JP4232322B2 - 車両の走行制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体により入力軸と出力軸との間の動力を伝達するとともに必要に応じて入力軸と出力軸とを直結するロックアップ状態となる流体動力伝達機構を有する自動変速機が搭載された車両の走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車車両に用いられる自動変速機として、ギヤ式自動変速機、ベルト式無段自動変速機、あるいはトロイダル式無段自動変速機などが知られている。このような自動変速機が、トルクコンバータなどの流体動力伝達機構と共に自動車車両に搭載されて用いられた場合に、中立レンジ(Nレンジ)からドライブレンジ(Dレンジ)に切り替えると、アクセルペダルを踏み込まなくても、アイドル回転により車両が低速で走行する状態、いわゆるクリープ走行が生じる。このクリープ走行は、例えば車両の円滑な発進を実現する上で有用である。
【0003】
このようなクリープ走行を効果的に利用するために、特開平11−36914号公報記載の技術においては、クリープ走行が必要な状況下において、必要なクリープ力を発生させるために内燃機関のアイドル回転数を増加させる制御、いわゆるクリープ制御を実行している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、流体動力伝達機構が、入力軸と出力軸とを直結するロックアップ機構を備えていた場合、特にこのロックアップ機構がクリープ走行中に機能した場合には次のような問題を生じる。
【0005】
ロックアップ機構は、入力軸と出力軸との間の動力伝達効率を高めるためであることから、クリープ走行の最中にロックアップ状態となると急に伝達効率が増加して、車輪の駆動力がステップ的に増加してしまう。このため、アクセル操作がなくても車速が急増することになり、安定したクリープ走行が維持できなくなり、運転性の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、自動変速機に備えられている流体動力伝達機構がクリープ走行中にロックアップ状態となっても、クリープ走行を安定化し運転性を良好に維持できる車両の走行制御装置の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。請求項1記載の車両の走行制御装置は、流体により入力軸と出力軸との間の動力を伝達するとともにロックアップ条件に応じて入力軸と出力軸とを直結するロックアップ状態となる流体動力伝達機構を有する自動変速機が搭載された車両の走行制御装置であって、車両の運転状態に基づいて内燃機関のアイドル回転数の増加によりクリープ力の増大を実行するとともに、前記流体動力伝達機構がロックアップ状態である場合には、非ロックアップ状態である場合よりも、前記アイドル回転数の増加の程度を少なくする、あるいは増加を停止するクリープ制御手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
クリープ制御手段は、車両の運転状態に基づいて内燃機関のアイドル回転数の増加によりクリープ力の増大を実行している。これとともに、流体動力伝達機構がロックアップ状態である場合には、非ロックアップ状態である場合よりも、アイドル回転数の増加の程度を少なくするか、あるいは増加を停止している。
【0009】
このことにより、クリープ走行中に非ロックアップ状態からロックアップ状態となって伝達効率が急に高くなっても、クリープ力の増大が抑制され、あるいはクリープ力は増大されない。したがって運転者の意志以上に車両が走り過ぎることがなく、安定したクリープ走行が可能となり、運転性を良好に維持できる。
【0010】
また、ロックアップ状態となった後での無駄な燃料消費が防止され、燃費も向上する。
請求項2記載の車両の走行制御装置は、請求項1記載の構成において、流体動力伝達機構は、車両の走行速度が、基準走行速度より高速側ではロックアップ状態とされ、低速側では非ロックアップ状態とされることを特徴とする。
【0011】
このように、流体動力伝達機構が、車両の走行速度に基づき基準走行速度を境界としてロックアップ状態と非ロックアップ状態とを切り替える構成である場合には、耐エンスト性や運転性と燃費との両立を図りながら、安定したクリープ走行が可能となり、運転性を良好に維持でき、燃費も向上する。
【0012】
