JP4233680B2 - エンジンのオイルポンプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,エンジンのオイルポンプ装置に関し,特に,エンジンのクランクケースに一側部に伝動室と,この伝動室の外側に隣接する補機室とを形成し,前記伝動室の内壁にオイルポンプを取付け,このオイルポンプのポンプ軸に連結される,オイルポンプより大径の被動ギヤと,この被動ギヤを駆動すべくクランクシャフトに固着される駆動ギヤとを前記伝動室に配設し,前記伝動室及び補機室間の隔壁には,前記オイルポンプの着脱作業を補機室側から可能にする取付け孔を設け,この取付け孔を蓋体で閉鎖したものゝ改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝるエンジンのオイルポンプ装置は,例えば実開昭61−63492号公報に開示されているように,既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かゝるオイルポンプ装置においては,取付け孔を開放することにより,狭い伝動室へのオイルポンプ及びその駆動系の配設を補機室側から容易に行うことができる。
【0004】
しかしながら,従来装置では,上記公報に記載されているように,オイルポンプ及び被動ギヤを全て補機室側から取付けるようにしているため,取付け孔を被動ギヤよりも大径に形成することを余儀なくされる。このように取付け孔が大径になると,それによる伝動室及び補機室間の隔壁の強度低下を補うことを配慮しなければならない。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,伝動室及び補機室間の隔壁に設けられる取付け孔を被動ギヤより小径にしても,狭い伝動室へのオイルポンプ及び被動ギヤの配設を可能にする,前記エンジンのオイルポンプ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,エンジンのクランクケースの一側部に伝動室と,この伝動室の外側に隣接する補機室とを形成し,前記伝動室の内壁にオイルポンプを取付け,このオイルポンプのポンプ軸に連結される,オイルポンプより大径の被動ギヤと,この被動ギヤを駆動すべくクランクシャフトに固着される駆動ギヤとを前記伝動室に配設し,前記伝動室及び補機室間の隔壁には,前記オイルポンプの着脱作業を補機室側から可能にする取付け孔を設け,この取付け孔を蓋体で閉鎖した,エンジンのオイルポンプ装置において,前記伝動室を開放して該伝動室への前記被動ギヤを挿入を可能にすべくクランクケースを,クランクシャフトを挟持する一対のケース半体に分割し,前記ポンプ軸を,前記オイルポンプのポンプハウジング及びポンプロータ,並びに前記被動ギヤに対して抜き差し可能に構成する一方,前記取付け孔を前記被動ギヤより小径に形成して,これを閉鎖する蓋体によって前記ポンプ軸の軸方向移動を規制したことを第1の特徴とする。
【0007】
この第1の特徴によれば,先ず,クランクケースを構成する一対のケース半体を結合する前に,伝動室に挿入したオイルポンプの取付け作業を補機室側から取付け孔を通して行った後,同じく伝動室に被動ギヤを挿入してオイルポンプに隣接させ,次いで,補機室側から取付け孔を通してポンプ軸を被動ギヤ,ポンプハウジング及びポンプロータへと順次嵌挿することにより,取付け孔が被動ギヤより小径であっても,幅狭の伝動室へのオイルポンプの取付けと,ポンプ軸への被動ギヤの連結を簡単に行うことができる。したがって,取付け孔の小径化により前記隔壁の強度が確保され,その軽量化を図ることができる。
【0008】
しかも,被動ギヤ,ポンプハウジング及びポンプロータに挿通したポンプ軸の軸方向移動を蓋体によって規制するので,ポンプ軸の抜け止め専用の部材が不要となり,構造の簡素化にも図ることができる。
【0009】
また,本発明は,第1の特徴に加えて,前記蓋体には,前記ポンプ軸を回転自在に支承する軸受け孔を設けたことを第2の特徴とする。
【0010】
