JP4232741B2 - ベルト式動く歩道の乗降口装置 - Google Patents

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Description

本発明はベルト式動く歩道、特にフラットベルトを用いた動く歩道における乗降口装置の改良に関するものである。
従来のゴムベルト式動く歩道では、通常は移動速度が毎分30mないし40mと遅かった。また、循環ベルト上に乗降口の櫛歯(コム)と噛み合う溝が設けられており、ベルトの厚みが一般的に厚く、かつその転回半径も大きいため、動く歩道装置全体の厚みも非常に大きかった。
そこで最近、図2(a)〜(c)に示すような加速式動く歩道或いは定速式動く歩道が提案されている(例えば、特再平9−809266号公報参照)。図2(a)に示された動く歩道は、異なる速度で運転しうる循環ベルト1,2,3,4,5を直列に配置したものであり、これらのベルトの速度は、通常は、端部1で最小であり、順次加速され、中央部5で最大となるよう設定される。図2(b)及び(c)の動く歩道も同様であり、中央部の循環ベルトを両端部のベルトより高速で運転しうるものである。但し、これら各ベルトは動く歩道の全体にわたって同じ速度で運転することも可能である。なお、これらのベルトの両側部には従来通り手すり等が備えられている。
これらの動く歩道においては、少なくとも乗降口に配置されたプレート6と相対向する循環ベルト1については厚みの薄い溝無しフラット構造の循環ベルトを利用し、循環ベルト1端部の案内ローラには小径ローラを使用して転回半径を小さくすることにより、動く歩道全体の厚みを薄くして、床面に直接設置できるようにしている。
このようなベルト式動く歩道にあっては、ベルト端部の乗降口装置において乗客の靴や衣服、荷物等の挟み込みを防止することが、乗客の安全上極めて重要であり、例えば出願人は図3に示す装置を特開2001−341965号公報において開示している。
図3は図2におけるA−A線矢視図であり、本図に示すように、この装置は、循環ベルト1の端部とプレート6との間に安全片8が上下方向に移動自在に設けられ、循環ベルト1と安全片8あるいはプレート6とのすき間に物体が挟まった時には、その物体により安全片8が下方に押し下げられ、これによりスイッチ(図示しない)が作動して循環ベルト1を停止させるものである。
しかし、このような乗降口装置では、上記のように、循環ベルト1と安全片8とのすき間に物体が挟まった時に、スイッチが作動して動く歩道を停止させるものの、循環ベルト1と安全片8あるいはプレート6との間に物体が引き込まれたまま留まるという不具合があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、より安全な動く歩道の乗降口装置を提供することを目的とするものである。
本発明のベルト式動く歩道の乗降口装置は、循環ベルトにより乗客が搬送される動く歩道の乗降口装置であって、循環ベルトの端部と相対向する位置にコムを備えるとともに、循環ベルトの端部とコムとの間の間隙をほぼ塞ぐように、コムの下方にローラを回動自在に設けたものである。循環ベルトに対向するコムの端部には複数の切欠きを設け、これらの切欠きから上記ローラの一部が上方に突出するようにすることが好ましい。
上記ローラとしては、複数の溝を周方向に設けた溝付き回転体が好適に用いられ、このようなローラは、円柱体又は筒状体の外周面に溝を形成したり、複数個の環状体を共通の軸に固着することにより得られる。
上記ローラは循環ベルトの循環方向と同じ向きに回転させることが好ましい。このローラの回転により乗客の靴等をコム上へ押し上げることができる。ローラを回転させるには、独立した駆動装置を用いてもよく、あるいは循環ベルトと連動させてもよい。ローラの回転速度は循環ベルトの移動速度よりも速い速度であることが好ましい。また、ローラの外周面にはローレット加工を施したり、ゴム層を形成したりすることにより、摩擦係数を大きくして、異物をより押し上げられ易くすることができる。そして、万一ローラと循環ベルトとの間に異物が挟まれた場合には、駆動装置のブレーキを解除してローラが回動自在となるようにするか、又は循環ベルト及び上記ローラが異物を排出する方向に回転するように駆動させることが好ましい。
