JP7057384B2 - 電動機冷却構造 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機冷却構造に係り、特に、電動機にエンジンオイルを噴き付けることで冷却する電動機冷却構造に関する。
従来から、エンジンのクランク軸と同期回転する電動機を冷却するため、電動機に対してエンジンオイルを噴き付ける電動機冷却構造が知られている。
特許文献1には、エンジンのクランクケースの車幅方向外側に取り付けられるアウタロータ式の電動機としての発電機において、発電機の車幅方向外側を覆うカバー部材に、エンジンオイルを圧送する油路および複数の噴射孔を形成し、車幅方向外側から発電機に向かってエンジンオイルを噴き付けるようにした発電機冷却構造が開示されている。
特開2018-57112号公報
しかし、特許文献1のものは、3つの噴射孔によって発電機の一部にオイルを噴き付ける構成であり、さらに冷却効果を高めたり油路を簡素化することに関しては、依然として工夫の余地があった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、簡単な油路構造で加工コストを抑えながら電動機を効率よく冷却できる電動機冷却構造を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、パワーユニット(P)に設けられた電動機(M)にオイル(O)を噴射して前記電動機(M)を冷却する電動機冷却構造において、前記オイル(O)を通す油路(48)が、前記電動機(M)を外側から覆うカバー部材(40)と該カバー部材(40)に嵌合する蓋部材(50)との間に形成されており、前記カバー部材(40)に、前記油路(48)と連通する貫通孔としての複数の噴射孔(60)が形成されており、前記複数の噴射孔(60)が、前記電動機(M)の軸方向と同方向に指向している点に第1の特徴がある。
また、前記油路(48)が、前記電動機(M)の軸方向視で、円環状をなして形成されている点に第2の特徴がある。
また、前記カバー部材(40)に、前記電動機(M)の回転軸(53)にオイル(O)を供給する第2油路(45a)が形成されている点に第3の特徴がある。
また、前記噴射孔(60)の吐出側の前記カバー部材(40)の壁部に、前記噴射孔(60)と同心の拡径凹部(62)が形成されている点に第4の特徴がある。
また、前記噴射孔(60)の吸入側の前記カバー部材(40)の壁部に、前記噴射孔(60)と同心の第2拡径凹部(63)が形成されている点に第5の特徴がある。
また、前記油路(48)の断面積が、前記複数の噴射孔(60)の断面積の合計値よりも大きい点に第6の特徴がある。
さらに、パワーユニット(P)に設けられた電動機(M)にオイル(O)を噴射して前記電動機(M)を冷却する電動機冷却構造において、前記オイル(O)を通す油路(151)が、前記電動機(M)を外側から覆うカバー部材(150)と該カバー部材(150)に嵌合する蓋部材(100)との間に形成されており、前記カバー部材(150)に、前記油路(151)と連通する貫通孔としての複数の噴射孔(160)が形成されており、前記複数の噴射孔(160)が、前記電動機(M)の軸方向と同方向に指向しており、前記カバー部材(150)に、前記電動機(M)の回転軸(190)の一端側にオイル(O)を供給する第2油路(156)が形成されており、前記蓋部材(100)に、前記回転軸(190)の一端部に向かって延びる円筒部(102)が形成されており、前記円筒部(102)の側壁に、前記第2油路(156)と連通するための開口(104)が形成されており、前記円筒部(102)と前記回転軸(190)の一端部との間にオイルシール(172)が配設されており、前記蓋部材(100)を前記カバー部材(150)に取り付けることで、前記円筒部(102)の内側の空間が、前記回転軸(190)にオイル(O)を供給するためのオイル溜め部として機能する点に第7の特徴がある。
第1の特徴によれば、本発明は、パワーユニット(P)に設けられた電動機(M)にオイル(O)を噴射して前記電動機(M)を冷却する電動機冷却構造において、前記オイル(O)を通す油路(48)が、前記電動機(M)を外側から覆うカバー部材(40)と該カバー部材(40)に嵌合する蓋部材(50)との間に形成されており、前記カバー部材(40)に、前記油路(48)と連通する貫通孔としての複数の噴射孔(60)が形成されており、前記複数の噴射孔(60)が、前記電動機(M)の軸方向と同方向に指向しているので、カバー部材と蓋部材との間に油路を設けることで、簡単な構造で油路を形成することが可能となる。また、噴射孔が電動機の軸方向と同方向に指向していることで、例えば、噴射孔が電動機の軸方向に対して傾斜している場合に比して、ドリルによって噴射孔を形成する作業が容易となる。詳しくは、カバー部材に対してドリルによって複数の噴射孔を形成する際に、カバー部材を固定したまま孔開け位置を変えるのみで加工を行うことができ、作業効率および加工精度を高めることが可能となる。
