JP3852735B2 - 内燃機関の潤滑装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本願の発明は、自動二輪車用等内燃機関の潤滑装置に関し、特に潤滑油のリリーフ圧を逃がすリリーフバルブの取付構造を改良した内燃機関の潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動二輪車用内燃機関の潤滑装置において、潤滑油のリリーフ圧を逃がすリリーフバルブの取付構造としては、クランクケース内に配設されたオイルポンプとクランクケースの側壁外面に取り付けられたオイルフィルタとを連通接続する潤滑油供給油路の途中に、クランクケース下部に取り付けられたオイルパン内に臨む開口を形成し、該開口にリリーフバルブを装着するようにしたものがある(特開平8−158850号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このものにおいては、潤滑油供給油路の途中にオイルパン内に臨むようにして形成された開口にリリーフバルブが装着されるので、オイルパンの形状が制約を受けて、排気管等排気系のレイアウトの自由度が損なわれる虞があった。
【0004】
本願の発明は、従来の内燃機関の潤滑装置が有する前記のような問題点を解決して、リリーフ油路の形成とリリーフバルブの配置の自由度とを向上させ、これにより、オイルパンの形状が制約を受けず、排気管等排気系のレイアウトの自由度を向上させることができるリリーフバルブの取付構造を備えた内燃機関の潤滑装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および効果】
本発明は、前記のような課題を解決した内燃機関の潤滑装置に係り、その請求項1に記載された発明は、オイルポンプから吐出された潤滑油がユニットケースに取り付けられたオイルフィルタを介して機関各部に供給されるようにされてなる内燃機関の潤滑装置において、前記ユニットケースの側壁の外側面開放するように、オイル室が形成され、該オイル室が、その外側でオイルフィルタにより塞がれるとともに、該オイルフィルタの入口通路と連通し、前記オイル室に、オイルポンプから吐出された潤滑油を供給する直線状供給油路と、前記オイル室に開口して、リリーフバルブに連通するリリーフ油路とが接続され、前記機関各部への潤滑油供給のためのメインギャラリに連通する直線状油路が前記オイルフィルタの出口通路に接続され、前記直線状供給油路、直線状油路およびリリーフ油路は平行に配置されるとともに、前記直線状油路およびリリーフ油路は、前記直線状供給油路の上方に配置され、前記リリーフ油路に直交してリリーフバルブが配置され、該リリーフバルブは前記ユニットケースの下部に取り付けられたオイルパンの底面に対向して支持されていることを特徴とする内燃機関の潤滑装置である。
【0006】
請求項1に記載された発明は、前記のように構成されているので、オイルポンプから吐出された潤滑油がユニットケースに取り付けられたオイルフィルタを介して機関各部に供給されるようにされてなる内燃機関の潤滑装置において、ユニットケースの外面側からオイル室が穿設され、該オイル室に開口して、リリーフバルブに連通する直線状リリーフ油路が設けられる。この結果、リリーフ油路の形成の自由度とリリーフバルブの配置の自由度とが向上する。そして、これにより、オイルパンの形状が制約を受けず、排気装置(排気管等排気系)のレイアウトの自由度を向上させることができる。また、直線状供給油路と、直線状リリーフ油路と、メインギャラリに連通する直線状油路とが、互いに平行に設けられるので、潤滑油路構造が簡単化されて、それらの油路の形成が容易になる。この結果、リリーフ油路の形成の自由度とリリーフバルブの配置の自由度とが向上する。これにより、オイルパンの形状が制約を受けず、排気装置(排気管等排気系)のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0007】
