JP4230613B2 - 衝撃強度改質剤と製造法およびこれを用いた樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた耐候性、特に耐退色性および耐衝撃性を付与できる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル/スチレン系樹脂や、ポリカーボネートなど汎用の熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改良する方法には、数多くの公知技術がある。
例えば、特公平4−325542号公報には、ゴム状重合体ラテックスに特定のアルコールを加えることによって耐衝撃性を維持しつつ、製品外観等を改良する方法が開示されている。また、特開平10−101869号公報には、イソブチレン系重合体セグメントとビニル重合体セグメントが相互に分離できない構造を有する複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合したグラフト共重合体によって耐衝撃性を向上させる方法が提案されている。
【0003】
また、塩化ビニル樹脂も汎用性の高い樹脂であるが、耐衝撃性に劣るという欠点がある。そこで耐衝撃性を改良するために、多くの方法が提案されており、例えば、ブタジエン系ゴム状重合体にメチルメタクリレートやスチレンあるいはアクリロニトリルなどをグラフト重合させたMBS樹脂と、塩化ビニル樹脂とを混合して使用する方法がある。
しかし、MBS樹脂を塩化ビニル樹脂と混合して用いると、耐衝撃性は改良されるが、耐候性が低下し、その成型品を屋外で使用すると耐衝撃性が著しく低下するという欠点がある。
この耐候性が低下する主な原因は、MBS樹脂を構成するブタジエン単位の紫外線劣化に基づくものと考えられている。
そこで、アルキル(メタ)アクリレートと架橋剤とからなる架橋アルキル(メタ)アクリレートゴム重合体に、メチルメタクリレートやスチレンあるいはアクリロニトリルなどをグラフト重合させ、MBS樹脂の耐候性を改良し、かつ、耐衝撃性を付与する方法が特公昭51−28117号公報で提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル/スチレン系樹脂や、ポリカーボネートなど汎用の熱可塑性樹脂の耐衝撃性は、特公平4−325542号公報、特開平10−101869号公報に開示されている方法では、高い耐衝撃性を得るには至っていない。
また、塩化ビニル樹脂の耐衝撃性を改良する特公昭51−28117号公報に開示のアクリル系グラフト共重合体を用いる方法では、製造された成型品は耐候性に優れ、また耐衝撃性の低下も少ないが、衝撃強度を発現させるためには多量に添加する必要があり、衝撃強度発現性、特に低温での衝撃強度発現性がMBS樹脂と比較して劣るという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、少量添加することにより樹脂の耐衝撃性、特に低温衝撃性を向上させ、かつ得られた成型品の耐退色性、耐衝撃性等の耐候性を良好に維持する衝撃強度改質剤を得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題は、化学式C(2n+2)(式中、nは整数)で表される炭化水素化合物、化学式−[(CH−CH(CH−CHR]−(式中、x、yは整数、RはHまたはアルキル基)で表される繰り返し単位を有する炭化水素化合物、化学式−(CH−CXCOOR)−(式中、XはHまたはCH、Rはアルキル基)で表される繰り返し単位を有する(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマー、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステル、フタル酸エステル、トリメット酸エステル、エポキシ基脂肪酸エステル、エポキシ化油脂系化合物、ポリオルガノシロキサン系油状化合物から選ばれる1種以上の化合物であり、25℃で液状で、かつ、25℃における粘度が4,000,000cs以下である化合物[A]と、アルキル(メタ)アクリレート単量体(B)と、架橋剤および/またはグラフト交叉剤(B)から構成されるポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]を構成するものと同一のアルキル(メタ)アクリレート単量体(B) と、単独で重合した場合に前記アルキル(メタ)アクリレート単量体(B)の(共)重合体のガラス転移温度より高くなるように選択された1種以上のアルキル(メタ)アクリレート単量体(C)と、架橋剤および/またはグラフト交叉剤(C)から構成されるポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]とからなる液状化合物含有アクリルゴム成分に、1種以上のビニル系単量体[D]がグラフト重合された、キャピラリー式粒度分布測定装置で測定した体積平均粒子径が0.01〜5μmである液状化合物含有グラフト共重合体を含むことを特徴とする衝撃強度改質剤によって解決できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用される化合物[A]は、化学式C(2n+2)(式中、nは整数)で表される炭化水素化合物、化学式−[(CH−CH(CH−CHR]−(式中、x、yは整数、RはHまたはアルキル基)で表される繰り返し単位を有する炭化水素化合物、化学式−(CH−CXCOOR)−(式中、XはHまたはCH、Rはアルキル基)で表される繰り返し単位を有する(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマー、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステル、フタル酸エステル、トリメット酸エステル、エポキシ基脂肪酸エステル、エポキシ化油脂系化合物、ポリオルガノシロキサン系油状化合物から選ばれる1種以上の化合物であり、25℃で液状で、かつ、25℃における粘度が4,000,000cs以下である化合物である。これらの化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
合物[A]にこれらの化合物が60重量%以上含まれると、得られる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物の耐衝撃性と耐候性が優れるので好ましい。化合物[A]には、これらの特性を損ねない限りにおいて、上記以外の化合物、例えばエチルベンゼン等のアルキルベンゼン類、エーテル類を含んでもよい。これらは化合物[A]中40重量%未満の範囲で含まれることが好ましい。
【0008】
化学式C(2n+2)(式中、nは整数)で表される炭化水素化合物は、この化学式で表される化合物を含むものであれば混合物でもよいが、これを60重量%以上含む化合物が好ましい。例えば流動パラフィン等が使用される。
化学式−[(CH−CH(CH−CHR]−(式中、x、yは整数、RはHまたはアルキル基)で表される繰り返し単位を有する炭化水素化合物は、この繰り返し単位を有する化合物を含むものであれば混合物でもよいが、これを60重量%以上含む化合物が好ましい。例えば、エチレン−プロピレン系共重合体系化合物等が使用される。
化学式−(CH−CXCOOR)−(式中、XはHまたはCH、Rはアルキル基)で表される繰り返し単位を有する(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーは、この繰り返し単位を有する低分子量の重合体を含むものであり、通常分子量が500〜8000程度のものが好ましい。このような化合物であれば混合物でもよいが、(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーを60重量%以上含む化合物が好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマーは、非架橋であることが好ましい。例えば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のアルキルアクリレートおよびヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートの低分子量油状ポリマー(オリゴマー)等が挙げられる。