請求項3記載の車両の走行制御装置は、請求項1または2記載の構成において、クリープ制御手段は、前記流体動力伝達機構が非ロックアップ状態にある場合には、車両の運転状態がロックアップ条件に近づくほど前記アイドル回転数の増加の程度を少なく設定することを特徴とする。
【0013】
クリープ制御手段によるアイドル回転数の増加の程度を少なくする処理あるいは増加停止処理は、流体動力伝達機構が非ロックアップ状態にある場合には、車両の運転状態がロックアップ条件に近づくほどアイドル回転数の増加の程度を少なく設定することにより行っても良い。
【0014】
例えば、車両の走行速度でロックアップ切り替えを判断している場合、走行速度が低速側から基準走行速度に近づくに従って、徐々にアイドル回転数の増加の程度を少なくすることにより、非ロックアップ状態でのクリープ力の急変によるショックを防止して、運転性を一層良好に維持でき、燃費も向上する。
【0015】
請求項4記載の車両の走行制御装置は、請求項2記載の構成において、流体動力伝達機構は、前記基準走行速度として、第1基準走行速度と、該第1基準走行速度より低速側の第2基準走行速度との2つが設けられ、第1基準走行速度を非ロックアップ状態からロックアップ状態に移行する場合の境界とし、第2基準走行速度をロックアップ状態から非ロックアップ状態に移行する場合の境界として設定されているとともに、クリープ制御手段は、前記流体動力伝達機構が非ロックアップ状態にある場合に、車両の走行速度が低速側から第1基準走行速度に近づくほど前記アイドル回転数の増加の程度を少なく設定することを特徴とする。
【0016】
このようにロックアップ状態と非ロックアップ状態との間を分ける基準走行速度として、第1基準走行速度と第2基準走行速度との2つを設けることでヒステリシスを生じさせる構成では、非ロックアップ状態にある場合には、車両の走行速度が低速側から第1基準走行速度に近づくほどアイドル回転数の増加の程度を少なく設定している。
【0017】
このように、非ロックアップ状態にて車両の走行速度が低速側から第1基準走行速度に近づくに従って、徐々にアイドル回転数の増加の程度を少なくすることにより、非ロックアップ状態でのクリープ力の急変によるショックを防止して、運転性を一層良好に維持でき、燃費も向上する。
【0018】
また、前記ヒステリシスにより、ロックアップ制御のハンチングが防止されているが、ロックアップ状態から非ロックアップ状態への境界である第2基準走行速度を、高速側から低速側へ横切る場合には、特にアイドル回転数の増加については調整しなくても良い。ロックアップ状態にて、第2基準走行速度を高速側から低速側へ横切る場合には、例え高いアイドル回転数状態であったとしても、非ロックアップ状態へ切り替わる場合であることから、クリープ走行安定化における問題は生じにくいからである。
【0019】
請求項5記載の車両の走行制御装置は、請求項1〜4のいずれか記載の構成において、流体動力伝達機構は、トルクコンバータであることを特徴とする。
このように流体動力伝達機構としてはトルクコンバータが挙げられ、トルクコンバータのロックアップ機構によりロックアップ状態となっても、安定したクリープ走行が可能となり、運転性を良好に維持でき、燃費も向上する。
【0020】
請求項6記載の車両の走行制御装置は、請求項1〜5のいずれか記載の構成において、自動変速機は、無段変速機であることを特徴とする。
このように自動変速機として、無段変速機を採用した場合には、特に低速にてロックアップ状態に切り替わりやすくなり、クリープ走行に対するロックアップの感受性が高まる傾向にある。したがって、前述した各請求項の作用効果が顕著となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された自動車用車両の駆動系統および制御系統の概略ブロック図である。
【0022】
動力源としてのエンジン2は、変速機構4に連結され、この変速機構4の出力軸6がディファレンシャル8を介して左右の駆動輪10に連結されている。ここでエンジン2は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関を用いることができるが、ここではガソリンエンジンにて説明する。
【0023】
このエンジン2はマイクロコンピュータを主体とするエンジン制御用電子制御装置(以下、「E−ECU」と称する)12により電気的に制御されている。後述するごとく、E−ECU12には、エンジン2を制御するために、エンジン回転数NEやアクセル開度ACCP等に対応する信号や検出値が入力されている。
【0024】