この第2の特徴によれば,蓋体の軸受け孔が,ポンプハウジングの軸受け孔と共に,ポンプ軸を被動ギヤの両側で支持するので,その支持を強固にして,オイルポンプの耐久性の向上に寄与することができる。
【0011】
さらに,本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記蓋体の前記取付け孔からの離脱を,前記補機室に固定される補機によって阻止するようにしたことを第3の特徴とする。
【0012】
この第3の特徴によれば,補機室に固定される補機が,蓋体の取付け孔からの離脱防止に利用されるので,蓋体のための専用の保持部材は不要であり,その保持構造の簡素化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて以下に説明する。
【0014】
図1は本発明を適用した自動二輪車の後部側面図,図2は図1の2−2線断面図,図3は図2の3−3線断面図,図4は図3の4−4線断面図,図5は図3の5−5線断面図,図6は図3の6−6線断面図,図7は図3のオイルポンプ周りの拡大図,図8は図7の8−8線断面図,図9はクランクシャフトの分解斜視図,図10は蓋体の斜視図である。
【0015】
先ず,図1において,自動二輪車1はスクータ型のものであって,そのボディフレーム2の後部に,後輪Wrを駆動するパワーユニットPがリンク9を介して上下方向揺動自在に取付けられると共に,このパワーユニットPとボディフレーム2間にリヤクッション3が介装される。
【0016】
図2示すように,パワーユニットPは,水冷四サイクルエンジン4と,このエンジン4の左側面に結合されたベルト式無段変速機5とからなっており,その無段変速機5の後端部一側に,エンジン4の直後に位置する後輪Wrが装着される。
【0017】
図2〜図4において,エンジン4は,クランクケース6,このクランクケース6の前面に連設されて略水平に配置されるシリンダブロック7及びこのシリンダブロック7の上面に接合されるシリンダヘッド8をエンジン本体としており,クランクケース6に収容,支持されるクランクシャフト10は,シリンダブロック7のシリンダボア7a内を昇降するピストン11にコンロッド12を介して連接される。
【0018】
シリンダヘッド8には,クランクシャフト10からタイミング伝動装置13を介して駆動されるカムシャフト14を含む公知の動弁機構74と,これによって開閉される吸気弁72及び排気弁73が設けられる(図4参照)。
【0019】
クランクケース6は,シリンダブロック7に一体に連なる前部ケース半体6aと,この前部ケース半体6aにボルト結合される後部ケース半体6bとから構成され,これらケース半体6a,6b間にクランクシャフト10の左右のクランクジャーナル10j1 ,10j2 がそれぞれボールベアリング151 ,152 を介して挟持される。このクランクシャフト10の,左クランクジャーナル10j1 より外方へ延びるジャーナル外方軸部10eに前記無段変速機5の駆動プーリ16が取付けられ,そのミッションケース17はクランクケース6の左端面にボルト結合される。
【0020】
クランクケース6の,無段変速機5と反対側の右端部には,前記タイミング伝動装置13を配設する伝動室18と,その外側に隣接する円筒状の補機室19とが形成され,これら伝動室18及び補機室19間の隔壁20に,クランクシャフト10の外周面に密接するオイルシール21が装着される。
【0021】
図3及び図5に示すように,補機室19においては,その内壁に突設された複数のボス19aに発電機22(補機)のステータ22sが複数本のボルト23(図5参照)により固着され,そのロータ22rはクランクシャフト10の右端部にボルト24により固着される。
【0022】
また,クランクケース6の右端には,補機室カバー25及びファンカバー26が順次接合され,ファンカバー26の外端に,エンジン冷却用のラジエータ28が取付けられ,このラジエータ28及び発電機22を冷却するための冷却ファン27がファンカバー26内に配設される。この冷却ファン27は,前記ボルト24によってロータ22rと共にクランクシャフト10に固着される。
【0023】