【0009】
その他、化合物[A]には、脂肪族二塩基酸エステルとしてはセバシン酸ジブチル、セバシン酸ジブジ−2−エチルヘキシルや、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、二価アルコールエステルとしてはジエチレングリコールジベンゾエート等があり、オキシ酸エステルとしてはアセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル等があり、フタル酸エステルとしてはフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸オクチルデシル等があり、トリエポキシ基脂肪酸エステル、エポキシ化油脂系化合物、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ基脂肪酸エステル系化合物や、エポキシ化油脂系化合物等があり、その他トリメリット酸トリオクチル等のトリメット酸エステルや、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロゲンシリコーンオイル等のポリオルガノシロキサン系油状化合物、あるいは他の有機基を含む変成シリコーンオイル等のシリコーンオイル、オルガノシロキサンを主成分とする液状のポリマーが挙げられるが、これら具体例にのみ限定されるものではない。
【0010】
合物[A]として使用される化合物は、25℃で液状で、かつ、25℃における粘度が4,000,000cs以下の化合物であり、2,000,000cs以下であることがより好ましい。25℃における粘度が4,000,000csを超えると、得られる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物の耐衝撃性が低下するので好ましくない。化合物[A]に使用される化合物は、流動性を示し、ゴム弾性を示さないものであり、エラストマーではない。また、これらの化合物はアリル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、エポキシ基、アルケニルオキシ基等の官能基を有していても有していなくても良い。
【0011】
合物[A]として融点を持つ化合物を使用する場合、その融点は10℃以下であることが好ましく、さらには0℃以下であることが好ましい。融点が10℃を超えると、得られる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物の低温での衝撃強度の低下を招く場合がある。
また、化合物[A]として流動点を持つ化合物を使用する場合、その流動点は15℃以下であることが好ましい。流動点が15℃を超えると、得られる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物の低温での衝撃強度の低下を招く場合がある。
さらに、化合物[A]としてガラス転移温度を持つ化合物を使用する場合、そのガラス転移温度は10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が10℃を超えると、得られる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物の低温での衝撃強度の低下を招く場合がある。
合物[A]として 沸点を持つ化合物を使用する場合、その1013hPaにおける沸点が130℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがさらに好ましい。沸点が130℃未満では、得られる衝撃強度改質剤を用いた樹脂組成物の成型時に、化合物[A]が蒸発し、成型品の外観不良を招く場合がある。
【0012】
本発明で使用されるポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]は、アルキル(メタ)アクリレート単量体(Ba) と、架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Bg) から構成されるものである。
アルキル(メタ)アクリレート単量体(Ba) としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のアルキルアクリレートおよびヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用できる。これらのなかでは、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、n−ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートのうち少なくとも一種を構成成分とすることが好ましい。さらには、2−エチルアクリレート、n−ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートのうち少なくとも一種が構成成分とすることがより好ましく、室温付近において結晶性を有するステアリルメタクリレート等を使用する場合は、これを溶解する単量体と混合して用いられる。
また、これらのアルキル(メタ)アクリレート単量体(Ba) には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、メタクリル基変性シリコーン等の各種のビニル系単量体等を30重量%以下の範囲で共重合成分として含んでもよい。
【0013】
架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Bg) としては、例えば架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーンなどのシリコーン等が挙げられ、グラフト交叉剤としては、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。これら架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Bg) は単独であるいは2種以上併用して使用できる。これら架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Bg) の合計の使用量は、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]中0.001〜10重量%であることが好ましい。0.001重量%未満では、得られる衝撃強度改質剤を用いた樹脂組成物の成形時の加工性を低下させ、成形品の外観を損なう場合がある。10重量%を超えると、ゴム弾性が低下して、得られる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物の耐衝撃性を低下させる場合がある。
【0014】
ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]は、そのガラス転移温度がn−ブチルアクリレートの単独重合体のガラス転移温度より低いことが好ましい。ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]のガラス転移温度がn−ブチルアクリレートの単独重合体のガラス転移温度より低いと、得られる衝撃強度改質剤はより耐衝撃性を付与できるものとなり好ましい。ここで重合体のガラス転移温度は、動的機械的特性解析装置(以下DMA)で測定されるTanδの転移点として測定される。n−ブチルアクリレート単独重合体は架橋の有無、程度によって測定されるガラス転移温度は変動するが、ここで、ガラス転移温度がn−ブチルアクリレートの単独重合体のガラス転移温度より低いということは、成分中にn−ブチルアクリレートが用いられている成分がある場合は、この成分単独のガラス転移温度と、もう一方の成分単独のガラス転移温度を比較して、もう一方の成分のガラス転移温度が、n−ブチルアクリレートが用いられている成分のガラス転移温度よりも低いことが好ましく、n−ブチルアクリレートが用いられていない場合は、各成分の単量体をn−ブチルアクリレートで置き換え、架橋剤、あるいはグラフト交叉剤が用いられている場合には、これらと、被架橋単量体とのモル分率を等しく設定し、重合して得られた各重合体同士のガラス転移温度を比較した場合に、上記の条件を満たしていることが好適であることを言う。
【0015】
本発明で使用されるポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]は、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]を構成するために使用したものと同一のアルキル(メタ)アクリレート単量体(Ba) と、単独で重合した場合にBa の(共)重合体のガラス転移温度より高くなるように選択されたアルキル(メタ)アクリレート単量体(Ca) と、架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Cg) から構成されるものである。すなわち、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]はアルキル(メタ)アクリレート単量体(Ba) と、アルキル(メタ)アクリレート単量体(Ca) と、架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Cg) から構成され、かつ、Ba の(共)重合体とCa の(共)重合体をそれぞれ製造して各(共)重合体のガラス転移温度を測定すると、Ba の(共)重合体よりもCa の(共)重合体の方がガラス転移温度が高くなるように、アルキル(メタ)アクリレート単量体(Ca) が選択され、使用される。なお、成分[C]に係るガラス転移温度は、成分[B]と同じ方法で測定される。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]を構成する単量体中に、アルキル(メタ)アクリレート単量体(Ba) が含まれていないと、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]とポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]との相溶性が低下し、界面剥離しやすくなるため、得られる衝撃改質剤を用いた樹脂組成物の耐候性、特に経時変化による退色が進行しやすくなり好ましくない。また、Ba の(共)重合体とCa の(共)重合体をそれぞれ製造して各(共)重合体のガラス転移温度を測定した場合に、Ca の(共)重合体のガラス転移温度がBa の(共)重合体のガラス転移温度より高くなるようにアルキル(メタ)アクリレート単量体(Ca) が選択されると、耐衝撃性がより向上するので好ましい。このようなポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]および[C]を含む液状化合物含有グラフト共重合体は、[B]成分由来のガラス転移温度と[C]成分由来のガラス転移温度とを有し、[C]成分由来のガラス転移温度は[B]成分由来のガラス転移温度より高くなる。
【0016】
このような条件を満足する限りにおいては、アルキル(メタ)アクリレート単量体(Ca) として、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のアルキルアクリレートおよびヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタクリレート等を使用できる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いられるが、耐衝撃性に特に優れる点でn−ブチルアクリレートを使用することが好ましい。
【0017】
ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]におけるアルキル(メタ)アクリレート単量体(Ba) とアルキル(メタ)アクリレート単量体(Ca) の比率は特に制限はないが、Ba とCa の合計を100重量%とした場合に、アルキル(メタ)アクリレート単量体(Ba) が好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量%であり、アルキル(メタ)アクリレート単量体(Ca) が好ましくは50〜99重量%で、より好ましくは60〜99重量%である。アルキル(メタ)アクリレート単量体(Ba) が1重量%未満では、特に低温での耐衝撃性が低下する場合があり、アルキル(メタ)アクリレート単量体(Ca) が50重量%未満では耐衝撃性が低下する場合がある。
【0018】
ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]中の架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Cg) としては、[B]成分で使用する架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Bg) と同様のものを使用でき、例えば架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーンなどのシリコーン等が挙げられ、グラフト交叉剤としては、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。これら架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Cg) は単独であるいは2種以上併用して使用できる。
これら架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Cg) の、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]中での重量割合は、架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Bg) の、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]中での重量割合よりも大きいことが好ましい。架橋剤および/またはグラフト交叉剤(Cg) の量がこのような条件を満足すると、得られる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物の耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性を向上させることができ好ましい。
【0019】
液状化合物含有アクリルゴム成分中、化合物[A]は好ましくは0.001〜20重量%であり、さらには0.005〜15重量%であることが好ましい。0.001重量%未満では、得られる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物は、低温で耐衝撃性が低下する場合がある。また、20重量%を超えると、得られる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物の耐衝撃性が低下する場合や、樹脂組成物を成形した際に外観不良となる場合がある。
