JP4231322B2 - 固体撮像装置及び撮像方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像装置及び撮像方法に関し、特に、固体撮像装置のダイナミックレンジの低下を抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から固体撮像装置としてMOS型のものが汎用されている。固体撮像装置の内部には、受光量に基づく信号電位を生成する複数の画素セルが備えられており、これらは共通の出力線を利用して信号電位を信号処理部に伝送している。このような複数の画素セルが出力線を共有している固体撮像装置においては、出力線を時分割で利用するために、特定の画素セルのみが信号電位を出力し、それ以外の画素セルは信号電位を出力しないようにする画素セル選択機能が必要となる。また、複数の画素セルを1つずつ順次動作させるための走査回路が必要となる。
【0003】
上記の選択機能は、各画素セルの出力端にスイッチトランジスタを設けることで解決するが、その場合、スイッチトランジスタを全ての画素セルに設けなければならず、固体撮像装置のサイズの縮小化の要請に応えられない。そこで、各画素セルに共通に供給される電源電位を一定電位ではなく、高電位と低電位とを周期的に遷移させることで、上記のようなスイッチトランジスタを設けなくても特定の画素セルのみに選択的に信号電位を出力させる技術が特許文献1に開示されている。
【0004】
また、走査回路については、ダイナミックロジックにより構成された走査回路が特許文献2に開示されている。特に、NMOSトランジスタを用いたダイナミックロジックによれば、走査回路をより高速に動作させることが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−46864号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2003−46879号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような電位が周期的に遷移する電源回路とダイナミックロジックにより構成される走査回路とをあわせ持つ固体撮像装置には、以下のような問題がある。
ダイナミックロジックにより構成される走査回路は、選択された画素セルに対して信号を出力するときは、その出力端の電位がHi電位又はLo電位のどちらかになるが、非選択の画素セルに対する出力端は、ハイインピーダンスとなり、ハイインピーダンスの出力端と非選択の画素セルとを結ぶ信号線がフローティング状態となる。
【0008】
信号線がフローティング状態となれば、集積回路の構造上存在するカップリング容量により、高電位と低電位とを繰り返し遷移している電源電位の影響を受ける。特に、電源電位が低電位から高電位に遷移する際に、フローティング状態の信号線の電位がカップリング容量を介して上昇して、あたかも非選択の画素セルに対し選択状態となるための信号を与えたかのようになる。これにより非選択の画素セルから信号電位が出力されて、出力信号線の電位が変調され、正規に選択された画素セルによる信号電位が正確に検出できなくなる。
【0009】
また、画素セルからの信号電位を検出する信号処理部は、画素セルが最初に基準電位を出力した後に、その画素セルにおける受光量に応じて信号電位が降下した分を画素信号として読み出しており、画素信号が大きいほど出力線の電位が低くなるため、このとき、非選択の画素セルによる出力信号線の変調の影響が無視できなくなる。これは、ダイナミックレンジの低下を意味する。
【0010】
そこで、本発明は、サイズの縮小化、動作の高速化の要請を満たしつつ、ダイナミックレンジの低下を抑制する固体撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る固体撮像装置は、受光量に応じた電荷を電荷保持部に保持する複数の画素セルが行列状に配置され、有効化された画素セルにおける電荷保持部の電荷の変動に基づいて出力される画素信号を、各列において同一列の画素セルが共通に接続されている複数の出力線を介して検出する固体撮像装置であって、周期的に高電位と低電位とを繰り返し出力する出力回路と各画素セル内の電荷保持部とを開閉する各画素セルに個別の電源スイッチと、各行において同一行の画素セルを共通に接続し、行単位で前記電源スイッチの開閉を制御する複数の行制御信号線と、行を順に選択し当該選択行の行制御信号線に対しては前記電源スイッチを開にする開電位及び当該電源スイッチを閉にする閉電位のどちらかを常に与え前記出力回路の出力が高電位のときに前記電源スイッチを閉にした後に開とすることにより当該画素セルを有効化しさらにその後前記出力回路の出力が低電位のときに前記電源スイッチを閉にした後に開とすることにより当該画素セルを無効化し非選択行の行制御信号線に対しては前記開電位及び前記閉電位のどちらも与えずハイインピーダンスとする行走査回路と、前記出力回路の出力が低電位から高電位に立ち上がる前から立ち上がる後まで前記非選択行の行制御信号線に対して前記開電位を与える電位付与手段とを備える。
【0012】
上記構成によれば、電源電位が低電位から高電位に立ち上がる前後において、非選択行の行制御信号線の電位は、電源スイッチを開く開電位になる。これにより、非選択行の行制御信号線は、少なくともこの間だけはフローティング状態とならない。つまり、電源電位の立ち上がりに伴い、カップリング容量によりフローティング状態の行制御信号線の電位が上昇することがなくなり、非選択行の画素セルであるにも関わらず、信号を出力してしまうようなことがない。
【0013】
したがって、固体撮像装置のダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
[概要]
本実施の形態は、VDDCELLの電位が上昇する前後においてリセット信号線をGNDと接続することにより、VDDCELLの電位上昇に伴うリセットトランジスタのゲート電位の上昇を抑制している。したがって、非選択行の電荷保持部の電位はLo電位に保たれたままであり、非選択行の画素セルが出力信号線に信号電位を出力することがなくなる。これにより、ダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
【0015】
[構成]
図1は、実施の形態1に係る固体撮像装置の構成を示す図である。
固体撮像装置は、撮像部、行走査回路、信号処理部、負荷回路、列走査回路及びALLRS回路からなり、各画素セルが受光量に応じて出力する画素信号を読み出すものである。
