JP4444436B2 - クローラ走行車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば圃場の穀稈を連続的に刈取って脱穀するコンバインまたは耕耘トラクタまたは圃場管理車などのクローラ走行車に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、左右走行クローラを同一方向に駆動する油圧無段変速構造の変速ポンプ及びモータと、左右走行クローラを逆方向に駆動する油圧無段変速構造の操向ポンプ及びモータを、遊星ギヤ機構を介して走行クローラに駆動力を伝えるミッションケースに取付けると共に、操向ハンドル及び変速レバー操作によって変速及び操向の各ポンプ及びモータ出力を制御し、左右走行クローラの両方に駆動力を伝え乍ら前後進及び旋回走行させる技術がある。しかし乍ら、前記従来技術は、変速モータ出力を伝えるギヤ機構と操向モータ出力を伝えるギヤ機構をミッションケースに内設させる必要があり、左右走行クローラ駆動構造のコンパクト化及び簡略化並びにミッションケースの小型軽量化及び製造コスト低減などを容易に行い得ないと共に、変速及び操向ポンプ及びモータにチャージ油圧を供給するギヤポンプを設ける必要があり、ミッションケースに設ける油圧構造の簡略化及び製造コスト低減などを容易に行い得ない等の問題がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、油圧無段変速構造の変速ポンプ及びモータと操向ポンプ及びモータをミッションケースに取付けるクローラ走行車において、変速モータ出力を伝えるギヤ機構と操向モータ出力を伝えるギヤ機構をミッションケース内の伝動軸を共用して設けたもので、左右走行クローラを駆動する直進系列と旋回系列の取付け軸本数を容易に削減し得、左右走行クローラ駆動構造のコンパクト化及び簡略化並びにミッションケースの小型軽量化及び製造コスト低減などを容易に図り得るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同平面図であり、図中(1)は左右一対の走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀部、(8)は刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は刈取フレーム(12)を介して刈取部(8)を昇降させる油圧昇降シリンダ、(13)は排藁チェン(14)終端を臨ませる排藁処理部、(15)は脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(16)を介して搬入する穀物タンク、(17)は前記タンク(15)の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、(18)は丸形操向ハンドル(19)及び運転席(20)などを備える運転台、(21)は運転席(20)下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0008】
さらに、図2乃至図6に示す如く、前記運転台(18)の前部上面にステアリングコラムを立設固定させ、ステアリングコラム上面上方側に操向ハンドル(19)を縦軸回りに回転自在に取付けると共に、運転台(18)左側にサイドコラム(22)を設け、サイドコラム(22)下方にミッションケース(23)を配設させ、主変速レバー(24)、副変速レバー(25)、刈取クラッチレバー(26)、脱穀クラッチレバー(27)を前記サイドコラム(22)に取付ける。また、前記ステアリングコラムは、アルミニウム合金鋳物を成形加工して形成し、左右に分割自在な2つ割れ構造で複数のボルトで締結して密閉の箱形に形成している。
【0009】
また、前記操向ハンドル(19)にハンドル軸(28)上端側を連結させ、ハンドル軸(28)をステアリングコラム上部に回転自在に軸支させると共に、ステアリングコラム上部に操向入力軸(29)上端部を回転自在に軸支させ、ハンドル軸(28)のギヤ(30)と操向入力軸(29)のセクタギヤ(31)を噛合させて各軸(28)(29)を連結させ、ステアリングコラム内部の略中央で上下方向に操向入力軸(29)を延設させる。
【0010】