また、液状化合物含有アクリルゴム成分中、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]とポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]の比率は、[B]成分と[C]成分の和を100重量%とした場合に、[B]成分が好ましくは1〜80重量%、より好ましくは3〜65重量%であり、[C]成分が好ましくは99〜20重量%、より好ましくは97%〜35重量%である。[B]成分が1重量%未満では、得られる衝撃強度改質剤とこれを用いた樹脂組成物の低温での耐衝撃性が不足する場合があり、[C]成分が20重量%未満では、耐候性が悪化する場合がある。
【0020】
上述の化合物[A]と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]とからなる液状化合物含有アクリルゴムにおいては、化合物[A]は、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]および[C]と、化学的結合を有していても有していなくてもよいが、液状化合物含有アクリルゴム成分中に少なくとも物理的に取り込まれた状態であることが必要である。ここで、物理的に取り込まれた状態とは、例えばグラフトポリマー粒子中に分散、あるいは独自のドメインを作って存在する状態等が挙げられる。一方、化合物[A]成分と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]を、それぞれ製造した後に、これらを単純に混合する方法では、化合物[A]はポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]および[C]と化学結合せず、かつ、液状化合物含有アクリルゴム成分中に物理的に取り込まれないので、得られる衝撃強度改質剤は耐衝撃性を付与できないものとなる。
【0021】
液状化合物含有アクリルゴム成分を製造する方法は、上述のように、化合物[A]が液状化合物含有アクリルゴム中に少なくとも物理的に取り込まれた状態になるような製造方法であれば、特に制限はないが、通常、化合物[A]の存在下で、アルキル(メタ)アクリレート単量体(B)と架橋剤および/またはグラフト交叉剤(B)とを乳化重合して化合物[A]およびポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分[B]からなるゴム成分を得て、次いで、このゴム成分の存在下で、ポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分[C]の原料であるアルキル(メタ)アクリレート単量体(B)とアルキル(メタ)アクリレート単量体(C)と架橋剤および/またはグラフト交叉剤(C)とを重合して液状化合物含有アクリルゴム成分を得る方法で製造される。具体的には、化合物[A]と、アルキル(メタ)アクリレート単量体(B)と架橋剤および/またはグラフト交叉剤(B)とを混合した後乳化重合して、[A]成分および[B]成分からなるゴム成分ラテックスを得て、このゴム成分ラテックスに、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]成分を構成する単量体(BおよびC)と架橋剤および/またはグラフト交叉剤(C)とを添加し、[A]成分および[B]成分からなるゴム成分ラテックス粒子へ含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させる方法で重合することが好ましい。重合の進行とともに、[A]成分および[B]成分からなるゴム成分と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]とを含む液状化合物含有アクリルゴムラテックスが得られる。
【0022】
さらに、化合物[A]の存在下で、アルキル(メタ)アクリレート単量体(B)と架橋剤および/またはグラフト交叉剤(B)とを乳化重合する方法は、強制乳化重合法であることが好ましい。強制乳化重合法によれば、化合物[A]が、アルキル(メタ)アクリレート単量体(B)と架橋剤および/またはグラフト交叉剤(B)に物理的に取り込まれた状態となりやすいので好ましい。
また、化合物[A]およびポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分[B]からなるゴム成分の存在下で、ポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分[C]を構成するアルキル(メタ)アクリレート単量体(B)とアルキル(メタ)アクリレート単量体(C)と架橋剤および/またはグラフト交叉剤(C)とを重合する方法は、これらをすべて混合した後重合反応を行う、一括重合法であることが好ましい。一括重合法によれば、耐衝撃性により優れたゴム成分を得られる点で好ましい。
また、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]および[C]を構成するアルキル(メタ)アクリレート単量体(B および(C として、2−エチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートのうち少なくとも一種を構成成分として使用し、乳化重合で製造する場合には、これらの単量体は水溶性に乏しいため強制乳化重合法を用いることが製造上特に好ましい。
【0023】
本発明の衝撃強度改質剤は、上述のようにして得られた液状化合物含有アクリルゴム成分に、1種以上のビニル系単量体[D]がグラフト重合された液状化合物含有グラフト共重合体を主成分とする。
液状化合物含有アクリルゴム成分にグラフト重合させるビニル系単量体[D]としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等の各種のビニル系単量体が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
合物[A]と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]とから構成される液状化合物含有アクリルゴム成分100重量部に対して、ビニル系単量体[D]をグラフト重合させる割合は特に制限はないが、好ましくは1〜60重量部、さらに好ましくは5〜50重量部である。グラフト重合させるビニル系単量体[D]が1重量部未満では、樹脂組成物中でのグラフト共重合体の分散性が悪くなり加工性が低下する場合があり、60重量部を超えると衝撃強度発現性が著しく低下する場合がある。
【0024】
本発明の衝撃強度改質剤は、上述の液状化合物含有グラフト共重合体を主成分とするが、液状化合物含有グラフト共重合体は、その平均粒径が0.01〜5μmである。このような平均粒径の液状化合物含有グラフト共重合体を衝撃強度改質剤として使用すると、少量を樹脂に配合した場合にも耐衝撃性を付与することができ好ましく、平均粒径が0.01μm未満では耐衝撃性が低下し、5μmを超えると耐候性が悪化する場合がある。
また、液状化合物含有グラフト共重合体の粒子径の個数分布が、0.01〜0.1μmに少なくとも1つ以上のピークを有し、0.1〜0.5μmに少なくとも1つ以上のピークを有する複分散分布であることが好ましい。ここで個数分布とは、ある粒子径dp とdp +Δdp との微小間隔内にある粒子の全粒子に対する個数割合を百分率で示した分布である。このような粒子径分布を有する液状化合物含有グラフト共重合体を使用した衝撃強度改質剤は、より高い耐衝撃性を付与できるので好ましい。
【0025】
液状化合物含有グラフト共重合体の製造方法は、化合物[A]と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]とから構成される液状化合物含有アクリルゴム成分に対して、ビニル系単量体[D]をグラフト重合する方法が好ましい。具体的には、液状化合物含有アクリルゴム成分ラテックスに、ビニル系単量体[D]を加え、ラジカル重合する方法が好ましい。重合の際に必要であれば、公知の連鎖移動剤、グラフト交叉剤、架橋剤等を混合して用いても構わない。