【0016】
各画素セルは撮像部において行列状に配置されている。各列の画素セルは、共通の出力信号線に接続され、各行の画素セルは、共通のリード線及びリセット信号線に接続されている。各列の出力信号線は、信号処理部及び列走査回路に接続され、各行のリード信号線及びリセット信号線は、行走査回路に接続されている。
【0017】
画素セル10は、光電変換素子11、リードトランジスタ12、リセットトランジスタ13、増幅トランジスタ14、電荷保持部15、出力端16からなる。
光電変換素子11は、受光量に応じて電荷を生成する。
リードトランジスタ12は通常OFF状態であり、リードパルスがHi電位になっているときだけON状態となり、光電変換素子11が生成した電荷を電荷保持部15に伝送する。
【0018】
電荷保持部15は、集積回路内のPN接合部に相当し、与えられた電荷を保持することで電位を保持しており、その電位に応じて増幅トランジスタ14のVDDCELLから出力信号線への電流を制御する。
リセットトランジスタ13は通常OFF状態であり、リセットパルスがHi電位になっているときだけON状態となる。
【0019】
また、VDDCELLは、周期的にHi電位とLo電位とを繰り返す電源回路である。
画素セル10が上記のような構成なので、VDDCELLがHi電位のときリセットトランジスタ13がON状態となると電荷保持部15の電位がHi電位となる。それに伴い、増幅トランジスタ14がON状態となりVDDCELLから出力端16へと電流が流れ、出力信号線の電位が基準電位まで上昇する。その後、リードトランジスタ12をON状態として光電変換素子11と電荷保持部15とを導通させると、光電変換素子11が生成した電荷の量に応じて電荷保持部15の電位が降下する。この降下分に応じて増幅トランジスタ14を介し、出力信号線の電位が降下して信号電位となる。信号処理部は上記の基準電位と信号電位との電位差を画素信号として検出している。その後VDDCELLがLo電位のときにリセットトランジスタ13がON状態となると電荷保持部15の電位がLo電位となる。それに伴い、増幅トランジスタ14がOFF状態となる。
【0020】
このように、VDDCELLがHi電位のときリセットトランジスタ13をON状態とした後にOFF状態とすることで画素セル10を有効化し、VDDCELLがLo電位のときリセットトランジスタをON状態とした後にOFF状態とすることで画素セル10を無効化することができる。そして、画素セルが有効化されてから無効化されるまでの間に、画素信号が読み出される。他の画素セルも画素セル10と同様の構成になっているので説明を省略する。
【0021】
行走査回路80は、1行を選択し、選択行に属する画素セルを有効化するべくリセット信号線にリセットパルスを与え、その後、リード信号線にリードパルスを与えることにより画素セルに信号電位を出力させて、当該画素セルを無効化するべくリセット信号線にリセットパルスを与える回路である。行走査回路80は、この動作を1サイクルとして、次々と行を走査していく。なお、行走査回路80は、NOMSトランジスタを用いたダイナミックロジックにより構成されている。
【0022】
負荷回路91は、信号処理部92が出力信号線の電位を検出する際に、出力信号線に一定の電流を流すための回路である。
列走査回路93は、信号処理部92に特定の列を選択するための回路である。これにより、信号処理部92は、読み出された選択行の画素信号を列ごとに順次出力することができる。
【0023】
ALLRS回路94は、各リセット信号線とGNDとを接続するGNDトランジスタ61、62からなり、ALLRSパルスによりON状態とOFF状態とが制御される回路である。これにより、ALLRSパルスがHi電位である間は、GNDトランジスタ61、62がON状態となり、リセット信号線の電位はGND電位となる。
【0024】
行走査回路80がNMOSトランジスタを用いたダイナミックロジックで構成されていれば、例えば画素セル10が属する行が選択行であり画素セル20が属する行が非選択行であるとき、選択行のリセット信号線97の電位は、行走査回路80がリセットパルスを与えるときだけHi電位となり、それ以外のときはLo電位となる。また、非選択行のリセット信号線98の電位は、フローティング状態となる。
【0025】
このような状態でVDDCELLがLo電位からHi電位に立ち上がるとき、画素セル20に存在するカップリング容量28を介してリセットトランジスタ23のゲート電位が上昇する。すると、リセットトランジスタ23がON状態となり、電荷保持部25がHi電位となってしまい、それに伴って増幅トランジスタ24が、電流を流してしまう。これにより、出力信号線の電位が変調されてしまい、固体撮像装置のダイナミックレンジが低下してしまう。
【0026】
そこで、ALLRS回路94によりVDDCELLがLo電位からHi電位に立ち上がるときにリセット信号線の電位をGND電位に固定し、フローティング状態ではないようにすることで、リセットトランジスタ23をOFF状態に保つことができる。これにより、上記のように非選択行の画素セルであるにも関わらず出力信号線に電流を流してしまうことを防止し、ダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
【0027】
図2は、固体撮像装置の駆動パルスを示す図である。
本実施の形態における駆動パルスの特徴は、図2のg点において、VDDCELLの電位がLo電位からHi電位に上昇する前後にわたりALLRSパルスを与えることである。これにより、GNDトランジスタ61、62がON状態となり各行のリセット信号線がGNDと接続される。
【0028】
また、このようにVDDCELLの電位がLo電位からHi電位に上昇する前後においてリセット信号線がGNDと接続されているので、非選択行のリセットトランジスタにカップリング容量が存在していたとしても、ゲート電位が変動することはない。したがって、非選択行の電荷保持部の電位はLo電位に保たれたままであり、非選択行の画素セルであるにも関わらず電流が流れ出してしまうことを防止することができる。これにより、NMOSトランジスタを用いたダイナミックロジックにより構成された行走査回路を用いても、固体撮像装置のダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
【0029】