図3及び図4に示すように,クランクケース6の下部はオイル溜め29に形成され,そこに貯留された潤滑油30はオイルフィルタ31を通してオイルポンプ32に吸入され,該ポンプ32によってクランクシャフト10,その他のエンジン各部に圧送される。
【0024】
前部ケース半体6aの下部には,その前面に開口する円筒状のフィルタ室33が形成され,該室33にカップ状の前記オイルフィルタ31と,このオイルフィルタ31の開放端に付設されたシール部材34を該室33の奥壁に押圧する保持ばね35とが収容され,該室33の開口部にはキャップ36が螺着される。
【0025】
フィルタ室33は,オイルフィルタ31によって,オイルフィルタ31の内部に当たる未浄化室と,外側の浄化室との区画され,その未浄化室に,オイル溜め29に連なる入口油路37が接続され,浄化室には,出口油路38を介してオイルポンプ32の吸入ポート32iが連通される。
【0026】
而して,キャップ36を取り外せば,オイルフィルタ31を取り出して,その清掃を行うことができ,またオイル溜め29の潤滑油30をオイルをフィルタ室33を通して外部に排出することができる。したがって,キャップ36はドレーンボルトを兼ねるものである。
【0027】
図7において,オイルポンプ32は,前記伝動室18の,前記隔壁20と反対側の内壁に取付けられる。このオイルポンプ32は,ポンプハウジング40と,その内部に収容されるポンプロータ41と,ポンプハウジング40の開放面に接合されるポンプカバー42とを備えており,ポンプカバー42に前記吸入ポート32i及び吐出ポート32oが設けられている。そして,ポンプハウジング40及びポンプカバー42は,該カバー42を内側にして,前記伝動室18の内壁にボルト43によって固着される。またポンプロータ41の欠円状の連結孔44には,ポンプハウジング40の軸受け孔45を貫通したポンプ軸46が抜き差し可能に嵌合して連結される。
【0028】
ポンプ軸46には,被動ギヤ48のボス48aが嵌合されると共に,ジョイントピン68を介して連結される。即ち,図8に示すように,ジョイントピン68は,ポンプ軸46にそれを横断するように取付けられており,これが被動ギヤ48のボス48aの端面のキー溝69に係合することにより,ポンプ軸46及び被動ギヤ48間が連結される。
【0029】
被動ギヤ48は,前記伝動室18において,クランクシャフト10に固着した駆動ギヤ47により減速駆動されるもので,オイポンプ32より遙かに大径に形成されている。尚,駆動ギヤ47には,前記タイミング伝動装置13の駆動スプロケット49が一体に形成される。
【0030】
前記隔壁20には,オイルポンプ32と対向する部分に,オイルポンプ32と略同径,即ち被動ギヤ48より遙かに小径の円形の取付け孔50が設けられ,補機室19からこの取付け孔50を通してオイルポンプ32の着脱作業,特にボルト43の着脱をなし得るようになっている。
【0031】
上記取付け孔50には蓋体52がシール部材53を介して嵌合される。この蓋体52の内側面には,前記ポンプ軸46の外端部を回転自在に支承すると共に,その軸方向の移動を規制する袋状の軸受け孔51が設けられている。また蓋体52には,図10に明示するように,その外端周縁より半径方向に突出する扇形のフランジ54と,外側面より突出する支柱55とが一体に形成されており,そのフランジ54を補機室19側で前記隔壁20に当接させ,支柱55の先端に弾性キャップ56を介して前記ステータ22sの内側面を押し当てることにより,蓋体52は,取付け孔50の定位置に保持される。
【0032】
オイルポンプ32の吐出ポート32oは,前部ケース半体6aに形成された供給油路58と,左クランクジャーナル10j1 を支承するボールベアリング151 の外側面が臨む油室60と,左クランクジャーナル10j1 の外周面に形成された油溝59と,左クランクジャーナル10j1 に一体に連なるクランクウェブ10wに設けられた油溜まり61と,クランクピン10pの中空部62と,クランクピン10pに設けられた半径方向の噴油孔63とを通して,クランクピン10pの外周面に連通する。上記噴油孔63が開口するクランクピン10pの外周面は前記コンロッド12の大端部12bをニードルベアリング64(図4参照)を介して支承する。