液状化合物含有グラフト共重合体は、これを含むラテックスを硫酸、塩酸などの酸、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、または硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固し分離、回収することにより、粒子として得られる。また、スプレードライ法などの直接乾燥法等でも得られる。
【0026】
得られた液状化合物含有グラフト共重合体において、化合物[A]は、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]および[C]と必ずしも化学的結合を有している必要はないが、また、ビニル系単量体[D]とも必ずしも化学的結合を有する必要はない。化合物[A]は、少なくとも液状化合物含有グラクト共重合体中に物理的に取り込まれた状態であることが必要である。
このように、化合物[A]が液状化合物含有グラフト共重合体中に取り込まれた状態にあることによって、得られる衝撃改質剤は高い耐衝撃性を付与できるものとなる。
上記方法により得られた液状化合物含有グラフト共重合体は、衝撃強度改質剤として硬質塩化ビニル系樹脂(PVC系樹脂)等の熱可塑性樹脂に配合され使用される。
【0027】
衝撃強度改質剤を配合する熱可塑性樹脂としては硬質塩化ビニル系樹脂(PVC系樹脂)に限らず、例えば、半硬質、軟質塩化ビニル系樹脂(PVC系樹脂)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのオレフィン系樹脂(オレフィン系樹脂)、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体(MS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA)、ABS、ASA、AES、などのスチレン系樹脂(St系樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル系樹脂(Ac系樹脂)、ポリカーボネート系樹脂(PC系樹脂)、ポリアミド系樹脂(PA系樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂(PEs系樹脂)、(変性)ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE系樹脂)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM系樹脂)、ポリスルフォン系樹脂(PSO系樹脂)、ポリアリレート系樹脂(PAr系樹脂)、ポリフェニレン系樹脂(PPS系樹脂)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(PU系樹脂)などのエンジニアリングプラスチックス、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレンなどの熱可塑性エラストマー(TPE)、および、PC/ABSなどのPC系樹脂/St系樹脂アロイ、PVC/ABSなどのPVC系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/ABSなどのPA系樹脂/St系樹脂アロイ、PA系樹脂/TPEアロイ、PA/PPなどのPA系樹脂/ポリオレフィン系樹脂アロイ、PBT系樹脂/TPE、PC/PBTなどのPC系樹脂/PEs系樹脂アロイ、ポリオレフィン系樹脂/TPE、PP/PEなどのオレフィン系樹脂どうしのアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PAなどのPPE系樹脂アロイ、PVC/PMMAなどのPVC系樹脂/Ac系樹脂アロイなどのポリマーアロイに用いることができ、硬質PVC系樹脂にも好適に用いることができるが、本発明は、かかる具体例にのみ限定されるものではない。
【0028】
本発明の衝撃強度改質剤を熱可塑性樹脂に配合する場合には、その物性を損なわない限りにおいて、目的に応じて樹脂のコンパウンド時、混練時、成形時に、慣用の安定剤、充填剤などを添加することができる。
該安定剤としては、例えば三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛などの鉛系安定剤、カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘン酸等の脂肪酸から誘導される金属石けん系安定剤、アルキル基、エステル基と脂肪酸塩、マレイン酸塩、含硫化物から誘導される有機スズ系安定剤、Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca−Sn系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系等の複合金属石けん系安定剤、バリウム、亜鉛などの金属基と2ーエチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸などの分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸、ナフテン酸などの脂肪環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体などの芳香族酸といった通常二種以上の有機酸から誘導される金属塩系安定剤、これら安定剤を石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体などの有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、プレートアウト防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等といった金属系安定剤のほか、エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどのエポキシ化合物、リンがアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基などで置換され、かつプロピレングリコールなどの2価アルコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、などの芳香族化合物を有する有機亜リン酸エステル、BHTや硫黄やメチレン基などで二量体化したビスフェノールなどのヒンダードフェノール、サリチル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、ヒンダードアミンまたはニッケル錯塩の光安定剤、カーボンブラック、ルチル型酸化チタン等の紫外線遮蔽剤、トリメロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどの多価アルコール、β−アミノクロトン酸エステル、2−フェニルインドール、ジフェニルチオ尿素、ジシアンジアミドなどの含窒素化合物、ジアルキルチオジプロピオン酸エステルなどの含硫黄化合物、アセト酢酸エステル、デヒドロ酢酸、β−ジケトンなどのケト化合物、有機珪素化合物、ほう酸エステルなどといった非金属系安定剤が挙げられ、これらは1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0029】
充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウムなどの炭酸塩、酸化チタン、クレー、タルク、マイカ、シリカ、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズ、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維のような無機質系のもの、ポリアミド等のような有機繊維、シリコーンのような有機質系のもの、木粉のような天然有機物が挙げられる。