なお、本実施の形態では、ALLRSパルスをHi電位とするタイミングとして、源クロックの17サイクル目の立ち上がりとし、Lo電位とするタイミングを19サイクル目の立ち上がりとしているが、VDDCELLがLo電位からHi電位に上昇する間(18サイクル目)をまたぎ、かつ、リセットパルスnがHi電位であるときを避けるタイミングであれば、これに限らない。
【0030】
上記のような各種パルスを生成する行走査回路80の構成について、以下に詳しく説明する。
図3は、行走査回路の構成を示す図である。
また、図4は、図3における行走査回路の各構成要素から出力されるパルスを示す図である。
【0031】
行走査回路は、図3に示すように、パルス生成部81、シフトレジスタ82及び選択回路83からなる。
パルス生成部81は、カウンタなどから構成されており、図2に示す源クロックClkを元にあらかじめ設定されたタイミングにおいて、設定された幅のパルスを生成し出力するものである。
【0032】
パルス生成部81は、源クロックClkを元にHi電位を示すタイミングが異なる出力信号Out、リードパルスRead、リセットパルスResetを生成し、出力信号Outをシフトレジスタ82に、リードパルスRead及びリセットパルスResetを選択回路83に、ALLRSパルスをALLRS回路84に出力している。
【0033】
シフトレジスタ82は、出力信号Outを元に、Hi電位を示すタイミングが異なるOut1、Out2を生成して別々の端子から出力する。
選択回路83は、パルス生成部81が生成したRead及びResetを受信する。選択回路のセル85は、OutとReadとの論理積をRead1として出力するAND回路と、OutとResetとの論理積をReset1として出力するAND回路とを有している。また、選択回路のセル86も同様に2つのAND回路を有している。
【0034】
選択回路83から出力されたRead1、Read2、及びReset1、Reset2は、ALLRS回路84を介して撮像部に入力される。
このように出力されるRead1、Reset1が図2におけるリードパルスn、リセットパルスnであり、Read2、Reset2が図2におけるリードパルスn+1、リセットパルスn+1であり、ALLRSが図2のALLRSパルスに相当する。
【0035】
図5は、VDDCELL、ALLRSパルス、リセットパルスを生成する論理回路の一例を示す図である。
(a)に示すカウンタ101は、図2に示す源クロックClkを数え上げており、その数をカウンタ出力として出力するものである。なお、本実施の形態においては、ユーザ操作(例えば、当該固体撮像装置がデジタルカメラに用いられていれば、ユーザのシャッター操作)などをトリガとして、1サイクル目から数え上げ、19サイクルでリセットされるものとする。
【0036】
(b)は、図2に示すVDDCELLを生成する論理回路を示す。VDDCELLは、SRラッチ102とAND素子103とにより生成される。
SRラッチ102は、カウンタ出力が15のときセットし、18のときリセットするものである。また、AND素子103は、SRラッチ102の反転出力と、Hi電位に一定に保たれたVDDとの論理積を出力するものである。
【0037】
これによると、VDDCELLは、源クロックClkの15サイクル目の立ち上がりから18サイクル目の立ち上がりまでLo電位となり、それ以外のときはHi電位となる。
(c)は、図2に示すALLRSパルスを生成する論理回路を示す。ALLRSパルスは、SRラッチ104とAND素子105とにより生成される。
【0038】
SRラッチ104は、カウンタ出力が17のときセットし、19のときリセットするものである。また、AND素子105は、SRラッチ104の出力と、VDDとの論理積を出力するものである。
これによると、ALLRSパルスは、源クロックClkの17サイクル目の立ち上がりから19サイクル目の立ち上がりまでHi電位となり、それ以外のときはLo電位となる。
【0039】
(d)は、図3に示すリセットパルスReadを生成する論理回路を示す。リセットパルスReadは、SRラッチ106、SRラッチ107、OR素子108及びAND素子109とにより生成される。
SRラッチ106は、カウンタ出力が6のときセットし、7のときリセットする。また、SRラッチ107は、カウンタ出力が16のときセットし、17のときリセットする。OR素子108は、SRラッチ106の出力とSRラッチ107の出力との論理輪を出力するものである。AND素子109は、OR素子108の出力とVDDとの論理積を出力するものである。
【0040】
これによると、リセットパルスReadは、源クロックClkの6サイクル目の立ち上がりから7サイクル目の立ち上がりまでと、16サイクル目の立ち上がりから17サイクルの立ち上がりまでとがHi電位となり、それ以外のときはLo電位となる。
このように、固体撮像装置において用いられる各種パルスとして、源クロックClkを元に所定のタイミングにより所定の幅のものが生成される。
【0041】
図6は、図3における選択回路内部のAND回路の構成を示す図である。
また、図7は、図6におけるAND回路のパルスを示す図である。
AND回路は、ANDトランジスタ110とキャパシタ111とからなる。図6に示すものは、Out1とResetとの論理積を出力するAND回路であるが、Out1とReadとの論理積を出力するAND回路など他のAND回路も同様の構成となっている。
【0042】
ANDトランジスタ110のドレインにはResetが入力され、ゲートに入力されるOut1の電位により出力電位が制御される。Out1としてHi電位が入力されると(図7、S1)、ANDトランジスタのゲート電位が上昇してON状態となる。このときドレインとソースとが接続され、ANDトランジスタ110は、Resetの電位を出力する。つまり、ResetがLo電位であればReset1としてLo電位が出力される。また、ResetがHi電位となれば(図7、S2)、それに応じてReset1がHi電位となる(図7、S4)。
【0043】
また、このAND回路は、Reset1としてHi電位が出力されている間、キャパシタ111を介してゲート電位がさらに上昇することにより(図7、S3)、電位利用率を上げるブートストラップ回路を有している。
このように、AND回路の出力端は、Out1がHi電位のときだけResetの電位に応じてHi電位かLo電位をとるが、Out1がLo電位のときは、ANDトランジスタ110がOFF状態であるためハイインピーダンスとなる。これにより、AND回路の出力端と接続されているリセット信号線は、Out1がHi電位のときだけ固定電位となり、Out1がLo電位のときはフローティング状態となる。
