JP4232340B2 - インクジェック用記録液及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用金属キレートアゾ色素、該色素を用いた記録液、インクジェット用記録液及びインクジェット記録方法に関するものである。特に、インクジェット記録における黒色系色素として好適に用いられるインクジェット記録用金属キレートアゾ色素、インクジェット記録液及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
直接染料や酸性染料の水溶性色素を含む記録液の液滴を微小な吐出オリフィスから飛翔させて記録を行う、所謂インクジェット記録方法が実用化されている。これに使用される記録液に関しては、長時間安定した吐出が可能であることの他、電子写真用紙等のPPC(プレインペーパー コピア)用紙、ファンホールド紙(コンピューター等の連続用紙等の一般事務用に汎用される記録紙)に対する定着が速く、しかも印字物の印字品位が良好であること、即ち印字に滲みがなく輪郭がはっきりしていることが要求されると共に、記録液としての保存時の安定性も優れていることが必要であるので、記録液に使用できる溶剤は著しく制限される。
一方、記録液用の色素に関しては、上記のような限られた溶剤に対して充分な溶解性を有すると共に、記録液として長時間保存した場合にも安定であり、また印字された画像の濃度が高く、しかも耐水性、耐光性に優れていること等が要求されるが、これ等の多くの要求を同時に満足させることは困難であった。
【0003】
更に、昨今のインクジェット記録には、従前のインクジェット記録に比して大幅に改善された、フォトライクな画像やグラフィック画像等(以下写真画像と略記する)を印刷することへの適性も求められている。これらの印刷に用いられる黒色記録液には、より改善された印刷画像の無彩色さが要求される。しかも、100%の濃さで印字される文字印字とは異なり、写真画像には、80%網掛け印刷、70%網掛け印刷といったいわゆるハーフトーン印刷が多用される。このような印刷部分では、印刷物の色は黒でなく灰色になってくるので、100%ベタ印字部すなわち黒色印刷部では目立たなかった微妙な色素の色相が目立ってくる。
【0004】
ハーフトーン領域の無彩色さを数値化するためには、市販のグラフィックソフトウェアやワードプロセシングソフトウェアの、たとえば「網掛け」機能を用い、印刷濃度を0〜100%の間の任意の値、例えば80%に設定して、黒色インクを用いて網掛け印刷を行い、得られた印刷物の彩度(C*値)を、市販の測色計で測色すればよい。C*は画像の色鮮やかさを示す指標であり、黒色画像の場合は、C*値がゼロに近ければ近いほど、より色目を持たない純粋な黒色あるいは灰色であることを示すので好ましい。インクジェット記録画像として満足するためには、例えば通常、濃い灰色に見える、印刷濃度80%の網掛け画像のC*値にして8以下、好ましくは7.5以下、更に好ましくは7以下、特に好ましくは4以下の値が望まれる。
【0005】
しかし従来、緑味や赤味、あるいは青味といった微妙な色相を伴わない純粋な黒色、すなわち無彩色な黒色画像を、濃色部から淡色部に至る広い印字濃度領域にかけて、単一の色素で得るのは極めて困難であった。すなわち一般にインクジェット記録に用いられているとされる色素を単独で用い、上記の、印刷濃度80%の網掛け印刷を行い、彩度を測定すると、C*値にして10〜15、甚だしい場合は20近くの値が得られてしまい、本来は色調を持たせたくない灰色画像が、青っぽかったり、褐色を帯びて見えたり、赤っぽく見えたりしてしまう。
そこで一般的には、複数の色素を併用し、色調の偏りを是正した黒色インクジェット記録液が用いられる。しかしこの場合、異分子同士で色素凝集を過度に妨げあうことや、キャタリティックフェードなどにより、耐光性が低下してしまいがちであり、好ましくない。
【0006】
一方、IJ記録の、特に写真画像印刷時などに、高精細高鮮明な画像を具現化すべく、専用コート紙や専用光沢紙等(以下専用紙と略記する)が利用されている。しかし、一般にフォト光沢紙やインクジェット専用紙等と呼ばれる、それら記録媒体上では、高精細高鮮明な画像を形成すべく添加されている酸化珪素や酸化アルミニウム、あるいはポリアミンに代表される耐水化剤等の作用により、色素の光による分解が促進されがちであり、結果としてインクジェットによる写真画像印刷物を室内外に掲示した際、容易に画像が変退色してしまうことが問題になっている。
【0007】
画像の耐光堅牢性は、例えばキセノンアーク光を照射した、光劣化加速試験前後の画像変退色度合いを、色差計で変退色値(△E値)等に数値化される。インクジェット印刷により専用紙に形成した写真画像に十分な耐光性を与えるには、例えばキセノンアーク光80時間照射前後の△E値にして、10前後あるいはそれ以下の数値を与える黒色画像が求められる。しかし従前の色素では、100%ベタ印字部分の耐光性にしても上記の目的値を得るのは困難であり、更に写真画像で多用される、80%網掛け印刷、70%網掛け印刷といったいわゆるハーフトーン領域では、画像の光退色はさらに顕著であり、上記△E値にして20〜50といった極めて大きな退色度合いを与えることが多かった。
【0008】
黒色画像の無彩色さと耐光堅牢度を同時に改善すべく、従来より種々の色素や記録方法が提案されているが、上記のように複雑化かつ高度化する、市場の要求を充分に満足するとともに製造の容易な色素の開発には至っていない。
一般的に、黒色系記録液には、ジスアゾ、トリスアゾ、若しくはそれ以上の数のアゾ基を含むポリアゾ色素が用いられる。これは前述の、より純粋な黒色すなわち無彩色な黒色画像を形成せしめるためである。しかし、その形の色素では昨今の厳しい耐光堅牢度への要望、とりわけ専用紙上での耐光性を改良せよとの要望に答えるのは困難であった。
【0009】
加えて、上記の無彩色性に関しても、従来のジスアゾ、トリスアゾ等のポリアゾ色素では十分なものは得られにくく、補色を用いたり複数の黒色系色素を併用するなどして、色相をより無彩色に調整することが、しばしば実施されてきた。この結果、上記の如く不十分な耐光性が、益々低下してしまいがちであった。
一方、十分な耐光性のある画像を具現化すべく、耐光堅牢度に優れるとされる、既存の、あるいは新規の金属キレート色素を適用することも検討されてきた。例えば特開平2−75672号には、金属キレート色素をインクジェット記録に用いることが記載されており、例えば下記構造の金属キレート色素が記載されているが、耐光堅牢度は改善されるものの、その色調は青味等の色調を帯びがちであり、無彩色性の面から、昨今の要望に十分答えるものではなかった。
【0010】
【化2】
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、記録用あるいは筆記用具用等として、例えば専用紙にインクジェット記録した場合でも充分な耐光性を有する記録が可能であり、且つ、その彩度は十分低く好ましい黒い色調を与える色素並びに記録液、更にはこれによる記録方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、検討を重ねた結果、上記の目的を満足する性能を有する特定構造の色素を見出し本発明を達成したものである。特に、専用紙上に、たとえハーフトーン印刷の形で低濃度印刷されようとも、十分に好ましい無彩色性と耐光性を両立させるとの、先に述べたインクジェット記録に対する市場の要求に対し、発明者らは、特定の形のポリアゾ化合物を配位子として、金属に配位させた形の、特定の化合物を用いることにより、無彩色(理想の黒に近い)であり、高い耐光堅牢度を有する色素を得ることができること、更にこの色素を用いることにより、十分に要望に答え得る記録液が得られることを確認し、本発明に至った。
