JP2004251400A - 作業車の無段変速装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可変容量形油圧ポンプ29の斜板31中立時に油圧モータ30の出力軸47を油圧ポンプ29の入力軸36に同期回転させ、斜板31中立以外のとき斜板31の傾斜に応じ油圧モータ30の出力軸47の回転を油圧ポンプ29の入力軸36の回転を中心に増減速させる油圧式無段変速装置19を備えると共に、油圧ポンプ29の入力軸36と油圧モータ30との間に多段形変速機構111を介設する。
【選択図】 図17
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はトラクタや運搬車など作業車の無段変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ポンプと油圧モータからなる油圧式無段変速装置を用いて、可変容量形の油圧ポンプからの吐出量が0のとき油圧モータを介して油圧式無段変速装置の入力側と出力側とを直結することによって、この直結時の回転数を中心として増速及び減速の両方に広範囲の無段変速を得る手段がある。(例えば特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開2002−89655
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来手段にあっては、油圧ポンプと油圧モータのシリンダブロックを共用するため、油圧ポンプと油圧モータとは一体化した構造となって作業機内に組込む場合でも限定されたものとなって、配置の自由度が極めて小さくなるという不都合がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
したがって本発明は、可変容量形油圧ポンプの斜板中立時に油圧モータの出力軸を油圧ポンプの入力軸に同期回転させ、斜板中立以外のとき斜板の傾斜に応じ油圧モータの出力軸の回転を油圧ポンプの入力軸の回転を中心に増減速させる油圧式無段変速装置を備えると共に、油圧ポンプの入力軸と油圧モータとの間に多段形変速機構を介設して、従来の油圧ポンプ及びモータを用いて、作業機など機体内の任意位置に油圧ポンプ及びモータをそれぞれ独立的に配置可能とさせ、必要な作業速度域を自由に確保して作業の効率向上化を容易に図るもので、多段形変速機構によって負側の作業速度域も容易に確保して、走行用として用いた場合前進及び後進を可能とさせて作業の対応性を拡大させるものである。
【0006】
また、油圧ポンプの入力軸に一体連結させるポンププランジャブロックと、ポンププランジャブロックに設けるプランジャのストロークを変更するポンプ斜板と、油圧ポンプの入力軸にモータケースを一体連結させるモータケース回転軸と、モータケースの内設させるモータ斜板と、モータ斜板にプランジャを当接させるモータプランジャブロックとプランジャブロックに一体連結させるモータ出力軸と、ポンププランジャブロックとモータプランジャブロックとを連通させる油圧回路とを備え、油圧ポンプの入力軸とケース回転軸との間に多段形変速機構を介設して、油圧モータの出力軸に油圧ポンプの入力軸を直接的に伝えて、油圧回路に作動油が流れない場合にも入力軸の回転を出力軸に伝えて多段変速機構の変速段分の作業速度を確保可能とさせて、作業性を向上させるものである。
【0007】
さらに、油圧ポンプの入力軸とケース回転軸を2段に配設させ、入力軸とケース回転軸との間に多段形変速機構を介設して、油圧ポンプと油圧モータとで無段変速装置にコンパクトに変速機構を組込んで無段変速装置の小型化を可能とさせるものである。
【0008】
