JP4231602B2 - 車両のトランスミッション - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行変速のためのHST装置及び旋回を行うためのHST装置を備えた建設機械や農業機械等の走行車両において、車両の小型化、大型化に対応可能なミッションケースへのHST装置の取付け技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車速を変更するための走行用HSTと、操向操作を行うための旋回用HSTとをミッションケースの側壁に並置し、該ミッションケースの側面を有効活用するように構成したコンバイン等の車両のトランスミッションに関する技術は知られている。さらに、このようなトランスミッションにおいては、両HSTの入力軸同士を延伸して相互連結した連結部を形成し、外方に突出した片方の入力軸を省略したり、あるいは、HST作動油漏れ分の補償用ポンプや作業機駆動用ポンプを前記両HSTへの入力軸周囲に付設したりして、これらの構成部品配設のための空間を省略し、車両の小型化を図るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成よりなる従来のトランスミッションにおいては、ミッションケースへのHSTの取付け構造には次のような問題があった。すなわち、前記HST取付面へのHSTの取付け位置は容易に変更できない構成であったため、車両の大型化に対応してミッションケースの容量が増加した場合には、該ミッションケースに前記構成部品が干渉を受けるようになり、その結果、HSTの取付け位置や手段等も著しく変更する必要が生じ、HST自体の設計変更を余儀なくされることが多かった。そのため、異機種車両間におけるHSTの共通化ができずに部品コストが増加し、更に、組立方法の変更に伴う組立ラインの見直しが必要な場合には製造コストの増加を招く、という問題があった。
【0004】
逆に、車両の小型化に対応してミッションケースの容量が減少した場合には、、HST取付面へのHSTの取付け位置は容易に変更できない構成では、ミッションケース周囲に余分な空間が発生し、車両の小型化が十分図れない、という問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、車速を変更するための走行用HST(25)と、操向操作を行うための旋回用HST(28)とをミッションケースの側壁に対向して配設し、該走行用HST(25)と旋回用HST(28)からの駆動力を合流させたプラネタリギア式差動機構(35)を有する車両において、該走行用HST(25)の走行ポンプ軸(23a)と、旋回用HST(28)の旋回ポンプ軸(26a)は、互いに軸線が一致するように配置し、また、走行用HST(25)の走行モータ軸(24a)と、旋回用HST(28)の旋回モータ軸(27a)も、互いに軸線が一致するように配置し、該走行用HSTポンプ軸(23a)と旋回用HSTポンプ軸(26a)の間は、連結部(Y)により相対回転不能に連結し、該連結部(Y)はミッションケースの外部に突出して配置し、該連結したポンプ軸の一方に、入力プーリー(26b)を固定し、該走行モータ軸(24a)と、旋回モータ軸(27a)の軸線は、ミッションケース内に配置し、該走行用HST(25)と旋回用HST(28)の前記ミッションケース側壁面への取付け角度を、該走行モータ軸(24a)と、旋回モータ軸(27a)を回動中心として、変更可能としたものである。
【0006】
請求項2においては、請求項1記載の車両のトランスミッションにおいて、前記走行用HST(25)と旋回用HST(28)の外縁部には、該走行用HST(25)と旋回用HST(28)をミッションケースに固定するための支持用孔を複数設け、該支持用孔は回動中心である、前記走行モータ軸(24a)と、旋回モータ軸(27a)の中心から、同一半径上に90度の取付け角度毎に開口したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の車両のトランスミッションを有するクローラ式走行装置を具備したコンバインの全体側面図、図2は同じく全体平面図、図3は同じく全体正面模式図、図4は車両の全体的な動力伝達機構の構成を示すスケルトン図、図5はHSTを横置きしたトランスミッションの全体の背面断面図、図6は同じく上半分の構成を示す背面断面図、図7は同じく下半分の構成を示す背面断面図、図8は同じく外面を示す側面図、図9はミッションケースの外面を示す側面図、図10は大型ミッションケースの外面を示す側面図、図11は大型ミッションケースにHSTを縦置きした構成を示す側面図、図12はHSTを横置きした走行旋回系統を示す背面図、図13はHSTを縦置きした走行旋回系統を示す背面図、図14は捨て孔を有するミッションケースからなるトランスミッションの外面を示す側面図、図15は捨て孔を有するミッションケースの外面を示す側面図、図16は捨て孔を有する大型ミッションケースの外面を示す側面図、図17は捨て孔を有する大型ミッションケースにHSTを縦置きした構成を示す側面図である。
【0008】
まず、本発明に係わる車両のトランスミッションを搭載したコンバインの全体構成、及び機体の走行・旋回のための動力伝達機構について、図1乃至図4、図8により説明する。コンバインは、トラックフレーム1の左右にクローラ式走行装置2L・2Rを支持した構成であり、3は前記トラックフレーム1に架設する機台、4はフィードチェーン5を左側に張架し扱胴6及び処理胴7を内蔵している脱穀機である脱穀部、8は刈刃9及び穀稈搬送機構10等を備える刈取部、11は刈取フレーム12を介して刈取部8を昇降させる油圧シリンダである。13は排藁チェーン14の終端を臨ませる排藁処理部、15は揚穀筒16を介して脱穀部4からの穀粒を搬入する穀物タンク、17は前記穀物タンク15の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、18は丸型の操向ハンドル19を支架するハンドルポスト、68は主変速レバー、20は運転席であり、また、21は、機体左右方向に沿う出力軸を有する原動機たるエンジンであり、コンバインの前方より連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0009】
そして、コンバインには二つの静油圧式無段変速装置(以下「HST」とする)、すなわち、第一無段変速装置である走行系の走行用HST25、及び、第二無段変速装置であるステアリング系の旋回用HST28を具備しており、それぞれのHST25・28はエンジン21より駆動力を得るよう構成されている。
【0010】
そして、エンジン21により駆動力を得た走行用HST25により、正逆の回転方向と回転数増減の制御が行われた後、その回転力は、副変速機構32、走行ブレーキ機構V、及びサンギア軸駆動機構Q1等から成る走行系ドライブトレーンQを介して、プラネタリギア式差動機構35に伝達される。一方、エンジン21により駆動力を得た旋回用HST28により、正逆の回転方向と回転数増減の制御が行われた後、その回転力は、減速ギア64・65、図8の付勢ブレーキ機構L、及び正逆転付与機構W等から成る旋回系ドライブトレーンXを介して、プラネタリギア式差動機構35に伝達される。
【0011】
このような構成によって、プラネタリギア式差動機構35に連動連結された左右のクローラ式走行装置2L・2Rの駆動スプロケット34L・34Rに、常時エンジン21の駆動力が伝達できるようにして前後直進走行を可能にすると共に、該左右駆動スプロケット34L・34Rに対する回転数の相対的な増減制御を行うことで旋回を可能としているのである。
【0012】
ここで、前記動力伝達機構について、図3乃至図8により詳細に説明する。まず、走行用HST25から車軸40L・40Rまでの動力伝達構成について説明する。図3乃至図5に示すように、前記エンジン21には、出力軸に出力プーリー21bが固設され、該出力プーリー21bにはVベルト29が巻回されており、該Vベルト29の他端は、旋回用HST28の旋回ポンプ軸26aに固定された入力プーリー26bに巻回されている。そして、該旋回用HST28と走行用HST25とは、ミッションケース22上部の左右幅を狭くした段差部Kを挟んで左右対向し、しかも、ミッションケース22の小型化の観点から、両HST25・28のケース25a・28aの長手方向が水平(以下「横置き」とする)となるように、本発明に係わる取付け構造によって、前記段差部Kの左右側面のHST取付面J1、J2に固定されている。さらに、両HST25・28のポンプ軸23a・26aも互いに軸線が一致するよう配置されると共に、ポンプ軸23a・26a間は図4に示す連結部Yにより相対回転不能に連結されている。
