112が見えると外観上好ましくないため、先カン部104〜110の外側にはバネ棒装着穴112を設けずに、先カン部104〜110の内側からバネ棒装着穴112をドリルにより穿設していた。
従って、このようなバネ棒装着穴112をドリルによって穿設する際に、対向する先カン部が加工時に邪魔になって干渉することになる。このため、従来のバネ棒装着穴112は、加工面に対して垂直にはならずに、斜めに加工せざるを得なかった。そのためバネ棒よりも多少大きめの穴を開けなければならず、多少のがたが存在することになっていた。また、対向する先カン部が加工時に邪魔になるので、ドリルによる穴開け作業も困難であった。
本発明は、このような現状に鑑み、ステンレス鋼部材を接合するためのロウ材であって、耐食性が良好で、結晶組織が粗大化しない温度での接合が可能で、しかも、十分な接合強度を得ることが可能な白色金合金ロウ材を提供することを目的とする。
また、本発明は、ステンレス鋼部材からなる白色の宝飾品や時計外装部品、例えば、ケース本体とバンドの連結を行うための先カン部との間のロウ付けに適し、耐食性が良好で、結晶組織が粗大化しない温度での接合が可能で、しかも、十分な接合強度を得ることが可能な白色金合金ロウ材を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、このような白色金合金ロウ材を用いて、金属部材同士をロウ付けするロウ付け方法、および、このような白色金系合金ロウ材を用いて、時計ケース本体と先カン部とをロウ付けすることによって接合する時計ケースの接合方法、ならびに、このような時計ケースの接合方法によって得られた時計ケースを提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の白色金合金ロウ材は、Au、Ag、Cuを主成分とし、Ni、In、Ga、Snを含み、残部がその他の不可避成分からなることを特徴とする。
すなわち、従来から白色のホワイトゴールドや白金合金などの宝飾品や時計外装部品に用いられる白色金合金ロウ材は、実用上化学的な性質の面において変色や腐食を起こさないため、金が多く添加されなければならないが、融点が高く色調も金色味がかっており、実質的に使用しにくいという不具合があった。
このため、本発明者等が、融点が低く白色の色調を有した金系合金ロウ材を提供するために、鋭意研究を行った結果、Auは、変色や腐食を起こさない効果があり、Agは、ロウ材の流動性を向上させる作用があり、Cuは、ロウ付け部の強度を高くする効果があるのでこれらを主成分とすることによって、耐食性に優れ、ロウ材の流動性、機械的強度が向上する。
しかも、図2のAu−Niの2元系状態図に示したように、Auに対して、全率固溶するNiを、Auの代わりに副成分金属元素として含むことによって、金系合金ロウ材の色調を白色にする効果が大きく、ロウ付け強度を高めることができる。
また、このNiの他に、副成分金属元素として、Inを含むことによって、融点を下げ
、耐変色性と機械的強度を向上させる効果を得ることができる。
さらに、副成分金属元素として、Gaを含むことによって、融点を下げるのに効果がある。
また、副成分金属元素として、Snを含むことによって、融点を下げ、耐変色性と機械的強度に対して効果がある。
このように構成することによって、ステンレス鋼部材を接合するためのロウ材であって、耐食性が良好で、結晶組織が粗大化しない温度での接合が可能で、しかも、十分な接合強度を得ることが可能な白色金合金ロウ材を提供することができる。
また、本発明では、Auが、58〜75重量%、Agが、3〜15重量%、Cuが、3〜15重量%含まれるのが好ましい。
すなわち、AuとAgは、全率固溶する金属であり、Auが、58〜75重量%の範囲においては、ステンレス鋼の母材の結晶粗大化が起こらない温度での接合が可能で、ステンレス鋼に対する濡れ性も改善されたロウ材となる。