更に、この色素は調色のため補色用色素を配合した場合でも、耐光性を高く保つことのできる優れた記録液が得られることを見出した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の要旨は、遊離酸の形が下記一般式(1)又は(1′)で表されるインクジェット記録用金属キレートアゾ色素、これを用いた記録液、インクジェット用記録液及びインクジェット記録方法に存する。
【0014】
【化3】
【0015】
(ここで、一般式(1)は分子内に少なくとも1個以上の親水性基を有する化合物であり、Mは任意の金属を表し、A、B及びCは、各々独立に芳香環を表し、さらに任意の置換基を有していても良い。Dは芳香環を表し、さらにアゾ基以外の任意の置換基を有していても良い。mは0〜1、nは0〜3、pは0〜2、qは1〜3の整数を表す。Bが複数存在する場合、各々のBは同一であっても、互いに異なっていても良い。
R1及びR2は各々独立に水素原子又は任意の置換基を表す。Mが3座以上の配位を取ることもでき、その場合、Mは一般式(1)中の任意の置換基もしくは結合部分から、又は任意の配位子により、任意の配位子対金属で配位していてもよい。更にAとB、Bが複数存在する場合におけるアゾ基をはさんで隣り合うB同志、又はBとCに、−O−M−O−の形で金属イオンが更に配位していても良い。)
【0016】
【化4】
【0017】
(ここで、一般式(1′)は分子内に少なくとも1個以上の親水性基を有する化合物であり、Mは任意の金属を表し、A、B及びCは、各々独立に芳香環を表し、更に任意の置換基を有していても良い。Dは芳香環を表し、更にアゾ基以外の任意の置換基を有していても良い。mは0〜1、nは0〜3、pは0〜2、qは1〜3の整数を表す。Bが複数存在する場合、各々のBは同一であっても互いに異なっていてもよい。
R1及びR2は、各々独立に水素原子又は任意の置換基を表し、Mが3座以上の配位をとることもでき、その場合、Mは一般式(1)中の任意の置換基もしくは結合部分から、又は任意の配位子により、任意の配位子対金属で配位していても良い。)
【0018】
更に、本発明の要旨は、水性媒体と、i)遊離酸の形が下記一般式(8)又は(8′)で表される少なくとも一種の黒色系金属キレートアゾ色素、及びii)少なくとも1種以上のその他の水溶性色素を含有する記録液並びにインクジェット記録方法に存する。
【0019】
【化5】
【0020】
(ここで、一般式(8)は、分子内に少なくとも1個以上の親水性基を有する化合物であり、M1は任意の金属を表し、A1、B1及びC1は、各々独立に芳香環を表し、更に任意の置換基を有していても良い。D1は芳香環を表し、更にアゾ基以外の任意の置換基を有していてもよい。m1は0〜1、n1は0〜3、p1は0〜2、q1は0〜3の整数を表す。B1が複数存在する場合、各々のB1は同一であっても、互いに異なっていてもよい。
R13及びR14は、各々独立に水素原子又は任意の置換基を表す。M1が3座以上の配位をとることもでき、その場合、M1は一般式(8)中の任意の置換基もしくは結合部分から、又は任意の配位子により、任意の配位子対金属で配位していてもよい。更にA1とB1、B1が複数存在する場合におけるアゾ基をはさんで隣り合うB1同志、又はB1とC1に、−O−M1−O−の形で金属イオンが更に配位していてもよい。)
【0021】
【化6】
【0022】
(ここで、一般式(8′)は分子内に少なくとも1個以上の親水性基を有する化合物であり、M1は任意の金属を表し、A1、B1及びC1は、各々独立に芳香環を表し、更に任意の置換基を有していても良い。D1は芳香環を表し、更にアゾ基以外の任意の置換基を有していてもよい。m1は0〜1、n1は0〜3、p1は0〜2、q1は0〜3の整数を表す。B1が複数存在する場合、各々のB1は同一であっても、互いに異なっていてもよい。
R13及びR14は、各々独立に水素原子又は任意の置換基を表し、M1が3座以上の配位をとることもでき、その場合、M1は一般式(8)中の任意の置換基もしくは結合部分から、又は任意の配位子により、任意の配位子対金属で配位していてもよい。)
【0023】
なお、本願明細書においては、上記の遊離酸の形が一般式(1)又は(8)で表される金属キレートアゾ色素のうち、A1とB1、B1が複数存在する場合におけるアゾ基をはさんで隣り合うB1同志、又はB1とC1に、−O−M1−O−の形で金属イオンが更に配位していてもよい態様を含まないものを、それぞれ一般式(1′)又は(8′)で表される金属キレートアゾ色素として定義するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の色素は前記一般式(1)で表される。一般式(1)で表される色素は、トリスアゾ又はそれよりもアゾ基の数が多いポリアゾ化合物であって、アゾ基で連なる一連の芳香環鎖の末端にフェノール、ナフトール、若しくは類似の水酸基含有芳香環を導入せしめた形の分子と、任意の金属との錯化合物である。そして、本発明の金属キレートアゾ色素は、トリスアゾ以上の金属キレート色素であって、かつ右末端の芳香環上に置換されたアミノ基を有することが特徴である。本発明の色素は分子量が5000以下、中でも2000以下であることが好ましい。
【0025】
一般式(1)で表される色素は水溶性色素であり、水溶性を付与するために分子中に少なくとも1個以上の親水性基を有する。かかる親水性基としてはインクジェット用記録液として通常用いられる水溶性の親水性基であれば特に限定されないが、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基などが挙げられ、中でもスルホン酸基、カルボン酸基等が好ましい。また、一般式(1)中における親水性基の数が分子全体として2〜6個である場合が、インクジェット用記録液の性能として好ましい。
【0026】
本発明の一般式(1)で表される色素において、A、B、C及びDは、各々独立に、任意の芳香族環を表し、これらのうちの少なくとも1個はヘテロ環を有していても良い。色素の性能を最適なものにするため、A、B、C及びDとして記載されている芳香族環は、色素の用途に応じて、適切に選択された任意の置換基で置換され得る。A、B、C及びDは、好ましくは置換されていてもよいベンゼン環または置換されていてもよいナフタレン環である。中でも、B及びDは各々、置換されていてもよいナフタレン環であることが好ましい。
【0027】
A、B及びCはそれぞれ色素の用途に応じて有する適切な置換基は特に限定されない。Dの置換基については、アゾ基以外のものであれば特に限定されない。具体的には、Aの有する置換基については、ハロゲン原子、ホスホノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、置換されていても良いアルコキシ基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアシルアミノ基、置換されていても良いスルホニルアミノ基、置換されていても良いフェニルアゾ基、及び置換されていても良いナフチルアゾ基からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の置換基であるのが好ましい。
