JP4268234B2 - 情報記録ディスク用成膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願の発明は、情報記録ディスクの製作に関するものであり、特に、記録層としての磁性膜の上に積層されるカーボンよりなる保護膜の作成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報記録ディスクは、ハードディスクやCD−ROM等として従来から良く知られている。このような情報記録ディスクは、金属製又は誘電体製の基板の表面に記録層を形成した構造であり、基板に対する表面処理を経て製作される。このような表面処理を、ハードディスクの製作を例にして説明する。
ハードディスクを製作する場合、一般的には、NiPコーティングされたアルミニウム製の基板を用いる。この基板の上に、まず、Cr等の金属の下地膜を作成し、その上に、CoCrTa等の磁性膜を記録層として作成する。そして、記録層の上に保護膜を設けることでハードディスクが製作される。
【0003】
保護膜は、記録再生ヘッドによる衝撃や摩耗から記録層を守るため及び耐候性を確保するために設けられるものであり、潤滑性のある強固な膜が必要とされている。この保護膜には、通常、カーボン膜が使用される。尚、以下の説明では、カーボンよりなる保護膜をカーボン保護膜と称する。
【0004】
カーボン保護膜は、記録密度の増加に伴い、より薄い厚さで必要な耐久性を備えることが要求されている。記録密度の増加は、セクタ間距離の減少を意味する。セクタ間距離が減少すると、磁気記録層に対する磁気ヘッドの距離も短くしなければならない。カーボン保護膜は、磁気記録層の上に形成されるから、磁気ヘッドまでの距離を短くするには、保護膜の厚さを薄くしなければならない。現在市販されている例えば1.6ギガビット/平方インチ程度の記録密度のハードディスクでは、保護膜の厚さは100〜150オングストローム程度であるが、記録密度が向上して3ギガビット/平方インチ程度になると、保護膜の厚さは50〜100オングストローム程度になると予想されている。
【0005】
その一方で、カーボン保護膜は、衝撃や摩耗、熱、湿度等から記録層を十分に保護できるものでなければならない。このためには、一般的には、緻密な構造の硬度の高い膜でなければならない。つまり、情報記録ディスクにおける保護膜は、より薄い厚さでかつ十分な硬度で作成されることが要求されている。
従来、このようなカーボン保護膜は、スパッタリングによって作成されている。即ち、カーボンよりなるターゲットをスパッタして基板の表面にカーボンよりなる膜を堆積させ、保護膜としている。
【0006】
しかしながら、より薄くて高硬度の膜の作成には、スパッタリングよりも化学蒸着(Chemical Vapor Deposition, CVD)の方が適している。図13は、従来の情報記録ディスク用成膜装置の要部の構成を示す正面概略図であり、プラズマCVDによってカーボン保護膜を作成する構成が示されている。
図13に示す装置は、排気系61を備えた保護膜作成チャンバー6と、保護膜作成チャンバー6内に所定のプロセスガスを導入するプロセスガス導入系62と、導入されたプロセスガスにエネルギーを与えてプラズマを形成するプラズマ形成手段63と、保護膜作成チャンバー6内に基板9を搬入する不図示の搬送系とから主に構成されている。
【0007】
プロセスガス導入系62は、CH4 等の有機化合物ガスを導入するようになっている。プラズマ形成手段63は、プロセスガスに高周波エネルギーを与えてプラズマを形成するようになっており、保護膜作成チャンバー6内に設けられた高周波電極631と、整合器632を介して高周波電極631に高周波電力を供給する高周波電源633とから主に構成されている。高周波によってCH4 等のガスのプラズマが形成されると、プラズマ中でガスが分解し、基板9の表面にカーボンの薄膜が堆積する。
【0008】
尚、カーボン膜は、アモルファス状のカーボン膜と結晶化したカーボン膜に大きく分けられる。そして、結晶化したカーボン膜は通常グラファイトカーボン膜であるが、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜と呼ばれるものがある。DLC膜は、一般的には、ダイヤモンドに類似した構造のカーボン膜を意味する。例えば、CH4 等の炭化水素化合物ガスを用いたプラズマCVDによるカーボン膜の作成において、負イオン衝撃によってエネルギーを与えると、C−H結合及びCの二重結合が減少してC単結合が多くなり、ダイヤモンド構造の割合が高くなる。即ち、DLC膜の構造が得られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したカーボン保護膜を作成する情報記録ディスク用成膜装置において、カーボンは、基板の表面のみならず保護膜作成チャンバー内の露出面にも堆積する。この膜の堆積量が多くなると、膜は内部応力や自重などによって剥離する。この剥離によって、保護膜作成チャンバー内にカーボンの微粒子(パーティクル)が生じてしまう。このパーティクルが基板の表面に付着すると、カーボン保護膜の表面に突起が形成されて局所的な膜厚異常となり、製品不良の原因になる。この点を、図14を使用して説明する。図14は、パーティクルの付着の問題を説明した断面概略図である。
【0010】
カーボン保護膜901の表面にパーティクルが付着したり、パーティクルが付着した状態でカーボン保護膜901を堆積させたりすると、図14に示すように、突起902が形成されてしまう。突起902が形成されると、ヘッドクラッシュとか信号エラー等の問題が生じやすい。そこで、カーボン保護膜901の作成後、基板9を軽く表面研磨処理するテープバニッシ工程を行い、その後、グライドハイトテスト(Glide Height Test)と呼ばれる試験にかけている。
【0011】
グライドハイトテストは、図14に示すように、検査治具903の先端を基板901の表面から所定の短い距離を保って走査する試験である。パーティクルの付着によって突起902が形成されていると、検査治具903の先端がカーボン保護膜901に接触してしまう。検査治具903は、接触による短絡電流を検出する等の検出回路を有しており、突起902が形成されていないかどうかを検査できるようになっている。
【0012】
上述したパーティクルの大きさは、直径0.1〜0.5μm程度であり、従って、突起902の高さもこの程度である。一方、グライドハイトテストにおける検査治具903の先端と基板9の表面との距離dは、現在、1μインチ(254オングストローム)に決められている。従って、たった一個のパーティクルによる突起902が形成されているだけで、基板9はグライドハイトテストをパスできず、不良品となってしまう。そして、将来、この距離dは、1μインチから0.5μインチになると見込まれている。
【0013】
従来の装置では、保護膜作成チャンバー内の露出面に堆積したカーボン膜が剥離して多量のパーティクルが発生する。このため、基板9の表面にも多くパーティクルが付着し、基板9の表面に多数の突起902が形成されてしまう。このことから、テープバニッシ工程ですべての突起902を除去して平坦化することが困難になる。また、パーティクルが重なったりして大きな突起902が形成されていると、その突起902を除去する際にそれを引きずって基板9の表面を傷付けたり凹みを作ったりする問題がある。このような傷や凹みがあると、グライドハイトテストをパスしても次のサーティファイテスト(記録再生テスト)で不良となることが多い。このようなことから、従来の装置では、不良品の発生確率が低くできない問題があった。
本願の発明は、この課題を解決するためになされたものであり、保護膜作成チャンバー内のパーティクル発生を効果的に防止した構成を有する情報記録ディスク用成膜装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、基板の表面に記録用の磁性膜を作成した後にこの磁性膜の上にカーボンよりなる保護膜を作成して情報記録ディスクを製作する情報記録ディスク用成膜装置であって、
前記保護膜を作成する保護膜作成チャンバーを備えており、この保護膜作成チャンバーは、内部を排気する排気系と、内部に酸素ガスを導入する酸素ガス導入系と、導入された酸素ガスにエネルギーを与えてプラズマを形成するプラズマ形成手段とを有しており、保護膜作成チャンバー内の前記基板以外の露出面に堆積したカーボンの膜をアッシングして除去することが可能となっており、
