JP4021994B2 - ノンハロゲン系難燃性樹脂組成物 - Google Patents

ノンハロゲン系難燃性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生せず、しかも柔軟性に富んだノンハロゲン系難燃性樹脂組成物に関するもので、特に、各種の電線、ケーブル、自動車内装材、シール材、モール材等の用途に有用なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気絶縁性に優れていることから、電線やケーブルの絶縁材やシースとして従来から多用されてきたポリオレフィン系樹脂等の材料は、いずれも可燃性のもので、火災が生じた場合には、電線・ケーブルを伝わって火災が拡大することがあり、電線・ケーブルにおける難燃化の要請は大きい。
そこで、ULVW−1の垂直燃焼試験や、IEEE規格383、IEC規格332等の垂直トレイ燃焼試験等において高レベルを発揮する高難燃性材料が要望されている。
ポリオレフィン系樹脂を難燃化する方法としては、ハロゲン含有化合物を混和する方法が一般的である。
そのような難燃性組成物は、火災時に不燃性のハロゲン系ガスを多量に発生させることにより、電線・ケーブルの周囲の酸素を遮断して燃焼を防止しようとするもので、高い難燃特性を発揮するものの、その際に発生するハロゲン系ガスは、例えば、塩化水素、さらにはダイオキシン等の有毒なものが多く、却って、火災発生時の避難行動や消化活動の妨げとなることがあった。
また、火災時でなくとも、廃棄物として焼却処分するときにも、有毒ガスが発生することがあり、人体や環境に対して好ましくない。
さらに、ハロゲン系ガスが空気中の水分と反応して、ハロゲン化水素酸となって各種の機器等を腐食させることもある。
そこで、このようなハロゲン系化合物に代えて、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤を混和し、火災時の安全性を重視したノンハロゲン系難燃性樹脂組成物が提案されている。
このような無機系難燃剤においては、火災時、焼却時に、水酸化物が結晶水を放出し、その放出時の吸熱作用を難燃効果として利用するもので、発煙性や毒性あるいは腐食性はきわめて少ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常、無機系難燃剤による難燃効果はハロゲン含有化合物による難燃効果よりも小さい為、上述した各難燃性試験に適合する高い難燃性を付与す為には、無機系難燃剤を多量に添加する必要がある。その結果、組成物の引張り強度などの機械物性や耐水性が著しく低下してしまうことがあった。
この機械物性の低下を防止する為には、強度の高い結晶性ポリマーを用いればよいが、その結果、柔軟性が損なわれることがあった。
そこで、特許第2714431号公報、特開平7−245021号公報、特開平7−245022号公報等には、ポリオルガノシロキサンや、さらにシリコーングラフト物を添加することにより、難燃性と柔軟性を高められることが開示されている。
しかしながら、これらの添加剤の添加量が多くなると、ベタツキ易くなるので、添加量をあまり増加させることができず、難燃性と柔軟性の向上効果は必ずしも十分にはならない。
【0004】
本発明は前記課題を解決する為になされたもので、有害なハロゲン系ガスを発生させない無機系難燃剤によるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物であって、高度の難燃性を発揮すると共に、高い機械的物性および柔軟性をも十分発揮し得る難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、ポリオレフィン系樹脂(A)5〜95重量%、並びに、ポリオルガノシロキサン成分50〜90重量%及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分50〜10重量%(各成分の合計重量は100重量%)からなる複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体がグラフトされてなる複合ゴム系グラフト共重合体(B)95〜5重量%をブレンドしてなる組成物100重量部に対し、ノンハロゲン系難燃剤(C)10〜170重量部を含有するノンハロゲン系難燃性樹脂組成物にある。
この際、さらに、スチレン系エラストマー、金属酸化物及び/又は金属炭酸塩の少なくとも1つ以上を含有していることが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のノンハロゲン系難燃性樹脂組成物は、少なくとも、ポリオレフィン系樹脂(A)、複合ゴム系グラフト共重合体(B)及びノンハロゲン系難燃剤(C)を含有する組成物を有するものである。
[ポリオレフィン系樹脂(A)]
本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂(A)としては、ポリエチレン、(超)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテンのようなポリ−α−オレフィン類、エチレンプロピレンラバー、エチレンブテンコポリマー、エチレンブテンターポリマーのようなα−オレフィン同士の共重合体類、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンメチルメタクリレートコポリマーのようなα−オレフィンと他種モノマーの共重合体類などが挙げられる。これらは単独使用または2種以上の併用が可能であり、エチレンプロピレンラバーと(超)低密度ポリエチレンの併用が好ましく用いられる。特に、エチレンプロピレンコポリマーと高強度でフィラー受容性のよい超低密度ポリエチレンのブレンド物を用いることで、柔軟性に特に優れたものとなる。
【0007】
[複合ゴム系グラフト共重合体(B)]