また、変速機構4は、流体動力伝達機構14および無段変速機(以下「CVT」と称する)16を備えた構成をなしている。この内、流体動力伝達機構14はオイルなどの流体を介して入力軸側と出力軸側との間でトルクを伝達する機構であり、ここではトルクコンバータを用いている。この流体動力伝達機構14は、ロックアップ機構14aを備えている。このロックアップ機構14aは入力軸14c側と出力軸14d側とを摩擦板などの機械的手段で直接連結するクラッチ機構であり、緩衝を行うためのコイルスプリングなどの弾性体からなるダンパー14bを備えている。
【0025】
この流体動力伝達機構14の入力軸14cがエンジン2のクランク軸に連結され、出力軸14dがCVT16の入力軸に連結されている。CVT16は入力軸の回転数と出力軸の回転数との比率、すなわち変速比を無段階(連続的)に変化させることのできる変速機構であり、ベルト式無段変速機やトロイダル式無段変速機などを用いることができる。なお、CVT16には、内部に後進機能を設けるための歯車変速機構が組み込まれていると共に、変速比の幅を拡大するための歯車変速機構が必要に応じて組み込まれている。
【0026】
変速機構4におけるロックアップ機構14aの係合(ロックアップ状態)と、非係合(非ロックアップ状態)との切り替え制御、更にCVT16における変速比の制御は、変速機構制御用電子制御装置(T−ECU)18により車両の走行状態に応じてなされる。
【0027】
このT−ECU18は、前述したE−ECU12とはデータ通信可能に接続されるとともに、制御のためのデータとして、ロックアップ機構14aを駆動するための油圧やCVT16内のプーリの回転数NP,NS等に対応する信号や検出値が入力されている。更に、変速機構4を停止状態(パーキング:P)、後進状態(リバース:R)、中立状態(ニュートラル:N)、車両の走行状態に応じて変速比を自動的に設定する自動前進状態すなわち自動変速モード(ドライブ:D)、変速状態を手動操作で設定する手動状態すなわち手動変速モード(マニュアル:M)の各状態を選択するシフト信号SHFTが入力されている。
【0028】
E−ECU12の構成を図2のブロック図に示す。E−ECU12は、スロットル開度制御、燃料噴射量制御、点火時期制御およびアイドル回転数制御など、エンジン2の運転状態を制御するための制御装置である。このE−ECU12は、CPU12a、ROM12b、RAM12cおよびバックアップRAM12d等を備えた論理演算回路として構成されている。ここで、ROM12bは各種制御プログラムや、これらの各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等のデータが記憶されたメモリであり、CPU12aはROM12bに記憶された各種制御プログラムやデータに基づいて演算処理を実行する。また、RAM12cはCPU12aでの演算結果や各センサの出力から得られたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM12dはエンジン2の停止時に保存すべきデータを記憶する不揮発性のメモリである。そして、CPU12a、ROM12b、RAM12cおよびバックアップRAM12dは、バス12eを介して互いに接続されるとともに、外部入力回路12fおよび外部出力回路12gと接続されている。この外部入力回路12fには、車速センサ20、エンジン回転数センサ22、スロットル開度センサ24、アクセル開度センサ26、吸気圧センサ28、空燃比センサ30、水温センサ32およびストップランプスイッチ33等が接続されている。また、外部出力回路12gには、スロットルバルブモータ34、エンジン2の各気筒のフューエルインジェクタ36、その他イグナイタ(図示略)等が接続されている。
【0029】
T−ECU18の構成を図3のブロック図に示す。T−ECU18は、ロックアップ機構14aおよびCVT16の制御を行うことにより自動変速処理を行う制御装置である。このT−ECU18は、CPU18a、ROM18b、RAM18c、バックアップRAM18d、バス18e、外部入力回路18fおよび外部出力回路18g等を備えた論理演算回路として構成されている。これらの各部分18a〜18gについては基本的にはE−ECU12の場合と同様な機能を果たしている。この内、外部入力回路18fには、前述したシフト信号SHFTを出力するシフト装置38、CVT16内部のプライマリープーリの回転数NPを検出するプライマリープーリ回転センサ40、CVT16内部のセカンダリープーリの回転数NSを検出するセカンダリープーリ回転センサ42、ロックアップ機構14aを駆動するための油圧を検出する油圧センサ44およびその他のセンサ類が接続されている。また、外部出力回路18gには、CVT16内のプライマリープーリとセカンダリプーリとを駆動して変速比を変更する変速用アクチュエータ46、流体動力伝達機構14のロックアップ機構14aを切り替えるロックアップ用アクチュエータ48およびその他のアクチュエータ類が接続されている。なお、E−ECU12とも交信できるように外部入力回路18fおよび外部出力回路18gを介してE−ECU12側と信号的に接続されている。
