JP4226855B2 - 熱解析方法及び熱解析装置、並びに前記熱解析方法を実施するプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加熱物を所定の要求条件に適合する温度プロファイルに沿って加熱するための加熱条件を見出す熱解析方法、及び当該熱解析方法を実施する熱解析装置、加熱制御装置並びに加熱装置に関する。より詳しくは、本発明は、塗布されたクリーム半田上に電子部品を装着した回路基板を加熱し、半田を溶融させて前記電子部品を半田付けするための適切な加熱条件を見出す熱解析方法、及び当該熱解析方法を実施するリフロー装置に関する。本発明は更に、前記熱解析方法を実施するためのプログラム、及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
加熱装置を用いて被加熱物を加熱する際には、被加熱物を所定の加熱温度で所定の時間維持すると共に、被加熱物の耐熱限界温度を超えないようにする等、加熱温度、加熱時間を適切に管理する必要がある。被加熱物を単に一定の温度で維持するだけにとどまらず、予熱、加熱、冷却を含む要求条件に適合した温度プロファイルに沿って被加熱物を加熱するには慎重な熱解析と温度制御が要求されている。
【0003】
一例として、電子回路基板等の回路形成体(以下、「回路基板」という。)に電子部品を装着して半田付けするリフロー加熱が挙げられる。ここでは、一般に表面実装部品を搭載した回路基板にクリーム半田を印刷してこのクリーム半田上に電子部品を装着した後、リフロー装置に搬入して半田を溶融することにより半田付けを行っている。このリフロー加熱においては、急激な加熱による回路基板の熱損傷を回避するためにまず予熱を行う。この予熱は、酸化防止剤などのクリーム半田に含まれるフラックスを活性化させ、半田付けの品質を向上させる効果も有する。その後、半田を一定時間溶融点以上の温度に保ち、半田を完全に溶融させた後に凝固させて確実な半田付けを実施するリフロー加熱を行う。
【0004】
近年の環境保護要請に対応し、半田付けの分野においては従来から使用されてきた錫−鉛系半田に代わって有害な鉛を含まない錫−銀−銅系や、錫−亜鉛−ビスマス系などの鉛フリー半田が使用される傾向にある。しかしながら、約190℃ほどの比較的低い溶融点であった鉛系半田に対して一般に鉛フリー半田の溶融点は約220℃ほどと高くなり、リフローに際してこれを従来より高温度まで加熱しなければならない。一方、回路基板に装着される電子部品の熱破壊を防止するため、リフロー加熱時においてはこれら各電子部品の耐熱限界温度(耐熱保証温度)を越えないようにすることが要求される。例えばアルミ電解コンデンサではこの耐熱限界温度が約240℃とされている。加熱温度が低すぎる場合には電子部品の半田付けが保証できず、逆に温度が高すぎる場合には電子部品の熱破壊を引起す。したがって、リフロー装置で信頼性の高い半田付けを行うためには、半田を溶融点以上の温度に加熱すると同時に、被加熱物である回路基板や電子部品が各々の耐熱限界温度を超えないよう厳格な温度管理をすることが求められる。このため、熱風やパネルヒータ等の加熱源の温度条件や、加熱装置を通過する回路基板の搬送速度等を含むリフロー条件を、被加熱物の要求度合いに応じて適切に設定しなければならない。
【0005】
加熱装置で使用される加熱方式には、電気、又はガスや石油の燃焼による熱源からの熱風を被加熱物に吹き付ける対流式と、遠赤外線などを被加熱物に照射する輻射式とがある。熱処理装置、焼結装置、焼成装置、溶解装置、焼却装置など各加熱装置においては、それぞれの用途に応じて適切な加熱方式が採られている。特に上述した半田溶融を目的とした半田リフロー装置などの厳格な温度管理が要求される場合、比較的温度制御が容易な対流式加熱が用いられる傾向にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、リフロー条件の設定に際しては、回路基板の少なくとも1箇所に温度測定用の熱電対を取付け、この測定点における加熱時の温度変化を測定する。そして、各測定点で所望の温度プロファイルに沿った温度測定結果が得られるまでリフロー装置の加熱条件を逐次変更しながら検証を繰り返し、適切なリフロー条件を設定していた。リフロー条件を変更した場合には加熱装置の温度が安定するまでの待ち時間を必要とし、また、適切な加熱条件を見出すまでには、一般にこの温度測定を少なくとも10回ほど繰り返されていた。このため、温度条件の設定作業には長時間を要するほか、1つの測定結果に基いて加熱条件を補正するには熟練作業者の感と経験を必要としていた。この試行錯誤の結果、加熱条件が得られたとしても、果たしてこれが加熱装置の最適な条件か、すなわち余裕を持って要求条件をクリアしている加熱条件であるかの判断はできなかった。
【0007】
このような長時間の工数を必要とし、経験者の感と経験に頼るリフロー条件の設定プロセスを改善する方策の幾つかが既に提案されている。特開2002-45961号公報には、物性値の明らかな試験部材を加熱装置内で加熱してその温度変化を測定し、加熱装置の加熱特性をパラメータとして前記温度変化を微分方程式を用いて計算し、測定値と計算値との偏差が最小となるよう加熱装置の加熱特性を示す値を変化させて繰り返し計算することにより、最適な加熱特性を決定する方法を開示している。
【0008】
また、特開平11-201647号公報(特許第3274095号)では、複数の加熱源に加熱条件を設定して被加熱物を加熱して被加熱物の複数の検出点の温度を検出、1つの加熱源における加熱条件の変化量と被加熱物の各検出点における検出温度の変化量との関係を各加熱源について算定し、この結果に基いて被加熱物の温度を目標温度にするための加熱条件を算出して加熱源を制御する方法について開示している。
【0009】
しかしながら、上記いずれの方法においても、最適加熱特性の決定もしくは加熱源を制御するために被加熱物(あるいは試験部材)の物性値を必要としており、したがってこれら物性値データを入手してこれを入力してやる必要がある。特に昨今では1つのプリント基板に100個ほどの電子部品が実装されることも多く、基板、部品品種の切り替りが激しい状況下、被加熱物の測定対象個々についてそれぞれこのような物性値入力の手間を要する方法は多大の工数を要し、現場では実施しずらいのが現状である。また、被加熱物が混合物や組み合せ部品等である場合には、物性値そのものの入手が困難なケースもあり得た。
【0010】
また、米国特許第6,283,379号には、複数の加熱区域を持つ加熱装置において、各加熱区域ごとの境界条件温度と熱風温度とを測定し、両者間の差の内で最小の差分だけ境界条件温度を変動させることにより境界条件温度を調整する方法について開示している。しかしながらこの方法によれば、各加熱区域の境界において1つのファクタに基いて温度プロファイルを平行移動させて調整するだけであり、特にピーク温度が前記境界に存在していない温度プロファイルや複雑なカーブを描く温度プロファイルの各位置において精度の高い加熱シミュレーションを得ることは困難である。また、加熱装置全体が1つの温度制御で行われるため複数の測定点ごとの加熱状況は考慮されていないという問題点がある。
【0011】
したがって本発明は、上述した従来の問題点に鑑み、被加熱物の物性値を用いることなく、また、試行錯誤による被加熱物サンプルの加熱と測定を繰り返すことなく、加熱装置の加熱条件を効率的に見出すことができる熱解析方法、及び当該熱解析方法を実施する熱解析装置、加熱装置を提供することを目的としている。
【0012】
本発明は更に、上述の熱解析方法を実施することが可能な加熱制御装置、前記加熱制御装置に使用可能なコンピュータ読み取り可能な記録媒体、前記記録媒体に記録されるプログラムを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加熱装置の任意の測定位置における加熱温度と加熱時間、及び被加熱物の任意の測定点の温度のデータから、各測定位置及び各測定点ごとの加熱特性を1つの定数として数値化結果を求めることにより上述の課題を解決するもので、具体的には以下の内容を含む。
【0014】
本発明に係る1つの態様は、加熱装置の少なくとも1つの任意の測定位置における加熱温度及び加熱時間と、被加熱物の少なくとも1つの任意の測定点における温度測定結果とに基き、前記被加熱物及び前記加熱装置の物理的特性を含む加熱特性を、前記各測定位置及び各測定点ごとに1つの定数として数値化結果を求めることを特徴とする熱解析方法に関する。
【0015】