【0044】
[動作]
以下に、固体撮像装置の各動作段階について図2を参照して具体的に説明する。
(1)電荷保持部15の電位をVDDCELLのHi電位にして当該画素セルを有効化するべく、リセットパルスnがHi電位となり、リセットトランジスタ13がON状態となる。これにより、電荷保持部15の電位がHi電位になり、それに応じた電位が増幅トランジスタ14の出力端16から出力されて出力信号線の電位が上昇する。(図2、a点)。
【0045】
(2)リセットパルスnがLo電位となりリセットトランジスタ13がOFF状態となる。このとき、電荷保持部15は、Hi電位を保つ(図2、b点)。
(3)リードパルスnがHi電位となり、リードトランジスタ12がON状態となる。これにより、光電変換素子11に光情報に応じて蓄積されていた電荷が、電荷保持部15に読み出され、その結果、電荷保持部15の電位が降下する。電荷保持部15の電位の降下に応じて、増幅トランジスタ14の出力端16の電位が降下し、出力信号線の電位が降下する(図2、c点)。
【0046】
(4)リードパルスnがLo電位となりリードトランジスタ12がOFF状態となる(図2、d点)。信号処理部は、b点での出力信号線の電位とd点での出力信号線の電位とを検出し、その電位差を画素信号として読み出す。その後、VDDCELLがLo電位となる(図2、d´点)。
(5)VDDCELLのHi電位がLo電位に降下した後に、電荷保持部15の電位をVDDCELLのLo電位とし、当該画素セルを無効化するべく、リセットパルスnがHi電位となり、リセットトランジスタ13がON状態となる。これにより、電荷保持部15の電位がLo電位になり、増幅トランジスタ14がOFF状態となる。以上により画素セル10の画素信号出力動作が終了する(図2、e点)。
【0047】
(6)リセットパルスnがLo電位となりリセットトランジスタ13がOFF状態となった後、ALLRSパルスが、VDDCELLのLo電位がHi電位に上昇する前後にわたりHi電位となる。これにより、リセット信号線がGNDと接続されて、その間、リセットトランジスタのゲート電位はGND電位に固定される(図2、g点)。
【0048】
(7)その後、n行目は非選択行となり、n+1行目が選択行となる(図2、f点)。
このように、ALLRSパルスが、VDDCELLのLo電位がHi電位に上昇する前後にわたりHi電位となることで、リセットトランジスタのゲート電位がGND電位に固定され、VDDCELLの上昇に伴うゲート電位の上昇が抑制される。これにより、非選択行であるにも関わらず電流が流れ出してしまう事態を防止することができる。したがって、NMOSトランジスタを用いたダイナミックロジックにより構成された行走査回路を用いても、固体撮像装置のダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
【0049】
なお、VDDCELLのLo電位がHi電位に上昇するときにリセットトランジスタのゲート電位が上昇しないようにさえすれば、上述のようにALLRS回路及びGNDトランジスタによるものに限らず、他の実現手段でも構わない。
例えば、GNDトランジスタ61、62の代わりに抵抗素子を設けたプルダウン回路による方法が考えられる。この場合の抵抗値は、200kΩ以上であることが望ましい。以下にその理由を述べる。
【0050】
電源回路からプルダウン回路までの間には、行走査回路の内部のドライバ回路が直列に配置される形となる。通常、ドライバ回路は数kΩのON抵抗値(Rdr)を持つため、各画素セルに与えられるリセットパルスには、プルダウン回路の抵抗値(Rpd)により次式のような電圧降下(SIGh)が生じる。
SIGh=VDD×Rpd/(Rpd+Rdr)
ここでVDDは、電源電圧を示す。
【0051】
電源電圧が低電圧化されるときは、この電圧降下は2パーセント以下に抑えることが望ましいので、RpdはRdrよりも50倍以上の抵抗値である必要がある。したがって、プルダウン回路の抵抗値は200kΩ以上であることが望ましい。
(実施の形態2)
[概要]
本実施の形態は、VDDCELLの電位上昇に伴うリセットトランジスタのゲート電位の上昇のみならず、リードトランジスタのゲート電位の上昇も防止して、非選択行の画素セルにおいて光電変換素子と電荷保持部とが接続されることによるダイナミックレンジの低下を抑制するものである。
【0052】
[構成]
図8は、実施の形態2に係る固体撮像装置の構成を示す図である。
本実施の形態における固体撮像装置の構成は、ALLREAD回路99とカップリング容量29を除き実施の形態1の構成と同様であるので、同様の構成については説明を省略し、実施の形態1と異なる構成だけを説明する。
【0053】
集積回路内の各素子のレイアウトによっては、リードトランジスタ22のゲートとVDDCELLとの間にカップリング容量29が存在することとなる。行走査回路80がNMOSトランジスタを用いたダイナミックロジックにより構成されている場合、リードトランジスタ22のゲートは、リセットトランジスタ23のゲートと同様に、非選択時にはフローティングの状態となる。したがって、VDDCELLの電位上昇に伴い、カップリング容量29を介してリードトランジスタ22のゲート電位が上昇することがあり得る。このような場合、リードトランジスタ22がON状態となり、光電変換素子11に蓄えられている電荷が漏れ出し、正確な画素信号が得られなくなりダイナミックレンジの低下を引き起こす。
【0054】
そこで、本実施の形態は、実施の形態1の構成にALLREAD回路99としてGNDトランジスタ71、72を追加した構成となっている。
ALLREAD回路99は、各リード信号線とGNDとを接続するGNDトランジスタ71、72からなり、ALLREADパルスによりON状態とOFF状態とが制御される回路である。これにより、ALLREADパルスがHi電位である間は、GNDトランジスタ71、72がON状態となり、リセット信号線の電位はGND電位となる。
【0055】
図9は、固体撮像装置の駆動パルスを示す図である。
本実施の形態における駆動パルスの特徴は、図9のh点において、VDDCELLの電位がLo電位からHi電位に上昇する前後にわたりALLRSパルスとALLREADパルスとをHi電位とすることである。これにより、GNDトランジスタ61、62、71、72がON状態となり各行のリセット信号線とリード信号線とがGNDに接続される。
【0056】
また、このようにVDDCELLの電位が上昇する前後においてリセット信号線とリード信号線とがGNDに接続されているので、非選択行の画素セルにおいてカップリング容量28及びカップリング容量29が存在していたとしても、リセットトランジスタ23及びリードトランジスタ22のゲート電位が上昇することはない。
【0057】
したがって、非選択行の電荷保持部25の電位はLo電位に保たれたままとなる。つまり、非選択行であるにも関わらず電流が流れ出してしまう事態を防止することができる。また、非選択行のリードトランジスタがON状態となり、光電変換素子21に蓄積されている電荷が漏れ出すようなことがない。これにより、NMOSトランジスタを用いたダイナミックロジックにより構成された行走査回路を用いても、固体撮像装置のダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
【0058】
なお、図9に示すように、ALLREADパルスとALLRSパルスとが同一のタイミングでHi電位になる仕様であれば、ALLREADパルスを生成する回路を別に設けなくても、ALLRSパルスを生成する回路を共有することができる。
また、ALLREADパルスは電源電位がLo電位からHi電位に遷移する前後にわたりHi電位であれば、ALLRSパルスと必ずしも同一のタイミングにする必要がない。そこでALLREADパルスを生成する回路を別に設けるという場合は、実施の形態1で説明したものと同様の構成により実現することができる。即ち、SRラッチの出力と、VDDとの論理積により生成することができる。
【0059】
[動作]
以下に、固体撮像装置の各動作段階について図9を参照して具体的に説明する。
(1)電荷保持部15の電位をVDDCELLのHi電位にして当該画素セルを有効化とするべく、リセットパルスnがHi電位となり、リセットトランジスタ13がON状態となる。これにより、電荷保持部15の電位がHi電位になり、それに応じた電位が増幅トランジスタ14の出力端16から出力されて出力信号線の電位が上昇する。(図9、a点)。
【0060】
(2)リセットパルスnがLo電位となりリセットトランジスタ13がOFF状態となる。このとき、電荷保持部15は、Hi電位を保つ(図9、b点)。
(3)リードパルスnがHi電位となり、リードトランジスタ12がON状態となる。これにより、光電変換素子11に光情報に応じて蓄積されていた電荷が、電荷保持部15に読み出され、その結果、電荷保持部15の電位が降下する。電荷保持部15の電位の降下に応じて、増幅トランジスタ14の出力端16の電位が降下し、出力信号線の電位が降下する(図9、c点)。
【0061】
(4)リードパルスnがLo電位となりリードトランジスタ12がOFF状態となる(図9、d点)。信号処理部は、b点での出力信号線の電位とd点での出力信号線の電位とを検出し、その電位差を画素信号として読み出す。その後、VDDCELLがLo電位となる(図9、d´点)。
(5)VDDCELLのHi電位がLo電位に降下した後に、電荷保持部15の電位をVDDCELLのLo電位とし、当該画素セルを無効化するべく、リセットパルスnがHi電位となり、リセットトランジスタ13がON状態となる。これにより、電荷保持部15の電位がLo電位になり、増幅トランジスタ14がOFF状態となる。以上により画素セル10の画素信号出力動作が終了する(図9、e点)。
【0062】
(6)リセットパルスnがLo電位となりリセットトランジスタ13がOFF状態となった後、ALLRSパルスとALLRESADパルスが、VDDCELLのLo電位がHi電位に上昇する前後にわたりHi電位となる。これにより、リセット信号線とリード信号線とがGNDに接続されて、その間、リセットトランジスタとリードトランジスタとのゲート電位はGND電位に固定される。(図9、h点)。
【0063】
(7)その後、n行目は非選択行となり、n+1行目が選択行となる(図9、g点)。
このように、ALLREADパルスが、VDDCELLのLo電位がHi電位に上昇する前後にわたりHi電位となることで、リードトランジスタのゲート電位がGND電位に固定され、VDDCELLの上昇に伴うゲート電位の上昇が抑制される。これにより、リードトランジスタがON状態となり、光電変換素子に蓄積されている電荷が漏れ出すようなことがなくなる。
【0064】
また、ALLRSパルスについては、実施の形態1と同様に、VDDCELLのLo電位がHi電位に上昇する前後にわたりHi電位となることで、リセットトランジスタのゲート電位がGND電位に固定され、VDDCELLの上昇に伴うゲート電位の上昇が抑制される。これにより、非選択行であるにも関わらず電流が流れ出してしまう事態を抑制することができる。
【0065】
したがって、NMOSトランジスタを用いたダイナミックロジックにより構成された行走査回路を用いても、固体撮像装置のダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
なお、実施の形態2において、VDDCELLのLo電位がHi電位に上昇するときにリセットトランジスタ及びリードトランジスタのゲート電位が上昇しないようにさえすれば、上述のようにGNDトランジスタによるものに限らず、他の実現手段でも構わない。
【0066】
例えば、GNDトランジスタ61、62、71、72の代わりにプルダウン回路を設ける手段が考えられる。この場合のプルダウン回路の抵抗値は、実施の形態1と同じ理由により200kΩ以上であることが望ましい。
なお、実施の形態2において、リセットトランジスタのゲート電位をGND電位とするためのALLRS回路と、リードトランジスタのゲート電位をGND電位とするためのALLREAD回路とを組み合わせているが、リセットトランジスタのゲート電位をGND電位とする必要がない場合には、ALLREAD回路のみをGND電位とすることによりダイナミックレンジの低下を抑制してもよい。
【0067】
なお、実施の形態1において、GNDトランジスタ61、62が共通のALLRSパルスにより制御されているが、これに限らない。例えば、GNDトランジスタ61、62が個別の制御線により制御されており、VDDCELLが立ち上がるときに、非選択行のGNDトランジスタがON状態となり、選択行のGNDトランジスタがOFF状態となるような制御でも構わない。
【0068】
【発明の効果】