【0013】
この走行用HST25は、図4、図5に示すように、ケース25a及び前記センタセクション25bよりなるハウジング内には、前方から順に、入力部である走行油圧ポンプ23、出力部である走行油圧モータ24の順に並べて配設され、該走行油圧ポンプ23の走行ポンプ軸23a、及び該走行油圧モータ24の走行モータ軸24aの各々が互いに平行となるよう機体左右方向に軸支され、走行油圧ポンプ23及び走行油圧モータ24の二者が、センタセクション25bを介して流体的に結合されており、前記走行ポンプ軸23aに伝達された回転力を、正逆の回転方向と回転数増減の制御を行った後、走行モータ軸24aに出力するようにしている。
【0014】
そして、図5、図6に示すように、該走行モータ軸24a先端には、走行系ドライブトレーンQへの入力ギア42が固定されると共に、走行モータ軸24aと平行に第一変速軸43が配置され、該第一変速軸43上には入力ギア42よりも大径の変速ギア151が遊嵌されており、該変速ギア151は前記入力ギア42に噛合するようにしている。
【0015】
このような構成により、前記走行ポンプ軸23aに伝達された回転力は、無段変速された後、入力ギア42から変速ギア151を介して減速され、副変速機構32に伝達されるのである。
【0016】
副変速機構32においては、前記第一変速軸43と平行に第二変速軸53が配置され、該第二変速軸53の左右略中央部には入力ギア44が固設され、前記変速ギア151と噛合している。そして、該入力ギア44左方の第二変速軸53上には、低速用ギア50と高速用ギア51を遊嵌し、該低速用ギア50と高速用ギア51との間には、クラッチスライダ81を、低速用ギア50・高速用ギア51のいずれか一方と択一的に係脱可能にスプライン嵌合している。更には、前記第二変速軸53と平行に、走行ブレーキ機構Vを端部に有する第三変速軸45を配置し、該第三変速軸45上には変速ギア47・48を固定し、そのうちの変速ギア47と前記低速用ギア50、変速ギア48と高速用ギア51とを常時噛合させている。
【0017】
従って、図示せぬフォークにより前記クラッチスライダ81が第二変速軸53上を摺動して、低速用ギア50、高速用ギア51のいずれか一方と係合すると、第三変速軸45上に二段階の変速回転が伝達され、この回転力がプラネタリギア式差動機構35に入力されて、車軸40L・40Rを駆動する構成となっている。
【0018】
図5、図7に示すように、プラネタリギア式差動機構35においては、左右の一対のプラネタリギア機構35L・35Rが設けられ、各プラネタリギア機構35L・35Rはサンギア軸39に刻設されるサンギア36と、該サンギア36の外周で噛合する複数のプラネタリギア37・37・・・と、該プラネタリギア37・37・・・に噛合するインターナルギア59L・59Rと、該インターナルギア59L・59Rと一体構成されたリング部60L・60Rと、前記サンギア軸39と同軸線上の車軸40L・40Rに固設されプラネタリギア37・37・・を枢支するキャリア41L・41Rとから構成されている。
【0019】
前記プラネタリギア37・37・・・は、車軸40L・40Rから放射状に均等配置されてキャリア41L・41Rにそれぞれ回転自在に軸支され、サンギア36を挟んで左右のキャリア41L・41Rを配置させると共に、前記インターナルギア59L・59Rは、各プラネタリギア37・37・・・に噛合され、サンギア軸39と同軸線上に配置した車軸40L・40Rに回転自在に軸支させている。
【0020】
そして、左右の前記サンギア36は共通のサンギア軸39に一体的に刻設されると共に、両サンギア36の左右中間部にはセンタスプロケット56が固設され、該センタスプロケット56は、前記第三変速軸45の左右略中央部に固設されたスプロケット52とチェーン55により巻回・連結されている。
【0021】
すなわち、このようなチェーン連結よりなるサンギア軸駆動機構Q1を介することで、走行用HST25からの回転力を、カウンター軸58を経由せずに、直接サンギア軸39に伝達することが可能となり、その結果、カウンターギアのための空間が不要となり、ミッションケース22の一層の小型化を進めるようにしている。