【0033】
上記油路構造を更に詳しく説明する。
【0034】
クランクケース6の,無段変速機5側の外側壁65には,左クランクジャーナル10j1 を支持するボールベアリング151 のアウタレースが嵌着されると共に,ジャーナル外方軸部10eに密接するオイルシール66が装着され,上記外側壁65とオイルシール66によってボールベアリング151 の外側面が臨む環状の前記油室60が画成される。
【0035】
左クランクジャーナル10j1 は,それより外方へ延びるジャーナル外方軸部10eより大径になっており,したがって,これら左クランクジャーナル10j1 及びジャーナル外方軸部10e間には,前記油室60に臨む環状段部67が形成される。この左クランクジャーナル10j1 の外周面には,上記段部67から左クランクジャーナル10j1 の根元に達する前記油溝59が一対設けられ,これら油溝59は,段部67への開口端が入口となる。
【0036】
油溝59は,クランクシャフト10の鍛造時に形成されるもので,その形成を容易にすべく,図6及び図9から明らかように,左クランクランクジャーナル10j1 の回転中心に関してクランクピン10pと位相が略90°ずれた二箇所に,左クランクジャーナル10j1 の軸線と平行に配置される。
【0037】
また,クランクシャフト10において,左クランクジャーナル10j1 と同側のクランクウェブ10wの外側面には円形の凹部70が形成されており,この凹部70に,左クランクジャーナル10j1 を囲繞する環状のサイドプレート71が圧入され,このサイドプレート71とクランクウェブ10w間に環状で偏平な前記油溜まり61が画成され,この油溜まり61の半径方向内側に前記油溝59の出口が開口し,中間部にクランクピン10pの中空部62が開口する。
【0038】
図6に示すように,前部ケース半体6a,シリンダブロック7及びシリンダヘッド8には,前記供給油路58から分岐する第2の供給油路58′が設けられ,この第2の供給油路58を通して前記動弁機構74に給油されるようになっている。
【0039】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0040】
オイルポンプ32及びその駆動系の取付けに当たっては,先ず,後部ケース半体6bを結合する前の前部ケース半体6aにおいて,開放状態の伝動室18にオイルポンプ32を挿入し,補機室19から取付け孔50を通して伝動室18に挿入したボルト43によって,このオイルポンプ32を伝動室18内壁の所定箇所に取付ける。
【0041】
次に,前部ケース半体6aの開放状態の伝動室18には,大径の被動ギヤ48を挿入してオイルポンプ32に隣接させる。そして,ジョイントピン68を備えたポンプ軸46を,補機室19側から取付け孔50を通して,被動ギヤ48のボス48a,ポンプハウジング40の軸受け孔45及びポンプロータ41の連結孔44へと順次嵌挿すると共に,ジョイントピン68を上記ボス48aのキー溝69に係合させる。
【0042】
最後に,隔壁20の取付け孔50に,シール部材53を外周に装着した蓋体52を嵌装して,その軸受け孔51をポンプ軸46の外端部に嵌合させると共に,フランジ54を隔壁20の外側面に当接させる。この状態で蓋体52の支柱55の先端部に弾性キャップ56を被せておく。
【0043】
かくして,隔壁20の取付け孔50が被動ギヤ48より小径であっても,幅狭の伝動室18の内壁へのオイルポンプ32の取付けと,ポンプ軸46への被動ギヤ48の連結を簡単に行うことができる。したがって,被動ギヤ48より小径の取付け孔50によっては,隔壁20の強度低下は殆ど起こらないので,軽量化に有利である。
【0044】
しかも,被動ギヤ48,ポンプハウジング40及びポンプロータ41に挿通したポンプ軸46の軸方向移動を,取付け孔50に嵌合した蓋体52の袋状軸受け孔51によって規制するので,ポンプ軸46の抜け止め専用の,クリップ等の部材が不要となり,構造の簡素化を図ることができる。
【0045】
