JP4227720B2 - 情報記録ディスク製造装置及び製造方法並びにプラズマアッシング方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は情報記録ディスク製造装置及び製造方法並びにプラズマアッシング方法に係り、特に、PCVD装置内部に付着したカーボン膜の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録ディスクは、一般に、円板状のアルミニウム製またはガラス製基板の両面にCr等の金属下地膜、CoCrTa等の磁性記録膜、及び磁性記録膜を保護するためのカーボン保護膜が形成された積層構造を有する。
このような磁気記録ディスクの製造には、各構成膜の形成装置であるスパッタ室やプラズマCVD(PCVD)室をゲートバルブを介して接続したインライン式製造装置が用いられる。基板を搭載した複数のキャリアは、各室に敷設された搬送用レール上を移動して次々と各室に送り込まれ、各室で所定の処理が行われて上記構造の磁気記録ディスクが連続して作製される。
【0003】
ここで、保護膜であるカーボン膜は、PCVD室で形成されるが、カーボン膜の成膜を繰り返し行うと、内壁等に付着するカーボン膜の膜厚が徐々に増加し、ある厚さ以上になると内部応力によりカーボン膜が剥離し、パーティクルを発生させることになる。このパーティクルが基板表面に付着すると、カーボン保護膜の表面に突起が形成され、局所的な膜厚異常を助長し、後工程の潤滑層形成工程に多大な不具合を生じ、製品不良を引き起こす要因となる。このため、カーボン膜が剥離する厚さとなる前に装置を停止し、酸素プラズマによるアッシング処理が定期的が行なわれる。しかし、この周期は、磁性膜形成室等の他の成膜室のメンテナンス周期に比べて遙かに短く、磁気記録ディスクの生産性を著しく低下させる要因となっていた。
【0004】
この問題を解決する方策として、例えば、磁気記録ディスク製造装置に2室のカーボン保護膜形成用PCVD室を配置して、各室でカーボン保護膜の形成と室内部に付着したカーボン膜の酸素プラズマによるアッシング除去処理とを交互に繰り返すことによって、装置を停止することなくパーティクルの発生を防止する磁気記録ディスク製造装置が提案されている(特開平11−229150号公報)。この装置構成により、PCVD室のメンテナンス周期は大幅に延び、その結果、磁気記録ディスクの生産性を向上させることが可能となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方策を用いても、パーティクル発生の問題を完全に解消することはできなかった。この原因を検討したところ、搬送用レールに付着するカーボン膜が原因であることが分かった。即ち、レールに付着するカーボン膜の堆積量は少ないものの上記アッシング処理では十分に除去できず徐々に堆積してキャリアの移動時に擦れて剥離することが原因であることが分かった。従って、搬送用レールを定期的に交換する必要があるが、このレールの交換や洗浄の手間等が磁気記録ディスクのコスト削減を図る上で問題となっている。
【0006】
一方、近年の磁気記録ディスクの高面記録密度は急速に進み、これに対応して磁気記録層と磁気ヘッドとの間隔(スベーシング)が狭くなるため、より薄いカーボン保護膜が要求されている。これに伴って、パーティクルの制御もより厳しいものとなり、より効果的なカーボン付着膜の除去方法が望まれている。
【0007】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであり、カーボン保護膜形成用PCVD室のパーティクル発生を効果的に防止し、カーボン膜付着に関連するメンテナンスを低減し、情報記録ディスクの生産性を向上させる情報記録ディスク製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、カーボン膜形成用のPCVD装置の内部に付着したカーボン膜を効率よくアッシング除去するプラズマアッシング法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、本発明の情報記録ディスク製造方法は、内部に配置された電極に高周波電力を供給してプラズマを発生させ、基板上にカーボン膜を形成するプラズマCVD室を含む複数の真空室を有し、該複数の真空室のそれぞれに敷設されたレール上を基板搭載キャリアを受け渡しながら移動させ、各真空室で基板に所定の処理を行う情報記録ディスクの製造方法であって、前記プラズマCVD室に酸素ガスを導入し、前記電極に高周波電力を供給して酸素プラズマを発生させるとともに、前記プラズマCVD室内のレールに負のバイアス電圧を印加して該プラズマCVD室内部に付着したカーボン膜を除去する工程を含むことを特徴とする。