コムの切欠きは、例えば、所定の幅とピッチで配列したものとすることができる。また、コムの先端を前記循環ベルトに接する直前まで接近させることにより、さらなる安全性の向上を図ることもできる。
循環ベルトとコムの位置関係としては、コムの先端を、循環ベルトの走行面よりも低位レベルに配置することが好ましい。また、車類の走行をより容易にするために、循環ベルトの走行面と、コムの上端と、ローラの上端とをほぼ同一水平線上に配置してもよい。
図1は、本発明に係る乗降口装置を示す斜視図である。
図2は、従来の動く歩道の例を示す平面図である。
図3は、従来の動く歩道の乗降口装置を示す、図2(a)のA−A線矢視図である。
図4は、本発明の乗降口装置を示す側面図である。
図5は、ローラの例を示す平面図(A)及び別の例を示す断面図(B)である。
図6は、さらにセンサを備えた、本発明の乗降口装置を示す側面図である。
図7は、本発明の乗降口装置の要部を示す平面図である。
図8は、本発明の別の実施形態を示す平面図である。
図9は、本発明のさらに別の実施形態を示す側面図である。
図10は、さらに別の実施形態を示す側面図及び平面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は本発明に係る乗降口装置を示す斜視図であり、図4はこの装置の内部構造の要部を示す側面図であり、図5は本発明で使用しうるローラの例を示す平面図(A)及び別の例を示す断面図(B)であり、図6はさらにセンサを含む図4の要部拡大図であり、図7は、本発明の乗降口装置の要部を示す平面図である。なお、図中、図2又は図3と同一符号のものは同一の部分又は部材を示す。
これらの図に示すように、本実施例のベルト式動く歩道の乗降口装置は、循環ベルト1の端部とこれに相対向するコム10の先端部との間隙をほぼ塞ぐようにして、乗客の円滑な移動を助ける働きを有するローラ11をコム10の下方に回動自在に備えたものである。
コム10はコムプレート20に着脱可能に装着され、循環ベルト1と相対向する位置に配置されている。コム10の、循環ベルト1に対向する端部には、図7に示すように複数の切欠き10aが所定の幅とピッチで設けられている。コム10の切欠き10aの幅dやピッチpについては、例えば、ハイヒールを履いた乗客であっても、かかとが切欠き10aにはまり込んだり落ち込んだりしないような寸法に設定している。一例を挙げれば、幅dが5mm程度、ピッチpが8mm程度である。このコム10の先端部10bは、図6に示すように循環ベルト1の走行面よりも低位レベルに配置されている。
ローラ11は、図5(A)に示すように、複数の溝を周方向に設けた溝付き回転体であって、筒状部材の外周面に複数の溝11aを形成してなり、溝11aの幅及びピッチは、溝間の突部(クリート部分)11bがコム10の切欠き10aと噛み合うように決定されている。ローラの外周面11cには、ローレット加工が施されている。ローラ11は、図6に示すようにコム10の先端部10b付近において、クリート部分11bの一部が切欠き10aから上方に突出するように配置されている。
上記構成の装置において、循環ベルト1は、図4に示すように、ベルト駆動プーリ30を介して駆動装置(ギアードモータ)31によって駆動され、ローラ11は、別の駆動装置(ギアードモータ)32によって駆動されて、それぞれ図1及び図4に矢印で示した方向に循環・回転する。ローラ11は、好ましくは循環ベルト1の走行速度以上の周速度で回転させる。ローラ11が循環ベルト1の走行速度以上の周速度で回転すると、循環ベルト1が凹部に物体を引き込もうとする作用よりも、ローラ11により押し出そうとする作用の方がより大きくなるからである。
上記のような構成であれば、循環ベルト1上に乗った乗客の履物が循環ベルト1の端部転回部の凹部に挟まりにくくなるとともに、たとえ乗客が足を循環ベルト1の上からコム10側に移動させる動作を怠るようなことがあっても、乗客の履物がローラ11の回転により上方へすくい上げられ、さらには前方へ送り出されて、乗客の履物が循環ベルト1の端部転回部の凹部に巻き込まれるような危険が確実に回避される。特に、図6に示されたように、ローラ11の一部をコム10の切欠き10aから一部突出させることにより、循環ベルト1からコム10への乗り移りはよりスムーズになり、安全性がさらに向上する。