さらに、請求項1に記載の発明では、メインギャラリに連通する直線状油路と前記リリーフ油路が、前記直線状供給油路の上方に配置され、前記リリーフ油路に直交してリリーフバルブが配置され、該リリーフバルブがユニットケースの下部に取り付けられたオイルパンの底面に対向して支持されるので、リリーフバルブの配置の自由度が向上する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の潤滑装置において、前記オイル室は、円環状に形成され、前記機関のメインギャラリに連通する油路が、前記オイル室で囲まれる領域の中央部を貫通して形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、この結果、リリーフ油路、円環状のオイル室の任意の位置に開口するようにして形成することが可能になり、リリーフ油路の形成とリリーフバルブの配置の自由度とがさらに向上する。これにより、オイルパンの形状がさらに制約を受けず、排気管等排気系のレイアウトの自由度をさらに向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の潤滑装置において、前記リリーフバルブが、前記オイルパン内の前記オイルフィルタ寄りの端部に配置されたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載のように請求項1記載の発明を構成することにより、リリーフバルブは、ユニットケースの下部に取り付けられたオイルパン内のオイルフィルタ寄りの端部に配置される。この結果、リリーフ油路の短縮化が可能になるとともに、オイルポンプの吸込側と十分な距離を確保することが可能になるので、リリーフに伴う泡の分離が効果的になされるようになる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の潤滑装置において、前記オイルパンの底部は、車体の一側に上方に立ち上がる段部を有し、該段部の下方に、前記内燃機関の排気装置が配設されたことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載のように請求項1記載の発明を構成することにより、オイルパンの底部は、車体の一側に上方に立ち上がる段部を有し、該段部の下方に、内燃機関の排気装置が配設される。この結果、排気装置を車体の中央寄りに配置することが可能になるとともに、リリーフバルブを無理なく配置することが可能になる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の潤滑装置において、前記直線状供給油路、メインギャラリに連通する直線状油路およびリリーフ油路は、内燃機関のクランク軸に直交する方向に前記ユニットケースに形成されたボス部に形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載のように請求項1記載の発明を構成することにより、前記すべての油路をボス部に加工することができ、油路の形成が容易になる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の内燃機関の潤滑装置において、前記直線状供給油路、直線状油路およびリリーフ油路は、前記ユニットケースのボス部に逆三角形状配置で形成され、該ボス部には、前記直線状供給油路に隣接して、前記リリーフバルブを挿着する油路開口部が形成されたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図10に図示される本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における潤滑装置が適用された自動二輪車用内燃機関の左側断面図、図2は、同自動二輪車用内燃機関のシリンダブロックを含むユニットケースの平面図、図3は、同ユニットケースのロアユニットケース部分の平面図、図4は、図3のA方向から見た同ロアユニットケース部分の前側面図、図5は、図3のV−V線矢視断面図、図6は、図3のVI−VI線矢視断面図、図7は、図3のVII−VII線矢視断面図、図8は、図3のVIII−VIII線矢視断面図、図9は、図1の自動二輪車用内燃機関が自動二輪車のフレームに取り付けられた状態を示す概略左側面図、図10は、図9のB方向から見たロアユニットケース部分より下方部分の前側面図である。
【0018】
図1において、本実施形態における潤滑装置が適用された自動二輪車用内燃機関1は、火花点火・水冷式の4サイクル直列4気筒内燃機関であって、その出力は、変速機2を介して図示されない後輪に伝達される。
【0019】
内燃機関1と変速機2とは一体化されて、1つのまとまったユニットをなしている。そして、このようにして構成されたパワーユニット0が、後述する車体のメインフレーム47とダウンフレーム(図示されず)とにより囲まれる空間内に配置され、これらに結着されて支持されている(図9参照)。
【0020】