【0009】
これにより、プラズマCVD室の内壁のみならず、搬送用レールに付着したカーボン膜を効率よく除去することが可能となり、実質的にPCVD室のレールのメンテナンスが不要となる。PCVD室のシールド類に関しては、メンテナンス時期までカーボン膜剥離を起こさないので、この結果、定期的な搬送用レールの洗浄及び交換の手間を省くことができるとともに、情報磁気ディスク製造装置のメンテナンス周期は他の成膜室のメンテナンス周期まで延びることとなり、情報記録ディスクの生産性を大幅に向上させることが可能となる。
【0010】
前記バイアスは−100V〜−500Vとするのが好ましく、−100V以下のバイアスを印加することにより、効果的にレールに付着したカーボンを除去することができる。また、同様に酸素ガス圧も4〜20Paとするのが好ましい。
【0011】
さらに、前記電極を基板の両側に配置し、該2つの電極に同位相の高周波を供給して酸素プラズマを発生させるのが好ましい。同位相の高周波を供給すると酸素プラズマは搬送用レール端部まで広がり、レール端部でのアッシングレートが増加する。これにより、効率よくパーティクル発生源が取り除くことができる。
【0012】
また、カーボン膜の形成時には、前記2つの電極に互いに逆位相の高周波を供給するのが好ましい。成膜時に供給する高周波電力を互いに逆位相とすることにより、プラズマの広がりを抑え、基板以外の室の内壁や搬送用レール上へのカーボン膜の付着が抑えられることから、アッシング処理のタクトタイムが短縮され、より自由度の高い製造プロセスに対応できることになる。
【0013】
本発明の情報記録ディスク製造装置は、内部に配置された電極に高周波電力を供給してプラズマを発生させ、基板上にカーボン膜を形成するプラズマCVD室を含む複数の真空室を有し、該複数の真空室のそれぞれに設けられたレール上を基板搭載キャリアを受け渡しながら移動させ、各真空室で基板に所定の処理を行う情報記録ディスク製造装置において、前記プラズマCVD室に付着したカーボン膜のプラズマアッシング用の酸素ガス導入口を設け、前記プラズマCVD室内に設けられたレールを電気的に絶縁状態とし、かつ該レールと基板とに独立してバイアスを印加するバイアス印加手段を設けたことを特徴とする。
また、前記プラズマCVD室において、カーボン膜を形成する際は前記レールにバイアスを印加することなく基板にバイアスを印加し、プラズマアッシング時は前記レールのみにバイアスを印加する構成としたことを特徴とする。
【0014】
このようにカーボン膜の形成時には、搬送用レールにバイアスを印加することなく基板のみにバイアスを印加することにより、基板上に緻密かつ付着力の強いダイヤモンドライクカーボン膜を高速に形成できることになる。一方、レール上に付着する膜は通常のカーボン膜であり、しかもアッシング時のレールへのバイアス印加効果により、レール上のカーボン膜をより短時間で除去することが可能となる。
【0015】
また、本発明のプラズマアッシング方法は、内部に基板を搭載したキャリアを搬送するためのレールが敷設されたプラズマCVD装置の内部に付着したカーボン膜のプラズマアッシング方法であって、該装置内に酸素ガスを導入し、電極に高周波電力を供給して酸素プラズマを発生させるとともに、前記レールに負のバイアスを印加することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の情報記録ディスク製造装置の一構成例を図1に示す。図1は、図2に示す構造の磁気記録ディスクの製造に用いられる情報記録ディスク製造装置の概略構成を示す平面図である。
【0017】