複数のチャンバーが気密に一列に接続されたインライン式の装置であって、これら複数のチャンバーのうちの一つは前記磁性膜を作成する磁性膜作成チャンバーであるとともに、別の一つは前記保護膜作成チャンバーであり、さらに、前記基板を保持するキャリアを移動させることでこれら複数のチャンバーに基板を順次搬送する搬送系が設けられており、
前記保護膜作成チャンバーの直後又は直前の搬送路上には退避チャンバーが設けられており、前記搬送系は保護膜作成チャンバーでの保護膜の作成の後又は前の前記アッシングの際に基板を退避チャンバーに搬入するものであり、
複数のチャンバーのうちの少なくとも一つはキャリアとの間で基板の着脱を行う着脱チャンバーであり、さらに、前記搬送系は、全チャンバーの数よりも退避チャンバーの数の分だけ少ない数のキャリアを備えており、前記アッシングの際には基板を保持したキャリアを前記退避チャンバーに移動させることで前記退避チャンバー内に基板が配置されていない状態とするよう構成されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、上記請求項1の構成において、前記保護膜作成チャンバーは、他のチャンバーでの動作時間よりも少ない時間で保護膜の作成が完了するよう構成されており、他のチャンバー内ではキャリアが移動せずに基板がまだ滞留している間に退避チャンバーと保護膜作成チャンバーとの間でキャリアが移動して前記アッシングが行われるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、基板の表面に記録用の磁性膜を作成した後にこの磁性膜の上にカーボンよりなる保護膜を作成して情報記録ディスクを製作する情報記録ディスク用成膜装置であって、
前記保護膜を作成する第一第二の保護膜作成チャンバーを備えており、この第一第二の保護膜作成チャンバーは、内部を排気する排気系と、内部に酸素ガスを導入する酸素ガス導入系と、導入された酸素ガスにエネルギーを与えてプラズマを形成するプラズマ形成手段とを夫々有しており、保護膜作成チャンバー内の前記基板以外の露出面に堆積したカーボンの膜をアッシングして除去することが可能となっており、
複数のチャンバーが気密に一列に接続されたインライン式の装置であって、これら複数のチャンバーのうちの一つは前記磁性膜を作成する磁性膜作成チャンバーであるとともに、別の二つは前記第一第二の保護膜作成チャンバーであり、さらに、前記基板を保持しながらこれら複数のチャンバーに順次搬送する搬送系が設けられており、この搬送系は、前記アッシングを行う際には前記保護膜作成チャンバーから基板を退避させることが可能となっており、
前記第一第二の保護膜作成チャンバーは搬送路上に隣接して設けられており、前記第一の保護膜作成チャンバーで成膜が行われている際には前記第二の保護膜作成チャンバー内では基板は搬入されずに前記アッシングが行われ、当該第二の保護膜作成チャンバーに基板が移動して成膜が行われる際には前記第一の保護膜作成チャンバー内では基板が搬入されずに前記アッシングが行われるものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、基板の表面に記録用の磁性膜を作成した後にこの磁性膜の上にカーボンよりなる保護膜を作成して情報記録ディスクを製作する情報記録ディスク用成膜装置であって、
前記保護膜を作成する保護膜作成チャンバーを備えており、この保護膜作成チャンバーは、内部を排気する排気系と、内部に酸素ガスを導入する酸素ガス導入系と、導入された酸素ガスにエネルギーを与えてプラズマを形成するプラズマ形成手段とを有しており、保護膜作成チャンバー内の前記基板以外の露出面に堆積したカーボンの膜をアッシングして除去することが可能となっており、
複数のチャンバーが気密に一列に接続されたインライン式の装置であって、これら複数のチャンバーのうちの一つは前記磁性膜を作成する磁性膜作成チャンバーであるとともに、別の一つは前記保護膜作成チャンバーであり、さらに、前記基板を保持するキャリアを移動させることでこれら複数のチャンバーに基板を順次搬送する搬送系が設けられており、
この搬送系は、すべてのキャリアを同時に次のチャンバーに移動させるものであり、前記複数のチャンバーのうちの少なくとも一つはキャリアとの間で基板の着脱を行う着脱チャンバーであり、この着脱チャンバーでは、前記アッシングの頻度に応じて基板の着脱作業を欠落させるよう構成されており、
前記保護膜作成チャンバーは、基板を保持したキャリアが配置されていない際に前記アッシングが行われるよう構成されている。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、上記請求項1乃至4いずれかの構成において、前記複数のチャンバーは周状に接続されていてこれらチャンバーを通過する無終端の搬送路が設定されており、前記搬送系は、基板を保持するキャリアを当該無終端の搬送路に沿って搬送するものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至5いずれかの構成において、前記保護膜作成チャンバーは、有機化合物ガスを導入するプロセスガス導入系を備えており、導入された有機化合物ガスの気相中での分解反応を利用するプラズマ化学蒸着によって前記カーボンの保護膜を作成するよう構成されている。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、基板の表面に記録用の磁性膜を作成した後にこの磁性膜の上にカーボンよりなる保護膜を作成して情報記録ディスクを製作する情報記録ディスク用成膜装置であって、
前記磁性膜を作成する磁性膜作成チャンバーと、
前記基板に対する前記保護膜の作成と、前記基板以外の露出面に堆積したカーボンの膜を酸素プラズマにより除去するアッシングとを、時間を分けて実施可能な保護膜作成チャンバーと、
前記保護膜作成チャンバーに隣接して配置される退避チャンバーと
を含む複数のチャンバーが一列に接続されてなり、
さらに、前記保護膜作成チャンバーを除く各チャンバーに配された各基板を隣接するチャンバーに所定のタクトタイムが経過する毎に搬送する搬送手段を備えるとともに、この搬送手段は、前記保護膜作成チャンバーから前記退避チャンバーへの搬送を前記所定のタクトタイム経過前に行うように構成されている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の第一の実施形態に係る情報記録ディスク用成膜装置の概略構成を示す平面図である。本実施形態の装置は、インライン式の成膜装置になっている。インライン式とは、複数のチャンバーが一列に縦設され、それらのチャンバーを経由して基板の搬送路が設定されている装置の総称である。
【0016】
まず、図1を使用して、基板の搬送及びチャンバーレイアウトの一例について概略的に説明する。本実施形態の装置では、複数のチャンバーが方形の輪郭に沿って縦設されており、これに沿って方形の搬送路が設定されている。
各チャンバーは、専用又は兼用の排気系によって排気される真空容器である。各チャンバーの境界部分には、ゲートバルブ10が設けられている。基板9は、キャリア90に搭載されて搬送されるようになっている。
【0017】
複数のチャンバーのうち、方形の一辺に隣接して配置された二つのチャンバーが、キャリア90への基板9の搭載を行うロードロックチャンバー1及びキャリア90からの基板9の回収を行うアンロードロックチャンバー2になっている。また、方形の他の三辺に配置されたチャンバーは、各種処理を行う処理チャンバーになっている。方形の角の部分のチャンバーは、基板9の搬送方向を90度転換する方向転換機構を備えた方向転換チャンバー3になっている。尚、この図1に示す例では、基板9は時計回りに搬送されて順次処理されるようになっている。
【0018】
次に、各処理チャンバーの構成について、基板9の搬送の順に説明する。まず、方形の左側の辺のうちの基板9が一番最初に搬送される処理チャンバーは、成膜に先だって基板9を所定温度に加熱するプリヒートチャンバー4として構成される。
プリヒートチャンバー4の次に基板9が搬送される処理チャンバーは、下地膜を作成する第一下地膜作成チャンバー51になっている。下地膜としては、本実施形態では、Cr膜が作成されるようになっている。
【0019】
また、第一下地膜作成チャンバー51の次に基板9が搬送される処理チャンバーは、磁性膜を作成する第一磁性膜作成チャンバー52になっている。磁性膜としては、本実施形態では、CoCrTa膜が作成されるようになっている。