【0022】
次に、旋回用HST28から車軸40L・40Rまでの動力伝達機構について説明する。図3乃至図5に示すように、エンジン21には出力軸に出力プーリー21bが固定され、該出力プーリー21bにはVベルト29が巻回されており、該Vベルト29の他端は、旋回用HST28の旋回ポンプ軸26aに固定された入力プーリー26bに巻回されている。
【0023】
該旋回用HST28は、図4、図5、図8に示すように、ケース28a及び前記センタセクション28bよりなるハウジング内に、前方から順に、入力部である旋回油圧ポンプ26、出力部である旋回油圧モータ27の順に並べて配設され、該旋回油圧ポンプ26の旋回ポンプ軸26a及び、該旋回油圧モータ27の旋回モータ軸27aの各々が互いに平行となるよう機体左右方向に軸支され、旋回油圧ポンプ26及び旋回油圧モータ27の二者が、センタセクション28bを介して流体的に結合されており、前記旋回ポンプ軸26aに伝達された回転力を、正逆の回転方向と回転数増減の制御を行った後、旋回モータ軸27aに出力するようにしている。
【0024】
そして、図5、図6に示すように、該旋回モータ軸27a先端には、旋回系ドライブトレーンXへの入力ギア97を固定すると共に、前記第一変速軸43上には減速ギア64が嵌合され、第三変速軸45上には減速ギア65が遊嵌されている。該減速ギア64と減速ギア65は、大径ギア・小径ギアを一体的に構成した二連ギアとしており、このうち減速ギア64の大径ギアは前記入力ギア97と噛合し、減速ギア64の小径ギアは減速ギア65の大径ギアと噛合している。更に、図7に示すように、カウンター軸58端部には減速ギア66・67が固設され、このうちの減速ギア66は、前記減速ギア65の小径ギアに噛合し、カウンター軸58に回転力が伝達されるようにしている。
【0025】
一方、前記プラネタリギア37・37・・・にはインターナルギア59L・59Rが噛合され、該インターナルギア59L・59Rにはリング部60L・60Rが一体構成され、そのうち一方のリング部60Rは、前記カウンター軸58端部の減速ギア67に噛合しており、カウンター軸58からの回転力がリング部60Rに伝達されるようになっている。そして、他方のリング部60Lは、スプロケット構造をとり、該リング部60Lは前記カウンター軸58上に固設したスプロケット70とチェーン71により捲回・連結され、カウンター軸58からの回転力がリング部60Lに伝達されるようになっている。
【0026】
すなわち、カウンター軸58に伝達された回転力は、一方のインターナルギア59Rへは、中間伝達軸であるカウンター軸58からのギア駆動、他方のインターナルギア59Lへは、カウンター軸58からのチェーン駆動によって伝達される構成としたため、インターナルギア59Rへは、カウンター軸58の回転がそのまま伝達され、インターナルギア59Lへは、カウンター軸58の回転が正逆変換されて伝達されるようになり、正逆転付与機構Wが構成され、該正逆転付与機構Wを設けることにより、逆転ギアを主体とした逆転装置を別途設置する必要がなくなり、設置のための空間をなくすことができ、ミッションケース22の小型化を更に進めるようにしている。
【0027】
従って、本発明に係わるトランスミッションMにおいては、以上のような走行用HST25からの動力伝達機構と、前記旋回用HST28からの動力伝達機構とが内部に形成されて、車両の動力伝達機構全体が構成されると共に、ミッションケース22を小さくして車両の小型化が図れるようにしているのである。
【0028】
次に、本発明に係わるHSTの前記取付け構造について、図5、図8乃至図13により説明する。なお、本実施例においては片方のHSTの旋回用HST28についてのみ説明するが、走行用HST25についても同様な取付け構造を有する。
【0029】