【0028】
Bの有する置換基については、ハロゲン原子、ホスホノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、置換されていても良いアルコキシ基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアシルアミノ基、及び置換されていても良いスルホニルアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の置換基であるのが好ましい。
Cの有する置換基については、ハロゲン原子、ホスホノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、置換されていても良いアルコキシ基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアシルアミノ基、及び置換されていても良いスルホニルアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の置換基であるのが好ましい。
【0029】
中でも、A、B及びCのうち少なくとも1個の環に置換基を有する場合、その置換基としてはハロゲン原子、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアシルアミノ基及び置換されていても良いスルホニルアミノ基から選ばれる置換基であることが望ましい。
【0030】
Dは、一般式(1)にて規定された置換基の他に、さらに置換されていても良いが、環D上にアゾ基が直接結合していることはない。その場合の置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、置換されていても良いアルコキシ基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアシルアミノ基、置換されていても良いスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基)及びアミノカルボニル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の置換基を有していることが好ましい。
【0031】
A〜Dに置換基を有する場合において、この置換基に更に置換基を有する場合は、通常炭素数1以上10以下、好ましくは炭素数1以上5以下の置換基が好ましい。
【0032】
本発明の一般式(1)で示される色素は、それ自体周知の方法〔例えば、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日 技報堂発行)第396〜409頁参照〕に従って、ジアゾ化、カップリング工程を経て合成される。
例えば、Aの部分構造を有する芳香族アミンをジアゾ化し、Bの部分構造を有する芳香族アミンに縮合し、得られた化合物を更にジアゾ化し、Cの部分構造を有する芳香族アミンに縮合し、更に得られた化合物をジアゾ化し、Dの部分構造を有する芳香族化合物に縮合することにより、すなわち逐次的にジアゾ化と縮合を繰り返す事によって得られた化合物に、所望の金属塩を作用させて得ることができる。
【0033】
Aを部分構造として含有する芳香族アミンとしては、4−ニトロアニリン、2,6ジクロロ−4ニトロアニリン、2−シアノ−4−ニトロアニリン、4−クロロアニリン、スルファニル酸、2−アミノベンゼン−1,4−ジスルホン酸、C酸、ダール酸、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、3−アミノフェニルリン酸、2−アミノテレフタル酸、3−アミノイソフタル酸、2,5−ジアミノ安息香酸、5−アミノ−2−ニトロ安息香酸等の芳香族アミン類や、2−アミノ−3−アミノカルボニル−5−ホルミルチオフェン、2−アミノ−6−カルボキシベンゾチアゾール、2−アミノ−6−スルホ−ベンゾチアゾール、2−アミノ−4,5−ジシアノイミダゾール、2−アミノ−4,5−ジカルボキシイミダゾール等の複素環芳香族アミン類、並びにその誘導体が挙げられる。
【0034】
Bを部分構造として含有する芳香族アミンとしては、1−ナフチルアミン、1,6クレーブ酸、1,7クレーブ酸、2−メトキシアニリン、2−エトキシアニリン、2−アミノ−パラクレシジン、2,5−ジメトキシアニリン、2,5ジエトキシアニリン、5−アセチルアミノ−2−メトキシアニリン等の芳香族アミン類や、2−アミノ−3−シアノチオフェン等の複素環芳香族アミン類、並びにその誘導体が挙げられる。
【0035】
Cを部分構造として含有する芳香族アミンとしては、8−アミノ−7−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、2−ヒドロキシアニリン、2−ヒドロキシ−5−メチルアニリン、2−ヒドロキシ−5−メトキシアニリン、2−ヒドロキシ−5−エトキシアニリン、5−アセチルアミノ−2−ヒドロキシアニリン等の芳香族アミン類、等が挙げられる。これらは、金属と相互作用すべきヒドロキシル基の部分がアルコキシ体の形である前駆体にて、上述の逐次的ジアゾ化及び縮合を繰り返した後、金属塩と適当なアミンとを作用させることにより、該アルコキシ基を、金属に配位したヒドロキシル基に変換せしめる反応にて得られても良い。
【0036】
Dを部分構造として含有する芳香族化合物としては、Shoelkoft酸、Videt酸、L酸、クロモトロープ酸、ネビルウィンター酸、ε酸、に代表されるαナフトール誘導体、γ酸、フェニルγ酸、3ースルホフェニルγ酸、4ーカルボキシフェニルγ酸、RR酸、J酸、フェニルJ酸、メチルJ酸、ジJ酸、カルボニルJ酸、H酸、ベンゾイルH酸、フェニルスルホニルH酸、M酸、S酸、SS酸、K酸に代表される、アミノーαナフトール誘導体、R酸、G酸、Crocein酸、シェファー酸、F酸、オキシナフトエ酸、3ーヒドロキシ1,8ナフタル酸に代表されるβーナフトール誘導体、Boeniger酸に代表されるアミノーβナフトール誘導体、8ーヒドロキシー5ースルホキノリンに代表される複素環芳香族化合物等が挙げられる。中でも、J酸、γ酸、RR酸、4ーカルボキシフェニルガンマ酸、3ースルホフェニルガンマ酸が好ましい。
【0037】
本発明の一般式(1)で表される色素において、R1は水素原子、置換されていても良いアルキル基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いアシル基、置換されていてもよいスルホニル基、又は置換されていてもよいトリアジニル基であるのが好ましく、特に好ましくは水素原子である。
【0038】