さらに、前記ステアリングコラムの左側面で上下幅略中間に軸受部材(32)を着脱自在に固定させ、変速入力軸(33)の一端部を軸受部材(32)にベアリングを介して回転自在に片持ち支持させ、変速入力軸(33)を左右方向に略水平に軸支させると共に、操向入力軸(29)下端に自在継手(34)を介して入力支点軸(35)上端側を連結させ、入力支点軸(35)に入力部材(36)を固定させ、変速入力軸(33)に入力部材(36)を回転自在に取付けると共に、入力部材(36)に入力連結体(37)を着脱自在に固定させ、また変速入力軸(33)にベアリングを介して入力部材(36)を回転自在に軸支させ、入力部材(36)を操向入力軸(29)中心に回転自在に支持させるもので、前記操向入力軸(29)の正逆転によって入力部材(36)を略垂直な入力軸(29)芯線回りに正逆転させると共に、前記変速入力軸(33)の正逆転によって略水平な左右方向の入力軸(33)芯線回りに入力支点軸(35)及び入力部材(36)を回転させて前後方向に傾動させる。また、垂直方向の操向入力軸(29)芯線と左右水平方向の変速入力軸(33)芯線とが直角交叉する交点に自在継手(34)を取付け、操向ハンドル(19)の操向入力軸(29)正逆転操作により操向入力軸(29)芯線回りに入力部材(36)と入力連結体(37)を正逆転させる。
【0011】
さらに、前記ステアリングコラムの下部前側に主変速軸(38)を回転自在に軸支させ、左右方向に略水平に横架させる主変速軸(38)の左側端をステアリングコラムの左側外方に突設させると共に、サイドコラム(22)下方の機台(3)に回転自在に設ける中介軸(39)にロッド(40)を介して主変速軸(38)を連結させ、主変速レバー(24)をレバー支点軸(41)回りに前後方向に揺動させる変速操作によって主変速軸(38)を正逆転させる。また、変速アーム(42)及びリンク(43)を介して変速入力軸(33)に主変速軸(38)を連結させ、主変速レバー(24)の主変速軸(38)正逆転操作により前記入力部材(36)を変速入力軸(33)芯線回りに前後に傾動させる。
【0012】
さらに、筒軸形の操向出力軸(44)を前記主変速軸(38)に回転自在に取付け、操向出力リンク(45)を操向出力軸(44)に固定させると共に、操向ロッド(46)の上端部を前記入力連結体(37)に自在継手(47)を介して連結させ、球関継手を介して操向ロッド(46)の下端部を操向出力リンク(45)に連結させ、走行進路を変更させる操向機構(48)を構成している。
【0013】
さらに、前記操向出力軸(44)の上方で該軸(44)と略平行に変速出力軸(49)をステアリングコラム(21)内部に回転自在に軸支させ、変速出力リンク(50)を変速出力軸(49)に固定させると共に、変速ロッド(51)の上端部を前記入力連結体(37)に自在継手(52)を介して連結させ、球関継手を介して変速ロッド(511)の下端部を変速出力リンク(50)に連結させ、走行速度の変更並びに前後進の切換を行う変速機構(53)を構成している。
【0014】
さらに、互に回転自在な二重軸構造の内側の操向操作軸(54)並びに外側の変速操作軸(55)をステアリングコラムの下部後側で左右幅中央に回転自在に取付けるもので、長さ調節自在な球関継手軸(56)及び変速リンク(57)(58)を介して前記変速出力軸(49)に変速操作軸(55)上端部を連結させると共に、長さ調節自在な球関継手軸(59)及び操向リンク(60)(61)を介して前記操向出力軸(44)に操向操作軸(54)上端部を連結させる。
【0015】
また、前記各操作軸(54)(55)は同一軸芯上に略垂直にステアリングコラム底部に立設させ、各操作軸(54)(55)上端部をステアリングコラム内部に延設させて各出力軸(44)(49)に連結させると共に、ステアリングコラム底面下方に各操作軸(54)(55)下端部を突設させ、前記運転台(20)の作業者搭乗ステップ下面側に各操作軸(54)(55)下端側を延設させるもので、車速リンク(62)を介して前記変速操作軸(55)下端部に車速ロッド(63)を連結させると共に、旋回リンク(64)を介して操向操作軸(54)下端部に旋回ロッド(65)を連結させる。
【0016】