第2の特徴によれば、前記油路(48)が、前記電動機(M)の軸方向視で、円環状をなして形成されているので、円環状をなして等間隔で並ぶ電動機のステータコイルに対応する噴射孔を容易に設けることができる。
第3の特徴によれば、前記カバー部材(40)に、前記電動機(M)の回転軸(53)にオイル(O)を供給する第2油路(45a)が形成されているので、電動機を冷却するための油路と、電動機の回転軸を潤滑するための第2油路とを別個独立して形成することで、それぞれの油路に安定した圧力でオイルを供給することが可能となる。
第4の特徴によれば、前記噴射孔(60)の吐出側の前記カバー部材(40)の壁部に、前記噴射孔(60)と同心の拡径凹部(62)が形成されているので、拡径凹部を大径ドリルで形成してから、拡径凹部の底部に小径ドリルで貫通孔を形成することで、小径ドリルを貫通させる厚みが少なくて済み、小径ドリルの負担を低減することができる。
第5の特徴によれば、前記噴射孔(60)の吸入側の前記カバー部材(40)の壁部に、前記噴射孔(60)と同心の第2拡径凹部(63)が形成されているので、凹部にオイルを溜めることができ、貫通孔へのオイル供給をより安定させることが可能となる。
第6の特徴によれば、前記油路(48)の断面積が、前記複数の噴射孔(60)の断面積の合計値よりも大きいので、油路の圧力を維持してオイルの噴射力を高めることができる。これにより、電動機の冷却効果を高めることが可能となる。
第7の特徴によれば、パワーユニット(P)に設けられた電動機(M)にオイルを噴射して前記電動機(M)を冷却する電動機冷却構造において、前記オイルを通す油路(151)が、前記電動機(M)を外側から覆うカバー部材(150)と該カバー部材(150)に嵌合する蓋部材(100)との間に形成されており、前記カバー部材(150)に、前記油路(151)と連通する貫通孔としての複数の噴射孔(160)が形成されており、前記複数の噴射孔(160)が、前記電動機(M)の軸方向と同方向に指向しており、前記カバー部材(150)に、前記電動機(M)の回転軸(190)の一端側にオイル(O)を供給する第2油路(156)が形成されており、前記蓋部材(100)に、前記回転軸(190)の一端部に向かって延びる円筒部(102)が形成されており、前記円筒部(102)の側壁に、前記第2油路(156)と連通するための開口(104)が形成されており、前記円筒部(102)と前記回転軸(190)の一端部との間にオイルシール(172)が配設されており、前記蓋部材(100)を前記カバー部材(150)に取り付けることで、前記円筒部(102)の内側の空間が、前記回転軸(190)にオイル(O)を供給するためのオイル溜め部として機能するので、蓋部材に円筒部を設けることで、カバー部材に対して蓋部材を精度よく固定することが可能となる。また、カバー部材に蓋部材を取り付けることでオイルシールに加圧することができ、部品点数を増やすことなくオイル溜め部を設けることが可能となる。さらに、電動機を冷却するための油路と、回転軸を潤滑するためのオイル溜め部とを軸方向で重なるように配設できるので、カバー部材の軸方向寸法を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る電動機冷却構造を適用した自動二輪車の左側面図である。 カバー部材の正面図である。 カバー部材を車体前方側から見た斜視図である。 蓋部材を取り外した状態のカバー部材の拡大正面図である。 カバー部材の背面図である。 図2のVI-VI線断面図である。 噴射孔の拡大図である。 噴射孔の断面図である。 噴射孔の変形例を示す断面図である。 噴射孔の第2変形例を示す断面図である。 第2実施形態に係る電動機冷却構造が適用されたカバー部材の斜視図である。 第2実施形態に係るカバー部材の断面図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電動機冷却構造を適用した自動二輪車1の左側面図である。鞍乗型車両としての自動二輪車1の車体フレーム4は、ヘッドパイプ9から後方下方に延出する左右一対のメインフレーム5を有する。ヘッドパイプ9に揺動自在に軸支される前輪WFの操舵系は、車軸17によって前輪WFを軸支する左右一対のフロントフォーク15と、ヘッドパイプ9の上下でフロントフォーク15をクランプするトップブリッジ8およびボトムブリッジ11と、トップブリッジ8およびボトムブリッジ11を互いに連結してヘッドパイプ9に軸支されるステアリングステム(不図示)とからなる。フロントフォーク15の上部には操向ハンドル6が固定されている。