R2は水素原子、置換されていても良いアルキル基(通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いアシル基、置換されていても良いスルホニル基、又は置換されていても良いトリアジニル基であるのが好ましく、更に好ましくは置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いアシル基、置換されていても良いスルホニル基、又は置換されていても良いトリアジニル基であり、特に好ましくはアルキル基または、置換されていても良いフェニル基である。さらにR2として記載したこれらの基がアゾ基を持っており、さらにアゾ基を介して色素残基と連結していても良い。そして、R1とR2との組合せとして、R1が水素原子であり、R2が水素原子、アルキル基または置換されていても良いフェニル基であることが好ましく、中でも、R1が水素原子であり、R2がアルキル基または置換されていても良いフェニル基である場合が最も好ましい。
【0039】
また上記において、R1及びR2が更に置換基を有する場合の置換基については特に限定されないが、置換される基がアルキル基である場合には、通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5の置換基が、置換される基がアルキル基以外の基の場合には、通常炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10の置換基が置換されていることが好ましい。
【0040】
R1及びR2の具体例としては、水素原子の他に、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−カルボキシエチル基、フェニル基、3−スルホフェニル基、4−カルボキシフェニル基、アセチル基、ベンゾイル基、4−メチルフェニルスルホニル基、3−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−5−(2−スルホエチル)アミノ−2,4,6−トリアジノ基等が挙げられる。
【0041】
m、n、p及びqは、各々上記の範囲内の任意の数字を用いることができるが、中でもmは0であるもの、nは1または2であるもの、pは1であるものなどが好ましく用いられる。また、特に、q=1である場合、即ち一般式(1)の色素が分子内に3個のアゾ基を含有するトリスアゾ化合物である場合が好ましい。
Mも目的に応じ任意の金属が選択され得るが、好ましくは2〜3価の遷移金属であり、例えば、銅、ニッケル、鉄、コバルト等が好ましく用いられる。
【0042】
本発明の色素は黒色系記録液の色素として好適である。本発明の色素を、記録液に適用するに当たり、一般式(1)で表される遊離酸の形のまま使用しても良いし、酸基の一部又は全部を所望の塩型に変換して使用しても良い。塩を形成する対イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び置換アミン類からなる群から選ばれる、1種または2種以上のイオンが用いられる。置換アミン類の具体例としては、置換基が炭素数1〜4のアルキル基及び/又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であるモノ−、ジ−、トリ−置換アミンが挙げられる。また、それら対イオンは異なる種類のものが併用されても良い。
【0043】
本発明の記録液に用いられる一般式(1)または(1′)で表される色素としては、それぞれ、A〜Dが次の群から選んで組み合わせた化合物が好ましい具体例として例示される。
【0044】
Aとして下記の(A−1)〜(A−12)で表される構造を有するものが挙げられ、中でも、(A−1)、(A−6)、(A−8)及び(A−10)が好ましい。
【0045】
【化7】
【0046】
Bとして下記の(B−1)から(B−10)で表される構造を有するものが挙げられ、中でも、(B−1)、(B−3)及び(B−8)が好ましい。
【0047】
【化8】
【0048】
Cとして下記の(C−1)〜(C−4)で表される構造を有するものが挙げられ、中でも、(C−1)及び(C−2)が好ましい。
【0049】
【化9】
【0050】
また、Dを部分構造として含有する芳香族化合物として、下記の(D−1)〜(D−14)で表されるものが挙げられ、中でも、(D−1)、(D−2)、(D−7)、(D−8)及び(D−10)で表される芳香族化合物が好ましい。
【0051】
【化10】
【0052】
【化11】
【0053】
本発明の記録液に用いられる色素の更に好ましい具体例を以下の表−1に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
本発明の記録液又はインクジェット用記録液は、水性媒体と、一般式(1)で示される少なくとも1種の金属キレートアゾ色素又はその塩を含有するものである。一般式(1)で示される化合物は、記録液中に2種以上組み合わせて用いることができる。インクジェット用記録液中における一般式(1)の色素の含有量としては、記録液全量に対して0.5〜10重量%、特に2〜7重量%程度が好ましい。
【0064】
遊離酸の形が上記一般式(1)で表される黒色系金属キレートアゾ色素は、それ自体で好ましい無彩色さを与えるが、僅かに青味、緑味、赤味、紫味を帯びることもある。この無彩色性を更に改良すべく、本発明では補色成分として、その他の水溶性色素(以下、補色用色素ともいう)を併用して記録液を調製することにより、より適切な色調の印字画像と、好ましい耐光性を得ることができる。
【0065】
更に本発明においては、上記補色用色素を併用した記録液においては、黒色系金属キレートアゾ色素として、前記一般式(1)で表される色素において、qが0である色素を用いても、適切な色調の印字画像と好ましい耐光性を得ることができる。本願明細書では、上記q=0である場合も含めたジスアゾ又はそれよりもアゾ基の数が多いポリアゾ化合物である黒色系金属キレートアゾ色素を、前記一般式(8)で定義した。従って、一般式(8)で表される色素は、上記一般式(1)においてqが0である場合を含む以外は、上記一般式(1)と同様である。すなわち、一般式(8)におけるM1、A1、B1、C1、D1、m1、n1及びp1はそれぞれ一般式(1)におけるM、A、B、C、D、m、n及びpと同義であり、また好ましい具体例も同じである。また、一般式(8)におけるR13及びR14はそれぞれ一般式(1)におけるR1及びR2と同義であり、また好ましい具体例も同じである。q1は、好ましくは1〜3の整数を示し、より好ましくは1である。
【0066】
上記のインクジェット記録液において、補色用色素として用いる色素としては、本発明の効果が達成できる限り、一般にインクジェット記録用色素として用いうる水溶性色素であれば特に制限なく用いることができ、アゾ系色素も非アゾ系色素等が用いられるが、中でもアゾ系色素が好ましい。また、本願で用いる黒色系金属キレートアゾ色素は、その性質上、一部が錯体となっていないアゾ色素として存在する場合もありうるが、本願発明では、この黒色系金属キレートアゾ色素の他に調色用の水溶性色素を配合することも本発明として含むものである。調色用の水溶性色素としては、金属錯体色素の他にも、金属錯体でない色素も好ましく用いられる。本発明の金属錯体が十分な耐光性等の性能を有していれば、金属錯体でない水溶性色素を補助的に少量用いることで、十分な性能を得ることができる。
【0067】