さらに、図7乃至図21に示す如く、前記ミッションケース(23)の左側上部に油圧ユニットケース(66)を着脱自在に固定させ、油圧無段変速構造の変速ポンプ(67)及びモータ(68)並びに操向ポンプ(69)及びモータ(70)を前記ケース(66)に内設させ、変速ポンプ(67)のポンプ軸(71)をスプライン嵌合によって連結させるミッションケース(23)の入力1軸(72)に入力プーリ(73)(74)及び入力ベルト(75)を介してエンジン(21)の出力軸(76)を連結させると共に、操向ポンプ(69)のポンプ軸(77)をスプライン嵌合によって連結させるミッションケース(23)の入力2軸(78)に油圧ギヤポンプ(79)を連結させ、かつ入力1軸(72)と入力2軸(78)をギヤ(80)(81)(82)連結させ、エンジン(21)駆動力によって各ポンプ(67)(69)(79)を作動させる。
【0017】
また、変速モータ(68)のモータ軸(83)をミッションケース(23)の出力3軸(84)にスプライン嵌合によって連結させ、操向モータ(70)のモータ軸(85)を出力4軸(86)にスプライン嵌合によって連結させると共に、油圧回路を形成する油路ベース(87)を介してミッションケース(23)側面に接合させる前記ケース(66)の取付面(88)において、図8のように、前記ポンプ軸(71)(77)及びモータ軸(83)(85)の突出長さを異ならせ、各軸(71)(77)(83)(85)の長いものから順に対向する軸(72)(78)(84)(86)にスプライン嵌合によって連結させ、前記ケース(66)の組立作業を行う。
【0018】
さらに、前記走行クローラ(2)を駆動するスプロケット(89)を車軸(90)に固定させ、左右車軸ケース(91)を介して左右車軸(90)をミッションケース(23)に軸支させ、左右車軸(90)の間で同一軸芯上に変速ファイナル軸(92)を設けると共に、副変速レバー(25)によって切換える高低副変速ギヤ(93)(94)機構を介して連結させる副変速入力軸(95)及び出力軸(96)を設け、各軸(95)(96)を介して前記出力3軸(84)にファイナル軸(92)を連結させ、左右遊星ギヤ機構(97)を介して走行変速出力を左右走行クローラ(2)に伝えて前進または後進駆動するもので、前記出力3軸(84)と副変速入力軸(95)を主変速出力ギヤ(98)によって連結させ、前記副変速出力軸(96)と変速ファイナル軸(92)を変速ファイナルギヤ(99)によって連結させると共に、前記副変速出力軸(96)に駐車ブレーキ(100)を設け、該ブレーキ(100)操作によって左右走行クローラ(2)を制動する。
【0019】
また、前記遊星ギヤ機構(97)は、前記変速ファイナル軸(92)に固定させるサンギヤ(101)と、前記車軸(90)に遊転軸支させるリングギヤ(102)と、前記車軸(90)に固定させるキャリヤ(103)と、前記サンギヤ(101)とリングギヤ(102)の内側ギヤ(104)に噛合させる3つの遊星ギヤ(105)を備えると共に、前記ファイナル軸(92)端部をキャリヤ(103)に回転自在に軸支させ、また前記キャリヤ(103)に一端側を圧入固定させるピニオン軸(106)に遊星ギヤ(105)を遊転軸支させる。
【0020】
また、前記副変速入力及び出力軸(95)(96)に旋回ギヤ(107)(108)を遊転軸支させ、前記出力4軸(86)に前記入力軸(95)上の旋回ギヤ(107)をギヤ(109)連結させると共に、旋回用の左右ギヤ(110)(111)を固定する旋回ファイナル軸(112)に前記出力軸(96)上の旋回ギヤ(108)をギヤ(113)連結させ、左ギヤ(110)を前記の左側のリングギヤ(102)の外側ギヤ(114)に逆転ギヤ(115)を介して連結させる一方、右ギヤ(111)を前記の右側のリングギヤ(102)の外側ギヤ(114)に噛合させ、左右遊星ギヤ機構(97)を介して操向出力を左右走行クローラ(2)に伝えて左または右旋回駆動する。
【0021】
上記のように、油圧無段変速構造の変速ポンプ(67)及びモータ(68)と操向ポンプ(69)及びモータ(70)をミッションケース(23)に取付けるクローラ走行車において、旋回伝動機構である旋回ギヤ(108)を設ける固定軸、並びに走行変速駆動力を伝える変速駆動軸、並びに走行クローラ(2)を制動する駐車ブレーキ軸として、ミッションケース(23)内の同一の伝動軸である副変速出力軸(96)を共用し、3本の軸の機能を1本の前記副変速出力軸(96)にもたせ、ミッションケース(23)及び伝動構造のコンパクト化及び製造コスト低減などを図ると共に、変速モータ(68)出力を伝えるギヤ機構である副変速ギヤ(93)(94)と操向モータ(70)出力を伝えるギヤ機構である旋回ギヤ(107)(108)をミッションケース(23)内の伝動軸である副変速入出力軸(95)(96)を共用して設け、左右走行クローラ(2)を駆動する直進系列と旋回系列の取付け軸本数を削減し、左右走行クローラ(2)駆動構造のコンパクト化及び簡略化並びにミッションケース(23)の小型軽量化及び製造コスト低減などを図る。