本発明に係る固体撮像装置は、受光量に応じた電荷を電荷保持部に保持する複数の画素セルが行列状に配置され、有効化された画素セルにおける電荷保持部の電荷の変動に基づいて出力される画素信号を、各列において同一列の画素セルが共通に接続されている複数の出力線を介して検出する固体撮像装置であって、周期的に高電位と低電位とを繰り返し出力する出力回路と各画素セル内の電荷保持部とを開閉する各画素セルに個別の電源スイッチと、各行において同一行の画素セルを共通に接続し、行単位で前記電源スイッチの開閉を制御する複数の行制御信号線と、行を順に選択し当該選択行の行制御信号線に対しては前記電源スイッチを開にする開電位及び当該電源スイッチを閉にする閉電位のどちらかを常に与え前記出力回路の出力が高電位のときに前記電源スイッチを閉にした後に開とすることにより当該画素セルを有効化しさらにその後前記出力回路の出力が低電位のときに前記電源スイッチを閉にした後に開とすることにより当該画素セルを無効化し非選択行の行制御信号線に対しては前記開電位及び前記閉電位のどちらも与えずハイインピーダンスとする行走査回路と、前記出力回路の出力が低電位から高電位に立ち上がる前から立ち上がる後まで前記非選択行の行制御信号線に対して前記開電位を与える電位付与手段とを備える。
【0069】
上記構成によれば、電源電位が低電位から高電位に立ち上がる前後において、非選択行の行制御信号線の電位は、電源スイッチを開く開電位になる。これにより、非選択行の行制御信号線は、少なくともこの間だけはフローティング状態とならない。つまり、電源電位の立ち上がりに伴い、カップリング容量によりフローティング状態の行制御信号線の電位が上昇することがなくなり、非選択行の画素セルであるにも関わらず、信号を出力してしまうようなことがない。
【0070】
したがって、固体撮像装置のダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
また、前記電位付与手段は、前記行走査回路が選択行の行制御信号線に対し開電位を与えているときに非選択行であるか選択行であるかに関わらず全ての行制御信号線に対して前記開電位を与えることとしてもよい。
【0071】
固体撮像装置は、行走査回路により1行を選択し、選択行の画素セルを有効化して当該画素セルの画素信号を検出し、その後当該画素セルを無効化してから次の行を選択するという動作を順次行う。つまり、選択行は、時により異なり固定的ではない。したがって、行制御信号線の電位を開電位にする動作を、非選択行の行制御信号線のみを対象として行う場合、非選択行の行制御信号線のみを選択するための特別な機能が必要となる。
【0072】
ところが、上記構成によれば、選択行の行制御信号線は、元々フローティング状態ではないけれども、全ての行制御信号線を共通に開電位にすることにより、特別な機能を持たせる必要がなくなる。
また、前記固体撮像装置は、さらに、前記開電位を示すGND部と各行の行制御信号線とを開閉する複数のGNDスイッチと、前記GNDスイッチの開閉を一括制御する一括制御信号線とを備え、前記電位付与手段は、前記一括制御信号線に対して前記GNDスイッチを閉にする電位を与えることとしてもよい。
【0073】
上記構成によれば、それぞれの行制御信号線は、GNDスイッチを介してGND部と接続されている。このように、スイッチを用いることで必要なときだけ行制御信号線とGND部とを接続することができるので、電力の消費量が抑えられる。
また、前記固体撮像装置は、さらに、前記開電位を示すGND部と各行の行制御信号線とを接続する抵抗素子を備え、前記電位付与手段は、前記行走査回路が非選択の行制御信号線に対してハイインピーダンスとなることにより当該行制御信号線に対して前記開電位を与えることとしてもよい。
【0074】
上記構成によれば、それぞれの行制御信号線は、抵抗素子を介してGND電位と接続されている。このように、抵抗素子により固定的に接続しておくことで、特別な制御回路などを設けなくても、非選択行の行制御信号線の電位がGND電位に保たれる。
また、前記固体撮像装置は、さらに、各画素セルにおいて受光量に応じて電荷を生成する光電変換部と前記電荷保持部とを開閉する各画素セルに個別のリードスイッチと、各行において同一行の画素セルを共通に接続し行単位で前記リードスイッチの開閉を制御する複数のリード信号線とを備え、前記行走査回路は、さらに、前記選択行のリード信号線に対しては前記リードスイッチを開にする開電位及び当該リードスイッチを閉にする閉電位のどちらかを常に与え前記画素セルが有効化されているとき前記リードスイッチを閉にした後に開とすることにより前記電荷保持部の電荷を変動させ非選択行のリード信号線に対しては前記開電位及び前記閉電位のどちらも与えずハイインピーダンスとし、前記電位付与手段は、さらに、前記出力回路の出力が低電位から高電位に立ち上がる前から立ち上がる後まで前記非選択行のリード信号線に対して前記開電位を与えることとしてもよい。
【0075】
上記構成によれば、電源電位が低電位から高電位に立ち上がる前後において、非選択行のリード信号線の電位は、リードスイッチを開く開電位になる。これにより、非選択行のリード信号線は、少なくともこの間だけはフローティング状態とならない。つまり、電源電位の立ち上がりに伴い、カップリング容量によりフローティング状態のリード信号線の電位が上昇することがなくなり、非選択行の画素セルであるにも関わらず、リードスイッチを開くようなことがない。
【0076】
したがって、光電変換部に蓄積されている電荷が電荷保持部に漏れ出すことによる固体撮像装置のダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
また、前記電位付与手段は、前記行走査回路が選択行のリード信号線に対し開電位を与えているときに非選択行であるか選択行であるかに関わらず全てのリード信号線に対して前記開電位を与えることとしてもよい。
【0077】
固体撮像装置は、行走査回路により1行を選択し、選択行の画素セルを有効化して当該画素セルの画素信号を検出し、その後当該画素セルを無効化してから次の行を選択するという動作を順次行う。つまり、選択行は、時により異なり固定的ではない。したがって、リード信号線の電位を開電位にする動作を、非選択行のリード信号線のみを対象として行う場合、非選択行のリード信号線のみを選択するための特別な機能が必要となる。
【0078】
ところが、上記構成によれば、選択行のリード信号線は、元々フローティング状態ではないけれども、全てのリード信号線を共通に開電位にすることにより、特別な機能を持たせる必要がなくなる。
また、前記固体撮像装置は、さらに、前記開電位を示すGND部と各行のリード信号線とを開閉する複数のGNDスイッチと、前記GNDスイッチの開閉を一括制御する一括制御信号線とを備え、前記電位付与手段は、前記一括制御信号線に対して前記GNDスイッチを閉にする電位を与えることとしてもよい。