また、油圧ポンプと油圧モータとの接続油圧回路中にリリーフ弁を介設させ、多段形変速機構の変速に応じリリーフ弁のリリーフ圧を変更可能に設けて、高負荷作業などの作業性を向上させるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は全体の側面図、図2は同平面図を示し、図中1はトラクタであり、エンジン2を内設させるボンネット3両側に左右の前輪4・4を装設させ、前記ボンネット3後部に丸形操向ハンドル5を設け、該ハンドル5後方に運転席6を配置させ、運転席6両側外方に左右の後輪7・7を装設させ、運転席6前側のステップ8に左右ブレーキペダル及びクラッチペダル10を配設させ、作業者が運転席6に座乗して走行移動させると共に、トラクタ機体の略中央下方にモアを装備させて草刈り作業や、機体後方にリフトアーム11など有する油圧昇降機構12を介し各種作業機を昇降自在に装設させ、PTO軸13からの出力を作業機に伝達して各種作業を行うように構成している。
【0010】
図2に示す如く、前記エンジン2の駆動力を主クラッチ17・前後進切換機構18・油圧式無段変速装置(HST)19・副変速ギヤ機構20・デフ機構21を介し後車軸22に伝えて、左右後輪7による変速自在な走行を行うと共に、ミッションケース24内を前後方向に挿通させPTO伝達軸25に主クラッチ17からの出力を伝え、ミッションケース24の後部後方に突出させるPTO軸13に1対の伝達ギヤ26を介しPTO伝達軸25の駆動力を伝えるように構成している。
【0011】
図3、図4に示す如く、前記変速装置19は1組の可変容量形油圧ポンプ29と定容量形油圧モータ30とを備えるもので、傾斜角を調節自在とさせる可変形斜板31と、斜板31の傾斜面32に先端を当接させる複数のポンプのプランジャ33と、複数のプランジャ33を摺動自在に嵌合させるポンププランジャブロック(シリンダブロック)34と、プランジャブロック34をスプライン軸部35に嵌合させるポンプ入力軸36とで油圧ポンプ29を形成し、前記斜板31の中心部を入力軸36は貫通させ、ミッションケース24の油圧ベース37と油圧ベース37に固設するポンプケース38にベアリング39・40を介し入力軸35の両端側を回転自在に支持させている。
【0012】
また、前記油圧モータ30はモータケース41に固設する固定形斜板42と、斜板42の傾斜面43に先端を当接させる複数のモータプランジャ(ピストン)44と、複数のプランジャ44を摺動自在に嵌合させるモータプランジャブロック(シリンダブロック)45と、プランジャブロック45にスプライン軸部46を嵌合させるモータ出力軸47とで油圧モータ30を形成し、前記斜板42の中心部を出力軸47は貫通させ、入力軸35と出力軸47とは同一軸芯上に一直線状態に配置させ、油圧ベース37より後方に突出させる入力軸35の後端側を大径フランジ部48に形成し、該フランジ部48の後面に前記モータケース41をボルト49止め固定させると共に、フランジ部48とミッションケース24の隔壁24a間にベアリング50・51を介し出力軸47を回転自在に支持させている。
【0013】
そして、図4、図5にも示す如く、前記プランジャブロック34・45のプランジャ室52・53を油圧ベース37及びフランジ部48に形成する油路54を介し閉回路55に接続させて、ポンプ斜板31の斜板角0(中立)のときモータ出力軸47をポンプ入力軸35に直結状態とさせて、ポンプ入力軸35の回転数でモータ出力軸47を回転させ、ポンプ斜板31が正或いは負側に傾くとき、斜板角0のときの回転数を中心として斜板角に比例して回転数を大或いは小に増減速させるように構成している。そして図5に示す如く、ポンプ斜板31の負側の最大傾斜角から正側の最大傾斜角の回転数範囲を前進時或いは後進時の変速範囲として用いて、前進時或いは後進時に広範囲の無段変速を確保することができる。なお、55aはチャージポンプである。
【0014】
つまり、ポンプ斜板31の傾斜角0(中立)のとき、油圧ポンプ29と油圧モータ30のプランジャブロック34・45のプランジャ室52・53は油路54を介し閉回路55に接続されて一定圧を保ったままの状態にあるため、閉じ込まれた作動油で油圧モータ30側のプランジャ44は進退せず斜板42の傾斜面に当接する位置を保ったままプランジャブロック45と斜板42とは一体回転する関係となる。そのためポンプ入力軸36でモータケース41を介し斜板42が回転するときには、一定位置を保ったままのプランジャ44によってモータプランジャブロック45も一体回転する状態となってモータプランジャブロック45にスプライン嵌合するモータ出力軸47が回転してポンプ入力軸36と同期回転状態となる。そして図6に示す如く、ポンプ斜板31の斜板角が0(中立より)増速或いは減速側に変化するときには0(中立)状態時の回転数を中心として斜板角に応じた回転数だけ増速側或いは減速側にモータ出力軸47の回転数を変化させる。