図5、図8に示すように、旋回用HST28のセンタセクション28bの外縁部には、該旋回用HST28をミッションケース22に固定するための支持用孔93a・93b・・・が複数設けられ、該支持用孔93a・93b・・・は回動中心から同一半径上に所定角度毎に開口されており、回動中心は本実施例ではモータ軸としている。そして、本実施例では支持用孔93a乃至93dの4箇所、旋回モータ軸27aを中心とした正方形の頂点位置に開口されている。一方、図9に示すように、ミッションケース22のHST取付面J2の外縁部においても、旋回モータ軸挿入孔94を中心とし、前記支持用孔93a・93b・・・位置に合わせて、正方形の頂点位置に、取付け孔92a乃至92dが設けられ、該取付け孔92a乃至92dには、横置きにした旋回用HST28の前記支持用孔93a乃至93dを一致させ、この一致した孔の間にボルト96・96・・を螺挿して、旋回用HST28をミッションケース22のHST取付面J2に取付け固定できるようにしている。但し、支持用孔93a・93b・・・、取付け孔92a・92b・・・を5以上開口して、孔間の角度を小さくして、回動取付位置の選択をより多くすることもできる。
【0030】
また、このような横置きの旋回用HST28を、図9に示すように、図8のモータ軸27aを中心に90度の取付け角度で左回りに回転させて配設した(以下「縦置き」とする)場合においても、取付け孔92a乃至92dに一致させる支持用孔93a乃至93dを一個ずらせるだけで、旋回用HST28をミッションケース22のHST取付面J2に取付け固定できるようにしている。
【0031】
このような取付け孔92a乃至92dと支持用孔93a乃至93dにより縦置き・横置きの可能な取付け構造を、大型ミッションケース101に適用した場合には、図10のように、ポンプ軸23a・26a間の前記連結部Yが、ギアの大径化により大型ミッションケース101の上前部で突出した部分から、干渉を受けるため、旋回用HST28を横置きにすることが不可能となるが、図11に示すように、旋回用HST28を縦置きに変更するだけで、この大型ミッションケース101の上前部による連結部Yへの干渉を回避することができるのである。
【0032】
すなわち、車両の大型化に対応して大型のミッションケース101を使用する必要が生じた場合であっても、HST25・28のミッションケースへの取付け角度を所定角度に自在に変更可能な取付け構造、例えば、ミッションケースに予め取付け孔92a乃至92dを設けることにより、HST25・28自体の設計を変更することなく、HST25・28を大型ミッションケース101にも確実に固定することができる。
【0033】
逆に、車両の小型化に対応して小型ミッションケースを使用する場合には、図8に示すように、HST25・28を横置きに配置してミッションケースの側面を有効活用することによって、ミッションケース上部の空間を他の部品用に空けることができ、車両の小型化を一層進めることができるのである。
【0034】
そして、図12、図13に示すように、前記操作ハンドル19の下端にはハンドル操作軸104が連結され、該ハンドル操作軸104は旋回リンク機構106を介して旋回操作アーム108に連動連結されており、操作ハンドル19を回動させることで、前記旋回操作アーム108が回動して前記旋回油圧ポンプ26の図示せぬ可動斜板が傾動し、旋回油圧モータ27の回転速度及び回転方向が制御される構成となっているが、前記旋回リンク機構106の上下リンク長は旋回用HST28の縦置き、横置きにかかわらず略同一であるため、HSTを縦置きした時には、横置きから縦置きにした分だけ操作ハンドル19の配設高さを高くすることができる。
【0035】
同様に、前記主変速レバー68は、走行リンク機構105を介して走行操作アーム107に連動連結されており、主変速レバー68を前後左右に回動させることで、前記走行操作アーム107が回動して前記走行油圧ポンプ23の図示せぬ可動斜板が傾動し、走行油圧モータ24の回転速度及び回転方向が制御される構成となっているが、前記走行リンク機構105の上下リンク長は、走行用HST25の縦置き、横置きにかかわらず略同一であるため、HSTを縦置きした時には、横置きから縦置きにした分だけ主変速レバー68の配設高さを高くすることができる。
【0036】
すなわち、HST25・28のミッションケースへの取付け角度を変更可能な取付け構造とすることにより、各リンク機構105・106の構造を大きく変更することなく、車両の大型化、小型化に対応して、操作ハンドル19や主変速レバー68等の操作系部材の設置高さも変更することができるのである。
【0037】