一方、Agが、3〜15重量%の範囲においては、ロウ材の流動性を向上させる作用があり、3重量%未満ではその効果が得られず、一方、15重量%を越えると、ロウ材の融点が高くなることから、3〜15重量%とすることができる。
さらに、AuとCuは、全率固溶する金属に対して、AgとCuは、図1のAg−Cuの2元系状態図に示したように、AgとCuは、Agが72重量%、Cuが28重量%の時に共晶組成となり、融点が780℃に大幅に低下する。この共晶点をAg−Cu共晶点と言い、このAg−Cu共晶点E1を利用することによって、ロウ材の融点を下げることができる。
従って、Cuは、ロウ付け部の強度を高くする効果があるが、このAg−Cu共晶点E1を考慮して最適範囲を決定すれば、3重量%未満ではこの効果は不十分であり、15重量%を超えると、ロウ材の融点を上昇させ、また、色調も金色味を帯びてくるため、3〜15重量%とすることができる。
また、本発明では、Niが、3〜15重量%含まれるのが望ましい。
すなわち、図2のAu−Niの2元系状態図に示したように、Auに対して、全率固溶するNiをAuの代わりに副成分金属元素として含むことによって、金系合金ロウ材の色調を白色にする効果が大きく、ロウ付け強度を高めることができる。この場合、Niの含有量は、3重量%未満ではこれらの効果は認められず、15重量%を超えると融点が高くなってしまうため、3〜15重量%とすることができる。
また、本発明では、Inが、0.5〜15重量%含まれるのが望ましい。
すなわち、AuとInは、図3のAu−Inの2元系状態図に示したように、AuとInは、Auが78重量%、Inが22重量%の時に共晶組成となり、融点が約468℃と大幅に低下する。この共晶点をAu−In共晶点と言い、このAu−In共晶点E2を考慮して、Auに対して、Auの代わりに副成分金属元素として添加するInの添加量を適宜調整することによって、ロウ材の融点を下げることができる。
従って、Inは、融点を下げ耐変色性と機械的強度を向上させる効果を示すが、このAu−In共晶点E2を考慮して最適範囲を決定すれば、0.5重量%未満では、これらの効果が弱く、15重量%を超えると合金が脆くなり易いため、0.5〜15重量%とすることができる。
また、本発明では、Gaが、0.5〜8重量%、前記Snが、0.5〜8重量%含まれるのが望ましい。
すなわち、AuとGaは、図4のAu−Gaの2元系状態図に示したように、AuとGaは、Auが85重量%、Gaが15重量%の時に共晶組成となり、融点が約339℃と大幅に低下する。この共晶点をAu−Ga共晶点と言い、このAu−Ga共晶点E3を考慮して、Auに対して、Auの代わりに副成分金属元素として添加するGaの添加量を適宜調整することによって、ロウ材の融点を下げることができる。
従って、Gaは、融点を下げるのに効果のある元素であるが、このAu−Ga共晶点E3を考慮して最適範囲を決定すれば、0.5重量%未満では、これらの効果があまり認められず、8重量%を超えるとロウ付け強度を下げてしまうため、0.5〜8重量%とすることができる。
また、AuとSnは、図5のAu−Snの2元系状態図に示したように、AuとSnは、Auが80重量%、Snが20重量%の時に共晶組成となり、融点が約278℃と大幅に低下する。この共晶点をAu−Sn共晶点と言い、このAu−Sn共晶点E4を利用することによって、ロウ材の融点を下げることができる。
従って、Snは、融点を下げ耐変色性と機械的強度に対して効果のある元素であるが、このAu−Sn共晶点E4を考慮して最適範囲を決定すれば、0.5重量%未満ではこれらの効果が弱く、8重量%を超えると靭性が低下し、脆さが増してしまうため、0.5〜8重量%とすることができる。
従って、本発明によれば、ステンレス鋼部材を接合するためのロウ材であって、耐食性が良好で、結晶組織が粗大化しない温度での接合が可能で、しかも、十分な接合強度を得ることが可能な白色金合金ロウ材を提供することができる。