図1の製造装置は、第1下地膜(101)形成用スパッタ室5−1、第2下地膜(102)形成用スパッタ室5−2、第1磁性膜(103)形成用スパッタ室6−1,第2磁性膜(104)用スパッタ室6−2及びカーボン保護膜(105)形成用PCVD室7−1,7−2の成膜室と、ロボット12により基板15を補助室9−1,9−2のカセットから取り出し、キャリア13に搭載するロード室と、処理済みの基板をキャリア13から取り外し補助室10−1,10−2のカセットに戻すアンロード室2と、キャリアの方向を90゜回転して次の真空室にキャリア13を送るための方向転換室3−1,3−2,3−3,3−4と、基板15を加熱するプリヒート室4と、予備室8と、から構成される。各真空室はゲートバルブ等の仕切弁11を介して連結されており、各真空室の内部にはキャリア搬送用のレ−ルが敷設されている。
【0018】
基板15は、ロード室1において、図3に示すキャリア13に2枚ずつ搭載され、プリヒート室4で所定の温度に加熱された後、各成膜室を順次搬送されて、基板の両面に図2に示す下地膜、磁性膜、保護膜の積層膜が形成され、アンロード室2でキャリアから取り外される。これらの操作は連続して行われる。なお、2つのPCVD室7−1,7−2では、例えば、カーボン保護膜の所望の膜厚の半分づつが形成される。
【0019】
図1の例は、真空室の数よりもキャリアの数が2つ少ない場合を示しているが、このような構成で、例えば、各真空室のキャリアを全て同じタイミングで次の真空室に移動させる搬送方法を採用する場合、2つのPCVD室7−1,7−2ではそれぞれ7回の移動で1回キャリアが存在しない状態、即ち空き状態が生じる。この空き状態の時に、レールに負のバイアス電圧を印加しながらプラズマアッシング処理が行われ、長期にわたってカーボン膜の剥離によるパーティクルの発生を防止することが可能となる。
【0020】
なお、図1の例では、キャリア数を真空室の数より2つ少ない場合について述べたが、これに限らずキャリアと真空室の数を同数としても、半分としてもよい。また、キャリアの次の真空室への搬送は、真空室内の全てのキャリアについて同時に移動させる必要は必ずしもなく、一部のキャリアのみを移動させる期間を設けても良い。これらは、磁気記録ディスク製造装置全体のスループット及び各室のタクトタイムに応じて選択すればよく、種々の構成の製造装置、製造方法の設計が可能となる。また、2つのPCVD室でそれぞれ所望の膜厚の半分を形成する構成としたが、1つの室で全膜厚を形成し、その間、他方の室でアッシング処理するようにしても良い。
さらに、図1の製造装置構成は、図2の膜構成の磁気記録ディスクを対象としたものであり、所望の膜構成により各真空室の個数、配置順序等は自由に変更することができ、また図1のようにループ状の配置ではなく、直線状に配置しても良い。
【0021】
次に、キャリアとその搬送メカニズムを説明する。キャリアの搬送機構としては、例えば特開平10−159934号公報に記載された磁気搬送機構が好適に用いられ、本発明に適用する場合を図3、4を用いて説明する。
図3は本発明に好適に適用されるキャリアの構造例を示す(a)概略正面図及び(b)側面図である。キャリア13は、図3に示すように、基板ホルダ20とスライダ22とからなり、二つの基板ホルダがスライダにはめ込まれる構成となっている。基板ホルダ20は、その下部が突き出た形状をなし、その突き出た部分21に後述するバイアス印加手段の接点を接触させることにより、成膜中に基板にバイアスを印加することができる。スライダ22には、基板ホルダ20との嵌合部に絶縁石24が設けられ、基板ホルダとスライダとの電気的絶縁が確保される。また、スライダの底部には上下方向に着磁された多数の磁石群23が配置され、隣り合う磁石の着磁方向が互いに逆になるように取り付けられる。なお、基板15は基板ホルダに設けられた支持爪(不図示)により保持される。
【0022】
図4は、プラズマ室における磁気搬送機構を説明する(a)概略正面図、(b)A−A’矢視図である。