【0079】
上記構成によれば、それぞれのリード信号線は、GNDスイッチを介してGND部と接続されている。このように、スイッチを用いることで必要なときだけリード信号線とGND部とを接続することができるので、電力の消費量が抑えられる。
また、前記固体撮像装置は、さらに、前記開電位を示すGND部と各行のリード信号線とを接続する抵抗素子を備え、前記電位付与手段は、前記行走査回路が非選択のリード信号線に対してハイインピーダンスとなることにより当該リード信号線に対して前記開電位を与えることとしてもよい。
【0080】
上記構成によれば、それぞれのリード信号線は、抵抗素子を介してGND電位と接続されている。このように、抵抗素子により固定的に接続しておくことで、特別な制御回路などを設けなくても、非選択行のリード信号線の電位がGND電位に保たれる。
また、前記行走査回路は、NMOSトランジスタを用いたダイナミックロジックにより構成されていることとしてもよい。
【0081】
上記構成によれば、行走査回路の動作がより高速となる。
本発明に係る固体撮像装置における撮像方法は、受光量に応じた電荷を電荷保持部に保持する複数の画素セルが行列状に配置され、有効化された画素セルにおける電荷保持部の電荷の変動に基づいて出力される画素信号を、各列において同一列の画素セルが共通に接続されている複数の出力線を介して検出する固体撮像装置における撮像方法であって、行を順に選択し、周期的に高電位と低電位とを繰り返し出力する出力回路と各画素セル内の電荷保持部とを開閉する各画素セルに個別の電源スイッチに対し、当該電源スイッチの開閉を行単位で制御する各行において同一行の画素セルを共通に接続した複数の行制御信号線のうち、当該選択行の行制御信号線に対しては、前記電源スイッチを開にする開電位及び当該電源スイッチを閉にする閉電位のどちらかを常に与え、前記出力回路の出力が高電位のときに前記電源スイッチを閉にした後に開とすることにより当該画素セルを有効化し、さらにその後、前記出力回路の出力が低電位のときに前記電源スイッチを閉にした後に開とすることにより当該画素セルを無効化し、非選択行の行制御信号線に対しては、前記開電位及び前記閉電位のどちらも与えずハイインピーダンスとする行走査ステップと、前記出力回路の出力が低電位から高電位に立ち上がる前から立ち上がる後まで前記非選択行の行制御信号線に対して前記開電位を与える電位付与ステップとを含むことを特徴とする。
【0082】
上記構成によれば、電源電位が低電位から高電位に立ち上がる前後において、非選択行の行制御信号線の電位は、電源スイッチを開く開電位になる。これにより、非選択行の行制御信号線は、少なくともこの間だけはフローティング状態とならない。つまり、電源電位の立ち上がりに伴い、カップリング容量によりフローティング状態の行制御信号線の電位が上昇することがなくなり、非選択行の画素セルであるにも関わらず、信号を出力してしまうようなことがない。
【0083】
したがって、固体撮像装置のダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
また、前記固体撮像装置は、さらに、各画素セルにおいて受光量に応じて電荷を生成する光電変換部と前記電荷保持部とを開閉する各画素セルに個別のリードスイッチと、各行において同一行の画素セルを共通に接続し、行単位で前記リードスイッチの開閉を制御する複数のリード信号線とを備え、前記行走査ステップは、さらに、前記選択行のリード信号線に対しては、前記リードスイッチを開にする開電位及び当該リードスイッチを閉にする閉電位のどちらかを常に与え、前記画素セルが有効化されているとき前記リードスイッチを閉にした後に開とすることにより、前記電荷保持部の電荷を変動させ、非選択行のリード信号線に対しては、前記開電位及び前記閉電位のどちらも与えずハイインピーダンスとし、前記電位付与ステップは、さらに、前記出力回路の出力が低電位から高電位に立ち上がる前から立ち上がる後まで前記非選択行のリード信号線に対して前記開電位を与えることとしてもよい。
【0084】
上記構成によれば、電源電位が低電位から高電位に立ち上がる前後において、非選択行のリード信号線の電位は、リードスイッチを開く開電位になる。これにより、非選択行のリード信号線は、少なくともこの間だけはフローティング状態とならない。つまり、電源電位の立ち上がりに伴い、カップリング容量によりフローティング状態のリード信号線の電位が上昇することがなくなり、非選択行の画素セルであるにも関わらず、リードスイッチを開くようなことがない。
【0085】
したがって、光電変換部に蓄積されている電荷が電荷保持部に漏れ出すことによる固体撮像装置のダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る固体撮像装置の構成を示す図である。
【図2】固体撮像装置の駆動パルスを示す図である。
【図3】行走査回路の構成を示す図である。
【図4】行走査回路の各構成要素から出力されるパルスを示す図である。
【図5】VDDCELL、ALLRSパルス、リセットパルスを生成する論理回路の一例を示す図である。
【図6】選択回路内部のAND回路の構成を示す図である。
【図7】AND回路のパルスを示す図である。
【図8】実施の形態2に係る固体撮像装置の構成を示す図である。
【図9】固体撮像装置の駆動パルスを示す図である。
【符号の説明】
10 画素セル
11 光電変換素子
12 リードトランジスタ
13 リセットトランジスタ
14 増幅トランジスタ
15 電荷保持部
16 出力端
28 カップリング容量
29 カップリング容量
61、62 GNDトランジスタ
71、72 GNDトランジスタ
80 行走査回路
91 負荷回路
92 信号処理部
93 列走査回路
94 ALLRS回路
99 ALLREAD回路
Claims (11)
- 受光量に応じた電荷を電荷保持部に保持する複数の画素セルが行列状に配置され、有効化された画素セルにおける電荷保持部の電荷の変動に基づいて出力される画素信号を、各列において同一列の画素セルが共通に接続されている複数の出力線を介して検出する固体撮像装置であって、
周期的に高電位と低電位とを繰り返し出力する出力回路と、各画素セル内の電荷保持部とを開閉する、各画素セルに個別の電源スイッチと、
各行において同一行の画素セルを共通に接続し、行単位で前記電源スイッチの開閉を制御する複数の行制御信号線と、