本実施形態の装置では、磁性膜を二層にわたって形成できるようになっている。即ち、方形の搬送路のうちの紙面上上側の辺に設けられた二つの処理チャンバーは、第二下地膜作成チャンバー53及び第二磁性膜作成チャンバー54になっている。第二下地膜作成チャンバー53は、第一下地膜作成チャンバー51と同様にCr膜を下地膜として作成するチャンバーであり、第二磁性膜作成チャンバー54は、同様にCoCrTa膜を磁性膜として作成するチャンバーである。基板9は、第一磁性膜作成チャンバー52で磁性膜が作成された後、第二下地膜作成チャンバー53でさらに下地膜が作成され、その上にさらに第二磁性膜作成チャンバー54で磁性膜が作成されるようになっている。
【0020】
そして、第二磁性膜作成チャンバー54の次に基板9が搬送される二つのチャンバーは、本実施形態の装置の大きな特徴点を成している。即ち、方形の搬送路の内の右側の辺の三つの処理チャンバーのうち、最初に基板9が搬送される処理チャンバーは、カーボン保護膜を作成する保護膜作成チャンバー6であり、この保護膜作成チャンバー6の次に基板9が搬送されるチャンバーは、退避チャンバー7となっている。尚、退避チャンバー7の次のチャンバーは予備チャンバー8となっている。
【0021】
次に、基板9を搬送する搬送系の構成及び各チャンバーの構成について、より詳しく説明する。まず、搬送系の構成について説明する。
最初に、図2を使用して、キャリア90及びこのキャリア90を移動させる構成について説明する。図2は、基板9が搭載されるキャリア90の構成を示す正面図である。
【0022】
図2に示すキャリア90は、全体が板状の部材であり、垂直に立てた姿勢で使用される。本実施形態では、キャリア90が二枚の基板9を同時に保持して搬送できるようになっている。
図2に示すように、キャリア90は、二つのほぼ円形の開口を有する。二つの開口は、同じ高さの位置であり、その直径は基板9よりも少し大きい。そして、各開口の下側の縁と、左右両側の縁には、細長い通路が形成されており、この通路内に支持爪91,92が設けられている。
【0023】
開口の下縁に位置する支持爪(以下、下縁支持爪)91の先端は、保持された基板9の中心を通る鉛直な直線上に位置し、基板9の下縁の中央を支持するようになっている。また、開口の左右両側の支持爪(以下、側縁支持爪)92は、基板9の中心の高さよりも少し高い位置で基板9の側縁に接触して基板9を押さえるよう構成されている。図2から分かるように、側縁支持爪92は、全体が板バネになっており、開閉棒93によって開閉されるようになっている。
【0024】
図2に示すように、基板9は円形であって中央に円形の開口(以下、基板開口)を有する。基板9をキャリア90に搭載する際には、アーム111,211の先端を基板開口に挿入して基板9を保持させ、キャリア90の開口内に基板9を位置させる。そして、アーム111,211を少し下方に移動させ、キャリア90の開口内で基板9を少し下降させて下縁支持爪91の上に載せる。この際、アーム111,211の移動に連動して開閉棒93が駆動されるようになっており、外側に開いた姿勢であった側縁支持爪92が閉じて基板9の側縁を押さえ付ける。
キャリア90から基板9を回収する際には、これとは全く逆の動作になる。開閉棒93によって側縁支持爪92を開きながら、基板9を保持したアーム111,211を開口内で少し上昇させる。そして、アーム111,211を水平方向に移動させて基板9をキャリア90から引き抜く。
【0025】
本実施形態の装置では、上記キャリア90を磁気カップリングさせながら水平方向に移動させることで基板9が搬送されるようになっている。具体的に説明すると、図2に示すように、キャリア90の下端部には小さな磁石(以下、キャリア側磁石)94が多数設けられている。各キャリア側磁石94は、上下の面に磁極を有している。そしてこのキャリア側磁極94は、図2に示すように、配列方向に交互に逆の磁極になっている。
【0026】
そして、キャリア90の下側には、図2中不図示の隔壁を挟んで磁気結合ローラ97が設けられている。磁気結合ローラ97は丸棒状の部材であり、図2に示すように、螺旋状に延びる細長い磁石(以下、ローラ側磁石)971を有している。このローラ側磁石971は互いに異なる磁極で二つ設けられており、二重螺旋状になっている。
磁気結合ローラ97は、ローラ側磁石971が図2中不図示の隔壁を挟んでキャリア側磁石94に向かい合うよう配置されている。図2中不図示の隔壁は、透磁率の高い材料で形成されており、キャリア側磁石94とローラ側磁石971とは、図2中不図示の隔壁を通して磁気結合している。尚、図2中不図示の隔壁のキャリア側の空間は真空側(各チャンバーの内部側)であり、磁気結合ローラ97側の空間は大気側である。
【0027】
次に、図3及び図4を使用して、上記磁気結合ローラ97によってキャリア90を移動させる構成について説明する。図3は、キャリア90を移動させる構成を説明する側面概略図、図4はキャリア90を移動させる構成を説明する平面概略図である。
図3に示すように、キャリア90は、水平な回転軸の回りに回転する主プーリ951の上に載せられている。主プーリ951は、キャリア90の移動方向に沿って多数設けられている。また、キャリア90の下端部分には、垂直な回転軸の回りに回転する副プーリ952が当接している。この副プーリ952は、キャリア90の下端部分を両側から押さえてキャリア90の転倒を防止している。この副プーリ952もキャリア90の移動方向に多数設けられている。
【0028】
図3及び図4から分かるように、磁気結合ローラ97とキャリア側磁石94とを区画する隔壁96は、円筒状の部材になっている。そして、図4に示すように、二つの磁気結合ローラ97が隔壁96内で結合ロッド972を介して連結されている。結合ロッド972には傘歯ギヤが設けられており、この傘歯ギヤと噛み合わさった傘歯ギヤを有する駆動ロッド973が配設されている。駆動ロッド973は、連結ロッドに対して垂直に延びており、駆動モータ98に連結されている。尚、駆動ロッド973が配設された空間は大気側である。駆動ロッド973にはベアリングが付設されるが、このベアリングの摺動等により発生したゴミが真空雰囲気に放出されることはない。
【0029】
駆動モータ98が駆動されると、駆動ロッド973が回転し、この回転が傘歯ギヤを介して磁気結合ローラ97に伝えられ、磁気結合ローラ97が回転する。磁気結合ローラ97が回転すると、図2に示す二重螺旋状のローラ側磁石971も回転する。この際、ローラ側磁石971が回転する状態は、キャリア側磁石94から見ると、交互に異なる磁極の複数の小さな磁石が一列に並んでその並びの方向に沿って一体に直線移動しているのと等価な状態となる。従って、ローラ側磁石971に結合しているキャリア側磁石94は、ローラ側磁石971の回転とともに直線移動し、この結果、キャリア90が全体に直線移動することになる。
【0030】
次に、搬送系全体を制御する構成について説明する。図5は、搬送系全体を制御する構成の説明図である。上述した磁気結合ローラ97、結合ロッド972、駆動ロッド973、駆動モータ98等の組は、各チャンバー1,2,3,4,51,52,53,54,6,7,8にそれぞれ設けられている。搬送系全体を制御する制御部99は、各チャンバー1,2,3,4,51,52,53,54,6,7,8に対して設けられた駆動モータ98にそれぞれ信号を送り、各駆動モータ98を独立して制御できるようになっている。
【0031】
次に、ロードロックチャンバー1及びアンロードロックチャンバー2の構成について説明する。ロードロックチャンバー1内には、搭載用ロボット11が設けられている。搭載用ロボット11は、そのアーム111によって搭載用補助チャンバー110から基板9を一枚ずつ保持してキャリア90に搭載するよう構成されている。
また、アンロードロックチャンバー2には、搭載用ロボット11と同様の構成の回収用ロボット21が設けられている。回収用ロボット21は、そのアーム211によってキャリア90から基板9を一枚ずつ保持して回収用補助チャンバー210内に搬入するよう構成されている。
尚、ロードロックチャンバー1及びアンロードロックチャンバー2は、「基板着脱チャンバー」の一例である。一つのチャンバー内で基板9の搭載と回収を行うよう構成することもでき、この場合は、基板着脱チャンバーは一つになる。
【0032】