次に、別形態のHSTにおける取付け構造について、図14乃至図17により説明する。なお、本実施例においては片方のHSTの旋回用HST116についてのみ説明するが、該旋回用HST116に対向して配設された図示せぬ走行用HSTについても同様な取付け構造とする。
【0038】
図14に示すように、旋回用HST116は、旋回ポンプ軸26aと旋回モータ軸27aとの間隔が狭いため、センタセクション28bの外縁部には支持用孔89a乃至89dが等間隔に開口できず、該支持用孔89a乃至89dは、旋回モータ軸27aを中心とした長方形の頂点位置に設けられている。
【0039】
一方、図15に示すように、ミッションケース118のHST取付面J2の外縁部において、旋回モータ軸挿入孔120を中心とし前記長方形と同一の大きさの長方形の頂点位置には、取付け孔87a乃至87dが設けられ、該長方形を旋回モータ軸挿入孔120を中心として90度回転させた長方形の頂点位置には、取付け孔88a乃至88dが設けられている。そして、前記取付け孔87a乃至87dには、横置きにした旋回用HST116の前記支持用孔89a乃至89dを一致させ、この一致した孔の間にボルト96・96・・を螺挿して、旋回用HST116をミッションケース118に取付け固定できるようにしている。
【0040】
また、このような横置きした旋回用HST116を、図15に示すように、縦置きした場合は、支持用孔89a乃至89dの取付け孔を前記取付け孔88a乃至88dに変更するだけで、旋回用HST116をミッションケース118に簡単に取付け固定できるようにしている。
【0041】
このように、支持用孔89a乃至89dと複数組の取付け孔87a乃至87d、取付け孔88a乃至88dにより縦置き・横置きの可能な取付け構造を、大型ミッションケース119に適用した場合には、図16のように、ポンプ軸23a・26a間の前記連結部Yが、ギアの大径化により大型ミッションケース119の上前部で突出した部分から干渉を受けるため、旋回用HST116を横置きにすることはできないが、図17に示すように、旋回用HST116を縦置きに変更するだけで、この大型ミッションケース119の上前部による連結部Yへの干渉を回避することができる。
【0042】
すなわち、支持用孔が等間隔に配置されていないHSTの場合であっても、捨て孔、本実施例では取付け孔88a乃至88dをミッションケースの適切な位置に開口しておくことにより、ミッションケースへのHSTの取付け角度を所定角度に自在に変更可能な取付け構造とすることができ、HSTを大型ミッションケース119にも確実に固定することができるのである。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、次に示すような効果を奏する。
請求項1に記載の如く、車速を変更するための走行用HST(25)と、操向操作を行うための旋回用HST(28)とをミッションケースの側壁に対向して配設し、該走行用HST(25)と旋回用HST(28)からの駆動力を合流させたプラネタリギア式差動機構(35)を有する車両において、該走行用HST(25)の走行ポンプ軸(23a) と、旋回用HST(28)の旋回ポンプ軸(26a)は、互いに軸線が一致するように配置し、また、走行用HST(25)の走行モータ軸(24a)と、旋回用HST(28)の旋回モータ軸(27a)も、互いに軸線が一致するように配置し、該走行用HSTポンプ軸(23a)と旋回用HSTポンプ軸(26a)の間は、連結部(Y)により相対回転不能に連結し、該連結部(Y)はミッションケースの外部に突出して配置し、該連結したポンプ軸の一方に、入力プーリー(26b)を固定し、該走行モータ軸(24a)と、旋回モータ軸(27a)の軸線は、ミッションケース内に配置し、該走行用HST(25)と旋回用HST(28)の前記ミッションケース側壁面への取付け角度を、該走行モータ軸(24a)と、旋回モータ軸(27a)を回動中心として、変更可能としたので、車両の大型化・小型化に対応してミッションケースの容量を変える必要が生じた場合であっても、HSTの設計変更が不要であり異機種車両間でもHSTの共有化が可能なため、部品コストや製造コストの低減を図ることができる。
また、車両の小型化においては、HSTを横置きに配置してミッションケース側面を有効活用し、該ミッションケースの上部空間を他の部品用に空けることができ、更なる車両の小型化を図ることができる。