本発明で使用される複合ゴム系グラフト共重合体(B)は、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分から構成される複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体がグラフト重合された共重合体を主成分とする。
複合ゴムを構成する2種類の成分は、ポリオルガノシロキサンゴム成分が1〜99重量%、ポリアルキル(メタ)アクリレート成分が99〜1重量%(ただし、各成分の合計量は100重量%)の範囲が好ましく、難燃性、柔軟性の点からポリオルガノシロキサンゴム成分が30〜95重量%の範囲がより好ましく、さらには50〜90重量%がより好ましい。
複合ゴムはどのような方法で製造されても良いが、乳化重合法が最適であり、まず、ポリオルガノシロキサンのラテックスを調製し、次にアルキル(メタ)アクリレートの合成用単量体をポリオルガノシロキサンラテックスの粒子に含浸させてから前記合成用単量体を重合するのが好ましい。
【0008】
複合ゴムを構成するポリオルガノシロキサンゴム成分は、以下に示すオルガノシロキサン及び架橋剤(CI)を用いて乳化重合により調製することができ、その際、さらにグラフト交叉剤(GI)を併用することもできる。
オルガノシロキサンとしては、3員環以上の各種の環状体が挙げられ、好ましく用いられるのは3〜6員環である。例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。これらの使用量はポリオルガノシロキサン成分中50重量%以上が好ましく、さらには70重量%以上が好ましい。
【0009】
架橋剤(CI)としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が用いられる。特に4官能性の架橋剤が好ましく、この中でもテトラエトキシシランが特に好ましい。架橋剤の使用量はポリオルガノシロキサン成分中0.1〜30重量%の範囲が好ましい。
グラフト交叉剤(GI)としては、次式で表される単位を形成し得る化合物等が用いられる。
CH2=C(R2)−COO−(CH2)p−SiR1 n(3-n)/2 ・・・(GI−1)
CH2=C(R2)−C64−SiR1 n(3-n)/2 ・・・(GI−2)
CH2=CH−SiR1 n(3-n)/2 ・・・(GI−3)
HS−(CH2)p−SiR1 n(3-n)/2 ・・・(GI−4)
(式中、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、またはフェニル基、R2は水素原子またはメチル基、nは0、1または2、pは1〜6を示す。)
【0010】
上記式(GI−1)の単位を形成し得る(メタ)アクリロイルオキシシロキサンは、グラフト効率が高いので有効なグラフト鎖を形成することが可能であり、柔軟性発現の点で有利であり、メタクリロイルオキシシロキサンが特に好ましい。メタクリロイルオキシシロキサンの具体例としては、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
上記式(GI−2)の単位を形成し得るものとしてビニルシロキサンが挙げられ、具体例としては、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。
【0011】
上記式(GI−3)の単位を形成し得るものとしてp−ビニルフェニルジメトキシメチルシランが挙げられる。
また、式(GI−4)の単位を形成し得るものとして、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
グラフト交叉剤の使用量はポリオルガノシロキサン成分中、0〜10重量%が好ましく、さらには0.5〜5重量%が好ましい。
【0012】
このポリオルガノシロキサン成分のラテックスの製造は、例えば、米国特許第2,891,920号明細書、同第3,294,725号明細書等に記載された方法を用いることができる。本発明の実施では、例えば、オルガノシロキサンと架橋剤(CI)及び所望によりグラフト交叉剤(GI)の混合溶液とを、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下で、例えば、ホモジナイザー等を用いて水と剪断混合する方法により製造することが好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸はオルガノシロキサンの乳化剤として作用すると同時に重合開始剤ともなるので好適である。この際、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルスルホン酸金属塩等を併用するとグラフト重合を行う際にポリマーを安定に維持するのに効果があるので好ましい。
【0013】
複合ゴムを構成するポリアルキル(メタ)アクリレート成分は、以下に示すアルキル(メタ)アクリレート、架橋剤(CII)及びグラフト交叉剤(GII)を用いて合成することができる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート及びヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、特に、n−ブチルアクリレートの使用が好ましい。
架橋剤(CII)としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0014】