方形の角の部分の四つの方向転換チャンバー3は、前述した通り、基板9の搬送方向を90度転換する不図示の方向転換機構を備えている。方向転換機構の構成については、特開平8−274142号公報の図6及び明細書の段落番号0023乃至0031の記載を参考にすることができる。
【0033】
次に、各処理チャンバーの具体的な構成について説明する。
まず、基板9が最初に搬入されるプリヒートチャンバー4の構成について説明する。
前述したプリヒートは、脱ガス即ち基板9の吸蔵ガスを放出させる目的で行われる。脱ガスを行わないで成膜を行うと、成膜時の熱による吸蔵ガスの放出によって膜中に気泡が形成されたり、発泡によって膜の表面が粗くなったりする問題がある。このため、プリヒートチャンバー4で、基板9を100〜300℃程度まで予め加熱するようになっている。
プリヒートチャンバー4は、内部に窒素などの不活性ガスを導入する不図示のガス導入系と、搬入された基板9を加熱する加熱手段が設けられている。加熱手段としては、通常、赤外線ランプ等の輻射加熱手段が採用される。
【0034】
次に、下地膜作成チャンバー51,53及び磁性膜作成チャンバー52,54の構成について説明する。下地膜作成チャンバー51,53及び磁性膜作成チャンバー52,54は、ともにスパッタリングによって下地膜や磁性膜を作成するようになっている。両チャンバーの構成は、ターゲットの材質が異なるのみであり、他の構成は基本的に同じである。以下の説明では、一例として、磁性膜作成チャンバーの構成を説明する。図6は、磁性膜作成チャンバー52,54の構成を説明する平面断面概略図である。
【0035】
磁性膜作成チャンバー52,54は、内部を排気する排気系55と、内部にプロセスガスを導入するガス導入系56と、内部の空間に被スパッタ面を露出させて設けたターゲット57と、ターゲット57にスパッタ放電用の電圧を印加するスパッタ電源58と、ターゲット57の背後に設けられた磁石機構59とから主に構成されている。
【0036】
排気系55は、クライオポンプ等の真空ポンプを備えて磁性膜作成チャンバー52,54内を10-8Torr程度まで排気可能に構成される。ガス導入系56は、プロセスガスとしてアルゴン等のガスを所定の流量で導入できるよう構成される。
【0037】
スパッタ電源58は、ターゲット57に−300V〜−500V程度の負の高電圧を印加できるよう構成される。磁石機構59は、マグネトロン放電を達成するためのものであり、中心磁石591と、この中心磁石591を取り囲むリング状の周辺磁石592と、中心磁石591と周辺磁石592とをつなぐ板状のヨーク593とから構成される。尚、ターゲット57や磁石機構59は、絶縁ブロック571を介して磁性膜作成チャンバー52,54に固定されている。磁性膜作成チャンバー52,54は電気的には接地されている。
【0038】
ガス導入系56によってプロセスガスを導入しながら排気系55によって磁性膜作成チャンバー52,54内を所定の圧力に保ち、この状態でスパッタ電源58を動作させる。この結果、スパッタ放電が生じてターゲット57がスパッタされ、スパッタされたターゲット57の材料が基板9に達して基板9の表面に所定の磁性膜が作成される。例えば、ターゲット57はCoCrTaで形成され、基板9の表面にCoCrTa膜が作成される。尚、図6から分かるように、ターゲット57、磁石機構59及びスパッタ電源58の組は、磁性膜作成チャンバー52,54内の基板配置位置を挟んで両側に設けられており、基板9の両面に同時に磁性膜が作成されるようになっている。
【0039】
また、図6に示すように、各ターゲット57の大きさは、一枚の基板9よりも少し大きい程度となっている。キャリア90は、磁性膜作成チャンバー52,54内で移動し、二枚の基板9が順次ターゲット57の正面に位置するようになっている。即ち、最初は搬送方向前方の基板9がターゲット57の正面に位置する状態となってこの基板9に成膜が行われる。そして、その後、所定距離前進して搬送方向後方の基板9がターゲット57の正面に位置する状態となり、この基板9への成膜が行われる。
【0040】
次に、本願実施形態の情報記録ディスク用成膜装置の大きな特徴点を成す保護膜作成チャンバー6について説明する。図7は、保護膜作成チャンバー6の構成を説明する平面概略図である。
保護膜作成チャンバー6は、内部を排気する排気系61と、内部にプロセスガスを導入するガス導入系62と、導入されたプロセスガスにエネルギーを与えてプラズマを形成するプラズマ形成手段63とから主に構成されている。
【0041】
排気系61は、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプを備えて保護膜作成チャンバー6内を10-7Torr程度まで排気可能に構成される。ガス導入系62は、プロセスガスとしてCH4 と水素の混合ガスを所定の流量で導入できるよう構成される。
【0042】
プラズマ形成手段63は、導入されたプロセスガスに高周波放電を生じさせてプラズマを形成するようになっている。プラズマ形成手段63は、具体的には、保護膜作成チャンバー6内に設けられた高周波電極631と、高周波電極631に整合器632を介して高周波電力を供給する高周波電源633とから主に構成されている。
【0043】
高周波電極631は、内部が空洞になっており、前面にガス吹き出し孔が多数形成されている。ガス導入系62の配管は、高周波電極631に接続されており、プロセスガスは高周波電極631の内部空間にいったん溜まった後、ガス吹き出し孔から均一に吹き出すようになっている。尚、高周波電極631は、絶縁ブロック634を介して保護膜作成チャンバー6に固定されている。保護膜作成チャンバー6は電気的には接地されている。
【0044】
高周波電源633は、例えば13.56MHz500W程度の高周波電力の高周波電極631に供給するようになっている。供給された高周波電力によって、高周波電源の前方の空間に高周波電界が設定され、プロセスガスに高周波放電が生じる。この結果、プロセスガスのプラズマPが形成される。プラズマP中では、CH4 ガスの分解反応が生じて、基板9の表面にカーボンが析出し、カーボン保護膜が作成されるようになっている。
【0045】
また、本実施形態の装置では、成膜中に基板9にバイアス電圧を与えることができるようになっている。バイアス電圧は、プラズマ中のイオンを引き出して基板9をイオン衝撃するために与えられる。
具体的には、図7に示すように、保護膜作成チャンバー6の外には負の直流電源641及び高周波電源642が設けられており、スイッチ643によって切り替えられるようになっている。スイッチ643に接続された線路644は、保護膜作成チャンバー6の壁を気密に貫通し、保護膜作成チャンバー6内に達している。線路644の先端には、板バネ又は開閉アーム等で構成された可動接点645が設けられており、可動接点645がキャリア90に接触することにより、キャリア90を介して基板9に負の直流電圧又は高周波電圧が印加されるようになっている。
【0046】
尚、高周波電圧を印加する場合、高周波電源642と基板9との間には適当なキャパシタンスが与えられ、キャパシタンスを介して高周波電圧が基板9に印加される。印加された高周波電圧とプラズマPとの相互作用により、基板9には負の自己バイアス電圧が生ずる。
また、図2に示すように、キャリア90は、絶縁ブロック905を挟んで金属製の上側ブロック906と下側ブロック907とに区分される。上記可動接点645は、上側ブロック906に接触することになっている。従って、キャリア側94等を備えた下側ブロック907には電圧は印加されないようになっている。
【0047】
負の直流電圧又は負の自己バイアス電圧は、プラズマP中から正イオンを引き出して基板9を衝撃する作用を有する。基板9がイオン衝撃されると、そのエネルギーが成膜に利用され、膜の構造が緻密になったり、成膜速度が向上したりすいる効果がある。
負の直流電源641及び高周波電源642の具体例について説明すると、負の直流電源641としては−150V程度の出力のもの、高周波電源642としては13.56MHz50W程度の出力のものが使用される。
【0048】
次に、保護膜作成チャンバー6における具体的な成膜条件を説明する。具体的な成膜条件としては、以下の条件が挙げられる。
CH4 ガス:20cc/分
水素ガス:100cc/分
保護膜作成チャンバー6内の圧力:2Pa
高周波電力:13.56MHz400W(×2)
成膜速度:10〜15オングストローム/秒
成膜時間:3.5〜5秒
【0049】