パワーユニット0のユニットケース3は、クランクケースと変速機2のケースとが一体化されて構成されている。また、このユニットケース3は、水平な割面Cにより上下に2分割されて形成されたアッパユニットケース3u とロアユニットケース3l とがボルト連結により一体化されて構成されている。したがって、クランクケースも、割面Cにより、アッパクランクケースとロアランクケースとに2分割されて、これらが一体化されて構成されている。
【0021】
アッパユニットケース3u の図1において左端には、シリンダブロック4が鋳造による一体成形により設けられている。シリンダブロック4のシリンダ孔5の軸線は、車両前方斜め上に指向している。これに対して、ユニットケース3の変速機ケース部分は、車両後方略水平方向に指向して延設されている。
【0022】
内燃機関1の作動により、ピストン6がシリンダ孔5内を往復運動すると、この往復運動は、コンロッド7を介してクランクケースに支承されたクランク軸8の回転運動に変換され、図示されないベルト伝動機構を介して変速機2のメインシャフト9に入力される。クランク軸8は、そのジャーナル部がアッパクランクケースとロアランクケースの各合わせ面に形成された半円弧状凹部に軸受けされて、支持されている。
【0023】
変速機2において、メインシャフト9への入力は、メインシャフト9とカウンタシャフト10とにそれぞれ嵌着された歯車群のうちの所定の歯車同志の噛合を介して所定の減速比に変速されて、カウンタシャフト10に嵌着されたドライブスプロケット11から出力され、このドライブスプロケット11と図示されない後輪の車軸に嵌着されたドリブンスプロケットとの間に懸架されたチェーン(図示されず)を介して後輪に伝達される。12はシフトドラム、13はシフトフォークである。
【0024】
内燃機関1の始動用モータ14は、図1および図2に図示されるように、シリンダブロック4の直ぐ後方のアッパクランクケース(アッパユニットケース3u のクランクケース側部分)の円弧状上面の図2において左半部分に載置されて固定されている。その固定用ボルト15の軸線方向は、クランク軸8のジャーナル方向(軸受部方向)に指向している。
【0025】
詳細には図示されないが、冷却水ポンプ16により圧送される冷却水は、配管17を介してシリンダブロック4に形成された冷却水供給口18からウォータージャケット19に供給される(図1、図2参照)。この冷却水ポンプ16は、後述するオイルポンプ20(図1、図3参照)とともに、メインシャフト9によりチェーン伝動機構21を介して駆動される。冷却水ポンプ16とオイルポンプ20とは、回転軸を共通にし、オイルポンプ20はロアユニットケース3l の内部に、冷却水ポンプ16はロアユニットケース3l の外部に、それぞれ配設されている。
【0026】
図2において、変速機2のケースの湾曲した頂部のうち左方に突出したケース部分22は、ドライブスプロケット11を覆う。このケース部分22には、図2において左方から、ドライブスプロケット11を側面から覆うカバー(図示されず)が固着される。
【0027】
なお、図1において、23はシリンダブロック4の前部および変速機2の後部にそれぞれ設けられたエンジンハンガ用支持孔、24は後述するリヤフォーク49を枢支するための支持孔、25はメインシャフト9に嵌着されて常時回転するギヤの回転速度を検出する速度センサである。
【0028】
次に、内燃機関1の潤滑装置について、図1、図3ないし図10を参照しつつ、詳細に説明する。
図1に図示されるように、ロアユニットケース3l の下部には、オイルパン30が取り付けられている。このオイルパン30の底の最深部には、吸込管31の先端に固着されたストレーナ32が挿入されていて、オイルポンプ20が回転駆動されたときには、このストレーナ32の下部の吸入口33からオイル(潤滑油)が吸い上げられ、オイルポンプ20により昇圧されて、ロアユニットケース3l の前方(図1において左方)側壁外面に取り付けられたオイルフィルタ34に圧送される。
【0029】
ロアユニットケース3l の前方側壁のオイルフィルタ34の取付部には、図1および図4により良く図示されるように、その外面側から円環状のオイル室35が穿設されていて、オイルフィルタ34は、このオイル室35に被さるように立設されて、このオイル室35の開口部を塞ぐ。オイルフィルタ34の入口通路は、このオイル室35と連通状態にある。
【0030】
このオイル室35とオイルポンプ20の吐出口とは、ロアユニットケース3l の底壁にクランク軸8と直交する方向に形成された供給油路36(図1、図3、図7等参照)により連通されている。したがって、オイルポンプ20から吐出された潤滑油は、これらの供給油路36、オイル室35を経て、前記のとおり、オイルフィルタ34に供給される。