メインフレーム5の後端部には、スイングアーム23を揺動可能に軸支するピボット19を支持する左右一対のピボットフレーム20が接続されている。メインフレーム5の下方かつピボットフレーム20の前方には、V型4気筒のエンジンEと変速機とを一体に構成したパワーユニットPが固定されている。エンジンEの燃焼ガスは、排気管を介して車幅方向右側のマフラに導かれる。エンジンEの駆動力は、出力軸に固定されるドライブスプロケット18に巻きかけられた無端状のドライブチェーン26を介して、車軸24によってスイングアーム23の後端に回転自在に軸支された後輪WRに伝達される。
ヘッドパイプ9の前方には、防風スクリーン7を備えるフロントカウル10が配設されている。車体前方を覆うフロントカウル10の後部には、車体側方を覆う左右一対のサイドカウル28が連結されている。サイドカウル28の下端部には、パワーユニットPの下部を覆うアンダカウル21が連結されている。
前輪WFの上部を覆うフロントフェンダ14は、フロントフォーク15に固定されている。メインフレーム5の上部には、燃料タンク31およびエアクリーナボックス3の上部を覆うタンクカバー2が取り付けられている。タンクカバー2に取り付けられるシート30の後方にはリヤカウル29が配設されており、後輪WRの上部を覆うリヤフェンダ27は、スイングアーム23の上部に固定されている。
スイングアーム23は、ピボット19の後方に配設されるリヤクッション32によって車体フレーム4に吊り下げられている。メインフレーム5の車幅方向外側には、エアクリーナボックス3の下部に外気を導く導風管13が左右一対で配設されている。導風管13は、フロントフォーク15の車幅方向外側を通ってヘッドパイプ9の前方で集合し、フロントカウル10の車幅方向中央に設けられた吸気開口12に接続される。エンジンEの前方にはラジエータ22が配設されており、車幅方向に長尺なラジエータ22の下方には縦方向に長尺なオイルクーラ39が配設されている。
V型4気筒のエンジンEの車幅方向左側には、クランクシャフトCの回転動力で駆動する電動機としての発電機Mが収納されている。発電機Mの回転軸心COは、車幅方向に指向するクランクシャフトCの回転軸中心と一致する。発電機Mの車幅方向外側は、クランクケースに取り付けられるカバー部材40によって覆われている。
図2は、カバー部材40の正面図である。また、図3はカバー部材40を車体前方側から見た斜視図である。アウタロータ型の発電機Mの車幅方向左側を覆うカバー部材40は、エンジンEのクランクケースに対して複数のフランジ部43を貫通するボルト等の締結部材によって固定される。カバー部材40の本体部41は、アルミやマグネシウム等の金属による一体成形部品とされる。発電機Mを覆う略円形の本体部41の上方寄りの位置には、発電機Mに接続されるハーネス(不図示)を通すハーネス取り出し口44が形成され、本体部41の下方には延出部42が連なっている。
本体部41の略中央には、発電機Mの回転軸と同期回転するクランクシャフトCと同軸をなす円形の蓋部材50が設けられている。蓋部材50は、ボルト等の締結部材51によってカバー部材40に固定されている。カバー部材40の前方下方寄りの位置には、クランクケース内のオイルポンプで圧送されたオイルをカバー部材40の中心方向に導く第1油路91および第2油路45aとが形成されている。
第1油路91は、発電機Mにオイルを噴射して冷却するための油路に連通しており、第2油路45aは、クランクシャフトCの軸回りにオイルを供給して潤滑するために設けられる。油路91,45aは、それぞれ、車幅方向外側に向かって直線的に延びる孔と、径方向内側に向かって直線的に延びる孔との組み合わせによって構成される。第1油路91および第2油路45aの外側には、油路の周囲の肉厚を確保するための隆起部90,45が形成されており、第1油路91および第2油路45の端部には、それぞれ塞栓45,92(図3参照)が取り付けられている。
このように、カバー部材40に、発電機Mを冷却するための第1油路9と、クランクシャフトCにオイルを供給する第2油路45aとが別個独立して形成されていることで、それぞれの油路に安定した圧力でオイルを供給することが可能となる。