【0030】
このように構成されたE−ECU12とT−ECU18とは、アクセルペダル等を介して行われる運転者による駆動力の要求に応じて駆動輪10に適切な駆動力が生じるように協調制御を行う。すなわち、E−ECU12は要求駆動力を達成するために必要なエンジン出力トルクが得られるようにエンジン2における吸気量、燃料量あるいは燃焼状態を調整し、一方、T−ECU18は、要求駆動力を達成するために必要なエンジン回転数となるように変速比を調整する。
【0031】
また、T−ECU18は、流体動力伝達機構14のロックアップ機構14aに対して、車速Vに応じてロックアップ状態と非ロックアップ状態とを切り替えるロックアップ制御処理を行っている。このロックアップ制御処理を図4のフローチャートに示す。本処理は一定の時間周期で繰り返し実行される処理である。なお個々の処理内容に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。ここでは非ロックアップ状態から車速Vが増加して「18km/h」を越えた場合にはロックアップ機構14aをロックアップ状態とし、ロックアップ状態から車速Vが減少して「12km/h」以下となった場合にはロックアップ機構14aを非ロックアップ状態としている。
【0032】
本ロックアップ制御処理が開始されると、まずRAM18c内部のフラグやロックアップ用アクチュエータ48の駆動状態から判断して、現状がロックアップ状態か否かが判定される(S110)。
【0033】
ロックアップ状態でなければ(S110で「NO」)、次に車速Vが18km/h(第1基準走行速度に相当する)を越えているか否かが判定される(S120)。V≦18km/hであれば(S120で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。V>18km/hであれば(S120で「YES」)、ロックアップ用アクチュエータ48を駆動してロックアップ機構14aをロックアップ状態(ロックアップON)とする(S130)。こうして一旦本処理を終了する。
【0034】
一方、ステップS110の判定にてロックアップ状態であれば(S110で「YES」)、次に車速Vが12km/h(第2基準走行速度に相当する)以下か否かが判定される(S140)。V>12km/hであれば(S140で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。V≦12km/hであれば(S140で「YES」)、ロックアップ用アクチュエータ48を駆動してロックアップ機構14aを非ロックアップ状態(ロックアップOFF)とする(S150)。こうして一旦本処理を終了する。
【0035】
E−ECU12については、図5のフローチャートに示すごとくのクリープ制御処理を実行している。本処理は一定の時間周期で繰り返し実行される処理である。
【0036】
クリープ制御処理が開始されると、まず、「シフトポジションがNレンジ以外」あるいは「ブレーキペダルがオフ(ブレーキペダルが踏まれていない)」か否かが判定される(S210)。シフトポジションの状態は、シフト装置38のシフトポジション信号SHFTを検出しているT−ECU18からの交信データから抽出して判断する。またブレーキペダルの状態は、ストップランプスイッチ33のオン・オフ状態から判定し、ストップランプスイッチ33がオフであれば「ブレーキペダルがオフ」であると判定する。この「シフトポジションがNレンジ以外」あるいは「ブレーキペダルがオフ」が満足されていることにより、実質的にクリープ制御が実行される。
【0037】
「シフトポジションがNレンジ以外」と「ブレーキペダルがオフ」とが共に満足されていなければ(S210で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。「シフトポジションがNレンジ以外」と「ブレーキペダルがオフ」とのいずれか一方あるいは両方が満足されていれば(S210で「YES」)、次に車速センサ20から検出される車速Vが8km/h以下か否かが判定される(S220)。V≦8km/hであれば(S220で「YES」)、次にアイドル回転数のクリープ制御用増量補正値ΔNcrに嵩上げ回転数(ここでは、「100rpm」)が設定される(S230)。このクリープ制御用増量補正値ΔNcrは、アイドル目標回転数に加算されることで、アイドル時のエンジン回転数NEを嵩上げするものである。