キャリアが移動するレールは、例えば図4に示すように、主レール25と補助レール26とからなり、主レール25にはベアリング27が複数個垂直に配置され、このベアリング上をキャリア13が滑走する。また、主レール25と補助レール26には、キャリアの転倒防止用のベアリング28,29が複数個ずつ対をなして水平に配置されている。レール25,26は支持台33に固定された支柱34上に絶縁石35を介して取り付けられ、互いに電気的に連結されている。このように、レールは電気的に浮遊状態にある。また、レールには開口36が2つ設けられ、この開口を介してバイアス印加用接点が挿入される。
【0023】
また、レールの下方部の上記磁石群23に対向する位置に、2つに分割されたローラ30が配置され、その表面には互いに逆方向に着磁された磁石31が交互に螺旋状に配置されている。ローラの軸は、傘歯車37を介してモータ(不図示)と連結されている。モータによりローラ30が回転すると、ローラー上に配置された磁石31とスライダ底部の磁石23との磁気結合により、キャリアがレール上を移動することになる。また、分割されたローラ30の一方は、軸方向に移動できる構成とすると、隣り合う真空室のレール間でのキャリアの受け渡しを滑らかに行うことができるが、軸方向に固定されていても良い。また、ローラの回転による発塵の影響を避けるため、ローラ30等の回転部分はケース32により、真空領域と隔離された大気側に設けられている。このケース32は支持台33上に固定される。
【0024】
なお、PCVD室以外の他の真空室の場合も、図4と同様の搬送機構が用いられるが、レールの開口36箇所は2個あるいは1個の場合がある。
【0025】
次に、PCVD室におけるカーボン膜の形成方法及び付着したカーボン膜のアッシング除去方法を図5を用いて説明する。図5(a)はPCVD室の構成を示す概念図である。
PCVD室内部には、図5(a)に示すように、2つの基板ホルダ20を両側から挟むように2つの高周波電極41が配置され、各々が整合回路42を介して、高周波電源43に接続されている。また、高周波電極41は中空構造をなし、ガス導入管44、バルブ45を介してカーボン膜形成用の炭化水素(トルエン等)及び水素ガスとアッシング用の酸素ガスとからなるガス供給系46に接続されている。電極内部に導入されたガスは、電極の基板側表面に設けられた多数のガス放出口から基板に向かって放出される。また、PCVD室はメインバルブ47を介し排気装置48に接続され、バルブ47の調整により内部圧力は所望の値に設定される。
【0026】
さらに、PCVD室には、成膜時に基板にバイアス電圧を印加し、アッシング時にレールにバイアスを印加するためのバイアス印加手段50が設けられている。このバイアス印加手段としては、例えば、図5(b)に示すように、先端部が2つに分かれた音叉形状の接点保持部材51とその2つの先端部のそれぞれに取り付けられた2つの接点53,54とからなり、接点保持部材51はスイッチを介して高周波電源あるいはパルス直流電源52に接続される。この接点保持部材51は例えばシリンダ機構(不図示)により前後に移動可能とし、レールの開口36から挿入して接点53,54を基板ホルダ21又はレール25に接触させることにより、独立してそれぞれにバイアスを印加することができる。なお、接点としては、例えばバネ性・耐熱性のある板状のインコネルが好適に用いられる。
【0027】
前述したように、PCVD室に敷設されたレールは、真空室及び基板ホルダ20と絶縁状態とされているため、成膜時には基板だけにバイアスを印加し、アッシング時にはレールのみにバイアスを印加することが可能となる。なお、基板ホルダとレールとを絶縁状態とするのは、成膜時にレールにもバイアスが印加されると、レール上にも緻密で付着力の強いダイヤモンドカーボン膜が形成されてしまい、除去しにくくなるからである。
【0028】
このPCVD室に、磁性膜が形成された基板を搭載したキャリア13が搬入されると、室内が一旦高真空に排気された後、ガス供給系から炭化水素と水素ガスが所定の流量で室内に導入され、バルブ47により所定の圧力に調整される。
次いで、基板ホルダにバイアスを印加する。この様子を図5(c)に示す。シリンダを駆動させて接点保持部材51を前進させ、接点を2つの開口36内に挿入し、接点53を基板ホルダの下部21に接触させる。この状態でスイッチをオンして所定の直流電圧を2つの基板ホルダに印加する。基板ホルダ20は絶縁石24によりスライダ22と分離され、しかも接点54はレールの開口部より基板ホルダ側に出てレールには接触しないため、基板ホルダだけに電圧が印加され、レールにはバイアス電圧は印加されないことになる。