図3を参照して、蓋部材50は、カバー部材40に形成された円形台座47に対して、貫通孔52を通る3本の締結部材51を用いて固定されている。円形台座47には、締結部材51が螺合される3つの雌ねじ孔46が形成されている。円形台座47の外側には円環状の溝が形成されており、蓋部材50を取り付けることによって、円環状の油路48が形成される。このように、カバー部材40と蓋部材50との間に油路48を設けることで、簡単な構造で油路48を形成することが可能となる。油路48に対しては、第1油路91を介してオイルが供給される。
図4は、蓋部材50を取り外した状態のカバー部材40の拡大正面図である。蓋部材50を取り付けることで油路48を構成する円環状の溝の底部には、計18個の噴射孔60が同心円上に等間隔で形成されている。円環状の溝の下方寄りの位置には、第1油路91の出口である開口91aが設けられている。そして、第1油路91から圧送されるオイルが、円環状の油路48を満たすと、それぞれの噴射孔60から車幅方向内側に向けてオイルが噴射されることとなる。
図5は、カバー部材40の背面図である。また、図6は図2のVI-VI線断面図である。カバー部材40の前方下方の縁部には、クランクケース側から第1油路91にオイルを供給する第1開口93と、第2油路45aにオイルを供給する第2開口45cとが設けられている。アウタロータ型の発電機Mは、回転軸53に取り付けられたロータRと、カバー部材40の裏面側に取り付けられたステータSとからなる。噴射孔60は、周方向に等間隔に並んでステータSを構成する計18個のステータコイルのそれぞれに対応する位置に設けられている。本実施形態では、油路48が、発電機Mの軸方向視で円環状をなして形成されているため、円環状をなして等間隔で並ぶ噴射孔60を容易に設けることができる。
図6を参照して、円形台座47の裏面側には、回転軸53を支持する有底の軸孔49が形成されており、軸孔49の車幅方向外側の端部には、第2油路45aから供給されたオイルが溜まるオイル溜め部49aが設けられている。第2油路45aから供給されたオイルは、オイル溜め部49aを満たして回転軸53の内部に形成された油路に供給されることでクランクシャフトSの複数の軸受等を潤滑し、余分なオイルは出口孔45bから排出されてクランクケースに戻される。なお、回転軸53は、クランクシャフトSと一体または別体に構成することができる。
図7は、噴射孔60の拡大図である。また、図8は噴射孔60の断面図である。噴射孔60は、カバー部材40の裏面側に設けられた、平らな頂部62を有する凸部64の中央に設けられている。詳しくは、凸部64の中央に大径ドリルによって拡径凹部63を形成してから、この拡径凹部63の中央に小径ドリルで穿孔することで噴射孔60が形成される。
本実施形態では、噴射孔60が、発電機Mの軸方向と同方向に指向している。これにより、例えば、噴射孔が発電機Mの軸方向に対して傾斜している場合に比して、ドリルによって噴射孔60を形成する作業が容易となる。詳しくは、カバー部材40に対してNC機械や手作業等で噴射孔60を形成する際に、カバー部材40を固定したままドリルの角度を変えずに孔開け位置を変えるのみで加工を行うことができるので、作業効率および加工精度を高めることが可能となる。
また、噴射孔60の吐出側のカバー部材40の壁部に噴射孔60と同心の拡径凹部62を形成することで、拡径凹部62を大径ドリルで形成してから、拡径凹部62の底部に小径ドリルで噴射孔60を形成することとなる。これにより、小径ドリルを貫通させる厚みが少なくて済み、小径ドリルの負担を低減できる。
蓋部材50には、外周部に嵌合してカバー部材40の内周面48aに接触する大径オイルシール50aと、大径オイルシール50aより中心寄りの位置で円形台座37に接触する小径オイルシール50bとが係合している。これにより、円形台座37に蓋部材50を取り付けることで、オイルシール50a,50bが機能して密閉された油路48が形成されることとなる。
また、本実施形態では、油路48の断面積が、複数の噴射孔60の断面積の合計値よりも大きくなるように構成されている。これにより、油路48の圧力を維持してオイルOの噴射力を高め、冷却効果を高めることが可能となる。
図9は、噴射孔60の変形例を示す断面図である。この変形例では、噴射孔60の吸入側のカバー部材40の壁部に、噴射孔60と同心の第2拡径凹部63が形成されている点に特徴がある。この第2拡径凹部63によれば、噴射孔60へのオイル供給をより安定させることが可能となる。
図10は、噴射孔60の第2変形例を示す断面図である。この変形例では、噴射孔60の噴射側のカバー部材40の壁部に、噴射孔60と同心をなす筒状部65が形成されている点に特徴がある。この筒状部65によれば、噴射孔60からのオイル噴射をより安定させることが可能となる。