尚、高周波電極631は、図2に示すキャリア90に保持された二枚の基板9を覆う大きさとなっている。従って、二枚の基板9を覆う大きさのプラズマが形成され、二枚の基板9に対して同時にカーボン保護膜の作成が行えるようになっている。また、高周波電極631、整合器632及び高周波電源633の組は、二枚の基板9の両側に設けられており、二枚の基板9の両面に同時にカーボン保護膜が作成できるようになっている。
【0050】
さて、本実施形態の装置の大きな特徴点は、保護膜作成チャンバー6が酸素プラズマを形成できるようになっている点である。即ち、保護膜作成チャンバー6のガス導入系62は、プロセスガスとともに酸素ガスを選択的に導入できるようになっている。導入された酸素ガスは、プロセスガスの場合と同様にプラズマ形成手段によってエネルギーが与えられ、酸素プラズマが形成されるようになっている。
酸素プラズマの形成は、保護膜作成チャンバー6内でのパーティクル発生防止の課題と密接に関連している。即ち、本実施形態では、保護膜作成チャンバー6内の露出面に堆積したカーボン膜を酸素プラズマによってアッシング除去するようになっている。
【0051】
具体的に説明すると、酸素ガスを導入して酸素プラズマを形成すると、プラズマ中では酸素イオンや励起酸素(酸素活性種)等が盛んに生成される。一方、保護膜作成チャンバー6内の露出面に堆積するカーボン膜は、基板9の表面のカーボン保護膜と同様に、水素を含んだ膜である。即ち、C−C結合の他に、C−H結合を含んだ膜である。このようなカーボン膜に化学的な活性な酸素イオンや励起酸素が触れると、C−C結合やC−H結合は以下のような機構により分解される。
O2 →2O* (又は2O- )
(C−C)+4O* (又は4O- )→2CO2 (又は2CO+O2 )
(C−H)+2O* (又は2O- )→CO +H2 O
【0052】
分解によって生じたCO2 ,CO,O2 ,H2 Oはいずれもガスであり、排気系61によって保護膜作成チャンバー6から排出される。従って、十分な量の酸素プラズマを形成してカーボン膜を酸素プラズマに晒すとともに、排気系61の排気速度を十分確保することによって、カーボン膜を保護膜作成チャンバー6から取り除くことができる。
【0053】
具体的なアッシングの条件を挙げると、以下の通りとなる。
酸素ガスの流量:150cc/分
保護膜作成チャンバー6内の圧力:15Pa
高周波電力:13.56MHz500W(×2)
排気系61の排気速度:6000リットル/分
上記条件でアッシングを行うと、600オングストローム毎分程度のエッチング速度、即ち、600オングストロームの厚さのカーボン膜を1分程度の時間で除去することが可能である。
【0054】
さて、本実施形態の装置の別の大きな特徴点は、上記アッシングの際、基板9は保護膜作成チャンバー6から退避チャンバー7に退避させるようになっている点である。退避チャンバー7は、本実施形態では、排気系61が備えられた真空容器であり、特定の処理のための手段は設けられていない。退避チャンバー7は、排気系61によって常時5×10-7Torr程度に排気される。
【0055】
アッシング時の退避チャンバー7への基板9の退避は、前述した搬送系の制御部99の構成によって達成されている。即ち、前述したように、搬送系の制御部99は、各駆動モータ98を独立して制御できるようになっており、この制御を最適化することにより、アッシングを行う際に基板9を保護膜作成チャンバー6から基板9を退避させている。搬送系全体の動作を説明しながら、この点を図8を使用して更に詳しく説明する。図8は、アッシングを行う際の基板9の退避動作の説明図である。
【0056】
前述したように、基板9はロードロックチャンバー1内でキャリア90に搭載され、キャリア90が各チャンバーに順次搬送されることによって処理が行われる。そして、キャリア90がアンロードロックチャンバー2に達すると処理済みの基板9がキャリア90から回収される。そして、このキャリア90はロードロックチャンバー1に移動して次の基板9の保持に使用される。また、図1に示すように、一つのキャリア90が位置しているチャンバーの後ろのチャンバーには別のキャリア90が位置しており、各チャンバー毎に一つのキャリア90が位置し、これが全体に回転するよう動作する。
【0057】
本実施形態のような装置では、アンロードロックチャンバー2において一つのキャリア90から処理済みの二枚の基板9が回収されてから次のキャリア90の二枚の基板9が回収されるまでの時間が、タクトタイムとされる。タクトタイムは、各チャンバーでの動作のうち最も長く掛かるものの時間(以下、PT)によって決まる。例えば、磁性膜作成チャンバー52,54での磁性膜作成処理動作に最も長い時間を要する場合、この時間に次のチャンバーへの搬送時間(以下、TT)を加えた時間がタクトタイムとなる。尚、次のチャンバーへの移動時間がチャンバーによって異なる場合、最も時間のかかるものがTTとなり、PT+TTがタクトタイムになる。そして、PTやTTよりも短い時間で動作や移動が完了するチャンバーでは、キャリア90は待機状態を取る。
【0058】
上述した動作において、各キャリア90は、タクトタイムの時間毎に同時に次のチャンバーへ移動される。つまり、図5に示す搬送系の制御部99は、PTの時間が経過した際に全ての駆動モータ98を同時に駆動信号を送って動作させ、TTの時間で全てのキャリア90を同時に次のチャンバーに送るよう制御する。但し、上記搬送系の制御部99の動作には、以下のような例外がある。この点を図8を使用して説明する。まず、図1から分かるように、本実施形態においては、チャンバーの数よりも一つ少ない数のキャリア90が使用されている。そして、キャリア90が位置しない“空”の状態は、保護膜作成チャンバー6か退避チャンバー7かのいずかに限定される。
【0059】
さらに詳しく説明すると、図8(1)に示すように、特定のキャリア90が保護膜作成チャンバー6に到達し、保護膜作成チャンバー6内で前述した通りプラズマCVDによりカーボン保護膜が作成されている際には、退避チャンバー7は空の状態であり、内部にキャリア90が存在しないようになっている。そして、カーボン保護膜の作成が終了すると、制御部99は、保護膜作成チャンバー6の駆動モータ98と退避チャンバー7の駆動モータ98とを動作させ、図8(2)に示すように、キャリア90は保護膜作成チャンバー6から退避チャンバー7に送られる。この際、制御部99は、この二つの駆動モータ98以外の駆動モータ98は動作せず、このキャリア90以外のキャリア90は全く移動しない。
【0060】
そして、保護膜作成チャンバー6と退避チャンバー7との間のゲートバルブ10を閉じた後、保護膜作成チャンバー6のガス導入系62のバルブが切り替えられ、保護膜作成チャンバー6内に酸素ガスが導入される。そして、前述したように、酸素プラズマによるカーボン膜のアッシングが行われる。
【0061】
その後、搬送系の制御部99は、すべての駆動モータ98に駆動信号を送ってキャリア90を次のチャンバーに送る。この結果、図8(3)に示すように、保護膜作成チャンバー6には次のキャリア90が搬入され、退避チャンバー7にあったキャリア90は予備チャンバー8に移動する。そして、退避チャンバー7が空の状態で、次のキャリア90に保持された基板9に対してカーボン保護膜の作成が行われる。
【0062】
上記説明から分かるように、保護膜作成チャンバー6内での一回のカーボン保護膜作成動作のたび毎にアッシング動作が行われる。つまり、アッシング処理が最も高い頻度で行われ、保護膜作成チャンバー6内の露出面へのカーボン膜の堆積量が多くならないうちにアッシングがされることになる。このため、パーティクルの発生が最も効果的に防止される。
【0063】
そして、さらに重要なことは、アッシングの際には基板9は保護膜作成チャンバー6内には位置しないので、基板9が酸素プラズマに晒されることはない。基板9が酸素プラズマに晒される構成の場合、カーボン保護膜作成後であればカーボン保護膜がアッシングされてしまう結果となる。また、カーボン保護膜作成前であれば、磁性膜の表面が酸素プラズマによって酸化されたりエッチングされたりする問題が発生する。
【0064】
尚、一回のカーボン保護膜作成のたび毎にアッシングを行う構成としては、キャリア90の数をチャンバーの数の半分とし、全ての駆動モータ98をタクトタイム毎に同時に動作させて全てのキャリア90を同時に移動させていく構成が考えられる。このような構成の場合、各駆動モータ98を独立して制御する必要性はない。しかしながら、キャリア90の数を半分にすると、装置に搭載できる基板9の数も半分になってしまい、生産性も半分に落ちてしまう。