【0029】
続いて、2つの高周波電極に高周波電力を供給して放電を発生させる。ここで、2つの電極に供給する高周波電力は互いに逆位相とするのが好ましく、これにより、プラズマを基板表面空間に閉じこめ成膜効率を向上させるとともに、真空室壁やレール等への膜付着を抑えることができる。さらに、基板両面でより特性の揃ったカーボン保護膜を形成することができる。
所定時間経過後、高周波電力及びバイアス電圧を遮断して、接点保持部材51を後退させ、室内を高真空に排気する。この後、保護膜が形成された基板を保持するキャリアは次の室へ搬出されるとともに、磁性膜が形成された基板を保持する次のキャリアが搬入される。
【0030】
PCVD室にキャリアが存在しない空き状態の時に、室の内壁やレール等の露出面に堆積したにカーボン膜を除去するためにプラズマアッシング処理を行う。酸素ガス供給系から酸素ガスを導入して所定の圧力に設定する。シリンダを駆動し、接点保持部材51を前進させ、図5(d)に示すように、接点54をレールの開口部36に接触させた後、スイッチをオンしてレールに所定のバイアス電圧を印加する。この後、2つの高周波電極に高周波電力を供給し放電を発生させる。これにより、内壁やレール等に堆積したカーボン膜が分解し、CO,CO,HOガスとなって排気される。レールにバイアス電圧を印加することにより、従来装置では除去困難であったレール上のカーボン膜を容易に除去することができる。
ここで、2つの高周波電極に印加する高周波電力はいずれも同位相とするが好ましく、同位相とすることにより、プラズマはレール端部まで広がり、レール端部に付着したカーボン膜も効率よくアッシングすることができる。なお2つの電極に供給する高周波電力の位相は、例えば外部発振器を用いて制御することができる。
【0031】
以上述べたように、本発明により、PCVD室内のクリーニングを効率よく行うことができるため、カーボン膜の堆積の積算により発生するパーティクルの発生の問題を回避でき、実質的にPCVD装置のメンテナンスが低減できる。
【0032】
以下に、図1の製造装置を用いた3.5インチ磁気記録ディスクの製造プロセスにおけるPCVD室でのカーボン膜の形成及び付着膜のアッシング処理をより具体的に説明する。
【0033】
まず、所定の処理によって磁性膜が形成された基板を搭載したキャリア13が図5に示すカーボン保護膜形成用PCVD室に搬入された状態で、排気系48により10−6Pa程度に排気した後、CCH及び水素ガスがそれぞれ30sccm、100sccm導入し、バルブ47を調節して圧力を4Paに設定した。バイアス印加手段のシリンダを前進させ、基板ホルダに接点53を接触させて−100Vを印加した後、平行平板型高周波電極42の各々に450W程度のRF電力(13.56MHz)を供給し、プラズマを発生させた。この条件では、6秒間で5nmのカーボン膜が基板上に堆積した。このように基板に負のバイアス電圧を印加することによって、堆積速度を増加させ、また、緻密で硬いダイヤモンド構造のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を形成することができる。
【0034】
また、アッシング時における本発明の効果を確認するために上記の方法でシリコン基板上に形成したDLC膜を用い、これを搬送用レールの端部に貼り付け、種々の条件でアッシング処理を行った。
酸素ガス流量400sccm、ガス圧10Pa、RF電力700W(1つの電極あたり)の条件でアッシング処理したときのレールに印加するバイアス電圧とバイアス電流及びアッシングレートとの関係を図6に示す。なお、2つの電極に供給する高周波の位相は互いに逆位相である。
図6が示すように、アッシングレート及びバイアス電流はバイアス電圧(絶対値)とともに増加することが分かる。即ち、レールにバイアス電圧を印加しないと、バイアス電流は計測されず、カーボン膜は殆どアッシングされないが、バイアス電位を増加するに従いアッシングレート、バイアス電流は増加し、バイアス電圧が−300Vでは、アッシッグレート0.32nm/sec、バイアス電流0.4Aが得られた。