【0022】
さらに、図9に示す如く、前記昇降シリンダ(11)を作動制御する昇降バルブ(116)に前記ギヤポンプ(79)を油圧接続させ、油タンクを兼用するミッションケース(23)内の作動油をサクションフィルタ(117)を介してギヤポンプ(79)が吸入し、昇降シリンダ(11)に供給されるギヤポンプ(79)のPTO油圧によって刈取部(8)を上昇させる一方、前記各ポンプ(67)(69)とモータ(68)(70)をメイン油路(118)(119)によって油圧接続させ、前記メイン油路(118)(119)に作動油を補給するチャージ油路(120)(121)を設け、該チャージ油路(120)(121)に前記昇降バルブ(116)のタンクポートを介してギヤポンプ(79)を油圧接続させ、メイン回路(118)(119)にチャージ油をギヤポンプ(79)から供給させる。
【0023】
上記のように、作業部である刈取部(8)昇降用の油圧バルブである昇降バルブ(116)のドレン背圧を利用して変速及び操向ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)のチャージ油圧を形成するもので、変速及び操向ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)のチャージ油圧を刈取部(8)昇降用の昇降バルブ(116)のタンクポートから供給させ、刈取部(8)昇降用として設けるギヤポンプ(23)などを兼用して各ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)にチャージ油圧を供給し、ミッションケース(23)に設ける油圧構造の簡略化及び製造コスト低減などを図ると共に、変速及び操向ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)のチャージ油圧よりも刈取部(8)上昇用チェック弁(116a)の作動圧を大きく設定し、前記ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)のチャージ油圧よりも前記チェック弁(116a)の作動圧が小さい場合、刈取部(8)の昇降シリンダ(11)を開放させた状態下でエンジン(23)を始動させることにより、チャージ油圧によって昇降シリンダ(11)を伸長動作させる不具合があるが、前記チャージ油圧よりもチェック弁(116a)作動圧を大きくすることによって前記不具合を解消し、刈取部(8)の昇降または脱着など取扱い操作の簡略化を図る。
【0024】
さらに、図10乃至図16に示す如く、斜板角変更によって出力制御する前記変速ポンプ(67)の制御軸(122)をミッションケース(23)前面側に突出させ、制御軸(122)に固定させる直進アーム(123)に前記車速ロッド(63)を連結させ、主変速レバー(24)操作によって変速ポンプ(67)を増減速及び正逆転出力制御し、左右走行クローラ(2)を同一方向に同一回転数で駆動し、前進または後進させると共に、直進状態下の操向ハンドル(19)操作によって変速ポンプ(67)を減速出力制御し、ハンドル(19)の切角(旋回半径)に比例して変速モータ(68)の回転数(車速)を変更させて減速させる。
【0025】
また、斜板角変更によって出力制御する前記操向ポンプ(69)の制御軸(124)をミッションケース(23)後面側に突出させると共に、前後方向に延設させる軸受筒(125)をミッションケース(23)上面に固定させ、軸受筒(125)に旋回軸(126)中間を回転自在に内挿させ、前後方向に延出する旋回軸(126)後端にアーム(127)(128)及びリンク(129)を介して前記制御軸(124)を連結させる。また、前記旋回軸(126)前端に旋回アーム(130)を固定させると共に、操向ハンドル(19)切角に対して左右走行クローラ(2)旋回半径を敏感または鈍感に変化させる旋回フィーリング部材(131)を旋回アーム(130)に設け、旋回フィーリング部材(131)を介して旋回アーム(130)に前記旋回ロッド(65)を連結させるもので、平板形の旋回フィーリング部材(131)を旋回アーム(130)に位置変更自在にボルト(132)止め固定させ、旋回フィーリング部材(131)に固定させる回り止め用ピン(133)を旋回アーム(130)に貫通させ、前記ピン(133)に旋回ロッド(65)を連結させ、前記旋回軸(126)を中心とする旋回ロッド(65)連結長さを切換え、操向ハンドル(19)切角に対する操向ポンプ(69)制御量を変化させ、旋回フィーリングを変更させる。