【0065】
一方、本実施形態では、一つの退避チャンバー7を設けるとともに全チャンバー数に比べてキャリア90数を一つだけ少なくしているので、生産性の低下は全くない。この点は、保護膜作成チャンバー6の処理能力も関連している。即ち、前述したように、保護膜作成チャンバー6では、二枚の基板9を覆うようにプラズマを形成することで二枚の基板9を同時に成膜している。一方、磁性膜作成チャンバー52,54や下地膜作成チャンバーでは成膜は一枚ずつであるので、これと比べると、倍の処理能力になっている。
【0066】
そして、本実施形態では、保護膜作成チャンバー6でのカーボン保護膜の作成処理の時間(cvd)と、保護膜作成チャンバー6から退避チャンバー7へのキャリア90の移動時間(tr’)と、アッシング処理の時間(as)とを加えたcvd+tr’+asが、前述したPT+TTになるようにしている。
この点を図9を使用しながら、より具体的な数値で説明する。図9は、第一の実施形態の装置におけるタクトタイムの説明図である。このうち、図9(1)は、磁性膜作成チャンバー52,54におけるタクトタイムの内訳を、(2)は保護膜作成チャンバー6及び退避チャンバー7におけるタクトタイムの内訳を示している。
【0067】
例えば一時間あたり450枚の処理能力を有する装置では、タクトタイムは16秒((60×60)/(450/2)=16)になる。磁性膜作成チャンバー52,54における16秒のタクトタイムの使用の内訳は、図9(1)に示すように、キャリア90に保持された一枚目の基板9の成膜の時間(SP1)が5.5秒、二枚目の基板9への成膜のためのチャンバー52,54内でのキャリア90の移動のための時間(tr”)が1秒、二枚目の基板9の成膜の時間(SP2)が5.5秒、全てのキャリア90が同時に移動する時間(前述したTT)が4秒で、合計16秒である。また、保護膜作成チャンバー6及び退避チャンバー7では、図9(2)に示すように、cvdは5秒、tr’は4秒、asは3秒、TTは前記と等しく4秒である。
【0068】
この説明から分かるように、本実施形態では、保護膜作成チャンバー6の処理能力を倍加させることで、保護膜作成チャンバー6での一連の処理と退避チャンバー7への基板9の退避動作とを1タクトとしている。このため、生産性を全く落とすことなく、アッシングの頻度を最も高くすることが可能になっている。
【0069】
図10は、第一の実施形態の装置の効果を確認した実験の結果を示す図である。この実験では、上記第一の実施形態の装置を用い、直径3.5インチの基板に対してカーボン保護膜の作成を行った後、その基板の表面における直径1μm以上のパーティクルの存在数を測定した。尚、図10中の縦軸はパーティクルの個数、横軸は装置の運転開始からの日数を示す。装置の運転能力としては、ともに一日に一万枚程度の基板を処理する能力があるものが使用された。
【0070】
図10から分かるように、アッシングを行わない従来の装置では、わずか一日の装置の運転の間にパーティクル数は100個近くまで達した。このように多数のパーティクルが付着していると、図14に示す突起902が多数形成されたり大きな突起902が形成されたりするため、グライドハイトテスト不良になる確率が高い。
これに対し、本実施形態の装置によれば、4日程度の処理日数の間、パーティクルは数個程度に抑えられている。この程度の数のパーティクルによる突起902であれば、グライドハイトテスト前のテープバニッシ工程で完全に除去できるので、グライドハイトテスト不良となることはない。
【0071】
尚、上述した第一の実施形態の構成において、退避チャンバー7は保護膜作成チャンバー6の手前の搬送路上に設けられていてもよい。この場合、あるタクトが終わって次のタクトに移った際、退避チャンバー7内にキャリア90が位置し、基板保護膜作成チャンバー6は空の状態である。そして、最初に保護膜作成チャンバー6内でアッシング処理が行われ、その後、退避チャンバー7にあったキャリア90が保護膜作成チャンバー6に移動する。そして、後半の時間で、保護膜の作成が行われる。
これで1タクトが終了し、全てのゲートバルブ10が開いて全てのキャリア90が次のチャンバーに移動する。この結果、再び、退避チャンバー7にキャリア90が位置し、保護膜作成チャンバー6が空となる。そして、上記動作を繰り返す。
【0072】
また、保護膜作成チャンバー6が複数設けられる場合、それに応じて退避チャンバー7も増やすようにする。即ち、各保護膜作成チャンバー6の手前側又は後ろ側に退避チャンバー7を設けるようにする。
【0073】
尚、保護膜作成チャンバー6の隣りに退避チャンバー7が設けられる構成は必須のものではない。退避チャンバー7が保護膜作成チャンバー6から離れている場合、その退避チャンバー7と保護膜作成チャンバー6との間に設けられた各チャンバー内に位置するキャリア90のみを同時に移動させることで、保護膜作成チャンバー6内を空にすることができる。保護膜作成チャンバー6の隣りに退避チャンバー7が設けられる場合、保護膜作成チャンバー6を空にするために独立して駆動させる駆動モータ98の数が少なくなるので、制御系の構成としては簡易になる。
【0074】
次に、本願発明の第二の実施形態について説明する。
図11は、本願発明の第二の実施形態に係る情報記録ディスク用成膜装置の概略構成を示す平面図である。この第二の実施形態の装置は、退避チャンバー7が保護膜作成チャンバー6に変更されている点で第一の実施形態の装置と異なっている。即ち、第二の実施形態では、保護膜作成チャンバー6が連続して二つ設けられている。その他の構成は、第一の実施形態と同様である。
【0075】
二つの保護膜作成チャンバー6は、図7に示すものと全く同一の構成である。即ち、CH4 と水素の混合ガスのプラズマCVDによってカーボン保護膜が作成できるようになっているとともに、チャンバー内の露出面のカーボン膜を酸素プラズマによってアッシングできるようになっている。
【0076】
本実施形態の装置は、以下のように動作する。即ち、搬送方向手前側の保護膜作成チャンバー(以下、第一保護膜作成チャンバー)6にキャリア90が搬入される際、搬送方向後ろ側の保護膜作成チャンバー(以下、第二保護膜作成チャンバー)60にあったキャリア90は補助チャンバー8に移動してしまっており、第二保護膜作成チャンバー60は空である。
【0077】
この状態で、1タクト分の処理が始まる。即ち、第一保護膜作成チャンバー6内ではCH4 と水素の混合ガスが導入され、基板9に対するカーボン保護膜の作成処理が行われる。また同時に、空になっている第二保護膜作成チャンバー60では、酸素ガスが導入されてアッシング処理が行われる。
これらの保護膜作成処理及びアッシング処理は、1タクト分の時間よりも少し短い時間で終了するようになっている。これらの保護膜作成処理及びアッシング処理が終了した後、保護膜作成チャンバー6と第二保護膜作成チャンバー60との間のゲートバルブ10のみが開き、第一保護膜作成チャンバー6と第二保護膜作成チャンバー60の駆動モータ98のみが駆動され、第一保護膜作成チャンバー6にあった基板9が第二保護膜作成チャンバー60に移動する。
【0078】
そして、次のタクトに移る前に、全てのゲートバルブ10が開き、全ての駆動モータ98が動作して全てのキャリア90が次のチャンバーに移動する。この結果、再び、第一保護膜作成チャンバー6内に次のキャリア90が位置し、第二保護膜作成チャンバー60が空の状態となる。
【0079】
以上の動作を、説明の便宜上「動作A」と呼ぶ。動作Aの次のタクトでは、多少異なった動作をする。この動作を「動作B」と呼ぶ。具体的には、第一保護膜作成チャンバー6と第二保護膜作成チャンバー60との間のゲートバルブ10が開き、第一保護膜作成チャンバー6に搬入されたキャリア90をそのまま第二保護膜作成チャンバー60に移動させる。そして、ゲートバルブ10を閉じた後、第一保護膜作成チャンバーではアッシング処理を行い、第二保護膜作成チャンバーでは保護膜作成処理が行われる。
【0080】
所定時間処理を行った後、次のタクトに移る前に、全てのゲートバルブ10が開き、全てのキャリア90が次のチャンバーに移動する。この結果、再び、第一保護膜作成チャンバー6に次のキャリア90が搬入され、第二保護膜作成チャンバー60が空の状態となる。
【0081】