前記数値化結果を使用し、与えられた加熱条件により前記加熱装置で加熱される被加熱物の温度プロファイルをシミュレーションすることができ、あるいは、前記加熱装置に搬入された被加熱物を予め定められた要求条件に適合した温度プロファイルに沿って加熱するための前記加熱装置の加熱条件を見出すことができる。
【0016】
前記測定位置における加熱温度をTa、当該測定位置における前記測定点の初期温度をTint、到達温度をTs、当該測定位置での加熱時間をtとしたとき、前記数値化された結果は、
で表されるm値とすることができ、また、前記m値を利用して、
Ts=Ta−(Ta−Tint)e−mt (但し、eは自然対数の底)で表される加熱基本式を基に、与えられた被加熱物の温度Tsを満たすための前記加熱装置の加熱温度Taと加熱時間tとを求めること、もしくは与えられた前記加熱装置の加熱温度Taと加熱時間tとを用いて被加熱物の温度Tsを求めることができる。
【0017】
本発明に係る他の態様は、加熱装置へ搬入される被加熱物を予め定められた要求条件に適合する温度プロファイルに沿って加熱するための加熱条件を見出す熱解析方法であって、
被加熱物サンプル・加熱装置の加熱条件を特定し、
被加熱物の加熱時の要求条件を設定し、
前記被加熱物サンプルを加熱して前記加熱装置の少なくとも1つの任意の測定位置で前記被加熱物サンプルの少なくとも1つの任意の測定点の温度を測定し、前記各測定位置における加熱温度及び加熱時間と、前記各測定点における測定温度とを基に各測定位置及び各測定点ごとの加熱特性値を求め、
前記加熱温度、前記加熱時間のいずれか一方もしくは双方を変化させた新たな加熱条件を設定し、
前記加熱特性値を利用し、加熱温度と被加熱物の温度との関係を表す加熱基本式を用いて前記新たな加熱条件における各測定位置及び各測定点ごとの温度を算出し、
前記算出された結果による温度プロファイルが前記要求条件を満たしている場合には、この新たな加熱温度と加熱時間とに基いて加熱条件を確定し、
前記算出された結果の温度プロファイルが前記要求条件を満たしていない場合には、再度新たな加熱条件を設定し直して前記手順を繰り返すことにより加熱条件を見出すことを特徴とする熱解析方法に関する。
【0018】
本発明にかかる更に他の態様は、複数の加熱区域から構成される加熱装置内に搬送されて加熱される被加熱物が、第1の加熱段階と第2の加熱領域のそれぞれに予め定められた要求条件に適合する温度プロファイルに沿って加熱されるよう、前記複数の加熱区域ごとの加熱条件を見出すための手順を定めるプログラムであって、コンピュータに、
前記複数の各加熱区域の少なくとも1つの任意の測定位置における加熱温度及び加熱時間と、前記被加熱物を加熱して得られた少なくとも1つの任意の測定点における温度測定結果とに基いて算出された前記各測定位置及び各測定点ごとの加熱特性値を獲得する手順と、
前記少なくとも1つの測定点の内、前記加熱時に前記第1の加熱段階で最高温度を示した測定点を抽出し、当該測定点が第1の加熱段階の要求温度をオーバしていないかを確認する確認手順Aと、
前記確認手順Aで、前記測定点が前記第1の加熱段階の要求温度をオーバしているときには、第1の加熱段階の加熱温度を予め定められた基準で下げる加熱条件の補正を加えた上、前記加熱特性値を用いて再度各測定点の温度を算出し、これまでの手順を繰り返す手順と、
前記確認手順Aで、前記測定点が前記第1の加熱段階の要求温度をオーバしていないときには、当該測定点が前記第1の加熱段階の要求加熱時間をクリアしているかを確認する確認手順Bと、
前記確認手順Bで、前記測定点が前記第1の加熱段階の要求加熱時間まで達していないときには、前記第1の加熱段階の加熱温度を予め定められた基準で上げる、もしくは加熱時間を予め定められた基準で長くする加熱条件の補正を加えた上、前記加熱特性値を用いて再度各測定点の温度を算出し、これまでの手順を繰り返す手順と、
前記確認手順Bで、前記測定点が前記第1の加熱段階の要求加熱時間をオーバしているときには、前記第1の加熱段階の加熱温度を予め定められた基準で下げる、もしくは加熱時間を予め定められた基準で短くする加熱条件の補正を加えた上、前記加熱特性値を用いて再度各測定点の温度を算出し、これまでの手順を繰り返す手順と、
前記確認手順Bで、前記測定点が前記第1の加熱段階の要求加熱時間をクリアしているときは、他の測定点を含めて全ての測定点が前記第1の加熱段階の要求条件をクリアしているかを確認する確認手順Cと、
前記確認手順Cで、前記第1の加熱段階の要求条件をクリアしていない測定点が見つかったときには、加熱時間を予め定められた基準で長くする加熱条件の補正を加えた上、前記加熱特性値を用いて再度各測定点の温度を算出してこれまでの手順を繰り返す手順と、
前記確認手順Cで、全ての測定点が前記第1の加熱段階の要求条件をクリアしていることが確認された後、次に、前記加熱時において前記第2の加熱段階で最低温度を示した測定点である基準測定点を抽出する手順と、
前記抽出された基準測定点が第2の加熱段階における要求条件の内、被加熱物の最高温度が到達すべき必要到達温度と被加熱物が耐えられる限界である耐熱限界温度との両要求条件をクリアする加熱条件を、前記第2の加熱段階にある少なくとも1つの加熱区域に対して前記各加熱特性値を用いて予め定められたアルゴリズムで検索する手順と、
前記検索の結果得られた加熱条件が、被加熱物を予め定められた温度で予め定められた時間だけ維持するための加熱保持温度及び同時間の要求条件をクリアしているかを確認する確認手順Dと、
前記確認手順Dで、前記検索の結果得られたいずれの加熱条件も前記加熱保持温度及び同時間の時間要件をクリアしていないときには、加熱時間を予め定められた基準で長くする加熱条件の補正を加えた上、前記加熱特性値を用いて再度各測定点の温度を算出してこれまでの手順を繰り返す手順と、
前記確認手順Dで、前記検索の結果得られた加熱条件の内、加熱保持温度及び同時間の時間条件をクリアしているものがあれば、これらが他の要求条件である被加熱物が予め定められた温度で予め定められた時間だけ耐えられる耐熱上限温度及び同時間の要求条件をクリアしているものであるかを確認する確認手順Eと、
前記確認手順Eで、いずれの加熱条件も耐熱条件温度及び時間の時間条件をクリアしていないときには、加熱時間を予め定められた基準で短くする加熱条件の補正を加えた上、前記加熱特性値を用いて再度各測定点の温度を算出してこれまでの手順を繰り返す手順と、
前記確認手順Eで、加熱条件が耐熱上限温度及び同時間の時間条件をクリアしているものがあるときには、その加熱条件の内の前記加熱保持温度及び同時間の時間条件を最も短い時間でクリアした温度プロファイルの加熱条件を適切な加熱条件として仮設定する手順と、
前記仮設定された加熱条件に基き、前記加熱特性値を利用して他の測定点の温度を算出し、全ての測定点が第2の加熱段階の要求条件を全てクリアしているかを確認する確認手順Fと、
前記確認手順Fで、第2の加熱段階の要求条件をクリアしていない他の測定点が見つかったときには、加熱時間を予め定められた基準で短くする加熱条件の補正を加えた上、前記加熱特性値を用いて各測定点の温度を算出して再度これまでの手順を繰り返す手順と、
前記確認手順Fで、全ての測定点が第2の加熱段階の要求条件をクリアしているときには、前記仮設定された加熱条件を適切な加熱条件であると確定する手順と、を実行させることを特徴とするプログラムに関する。
【0019】
前記手順おける第1の加熱段階と前記第2の加熱段階とは、上述のような一連の流れとして適用しても、あるいはそれぞれを個別に適用してもよい。
【0020】
前記基準測定点が必要到達温度と耐熱限界温度との要求条件をクリアする加熱条件を検索するための前記アルゴリズムは、当該加熱段階にある少なくとも2つの加熱区域の内、先行する加熱区域の初期温度から当該先行する加熱区域の終了点で耐熱限界温度に達するまで上昇する温度勾配線と、前記先行する加熱区域の終了点から最終の加熱区域の終了点までこの耐熱限界温度で維持される上限線と、前記先行する加熱区域の初期温度から最終の加熱区域の終了点で必要到達温度に達するまで上昇する温度勾配線とによって囲まれる領域内に前記基準測定点が収まるよう、当該加熱段階にある少なくとも2つの加熱区域の各加熱温度を、当該加熱段階の当初の温度から前記各加熱区域の設備限界温度の間で変動させた時の任意の温度の組み合せの中から抽出するものとすることができる。
【0021】
本発明に係るさらに他の態様は、入力手段と、メモリ手段と、演算手段とを備え、加熱装置で被加熱物を加熱する際の熱解析を行う熱解析装置であって、