行を順に選択し、当該選択行の行制御信号線に対しては、前記電源スイッチを開にする開電位及び当該電源スイッチを閉にする閉電位のどちらかを常に与え、前記出力回路の出力が高電位のときに前記電源スイッチを閉にした後に開とすることにより当該画素セルを有効化し、さらにその後、前記出力回路の出力が低電位のときに前記電源スイッチを閉にした後に開とすることにより当該画素セルを無効化し、非選択行の行制御信号線に対しては、前記開電位及び前記閉電位のどちらも与えずハイインピーダンスとする行走査回路と、
前記出力回路の出力が低電位から高電位に立ち上がる前から立ち上がる後まで、前記非選択行の行制御信号線に対して前記開電位を与える電位付与手段と
を備えることを特徴とする固体撮像装置。 - 前記電位付与手段は、
前記行走査回路が選択行の行制御信号線に対し開電位を与えているときに、非選択行であるか選択行であるかに関わらず、全ての行制御信号線に対して前記開電位を与えること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。 - 前記固体撮像装置は、さらに、
前記開電位を示すGND部と各行の行制御信号線とを開閉する、複数のGNDスイッチと、
前記GNDスイッチの開閉を一括制御する一括制御信号線とを備え、
前記電位付与手段は、
前記一括制御信号線に対して、前記GNDスイッチを閉にする電位を与えること
を特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - 前記固体撮像装置は、さらに、
前記開電位を示すGND部と各行の行制御信号線とを接続する抵抗素子を備え、
前記電位付与手段は、
前記行走査回路が非選択の行制御信号線に対してハイインピーダンスとなることにより、当該行制御信号線に対して前記開電位を与えること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。 - 前記固体撮像装置は、さらに、
各画素セルにおいて受光量に応じて電荷を生成する光電変換部と前記電荷保持部とを開閉する、各画素セルに個別のリードスイッチと、
各行において同一行の画素セルを共通に接続し、行単位で前記リードスイッチの開閉を制御する複数のリード信号線とを備え、
前記行走査回路は、さらに、
前記選択行のリード信号線に対しては、前記リードスイッチを開にする開電位及び当該リードスイッチを閉にする閉電位のどちらかを常に与え、前記画素セルが有効化されているとき前記リードスイッチを閉にした後に開とすることにより、前記電荷保持部の電荷を変動させ、非選択行のリード信号線に対しては、前記開電位及び前記閉電位のどちらも与えずハイインピーダンスとし、
前記電位付与手段は、さらに、
前記出力回路の出力が低電位から高電位に立ち上がる前から立ち上がる後まで、前記非選択行のリード信号線に対して前記開電位を与えること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。 - 前記電位付与手段は、
前記行走査回路が選択行のリード信号線に対し開電位を与えているときに、非選択行であるか選択行であるかに関わらず、全てのリード信号線に対して前記開電位を与えること
を特徴とする請求項5に記載の固体撮像装置。 - 前記固体撮像装置は、さらに、
前記開電位を示すGND部と各行のリード信号線とを開閉する、複数のGNDスイッチと、
前記GNDスイッチの開閉を一括制御する一括制御信号線とを備え、
前記電位付与手段は、
前記一括制御信号線に対して、前記GNDスイッチを閉にする電位を与えること
を特徴とする請求項6に記載の固体撮像装置。 - 前記固体撮像装置は、さらに、
前記開電位を示すGND部と各行のリード信号線とを接続する抵抗素子を備え、
前記電位付与手段は、
前記行走査回路が非選択のリード信号線に対してハイインピーダンスとなることにより、当該リード信号線に対して前記開電位を与えること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。 - 前記行走査回路は、
NMOSトランジスタを用いたダイナミックロジックにより構成されていること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。 - 受光量に応じた電荷を電荷保持部に保持する複数の画素セルが行列状に配置され、有効化された画素セルにおける電荷保持部の電荷の変動に基づいて出力される画素信号を、各列において同一列の画素セルが共通に接続されている複数の出力線を介して検出する固体撮像装置における撮像方法であって、
行を順に選択し、周期的に高電位と低電位とを繰り返し出力する出力回路と各画素セル内の電荷保持部とを開閉する、各画素セルに個別の電源スイッチに対し、当該電源スイッチの開閉を行単位で制御する、各行において同一行の画素セルを共通に接続した複数の行制御信号線のうち、当該選択行の行制御信号線に対しては、前記電源スイッチを開にする開電位及び当該電源スイッチを閉にする閉電位のどちらかを常に与え、前記出力回路の出力が高電位のときに前記電源スイッチを閉にした後に開とすることにより当該画素セルを有効化し、さらにその後、前記出力回路の出力が低電位のときに前記電源スイッチを閉にした後に開とすることにより当該画素セルを無効化し、非選択行の行制御信号線に対しては、前記開電位及び前記閉電位のどちらも与えずハイインピーダンスとする行走査ステップと、
前記出力回路の出力が低電位から高電位に立ち上がる前から立ち上がる後まで、前記非選択行の行制御信号線に対して前記開電位を与える電位付与ステップと
を含むことを特徴とする撮像方法。 - 前記固体撮像装置は、さらに、
各画素セルにおいて受光量に応じて電荷を生成する光電変換部と前記電荷保持部とを開閉する、各画素セルに個別のリードスイッチと、
各行において同一行の画素セルを共通に接続し、行単位で前記リードスイッチの開閉を制御する複数のリード信号線とを備え、
前記行走査ステップは、さらに、
前記選択行のリード信号線に対しては、前記リードスイッチを開にする開電位及び当該リードスイッチを閉にする閉電位のどちらかを常に与え、前記画素セルが有効化されているとき前記リードスイッチを閉にした後に開とすることにより、前記電荷保持部の電荷を変動させ、非選択行のリード信号線に対しては、前記開電位及び前記閉電位のどちらも与えずハイインピーダンスとし、
前記電位付与ステップは、さらに、
前記出力回路の出力が低電位から高電位に立ち上がる前から立ち上がる後まで、前記非選択行のリード信号線に対して前記開電位を与えること
を特徴とする請求項10に記載の撮像方法。
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