グラフト交叉剤(GII)としては、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。これら架橋剤並びにグラフト交叉剤は単独であるいは2種以上併用して用いられる。これら架橋剤およびグラフト交叉剤の合計の使用量はポリアルキル(メタ)アクリレート成分中0.1〜20重量%が好ましい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート成分の重合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリの水溶液の添加により中和されたポリオルガノシロキサン成分のラテックス中に、上記アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤およびグラフト交叉剤を添加し、ポリオルガノシロキサン粒子へ含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させて行う。重合の進行と共にポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分との複合ゴムのラテックスが得られる。
なお、本発明の実施に際しては、この複合ゴムとしてポリオルガノシロキサンゴム成分の主骨格がジメチルシロキサンの繰り返し単位を有し、ポリアルキル(メタ)アクリレート成分の主骨格がn−ブチルアクリレートの繰り返し単位を有する複合ゴムが好ましく用いられる。
【0015】
この複合ゴムにグラフト重合させるビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等の各種のビニル系単量体が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いられる。これらビニル系単量体のうちメタクリル酸エステルが好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。
【0016】
複合ゴム系グラフト共重合体(B)における複合ゴムとビニル系単量体の割合は、このグラフト共重合体の重量を基準にして複合ゴム5〜95重量%、ビニル系単量体5〜95重量%が好ましく、さらには複合ゴム25〜90重量%、ビニル系単量体10〜75重量%が好ましい。ビニル系単量体が5重量%未満では樹脂組成物中でのグラフト共重合体の分散性が悪くなり、また、95重量%を超えると柔軟性が著しく低下する。
複合ゴム系グラフト重合体(B)は、ビニル系単量体を複合ゴムのラテックスに加えラジカル重合技術によって一段であるいは多段で重合させて得られる。グラフト共重合体ラテックスは、好ましくは塩化カルシウム、酢酸カルシウム、または硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固することにより分離、回収することができる。
このポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなる複合ゴムに1種または2種以上のビニル系単量体がグラフトされてなる複合ゴム系グラフト共重合体が配合されていることにより、柔軟性を損なうことなく、無機系難燃剤などのノンハロゲン系難燃剤の添加量を大幅に削減しつつ高い難燃性を発揮できる。必要に応じ、得られた複合ゴム系グラフト共重合体にポリオルガノシロキサンを混和して用いることもできる。
【0017】
[ノンハロゲン系難燃剤(C)]
ハロゲンを含まない難燃剤(ノンハロゲン系難燃剤)としては、三酸化アンチモン、五塩化アンチモンなどのアンチモン化合物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなどのホウ酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどの金属水酸化物、赤リンなどの無機リン化合物等の無機化合物が挙げられる。さらには、下記化学式等で示される有機リン酸エステル化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【化1】
Figure 0004021994
(ここで、R3、R4、R5、R6は、それぞれ独立した水素原子または有機基を表すが、R3=R4=R5=R6=Hを除く。Aは、2価以上の有機基を表し、lは0または1であり、mは1以上の整数、nは0以上の整数を表す。)
上記化学式において、有機基とは、例えば、置換されていてもいなくてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられる。また、置換されている場合は、置換基数には制限がなく、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基等が挙げられ、また、これらの置換基を組合わせた基(例えば、アリールアルコシキルアルキル基)または、これらの置換基を酸素原子、窒素原子、硫黄原子等により結合して組合わせた基(例えば、アリールスルホニルアリール基等)を置換基としてもよい。また、2価以上の有機基とは、上記した有機基から、炭素原子に結合している水素原子の1個以上を除いてできる2価以上の基を意味する。例えば、アルキレン基、および好ましくは(置換)フェニレン基、多核フェノール類、例えば、ビフェニル及びビスフェノールA類から誘導されたものが挙げられ、2以上の遊離原子価の相対的位置は任意である。特に好ましい例として、その前駆体のジオール体としてヒドロキノン、レゾルシノール、ジフェニロールメタン、ジフェニロールジメチルメタン、ジヒドロキシビフェニル、p,p’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