前記入力手段は、加熱温度、加熱時間、被加熱物の測定温度の情報を獲得し、前記メモリ手段は、加熱特性値を演算するロジックと、前記加熱特性値と加熱条件とに基いて被加熱物の温度を演算するロジックである加熱基本式とを記憶し、
前記演算手段は、前記入力手段が獲得した前記情報に基いて前記メモリ手段に記憶されたロジック及び加熱基本式を使用して前記加熱特性値を算出すること、又は前記加熱温度、加熱時間に対応する被加熱物の温度を算出することを特徴とする熱解析装置に関する。前記熱解析装置が更に記録媒体読み取り手段を備えることにより、前記入力手段が獲得した被加熱物の加熱要求条件と、前記記録媒体読み取り手段が記録媒体から読み取ったアルゴリズムと、前記算出された加熱特性値とを使用して、前記演算手段が前記被加熱物の加熱要求条件に適合した加熱温度、加熱時間を含む加熱条件を見出すことができる。
【0022】
前記熱解析装置にさらに出力手段を加え、被加熱物を予め定められた要求条件に適合する温度プロファイルに沿って加熱できるよう、加熱装置の各加熱区域における加熱温度と加熱時間とを含む適切な加熱条件を見出し、その結果に基いて当該加熱装置を制御するため加熱制御装置とすることができる。
【0023】
本発明に係る更に他の態様は、少なくとも1つの加熱区域と、前記少なくとも1つの各加熱区域を加熱するための各加熱源と、前記各加熱区域ごとの加熱条件を制御する加熱制御装置とを備え、搬入された被加熱物を予め定められた要求条件に適合する温度プロファイルに沿って加熱する加熱装置に関する。前記加熱装置は、上述の前記加熱制御装置を備えることを特徴としている。
【0024】
上述の前記加熱装置は、リフロー装置、熱処理装置、焼結装置、焼成装置、焼却装置、溶解装置のいずれであってもよく、更には、冷却装置に対しても適用することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる第1の実施の形態の熱解析方法及び加熱装置につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、半田溶融を目的としたリフロー装置を対象としているが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。図1は、リフロー装置(上)とこのリフロー装置で加熱される被加熱物の温度プロファイル(下)の1例を対応させて表示している。被加熱物である回路基板1は、搬送装置8によって図の右側からリフロー装置10内に搬入され、リフロー装置10を矢印2に示す図の左方向に搬送の後、左側からリフロー装置10外に搬出される。この搬送の間に、回路基板1に印刷されたクリーム半田が溶融して電子部品が回路基板1に半田付けされる。図1に示すリフロー装置の例では、装置内が加熱区域▲1▼から▲7▼までの7つに区分され、各加熱区域▲1▼〜▲7▼ごとにそれぞれ設けられた加熱源7から温度管理された熱風を被加熱物に矢印5で示すように上下から吹き付け、これによって被加熱物である回路基板1を適切な温度まで加熱している。
【0026】
図1の下側に示すグラフは、前記リフロー装置10内で加熱される回路基板1の温度変化、すなわち温度プロファイルを示している。図の右側から室温Trでリフロー装置に搬入された回路基板1は、加熱区域▲1▼、▲2▼における加熱によって徐々に温度が上昇し、加熱区域▲3▼で予熱温度T0に至り、加熱区域▲4▼、▲5▼の間でこの予熱温度T0にて時間t0の間保たれる。
【0027】
その後、回路基板1は加熱区域▲6▼に至って半田溶融に必要な加熱保持温度T2まで加熱され、加熱区域▲7▼でその温度が時間t2以上維持されて半田を確実に溶融させた後、加熱区域外へ搬出され、回路基板1は徐々に温度を下げて室温に至る。この温度下降の間に溶融した半田が凝固して電子部品が回路基板1に半田付けされる。加熱区域▲7▼を出た後の温度下降を促進するため、エアもしくは冷風を吹き付ける冷却装置11が用いられることもある。なお、図示の温度プロファイルは単なる1例であって、各加熱区域▲1▼〜▲7▼の加熱条件を変化させることで、これ以外の温度プロファイルとすることも可能である。
【0028】
ここで、電子部品の熱破壊を回避しつつ半田付けを確実に行うためには、リフロー装置10での加熱において、一般に図1にも表示する以下のaからfに示す要求条件を満たすことが好ましい。以下は半田リフローを前提としたものであり、加熱目的が異なる場合には、他の要求条件となることもあり得る。
a.加熱保持温度及び同時間(T2、t2):被加熱物を一定目的のために所定の温度で所定の時間だけ維持する。半田リフローにおいては、半田を溶融点以上の温度に保持するための温度と時間。
b.必要到達温度(Treq):被加熱物の最高温度が到達すべき温度。半田リフローにおいては、半田を完全な液相にするために必要な到達温度。
c.耐熱限界温度(Tmax):被加熱物が耐えられる限界の温度。半田リフローにおいては、電子部品等の被加熱物の耐熱許容限界温度。
d.耐熱上限温度及び同時間(T1、t1):被加熱物が所定温度において耐えられる時間。半田リフローにおいては、電子部品等の被加熱物が所定の温度以上に曝されるときの限界時間。
e.予熱温度及び同時間(T0、t0):被加熱物が最終目的の加熱前に所定の温度で所定時間維持されるときの要求温度と時間。半田リフローにおいては、クリーム半田のフラックス活性化に適した温度と時間。
f.目標温度ばらつき(ΔT):被加熱物の複数の測定点間の最高温度のばらつきの限界。半田リフローにおいては、各電子部品間で局部的な加熱偏差をなくす。図1は1つの測定点の温度プロファイルのみを示しているため、複数の測定点間のばらつきであるΔTは図示されていない。
【0029】
被加熱物である回路基板1がリフロー装置10内を加熱されながら搬送される間に、回路基板1に設けられた1つもしくはそれ以上の測定点において、上述の要求条件が全て満足されるような各加熱区域▲1▼〜▲7▼における加熱条件を設定する必要がある。
【0030】
ここで、一般に、熱源によって被加熱物が加熱される場合の両者の関係を表す温度変化式を導入する。図2は、被加熱物1上での測定点となる測定対象(ここでは電子部品)と、測定対象に加えられる熱量Qとを示している。このときの加熱方式は熱風による対流式加熱であるとする。測定対象は、表面積S、厚みD、体積Vとし、測定対象の物性値が密度ρ、比熱C、対流加熱の熱伝達率h、また、加熱するための熱風の温度をTa、測定対象の温度をTsとすると、熱量Qは、
Q=h(Ta−Ts)S ・・・・・・・・・・・・・・算式1
と表される。
【0031】
Δt秒間における測定対象の表面温度Tsの温度変化量ΔTは一般に、
と表され、右辺の{ }をはずして変形すると、
となる。ここで右辺の後半部分は輻射加熱による要因を示しており、αは被加熱物の放射線吸収率、εは被加熱物の放射線放射率、Fは熱放射の加熱源と被加熱物との形状係数、Thは輻射加熱の加熱源温度(表面温度)をそれぞれ表わしている。
【0032】
対流加熱においては輻射加熱による要因をほぼ無視できることから、算式3の右辺後半部分を省略すると、対流加熱における前記関係式は、
で概略表わすことができる。
【0033】
ここで、
とおき、算式4を書き換えると、
となる。初期値t=0での表面温度TsをTintとして算式6を書き換えると、
Ts=Ta−(Ta−Tint)e−mt ・・・・・・・・算式7
となる。ここで、TsとTintはいずれも被加熱物の表面温度を表しているが、Tintが加熱開始時の初期温度、Tsが加熱後の到達温度を示している。また、eは自然対数の底である。本明細書においてはこの被加熱物の表面温度Tsを算出する算式7を「加熱基本式」と呼ぶものとする。
【0034】
この算式7を用いてmを逆算すると、
と表わすことができる。lnは自然対数である。この算式8のうち、右辺の加熱時間t、加熱温度Ta、初期温度Tint、到達温度Tsは測定可能であり、これらの測定結果を用いればmの値が算出可能となる。すなわち、被加熱物を一旦加熱してこれらの値を測定すれば、算式5に示すような密度ρ、比熱物性値C、熱伝達率hなどの物性値を使用することなく算式8を用いてmの値を算出可能であることが分かる。本明細書において、このmの値を「m値」と呼ぶものとする。算式8を用いて求められるm値は、実際に加熱装置によって被加熱物を測定した結果に基く値であり、加熱装置と被加熱物上の測定対象との両物理的特性を反映した加熱特性を1つの定数として数値化した値となる。
【0035】
上述した加熱する際における加熱装置と被加熱物に絡む物理的特性の例としては、以下のものが含まれ得る。
加熱装置:加熱装置の構造、加熱装置の容積、加熱源の種類、加熱区域の数及び配置、加熱源の応答性、熱干渉、外乱、など。