なお、案内ローラ7及びローラ11の大きさについては、これら2つのローラからなる凹部における、乗客の履物やその他の物体の乗り移り易さの観点から、小径のほうが望ましく、本実施例では約30mm以下に設定している。
上記のように、本発明の乗降口装置によれば、乗客の履物等が循環ベルト1の端部転回部の凹部に巻き込まれるような事故は極めてまれとなるが、万一そのような事故が起きた場合のために、ローラ11はブレーキが解除されて回動自在となるようにするか、あるいは挟まれた物を排出する方向に回転しうるように構成することがより好ましい。
より具体的には、例えば、図6に示すように循環ベルト1とコム10との間に光電センサ40を設け、異物の挟み込みが検出されたときに、動く歩道を停止させ、循環ベルト1及びローラ11の駆動装置31,32の電磁ブレーキ(図示しない)を解除させ、挟まれた異物を人力で引き出せるようにする。なお、光電センサ40の光線は循環ベルト1から投げ出される物体の軌跡よりも下方を通っており、通常は働かないように設定されている。異物を引き出した後は、操作盤のブザーキースイッチ(図示しない)を操作してブザーを鳴動させ、電磁ブレーキをセットする。次いで、操作盤のアップ/ダウンキースイッチを運転方向へ回し、電磁ブレーキを解除させた後、動く歩道を起動させる。
あるいは、異物の挟み込みが検出されたときに、動く歩道を停止させ、操作盤付近に設けたキースイッチ(図示せず)を操作し、循環ベルト1及びローラ11の駆動装置31,32の電磁ブレーキを解除させ、異物を除去する方向に循環ベルト1及びローラ11を駆動させ、挟まれた異物を排出させる。その後、操作盤のブザーキースイッチを操作してブザーを鳴動させ、電磁ブレーキをセットする。さらに操作盤のアップ/ダウンキースイッチを運転方向へ回し、電磁ブレーキ解除後、動く歩道を起動させる。
なお、以上の実施形態では、円柱状部材又は円筒状部材に溝を形成することにより得られる、溝11aとクリート部分11bが一体に形成されたローラを用いた場合について述べたが、ローラ11は軸11dに環状部材をコム10の切欠き10aの数だけ固着させることにより溝11aとクリート部分11bを設けた構成とすることもできる。
また、ローラの外周面11cには上記のようにローレット加工を施すのではなく、図5(B)に示すローラ11’のようにゴム層11eを形成してもよい。ゴム層の形成方法は特に限定されず、モールドを用いてローラの周面上でゴムを加硫させてもよく、あるいは予め適当な大きさ及び厚さに形成されたゴムを接着剤で接着させてもよい。
また、ローラ11の駆動方法についても、上記のように循環ベルトの駆動装置とは別の駆動装置により回転させるのではなく、図8に示すように、循環ベルト1と連動させることもできる。符号12は軸11dの一端に設けられた、例えばプーリのような回転体を示し、循環ベルト1の案内ローラ7の軸7aに設けられた回転体13との間にベルトのような伝動体14が巻き掛けられている。したがって、循環ベルト1が矢印の方向に循環すれば、回転体13は時計回りに回転し、伝動体14、回転体12及び軸11dを介して、ローラ11は循環ベルト1上の乗客がコム10及びコムプレート20上に円滑に移動できる方向に回転する。そして、この回転体12と回転体13のそれぞれの径は、ローラ11の周速度が循環ベルト1の循環速度以上になるように選ぶことがより望ましい。本構成の場合は、万一異物が挟み込まれた場合に循環ベルト1とローラ11とを共に異物の排出方向に回転させたりすることはできないが、駆動装置の数を減らし、より低コストで本発明の乗降口装置が得られるという利点がある。
本発明の別の実施形態として、車椅子を使用する乗客やベビーカーなどの車類を引く乗客に特に適した構成として、図9に示す構成の動く歩道も考えられる。
図9は図6に相当する側面図であり、図中、図1乃至図8と同一符号のものは同一のものを示す。この例では特に循環ベルト1の走行面と、ローラ11とコム60とコムプレート70の各上端とを同一水平線上に配置している。
このように構成すれば、車類の乗客が乗り降りする際にも、ほとんど何の抵抗も感じないため、動く歩道の利用がより快適となる。また、一般乗客に対しても当然ながら何ら支障を生じることはない。なお、本実施形態の場合も、ローラ11の構成については、前述の実施形態の場合と同様のものとすることができる。