そして、今度は、上述した動作Aが行われる。動作Aのタクトが終わったら、次のタクトでは動作Bを行う。このように、本実施形態の装置では、動作Aと動作Bとをタクト毎に交互に繰り返して行うようになっている。つまり、第一第二の保護膜作成チャンバー6,60では二回のタクトのうちの一回を保護膜作成に利用し、一回をアッシング処理に利用している。第一の実施形態のように、退避チャンバー7での退避動作のような無駄な時間がない。1タクトの時間をフルに使って、成膜とアッシングとを行っている。従って、第一の実施形態のようにカーボン保護膜の作成能力を倍加させる必要がなく、作成能力の倍加が困難な場合に好適である。また、アッシングに比較的長い時間を要する場合に特に効果的な構成となる。
【0082】
尚、第二の実施形態の装置の動作としては、第一保護膜作成チャンバー6では最終的に作成すべきカーボン保護膜の厚さの半分の厚さの成膜を行い、第二保護膜作成チャンバー60で残りの半分の厚さの成膜を行うようにしてもよい。第一の保護膜作成チャンバー6で半分の厚さの成膜を行っている時、第二保護膜作成チャンバー60は空にされ、アッシング処理が行われる。そして、1タクトの半分が経過する前にキャリア90が第二保護膜作成チャンバー60に移動する。そして、1タクトの残りの半分の時間を使って第一保護膜作成チャンバー6ではアッシング処理が行われ、第二保護膜作成チャンバー60で残りの半分の厚さの成膜が行われる。
【0083】
次に、本願発明の第三の実施形態について説明する。
図12は、本願発明の第三の実施形態に係る情報記録ディスク用成膜装置の概略構成を示す平面図である。この実施形態の装置では、チャンバーの数に比べてキャリア90の数が二つ少なくなっている。図12に示すように、六つの連続したチャンバー内にキャリア90が位置し、七つ目のチャンバーにはキャリア90が位置しない状態となるようになっている。尚、各チャンバーのレイアウトは、図11に示す第二の実施形態と同様となっている。
【0084】
この図12に示す装置では、各駆動モータ98は独立して制御されず、全て同じタクトタイムで同時に動作する。例えば、図12に示すように、左下の方向転換チャンバー3内と右上の方向転換チャンバー3内にキャリア90が位置せず、空の状態であるとする。
【0085】
この状態で1タクト分だけ時間が経過すると、全キャリア90が全体に前方のチャンバーに移動するから、プリヒートチャンバー4と第一保護膜作成チャンバー6とが空の状態となる。空となった第一保護膜作成チャンバー6では、前述した通り、酸素プラズマによるアッシングが行われる。第二保護膜作成チャンバー6では、キャリア90が搬入されており、カーボン保護膜の作成処理が行われる。
【0086】
さらに1タクト分だけ時間が経過すると、第一下地膜作成チャンバー51と第二保護膜作成チャンバー60が空の状態となる。従って、第二保護膜作成チャンバー60ではアッシングが行われ、第一保護膜作成チャンバー6ではカーボン保護膜の作成処理が行われる。尚、第一第二の保護膜作成チャンバー6,60での成膜処理は、第二実施形態と同様に、半分ずつの膜厚である。
【0087】
そして、さらに5タクト分経過すると、全キャリア90が半周分移動したことになり、再び第一保護膜作成チャンバー6が空の状態になる。そして、上記と同様の動作を繰り返す。つまり、第一第二の保護膜作成チャンバー6,60では7タクトに1回だけアッシングの動作が行われる。尚、当然であるが、ロードロックチャンバー1が空になったタクトの時間帯では搭載用ロボット11は動作せず、アンロードロックチャンバー2が空になったタクトの時間帯では回収用ロボット21は動作しない。
【0088】
上記構成及び動作に係る本実施形態の装置では、駆動モータ98を独立して制御する必要はなく全キャリア90を同時に移動させる制御で足りる。従って、搬送系の制御部99の構成が簡略化になる。キャリア90が二つ減っていることから、第一第二の実施形態に比べるとこの分だけ生産性が落ちるが、特に問題が無い範囲であれば、制御部99の構成が簡略化されるメリットが大きい本実施形態の構成は実用的である。
【0089】
この第三の実施形態の構成において、磁性膜作成チャンバー52,54や下地膜作成チャンバー51,53が空の状態になる場合、ガス導入系56やスパッタ電源58は動作させず、スパッタは行わない。
また、プリプリヒートチャンバー4が空の状態になった際、加熱手段を停止させることも考えられるが、次にキャリア90が搬入された際、チャンバー内の温度が低下してしまっているので、加熱手段の動作を開始しても加熱条件の再現性が得られない問題がある。また一方、加熱手段を同一の条件で常時動作させることも考えられるが、キャリア90が無い状態ではプリヒートチャンバー4内の熱容量が小さくなってしまっている。このため、プリヒートチャンバー4が空になった時間帯に温度が上昇し、次にキャリア90が搬入された際の基板9の加熱効率が高くなってしまい、この場合も加熱条件の再現性の点で問題が生ずる。
【0090】
最も実用的なのは、プリヒートチャンバー4が空になることによる熱容量の減少を補償しうるよう加熱手段の動作を制御することである。つまり、プリヒートチャンバー4が空になってもプリヒートチャンバー4内の雰囲気温度が変化しない加熱条件を予め実験的に求めておき、この条件で加熱手段を動作させるようにする。例えば、加熱手段が輻射加熱ランプである場合、通常の80%程度の電力で動作させると、プリヒートチャンバー4内の雰囲気温度が一定にできる。そして、次にキャリア90が搬入された際、100%の電力に戻すようにする。
【0091】
尚、上記第三の実施形態において、キャリア90の数をチャンバーの数と同じにしていもよい。そして、搭載用ロボット11と回収用ロボット21の動作を制御して、7つ目のキャリア90が常に基板9を保持しないよう構成しても良い。
【0092】
上記説明では、カーボン保護膜の作成方法として、CH4 と水素の混合ガスによるプラズマCVDを挙げたが、CH4 ガスのみを用いても実施可能である。また、トルエン等の他の有機化合物ガスを用いる場合もある。さらに、プラズマCVD以外の熱CVD等によって実施可能であるし、カーボン製のターゲット57を使用したスパッタによってもカーボン保護膜の作成は可能である。スパッタの場合、ターゲットが酸素プラズマによってエッチングされてしまう恐れがあるので、アッシングを行う場合には放電シールドで覆ってターゲットにプラズマを遮蔽するようにするとよい。
【0093】
また、チャンバーレイアウトの例としては、前述した方形のレイアウトの他、複数のチャンバーが一直線上に並んだレイアウトでもよい。この場合、搬送路の終端に設けられたアンロードロックチャンバーから前端のロードロックチャンバーまでキャリアを戻す構成が採用される。
尚、プラズマを形成する手段としては、高周波放電を用いる構成の他、直流二極放電を用いる方法もある。また、磁性膜の例としては、前述したCoCrTaの他、CoCrPt,CoCrPtTa等がある。さらに、保護膜作成チャンバー6のガス導入系62は、CH4 の他、C 2 H 6 等のガスを導入するよう構成される場合もある。
【0094】
【発明の効果】
以上説明した通り、本願の請求項1記載の発明によれば、保護膜作成チャンバー内の露出面に堆積したカーボン膜が酸素プラズマによってアッシングされて除去されるので、カーボン膜の剥離によるパーティクル発生が未然に防止される。このため、カーボン保護膜の局所的な膜厚異常に起因する製品不良の発生が防止される。また、アッシングの際に基板が保護膜作成チャンバーから退避されるので、酸素プラズマによる基板の汚損や損傷が防止される。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、生産性を低下させることなくアッシングを行うことができる。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、二つの保護膜作成チャンバーで交互にカーボン保護膜の作成とアッシングが行えるので、生産性を低下させることなく成膜とアッシングとを十分に行うことができる。生産性を低下させることなくアッシングを行うことができる。
また、請求項4記載の発明によれば、すべてのキャリアを同時に動かすので、搬送系の制御部の構成が簡略化される。
また、請求項6記載の発明によれば、有機化合物ガスを使用したCVDによりカーボン保護膜が作成されるので、より硬いカーボン保護膜となり、次世代の情報記録ディスク用として最適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第一の実施形態に係る情報記録ディスク用成膜装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】基板9が搭載されるキャリア90の構成を示す正面図である。