リン酸エステル化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシルフォスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシルジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、ジフェニル−2−エチルクレシルフォスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)フォスフェート、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レゾルシニルジフェニルフォスフェート等のモノフォスフェートであり、ビスフェノールA−ビスフォスフェート、ヒドロキノン−ビスフォスフェート、ジヒドロキシビフェニル−ビスフォスフェート等であるところのフェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)、フェニレンビス(ジトリルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジキシリルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジトリルフォスフェート)、ビフェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、ビフェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)、ビフェニレンビス(ジトリルフォスフェート)等のポリフォスフェートが挙げられる。
オレフィン系樹脂の難燃化には、金属水酸化物、特に水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の無機系難燃剤が好ましく用いられる。凝集、強靱化、耐水性、難燃性の観点から、平均粒子径が10〜5000nmで、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤などで表面処理したものが好ましい。
【0018】
[スチレン系エラストマー(D)]
本発明のノンハロゲン系難燃性樹脂組成物においては、さらにスチレン系エラストマーを含有していることが望ましい。
スチレン系エラストマー(D)は、複合ゴム系グラフト共重合体のポリオレフィン系樹脂中への分散性を向上させるもので、例えば、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックaの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックbの少なくとも1個とからなるブロック共重合体又はこれを水素添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物であり、例えば、a−b−a、b−a−b―a、a−b−a−b−aなどの構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体あるいは、これらの水素添加されたもの等を挙げることができる。
【0019】
上記ブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体(以下、(水添)ブロック共重合体と略称する)は、ビニル芳香族化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックaは、好ましくは、ビニル芳香族化合物のみから成るか、またはビニル芳香族化合物を50重量%超、好ましくは70重量%以上と、共役ジエン化合物及び/又は水素添加された共役ジエン化合物(以下、(水素添加された)共役ジエン化合物と略称する)との共重合体ブロックである。
(水素添加された)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックbは、好ましくは、(水素添加された)共役ジエン化合物のみから成るか、または(水素添加された)共役ジエン化合物50重量%超、好ましくは70重量%以上と、ビニル芳香族化合物との共重合体ブロックである。
【0020】
これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックa、(水素添加された)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックbのそれぞれにおいて、分子鎖中のビニル化合物または(水素添加された)共役ジエン化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組合せでなっていてもよい。ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックa或いは(水素添加された)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックbが2個以上ある場合には、それぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
(水添)ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。
また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
【0021】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックbにおけるミクロ構造は任意に選ぶことができる。ブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が20〜50%、特に25〜45%が好ましい。ポリイソプレンブロックにおいては、該イソプレン化合物の70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
上記構造を有する本発明に供する(水添)ブロック共重合体の重量平均分子量は好ましくは5,000〜1,500,000であり、より好ましくは10,000〜550,000、さらに好ましくは100,000〜550,000の範囲である。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは、2以下である。
(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖上、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0022】
これらのブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒またはチーグラー型触媒を用い、不活性溶媒中にてブロック重合させて得ることができる。
上記方法により得られたブロック共重合体に、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下にて水素添加することにより水添ブロック共重合体が得られる。
上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、SBS、SIS、SEBS、SEPS等を挙げることができる。本発明において、特に好ましい(水添)ブロック共重合体は、スチレンを主体とする重合体ブロックaと、イソプレンを主体とし、かつイソプレンの70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレンに基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加された重合体ブロックbとからなる重量平均分子量が50,000〜550,000の水添ブロック共重合体である。更に好ましくは、イソプレンの90〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有する上記水添ブロック共重合体である。
【0023】
[金属酸化物、金属炭酸塩(E)]
本発明のノンハロゲン系難燃性樹脂組成物は、さらに金属酸化物及び/又は金属炭酸塩を含有していることが望ましい。
金属酸化物や金属炭酸塩(E)を難燃助剤として添加することにより、シリコーン成分の難燃性をさらに向上させることが可能である。シリコーンは、燃焼時にクラッキング性を起こし、揮発性の低分子環状体が生成する。この環状体は比較的燃えやすいが、金属触媒を添加するとシリコーン主鎖のクラッキングが起こる前に、高架橋物が生成し、これが酸素と触れる表面で三次元的な膜を形成し、酸素供給を遮断して自己消炎する。この金属触媒としては白金などが挙げられるが、工業的見地から金属酸化物及び/又は金属炭酸塩が好ましい。
金属酸化物としては、酸化チタン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などが挙げられるが、酸化チタン、酸化コバルトが好ましく用いられる。
金属炭酸塩としては、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸銅、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛などが挙げられるが、炭酸コバルトが好ましく用いられる。
【0024】
上述した各成分の配合組成は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂(A)5〜95重量%、複合ゴム系グラフト共重合体(B)95〜5重量%をブレンドしてなる組成物100重量部に対し、ノンハロゲン系難燃剤(C)を10〜170重量部、好ましくは15〜100重量部、スチレン系エラストマー(D)を0〜300重量部、好ましくは1〜100重量部、金属酸化物及び/又は金属炭酸塩(E)が0〜100重量部、好ましくは1〜30重量部である。
【0025】
[他成分]
本発明の樹脂組成物は、各配合成分を混練することにより調製できる。その際、必要に応じて架橋剤、架橋助剤を加えて架橋性を付与でき、その架橋処理は架橋剤の適宜な選択で混錬時やその後、適宜な段階で行うことが出来る。
架橋剤としては半減期温度が混錬時における最高温度より20℃以上低い有機過酸化物などが挙げられる。例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロシロキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシヘキサン)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどが挙げられる。
架橋助剤としてはトリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルフマレート、ビニルシラン、マレイン化EPDMなどが挙げられる。
また、上記以外の軟質材、例えば、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレン、アクリル系エラストマーなどが併用されても良い。
【0026】
また、これら軟質材が含まれ、軟質性を示す限りにおいて、ほかの樹脂、例えば、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体(MS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA)、ABS、ASA、AESなどのスチレン系樹脂(St系樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル系樹脂(Ac系樹脂)、ポリカーボネート系樹脂(PC系樹脂)、ポリアミド系樹脂(PA系樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂(PEs系樹脂)、(変性)ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE系樹脂)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM系樹脂)、ポリスルフォン系樹脂(PSO系樹脂)、ポリアリレート系樹脂(PAr系樹脂)、ポリフェニレン系樹脂(PPS系樹脂)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(PU系樹脂)などのエンジニアリングプラスチックス、及び、PC/ABSなどのPC系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/ABSなどのPA系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/PPなどのPA系樹脂/ポリオレフィン系樹脂アロイ、PC/PBTなどのPC系樹脂/PEs系樹脂アロイ、PP/PEなどのオレフィン系樹脂どうしのアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PAなどのPPE系樹脂アロイなどのポリマーアロイとともに用いることができる。