【0030】
その他、MBS、ABS、AES、NBR、EVA、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム系グラフト共重合体、熱可塑性エラストマーなどの衝撃強度改質剤、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などの加工助剤、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジウンデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、ピロメットなどの芳香族多塩基酸のアルキルエステル、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジシオノニルアジぺート、ジブチルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジイソノニルアゼレートなどの脂肪酸多塩基酸のアルキルエステル、トリクレジルフォスフェートなどのリン酸エステル、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸などの多価カルボン酸とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコールなどの多価アルコールとの分子量600〜8,000程度の重縮合体の末端を一価アルコールまたは一価カルボン酸で封止したものなどのポリエステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化トール油脂肪酸−2−エチルヘキシルなどのエポキシ系可塑剤、塩素化パラフィンなどの可塑剤、流動パラフィン、低分子量ポリエチレンなどの純炭化水素、ハロゲン化炭化水素、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸などの脂肪酸、脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド、グリセリドなどの脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)、金属石けん、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステルなどのエステル、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体など、これら滑剤、塩素化パラフィン、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、ハロゲン化合物などの難燃剤、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、イミド系共重合体、スチレン・アクリロニトリル系共重合体などの耐熱向上剤、離型剤、結晶核剤、流動性改良剤、着色剤、帯電防止剤、導電性付与剤、界面活性剤、防曇剤、発泡剤、抗菌剤等を添加することができる。
【0031】
本発明の衝撃強度改質剤を樹脂に配合し、樹脂組成物を製造する方法には特に制限はなく、通常の方法が使用できるが、通常、溶融混合法で製造することが好ましい。また、必要に応じて少量の溶剤を使用しても良い。使用する装置としては、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を例として挙げることができ、これらを回分的または連続的に運転する。成分の混合順は特に限定されない。また、得られた樹脂組成物はその用途に制限はなく、例えば、建材、自動車、玩具、文房具などの雑貨、さらにはOA機器、家電機器などの耐衝撃性が必要とされる成型品に広く利用される。
【0032】
【実施例】
以下の実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく説明する。説明文中の「部」は「重量部」を示す。
(参考例1)液状化合物含有グラフト共重合体(1)の製造
エチレン−αオレフィン系コオリゴマー:ルーカントHC−100(三井化学社製、25℃における粘度は100csである)0.15部、アリルメタクリレート0.5重量%を含む2−エチルヘキシルアクリレート単量体15部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.075部を混合し、(メタ)アクリレート単量体混合物を得た。アルケニル琥珀酸ジカリウム塩を0.18部溶解した蒸留水30部に上記(メタ)アクリレート単量体混合物を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備攪拌した後、ホモジナイザーにより300kg/cm2 の圧力で乳化、分散させ、液状化合物含有(メタ)アクリレートエマルジョンを得た。この混合液をコンデンサーおよび攪拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、窒素置換および混合攪拌しながら加熱し70℃になった時に、硫酸第1鉄0.0003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0009部、ロンガリット0.039部および蒸留水0.75部の混合液を添加した後70℃で5時間放置後、重合を完結し、その後冷却して、[A]成分と[B]成分からなる液状化合物含有アクリルゴムのラテックス(1−ABLx)を得た。
得られた液状化合物含有アクリルゴムのラテックス(1−ABLx)の重合率は99.7%であり、平均粒子径は0.19μmであった。また、このラテックスをエタノールで凝固乾燥し固形物を得、トルエンで90℃、12時間抽出し、ゲル含量を測定したところ90.4重量%であった。
【0033】
上記液状化合物含有アクリルゴムのラテックス(1−ABLx)に対して、全体の蒸留水量が295部になるように加え、窒素置換をしてから50℃に昇温し、本発明のC成分であるポリアクリル(メタ)アクリレート系ゴム成分の構成成分として、アリルメタクリレートを2重量%含む2−エチルヘキシルアクリレートとn−ブチルアクリレートの比が10:64となるように調製したアクリル酸エステル単量体混合液74部に、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.345部を仕込み30分間攪拌し、この混合液を液状化合物含有アクリルゴムのラテックス(I−ABLx)粒子に浸透させた。次いで、硫酸第1鉄0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ロンガリット0.26部および蒸留水5部の混合液を仕込みラジカル重合を開始させ、その後内温70℃で2時間保持し重合を完了して、[A]成分、[B]成分、[C]成分からなる液状化合物含有アクリルゴムのラテックス(I−ABCLx)を得た。このラテックスを一部採取し、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムの平均粒子径を測定したところ0.22μmであった。また、このラテックスを乾燥し固形物を得、トルエンで90℃、12時間抽出し、ゲル含量を測定したところ97.3重量%であった。
【0034】
この液状化合物含有アクリルゴムのラテックス(1−ABCLx)に、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.04部とメチルメタクリレート11部との混合液を70℃にて15分間にわたり滴下し、その後70℃で4時間保持し、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムへのグラフト重合を完了した。メチルメタクリレートの重合率は、97.6%であった。得られたグラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウム1.5重量%の熱水200部中に滴下し、凝固、分離し洗浄した後75℃で16時間乾燥し、粉末状の液状化合物含有グラフト共重合体(1)を98.9部を得た。この液状化合物含有グラフト共重合体(1)は平均粒径が0.18μmであり、粒子径の個数分布は0.08μmと0.24μmにピークを有する複分散分布であった。