【0038】
すなわち、車速Vが8km/h以下では、図6のグラフに示すごとく、クリープ制御用増量補正値ΔNcr=100rpmが設定されることで、アイドル目標回転数が高まり、クリープ走行での駆動力を高めることができる。したがって、坂道発進するために、シフト装置38をDレンジにしてブレーキペダルを完全に戻した場合にも十分にクリープ走行が可能となる。
【0039】
一方、V>8km/hであれば(S220で「NO」)、次に車速Vが18km/h以下か否かが判定される(S240)。このV=18km/hの状態は、ロックアップ制御処理(図4)のステップS120で述べたごとく、第1基準走行速度に相当する。すなわち、流体動力伝達機構14のロックアップ機構14aが非ロックアップ状態にある時に、車速Vが増速した場合に、T−ECU18の制御によりロックアップ機構14aがロックアップ状態に切り替えられる境界に相当する。
【0040】
V≦18km/hであれば(S240で「YES」)、すなわち8km/h<V≦18km/hであれば、次に、車速Vに応じたクリープ制御用増量補正値ΔNcrが設定される(S250)。ここで車速Vに対するクリープ制御用増量補正値ΔNcrの関係fcr(V)は、図6に示すごとく、V=8km/hでは、ΔNcr=100rpmとし、V=18km/hでは、ΔNcr=0rpmとする関係であり、この間は車速Vの増加と共に直線状にクリープ制御用増量補正値ΔNcrが低下する関係である。
【0041】
一方、V>18km/hであれば(S240で「NO」)、ΔNcr=0rpmとする(S260)。
したがって、車両停止状態からクリープ走行を開始して、18km/hに至ると、流体動力伝達機構14のロックアップ機構14aがロックアップ状態となるとともに、ΔNcr=0rpmとなる。
【0042】
なお、減速時に行われるロックアップ状態から非ロックアップ状態への移行は、ロックアップ制御処理(図4)に示したごとく第2基準走行速度に相当する12km/hにて行われる。
【0043】
上述した構成において、図5に示したクリープ制御処理がクリープ制御手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
【0044】
(イ).クリープ制御処理(図5)では、シフト装置38のシフトポジション信号SHFTがNレンジ以外の状態、またはブレーキペダルが踏み込まれていない状態では、エンジン2のアイドル回転数を比較的大きく増加(ここでは、最大でクリープ制御用増量補正値ΔNcr=100rpm)することによりクリープ力の増大を実行している。このことにより坂道発進などを容易としている。
【0045】
そして、流体動力伝達機構14のロックアップ機構14aがロックアップ状態となった場合には、非ロックアップ状態であった場合に比較してクリープ制御用増量補正値ΔNcrを「0」として、アイドル回転数の増加を停止している。
【0046】
このことにより、クリープ走行中にロックアップ機構14aが非ロックアップ状態からロックアップ状態となってエンジン2の出力トルクの伝達効率が急に高くなっても、クリープ制御用増量補正値ΔNcrによるクリープ力の増大が停止されるので、運転者の意志以上に走り過ぎることがなく、クリープ走行が安定化し、運転性を良好に維持できる。
【0047】
例えば、図7のタイミングチャートに示すごとく、時刻T0にシフトをNレンジからDレンジに切り替えてブレーキペダルを開放することでクリープ走行にて発進した場合に(S210で「YES」、S220で「YES」)、ΔNcr=100rpmとなる(S230)。このため、登り坂であってもクリープ走行によりゆっくりと車速Vが上昇する。そして、18km/hを越えると(時刻T1:S240で「NO」、S120で「YES」)、ロックアップ機構14aが働き(S130)、流体動力伝達機構14がロックアップ状態となる。しかし、ロックアップ状態になると共に、ΔNcr=0rpmとなる(S260)ので、安定したクリープ走行を継続することができる。
【0048】
従来のごとく、流体動力伝達機構14がロックアップ状態となっても、ΔNcr=100rpmを継続する場合には、運転者がアクセルペダルを踏み込んでいないにも関わらず、図7に一点鎖線にて示すごとく、時刻T1から急激に車速Vが上昇し、安定したクリープ走行が得られなくなる。
【0049】
(ロ).ロックアップ状態となった後に、不必要に走り過ぎて無駄に燃料を消費することがなくなり、燃費も向上する。