【0035】
次に、電極に供給する高周波の位相を同位相とした以外は、全く同じ条件でアッシング処理を行ったところ、アッシングレートは1.27nm/sec、バイアス電流は0.6Aとなり、同位相とすることにより、アッシング効率が向上することが分かった。
さらに、ガス圧6.5Paで、2つの電極に供給する高周波の位相を同位相及び逆位相の場合について、レールに印加するバイアス電圧を変化させてバイアス電流を調べたところ、図7に示すように、同位相にした場合のほうが逆位相の場合に比べ、大きなバイアス電流が得られることが確認された。
【0036】
次に、圧力を種々変化させたときのアッシングレート及びバイアス電流の変化を図8に示す。なお、バイアス電圧は−300V、2つの電圧に供給する高周波電力の位相は逆位相である。
バイアス電流はガス圧とともに単調に増加する傾向を示すが、アッシングレートは、5Paで特異的に大きな値を示した。これは、5Paの場合に、アッシングレートがレール各部で大きくなることを意味するものではなく、レール端部でのアッシングレートは増加するもののレール中央部のアッシングレートは減少するものと考えられる。このことは、5Paの場合、レール端方向へのプラズマの広がりが観測されること、及び、バイアス電流の増加しないことからも裏付けられると考えられる。
【0037】
図6〜8の実験結果から分かるように、レールに負のバイアスを印加することにより付着膜のアッシングレートを増大させることができ、かつレール端部に付着したカーボン膜も短時間で除去することができる。さらに、2つの高周波電極に同位相の高周波を供給することにより、アッシング効率は一層増大する。即ち、より短時間でカーボン膜をアッシング除去することが可能となり、高いスループットの製造装置に対応可能なプラズマCVD装置を提供することができる。
【0038】
以上は、キャリアとして図3に示した2つの基板を保持する構造のキャリアを用いた場合、並びにキャリア搬送機構として図4に示した磁気搬送機構を用いた場合について説明してきたが、本発明はこれらに限定されないことは言うまでもなく、本発明はキャリア搬送用レールが敷設された全てのカーボン膜形成用のプラズマCVD装置、及びこれを含む情報記録ディスクの製造装置及び製造方法、アッシング方法に適用されるものである。即ち、例えば、キャリアは1又は3以上の基板を保持する構成のものであってもよく、これに伴いあるいはプロセスとの関係で、バイアス印加手段の接点の数及びレールの開口の数も適宜変えることができる。さらに、また、バイアス印加手段自体についても、図5に示すものに限定されることはなく、基板とレールとに別々にバイアスを印加できるものであればどのような構造のものであっても良い。
さらに、ディスクも磁気ディスクに限定されるものではなく、カーボン保護膜が形成されるCD、光ディスク等の種々の情報記録ディスクの製造装置、製造方法に適用される。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、PCVD室の内壁及びレールに付着するカーボン膜は、常に、剥離を起こしパーティクルを発生する厚さ以下に保たれる。従って、レール交換を実質的に不要とすることができる。この結果、他の成膜室のメンテナンスに対応してシステムを稼動することができ、生産性を大幅に上げることができる。また、高速のアッシングレートが得られるため、製造装置のスループットがアッシング処理のタクトタイムに左右されることはなく、生産性に優れた情報記録ディスクを実現することが可能となる。
また、大型の設備投資を必要とせず、簡単な構成で、生産性の高い情報記録ディスク製造装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る情報記録ディスク用成膜装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】磁気記録ディスクの構造を示す模式図である。
【図3】キャリアの構造を示す概略図である。
【図4】キャリアの磁気搬送機構を説明する概略図である。
【図5】PCVD室の概略構成を示す概念図である。