【0027】
更にまた、その物性を損なわない限りにおいて、その目的に応じて樹脂のコンパウンド時、混練時、成形時に、慣用の安定剤、充填剤などを添加することができる。
例えば、可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジウンデシルフタレロート、トリオクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、ピロメットなどの芳香族多塩基酸のアルキルエステル、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジシオノニルアジペート、ジブチルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジイソノニルアゼレートなどの脂肪酸多塩基酸のアルキルエステル、トリクレジルフォスフェートなどのリン酸エステル、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸などの多価カルボン酸とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコールなどの多価アルコールとの分子量600〜8,000程度の重縮合体の末端を一価アルコールまたは一価カルボン酸で封止したものなどのポリエステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化トール油脂肪酸−2−エチルヘキシルなどのエポキシ系可塑剤、塩素化パラフィンなどが挙げられる。また、安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛などの鉛系安定剤、カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘン酸等の脂肪酸から誘導される金属石けん系安定剤、アルキル基、エステル基と脂肪酸塩、マレイン酸塩、含硫化物から誘導される有機スズ系安定剤、Ba―Zn系、Ca−Zn系、Ba―Ca−Sn系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系等の複合金属石けん系安定剤、バリウム、亜鉛などの金属基と2−エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸などの分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸、ナフテン酸などの脂肪環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体などの芳香族酸などの通常二種以上の有機酸から誘導される金属塩系安定剤、これら安定剤を石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体などの有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、プレートアウト防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等の金属系安定剤のほか、エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどのエポキシ化合物、リンがアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基などで置換され、かつプロピレングリコールなどの2価アルコール、ヒドロキノン、ビスフェノールAなどの芳香族化合物を有する有機亜リン酸エステル、BHTや硫黄やメチレン基などで二量体化したビスフェノールなどのヒンダードフェノール、サリチル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、ヒンダードアミンまたはニッケル錯塩の光安定剤、カーボンブラック、ルチル型酸化チタン等の紫外線遮蔽剤、トリメロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどの多価アルコール、β−アミノクロトン酸エステル、2−フェニルインドール、ジフェニルチオ尿素、ジシアンジアミドなどの含窒素化合物、ジアルキルチオジプロピオン酸エステルなどの含硫黄化合物、アセト酢酸エステル、デヒドロ酢酸、β−ジケトンなどのケト化合物、有機珪素化合物、ほう酸エステルなどの非金属系安定剤が挙げられ、これらは1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0028】
充填剤としては、例えば、クレー、タルク、マイカ、シリカ、カーボンブラック、グラファイト、ガラスビーズ、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維のような無機質系のもの、ポリアミド等のような有機繊維、木粉のような天然有機物が挙げられる。