【0026】
また、直進状態下の操向ハンドル(19)操作によって操向ポンプ(69)を増減速及び正逆転出力制御し、左右走行クローラ(2)を逆方向に同一回転数で駆動し、左右走行クローラ(2)を同一方向に回転させ乍ら左または右旋回させるブレーキターン、または旋回内側走行クローラ(2)を逆転させて左または右旋回させるスピンターンを行うと共に、主変速レバー(24)操作によって変速ポンプ(67)出力に比例させて操向ポンプ(69)を増減速出力制御し、主変速レバー(24)操作による車速変更時、旋回外側走行クローラ(2)と旋回内側走行クローラ(2)の速度比を略一定に保ち、四輪自動車のアクセルペダル操作と同様に、旋回半径を略一定に保った状態で車速(機体中心速度)を変更させる。
【0027】
上記のように、油圧無段変速構造の変速ポンプ(67)及びモータ(68)と操向ポンプ(69)及びモータ(70)をミッションケース(23)に取付けるクローラ走行車において、操向モータ(70)出力を変更させる旋回アーム(130)の連結長さを変更自在に構成し、旋回アーム(130)の連結長さ変更によって操向ハンドル(19)操作量に対する操向モータ(70)の操向出力量を変化させ、作業場所または作業者などの運転状況に応じて敏感乃至鈍感な旋回フィーリングを得られ、運転操作性の向上並びに作業能率の向上などを図るもので、旋回アーム(130)に連結長さ変更部材である旋回フィーリング部材(131)を位置調節自在に取付けて旋回アーム(130)の連結長さを変更させ、操向ハンドル(19)の旋回フィーリング切換え構造を前記旋回フィーリング部材(131)の取付によって得られ、旋回フィーリング切換え構造の簡略化並びに切換え機能の向上などを図る。
【0028】
また、変速モータ(68)出力を制御する変速制御軸(122)と、操向モータ(70)出力を制御する操向制御軸(124)を、ミッションケース(23)の対向する側面に突設させると共に、変速制御軸(122)に連結させる直進アーム(123)と、操向制御軸(124)に連結させる旋回アーム(130)を、ミッションケース(23)の同一側面に設け、変速及び操向ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)をミッションケース(23)一側に設けて他側に入力プーリ(74)を設置させ、前記各ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)を機能的にコンパクトに配置させると共に、操向ハンドル(19)及び変速レバー(24)に対する変速及び操向制御軸(122)(124)の連結構造の簡略化及び組立作業性の向上などを図る。
【0029】
また、操向ハンドル(19)及び主変速レバー(24)の両方の操作を伝える車速操作ファイナル部材である車速ロッド(63)と操向操作ファイナル部材である旋回ロッド(65)を設け、車速ロッド(63)に直進アーム(123)を連結させ、旋回ロッド(65)に旋回アーム(130)を連結させ、前記車速ロッド(63)及び旋回ロッド(65)と直進及び旋回アーム(123)(130)の連結並びに調整作業をミッションケース(23)の前面側(同一側面)で行え、組立作業の簡略化並びにメンテナンス等の取扱い操作性の向上などを図れるもので、前記各ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)を一体的に内設させる油圧ユニットケース(87)の前後面に変速及び操向制御軸(122)(124)を振分けて突設させ、車軸(90)に直交させる旋回軸(126)をミッションケース(23)上面に回転自在に軸支させ、操向制御軸(124)に後端を連結させる前記旋回軸(126)前端に旋回アーム(130)を固定させ、ミッションケース(23)前面側で直進アーム(123)及び旋回アーム(130)を近接させて配置させ、前記ロッド(63)(65)との連結構造を簡略化し、かつ刈取部(8)を取外した状態下での組立及び保守作業を容易に行わせ、取扱い操作性の向上を図る。
【0030】