被加熱物:物性値(表面積S、厚みD、密度ρ、比熱C、熱伝達率h、・・)、形状、初期温度、表面状態など、とくに回路基板にあっては実装密度、実装位置、基板表面の回路配置など。
本明細書においては、これら加熱に関連する加熱装置及び被加熱物の両物理的特性を含めて「加熱特性」と呼ぶもので、前記m値は、これらの加熱特性を数値化した「加熱特性値」であるといえる。
【0036】
加熱装置で加熱する際には、前記加熱特性に起因して同じ被加熱物であってもその場所によって加熱される状況が異なるのが常である。物性値のみを入力して利用する従来技術による熱解析では、被加熱物と加熱装置との間の物性値以外のこれら加熱特性が無視されるため、シミュレーション結果にばらつきを生じさせる原因となり得る。本願発明では、これらの加熱特性による影響因子を各測定点ごとに加味したm値を定めることができる。すなわち、このm値を使用することにより、単に被加熱物の物性値を使用してシミュレーションする場合に比べてより実態に即した精度の高い結果を得ることができる。
【0037】
図3は、前記m値を求めるために加熱されるサンプル回路基板1の概要を示している。サンプル回路基板1には複数の電子部品3が装着され、この内、測定対象となる電子部品3a、3b、3cには温度測定用の熱電対4がそれぞれ取り付けられている。当該熱電対4は、その測定結果を記録するための外部の記録装置6に接続される。この測定結果は、記録装置6から更に図示しないA/D変換器を介してコンピュータや加熱制御装置に接続可能である。図3では電子部品3a、3b、3cの3つの測定点のみが測定対象となっているが、この数は任意に設定可能である。一般に、回路基板に搭載されている部品の加熱時の要求条件を一覧にし、その中から上下限温度条件に近い部品を複数個抽出して測定対象として選択すること、さらには熱容量が大きく、したがって加熱時の到達温度が低くなり勝ちな大型部品などを測定対象として選択することが好ましい。
【0038】
図4は、上述の構成にかかるサンプル回路基板1を実際にリフロー装置10に搬入して加熱し、リフロー装置10内の1つの加熱区域、図示の例では図1の加熱区域▲1▼におけるm値を算出する際の各温度測定位置を示している。図の縦軸が測定点の温度、横軸が時間を示す。なお、本明細書では、温度を測定する対象となる測定対象の被加熱物上における場所を「測定点」、温度を測定する加熱装置内の場所(すなわち、各測定点に対してm値を算出すべき場所)を「測定位置」と呼んで両者を区別するものとする。図示の横軸は時間で表されているが、搬送される被加熱物が時間tを経過するごとに測定位置を通過するものと見ることができる。図の例では加熱区域▲1▼内にn個に均等配分された各測定位置があり、被加熱物はこの各測定位置において時間tずつ加熱され、この加熱によって順次昇温する。この測定位置の分布は均等配分に限定されることなく、任意に定めることができる。
【0039】
室温Trで搬入されたサンプル回路基板が、加熱区域▲1▼内の各測定位置において温度Taの熱風によって時間tずつ加熱され、Trから徐々に昇温する段階の各測定位置における測定対象部品(すなわち、測定点)3a、3b、3cの表面温度Tsをそれぞれ測定することにより、算式8を使用して各測定点ごとに合計n個のm値(m1、m2、m3、・・・、mn)を求める。なお、算式7、8において、1つの測定位置における初期温度Tintは、直前の測定位置における到達温度Tsである。
【0040】
図4では電子部品3cに対するm値のみを示しているが、他の電子部品3a、3bに対しても温度測定結果を基に各n個のm値を求める。本願発明者らの行った実験では1つの加熱区域において各測定点ごとにn=100、すなわち100箇所の測定位置を定め、100個のm値を求めている。このように多数のm値を求めるのは、同一加熱区域内においても熱風温度のばらつき、風速分布のばらつきがあり、またリフロー装置1の出入口付近や加熱区域の境界付近においては外気による影響や加熱区域間の熱干渉が考えられることから、より細かく測定位置を細分化して加熱特性値を求め、後のシミュレーションの精度を高めるようにするものである。逆に、加熱装置の概要特性を把握するためだけであれば、極端には加熱区域ごとに1つのm値のみを求めることであっても、あるいは加熱装置全体で最もクリティカルとなる箇所について1つのm値のみを求めることであってもよい。
【0041】
図4は加熱区域▲1▼について示しているが、他の加熱区域▲2▼〜▲7▼に対しても同様に測定位置を細分化してそれぞれの位置における表面温度を測定し、各測定位置におけるm値を求める。各加熱区域を同様に100に区分したとすれば、測定点3箇所について合計で100区分×7加熱区域×3測定点=2100個のm値が求まり、この各値がコンピュータや加熱制御装置に入力される。
【0042】
次に、以上のようにして求まった各測定位置と測定点に対するm値を利用して、リフロー装置1の加熱条件を変化させた場合の被加熱物の温度プロファイルのシミュレーションを行う方法について説明する。上述したように、本実施の形態では、算式5に示すような熱伝導率h、密度ρ、比熱Cなどの物性値を用いることなく、サンプル回路基板の加熱、実測に基いて加熱特性値であるm値を算出する。このようにして算出されたm値は、各加熱測定位置と各測定点に特有な加熱特性を反映された値となるため、m値を用いることで加熱条件の変化後の温度プロファイルを、従来技術にようなサンプル回路基板の加熱によって検証するまでもなく、効率的に、しかも高い精度でシミュレーションを行うことが可能となる。
【0043】
図5(a)〜(e)は、リフロー装置を使用した本実施の形態によるシミュレーションの実験結果1を示している。図5(a)はサンプル回路基板1をリフロー装置10に搬入して加熱し、温度測定を行った際の各加熱区域における加熱温度を示している。このときの狙いの要求条件は以下の通りであった。
a.加熱保持温度及び同時間(T2、t2):220℃、20秒以上。
b.必要到達温度(Treq) :230℃
c.耐熱限界温度(Tmax) :240℃
d.耐熱上限温度及び同時間(T1、t1):200℃、40秒以下。
e.予熱温度及び同時間(T0、T0) :160℃〜190℃、60秒〜120秒。
f.目標温度ばらつき(ΔT) :10℃以内
【0044】
サンプル回路基板1は図5(a)の右側に示す加熱区域▲1▼から搬入され、以下順に加熱区域▲2▼〜▲7▼を通過してリフロー装置10外へ搬出される。この内、加熱区域▲1▼〜▲5▼までの第1の加熱段階は予熱段階、加熱区域▲6▼、▲7▼の第2の加熱段階はリフロー段階である。図示の加熱例では、予熱段階の熱風温度は一律予熱温度の上限値である190℃、リフロー領域では耐熱限界温度である240℃としている。又、このときのサンプル回路基板1を搬送する搬送装置の搬送速度vは1.25m/分であった。なお、被加熱物が搬送装置で搬送される場合には、このように加熱時間tの代わりに、搬送速度vを用いて管理することもできる。すなわち、該当する測定位置の長さをlとすれば、v=l/tで置換することができる。
【0045】
サンプル回路基板1を前記加熱条件に設定されたリフロー装置10に搬入して加熱し、サンプル回路基板1のそれぞれの測定点についてリフロー装置10の各測定位置における表面温度Tsを測定し、その結果と加熱装置の加熱温度Ta、加熱時間t(ここでは搬送速度v)とから算式8を使用してそれぞれのm値を算出する。
【0046】
図5(b)は、搬送装置の搬送速度vを同一(1.25m/分)としたままで加熱区域▲1▼、▲2▼、▲6▼の温度をそれぞれ変更させてシミュレーションを行った際の加熱条件を示している。また、図5(c)は、この変更された加熱条件を基に行ったシミュレーションの結果を示している。このシミュレーションは、各測定位置において求められたそれぞれの測定点のm値を使用して、算式7の加熱基本式により被加熱物の各測定点における表面温度Tsを算出することにより得られる。
【0047】
図示の例では測定点が3箇所(測定点3a、3b、3c)で、シミュレーション結果の表示項目としてf.目標温度ばらつき(ΔT)、c.耐熱限界温度(Tmax、ここでは各測定点における「ピーク(最高)温度」)、a.加熱保持温度及び同時間(t2、ここでは「220℃以上の時間」)、d.耐熱上限温度及び同時間(t1、ここでは「200℃以上の時間」)の4項目を表している。シミュレーションでは被加熱物の1つの測定点に対してm値を測定した700箇所の測定位置における表面温度Tsが全て算出されているため、図示する項目以外にもデータ入手は勿論可能である。例えば、図示の例ではリフロー段階のデータのみを表示しているが、予熱段階(例えば、加熱区域▲3▼での中央値など)のデータも必要に応じて入手可能である。