(ハ).流体動力伝達機構14のロックアップ機構14aは、車速Vに応じてロックアップ状態と非ロックアップ状態とが切り替えられているので、耐エンスト性や運転性と燃費との両立を図ることができる。このことにより、耐エンスト性や運転性と燃費との両立を図りながら、適切にクリープ力の調整を実行することができる。
【0050】
(ニ).クリープ制御処理(図5)においては、ロックアップ機構14aが非ロックアップ状態にある場合には、前記関係fcr(V)により、車速Vが第1基準走行速度(18km/h)に近づくほどクリープ制御用増量補正値ΔNcrを小さく設定している。このことにより、非ロックアップ状態でのクリープ力の急変によるショックを防止して、運転性を一層良好に維持でき、燃費も向上する。
【0051】
(ホ).ロックアップ状態と非ロックアップ状態との境界である基準走行速度として、第1基準走行速度(18km/h)と第2基準走行速度(12km/h)との2つを設けることでヒステリシスを生じさせている。そして、非ロックアップ状態にある場合には、車速Vが低速側から第1基準走行速度(18km/h)に近づくほどクリープ制御用増量補正値ΔNcrを小さく設定している。
【0052】
このことにより、非ロックアップ状態にて車速Vが低速側から第1基準走行速度(18km/h)に近づくに従って、徐々にクリープ制御用増量補正値ΔNcrを小さくすることにより、非ロックアップ状態でのクリープ力の急変によるショックを防止して、運転性を一層良好に維持でき、燃費も向上する。
【0053】
また、前記ヒステリシスにより、ロックアップ制御のハンチングが防止されているが、ロックアップ状態から非ロックアップ状態への境界である第2基準走行速度(12km/h)を、高速側から低速側へ横切る場合には、クリープ制御用増量補正値ΔNcrについては特に調整していない。ロックアップ状態にて、第2基準走行速度を高速側から低速側へ横切る場合には、高いアイドル回転数状態であったとしても、非ロックアップ状態へ切り替わる場合であることから、クリープ走行安定化における問題は生じにくいからである。
【0054】
(ヘ).なお、自動変速機としてCVT16が用いられていることから、低速にてロックアップ状態での走行に切り替わりやすくなり、クリープ走行に対するロックアップの感受性が高まる傾向にある。このことから、前記(イ)〜(ホ)に述べたクリープ走行を安定化する効果が顕著となる。
【0055】
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態1において、車速Vの増加時に、ロックアップ機構14aが非ロックアップ状態からロックアップ状態に切り替わる18km/hにて、クリープ制御用増量補正値ΔNcrが丁度「0rpm」となるように設定されていた。これ以外に、図8にfcr1(V)にて示すごとく、クリープ制御用増量補正値ΔNcrを早期に低下させることにより車速Vが18km/h未満の時に「0rpm」となるように設定しても良い。あるいは、fcr2(V)にて示すごとく、18km/hにて、クリープ制御用増量補正値ΔNcrがまだ正の値を維持するように、クリープ制御用増量補正値ΔNcrの低下を遅くしても良い。いずれにしても、非ロックアップ状態からロックアップ状態に移行した場合に、急激に車速Vが上昇せず、安定したクリープ走行が得られれば良い。
【0056】
・また、図9に示すごとく、車速Vが18km/h未満で非ロックアップ状態の場合にクリープ制御用増量補正値ΔNcrを一定(例えば100rpm)に維持し、非ロックアップ状態からロックアップ状態に切り替わる時に、クリープ制御用増量補正値ΔNcrを直ちに「0rpm」に設定するようにしても良い。あるいは図10に示すごとく「100rpm」よりも十分に低い値Xに設定するようにして、非ロックアップ状態からロックアップ状態に移行した場合に、急激に車速Vが上昇せず、安定したクリープ走行が得られるようにしても良い。
【0057】
・前記実施の形態1では流体動力伝達機構14としてトルクコンバータを挙げて説明したが、これ以外の流体動力伝達機構、例えばロックアップ機構を備えた流体クラッチでも同様に本発明を適用でき、同様な効果を生じさせることができる。
【0058】
・前記実施の形態1では自動変速機としては、ベルト式無段自動変速機の例を挙げたが、トロイダル式無段自動変速機あるいはギヤ式自動変速機にも適用できる。
【0059】