さらに、図10、図14に示す如く、前記副変速ギヤ(93)(94)を低速及び中立及び高速に切換えるシフト軸(134)をミッションケース(23)前面側に突出させ、シフト軸(134)に副変速アーム(135)を固定させ、副変速レバー(25)に副変速ロッド(136)を介して副変速アーム(135)を連結させるもので、前記車速ロッド(63)及び旋回ロッド(65)及び副変速ロッド(136)の連結操作をミッションケース(23)前側で行う。
【0031】
さらに、図12、図14に示す如く、走行変速用の変速ポンプ(67)及び変速モータ(68)と操向用の操向ポンプ(69)及び操向モータ(70)をミッションケース(23)に取付けるクローラ走行車において、前記各ポンプ(67)(69)を駆動する入力プーリ(74)とミッションケース(23)の間にギヤポンプ(79)設置スペースを形成し、変速ポンプ(67)のポンプ軸(71)上に入力プーリ(74)を設け、操向ポンプ(69)のポンプ軸(77)上にギヤポンプ(79)を設け、入力プーリ(74)の入力ベルト(75)張設方向並びにギヤポンプ(79)設置位置が互に制限されることがなく、入力ベルト(75)とミッションケース(23)の間にギヤポンプ(79)を設置でき、入力プーリ(74)とギヤポンプ(79)をミッションケース(23)の同一側面で近接させてコンパクトに配置させ、伝動構造の小型軽量化並びに簡略化などを図る。
【0032】
また、図8、図17、図19に示す如く、油圧ユニットケース(66)に内設させる前記各ポンプ(67)(69)のポンプ軸(71)(77)並びにモータ(68)(70)のモータ軸(83)(85)の各々の前記ケース(66)からの突出長さを異ならせ、ポンプ軸(71)(77)及びモータ軸(83)(85)を長いものから順にスプライン嵌合させてミッションケース(23)に油圧ユニットケース(66)を合体させ、組立作業の簡略化などを図る。また、六角頭部付きのプラグ(137)を油圧ユニットケース(66)に回転自在に挿入して各ポンプ軸(71)(77)及びモータ軸(83)(85)に螺着固定させ、プラグ(137)の六角頭部にスパナを係合させて回転させることにより、各ポンプ軸(71)(77)及びモータ軸(83)(85)が回転し、各軸(71)(77)(83)(85)のスプライン溝を対向する各軸(72)(78)(84)(86)のスプライン溝に一致させる操作が行えるもので、前記各ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)を内設させる油圧ユニットケース(66)のミッションケース(23)取付面と反対の側面から各ポンプ(67)(69)のポンプ軸(71)(77)または各モータ(68)(70)のモータ軸(83)(85)を手動回転自在に取付け、前記プラグ(137)操作によって各軸(71)(77)(83)(85)を回転させてスプライン溝を調節でき、各ポンプ軸(71)(77)または各モータ軸(83)(85)のスプライン嵌合操作を容易に行え、ミッションケース(23)に油圧ユニットケース(66)を合体させる組立作業の簡略化などを図る。
【0033】
さらに、図7に示す如く、変速用または操向用ポンプ(67)(69)の一方のポンプ軸(71)にエンジン(21)駆動力を伝え、前記各ポンプ(67)(69)の各ポンプ軸(71)(77)をギヤ(80)(81)(82)連結させ、前記各ポンプ(67)(69)にエンジン(21)駆動力をベルト伝達させる従来に比べ、ミッションケース(23)上部に各ポンプ(67)(69)をコンパクトに設置し、前記各ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)の取付構造の簡略化及び小型化などを図ると共に、ギヤ(82)を介してエンジン(21)駆動力を伝える操向ポンプ(69)のポンプ軸(77)にギヤポンプ(79)を連結させ、一方の変速ポンプ(67)のポンプ軸(71)に入力プーリ(74)を設けてエンジン(21)駆動力をベルト(75)伝達させ、もう一方の操向ポンプ(69)のポンプ軸(77)を介してギヤポンプ(79)を駆動し、入力プーリ(749とギヤポンプ(79)をミッションケース(23)の同一側面に近接させて設置でき、PTO油圧力を形成させるギヤポンプ(79)の駆動構造及び取付構造の簡略化及び小型化を図る。
【0034】