【0048】
図5(d)は、図5(c)に示すものと同一測定点及び測定位置における同一項目について、実際にサンプル回路基板1を加熱したときの測定結果を示している。また、図5(e)は、図5(c)のシミュレーション結果とこの図5(d)の実測結果との差を示している。図5(e)の結果からも分かるように、シミュレーションと実測との間において最大の温度差は測定点3bにおける2.4℃(228.1℃−225.7℃)、最大の時間差は測定点3aにおける2.4秒(28.0秒−25.6秒)と僅かな差しか認められない。リフロー装置や測定装置自身のばらつきがあることも考慮すれば、この差は極めて僅少であって、本実施の形態にかかるシミュレーションの精度の高さを示している。
【0049】
なお、図5(c)、(d)中に丸印を付してある測定点3bのピーク(最高)温度が、必要到達温度(Treq)、すなわち半田を完全な液相とするに必要な温度(230℃)条件をクリアしておらず、したがって更なるリフロー温度の上昇、もしくは搬送速度の低減の検討が必要であることを示している。
【0050】
図6は、本実施の形態にかかる更に別のシミュレーションの実験結果2を示している。表示内容は図5と同様で、図6(a)はm値を求めるためのサンプル回路基板1の加熱条件を示している。1回目の被加熱物サンプルの加熱時には、このように予熱段階は予熱の上限温度(190℃)、リフロー段階では耐熱限界温度(240℃)と、それぞれの上限温度をオーバしない限界の加熱条件(被加熱物が加熱装置の加熱温度を越えることはないため)を使用し、その後の条件補正を高温側への一方向の補正とすることが、次の条件設定を容易とすることから好ましい。なお、このときの搬送装置の搬送速度vは0.8m/分であった。耐熱限界温度Tmax(240℃)ほかの要求条件は、先の実験結果1で示したa〜fと同じである。
【0051】
図6(b)は、シミュレーションの加熱条件を示しており、ここでは各加熱区域▲1▼〜▲7▼の加熱温度はサンプル回路基板加熱の条件と全く同様で、搬送速度vのみを倍増の1.6m/分としている。この搬送速度vの変化は、実際には算式7において搬送速度の代わりに時間tを変化させてシミュレーションが行われる。前記搬送速度の倍増により、加熱時間tは半分となる。
【0052】
図6(c)は、上述の条件下において算出されたシミュレーション結果であり、図6(d)は、同一条件により実際にサンプル回路基板1を加熱して得た検証結果、また、図6(e)はその両者間の差を示している。図6(e)から分かるように、シミュレーションと実際の測定値との差は最大温度差で4.1℃、最大時間差で4.6秒となっており、それなりにシミュレーションの有効性を示している。事実、この差は、熟練作業者が行う加熱条件変更後の予測と結果との誤差に比較して見れば、許容できる範囲内にある。
【0053】
但し、図6(e)に示す結果では、図5(e)に示す実験結果1のシミュレーション結果と検証結果の差よりも大きな差が出ていることが認められる。これは、この実験結果2で行った搬送速度vを倍増するような極端な条件変化を行う場合、特に加熱区域の境界を早く通過することによる熱干渉の影響によって大きな差が生じることが原因と考えられる。したがって、このように極端な搬送速度vの変化をシミュレーションする場合には、当該補正された搬送速度の条件の下で再度サンプル回路基板1を加熱してm値を求め直し、その求められた新たなm値を使用して再度シミュレーションを行う方がより望ましいことを示している。
【0054】
図7は、図5(c)、(d)に示す測定点3aにおいて、本実施の形態によって得られるm値を使用したシミュレーション結果に基く温度プロファイルと、これと同一の条件でサンプル回路基板1をリフロー装置10で実際に加熱して得られた結果の温度プロファイルとを対比している。縦軸が温度、横軸が時間(右から左)で、シミュレーションにおいては各加熱区域ごとに100箇所(計700箇所)の測定位置において得られたm値を使用して測定点の温度を算出し、これをプロットして温度プロファイルを作成している。図からも明らかなように、シミュレーション値と実測値とはほとんど一致しており、本実施の形態によるシミュレーションの精度の高さを見ることができる。また、計700箇所の温度シミュレーションを行うことで、ほぼ正確な温度プロファイルが求められることもわかる。
【0055】
次に、以上の構成にかかるシミュレーションを用いた熱解析方法につき、図8のフローチャートを参照して説明する。この熱解析方法は、当然のことながら例えばリフロー加熱などの生産プロセスにおいて、加熱装置の生産条件を設定する方法にも適用可能である。まず、m値測定段階において、ステップ#1でサンプル・加熱装置の条件を設定する。この中には、各加熱区域▲1▼〜▲7▼の加熱温度条件、加熱時間(搬送速度)、サンプル回路基板の温度測定点、及び各加熱区域における測定位置の設定が含まれる。次にステップ#2において、要求条件が入力される。ここでは、上述した各要求条件a〜fにあるT0、T1、T2、Tmax、Treq、ΔT、t0、t1、t2が含まれることが好ましいが、これ以外の要求条件とすることであってもよい。
【0056】
以上の条件設定に基き、ステップ#3でサンプル回路基板1を実際にリフロー装置10に搬入して加熱し、加熱による各測定点における表面温度Ts(初期温度Tint含む)を温度測定装置を用いて測定する。そして、ステップ#4で、前記加熱条件と前記測定結果とから各測定点及び各測定位置ごとの加熱特性値であるm値を算出する。m値を算出する際の演算方法は、これまで説明した内容と同じである。繰り返しとなるが、このm値を算出するために被加熱物の物性値の入力は不要である。また、得られたm値は加熱装置及び被加熱物の物理的特性をも含めた加熱特性値となる。
【0057】
次にシミュレーション段階に移行し、ステップ#5でシミュレーション条件を設定する。ここでは各加熱区域ごとの加熱温度、加熱時間(搬送速度)を任意に設定することができる。この他にも、後述するように加熱が対流式である場合には熱風の速度変化量を設定することも可能である。ステップ#6では、ステップ#4で算出されたm値を使用し、前記シミュレーション条件に基いてシミュレーションした結果に基いて温度プロファイルを作成する。図7に示すシミュレーションプロファイルでは1つの測定点のみの結果を示しているが、同様な温度プロファイルが各測定点全てについて求められる。この全てのプロファイルを基に、まずステップ#7で第1の加熱段階で要求条件をクリアしているかがチェックされる。第1の加熱段階はリフロー加熱の例では予熱段階に相当する。ここで、全ての測定点における温度が要求条件T0、t0(先の例で150〜190℃、60〜120秒)を満たしているかがチェックされる。
【0058】
全ての測定点でこの要求条件が満たされていない場合には、ステップ#5に戻って加熱温度の変更など再度のシミュレーション条件の設定を行う。上述のように、当初のシミュレーション条件において、第1の加熱段階の加熱条件を要求条件の上限(先の例では190℃)と同じ温度に設定しておれば、通常は被加熱物がこれ以上の温度になることは考えられず、したがってここで要求条件がクリア出来ないということは要求条件温度を下回っていることを意味する。したがって、第1の加熱段階の要求条件がクリアされていないときの再度のシミュレーション条件設定では加熱温度を上げるか、もしくは加熱時間を長くする(搬送速度を遅くする)補正を加える。一般に、予熱などを目的とする第1の加熱段階は、最終目的である第2の加熱段階に比べて要求条件がより緩やかである。
【0059】
次にステップ#8で、第2の加熱段階での要求条件がクリアされているかがチェックされる。リフロー加熱の例では、通常はこの第2の加熱段階であるリフロー段階の加熱が電子部品を高温破壊することなく確実に半田付けをするよう全加熱行程を通して最も厳格な温度管理が要求される。なお、図示の例では第1と第2の2つの加熱段階をステップ#6、#7にを示しているが、要求条件が別途定められた第3、第4以降の加熱段階があってもよい。また、要求条件が1つの加熱段階のみに設定されている場合には、ステップ#6又は#7のいずれかの加熱段階が省略されてもよい。
【0060】