本発明の補色用色素として用いられる色素のうち、アゾ系色素の例としては、モノアゾ色素、ジスアゾ色素、トリスアゾ色素等が挙げられ、補色用色素として用いるアゾ系色素の骨格は一般式(8)と同一であっても異なっていてもよいが、異なる骨格である場合が好ましい。またこれらの色素を構成する芳香族環は、複素原子を有していても良い。具体的には、下記の表−2に記した基本骨格を有する色素等が好ましく用いられる。なお、表−2の各一般式中に記載のRは、水素原子、ハロゲン原子、またはその他任意の置換基を表し、それぞれの一般式における色素構造を含む置換基であっても良い。また一般式中に複数のRが記されている場合、各々異なっていても同一であっても良い。
【0068】
【表10】
【0069】
更に具体的には、補色用色素としては、例えば、遊離酸の形が下記一般式(2)〜(5)で示される水溶性色素が好ましく用いられる。
【0070】
【化12】
【0071】
(式中、Eは置換されていても良いフェニル基またはナフチル基を表し、R3は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、の何れかを表し、R4はカルボニル基又は置換されていても良いトリアジニル基を表し、Lは任意の連結基を表し、rは0又は1を表し、分子中に複数個存在するE、R3及びR4は、各々同一であっても異なっていても良い。)
【0072】
【化13】
【0073】
(式中、R5は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アシル基、置換されていても良いトリアジニル基を表し、Eは置換されていても良いフェニル基またはナフチル基を表す。)
【0074】
【化14】
【0075】
(式中、Eは置換されていても良いフェニル基またはナフチル基を表し、R4はカルボニル基又は置換されていても良いトリアジニル基を表し、Lは任意の連結基を表す。)
【0076】
【化15】
【0077】
(式中、R6は置換されていても良いトリアジニル基を表し、R7は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、カルボキシル基またはスルホン酸基を表す。)
【0078】
また、補色用色素のうち、非アゾ系色素の例としては、ジオキザジン、アントラキノン、キサンテン、アントラピリドン系、金属フタロシアニン系等の縮合環系化合物等が挙げられる。また、補色用色素として、本発明の金属キレート色素以外の、金属キレート色素、好ましくは金属キレートアゾ系色素を用いることもできる。
【0079】
アントラピリドン系色素としては、具体的には、遊離酸の形が下記一般式(6)で表されるアントラピリドン系水溶性色素が挙げられる。
【0080】
【化16】
【0081】
上記一般式(6)において、R8は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基)又は置換されていてもよいアシル基を表し、R9は水素原子、置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)又は置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)を表し、R10は水素原子、置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)又は置換されていてもよいフェノキシ基を表し、R11は水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアミノ基又は置換されていてもよいアニリノ基を表す。
【0082】
また、上記金属キレートアゾ系色素としては、具体的には、遊離酸の形が下記一般式(7)で表されるアゾ系化合物と金属元素から形成される金属キレートアゾ色素が挙げられる。
【0083】
【化17】
【0084】
上記一般式(7)において、X1とX2は各々独立に、少なくとも1つの5〜7員環の芳香環を形成するのに必要な複数個の原子を表し、X1又はX2を含む芳香環はそれぞれ置換基を有していてもよく、芳香環上の置換基が更に縮合して縮合環を形成していてもよい。更に、X1又はX2を含む芳香環には複素原子が含まれていてもよい。R12は水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホノ基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)又は置換されていてもよいアミノ基を表し、sは1〜5の整数を表すが、R12が複数存在する場合は、それらのR12はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0085】
上記アゾ系化合物とキレートを形成する金属元素としては、2〜3価の遷移金属が好ましく、より好ましくは銅、ニッケル、鉄、コバルトであり、特に好ましくは銅、ニッケルである。
【0086】
また、金属フタロシアニン系色素における金属としては、2〜3価の金属が挙げられ、好ましくは2〜3価の遷移金属であり、より好ましくは銅、ニッケル、鉄、コバルトであり、特に好ましくは銅、ニッケルである。
【0087】
なお、一般式(3)〜(7)において、置換されていても良い置換基は特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15の置換基で置換されていても良い置換基である。また、一般式(3)〜(7)において、置換されていても良い置換基は、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホノ基等の親水性基を色素1分子中に合計で1〜6個、好ましくは2〜6個有しているものが好ましく挙げられる。
【0088】
上記の補色用色素の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー17:1、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー49、C.I.アシッドイエロー65、C.I.アシッドイエロー104、C.I.アシッドイエロー155、C.I.アシッドイエロー183、C.I.アシッドイエロー194、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー106、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー142、C.I.ダイレクトイエロー173、C.I.ダイレクトイエロー194、C.I.アシッドレッド8、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド50、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド93、C.I.アシッドレッド95、C.I.アシッドレッド98、C.I.アシッドレッド287、C.I.アシッドレッド35、C.I.リアクティブレッド23、C.I.リアクティブレッド180、C.I.リアクティブレッド180の加水分解物、C.I.ダイレクトバイオレット107、C.I.アシッドブルー9、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブラック19、C.I.ダイレクトブラック154、C.I.ダイレクトブラック195、C.I.ダイレクトブラック200、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー199、あるいは遊離酸の形が表−3に示した構造式で示される色素が挙げられる。