また、図21に示す如く、変速用及び操向用駆動力を左右走行クローラ(2)に伝えるミッションケース(23)内部の遊星ギヤ機構(97)のキャリヤ(103)にピニオン軸(106)の一端側を圧入固定させ、遊星ギヤ(105)を遊転軸支させる前記ピニオン軸(106)の他端側を変速ファイナルギヤ(99)の側面に対設させ、キャリヤ(103)からピニオン軸(106)が脱落する前にピニオン軸(106)が変速ファイナルギヤ(99)側面に当接し、ピニオン軸(106)の抜出を防ぐように構成し、圧入による簡単な固定構造のピニオン軸(106)が抜出しても、ピニオン軸(106)の脱落が変速ファイナルギヤ(99)によって阻止され、ピニオン軸(106)抜出によるミッションケース(23)内部の損傷を防止できると共に、
【0035】
また、変速用及び操向用駆動力を左右走行クローラ(2)に伝えるミッションケース(23)内部の遊星ギヤ機構(97)の内側ギヤ(104)と上手側の伝達ギヤである副変速ギヤ(94)と旋回ギヤ(108)を側面視重複させ、遊星ギヤ機構(97)及び副変速ギヤ(94)及び旋回ギヤ(108)の設置に必要なスペースを小さくしてミッションケース(23)の小型化及び軽量化などを図る。
【0036】
また、図13に示す如く、変速用及び操向用駆動力を左右走行クローラ(2)に伝えるミッションケース(23)内部の遊星ギヤ機構(97)を挾んで旋回用ギヤである左右ギヤ(110)(111)機構とサクションフィルタ(117)を対向位置に配設させ、ミッションケース(23)前側のリングギヤ(102)周面に副変速出力軸(96)及び旋回ファイナル軸(112)を設け、ミッションケース(23)後側のリングギヤ(102)周面にサクションフィルタ(117)を近接させて設け、サクションフィルタ(117)を内設させるミッションケース(23)外形をコンパクトに形成し、かつ外装タイプに比べてサクションフィルタ(117)の損傷防止並びに構成部品数減少によるコスト低減などを図る。
【0037】
また、図7、図13に示す如く、旋回伝動機構である旋回ギヤ(107)(108)用及び直進伝動機構である副変速ギヤ(93)(94)用として共用するミッションケース(23)内の伝動軸である副変速入出力軸(95)(96)を中心とする対称位置に変速モータ軸(83)と操向モータ軸(85)を配設させ、エンジン(21)またはミッションケース(23)の配置など機体構造に対処して変速及び操向の各モータ軸(83)(85)を互に入れ換える仕様変更を容易に行えるように構成し、異機種にミッションケース(23)を共用して製造コスト低減などを図ると共に、変速モータ軸(83)の略直上に変速ポンプ軸(71)を設け、操向モータ軸(85)の略直上に操向ポンプ軸(77)を設け、変速ポンプ(67)及びモータ(68)と操向ポンプ(69)及びモータ(70)を水平方向に並設させ、ミッションケース(23)の側面を利用して入力プーリ(74)及びベルト(75)と反対側にコンパクトに設置し、ミッションケース(23)の外形構造の簡略化及びコンパクト化などを図る。
【0038】
また、旋回及び直進伝動に共用する伝動軸を形成する副変速出力軸(96)を側面視で車軸(90)の略直上に設け、また旋回及び直進伝動に共用する伝動軸を形成する副変速入力軸(95)を側面視で副変速出力軸(96)の略直上に設け、前記各軸(90)(95)(96)の中心を結ぶ直線の上方延長上の対称位置に変速モータ軸(83)と操向モータ軸(85)を配設させ、変速及び操向モータ軸(83)(85)から車軸(90)に至る伝動構造の簡略化及びコンパクト化を行い、ミッションケース(23)の小型軽量化を図る。
【0039】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、油圧無段変速構造の変速ポンプ(67)及びモータ(68)と操向ポンプ(69)及びモータ(70)をミッションケース(23)に取付けるクローラ走行車において、変速モータ(68)出力を伝えるギヤ機構(93)(94)と操向モータ(70)出力を伝えるギヤ機構(107)(108)をミッションケース(23)内の伝動軸(95)(96)を共用して設けたもので、左右走行クローラ(2)を駆動する直進系列と旋回系列の取付け軸本数を容易に削減でき、左右走行クローラ(2)駆動構造のコンパクト化及び簡略化並びにミッションケース(23)の小型軽量化及び製造コスト低減などを容易に図ることができるものである。
【0040】