ステップ#8におけるチェックの結果、設定された要求条件が満たされていない場合には、ステップ5に戻って再度シミュレーション条件の設定を行う。例えば、シミュレーションの結果が図5(c)に示すものとなれば、同図の丸印で囲った測定点3bの必要到達温度(Treq)が要求条件温度である230℃をクリアしていない。このような場合には要求条件をクリアさせるため、ステップ#5でリフロー段階における加熱区域の加熱温度を上げるか、もしくは加熱時間を長くする(搬送速度を遅くする)などの加熱条件の変更を行う。図1のグラフからも明らかなように、このリフロー段階では各種の要求条件が錯綜しており、適切なシミュレーション条件の設定には多くの要因を配慮する必要がある。
【0061】
従来技術においては、サンプル回路基板を実際に加熱し、測定した結果に基いて熟練作業者が次の加熱条件を設定し直し、再度サンプル加熱を行って測定することの繰り返しであった。しかしながら本実施の形態においては、一度算出されたm値を用いて机上でシミュレーションを行うことができる。このためある程度任意に設定した条件で繰り返し確認することであっても短時間でこれを行うことができる。1つの例として、従来技術により10回の加熱条件変更による加熱結果を実測により検証するには、上述した加熱装置が安定するまでの待ち時間などを含めて通常約5時間を要したのに対し、本実施の形態によるシミュレーションを用いればこれを1時間ほどで終えることができる。この適切な加熱条件を見出す操作をコンピュータで行えば更に効率的となることは明らかであるが、これに関しては後の実施の形態で説明する。
【0062】
ステップ#8でリフロー領域における要求条件が全てクリアされておれば、破線で示す矢印に従ってステップ#11でシミュレーション結果に基く加熱条件の設定が完了する。ステップ#9、#10では、ステップ#8で設定された条件に基き、実際にサンプル回路基板を加熱して要求条件がクリアされているかの検証を行うものとしている。このステップ#9、#10はオプションであり、シミュレーションの精度が高いものであることが立証されておればこれらを省略することもできる。ステップ#9、#10のサンプル回路基板を加熱した検証で万一要求条件が満たされていなかった場合には、ステップ#4に戻ってこのサンプル加熱の際の測定データを使用してm値を算出し直し、再度シミュレーションを行う。このような加熱条件を変更したシミュレーションの繰り返しにより、より精度の高い温度予測を得ることができる。
【0063】
図9は、シミュレーション結果をサンプル回路基板の加熱により検証し、その後、その検証時の測定結果に基いて再度m値を算出し直して再度シミュレーションを行ったときの実験結果3を示している。図9(a)は、最初にサンプル回路基板を加熱したときの各加熱区域ごとの加熱条件を示している。この加熱結果からそれぞれの測定点に対する各測定位置ごとのm値を算出する。この算出されたm値を基に、図9(b)に示す加熱条件に変更したときの温度プロファイルをシミュレーションした結果が図9(c)に示すものとなった。これに対し、図9(b)に示す条件と同一条件で再度サンプル回路基板を加熱して検証した結果は図9(d)に示すようになり、前記シミュレーションとの差異は図9(e)に示すものとなった。
【0064】
この両者間で最大温度差が3.4℃、最大時間差が3.3秒あり、良好ではありながら例えば図5(e)に示す結果に対して差が大きく出ていることがわかる。これは、加熱区域▲1▼、▲2▼、▲6▼、▲7▼での温度補正に加え、搬送装置の搬送速度をかなり上昇(0.8→1.35m/分)させたことが原因と考えられる。特に、図9(d)の丸印で示す測定点3aのt1(40秒以内の条件に対して41.4秒)と測定点3cのTmax(240℃以下の条件に対して240.1℃)とが、シミュレーション結果と異なって検証結果では要求条件をクリアできていない。
【0065】
そこで、図9(d)におけるサンプル回路基板の加熱測定時の結果から再度各測定点、測定位置ごとにm値を求め直し、求められた新たなm値を基に、図9(f)に示す新たなシミュレーション条件を設定してシミュレーションを行った結果を図9(g)に示す。先にクリアできなかったt1とTmaxとを共にクリアできるよう、加熱区域▲1▼〜▲5▼と▲7▼の加熱温度を下げ、これに対して加熱区域▲6▼の加熱温度を上げる対応をすることで図9(g)のシミュレーション結果では条件をクリアすることができている。
【0066】
図9(h)は、図9(f)に示す同一条件で再度サンプル回路基板を加熱して検証した結果であり、実際の加熱においても先のt1とTmaxを含む各要求条件を全てクリアできていることが確認された。さらに、図9(i)は、図9(g)のシミュレーション結果と図9(h)の検証結果との差を示したもので、ここでは最大温度差が1.0℃、最大時間差が1.0秒と、第1回のシミュレーションによる誤差に対して大幅に精度が向上していることがわかる。このように、シミュレーションを繰り返すことにより、設定し直す加熱条件が狙いの要求条件に順次接近するめため、シミュレーションの精度はその都度高まって行くことがわかる。
【0067】
サンプル回路基板の加熱やシミュレーションの結果、例えば測定点の1つにおいて被加熱物が耐熱限界温度(Tmax)240℃を越え、他の測定点の1つにおいて必要到達温度(Treq)230℃至らないような極端な状況(大きなばらつき)も有り得る。このような場合、例えば搬送装置の搬送速度v(もしくは加熱時間t)を変化させることにより救済可能なケースもあるが、既に設定条件が限界で新たな補正条件の設定が難しいこともあり得る。本願発明では、このような場合においても幾つかのシミュレーションを短時間で行い、その結果、所定の条件のクリアが見込めない場合には早期に条件設定不能の判断を行うことができる。従来技術における試行錯誤では、このような場合においても繰り返して条件の模索を行うこととなり、時間的なロスを発生させていた。
【0068】
なお、このように測定点における温度差のばらつき(ΔT)が広がる場合には、例えば加熱装置の壁際に熱風が届いていなかったり、局所的に熱風の吹き出しが弱くなっているなど加熱装置の物理的特性の変化、不具合が影響していることが考えられる。これに対し、特定の加熱装置を対象にしてm値の測定を継続的に行っていれば、そのm値の安定度に変化が現れた場合には設備上の不具合が発生していることを予測することができる。あるいは加熱装置が複数ある場合、同一の被加熱物サンプルを同一の加熱条件で加熱・測定し、その結果得られる各加熱装置のm値を対比して相互に比較することにより、加熱装置間の物理的特性の差異を明らかにすることができ、またこの比較に基いて特定の設備の不具合を見出すことも可能となる。このように本実施の形態に係るm値は、加熱装置の保守・管理に対しても利用することができる。
【0069】
さらに、複数の加熱装置間の物理的特性の差異がm値によって明らかになれば、例えば1つの加熱装置でm値を求めることにより、このm値に前記差異に基く補正を加えることで他の加熱装置で改めてm値を算出することなく当該他の加熱装置に関するシミュレーションが行えるなど、複数設備の共通管理に応用することもできる。
【0070】
以上、本実施の形態にかかる熱解析方法について説明してきたが、上述の熱解析方法は更に適用範囲を広げて利用することができる。その1例として、加熱区域における熱風の風速の変化によるシミュレーションが挙げられる。上述の実施の形態においては、熱風の風速は一定(例えば5m/秒)であるとしている。これに対し、同一温度の熱風を吹き付ける場合であってもその風速が変化した場合には対象物に対する熱伝達に影響があることが知られている。この熱風の風速と熱伝達の関係は、一般に実験によって求めることができ、場合によっては統計的データが入手可能である。
【0071】
1例として図10は、本願発明者らが実験によって得た加熱時の熱風の風速と加熱特性値であるm値との関係を示している。図の横軸が熱風の風速(m/秒)で、縦軸がm値を示している。実験結果から、縦軸m値をy、横軸風速をxとすると、この両者の関係は、
y=0.0006x2−0.0009x+0.0377 ・・・算式9
の近似式で表される。このような関係を予め入手しておくことにより、シミュレーション条件の設定時において熱風の風速を変化させても、これによるm値の変化を算式9によって補正し、その他は上述してきたものと全く同じ手順によって補正後のm値を使用してシミュレーションを実施することができる。
【0072】
また、本発明に係る加熱特性値(m値)のその他の適用の例として、上述の実施の形態では熱風を被加熱物に吹き付ける対流加熱を前提としているが、これを遠赤外線放射などを利用した輻射による加熱に対して適用することが挙げられる。算式3で示したように、Δt時間で加熱される被加熱物の温度変化量ΔTは一般に、