【0031】
オイルフィルタ34で清浄化された潤滑油は、オイルフィルタ34の出口通路からオイル室35で囲まれる領域の中央部を貫通して形成された油路37を経て、機関のメインギャラリ38(図1、図3、図8等参照)に連通し、そこからクランク軸8の各ジャーナル軸受部39へと導かれ、さらにそこから上昇して、図1の2点鎖線で示されるように、シリンダヘッド上部の動弁機構室内の各摺動部(図示されず)へと導かれる。また、油路37の先端に到達した潤滑油は、内燃機関1と変速機2とを仕切る環状隔壁に形成された半円弧状油路40を二手に分かれて上昇して、変速機2内の各摺動部(図示されず)へと導かれる。油路37は、供給油路36と平行に形成されている。
【0032】
オイルフィルタ34は、フィルタ本体部34a とオイルクーラ部34b とが一体化されてなる。オイルポンプ20から供給油路36、オイル室35を経てオイルフィルタ34に供給される潤滑油は、先ず、オイルクーラ部34b に流入し、ここにおいて冷却水により冷却されて、次いで、フィルタ本体部34a に流入し、清浄化される。オイルクーラ部34b がここに備えられないものもあり、本明細書において、オイルフィルタ34は、これら両方の構造のものを含むものとする。
【0033】
オイルポンプ20から吐出される潤滑油の圧力が上昇して、所定のリリーフ圧に達すると、このリリーフ圧を逃がすリリーフ手段が設けられている。このリリーフ手段は、オイル室35に開口し、供給油路36とオフセット配置されたリリーフ油路41と、このリリーフ油路41と直交するようにしてロアユニットケース3l の底壁ボス部に形成された油路42と、この油路42の開口部に挿着され、オイルパン30の底部に対向するようにしてその突壁に支持されたリリーフバルブ43とからなる(図1、図5、図6等参照)。油路42は、リリーフ油路41をオイルパン30に連通させる。
【0034】
このリリーフ油路41は、オイル室35の底壁にオイル室35の開口側から機械加工により形成することができ、配置の選択の自由度が大きい。油路42は、ロアユニットケース3l の裏面から、その底壁ボス部にリリーフ油路41に連通するようにして、同じく機械加工により形成することができ、その製作は容易である。リリーフ油路41、供給油路36、メインギャラリ38等に連なる油路37は、互いに平行に設けられている。
【0035】
リリーフ油路41、油路42の配置を適切に選択することにより、リリーフバルブ43は、オイルパン30内のオイルフィルタ34寄りの前方端部に、該オイルパン30の底部に対向するようにして配置することができる。リリーフバルブ43のこのような配置により、リリーフ油路41の短縮が可能になり、オイルポンプ20の吸込側と十分な距離を確保することができ、リリーフに伴う泡の分離が効果的になされるようになる。
【0036】
このように、リリーフバルブ43の配置の選択の自由度が大きいので、オイルパン30の形状が制約を受けることが少ない。例えば、内燃機関1のクランク軸8が車両進行方向と直交する方向に配置されて内燃機関1が自動二輪車に取り付けられる場合、図9および図10に図示されるように、リリーフバルブ43のオイルパン30内の位置を図10において左方(車両進行方向に見て右方)上方に設定することができ、この結果、オイルパン30の底部の図10において右方(車両進行方向に見て左方)下方を陥没させて、ここに車体の一側に上方に立ち上がる段部44を形成することができる。そして、この段部44の下方空間Dに、内燃機関1の排気装置(排気管等の排気系)45を配設することができ、排気装置45のレイアウトの自由度が向上する。なお、ストレーナ32の挿入位置は、吸込管31を適宜屈曲させることにより、容易に調節することができる。
【0037】
図9において、内燃機関1と変速機2とが一体化されてなるパワーユニット0は、シリンダブロック4の前部および変速機2の後部にそれぞれ設けられたエンジンハンガ用支持孔23(図1参照)の位置において、車体のメインフレーム47に結着されて支持されている。変速機2の後部の支持孔24(図1参照)には、リヤフォーク49の前端が枢支されている。リヤフォーク49は、メインフレーム47の後端とリヤフォーク49の中間部にピン結合されたリンク機構51との間に縮設されたリヤクッション50の作用により、この枢支点を中心として揺動可能である。
【0038】