表1に液状化合物含有グラフト共重合体(1)を構成する[A]〜[D]成分の組成を重量部で示す。
なお、物性評価は次のように行った。
・液状化合物含有グラフト共重合体(1)の粒子径分布測定
MATEC APPLIED SCIENCE社製 粒度分布測定装置 CHDF−2000型で測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ、およびキャリア液を用い、液性はほぼ中性、流速1.4ml/min、圧力を約4000psi、温度35℃に保った状態で、濃度約3%の希釈ラテックス試料を0.1mlを測定に用いた。なお、標準粒子径物質として米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを0.02μmから0.8μmの範囲内で合計12点用いた。
【0035】
(参考例2〜6、13〜18)液状化合物含有グラフト共重合体(2〜6、13〜18)の製造
[A]成分、[B]成分、[C]成分、[D]成分として、表1および2に示すものをそれぞれ表1および表2に示した仕込み組成とした以外は、参考例1と同様の方法で液状化合物含有グラフト共重合体(2〜6、13〜18)を製造した。また、この液状化合物含有グラフト共重合体(2〜6、13〜18)の粒子径を参考例1と同様に測定した。その結果は、これらを使用した各実施例の結果とともに表3〜5に示す。
なお液状化合物[A]として使用する物質の25℃における粘度は以下のとおりである。
ルーカントHC−20:100cs
エポキシ化大豆油:800cs
フタル酸ジオクチル:100cs
【0036】
(参考例7)グラフト共重合体(7)の製造
アリルメタクリレートを1重量%を含むn−ブチルアクリレート10部、およびtert−ブチルヒドロペルオキシド0.12部を混合し、(メタ)アクリレート単量体混合物を得た。コンデンサーおよび攪拌翼を備えたセパラブルフラスコ中で混合攪拌しながら窒素置換をした、ドデシルベンゼンズルホン酸ナトリウムを0.01部溶解した蒸留水245部に、硫酸第1鉄0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ロンガリット0.26部および蒸留水5部の混合液を仕込み、その後60℃に昇温し、上記(メタ)アクリレート単量体混合液を3時間にわたり滴下した後、5時間放置し、重合を完結しポリ(メタ)アクリレートのラテックスを得た。
得られたポリ(メタ)アクリレートのラテックスの重合率は99.5%であり、平均粒子径は0.20μmであった。
上記ポリ(メタ)アクリレートのラテックスに、ドデシルベンゼンズルホン酸ナトリウムを0.99部と蒸留水55部からなる溶液と、アリルメタクリレートを1重量%含むn−ブチルアクリレート70部とtert−ブチルヒドロペルオキシド0.22部からなるポリ(メタ)アクリレートの構成成分である(メタ)アクリレート混合液とを、同時にそれぞれ3時間にわたり滴下後、2時間保持し重合を完了してアクリルゴムのラテックスを得た。このラテックスを一部採取し、複合ゴムの平均粒子径を測定したところ0.19μmであった。
この複合ゴムラテックスに、tert−ブチルヒドロペルオキシド0.06部とメチルメタクリレート20部との混合液を60℃にて15分間にわたり滴下し、その後70℃で4時間保持し、アクリルゴムへのグラフト重合を完了した。メチルメタクリレートの重合率は、98.4%であった。得られたグラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウム1.5重量%の熱水200部中に滴下し、凝固、分離し洗浄した後75℃で16時間乾燥し、粉末状のグラフト共重合体(7)97.8部を得た。このグラフト共重合体(7)の粒子径を参考例1の液状化合物含有グラフト共重合体(1)の場合と同様に測定した。その結果は、これを使用した各比較例の結果とともに表3、表4、表6に示す。
【0037】
(参考例8〜9)グラフト共重合体(8、9)の製造
[D]成分として表1に示すものを表1に示す仕込み組成以外とした以外は参考例7と同様の方法でグラフト共重合体(8、9)を製造した。また、これらのグラフト共重合体(8、9)の粒子径を参考例1の液状化合物含有グラフト共重合体(1)の場合と同様に測定した。その結果は、これを使用した各比較例の結果とともに表3、表4に示す。
【0038】
(参考例10〜12、19〜20)グラフト共重合体組成物(10〜12、19〜20)の製造
参考例7〜9で得た粉末状の液状化合物含有グラフト共重合体(7〜9)に対して、表1および表2に示すようにそれぞれエチレン−αオレフィン系コオリゴマー:ルーカントHC−100(三井化学社製)を0.15部をヘンシェルミキサーを用いて混合し、グラフト共重合体組成物(10〜12、19〜20)を製造した。また、これらのグラフト共重合体組成物(10〜12、19〜20)の粒子径を参考例1の液状化合物含有グラフト共重合体(1)の場合と同様に測定した。その結果は、これを使用した各比較例の結果とともに表3、表4、表6に示す。
【0039】
(実施例1〜8、比較例1〜12)
上記参考例1〜12で得られた、液状化合物含有グラフト共重合体、グラフト共重合体、グラフト共重合体組成物を衝撃強度改質剤(1〜12)として用い、表3および表4に示すように各マトリックス樹脂100部に対して、それぞれ表3および表4に示す割合でブレンドし、物性評価を行った。結果を表3および表4に示す。
なお、マトリックス樹脂として、メチルメタクリレート(PMMA)系樹脂としては三菱レイヨン(株)製のアクリペットVHを用い、ポリカーボネート(PC)系樹脂としては、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製のユーピロンS2000を用い、ポリスチレン(PSt)系樹脂としては、住友化学(株)製の汎用ポリスチレン、スミブライトM140を用いた。また、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)系樹脂としては、アクリロニトリル成分30重量%、スチレン成分70重量%よりなり、ジメチルホルムアミド中、25℃で測定した還元粘度(ηsp/c)が0.71dl/gのAS樹脂を製造して測定に用いた。
【0040】
物性評価は次のように行った。
・ガラス転移温度の測定
衝撃強度改質剤(1〜12)を70部と、表3および表4に示す各例に対応したマトリックス樹脂30部をともに250℃の25φ単軸押し出し機でペレット化し、200℃設定のプレス機を用い、3mm厚みに調製した板を、およそ幅10mm長さ12mmに切り出し、TA Instruments 社 DMA983型により、昇温速度2℃/minの条件で測定し、得られたTanδ曲線の転移点に対応した温度をガラス転移温度として求めた。なお、測定されたガラス転移温度は、各衝撃強度改質剤由来の値である。
・アイゾット耐衝撃性
以下に示す配合の組成物を280℃に調温した25mmφ2軸押出機により押し出し、ペレット化したものを、十分に乾燥させた後、280℃に調温した射出成形機と、80℃に設定した金型によって1/2”×1/4”試験片を作製し、ASTM D256の方法によって評価した。測定は23℃で行い、表3および表4中、樹脂組成物の耐衝撃性と表記した。
合:表3および表4に示す各例に対応したマトリックス樹脂 100
撃強度改質剤 表3および表4に示す配合部数
【0041】
(実施例9〜16、比較例13〜17)