で表される。右辺の前半部分は対流による要素を示し、後半部分は輻射による要素を示している。対流による加熱をベースとした算式4では、輻射加熱による影響をほぼ無視できるとして右辺の輻射加熱要素の後半部分を省略している。これと同様に、輻射による加熱の場合には、右辺の対流加熱要素の前半部分を省略して
と表すことができる。この算式9を前記算式4に置き換えて輻射による加熱をベースとした場合の加熱特性値を求め、あとは先の実施の形態で説明した内容と同じ手順により、この加熱特性値をもとにして輻射加熱の場合における各種のシミュレーションを行うことが可能である。
【0073】
本発明に係る加熱特性値すなわちm値の更なる応用として、対象物を冷却する場合への適用がある。図1に示す加熱装置において、装置出口側に前述した冷却装置11を示している。被加熱物である回路基板などを長く高温に放置することを避ける必要がある場合、エアもしくは冷風を被加熱物に吹き付けて冷却を促進させることができる。この冷却装置においても、全く同様に吹き付けるエアもしくは冷風の温度、冷却時間を定め、被加熱物(被冷却物)の測定点における温度を測定してm値を求め、あとは同様にしてこのm値を使用して温度シミュレーションを行うことができる。
【0074】
これを更に発展させ、加熱を含まない純粋な冷却装置に対しても本実施の形態にかかる熱解析方法のm値(この場合には冷却特性値)を利用して熱解析を行うことができる。例えば、図1に示す温度プロファイルにおいて、加熱装置に搬入される被冷却物の当初温度Trの横軸を中心軸として軸対称に上下反転させた温度プロファイルを描く冷却工程に対してm値を適用することができる。すなわち、被冷却物サンプルを冷却装置で冷却し、そのときの冷却温度と冷却時間(もしくは搬送速度)、および被冷却物の温度測定結果に基いてm値を求め、このm値を用いて冷却温度プロファイルのシミュレーションを行うことができる。また、被冷却物の所定の温度プロファイルを得るための冷却条件の設定を行うことができる。
【0075】
但し、この冷却の場合には、これまでの説明の内、加熱を冷却、熱風を冷風、予熱を予冷、高温側を低温側に置き換えて解釈しなければならない。また、冷却の手段として熱風の代わりに冷風が、遠赤外線照射の代わりに冷媒パネルなどが使用され得る。以上より、本明細書において「加熱」という用語は、特記された場合を除き、通常の加熱のほかに「マイナス加熱」、すなわち冷却をも含む広い概念を意味するものと解釈することができる。
【0076】
なお、図1では加熱装置内で被加熱物を搬送装置で搬送する形式の加熱装置としているが、本実施の形態は、他の形式、例えば搬送装置を持たず、搬入された被加熱物を移動することなしに一定時間の加熱区分ごとに加熱装置の加熱温度を変化させることによって所定の温度プロファイルに沿った加熱を行う形式の加熱装置に対しても適用可能である。したがって、図1に示す加熱区域は必ずしも物理的に分離された異なる区域を意味せず、前記一定時間ごとの加熱区分もそれぞれ図示の加熱区域に相当するものと解釈しなければならない。
【0077】
次に、本発明にかかる第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、先の実施の形態で説明した熱解析をコンピュータで実施するためのプログラム、及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【0078】
このプログラム及び記憶媒体には、基本的に先の実施の形態で示した熱解析方法を実施させる手順が含まれる。すなわち、当該プログラムは、
一定の加熱条件(加熱温度、加熱時間)の下に被加熱物サンプルを加熱してその温度を測定し、その測定結果から算式8に示す加熱特性値であるm値を求める手順、もしくは同様にして求められたm値を獲得する手順と、
回路基板などの被加熱物及び加熱装置のシミュレーション用加熱条件を設定する手順と、
前記設定された各加熱条件と前記求められた各m値とから、回路基板の各測定点ごとの温度を算出して温度プロファイルをシミュレーションする手順と、
前記シミュレーション結果と前記要求条件とを比較して前記シミュレーション条件が要求条件をクリアできる加熱条件であるかを確認する手順と、
前記要求条件がクリアできない場合には、前記確認結果に基く次の適切な加熱条件を設定して再度シミュレーションを繰り返す手順と、
前記要求条件がクリアできた場合には、当該結果を加熱条件として確定する手順と、
オプションとして、前記シミュレーションの繰り返しが一定回数を越えた場合には、適切な加熱条件の設定は不能であることを出力する手順と、
をコンピュータが実施するよう構成されている。
【0079】
上述の手順は、先の実施の形態で説明したものと基本的に同様である。但し、このプログラム中には、適切なシミュレーション用加熱条件の選択と設定をコンピュータ自身が行うアルゴリズムを含めることができる。以下、そのアルゴリズムにつき詳述する。なお、以下の手順では、第1の加熱段階(以下、予熱段階とする。)、第2の加熱段階(以下、リフロー段階とする。)を含むリフロー加熱を例として説明しているが、これ以外の熱解析においても同様のアルゴリズムで適用することが可能である。
【0080】
また、参考として、この際の被加熱物の要求条件は、下記の第1の実施の形態で示した条件と同一であるものとし、以下、必要に応じて説明の中にカッコ内に参考表示する。
a.加熱保持温度及び同時間(T2、t2):220℃、20秒以上。
b.必要到達温度(Treq) :230℃
c.耐熱限界温度(Tmax) :240℃
d.耐熱上限温度及び同時間(T1、t1):200℃、40秒以下。
e.予熱温度及び同時間(T0、t0) :160℃〜190℃、60秒〜120秒。
なお、もう1つの条件であるf.目標温度ばらつき(ΔT)は、以下の説明においては便宜上要求条件から除いているが、必要に応じて追加することは可能である。
【0081】
図8に示すフローチャートのステップ#3において、サンプル回路基板を加熱してその温度測定結果からステップ#4でm値を算出の後、ステップ#5でシミュレーション用の加熱条件の設定を行い、以下シミュレーションを行うことによってこの加熱条件が被加熱物を加熱する際の要求条件をクリアしているかを確認するものとしている。このフローにおいて、コンピュータ自身がシミュレーション用の適切な加熱条件を見出すためのアルゴリズムを含むプログラムの手順を図11に示している。
【0082】
図11において、まずステップ#21で加熱特性値(m値)を獲得する。これは図8に示すステップ#1〜ステップ#4で得られるもので、複数の測定点と複数の測定位置に対して求められているものとする。次に、サンプル加熱時の測定結果又はシミュレーションによる算出結果から、ステップ#22で第1の加熱段階である予熱段階で最も高い測定温度となった測定点(図4に示す例に基いてこれを3cとする)を抽出する。これは、ステップ#23において予熱段階における加熱で温度条件の許容上限を超えてオーバシュートすることがないかをまず最も高い測定点3cで確認するものである(確認手順A)。ここでオーバシュートしておれば、予熱段階での加熱温度が前記予熱の許容上限温度(190℃)を越えていることを意味している。この場合には、ステップ#24において予め定められた基準で加熱温度を下げる加熱条件の補正を加え、ステップ#25で改めてシミュレーションを行い、再度ステップ#22へ戻ってこれまでの手順を繰り返す。
【0083】
予熱段階での加熱温度を下げる際の前記予め定められた基準の1つは、加熱温度を予熱段階の許容上限温度(190℃)まで引き下げることである。加熱温度をここまで下げておけば、各測定点がこれ以上の温度となることはありえないことによる。その他の基準としては、測定結果又は算出結果による温度と前記許容上限温度(190℃)との温度差を算出し、この温度差に一定の比率(1を含む)を乗じた温度分だけこれまでの加熱温度を引き下げることである。このような基準を予め定めておくことで、ステップ#24ではコンピュータ自身が加熱温度の補正を加えることができる。
【0084】
なお、図示していないが、ステップ#22で抽出された最も高い測定温度となった測定点が予熱段階における加熱で許容下限温度(160℃)まで達してない場合には、逆にステップ#24において予め定められた基準で加熱温度を上げる加熱条件の補正を加える必要があり、その後、ステップ#25で改めてシミュレーションを行い、再度ステップ#22へ戻ってこれまでの手順を繰り返す。一般に被加熱物の温度は加熱温度と同一、もしくはこれよりも低くなるため、許容下限温度以下の加熱温度条件を予め設定することは一般には考え難い。したがって、これは万一の救済手段である。加熱温度を上げる際の前記予め定められた基準は、上述した加熱温度を引き下げる場合の基準に準ずるものとすることができる。