また,蓋体52の軸受け孔51は,ポンプハウジング40の軸受け孔45と共に,ポンプ軸46を被動ギヤ48の両側で支持するので,その支持を強固にして,オイルポンプ32の耐久性の向上に寄与することができる。
【0046】
その後,エンジン全体を組み立てると,クランクケース6の補機室19内壁に固着される発電機22のステータ22sがその内端面を蓋体52の支柱55の先端部に弾性キャップ56を介して押しつけることになり,これによって蓋体52は,フランジ54を隔壁20外側面に当接させた定位置に保持するので,ボルト等の専用の保持部材は不要であり,その保持構造の簡素化を図ることができる。一方,クランクシャフト10に固着された駆動ギヤ47は被動ギヤ48に噛合して,オイルポンプ32を駆動可能な状態とする。
【0047】
エンジン4の作動中,クランクシャフト10と共に回転する駆動ギヤ47は被動ギヤ48を減速駆動するので,オイルポンプ32のロータ41が適当な速度で駆動される。こうして作動されるオイルポンプ32は,オイル溜め29の潤滑油30をオイルフィルタ31を通して吸入し,そして供給油路58,油室60,油溝59,クランクピン10pの中空部62及び噴油孔63へと圧送するので,油室60では左クランクジャーナル10j1 を支持するボールベアリング151 を潤滑し,クランクピン10pでは,その外周面,ニードルベアリング64及びコンロッド12の大端部12b内周面を潤滑することができる。
【0048】
その際,前記油溝59の入口は,大径の左クランクジャーナル10j1 と小径のジャーナル外方軸部10eとの間の環状段部67に開口しているから,油室60の潤滑油が遠心力に逆らうことなく油溝59をストレートに通過することができて,クランクピン10pへの給油をスムーズに行うことができる。
【0049】
ところで,ボールベアリング151 外側の油室60と,クランクウェブ10w外側の油溜まり61との間を連通すべく,左クランクジャーナル10j1 の外周面に形成された油溝59は,これを容易に加工することができる。特に,油溝59を左クランクジャーナル10j1 の軸線と平行に配置する場合には,これをクランクシャフト10の鍛造時に同時に形成することができるので,特別な溝加工の工程を不要にするので,クランクシャフト10の生産性を高め,コストの低減を図ることができる。
【0050】
また,左クランクジャーナル10j1 外周面の油溝59は,左クランクジャーナル10j1 の回転中心に関してクランクピン10pとは位相が略90°ずれた位置に配置されているから,ピストン11が上死点及び下死点に来たとき,油溝59は,シリンダボア7aの軸線と直交する平面上に位置することになり,したがって,左クランクジャーナル10j1 の油溝59付近にピストン11からの大なる垂直荷重が加わることを回避して,油溝59による左クランジャーナル10j1 の強度低下を防ぐことができる。
【0051】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,取付け孔50からの蓋体52の外れ止めのために,発電機22のステータ22sに代えて,電動モータその他の補機を用いることもできる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,エンジンのクランクケースの一側部に伝動室と,この伝動室の外側に隣接する補機室とを形成し,前記伝動室の内壁にオイルポンプを取付け,このオイルポンプのポンプ軸に連結される,オイルポンプより大径の被動ギヤと,この被動ギヤを駆動すべくクランクシャフトに固着される駆動ギヤとを前記伝動室に配設し,前記伝動室及び補機室間の隔壁には,前記オイルポンプの着脱作業を補機室側から可能にする取付け孔を設け,この取付け孔を蓋体で閉鎖した,エンジンのオイルポンプ装置において,前記伝動室を開放して該伝動室への前記被動ギヤを挿入を可能にすべくクランクケースを,クランクシャフトを挟持する一対のケース半体に分割し,前記ポンプ軸を,前記オイルポンプのポンプハウジング及びポンプロータ,並びに前記被動ギヤに対して抜き差し可能に構成する一方,前記取付け孔を前記被動ギヤより小径に形成して,これを閉鎖する蓋体によって前記ポンプ軸の軸方向移動を規制したので,蓋体に設けられる取付け孔が被動ギヤより小径であっても,幅狭の伝動室へのオイルポンプの取付けと,ポンプ軸への被動ギヤの連結を簡単に行うことができ,したがって,取付け孔の小径化により前記隔壁の強度が確保され,その軽量化を図ることができる。しかも,ポンプ軸の軸方向移動を蓋体によって規制するので,ポンプ軸の抜け止め専用の部材が不要となり,構造の簡素化にも図ることができる。