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
本発明の記録液の調製に当たり、一般式(8)で表される黒色系金属キレートアゾ色素及び補色用色素は、遊離酸の形のまま使用しても良いが、酸基の一部又は全部を所望の塩型に変換して使用しても良い。塩を形成する対イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び置換アミン類からなる群から選ばれる、1種または2種以上のイオンが用いられる。置換アミン類の具体例としては、置換基が炭素数1〜4のアルキル基及び/又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であるモノ−、ジ−、トリ−置換アミンが挙げられる。また、それら対イオンは異なる種類のものが併用されても良い。
【0092】
また、一般式(2)〜(8)で表される黒色系金属キレートアゾ色素及び補色用色素は、各々分子量が5000以下、中でも2000以下であることが好ましい。
【0093】
本発明の記録液中における一般式(8)の色素の含有量としては、記録液全量に対して0.5〜10重量%、特に2〜7重量%程度が好ましく、その他の補色用色素の含有量としては、記録液全量に対して0.2〜3重量%、特に0.5〜2重量%程度が好ましい。ここで、記録液中の、一般式(8)の黒色系色素と補色用色素の重量比は、一般式(8)の黒色系金属キレートアゾ色素1に対し、補色用色素0.02〜0.3の範囲が好ましく、一般式(8)の黒色系金属キレートアゾ色素1に対し、補色用色素0.05〜0.15の範囲が更に好ましい。
【0094】
通常、黒色系金属キレートアゾ色素の無彩色性を向上させるためには、黒色系金属キレートアゾ色素を1に対し、0.2〜0.3重量比の補色用色素が用いられる。また、色相が異なる黒色系金属キレートアゾ色素同士を混ぜて調色する場合、それらの量比は、1:1といった割合に設定されることもある。先に述べたように、このような補色操作はしばしば、得られる画像の耐光堅牢度の低下につながってきた。
【0095】
しかるに、本発明の記録液においては、調色操作を行っても耐光性は低下しない。その理由は、上記一般式(8)で表される色素自体が、従前の色素に比して十分改良された耐光堅牢度を有することと、上記一般式(8)で表される色素そのものの無彩色性も十分改良されており、十分良好な無彩色画像を得るために添加すべき調色用色素の量が、従前よりも少量で良いこととの相乗効果にあると推測している。
【0096】
記録液に用いられる溶剤としては、水及び水溶性有機溶剤として、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(#200)、ポリエチレングリコール(#400)、グリセリン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、チオジエタノール、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、スルホラン、エチルアルコール、イソプロパノール等を含有しているのが好ましい。これ等の水溶性有機溶剤は、通常記録液の全量に対して1〜50重量%の範囲で使用される。一方、水は記録液の全量に対して45〜95重量%の範囲で使用される。
【0097】
本発明の記録液は、その全量に対して0.1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%の尿素、チオ尿素、ビウレット、セミカルバジドから選ばれる化合物を添加したり、又0.001〜5.0重量%の界面活性剤を添加することによって、印字後の速乾性及び印字品位をより一層改良することができる。
本発明の記録液は、筆記用具用或いはインクジェット記録用に使用されるが、特にインクジェット用の記録液として好適である。普通紙に記録した場合、黒色系の記録物を得ることができ、その印字濃度及び堅牢性に優れ、また、写真等に用いられる光沢紙や光沢フィルム上での耐光性も優れており、記録液としての保存安定性も良好である。
【0098】
【実施例】
以下本発明を実施例について更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれ等の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の色素No.は前記表−1の色素No.に対応する。又「部」は特記しない限り「重量部」を意味する。
【0099】
製造例1
スルファニル酸173部を水1700部に懸濁し、35%塩酸260部を加えた。これを0℃に冷却し、73部の亜硝酸ソーダを0〜5℃にて添加し、スルファニル酸をジアゾ化した。その後5部のスルファミン酸を添加し、スルファニル酸のジアゾ液を得た。
【0100】
別に、245部の1,7クレーブ酸を水6000部に溶解させ、この液を冷却し、上述のスルファニル酸のジアゾ液を添加し、生じた固形分を濾取した。さらにこれを水6000部に懸濁し、25%苛性ソーダ水溶液にてpHを12に調整し、均一なモノアゾ化合物の溶液を得た。
このモノアゾ化合物の溶液に、73部の亜硝酸ソーダを添加溶解した。これを、6000部の水に0〜5℃にて、35%塩酸でpHを3に調整しつつ、滴下して、モノアゾ化合物のジアゾ化を行った。更に5部のスルファミン酸を加えて、モノアゾ化合物のジアゾ液を得た。
【0101】
別に、190部の2,5ージメトキシアニリン塩酸塩を水1500部に溶解させ、この液を冷却し、上述のモノアゾ化合物のジアゾ液を添加し、生じた固形分を濾取した。さらにこれを50%NMP水溶液6000部に懸濁し、25%苛性ソーダ水溶液にてpHを12に調整し、均一なジスアゾ化合物の溶液を得た。
このジスアゾ化合物の溶液に、73部の亜硝酸ソーダを添加溶解した。これを、6000部の50%N−メチルピロリドン水溶液に、0〜5℃にて、35%塩酸でpHを3に調整しつつ、滴下して、ジスアゾ化合物のジアゾ化を行った。更に5部のスルファミン酸を加えて、ジスアゾ化合物のジアゾ液を得た。
【0102】
359部の4ーカルボキシフェニルガンマ酸を3000部の水に懸濁させ、苛性ソーダでpHを11に調整して均一な溶液を得た。この溶液を冷却し、0〜5℃にて上述のジスアゾ化合物のジアゾ液を滴下し、カップリングさせた。滴下の際、25%苛性ソーダ水溶液を用いて、カップリング浴のpHを10〜11に調整した。得られた液に食塩900部を加え、生じた結晶を濾取し、乾燥した。
【0103】
得られたトリスアゾ化合物66部を700部の水に溶解し、24部の硫酸銅無水物と61部のジエタノールアミンを添加し、95〜100℃に昇温し、12時間反応させた。得られた液中の不溶物を濾取したのち、この液を25℃に冷却し、70部の食塩を加え、生じた固形分を濾取した。得られた湿ケーキを1000部の水に溶解して、1000部のイソプロピルアルコールを加え、生じた結晶を濾取した。得られた色素を乾燥して、表−1のNo.1の色素31部をナトリウム塩の形で得た。
得られた色素の水中での最大吸収波長は663nmであった。
【0104】
製造例2
スルファニル酸173部を水1700部に懸濁し、35%塩酸260部を加えた。これを0℃に冷却し、73部の亜硝酸ソーダを0〜5℃にて添加し、スルファニル酸をジアゾ化した。その後5部のスルファミン酸を添加し、スルファニル酸のジアゾ液を得た。