【図6】アッシングレート及びバイアス電流とバイアス電圧との関係を示すグラフである。
【図7】高周波電極に供給する高周波の位相差とバイアス電流との関係を示すグラフである。
【図8】アッシングレートとガス圧との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ロード室、
2 アンロード室、
3 方向転換室、
4 ブリヒート室、
5 下地膜形成用スパッタ室、
6 磁性膜形成用スパッタ室、
7 保護膜形成用PCVD室、
8 予備室、
9 基板搭載用補助室、
10 基板回収用補助室、
11 ゲートバルブ、
12 ロボット、
13 キャリア、
15 基板、
20 基板ホルダ、
22 スライダ、
23 磁石、
24、35 絶縁石、
25,26 レール、
27,28,29 ベアリング、
30 ローラ、
31 螺旋状磁石、
32 ケース、
33 支持台、
34 支柱、
36 開口、
41 平行平板型高周波電極、
42 整合回路、
43 高周波電源、
46 ガス供給系、
50 バイアス印加手段、
51 接点保持部材、
52 バイアス電源、
53、54 接点、
101 第1下地膜、
102 第2下地膜、
103 第1磁性膜、
104 第2磁性膜、
105 カーボン保護膜。

Claims (9)

  1. 内部に配置された電極に高周波電力を供給してプラズマを発生させ、基板上にカーボン膜を形成するプラズマCVD室を含む複数の真空室を有し、該複数の真空室のそれぞれに敷設されたレール上を基板搭載キャリアを受け渡しながら移動させ、各真空室で基板に所定の処理を行う情報記録ディスクの製造方法であって、前記プラズマCVD室に酸素ガスを導入し、前記電極に高周波電力を供給して酸素プラズマを発生させるとともに、前記プラズマCVD室内のレールに負のバイアス電圧を印加して内部に付着したカーボン膜を除去する工程を含むことを特徴とする情報記録ディスクの製造方法。
  2. 前記バイアスは−100V〜−500Vであることを特徴とする請求項1に記載の情報記録ディスクの製造方法。
  3. 前記電極を基板の両側に配置し、該2つの電極に同位相の高周波を供給して酸素プラズマを発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録ディスクの製造方法。
  4. カーボン膜の形成時に前記2つの電極に互いに逆位相の高周波を供給することを特徴とする請求項3に記載の情報記録ディスクの製造方法。
  5. 内部に配置された電極に高周波電力を供給してプラズマを発生させ、基板上にカーボン膜を形成するプラズマCVD室を含む複数の真空室を有し、該複数の真空室のそれぞれに設けられたレール上を基板搭載キャリアを受け渡しながら移動させ、各真空室で基板に所定の処理を行う情報記録ディスクの製造装置において、前記プラズマCVD室に付着したカーボン膜のプラズマアッシング用の酸素ガス導入口を設け、前記プラズマCVD室内に設けられたレールを電気的に絶縁状態とし、かつ該レールと基板とに独立してバイアスを印加するバイアス印加手段を設けたことを特徴とする情報記録ディスク製造装置。
  6. 前記プラズマCVD室において、カーボン膜を形成する際は前記レールにバイアスを印加することなく基板にバイアスを印加し、プラズマアッシング時は前記レールのみにバイアスを印加する構成としたことを特徴とする請求項5に記載の情報記録ディスク製造装置。
  7. 内部に基板を搭載したキャリアを搬送するためのレールが敷設されたプラズマCVD装置の内部に付着したカーボン膜のプラズマアッシング方法であって、該装置内に酸素ガスを導入し、電極に高周波電力を供給して酸素プラズマを発生させるとともに、前記レールに負のバイアスを印加することを特徴とするプラズマアッシング方法。
  8. 前記バイアスは−100V〜−500Vであることを特徴とする請求項7に記載のプラズマアッシング方法。
  9. 前記電極を基板の両側に配置し、該2つの電極に同位相の高周波を供給して酸素プラズマを発生させることを特徴とする請求項7又は8に記載のプラズマアッシング方法。
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