【0015】
上記からも明らかなように、エンジン2からの駆動力で回転する可変容量形油圧ポンプ29と、油圧ポンプ29からの油圧力で出力軸47の回転を増減速させる油圧モータ30とを備え、油圧ポンプ29の斜板31中立状態のとき油圧ポンプ29の入力軸36と油圧モータ30の出力軸47とを同期回転させると共に、斜板31中立以外のとき斜板角に比例して油圧モータ30の出力軸47の回転を増減速させるポンププランジャブロック部であるポンププランジャブロック34とモータプランジャブロック部であるモータプランジャブロック45とを設けたことによって、従来の油圧ポンプ29及びモータ30を用いて、作業機など機体内の任意位置に油圧ポンプ及びモータ29・30をそれぞれ独立的に配置可能とさせて、必要な作業速度域を自由に確保して作業の能率向上化を容易に図ることができる。
【0016】
また、油圧ポンプ29の入力軸であるポンプ入力軸36に一体連結させるポンププランジャブロック34と、ポンププランジャブロック34に設けるプランジャ33のストロークを変更するポンプ斜板31と、ポンプ入力軸36に一体連結させるモータケース41と、モータケース41に内設して油圧モータ30の出力軸であるモータ出力軸47に一体連結するモータプランジャブロック45と、モータプランジャブロック45のプランジャ44を当接させるモータ斜板42と、ポンププランジャブロック34とモータプランジャブロック45とを連通させる油圧回路である油路54とを備え、ポンプ入力軸36に対しモータケース41とモータ斜板42とを同期回転させると共に、モータプランジャブロック45に対しモータ出力軸47を同期回転させるように設けたことによって、モータ出力軸47にポンプ入力軸36の回転を直接的に伝えて、油路54に作動油が流れない場合にも入力軸36の回転を出力軸47に伝えて、一定の作業速度を確保可能とさせて作業性を向上させることができる。
【0017】
さらに、油圧ポンプ29のプランジャブロック34と油圧モータ30のプランジャブロック45とを別体に設けて、油圧ポンプ29と油圧モータ30のそれぞれの配置位置を自由に選定して、配置の自由度を高めて作業機に対する組込性を向上させることができる。
【0018】
また、ポンプ入力軸36と同一軸上に油圧モータ30を設けたことによって、油圧ポンプ29と油圧モータ30との小型且つコンパクトな一体化を可能とさせて、機体などに対する組込性を向上させることができる。
【0019】
図7、図8、図9に示すものは、前述同様の油圧ポンプ29及び油圧モータ30を有する油圧式無段変速装置19にあって、ポンプ入力軸36とモータ出力軸47とを直交させた構成を示すもので、L形状の油圧ベース85の水平上面に前記斜板31及びポンププランジャブロック34など内設するポンプケース38を入力軸36を垂直方向として固設させると共に、前記斜板42及びモータプランジャブロック45など内設するモータケース41を出力軸47を水平方向としてフランジ部48に固定させ、フランジ部48一側に突設させる回転軸86を油圧ベース85の垂直部85aに回転自在に貫通支持させ、油圧ベース85の下方及び側方に突出させる入力軸36及び回転軸86端を1対のベベルギヤ87で連結させて、無段変速装置19の入力軸36と出力軸47を直交させるように構成している。
【0020】
そして図8、図9に示す如く、機体後部或いは前部にバーチカルエンジン2aを配置させ、デフ機構21の平ギヤで形成するドライブサイドギヤ88に出力軸47外端の平ギヤで形成するドライブギヤ89を連結させると共に、変速装置19の上方に突出させる入力軸36にバーチカルエンジン2aの下方出力軸82aをベルト伝動機構90を介し連動連結させて、ベベルギヤの使用を無くした変速装置19からデフ機構21への直接的にしてバックラッシュなどの小さい良好な伝達を可能とさせて構造のコンパクトを図るように構成している。なお、変速装置19・デフ機構21・各ギヤ88・89を単一のケース24a内に収納させている。