上記参考例(1、2、7、10、13〜20)で得られた、液状化合物含有グラフト共重合体、グラフト共重合体、グラフト共重合体組成物(1、2、7、10、13〜20)と、商業的に入手可能なMBS系改質剤「メタブレンC−223」を衝撃強度改質剤として用い、下記の配合Aおよび配合Bの組成で塩化ビニル樹脂にそれぞれブレンドし、物性評価を行った。結果を表5および表6に示す。
なお、ガラス転移温度の測定は実施例1と同様の手法で行った。
配合A:塩化ビニル樹脂 (重合度700) 100部
ジブチル錫マレート 3.5部
ステアリルアルコール 0.8部
加工助剤メタブレンP−700 0.4部
衝撃強度改質剤 10部
配合B:塩化ビニル樹脂(重合度1100) 100部
二塩基性亜リン酸鉛 2.5部
二塩基性ステアリン酸鉛 0.7部
ステアリン酸鉛 0.5部
ステアリン酸カルシウム 0.9部
ポリエチレンワックス(分子量2200) 0.1部
炭酸カルシウム 5.0部
加工助剤(メタブレンPー501) 1.0部
衝撃強度改質剤 10部
【0042】
・アイゾット耐衝撃性
上記に示した配合Aおよび配合Bの組成物をそれぞれ190℃に調温した25mmφ単軸押出機により、1/2”x1/4”角棒を押し出し、ASTM D256の方法によって評価した。測定は配合Aは23℃で、配合Bは0℃で行い、表5および表6中それぞれ測定A、測定Bと表記した。
・耐候性
上記に示した配合Bにさらにカーボンブラック0.5部を加えた組成物を、関西ロール(株)6インチテストロール機を用いて、200℃、15rpmで5分間混練り後、200℃の金型に6分間はさみ、その後50kg/cm2 の圧力を加えながら冷却して得られたシート試験片を、60℃に調温した大日本プラスチックス(株)製アイスーパーUVテスターに8時間かけた後、60℃、95%に調温・調湿した恒温恒湿器に16時間入れる操作を5回繰り返し、シート試験片の外観を目視評価した。表5および表6中、○は耐退色性が良い、×は悪いを示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004230613
【0044】
【表2】
Figure 0004230613
【0045】
表1および表2中、略号は以下を示す。
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
AMA:アリルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
AN:アクリロニトリル
St:スチレン
LMA:ラウリルメタクリレート
また参考例10、11、12、19、20の *印は後添加を示す。
なお、ルーカントHC−100およびルーカントHC−20はともに三井化学社製、エチレン−αオレフィン系オリゴマーである。
【0046】
【表3】
Figure 0004230613
【0047】
表3中、略号は以下を示す。
PMMA:メチルメタクリレート系樹脂
PAS:アクリロニトリルスチレン共重合体
【0048】
【表4】
Figure 0004230613
【0049】
表4中、略号は以下を示す。
PC:ポリカーボネート系樹脂
PSt:ポリスチレン系樹脂
【0050】
【表5】
Figure 0004230613
【0051】
【表6】
Figure 0004230613
【0052】
表3および表4から、参考例1〜6で製造した液状化合物含有グラフト共重合体を衝撃改質剤として使用した実施例1〜8の樹脂組成物はいずれも耐衝撃性が優れていた。
一方、衝撃改質剤を添加しない比較例1、2、7、8と、参考例7〜9のグラフト共重合体を衝撃強度改質剤として使用した比較例3、4、9、10と、参考例10〜12の[A]成分を後添加したグラフト共重合体組成物を衝撃強度改質剤として使用した比較例5、6、11、12ではいずれも衝撃強度発現性は乏しかった。
また、表5および表6から、上記参考例(1、2、13〜18)で得られた液状化合物含有グラフト共重合体を衝撃強度改質剤として使用した実施例9〜16の樹脂組成物はいずれも高い耐衝撃性を示し、低温での耐衝撃性も良好であり、かつ、耐候性も優れていた。
一方、参考例7のグラフト共重合体、参考例10、19、20のグラフト共重合体組成物、商業的に入手可能なMBS系改質剤「メタブレンC−223」を衝撃強度改質剤として使用した比較例13〜17では、衝撃強度発現性が乏しく、比較例17では、耐候性試験後の試験片は退色し、耐候性が不十分だった。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の衝撃強度改質剤は、少量添加することにより樹脂の耐衝撃性、特に低温衝撃性を向上させ、かつ得られた成型品の耐退色性、耐衝撃性等の耐候性を良好に維持できる。特に塩化ビニル系樹脂への配合が適している。
また、このような衝撃強度改質剤を配合した樹脂組成物は、耐衝撃性と耐候性がともに優れる。

Claims (3)

  1. 化学式C(2n+2)(式中、nは整数)で表される炭化水素化合物、化学式−[(CH−CH(CH−CHR]−(式中、x、yは整数、RはHまたはアルキル基)で表される繰り返し単位を有する炭化水素化合物、化学式−(CH−CXCOOR)−(式中、XはHまたはCH、Rはアルキル基)で表される繰り返し単位を有する(メタ)アクリル酸エステル系オリゴマー、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステル、フタル酸エステル、トリメット酸エステル、エポキシ基脂肪酸エステル、エポキシ化油脂系化合物、ポリオルガノシロキサン系油状化合物から選ばれる1種以上の化合物であり、
    25℃で液状で、かつ、25℃における粘度が4,000,000cs以下である化合物[A]と、
    アルキル(メタ)アクリレート単量体(B)と、架橋剤および/またはグラフト交叉剤(B)から構成されるポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]と、
    ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[B]を構成するものと同一のアルキル(メタ)アクリレート単量体(B)と、単独で重合した場合に前記アルキル(メタ)アクリレート単量体(B)の(共)重合体のガラス転移温度より高くなるように選択された1種以上のアルキル(メタ)アクリレート単量体(C)と、架橋剤および/またはグラフト交叉剤(C)から構成されるポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴム成分[C]とからなる液状化合物含有アクリルゴム成分に、
    1種以上のビニル系単量体[D]がグラフト重合された、キャピラリー式粒度分布測定装置で測定した体積平均粒子径が0.01〜5μmである液状化合物含有グラフト共重合体を含むことを特徴とする衝撃強度改質剤。
  2. 合物[A]の存在下で、アルキル(メタ)アクリレート単量体(B)と架橋剤および/またはグラフト交叉剤(B)とを乳化重合して化合物[A]とポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分[B]からなるゴム成分を得て、次いで、このゴム成分の存在下で、ポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分[C]の原料であるアルキル(メタ)アクリレート単量体(B)とアルキル(メタ)アクリレート単量体(C)と架橋剤および/またはグラフト交叉剤(C)とを重合して液状化合物含有アクリルゴム成分を得て、次いで、この液状化合物含有アクリルゴム成分に対して、ビニル系単量体[D]をグラフト重合することを特徴とする請求項1に記載の衝撃強度改質剤の製造方法。
  3. 請求項1に記載の衝撃強度改質剤と熱可塑性樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物。
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