また、本発明の白色金合金ロウ材によれば、ステンレス鋼部材からなる白色の宝飾品や時計外装部品、例えば、ケース本体とバンドの連結を行うための先カン部との間のロウ付けに適し、耐食性が良好で、結晶組織が粗大化しない温度での接合が可能で、しかも、十分な接合強度を得ることが可能である。
以下、本発明の実施の形態(実施例)をより詳細に説明する。
[実施例]
(実施例1〜5)
表1に示したように、所望の組成になるようにAu、Ag、Cu、Ni、In、Ga、Snを秤量し、高周波溶解法により金属を溶解し合金を作製した。その後、Ar雰囲気中で厚さ60μmのリボン形状に加工し、本発明のロウ材(実施例1〜実施例5)として使用した。
これらのロウ材について、耐食性試験と接合強度試験の測定を行った結果を表1に示した。
なお、各実施例において、耐食性試験は、JIS Z 2371に規定された塩水噴霧試験を下記のように行った。
すなわち、長さ約25mm×幅約5mm×厚さ約1mmの2枚のステンレス鋼SUS316L板材を重ね合わせ、ロウ材をステンレス鋼SUS316L板材の間に挟み、治具で固定した。その後、水素還元雰囲気中で、表1に示したロウ付け温度で10分加熱を行い急冷したサンプルを使用して行った。
また、各実施例において、接合強度試験は、下記のようにして行った。
すなわち、長さ約25mm×幅約5mm×厚さ約1mmの2枚のステンレス鋼SUS316L板材を重ね合わせ、ロウ材をステンレス鋼SUS316L板材の間に挟み、治具で固定した。その後、水素還元雰囲気中で、表1に示したロウ付け温度で10分加熱を行い、急冷したサンプルをステンレス鋼SUS316L板材の厚さ方向に引っ張り試験を行うことで測定した。
(比較例1〜5)
表1に示したように、所望の組成になるようにAu、Ag、Cu、Ni、In、Ga、Snを秤量し、上記実施例1〜5と同様に、高周波溶解法により金属を溶解し合金を作製した。その後、Ar雰囲気中で厚さ60μmのリボン形状に加工し、比較例1〜3のロウ材として使用した。
これらのロウ材について、上記実施例1〜5と同様に、耐食性試験と接合強度試験の測定を行った結果を表1に示した。
さらに、比較のために、従来から知られたNi82.45重量%、Cr7重量%、B3重量%、Si4.5重量%、Fe3重量%、C0.05重量のNi基ロウ材を使用して接合したサンプルを、比較例4として作製し、同様の試験を行った。
また、従来から知られたAg58重量%、Cu32重量%、Pd10重量%のAg基ロウ材を使用して接合したサンプルを、比較例5として作製し、同様の試験を行った。
この比較例4と比較例5の結果を表2に示した。
これらの表1、表2の結果から明らかなように、本発明の白色金合金ロウ材である実施例1〜実施例5のロウ材では、融点がいずれも、ステンレス鋼の母材において結晶が粗大化する結晶粗大化温度である800℃よりも低く、色調も白色であり、耐食性試験も変色が発生せず、耐食性も高い。
また、接合強度試験(引張試験)においても、十分な引っ張り強度が得られた。また、接合強度も、従来のロウ材(比較例4〜5)と比較しても十分な値を示した。
さらに、母材の結晶粗大化温度以下での接合が可能であるため、ステンレス鋼の結晶組織の粗大化も起こっておらず、接合前の面状態が維持されており、従来のNi基ロウ材(比較例4)に対しても優れた点がある。
また、Ag基ロウ材(比較例5)と比較しても、耐食性の点から極めて優れている。
これに対して、比較例1では、Auが、35重量%で少なく、Agが、35重量%で多く含まれる場合には、融点が、750℃で、結晶粗大化温度である800℃よりも低く、
色調も白色であるが、耐食試験において変色が生じてしまう。
また、比較例2では、Cuが、24.6重量%で多く含まれる場合には、耐食試験において変色は生じないが、融点が、830℃で、結晶粗大化温度である800℃よりも高くなってしまい、色調も赤味がかった白色となってしまう。