【0021】
図10乃至図11に示すものは、前述同様の油圧ポンプ29及び油圧モータ30を有する油圧式無段変速装置19にあって、ポンプ入力軸36とモータ出力軸47とを食い違い状に配設した構成を示すもので、L形状の油圧ベース91に前記斜板31及びポンププランジャブロック34など内設するポンプケース38を入力軸36を垂直方向として固設させると共に、前記斜板42及びモータプランジャブロック45など内設するモータケース41を出力軸47を水平方向としてフランジ部48に固定させ、フランジ部48一側に突設させる回転軸92を油圧ベース91の垂直部91aに回転自在に貫通支持させ、油圧ベース91の下方に突出させる入力軸36に1対のベベルギヤ93を介して回転軸92と略平行な中間軸94を連結させ、前記回転軸92に1対の平ギヤ95を介し中間軸94を連結させて、無段変速装置19の入力軸36と出力軸47とを食い違い状に配設させている。
【0022】
上記からも明らかなように、ポンプ入力軸36とモータ出力軸47との配設位置を異ならせたことによって、例えば入力方向と出力方向を直交或いは食い違い状態とさせる無段変速装置19をコンパクトに形成して、各種作業機に対する組込性を向上させることができる。
【0023】
図12に示すものは、前述同様の油圧ポンプ29及び油圧モータ30を無段変速装置19にあって、ポンプ入力軸36とモータ出力軸47とを二重軸構造とさせて同じ位置に設けた構成を示すもので、同図の油圧ベース37の右側に前記斜板31及びポンププランジャブロック34など内設するポンプケース38を、また左側に前記斜板42及びモータプランジャブロック45など内設するモータケース41をフランジ部48を介して設け、ポンプ入力軸36の外周に嵌合させる外筒で形成するモータ出力軸47にモータプランジャブロック45をスプライン嵌合させて、入力側のモータ出力軸47に出力ギヤ47aをスプライン嵌合させて変速出力を各種駆動部に伝達させるように構成している。そしてこの場合、ポンププランジャブロック34とモータプランジャブロック45との各プランジャ室52・53を連通接続させる油路54は、面積の広い油圧ベース37及びフランジ部48の左右側面間を挿通させて、例えば入力軸36内に油路54を形成する構造に比べ容易且つ大きく油路54を形成して配管抵抗など低減させることができる。
【0024】
上記からも明らかなように、ポンプ29入力軸36とモータ30出力軸47とを変速装置19の略同一位置に近接配備させたことによって、変速装置19を備えたミッションケース24にあって、ミッションケース24の機体片側などに対する集中配備を容易に可能とさせて、機体全体の小型且つコンパクト化を図ることができる。
【0025】
図13、図14に示す如く、前述同様の油圧ポンプ29及び油圧モータ30を有する油圧式無段変速装置19にあって、油圧ポンプ29と油圧モータ30を左右或いは上下2段に配設させ、ポンプ入力軸36とモータ出力軸47を平行軸構造とさせたもので、前記斜板31及びポンププランジャブロック34と、前記斜板42及びモータプランジャブロック45を内設するモータケース41とを油圧ベース103側面の同方向側に固設する変速ケース104内に設け、フランジ部48一側に突設させる回転軸105を油圧ベース103に回転自在に貫通支持させ、ポンプ入力軸36と回転軸105とをポンプ29及びモータ30の反対側で1対の平ギヤ105aによって連結させるように構成している。
【0026】
そして図14に示す如く、上記変速装置19をトラクタ1に用いるもので、主クラッチ17・前後進切換機構18などを介しエンジン2に入力軸36を連結させ、該入力軸36後端をPTO出力部に設けてPTO伝達軸25に連結させると共に、出力軸47の後端を副変速ギヤ機構20に連結させて、機体内に無段変速装置19をコンパクトに組込んで走行の変速を行うように構成している。