【0105】
別に、245部の1,7クレーブ酸を水6000部に溶解させ、この液を冷却し、上述のスルファニル酸のジアゾ液を添加し、生じた固形分を濾取した。さらにこれを水6000部に懸濁し、25%苛性ソーダ水溶液にてpHを12に調整し、均一なモノアゾ化合物の溶液を得た。
このモノアゾ化合物の溶液に、73部の亜硝酸ソーダを添加溶解した。これを、6000部の水に0〜5℃にて、35%塩酸でpHを3に調整しつつ、滴下して、モノアゾ化合物のジアゾ化を行った。更に5部のスルファミン酸を加えて、モノアゾ化合物のジアゾ液を得た。
【0106】
別に、190部の2,5ージメトキシアニリン塩酸塩を水1500部に溶解させ、この液を冷却し、上述のモノアゾ化合物のジアゾ液を添加し、生じた固形分を濾取した。さらにこれを50%N−メチルピロリドン水溶液6000部に懸濁し、25%苛性ソーダ水溶液にてpHを12に調整し、均一なジスアゾ化合物の溶液を得た。
このジスアゾ化合物の溶液に、73部の亜硝酸ソーダを添加溶解した。これを、6000部の50%N−メチルピロリドン水溶液に、0〜5℃にて、35%塩酸でpHを3に調整しつつ、滴下して、ジスアゾ化合物のジアゾ化を行った。更に5部のスルファミン酸を加えて、ジスアゾ化合物のジアゾ液を得た。
【0107】
239部のガンマ酸を3000部の水に懸濁させ、苛性ソーダでpHを11に調整して均一な溶液を得た。この溶液を冷却し、0〜5℃にて上述のジスアゾ化合物のジアゾ液を滴下し、カップリングさせた。滴下の際、25%苛性ソーダ水溶液を用いて、カップリング浴のpHを10〜11に調整した。得られた液に食塩900部を加え、生じた結晶を濾取し、乾燥した。
【0108】
得られたトリスアゾ化合物66部を700部の水に溶解し、24部の硫酸銅無水物と61部のジエタノールアミンを添加し、95〜100℃に昇温し、12時間反応させた。得られた液中の不溶物を濾取したのち、この液を25℃に冷却し、70部の食塩を加え、生じた固形分を濾取した。得られた湿ケーキを1000部の水に溶解して、1000部のイソプロピルアルコールを加え、生じた結晶を濾取した。得られた色素を乾燥して、表−1のNo.17の色素31部をナトリウム塩の形で得た。
得られた色素の水中での最大吸収波長は658nmであった。
【0109】
実施例1
ジエチレングリコールモノブチルエーテル10部、グリセリン10部、2ーピロリドン5部、オルフィンSTG(界面活性剤、日信化学工業(株)製)0.5部、前記表−1のNo.1の色素7部に水を加え、水酸化ナトリウム水溶液でpHを9に調整して全量を100部とした。この組成物を充分に混合して溶解し、孔径1μmのテフロンフィルターで加圧濾過した後、真空ポンプ及び超音波洗浄機で脱気処理して記録液を調製した。
【0110】
得られた記録液を使用し、インクジェットプリンター(商品名PMー750C、セイコーエプソン(株)製)を用いてインクジェット用フォト光沢紙MJA4SP3紙(セイコーエプソン(株)製)に単色ベタのインクジェット記録を行った。この際、MS−Word(ワードプロセシングソフト、マイクロソフト社製)の網掛け機能を用い、印字濃度が最高濃度ベタ印字の80%になるように調節し、ハーフトーンの黒色印字物を得た。
【0111】
そして、得られた画像の無彩色性を、グレタグマクベスSPM50にて測定し、C*値の形で定量化した。ここでC*値は画像の彩度の高さや低さ、すなわち無彩色性の低さや高さを表す数値であり、数値が小さければ小さいほど、彩度が低い、すなわち無彩色性その結果このハーフトーン画像のC*値は4.9との良好な結果を得た。すなわち、表−4に示されるように、本発明の実施例1の色素による記録液の適用により、従前の色素に比して改良された、十分無彩色な黒色画像が得られたことが判った。
【0112】
次に記録画像の耐光性を確認した。キセノンフェードメーター(アトラス社製)を用い、記録紙に80時間照射し、その前後の変退色度合いを、グレタグマクベスSPM50にて測定し、△E値の形で定量化した。ここで△E値は、変退色度合いを表す数値であり、数値が大きければ変退色度合いが大きく、すなわちその画像の光堅牢性が低い事を表す。
試験の結果、本色素の、インクジェット用フォト光沢紙における耐光堅牢度は、△Eにして、5.6との良好な値を得た。すなわち、表−4に示されるように、本発明の実施例1の色素による記録液の適用により、光変退色度合いを、従前の色素の1/4程度に抑制することができた。
【0113】
実施例2
実施例1において用いた前記表−1のNo.1の色素の代わりに、前記表−1のNo.2の色素を使用した以外は、実施例1の方法により記録液を調製し、印字を行い、この記録物に対して実施例1同様に、無彩色性と耐光性の評価を行った。その結果、実施例1と同様に何れも良好な結果を得た(表−4参照)
【0114】
比較例1
実施例1において用いた前記表−1のNo.1の色素の代わりに、表−4に記載した色素(特開平2−75672号公報に記載のトリスアゾ含金色素)を使用した以外は、実施例1の方法により記録液を調製し、印字を行った。この記録物に対して、実施例1同様に、無彩色性と耐光性の評価を行った。この記録物の耐光堅牢度は、実施例1の本願色素なみに良好ではあった。しかしながら、得られた画像は青味を帯び、無彩色性は全く不十分であった(表−4参照)。
【0115】
比較例2
実施例1において用いた前記表−1のNo.1の色素の代わりに、一般的なインクジェット記録用色素であるC.I.Direct Black195を使用した以外は、実施例1の方法により記録液を調製した。これを用いて印字を行った。この記録物に対して、実施例1同様に、無彩色性と耐光性の評価を行った。しかし、得られた画像は紫味を帯び、無彩色性が不十分であり、耐光堅牢度も不十分であった(表−4参照)
【0116】
【表13】
【0117】
実施例3
実施例1において用いた前記表−1のNo.1の色素の代わりに、前記表−1のNo.17の色素を使用した以外は、実施例1の方法により記録液を調製し、印字を行い、この記録物に対して実施例1同様に、無彩色性と耐光性の評価を行った。その結果、C*は5.1、△Eは6.1と、実施例1と同様に何れも良好な結果を得た(表−5参照。なお、上記比較例1及び2の結果も併記した)。
【0118】
実施例4
実施例1において用いた前記表−1のNo.1の色素の代わりに、前記表−1のNo.20の色素を使用した以外は、実施例1の方法により記録液を調製し、印字を行い、この記録物に対して実施例1同様に、無彩色性と耐光性の評価を行った。その結果、C*は7.5、△Eは7.2と、実施例1と同様に何れも良好な結果を得た(表−5参照)。
【0119】
【表14】
【0120】
実施例5
実施例1において用いた前記表−1のNo.1の色素の代わりに、前記表−1のNo.1の色素7部及び前記表−3のNo.4の色素0.5部を用いた以外は実施例1と同様にして記録液を調製した。次いで、得られた記録液を使用し、実施例1におけるのと同様にして80%ハーフトーンの黒色印字物を得た。
【0121】
得られた画像の無彩色性を、実施例1と同様にしてグレタグマクベスSPM50て測定し、C*値の形で定量化したところ、このハーフトーン画像のC*値は3.3との良好な結果を得た。すなわち、本発明の色素等を含む記録液の適用により、従前の色素に比して改良された、十分無彩色な黒色画像が得られたことが判った。