・前記実施の形態1ではエンジン2としてガソリンエンジンの例を挙げたが、ディーゼルエンジンにも適用できる。また、ガソリンエンジンの場合も吸気ポートに燃料を噴射するタイプや燃焼室内に直接燃料を噴射するタイプ等のいずれのエンジンにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1としての自動車用車両の駆動系統および制御系統の概略ブロック図。
【図2】実施の形態1のE−ECUの構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態1のT−ECUの構成を示すブロック図。
【図4】実施の形態1のT−ECUが実行するロックアップ制御処理のフローチャート。
【図5】実施の形態1のE−ECUが実行するクリープ制御処理のフローチャート。
【図6】実施の形態1にて設定されるクリープ制御用増量補正値ΔNcrの傾向を示すグラフ。
【図7】実施の形態1の効果の一例を示すタイミングチャート。
【図8】実施の形態1の変形例にて設定されるクリープ制御用増量補正値ΔNcrの傾向を示すグラフ。
【図9】実施の形態1の変形例にて設定されるクリープ制御用増量補正値ΔNcrの傾向を示すグラフ。
【図10】実施の形態1の変形例にて設定されるクリープ制御用増量補正値ΔNcrの傾向を示すグラフ。
【符号の説明】
2…エンジン、4…変速機構、6…出力軸、8…ディファレンシャル、10…駆動輪、12…E−ECU、12a…CPU、12b…ROM、12c…RAM、12d…バックアップRAM、12e…バス、12f…外部入力回路、12g…外部出力回路、14…流体動力伝達機構、14a…ロックアップ機構、14b…ダンパー、14c…入力軸、14d…出力軸、16…CVT、18…T−ECU、18a… CPU、18b…ROM、18c…RAM、18d…バックアップRAM、18e…バス、18f…外部入力回路、18g…外部出力回路、20…車速センサ、22…エンジン回転数センサ、24…スロットル開度センサ、26…アクセル開度センサ、28…吸気圧センサ、30…空燃比センサ、32…水温センサ、33…ストップランプスイッチ、34…スロットルバルブモータ、36…フューエルインジェクタ、38…シフト装置、40…プライマリープーリ回転センサ、42…セカンダリープーリ回転センサ、44…油圧センサ、46…変速用アクチュエータ、48…ロックアップ用アクチュエータ。

Claims (6)

  1. 流体により入力軸と出力軸との間の動力を伝達するとともにロックアップ条件に応じて入力軸と出力軸とを直結するロックアップ状態となる流体動力伝達機構を有する自動変速機が搭載された車両の走行制御装置であって、
    車両の運転状態に基づいて内燃機関のアイドル回転数の増加によりクリープ力の増大を実行するとともに、前記流体動力伝達機構がロックアップ状態である場合には、非ロックアップ状態である場合よりも、前記アイドル回転数の増加の程度を少なくする、あるいは増加を停止するクリープ制御手段を備えたことを特徴とする車両の走行制御装置。
  2. 請求項1記載の構成において、流体動力伝達機構は、車両の走行速度が、基準走行速度より高速側ではロックアップ状態とされ、低速側では非ロックアップ状態とされることを特徴とする車両の走行制御装置。
  3. 請求項1または2記載の構成において、クリープ制御手段は、前記流体動力伝達機構が非ロックアップ状態にある場合には、車両の運転状態がロックアップ条件に近づくほど前記アイドル回転数の増加の程度を少なく設定することを特徴とする車両の走行制御装置。
  4. 請求項2記載の構成において、流体動力伝達機構は、前記基準走行速度として、第1基準走行速度と、該第1基準走行速度より低速側の第2基準走行速度との2つが設けられ、第1基準走行速度を非ロックアップ状態からロックアップ状態に移行する場合の境界とし、第2基準走行速度をロックアップ状態から非ロックアップ状態に移行する場合の境界として設定されているとともに、
    クリープ制御手段は、前記流体動力伝達機構が非ロックアップ状態にある場合に、車両の走行速度が低速側から第1基準走行速度に近づくほど前記アイドル回転数の増加の程度を少なく設定することを特徴とする車両の走行制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の構成において、流体動力伝達機構は、トルクコンバータであることを特徴とする車両の走行制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の構成において、自動変速機は、無段変速機であることを特徴とする車両の走行制御装置。
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