排気装置45は、4つの気筒の各々に接続される排気管が4本束ねられてなり、その後端にはマフラー46が接続されている。48はリヤフレームである。
【0039】
本実施形態は、前記のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
オイルポンプ20から吐出された潤滑油がロアユニットケース3l に取り付けられたオイルフィルタ34を介して機関各部に供給されるようにされてなる内燃機関1の潤滑装置において、ロアユニットケース3l の側壁にオイル室35が形成され、該オイル室35に潤滑油を供給する供給油路36と、該オイル室35に開口して、リリーフバルブ43に連通するリリーフ油路41、油路42とが設けられている。
【0040】
この結果、リリーフ油路41、油路42の形成の自由度とリリーフバルブ43の配置の自由度とが向上する。これにより、オイルパン30の形状が制約を受けず、排気装置45のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0041】
また、供給油路36、リリーフ油路41、油路37は、互いに平行に設けられているので、潤滑油路構造が簡単化されて、それらの形成が容易である。
【0042】
また、オイル室35は円環状に形成され、該オイル室35に被さるようにしてオイルフィルタ34が立設され、該オイル室35は、該オイルフィルタ34の入口通路と連通するようにされ、該オイルフィルタ34の出口通路から機関のメインギャラリ38に連通する油路37が、該オイル室35で囲まれる領域の中央部を貫通して形成されている。
【0043】
この結果、リリーフ油路41は、円環状のオイル室35の任意の位置に開口するようにして形成することが可能になり、リリーフ油路41の形成とリリーフバルブ43の配置の自由度とがさらに向上する。これにより、オイルパン30の形状がさらに制約を受けず、排気装置45のレイアウトの自由度をさらに向上させることができる。
【0044】
さらに、リリーフバルブ43は、ロアユニットケース3l の下部に取り付けられたオイルパン30内のオイルフィルタ34寄りの端部に、該オイルパン30の底部に対向するようにして配置されているので、リリーフ油路41の短縮化が可能になるとともに、オイルポンプ20の吸込側と十分な距離を確保することが可能になり、リリーフに伴う泡の分離が効果的に行なわれる。
【0045】
また、クランク軸8が車両進行方向と直交する方向に配置され、オイルポンプ20から吐出された潤滑油がロアユニットケース3l の前部に取り付けられたオイルフィルタ34を介して機関各部に供給されるようにされてなる自動二輪車用内燃機関1の潤滑装置において、ロアユニットケース3l の前方側壁にオイル室35が形成され、該オイル室35に潤滑油を供給する供給油路36と、該オイル室35に開口して、リリーフバルブ43に連通するリリーフ油路41、油路42とが設けられている。
【0046】
この結果、リリーフ油路41、油路42の形成の自由度とリリーフバルブ43の配置の自由度とが向上する。これにより、スペース面での制約が厳しい自動二輪車用内燃機関1において、オイルパン30の形状が制約を受けず、排気装置(排気管等排気系)45のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0047】
また、オイルパン30の底部は、車体の一側に上方に立ち上がる段部44を有し、該段部44の下方に内燃機関1の排気装置45が配設されているので、排気装置45を車体の中央寄りに配置することが可能になる。しかも、リリーフバルブ43も無理なく配置することができる。
【0048】
本実施形態において、内燃機関1と変速機2とは一体化されて、1つのまとまったユニットをなすものとされたが、これに限定されず、内燃機関1と変速機2とが別体とされる場合の該内燃機関1に、本実施形態における潤滑装置を好適に使用することが可能である。この場合には、オイルフィルタ34が取り付けられるユニットケース3は、クランクケースそのものとなる。また、オイル室35が形成されるユニットケース3の側壁は、クランクケースそのものの側壁となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態における潤滑装置が適用された自動二輪車用内燃機関の左側断面図である。
【図2】同自動二輪車用内燃機関のシリンダブロックを含むユニットケースの平面図である。
【図3】同ユニットケースのロアユニットケース部分の平面図である。