【0053】
また,本発明の第2の特徴によれば,前記蓋体には,前記ポンプ軸を回転自在に支承する軸受け孔を設けたので,蓋体の軸受け孔が,ポンプハウジングの軸受け孔と共に,ポンプ軸を被動ギヤの両側で支持することになり,その支持を強固にして,オイルポンプの耐久性の向上に寄与することができる。
【0054】
さらに,本発明はの第3の特徴によれば,前記蓋体の前記取付け孔からの離脱を,前記補機室に固定される補機によって阻止するようにしたので,専用の保持部材を設けことなく,蓋体の取付け孔からの離脱を阻止することができ,これによって構造の更なる簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した自動二輪車の後部側面図。
【図2】 図1の2−2線断面図。
【図3】 図2の3−3線断面図。
【図4】 図3の4−4線断面図。
【図5】 図3の5−5線断面図。
【図6】 図3の6−6線断面図。
【図7】 図3のオイルポンプ周りの拡大図。
【図8】 図7の8−8線断面図。
【図9】 クランクシャフトの分解斜視図。
【図10】 蓋体の斜視図。
【符号の説明】
4・・・・・・エンジン
6・・・・・・クランクケース
6a,6b・・一対のケース半体
10・・・・・クランクシャフト
18・・・・・伝動室
19・・・・・補機室
20・・・・・隔壁
22・・・・・補機としての発電機
32・・・・・オイルポンプ
40・・・・・ポンプハウジング
41・・・・・ポンプロータ
45・・・・・ポンプハウジングの軸受け孔
46・・・・・ポンプ軸
47・・・・・駆動ギヤ
48・・・・・被動ギヤ
50・・・・・取付け孔
51・・・・・蓋体の軸受け孔
52・・・・・蓋体
Claims (3)
- エンジン(4)のクランクケース(6)の一側部に伝動室(18)と,この伝動室(18)の外側に隣接する補機室(19)とを形成し,前記伝動室(18)の内壁にオイルポンプ(32)を取付け,このオイルポンプ(32)のポンプ軸(46)に連結される,オイルポンプ(32)より大径の被動ギヤ(48)と,この被動ギヤ(48)を駆動すべくクランクシャフト(10)に固着される駆動ギヤ(47)とを前記伝動室(18)に配設し,前記伝動室(18)及び補機室(19)間の隔壁(20)には,前記オイルポンプ(32)の着脱作業を補機室(19)側から可能にする取付け孔(50)を設け,この取付け孔(50)を蓋体(52)で閉鎖した,エンジンのオイルポンプ装置において,
前記伝動室(18)を開放して該伝動室への前記被動ギヤ(48)を挿入を可能にすべくクランクケース(6)を,クランクシャフト(10)を挟持する一対のケース半体(6a,6b)に分割し,前記ポンプ軸(46)を,前記オイルポンプ(32)のポンプハウジング(40)及びポンプロータ(41),並びに前記被動ギヤ(48)に対して抜き差し可能に構成する一方,前記取付け孔(50)を前記被動ギヤ(48)より小径に形成して,これを閉鎖する蓋体(52)によって前記ポンプ軸(46)の軸方向移動を規制したことを特徴とする,エンジンのオイルポンプ装置。 - 請求項1記載のエンジンのオイルポンプ装置において,
前記蓋体(52)には,前記ポンプ軸(46)を回転自在に支承する軸受け孔(51)を設けたことを特徴とする,エンジンのオイルポンプ装置。 - 請求項1又は2記載のエンジンのオイルポンプ装置において,
前記蓋体(52)の前記取付け孔(50)からの離脱を,前記補機室(19)に固定される補機(22)によって阻止するようにしたことを特徴とする,エンジンのオイルポンプ装置。
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