【0027】
図15、図16に示すものは、2つの油圧ポンプ29と2つの油圧モータ30を1つの油圧ベース(油圧ケース)106に組付けて2つの変速出力をそれぞれ取出す無段変速装置19を示すもので、例えば前後方向に水平なポンプ入力軸36の油圧ベース106の前後両側面に斜板31及びポンププランジャブロック34をそれぞれ有する2つの油圧ポンプ29を入力軸36を介し取付けると共に、入力軸36の下側で入力軸36と直交させる左右方向の回転軸107の左右両端に、前記斜板42及びモータプランジャブロック45など内設するモータケース41をフランジ部48を介してそれぞれ固設させ、前記回転軸107と同じ上下位置で入力軸36と平行なギヤ軸108と入力軸36とを1対の平ギヤ109で連結させ、前記回転軸107に1対のベベルギヤ110を介しギヤ軸108を連結させて、左右モータケース41より外側水平方向に突出させる出力軸47よりそれぞれ独立に2つの変速出力を取出すように構成している。
【0028】
そして、2つの出力軸47の一方を走行用、また他方を旋回用としてクローラ形トラクタなどに用いて、走行の無段階の変速及び無段階の旋回を行うもので、可変容量形の油圧ポンプ29の2つを入力軸36に対向させて取付けたことによって、2つの斜板31の傾斜角の調節操作を行うリンクの近接取付けなども容易とさせて、走行用及び旋回用の無段変速装置19を備えたトラクタなどにおける操作性を向上させることができる。
【0029】
図17乃至図19に示すものは、前述同様の油圧ポンプ29と油圧モータ30とを2段に配設し、油圧ポンプ29と油圧モータ30との間に油圧多板形変速機構111を介設させ、該変速機構111の変速軸112に油圧モータ30を取付けた無段変速装置19の構成を示すもので、油圧ベース113の後面側に油圧ポンプ29及び油圧モータ30を配備させ、油圧ベース113の前面側で各1対の低高速用ギヤ114・115及び油圧式低高速用多板クラッチ116・117を介して入力軸36に変速軸112を連結させ、入力軸36の後端側に油圧ポンプ29のプランジャブロック34を嵌合固定させ、変速軸112後端にフランジ部48を一体形成させ、斜板42及びプランジャブロック45など内設させるモータケース41をフランジ部48にボルト49止め固定させ、プランジャブロック45にスプライン嵌合させるモータ出力軸47を変速ケース107後方に突出させるように構成している。
【0030】
またこの場合、高低速用ギヤ114・115で伝達する入力軸36から変速軸112への回転伝達比を、高速用ギヤ114で1:1(等速)、低速用ギヤ115で2:1(1/2速)とした場合、図19のA線に示す如く、入力軸36と変速軸112が等速回転でポンプ斜板31が負側の最大傾斜角から正側の最大傾斜角の間で前進方向のみで変速するのに対し、図19のB線に示す如く、変速軸112を1/2回転とさせたとき、ポンプ斜板31の負荷域においては回転数の負(逆回転)を起生させ、機体を後進走行させる。なお、ポンプ入力軸36に前後進切換機構18を設けても良い。
【0031】
図20に示す如く、油圧ポンプ29と油圧モータ30の油圧閉回路55にリリーフ圧を変更する第1及び第2リリーフ弁122・123・124・125を正逆転用油圧切換弁126・127を介して閉回路55に接続させて、例えば図23のA線に示す如く、通常の油圧モータ30の回転出力状態(高速)のときには設定リリーフ圧の小さい第1リリーフ弁122・124を用いると共に、低速ギヤ114による油圧モータ30の低回転出力状態のときには設定リリーフの大きい第2リリーフ弁123・125に切換弁126・127で切換えて、車速が遅い場合の高負荷作業を行う。また作業中コントローラ或いはセンサなどで負荷の設定以上変化を検出したときには無段変速装置19を増減速制御して車速を一定維持させる。なお、前述各実施例では副変速ギヤ機構20を設ける構成を示したが無くても良い。
【0032】