また、安全性をより向上させるために、図10(A)(B)に示すように、コムの形状を変更して、コム61の先端部を循環ベルト1により接近させ、循環ベルト1との間に隙間がほとんど生じないようにしてもよい。このことは先に述べた第一の実施形態においても同様である。
以上説明したように、本発明によれば、コムプレートの下に設けられたローラが乗客の靴等の物体の挟み込みを防止するように働くため、利用者はより安全に動く歩道を使用することができる。
本発明の動く歩道の乗降口装置は、ベルトタイプの種々の加速式動く歩道或いは定速式動く歩道に適用可能であり、歩行者はもちろん、車椅子やベビーカーなどの車類を使用する乗客にもより安全かつ快適な乗降を行うことを可能にするものである。

Claims (13)

  1. 駆動装置により循環する循環ベルトによって乗客を搬送するベルト式動く歩道の乗降口装置であって、
    前記循環ベルトの端部と相対向する位置にコムを備え、該コムの循環ベルトに対向する端部に複数の切欠きを設けるとともに、
    前記循環ベルトの端部と前記コムとの間隙をほぼ塞ぐように、前記コムの下方にローラを回動自在に設け、
    前記コムの切欠きから前記ローラの一部が上方に突出するようになし
    前記ローラと循環ベルトとの間に異物が挟まれた場合に、駆動装置のブレーキが解除されてローラが回動自在となされるか、又は異物を排出する方向に回転し得るようになされたことを特徴とする、ベルト式動く歩道の乗降口装置。
  2. 前記ローラが円柱体又は筒状体の外周面に複数の溝を周方向に設けてなるものであることを特徴とする、請求項1に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  3. 前記ローラが複数個の環状体を共通の軸に固着したものであることを特徴とする、請求項1に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  4. 前記ローラが前記循環ベルトの循環方向と同じ向きに回転するようになされたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  5. 前記ローラが循環ベルトの駆動装置とは別の駆動装置により駆動されることを特徴とする、請求項4に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  6. 前記ローラが前記循環ベルトにより駆動されることを特徴とする、請求項4に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  7. 前記ローラが前記循環ベルトの循環速度よりも速い速度で回転することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  8. 前記ローラの外周面にローレット加工を施すか、又はゴム層を形成することにより、外周面の摩擦係数を大きくしたことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  9. 前記コムの先端部を、前記循環ベルトの走行面よりも低位レベルに配置したことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  10. 前記循環ベルトの走行面と、コムの上端と、ローラの上端とをほぼ同一水平線上に配置したことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  11. 前記コムの切欠きを所定の幅とピッチで配列したことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  12. 前記コムの先端部を前記循環ベルトに接する直前まで接近させたことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
  13. 前記循環ベルトがフラットベルトであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のベルト式動く歩道の乗降口装置。
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