その他、MBS、ABS、AES、NBR、EVA、アクリルゴムなどの衝撃強度改質剤、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などの加工助剤、流動パラフィンなどの純炭化水素、ハロゲン化炭化水素、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸などの脂肪酸、脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド、グリセリドなどの脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)、金属石けん、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステルなどのエステル、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体など、これら滑剤、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、イミド系共重合体、スチレン・アクリロニトリル系共重合体などの耐熱向上剤、離型剤、結晶核剤、流動性改良剤、着色剤、帯電防止剤、導電性付与剤、界面活性剤、防曇剤、発泡剤、抗菌剤等を添加することができる。
【0029】
本発明の樹脂組成物を製造する為の方法に特に制限はなく、通常の方法が満足に使用できるが、溶融混合法が望ましい。少量の溶剤の使用も可能であるが、一般に必要ない。装置としては特に押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を例として挙げることができ、これらを回分的または連続的に運転する。成分の混合順は特に限定されない。
本発明の難燃性樹脂組成物を使用して各種の成形品に成形するにあたっては、押出成形、射出成形、ブロー成形等、周知の種々の方法を採用することができる。
【0030】
【実施例】
実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく説明する。
〔複合ゴム系グラフト共重合体(S−1)の製造〕
テトラエトキシシラン2重量部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5重量部およびオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5重量部を混合し、シロキサン混合物100重量部を得た。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ1重量部を溶解した蒸留水200重量部に、上記シロキサン混合物100重量部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備攪絆した後、ホモジナイザーにより300kg/cm2の圧力で乳化、分散させ、オルガノシロキサンラテックスを得た。
この混合液をコンデンサー及び攪拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、混合攪絆しながら80℃で5時間加熱した後、20℃で放置し、48時間後に水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックスのpHを7.4に中和し、重合を完結しポリオルガノシロキサンラテックスを得た。
【0031】
得られたポリオルガノシロキサンの重合率は89.5重量%であり、ポリオルガノシロキサンの平均粒子径は0.16μmであった。また、このラテックスをイソプロパノールで凝固乾燥し固形物を得、トルエンで90℃、12時間抽出し、ゲル含量を測定したところ91.4重量%であった。
【0032】
また、上記ポリオルガノシロキサンラテックスを268重量部採取し、攪絆機を備えたセパラブルフラスコに入れ、蒸留水102重量部を加え、窒素置換をしてから50℃に昇温し、n−ブチルアクリレートが9.7重量部、アリルメタクリレートが0.3重量部およびtert−ブチルヒドロペルオキシドが0.56重量部の混合液を仕込み30分間攪拌し、この混合液をポリオルガノシロキサン粒子に浸透させた。
次いで、硫酸第1鉄が0.002重量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩が0.006重量部、ロンガリットが0.26重量部および蒸留水が5重量部の混合液を仕込みラジカル重合を開始させ、その後、内温70℃で2時間保持し重合を完了して複合ゴムラテックスを得た。
【0033】
このラテックスを一部採取し、複合ゴムの平均粒子径を測定したところ0.22μmであった。また、このラテックスを乾燥し固形物を得、トルエンで90℃、12時間拙出し、ゲル含量を測定したところ97.3重量%であった。
【0034】
この複合ゴムラテックスに、tert−ブチルヒドロペルオキシドが0.06重量部とメチルメタクリレートが15重量部の混合液を70℃にて15分間にわたり滴下し、その後、70℃で4時間保持し、複合ゴムヘのグラフト重合を完了した。
メチルメタクリレートの重合率は、96.4重量%であった。
得られたグラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウム1.5重量%の熱水200重量部中に適下し、凝固、分離し洗浄した後、75℃で16時間乾燥し、粉末状の複合ゴム系グラフト共重合体(S−1)を96.9重量部得た。
【0035】
〔複合ゴム系グラフト共重合体(S−2)の製造〕
仕込み組成を表1に示すようにしたこと以外は上記複合ゴム系グラフト共重合体(S−1)と同様の方法で複合ゴム系グラフト共重合体(S−2)を調製した。
【0036】
〔グラフト共重合体(S―3)の製造〕