上記からも明らかなように、可変容量形油圧ポンプ29の斜板31中立時に油圧モータ30の出力軸であるモータ出力軸47を油圧ポンプ29の入力軸であるポンプ入力軸36に同期回転させ、斜板31中立以外のとき斜板31の傾斜に応じモータ出力軸47の回転をポンプ入力軸36の回転を中心に増減速させる油圧式無段変速装置19を備えると共に、ポンプ入力軸36と油圧モータ30との間に多段形変速機構111を介設したことによって、従来の油圧ポンプ29及びモータ30を用いて、作業機など機体内の任意位置に油圧ポンプ29及びモータ30をそれぞれ独立的に配置可能とさせ、必要な作業速度域を自由に確保して作業の効率向上化を容易に図るもので、多段形変速機構111によって負側の作業速度域も容易に確保して、走行用として用いた場合前進及び後進を可能とさせて作業の対応性を拡大させるものである。
【0033】
また、ポンプ29入力軸36に一体連結させるポンププランジャブロック34と、ポンププランジャブロック34に設けるプランジャ33のストロークを変更するポンプ斜板31と、ポンプ29入力軸36にモータケース41を一体連結させる変速軸であるモータケース回転軸112と、モータケース41に内設させるモータ斜板42と、モータ斜板42にプランジャ44を当接させるモータプランジャブロック45と、モータプランジャブロック45に一体連結させるモータ出力軸47と、ポンププランジャブロック34とモータプランジャブロック45とを連通させる油圧回路54とを備え、ポンプ入力軸36とケース回転軸112との間に多段形変速機構111を介設したことによって、モータ出力軸47にモータ入力軸36を直接的に伝えて、油圧回路54に作動油が流れない場合にも入力軸36の回転を出力軸47に伝えて、多段変速機構111の変速段分の作業速度を確保可能とさせて、作業性を向上させるものである。
【0034】
さらに、油圧ポンプ29の入力軸36とケース回転軸112を2段に配設させ、入力軸36とケース回転軸112との間に多段形変速機構111を介設したことによって、油圧ポンプ29と油圧モータ30とで無段変速装置19にコンパクトに変速機構111を組込んで無段変速装置19の小型化を可能とさせるものである。
【0035】
また、油圧ポンプ29と油圧モータ30との接続油圧回路54中にリリーフ弁122・123・124・125を介設させ、多段形変速機構111の変速に応じリリーフ弁122〜125のリリーフ圧を変更可能に設けたことによって、高負荷作業などの作業性を向上させるものである。
【0036】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、可変容量形油圧ポンプ29の斜板31中立時に油圧モータ30の出力軸47を油圧ポンプ29の入力軸36に同期回転させ、斜板31中立以外のとき斜板31の傾斜に応じ油圧モータ30の出力軸47の回転を油圧ポンプ29の入力軸36の回転を中心に増減速させる油圧式無段変速装置19を備えると共に、油圧ポンプ29の入力軸36と油圧モータ30との間に多段形変速機構111を介設したものであるから、従来の油圧ポンプ29及びモータ30を用いて、作業機など機体内の任意位置に油圧ポンプ29及びモータ30をそれぞれ独立的に配置可能とさせ、必要な作業速度域を自由に確保して作業の効率向上化を容易に図るもので、多段形変速機構111によって負側の作業速度域も容易に確保して、走行用として用いた場合前進及び後進を可能とさせて作業の対応性を拡大させることができるものである。
【0037】
また、油圧ポンプ29の入力軸36に一体連結させるポンププランジャブロック34と、ポンププランジャブロック34に設けるプランジャ33のストロークを変更するポンプ斜板31と、油圧ポンプ29の入力軸30にモータケース41を一体連結させるモータケース回転軸112と、モータケース41の内設させるモータ斜板42と、モータ斜板42にプランジャ44を当接させるモータプランジャブロック45とプランジャブロック45に一体連結させるモータ出力軸47と、ポンププランジャブロック34とモータプランジャブロック41とを連通させる油圧回路54とを備え、油圧ポンプ29の入力軸36とケース回転軸112との間に多段形変速機構111を介設したものであるから、油圧モータ30の出力軸47に油圧ポンプ29の入力軸36を直接的に伝えて、油圧回路54に作動油が流れない場合にも入力軸36の回転を出力軸47に伝えて多段変速機構111の変速段分の作業速度を確保可能とさせて、作業性を向上させることができるものである。