【図4】図3のA方向から見た同ロアユニットケース部分の前側面図である。
【図5】図3のV−V線矢視断面図である。
【図6】図3のVI−VI線矢視断面図である。
【図7】図3のVII−VII線矢視断面図である。
【図8】図3のVIII−VIII線矢視断面図である。
【図9】図1の自動二輪車用内燃機関が自動二輪車のフレームに取り付けられた状態を示す概略左側面図である。
【図10】図9のB方向から見たロアユニットケース部分より下方部分の前側面図である。
【符号の説明】
0…パワーユニット、1…自動二輪車用内燃機関、2…変速機、3…ユニットケース、3u …アッパユニットケース、3l …ロアユニットケース、4…シリンダブロック、5…シリンダ孔、6…ピストン、7…コンロッド、8…クランク軸、9…メインシャフト、10…カウンタシャフト、11…ドライブスプロケット、12…シフトドラム、13…シフトフォーク、14…始動用モータ、15…固定用ボルト、16…冷却水ポンプ、17…配管、18…冷却水供給口、19…ウォータージャケット、20…オイルポンプ、21…チェーン伝動機構、22…ケース部分、23…エンジンハンガ用支持孔、24…リヤフォーク支持孔、25…速度センサ、30…オイルパン、31…吸込管、32…ストレーナ、33…吸入口、34…オイルフィルタ、34a …フィルタ本体部、34b …オイルクーラ部、35…オイル室、36…供給油路、37…油路、38…メインギャラリ、39…ジャーナル軸受部、40…半円弧状油路、41…リリーフ油路、42…油路、43…リリーフバルブ、44…段部、45…排気装置(排気管等の排気系)、46…マフラー、47…メインフレーム、48…リヤフレーム、49…リヤフォーク、50…リヤクッション、51…リンク機構、C…割面、D…空間。

Claims (6)

  1. オイルポンプから吐出された潤滑油がユニットケースに取り付けられたオイルフィルタを介して機関各部に供給されるようにされてなる内燃機関の潤滑装置において、
    前記ユニットケースの側壁の外面側からオイル室が穿設され、
    該オイル室が、その外側でオイルフィルタにより塞がれるとともに、該オイルフィルタの入口通路と連通し、
    前記オイル室に、オイルポンプから吐出された潤滑油を供給する直線状供給油路と、前記オイル室に開口して、リリーフバルブに連通する直線状リリーフ油路とが接続され、
    前記機関各部への潤滑油供給のためのメインギャラリに連通する直線状油路が前記オイル室を貫通して前記オイルフィルタの出口通路に接続され、
    前記直線状供給油路、メインギャラリに連通する直線状油路およびリリーフ油路は平行に配置されるとともに、前記直線状油路およびリリーフ油路は、前記直線状供給油路の上方に配置され、
    前記リリーフ油路に直交して前記リリーフバルブが配置され、該リリーフバルブは前記ユニットケースの下部に取り付けられたオイルパンの底面に対向して支持されている
    ことを特徴とする内燃機関の潤滑装置。
  2. 前記オイル室は、円環状に形成され、
    前記機関のメインギャラリに連通する油路が、前記オイル室で囲まれる領域の中央部を貫通して形成されたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の潤滑装置。
  3. 前記リリーフバルブは、前記オイルパン内の前記オイルフィルタ寄りの端部に配置されたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の潤滑装置。
  4. 前記オイルパンの底部は、車体の一側に上方に立ち上がる段部を有し、該段部の下方に、前記内燃機関の排気装置が配設されたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の潤滑装置。
  5. 前記直線状供給油路、メインギャラリに連通する直線状油路およびリリーフ油路は、内燃機関のクランク軸に直交する方向に前記ユニットケースに形成されたボス部に形成されたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の潤滑装置。
  6. 前記直線状供給油路、直線状油路およびリリーフ油路は、前記ユニットケースのボス部に逆三角形状配置で形成され、該ボス部には、前記直線状供給油路に隣接して、前記リリーフバルブを挿着する油路開口部が形成されたことを特徴とする請求項5記載の内燃機関の潤滑装置。
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