次に実施例1と同様にして、記録画像の耐光性を確認したところ、本色素の、インクジェット用フォト光沢紙における耐光堅牢度△E値は、3.8と良好な値であり、本発明の記録液にって、光変退色度合いを従前の色素の1/4に抑制することができた。
【0122】
実施例6
実施例5において用いた前記表−1のNo.1の色素の代わりに、前記表−1No.2の色素を7部使用し、前記表−3のNo.4の色素の代わりに前記表−3のNo.7の色素を1部使用した以外は、実施例5の方法により記録液を調製し、実施例1と同様に、無彩色性と耐光性の評価を行った。その結果、C*は3.2、△Eは4.0と、実施例1と同様に何れも良好な結果を得た。
【0123】
比較例3
実施例5において用いた前記表−1のNo.1の色素の代わりに、代表的なインクジェット記録用色素であるC.I.Direct Black195を7部使用し、補色用色素として、表−3のNo.4の色素を1部用いた他は、実施例5と同様に記録液を調製し、同様に無彩色性と耐光性の評価を行った。しかし、得られた画像の紫味は解消せず、無彩色性が不十分であり(C*値=14.3)、耐光堅牢度も不十分であった(△E値=24.3)。
【0124】
比較例4
比較例3において用いた補色用色素として、前記表−3のNo.4の色素の代わりに、インクジェット記録に汎用される、C.I.Direct Yellow 132を1部用いた他は、比較例3と同様に記録液を調製し、同様に無彩色性と耐光性の評価を行った。しかし、得られた画像の紫味は改善されたが、そのC*値は7.6であり、耐光堅牢度は不十分であった(△E値=28.8)。
【0125】
【発明の効果】
本発明の金属キレートアゾ色素をインクジェット記録液に用いることにより、記録用あるいは筆記用具用等として、例えば専用紙にインクジェット記録した場合でも充分な耐光性を有する記録が可能であり、且つ、その彩度は十分低く好ましい黒い色調を与えることができる。
従って、本発明の記録液は、良好な無彩色性と良好な耐光性を兼ね備える黒色系記録液であり、インクジェット記録用、筆記用具用等に好適に用いられる。また、本発明のインクジェット用記録液は、普通紙に記録した場合、黒色系の記録物を得ることができ、その印字濃度及び堅牢性に優れ、また、写真等に用いられる光沢紙や光沢フィルム上での耐光性も優れており、記録液としての保存安定性も良好である。
更に記録液に調色のため補色用色素を配合した場合でも、優れた黒い色調を有し、かつ耐光性を高く保つことができる。
Claims (13)
- 遊離酸の形が下記一般式(1’)で表される金属キレートアゾ色素と、水性媒体を含有することを特徴とするインクジェット用記録液。
- 前記一般式(1’)において、A及びCは、各々独立に、置換されていてもよいベンゼン環または置換されていても良いナフタレン環を表し、かつA、B又はCに置換基を有する場合、その置換基として、Aについては、ハロゲン原子、ホスホノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアシルアミノ基、置換されていても良いスルホニルアミノ基、置換されていても良いフェニルアゾ基、及び置換されていてもよいナフチルアゾ基からなる群から選ばれる少なくとも1個の置換基であり、B及びCについては、それぞれ、ハロゲン原子、ホスホノ
基、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアミノ基、置換されていても良いアシルアミノ基、及び置換されていても良いスルホニルアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1個の置換基であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記録液。 - 前記一般式(1’)において、Dが一般式(1’)で規定された置換基の他に、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアシルアミノ基、置換されていても良いスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアミノカルボニル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の置換基を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用記録液。
- 前記一般式(1’)において、R1 及びR2 が、各々独立に水素原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いアシル基、置換されていても良いスルホニル基及び置換されていても良いトリアジニル基からなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用記録液。
- 前記一般式(1’)において、R1 が、水素原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いアシル基、置換されていても良いスルホニル基及び置換されていても良いトリアジニル基からなる群から選ばれるものであり、R2 が、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いアシル基、置換されていても良いスルホニル基及び置換されていても良いトリアジニル基からなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用記録液。
- 前記一般式(1’)において、mが0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット用記録液。
- 前記一般式(1’)において、nが1または2であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット用記録液。
- 前記一般式(1’)において、pが1であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット用記録液。
- 前記一般式(1’)において、Mが銅、ニッケル、鉄、またはコバルトであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット用記録液。
- 前記一般式(1’)が、分子内に2〜6個の親水性基を含有する化合物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット用記録液。
- 記録液全量に対して、一般式(1’)で示される色素を0.5〜10重量%含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェット用記録液。
- 記録液中に水及び水溶性有機溶剤を含有し、水を記録液全量に対して45〜95重量%、水溶性有機溶剤を記録液全量に対して1〜50重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット用記録液。
- 請求項1〜12のいずれかに記載のインクジェット用記録液を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
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