【0038】
さらに、油圧ポンプ29の入力軸36とケース回転軸112を2段に配設させ、入力軸36とケース回転軸112との間に多段形変速機構111を介設したものであるから、油圧ポンプ29と油圧モータ30とで無段変速装置19にコンパクトに変速機構111を組込んで無段変速装置19の小型化を可能とさせることができるものである。
【0039】
また、油圧ポンプ29と油圧モータ30との接続油圧回路54中にリリーフ弁122・123・124・125を介設させ、多段形変速機構111の変速に応じリリーフ弁122〜125のリリーフ圧を変更可能に設けたものであるから、高負荷作業などの作業性を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの全体側面図。
【図2】走行駆動系の説明図。
【図3】ミッションケース部の側面説明図。
【図4】無段変速装置の断面説明図。
【図5】油圧回路図。
【図6】油圧モータの出力線図。
【図7】入力軸と出力軸の直交形無段変速装置の説明図。
【図8】直交形無段変速装置のトラクタ使用説明図。
【図9】図8の走行駆動系の説明図。
【図10】入力軸と出力軸の食い違い形無段変速装置の説明図。
【図11】食い違い形無段変速装置の斜視説明図。
【図12】入力軸と出力軸の二重軸構造の無段変速装置の説明図。
【図13】入力軸と出力軸の2段構造の無段変速装置の説明図。
【図14】図13の無段変速装置を用いたトラクタの走行駆動系の説明図。
【図15】2つの油圧ポンプ及び油圧モータを用いた無段変速装置の説明図。
【図16】2つの油圧ポンプ及び油圧モータを用いた無段変速装置の説明図。
【図17】油圧ポンプと油圧モータを2段に配設した無段変速装置の説明図。
【図18】図17の無段変速装置を用いたトラクタの走行駆動系の説明図。
【図19】図17の油圧モータの出力線図。
【図20】油圧回路図。
【符号の説明】
19 無段変速装置
29 油圧ポンプ
30 油圧モータ
31 斜板
33 プランジャ
34 ポンププランジャブロック
36 入力軸
41 モータケース
42 斜板
45 モータプランジャブロック
47 出力軸
54 油路(油圧回路)
111 無段変速機構
112 回転軸
Claims (4)
- 可変容量形油圧ポンプの斜板中立時に油圧モータの出力軸を油圧ポンプの入力軸に同期回転させ、斜板中立以外のとき斜板の傾斜に応じ油圧モータの出力軸の回転を油圧ポンプの入力軸の回転を中心に増減速させる油圧式無段変速装置を備えると共に、油圧ポンプの入力軸と油圧モータとの間に多段形変速機構を介設したことを特徴とする作業車の無段変速装置。
- 油圧ポンプの入力軸に一体連結させるポンププランジャブロックと、ポンププランジャブロックに設けるプランジャのストロークを変更するポンプ斜板と、油圧ポンプの入力軸にモータケースを一体連結させるモータケース回転軸と、モータケースの内設させるモータ斜板と、モータ斜板にプランジャを当接させるモータプランジャブロックとプランジャブロックに一体連結させるモータ出力軸と、ポンププランジャブロックとモータプランジャブロックとを連通させる油圧回路とを備え、油圧ポンプの入力軸とケース回転軸との間に多段形変速機構を介設したことを特徴とする請求項1記載の作業車の無段変速装置。
- 油圧ポンプの入力軸とケース回転軸を2段に配設させ、入力軸とケース回転軸との間に多段形変速機構を介設したことを特徴とする請求項1または2記載の作業車の無段変速装置。
- 油圧ポンプと油圧モータとの接続油圧回路中にリリーフ弁を介設させ、多段形変速機構の変速に応じリリーフ弁のリリーフ圧を変更可能に設けたことを特徴とする請求項1または2または3記載の作業車の無段変速装置。
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