また、作業部(8)昇降用の油圧バルブ(116)のドレン背圧を利用して変速及び操向ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)のチャージ油圧を形成したもので、作業部(8)昇降用として設けるギヤポンプ(79)などを兼用して各ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)にチャージ油圧を供給でき、ミッションケース(23)に設ける油圧構造の簡略化及び製造コスト低減などを容易に図ることができるものである。
【0041】
また、変速及び操向ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)のチャージ油圧を作業部(8)昇降用の油圧バルブ(116)のタンクポートから供給するように構成したもので、作業部(8)昇降用として設けるギヤポンプ(23)などを兼用して各ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)にチャージ油圧を供給でき、ミッションケース(23)に設ける油圧構造の簡略化及び製造コスト低減などを容易に図ることができるものである。
【0042】
また、変速及び操向ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)のチャージ油圧よりも作業部(8)上昇用チェック弁(116a)の作動圧を大きく設定したもので、前記ポンプ(67)(69)及びモータ(68)(70)のチャージ油圧よりも前記チェック弁(116a)の作動圧が小さい場合、作業部(8)の昇降シリンダ(11)を開放させた状態下でエンジン(23)を始動させることにより、チャージ油圧によって昇降シリンダ(11)を伸長動作させる不具合があるが、前記チャージ油圧よりもチェック弁(116a)作動圧を大きくすることによって前記不具合を解消でき、作業部(8)の昇降または脱着など取扱い操作の簡略化を容易に図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの全体側面図。
【図2】コンバインの全体平面図。
【図3】走行変速及び操向操作部の説明斜視図。
【図4】ステアリングコラムの側面図。
【図5】同正面図。
【図6】同部分平面図。
【図7】ミッション駆動系統図。
【図8】同部分図。
【図9】変速及び操向油圧回路図。
【図10】ミッションケースの正面図。
【図11】同左側面図。
【図12】同右側面図。
【図13】ミッションケースのギヤ配列説明図。
【図14】ミッションケースの平面図。
【図15】同部分図。
【図16】ミッションケースの背面図。
【図17】変速ギヤ配列の断面図。
【図18】操向ギヤ配列の断面図。
【図19】図17の入力側拡大図。
【図20】図18の部分拡大図。
【図21】図17の出力側拡大図。
【符号の説明】
(8) 刈取部(作業部)
(23) ミッションケース
(67) 変速ポンプ
(68) 変速モータ
(69) 操向ポンプ
(70) 操向モータ
(93)(94) 副変速ギヤ(ギヤ機構)
(95) 副変速入力軸(伝動軸)
(96) 副変速出力軸(伝動軸)
(107)(108) 旋回ギヤ(ギヤ機構)
(116) 昇降バルブ(油圧バルブ)
(116a) 上昇用チェック弁
Claims (1)
- 変速ポンプ及び変速モータと、操向ポンプ及び操向モータとを内設した油圧無段変速構造の油圧ユニットケースをミッションケースに取付けるクローラ走行車において、前記変速ポンプのポンプ軸にエンジン駆動力を伝え、前記操向ポンプのポンプ軸を、ギヤを介して前記変速ポンプのポンプ軸に連結させると共に、前記ミッションケースは、前記変速ポンプのポンプ軸を連結させる入力1軸と、前記操向ポンプのポンプ軸を連結させる入力2軸と、前記変速モータのモータ軸を連結させる出力3軸と、前記操向モータのモータ軸を連結させる出力4軸とを具備し、前記変速ポンプのポンプ軸と、前記操向ポンプのポンプ軸と、前記変速モータのモータ軸と、前記操向モータのモータ軸との突出長さを異ならせて形成するとともに、突出長さの長いものから順に、対向する前記入力1軸と、前記入力2軸と、前記出力3軸と、前記出力4軸とをスプライン嵌合によって連結させ、一方、前記変速モータ出力を伝えるギヤ機構と、前記操向モータ出力を伝えるギヤ機構とを、前記ミッションケース内の伝動軸を共用して設けたことを特徴とするクローラ走行車。
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