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5重量部およびオクタメチルシクロテトラシロキサン99.5重量部を混合し、シロキサン混合物100重量部を得た。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ1重量部を溶解した蒸留水200重量部に、上記シロキサン混合物100重量部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備攪絆した後、ホモジナイザーにより300kg/cm2の圧力で乳化、分散させ、オルガノシロキサンラテックスを得た。この混合液をコンデンサー及び攪絆翼を備えたセパラブルフラスコに移し、混合攪拌しながら80℃で5時間加熱した後、20℃で放置し、48時間後に水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックスのpHを7.4に中和し、重合を完結しポリオルガノシロキサンラテックスを得た。
得られたポリオルガノシロキサンの重合率は87.5重量%であり、ポリオルガノシロキサンの平均粒子径は0.17μmであった。また、このラテックスをイソプロパノールで凝固乾燥し固形物を得、トルエンで90℃、12時間抽出し、ゲル含量を測定したところ全て溶解した。
この得られたポリオルガノシロキサンラテックスを用いたこと以外は、上記複合ゴム系グラフト共重合体(S−1)と同様の方法で複合ゴム系グラフト共重合体(S−3)を調製した。
【0037】
【表1】
Figure 0004021994
【0038】
参考例1、実施例1〜、比較例1〜3]
上記各グラフト共重合体(S−1)〜(S−3)と、ポリオレフィン系樹脂と、ノンハロゲン系難燃剤その他の成分を表2に示すように配合してノンハロゲン系難燃性樹脂組成物を調製した。
表2中、グラフト共重合体(S−1)〜(S−3)以外の各成分の詳細は次の通りである。
低密度ポリエチレン:密度0.92g/cm、MI1.1g/10min、「三菱ポリエチ−LD−ZF30U」日本ポリケム(株)製
エチレン−プロピレンラバー:密度0.87g/cm、MI0.4g/10min、「タフマーP−880」三井化学(株)製
スチレン系エラストマー:「SEBSクレイトンG1650」シェル化学(株)製
ポリジメチルシロキサン:重合度3000〜5000、「KE−76」信越化学(株)製
シリコーングラフト共重合体(EEA):シリコーン含量50%の主鎖がビニル系共重合体で側鎖がシリコーンのもの
ヒンダードフェノール系酸化防止剤:「イルガノックス1010」Ciba-Geigy社製
イオウ系酸化防止剤:「シーノックス412S」白石カルシウム(株)製
【0039】
得られた各難燃性樹脂組成物を用いて、6インチテストロール機(関西ロール(株)製)により、180℃、15rpmで混練りし、5分間混練りした後、重ね合わせ180℃に調温したプレス機を用いて1mm厚のプレスシートを作製し、5kg/cm2の水蒸気で3分間保持した。
そして、各プレスシートについて、引張り強度、引張り伸び、100%伸び応力(モジュラス)、低温ゴム弾性、垂直燃焼試験、ベタツキ性について各評価を行なった。
引張り強度、引張り伸び、100%モジュラスは、JIS K 6301に準拠し、プレスシートを3号型ダンベルに打ち抜いて、引っ張り速度500mm/minで行なった。
低温ゴム弾性は、プレスシートを−40℃の低温室中に5時間以上保存したものを、−30℃の状態で触手により評価した。弾性的であるものを○、脆化しているものを×とした。
垂直燃焼試験はUL44に準拠し、燃焼時間が60秒以内のものを合格(○)、60秒を越えるものを不合格(×)とした。
ベタツキ性は、プレスシート表面のベタツキの有無を評価した。官能試験でベタツキのないものは○、あるものを×とした。
【0040】
【表2】
Figure 0004021994
【0041】
難燃剤の添加量が少ない比較例3では難燃性が不十分であり、ポリオルガノシロキサンとシリコーングラフト物を多く添加した比較例2では、少量の難燃剤で難燃性を示すが、ベタツキが生じてしまった。その上、難燃剤を多量に添加した比較例1では、引張り強度、伸びが低下し、伸び応力が増加し、柔軟性にも乏しい。
対して、本実施例の難燃性樹脂組成物では、難燃剤の添加量が少量でありながら、難燃性が高く、しかも、引張り強度や伸びが大きく、伸び応力も小さく、低温ゴム弾性が良好で、シートのベタツキ性も認められなかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の難燃性樹脂組成物を用いた成形物は、難燃剤の配合量が少ないにもかかわらず、十分な難燃性を発揮し、しかも、燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生しない上に、柔軟性に富み、また、機械物性や耐水性に優れており、各種用途、特に電線、ケーブル、さらには自動車内装材、シール材、モール材用途に有効である。
さらに、スチレン系エラストマーを含有したものであると、複合ゴム系グラフト共重合体のポリオレフィン系樹脂中への分散性がより向上する。
さらに、金属酸化物及び/又は金属炭酸塩を含有したものであると、難燃性がより向上する。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)5〜95重量%、並びに
    ポリオルガノシロキサン成分50〜90重量%及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分50〜10重量%(各成分の合計重量は100重量%)からなる複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体がグラフトされてなる複合ゴム系グラフト共重合体(B)95〜5重量%をブレンドしてなる組成物100重量部に対し、
    ノンハロゲン系難燃剤(C)10〜170重量部を含有するノンハロゲン系難燃性樹脂組成物。
  2. さらにスチレン系エラストマーを含有していることを特徴とする請求項1記載のノンハロゲン系難燃性樹脂組成物。
  3. さらに金属酸化物及び/又は金属炭酸塩を含有していることを特徴とする請求項1または2記載のノンハロゲン系難燃性樹脂組成物。
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