図11は、本発明の第2実施形態に係る電動機冷却構造が適用されたカバー部材150の斜視図である。また、図12はカバー部材150の断面図である。カバー部材150は、前記したカバー部材40と同様、発電機Mの外側を覆ってクランクケースに取り付けられる。カバー部材150の上方寄りの位置には、発電機Mに連なるハーネス(不図示)を通すハーネス取り出し口152が形成される。
本実施形態では、カバー部材150の中央に貫通孔155が形成されると共に、この貫通孔155に、蓋部材100の裏面側に設けられた円筒部102が挿入される構成を有する。蓋部材50の円筒部102の周囲には、締結部材を通すための貫通孔101が設けられている。カバー部材150の中央に形成される貫通孔155の周囲には、蓋部材100を取り付けるための3つの雌ねじ孔153を有する円形台座154が形成されている。そして、円形台座154の周囲には、蓋部材100を取り付けることで油路151を構成する溝が形成されており、この溝の底部に計18個の噴射孔160が形成されている。
発電機MにオイルO(図12参照)を噴射するための油路151を構成する溝の下方寄りの側面には、油路151にオイルを供給する第1開口158が設けられている。また、貫通孔155の内周部には、隆起部157の内部に形成された第2油路157aに連通して回転軸190の軸端部にオイルOを供給するための第2開口156が設けられている。
一方、蓋部材100には、油路151の外側でカバー部材150の内周面に接触する大径オイルシール170(図11参照)が係合する係合溝と、大径オイルシールより中心寄りの位置で円形台座37に接触する小径オイルシール171が係合する係合溝103とが形成されている。そして、蓋部材100の円筒部102には、蓋部材100をカバー部材150に取り付けた際に、第2開口156と連通する第3開口104が形成されている。
図12を参照して、貫通孔155には、円筒部102の端部に接触するオイルシール172が設けられており、カバー部材150に蓋部材100を取り付けると、カバー部材150と蓋部材100との間に、発電機MにオイルOを噴射するための供給するための油路151が形成されると共に、円筒部102の内側の空間が、回転軸190を潤滑するオイルOを供給するためのオイル溜め部102aとして機能することとなる。
この構成によれば、蓋部材100に円筒部102を設けることで、カバー部材150に対して蓋部材100を精度よく固定することが可能となる。また、カバー部材150に蓋部材100を取り付けることでオイルシール172を加圧することができ、部品点数を増やすことなくオイル溜め部を設けることが可能となる。さらに、発電機Mを冷却するための油路151と、回転軸190を潤滑するためのオイル溜め部とを軸方向で重なるように配設できるので、カバー部材150の軸方向寸法を低減することができる。
回転軸190は、クランクシャフトSと一体または別体に構成することができる。また、本実施形態においても、貫通孔155の内周面に、オイル溜め部のオイルOをクランクケースに戻すための出口孔を設けることができる。この場合、円筒部102には、出口孔に連通する開口が設けられる。
上記したように本発明に係る電動機冷却構造によれば、オイルを通す油路が、発電機を外側から覆うカバー部材と該カバー部材に嵌合する蓋部材との間に形成されており、カバー部材に、油路と連通する貫通孔としての複数の噴射孔が形成されており、複数の噴射孔が、電動機の軸方向と同方向に指向しているので、カバー部材と蓋部材との間に油路を設けることで、簡単な構造で油路を形成することが可能となる。また、噴射孔が電動機の軸方向と同方向に指向していることで、噴射孔が電動機の軸方向に対して傾斜している場合に比して、ドリルによって噴射孔を形成する作業が容易となる。
なお、自動二輪車の形態、発電機やカバー部材の形状や構造、ステータのステータコイルの数、油路や蓋部材の形状、噴射孔の数や寸法等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、ステータを冷却するための油路は、軸方向視で円環状に限られず、一部が連通しないC字型等であってもよい。本発明に係る電動機冷却構造は、自動二輪車に限られず、電動車両を含めた種々の車両に搭載されるパワーユニットに適用することが可能である。
1…自動二輪車、40…カバー部材、45a…第2油路、48…油路、50…蓋部材、53…回転軸、60…噴射孔、62…拡径凹部、63…第2拡径凹部、P…パワーユニット、M…発電機、(電動機)、100…蓋部材、102…円筒部、104…第3開口(開口)、150…カバー部材、151…油路、160…噴射孔、190…回転軸、156…第2油路、172…オイルシール