さらに、比較例3では、Niが、1重量%と少ない場合には、耐食試験において変色は生じないが、融点が、850℃で、結晶粗大化温度である800℃よりも高くなってしまい、色調も赤味の強い白色となってしまう。
Figure 0004233963
Figure 0004233963
(実施例6)
時計外装部品である時計ケースの先カン部の接合に本発明の1つのロウ材を適用した。
すなわち、図6に示したように、時計ケース本体1と、4個の先カン部2、4、6、8を、本発明のロウ材を使用して接合した。
時計ケース本体1は、SUS316L製、先カン部も何れもSUS316L製であり、それぞれ鍛造により成形し、研削研磨を加えた。
先カン部2〜8は、接合面を除く外面はヘアーライン面加工した。また、時計ケース本体1は、接合面を含めてミラー面仕上げを行った。また、先カン部2〜8には、予めバネ棒装着穴11の穴開け加工を行った。
その後、時計ケース本体1と各先カン部3〜9の接合面に、実施例1と同様に、Au58.4重量%、Ag11重量%、Cu11.6重量%、Ga3重量%、Sn1重量%、Ni5重量%の組成のロウ材を挟み込んで圧接し、治具で固定した。そして、水素還元雰囲気中740℃、20分の加熱を行い、その後急冷した。
その結果、本発明のロウ材は、時計ケース本体1と各先カン部2、4、6、8の間の接合部に完全に浸透し、外観的にも一体化した。また、本実施例では母材の結晶粗大化温度以下の加熱であるために、ステンレス鋼の結晶組織の粗大化も起こっておらず、接合前の面状態を保っており、時計ケース本体1と各先カン部2〜8で異なる面の界面が綺麗に形成できた。さらに、接合部は十分な引っ張り強度を有していた。

なお、本発明のロウ材は、板、箔、線形で作製することが望ましいが、組成によっては脆性を有する場合もあるため、そのときは粉末状にした後、圧粉して成形して使用しても良い。
さらに、ロウ付け時の加熱温度は、600から800℃とするのが好ましく、ぬれ性、ロウ付け性を考慮すれば、できるだけ低い温度の方が良いが、母材であるステンレス鋼の結晶粗大化温度(800℃)を考慮して、結晶組織の粗大化の防止、機械的強度、耐食性の向上などの点からすれば、ロウ付け時の加熱温度は、650から750℃とするのが望ましい。この場合、ロウ付け時間は、5分から1時間、ロウ付け時の炉中雰囲気は水素などの還元雰囲気とするのが好ましい。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、本発明において良好に接合される金属部材として、ステンレス鋼を用いたが、例えば、TiやTi合金に適用することもできるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
図1は、Ag−Cuの2元系状態図である。 図2は、Au−Niの2元系状態図である。 図3は、Au−Inの2元系状態図である。 図4は、Au−Gaの2元系状態図である。 図5は、Au−Snの2元系状態図である。 図6は、本発明のロウ材を使用して接合したステンレス鋼SUS316L製時計ケースの斜視図である。 図7は、従来の時計ケースの斜視図である。 図8は、従来の時計ケースの斜視図である。
符号の説明
1 時計ケース本体
2、4、6、8 先カン部
11 バネ棒装着穴
100 時計ケース
102 ケース本体
104 先カン部
112 バネ棒装着穴

Claims (2)

  1. Auが、58.4〜75重量%、Agが、3〜11重量%、Cuが、3〜11.6重量%、Niが、5〜15重量%、Inが、5〜12重量%、Gaが、2〜4.5重量%、Snが、0.5〜4.6重量%の範囲で含まれ、
    残部がその他の不可避成分からなることを特徴とする白色金合金ロウ材。
  2. 請求項1に記載の白色金合金ロウ材を用いて、時計ケース本体と、時計ケース本体の外周に接合される先カン部とをロウ付けしたことを特徴とする時計ケース。
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