加えて、操作ハンドルや主変速レバー等の操作系部材の設置高さについても、リンク構造を大きく変えることなく、車両の大きさに応じて容易に変更することができるのである。
【0044】
請求項2のように、請求項1記載の車両のトランスミッションにおいて、前記走行用HST(25)と旋回用HST(28)の外縁部には、該走行用HST(25)と旋回用HST(28)をミッションケースに固定するための支持用孔を複数設け、該支持用孔は回動中心である、前記走行モータ軸(24a)と、旋回モータ軸(27a)の中心から、同一半径上に90度の取付け角度毎に開口したので、側壁面への両HSTの取付け角度の所定角度への変更を、簡単かつ低コストで行うことができるのである。
また、両HSTの取付角度が異なるように取り付けることもでき、周囲の部品や装置への干渉を避けるように取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両のトランスミッションを有するクローラ式走行装置を具備したコンバインの全体側面図である。
【図2】 同じく全体平面図である。
【図3】 同じく全体正面模式図である。
【図4】 車両の全体的な動力伝達機構の構成を示すスケルトン図である。
【図5】 HSTを横置きしたトランスミッションの全体の背面断面図である。
【図6】 同じく上半分の構成を示す背面断面図である。
【図7】 同じく下半分の構成を示す背面断面図である。
【図8】 同じく外面を示す側面図である。
【図9】 ミッションケースの外面を示す側面図である。
【図10】 大型ミッションケースの外面を示す側面図である。
【図11】 大型ミッションケースにHSTを縦置きした構成を示す側面図である。
【図12】 HSTを横置きした走行旋回系統を示す背面図である。
【図13】 HSTを縦置きした走行旋回系統を示す背面図である。
【図14】 捨て孔を有するミッションケースからなるトランスミッションの外面を示す側面図である。
【図15】 捨て孔を有するミッションケースの外面を示す側面図である。
【図16】 捨て孔を有する大型ミッションケースの外面を示す側面図である。
【図17】 捨て孔を有する大型ミッションケースにHSTを縦置きした構成を示す側面図である。
【符号の説明】
M トランスミッション。
22・101・118・119 ミッションケース
25 走行用HST
28 旋回用HST
35 プラネタリギア式差動機構
92a・92b・92c・92d 取付け孔
93a・93b・93c・93d 支持用孔
Claims (2)
- 車速を変更するための走行用HST(25)と、操向操作を行うための旋回用HST(28)とをミッションケースの側壁に対向して配設し、該走行用HST(25)と旋回用HST(28)からの駆動力を合流させたプラネタリギア式差動機構(35)を有する車両において、該走行用HST(25)の走行ポンプ軸(23a)と、旋回用HST(28)の旋回ポンプ軸(26a)は、互いに軸線が一致するように配置し、また、走行用HST(25)の走行モータ軸(24a)と、旋回用HST(28)の旋回モータ軸(27a)も、互いに軸線が一致するように配置し、該走行用HSTポンプ軸(23a)と旋回用HSTポンプ軸(26a)の間は、連結部(Y)により相対回転不能に連結し、該連結部(Y)はミッションケースの外部に突出して配置し、該連結したポンプ軸の一方に、入力プーリー(26b)を固定し、該走行モータ軸(24a)と、旋回モータ軸(27a)の軸線は、ミッションケース内に配置し、該走行用HST(25)と旋回用HST(28)の前記ミッションケース側壁面への取付け角度を、該走行モータ軸(24a)と、旋回モータ軸(27a)を回動中心として、変更可能としたことを特徴とする車両のトランスミッション。
- 請求項1記載の車両のトランスミッションにおいて、前記走行用HST(25)と旋回用HST(28)の外縁部には、該走行用HST(25)と旋回用HST(28)をミッションケースに固定するための支持用孔を複数設け、該支持用孔は回動中心である、前記走行モータ軸(24a)と、旋回モータ軸(27a)の中心から、同一半径上に90度の取付け角度毎に開口したことを特徴とする車両のトランスミッション。
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