【図3】キャリア90を移動させる構成を説明する側面概略図である。
【図4】キャリア90を移動させる構成を説明する平面概略図である。
【図5】搬送系全体を制御する構成の説明図である。
【図6】磁性膜作成チャンバー52,54の構成を説明する平面断面概略図である。
【図7】保護膜作成チャンバー6の構成を説明する平面概略図である。
【図8】アッシングを行う際の基板9の退避動作の説明図である。
【図9】第一の実施形態の装置におけるタクトタイムの説明図である。
【図10】第一の実施形態の装置の効果を確認した実験の結果を示す図である。
【図11】本願発明の第二の実施形態に係る情報記録ディスク用成膜装置の概略構成を示す平面図である。
【図12】本願発明の第三の実施形態に係る情報記録ディスク用成膜装置の概略構成を示す平面図である。
【図13】従来の情報記録ディスク用成膜装置の要部の構成を示す正面概略図である。
【図14】パーティクルの付着の問題を説明した断面概略図である。
【符号の説明】
10 ゲートバルブ
1 ロードロックチャンバー
2 アンロードロックチャンバー
3 方向転換チャンバー
4 プリヒートチャンバー
51 第一下地膜作成チャンバー
52 第一磁性膜作成チャンバー
53 第二下地膜作成チャンバー
54 第二磁性膜作成チャンバー
6 保護膜作成チャンバー
61 排気系
62 ガス導入系
63 プラズマ形成手段
631 高周波電極
633 高周波電源
7 退避チャンバー
9 基板
90 キャリア
94 キャリア側磁石
97 磁気結合ローラ
971 ローラ側磁石
98 駆動モータ
99 制御部
Claims (7)
- 基板の表面に記録用の磁性膜を作成した後にこの磁性膜の上にカーボンよりなる保護膜を作成して情報記録ディスクを製作する情報記録ディスク用成膜装置であって、前記保護膜を作成する保護膜作成チャンバーを備えており、この保護膜作成チャンバーは、内部を排気する排気系と、内部に酸素ガスを導入する酸素ガス導入系と、導入された酸素ガスにエネルギーを与えてプラズマを形成するプラズマ形成手段とを有しており、保護膜作成チャンバー内の前記基板以外の露出面に堆積したカーボンの膜をアッシングして除去することが可能となっており、
複数のチャンバーが気密に一列に接続されたインライン式の装置であって、これら複数のチャンバーのうちの一つは前記磁性膜を作成する磁性膜作成チャンバーであるとともに、別の一つは前記保護膜作成チャンバーであり、さらに、前記基板を保持するキャリアを移動させることでこれら複数のチャンバーに基板を順次搬送する搬送系が設けられており、
前記保護膜作成チャンバーの直後又は直前の搬送路上には退避チャンバーが設けられており、前記搬送系は保護膜作成チャンバーでの保護膜の作成の後又は前の前記アッシングの際に基板を退避チャンバーに搬入するものであり、
複数のチャンバーのうちの少なくとも一つはキャリアとの間で基板の着脱を行う着脱チャンバーであり、さらに、前記搬送系は、全チャンバーの数よりも退避チャンバーの数の分だけ少ない数のキャリアを備えており、前記アッシングの際には基板を保持したキャリアを前記退避チャンバーに移動させることで前記退避チャンバー内に基板が配置されていない状態とするよう構成されていることを特徴とする情報記録ディスク用成膜装置。 - 前記保護膜作成チャンバーは、他のチャンバーでの動作時間よりも少ない時間で保護膜の作成が完了するよう構成されており、他のチャンバー内ではキャリアが移動せずに基板がまだ滞留している間に退避チャンバーと保護膜作成チャンバーとの間でキャリアが移動して前記アッシングが行われることを特徴とする請求項1記載の情報記録ディスク用成膜装置。
- 基板の表面に記録用の磁性膜を作成した後にこの磁性膜の上にカーボンよりなる保護膜を作成して情報記録ディスクを製作する情報記録ディスク用成膜装置であって、
前記保護膜を作成する第一第二の保護膜作成チャンバーを備えており、この第一第二の保護膜作成チャンバーは、内部を排気する排気系と、内部に酸素ガスを導入する酸素ガス導入系と、導入された酸素ガスにエネルギーを与えてプラズマを形成するプラズマ形成手段とを夫々有しており、保護膜作成チャンバー内の前記基板以外の露出面に堆積したカーボンの膜をアッシングして除去することが可能となっており、
複数のチャンバーが気密に一列に接続されたインライン式の装置であって、これら複数のチャンバーのうちの一つは前記磁性膜を作成する磁性膜作成チャンバーであるとともに、別の二つは前記第一第二の保護膜作成チャンバーであり、さらに、前記基板を保持しながらこれら複数のチャンバーに順次搬送する搬送系が設けられており、この搬送系は、前記アッシングを行う際には前記保護膜作成チャンバーから基板を退避させることが可能となっており、
前記第一第二の保護膜作成チャンバーは搬送路上に隣接して設けられており、前記第一の保護膜作成チャンバーで成膜が行われている際には前記第二の保護膜作成チャンバー内では基板は搬入されずに前記アッシングが行われ、当該第二の保護膜作成チャンバーに基板が移動して成膜が行われる際には前記第一の保護膜作成チャンバー内では基板が搬入されずに前記アッシングが行われるものであることを特徴とする情報記録ディスク用成膜装置。 - 基板の表面に記録用の磁性膜を作成した後にこの磁性膜の上にカーボンよりなる保護膜を作成して情報記録ディスクを製作する情報記録ディスク用成膜装置であって、
前記保護膜を作成する保護膜作成チャンバーを備えており、この保護膜作成チャンバーは、内部を排気する排気系と、内部に酸素ガスを導入する酸素ガス導入系と、導入された酸素ガスにエネルギーを与えてプラズマを形成するプラズマ形成手段とを有しており、保護膜作成チャンバー内の前記基板以外の露出面に堆積したカーボンの膜をアッシングして除去することが可能となっており、
複数のチャンバーが気密に一列に接続されたインライン式の装置であって、これら複数のチャンバーのうちの一つは前記磁性膜を作成する磁性膜作成チャンバーであるとともに、別の一つは前記保護膜作成チャンバーであり、さらに、前記基板を保持するキャリアを移動させることでこれら複数のチャンバーに基板を順次搬送する搬送系が設けられており、
この搬送系は、すべてのキャリアを同時に次のチャンバーに移動させるものであり、前記複数のチャンバーのうちの少なくとも一つはキャリアとの間で基板の着脱を行う着脱チャンバーであり、この着脱チャンバーでは、前記アッシングの頻度に応じて基板の着脱作業を欠落させるよう構成されており、
前記保護膜作成チャンバーは、基板を保持したキャリアが配置されていない際に前記アッシングが行われるよう構成されていることを特徴とする情報記録ディスク用成膜装置。 - 前記複数のチャンバーは周状に接続されていてこれらチャンバーを通過する無終端の搬送路が設定されており、前記搬送系は、基板を保持するキャリアを当該無終端の搬送路に沿って搬送するものであることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の情報記録ディスク用成膜装置。
- 前記保護膜作成チャンバーは、有機化合物ガスを導入するプロセスガス導入系を備えており、導入された有機化合物ガスの気相中での分解反応を利用するプラズマ化学蒸着によって前記カーボンの保護膜を作成するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至5記載の情報記録ディスク用成膜装置。
- 基板の表面に記録用の磁性膜を作成した後にこの磁性膜の上にカーボンよりなる保護膜を作成して情報記録ディスクを製作する情報記録ディスク用成膜装置であって、
前記磁性膜を作成する磁性膜作成チャンバーと、
前記基板に対する前記保護膜の作成と、前記基板以外の露出面に堆積したカーボンの膜を酸素プラズマにより除去するアッシングとを、時間を分けて実施可能な保護膜作成チャンバーと、
前記保護膜作成チャンバーに隣接して配置された退避チャンバーと
を含む複数のチャンバーが一列に接続されてなり、
さらに、前記保護膜作成チャンバーを除く各チャンバーに配された各基板を隣接するチャンバーに所定のタクトタイムが経過する毎に搬送する搬送手段を備えるとともに、この搬送手段は、前記保護膜作成チャンバーから前記退避チャンバーへの搬送を前記所定のタクトタイム経過前に行うように構成されていることを特徴とする情報記録ディスク用成膜装置。
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