Claims (8)

  1. パワーユニット(P)に設けられた電動機(M)にオイル(O)を噴射して前記電動機(M)を冷却する電動機冷却構造において、
    前記オイル(O)を通す油路(48,151)が、前記電動機(M)を外側から覆うカバー部材(40,150)と該カバー部材(40,150)に嵌合する蓋部材(50,100)との間に形成されており、
    前記カバー部材(40,150)に、前記油路(48,151)と連通する貫通孔としての複数の噴射孔(60)が形成されており、
    前記複数の噴射孔(60)が、前記カバー部材(40,150)の裏面側に取り付けられたステータ(S)を構成するすべてのステータコイルのそれぞれに対応する位置に、前記電動機(M)の軸方向と同方向に指向して設けられており、
    前記カバー部材(40,150)に、前記油路(48,151)と、前記発電機(M)の回転軸(53)端のオイル溜め部(49a,102a)にオイル(O)を供給する第2油路(45a,157a)とが別個独立して形成されていることを特徴とする電動機冷却構造。
  2. 前記油路(48,151)が、前記電動機(M)の軸方向視で、円環状をなして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機冷却構造。
  3. 前記噴射孔(60)の吐出側の前記カバー部材(40)の壁部に、前記噴射孔(60)と同心の拡径凹部(62)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電動機冷却構造。
  4. 前記噴射孔(60)の吸入側の前記カバー部材(40)の壁部に、前記噴射孔(60)と同心の第2拡径凹部(63)が形成されていることを特徴とする請求項に記載の電動機冷却構造。
  5. 前記油路(48)の断面積が、前記複数の噴射孔(60)の断面積の合計値よりも大きいことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の電動機冷却構造。
  6. 前記蓋部材(100)を前記カバー部材(150)に取り付けることで、前記油路(151)と前記オイル溜め部(102a)とが独立して形成されることを特徴とする請求項1に記載の電動機冷却構造。
  7. パワーユニット(P)に設けられた電動機(M)にオイル(O)を噴射して前記電動機(M)を冷却する電動機冷却構造において、
    前記オイル(O)を通す油路(151)が、前記電動機(M)を外側から覆うカバー部材(150)と該カバー部材(150)に嵌合する蓋部材(100)との間に形成されており、
    前記カバー部材(150)に、前記油路(151)と連通する貫通孔としての複数の噴射孔(160)が形成されており、
    前記複数の噴射孔(160)が、前記電動機(M)の軸方向と同方向に指向しており、
    前記カバー部材(150)に、前記電動機(M)の回転軸(190)の一端側にオイル(O)を供給する第2油路(156)が形成されており、
    前記蓋部材(100)に、前記回転軸(190)の一端部に向かって延びる円筒部(102)が形成されており、
    前記円筒部(102)の側壁に、前記第2油路(156)と連通するための開口(104)が形成されており、
    前記円筒部(102)と前記回転軸(190)の一端部との間にオイルシール(172)が配設されており、
    前記蓋部材(100)を前記カバー部材(150)に取り付けることで、前記円筒部(102)の内側の空間が、前記回転軸(190)にオイル(O)を供給するためのオイル溜め部として機能することを特徴とする電動機冷却構造。
  8. パワーユニット(P)に設けられた電動機(M)にオイル(O)を噴射して前記電動機(M)を冷却する電動機冷却構造において、
    前記オイル(O)を通す油路(48)が、前記電動機(M)を外側から覆うカバー部材(40)と該カバー部材(40)に嵌合する蓋部材(50)との間に形成されており、
    前記カバー部材(40)に、前記油路(48)と連通する貫通孔としての複数の噴射孔(60)が形成されており、
    前記複数の噴射孔(60)が、前記電動機(M)の軸方向と同方向に指向しており、
    前記カバー部材(40)に、前記電動機(M)の回転軸(53)にオイル(O)を供給する第2油路(45a)が形成されていることを特徴とする電動機冷却構造。
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