【0085】
ステップ#23で測定点3cが予熱上限温度を越えていなければ、次にステップ#26で、予熱時間t0(60秒以上)に達しているが確認される(確認手順B)。これがクリアされていない場合には、加熱装置に搬入された被加熱物が早めに予熱温度(190℃)まで昇温できるよう、ステップ#27で予め定められた基準で加熱温度を上げる補正、もしくは予め定められた基準で加熱時間を長くする(搬送速度を遅くする)補正を行う。
【0086】
図12は、ステップ#27における加熱温度を上げるための予め定められた基準の1例を示している。図は被加熱物の温度プロファイルを示しており、縦軸は温度、横軸は時間(右から左)を示す。時間は加熱区域▲1▼〜▲7▼の経過で示している。加熱装置に温度Trで搬入された被加熱物は、加熱区域▲1▼から▲5▼の第1の加熱(予熱)段階で順次昇温され、図示の例では加熱区域▲3▼の途中で予熱温度T0(160〜190℃)に達し、その後時間tだけこの予熱温度で保持される。この保持時間tが要求条件t0(60秒)を満たしていない(t<t0)場合、前記の基準として、この予熱温度T0に到達した加熱区域(図示の例では▲3▼)よりも前の加熱区域(同、▲1▼、▲2▼)の加熱温度を例えば1℃上昇させる加熱条件の補正を行うものとする。この加熱温度の補正に基いて再度シミュレーションを行い、その結果にて未だ保持時間tがt0を満たしていない場合には、同様な操作で再度1℃上昇させ、これをt0がクリアできるまで繰り返す。なお、この上昇させる温度幅1℃は任意であり、これより大きくしても小さくしてもよい。
【0087】
ステップ#27における加熱時間を長くするための予め定められた基準の例としては、同じく図12において、要求時間t0に対する算出された時間tの比率(t/t0、<1)をこれまでの搬送速度に乗ずる、あるいは、この比率でこれまでの加熱時間を除するなどの基準とすることができる。加熱温度、加熱時間のどちらて加熱条件の補正を行うか、もしくはこの双方で補正を行うかは任意に選択することができる。
【0088】
なお、図11、12には示していないが、予熱温度の保持時間が逆に要求条件t0をオーバしている場合(>120秒)には、上述とは逆に、加熱温度T0(190℃)に達した加熱区域よりも前にある各加熱区域の加熱温度を予め定められた基準で下げる補正を加えること、もしくは予熱段階の加熱時間を予め定められた基準で長くする補正を加えることにより、同様に対応することができる。この際の加熱温度を下げる、もしくは加熱時間を長くするための予め定められた補正の基準は、上述した加熱温度を上げる、もしくは加熱時間を短くする際の基準に準じたものとすることができる。予熱段階の時間条件は緩やかであり、通常このような方向の補正を行う必要はなく、したがってこれは万一の場合の救済対策である。
【0089】
ステップ#26で、最高温度測定点3cが予熱段階の要求条件をクリアできれば、次にステップ#28でその他の測定点が要求条件である予熱温度及び同時間を全てクリアできているかが確認される(確認手順C)。最高温度測定点3cが同条件をクリアしているため、クリアできていない測定点があればそれは加熱不足であることを意味している。この場合にはステップ#29で予め定められた基準で加熱時間を長くする(搬送速度を遅くする)補正を加え、ステップ#25に戻って補正後の新たな条件によりこれまでの手順を繰り返す。ステップ#29における補正の際の予め定められた基準としては、例えば時間未達である測定点の要求時間t0(60秒)に対する算出された時間tの比率(t/t0、<1)の内、最も1に近い値をこれまでの搬送速度に乗ずる、あるいは、この最も1に近い値でこれまでの加熱時間を除するなどの基準を予め定めておく。
【0090】
第1の加熱段階である予熱段階の要求条件が満たされたことが確認された後、次に、より厳格な温度管理が要求される第2の加熱段階のリフロー工程に至る。ステップ#28までの予熱段階における加熱条件が定まり、その結果に基いて行ったリフロー段階におけるシミュレーション結果が、図5(c)に示すようになったと仮定する。簡略化のため、ここでは測定点は3a〜3cの3点のみとしている。次のステップ#30では、リフロー段階における測定結果又はシミュレーションの結果の中から、最低温度を示す測定点を抽出する。半田付けを目的とするリフロー工程では、半田が完全な液相となる必要到達温度(230℃)まで加熱することが必要であり、最低温度の測定点であってもこの要求条件をクリアすべきことから、この最低温度を示す測定点にまず注目するものである。図5(c)に示す例では測定点3b(ピーク(最高)温度:228.1℃)がこれに相当し(以下、これを「第1の基準測定点3b」という。)、ここではこの第1の基準測定点3bが要求条件の1つである必要到達温度Treq(230℃)を満たしていないことを示している。
【0091】
このように第1の基準測定点3bが必要到達温度条件をクリアしていない場合、温度を上昇させる方向の対応が必要となる。しかし、これに伴なって一番高い温度を示すプロファイル(図5(c)に示す例では測定点3c)の温度も上昇することを意味し、これが耐熱限界温度Tmax(240℃)を越えないようにもしておかなければならない。このため、温度上昇の補正に際して、リフロー段階におけるシミュレーション結果の一番高い温度にある測定点(以下、これを「第2の基準測定点3c」という。)を次に注目する。第1と第2の基準測定点以外の測定点(同図の例では、測定点3a)のプロファイルは、以降に述べる加熱温度条件の補正操作を行う際にも、この最高温度結果と最低温度結果とを示した両基準測定点3bと3cとの間に挟まれているものと想定しておく。
【0092】
図11のステップ#31において、まず最低温度となった第1の基準測定点3bが、第2の加熱段階であるリフロー段階の要求条件を満たすような加熱条件の少なくとも1つをシミュレーションにより検索する。その検索方法の1例として、要求条件の内、耐熱限界温度Tmax(240℃)と必要到達温度Treq(230℃)を使った以下のアルゴリズムを用いることができる。図13(a)はその概要を示しており、図の縦軸は温度、横軸は時間を表す。ここでは図1に示すようなリフロー段階で2つの加熱区域▲6▼、▲7▼を備えた加熱装置を用いる場合を示おり、時間の経緯と共に被加熱物はこの両加熱区域を図の右から左へ▲5▼、▲6▼、▲7▼の順に搬送される。
【0093】
図13(a)において、予熱段階の加熱区域▲1▼〜▲5▼で予熱温度T0まで加熱された第1の基準測定点3bが、先行するリフロー加熱区域▲6▼に入り、加熱区域▲6▼、▲7▼を通過する間に加熱される際の狙いの温度範囲を斜線の領域Xで示している。この領域Xは、温度T0で加熱区域▲6▼の開始点Hに搬入された測定点3bが、加熱区域▲6▼の終了までの間に耐熱限界温度Tmaxまで加熱される温度勾配線に沿って点Eに至り、その後加熱区域▲7▼で点Gに至るまでTmaxに維持される上限と、同じく予熱温度T0で加熱区域▲6▼の開始点Hに入った測定点3bが加熱区域▲7▼の終了までの間に必要到達温度Treqまで加熱される温度勾配線に沿って点Fに至る下限とに囲まれた領域となっている。
【0094】
温度プロファイルがこの領域X内に含まれていれば、第1の基準測定点3bは、少なくとも耐熱限界温度Tmaxを越えることはなく、かつ必要到達温度Treqまで加熱されており、この両要求条件をクリアしていることとなる。なお、図示の例では点Hと点E、及び点Hと点Fとを直線で結んだ温度勾配線としているが、この線はいずれも上に凸、もしくは下に凸となった曲線であっても、あるいはその他の曲線/直線の組み合せであっても、点E、点Fに至るまでの間にTmaxを越えることがないものであればよい。
【0095】
第1の基準測定点3bがこのような領域Xに収まるよう、m値を用いたシミュレーションにより加熱区域▲6▼、▲7▼の加熱条件を求める。具体的には、両加熱区域▲6▼、▲7▼では予熱温度(190℃)から設備許容温度(例えば、300℃)までの間で加熱温度を変動することが可能であり、この温度範囲において例えば2℃ステップごとに各加熱区域▲6▼、▲7▼の加熱温度を変動させたときのすべての組み合わせにおける測定点3bの温度プロファイルをm値を用いてシミュレーションを行う。そして、そのシミュレーション結果の中から領域Xに入る加熱条件の組み合せのみを検索することにより行われる。前記2℃のステップは任意であり、より細かく区分したステップとしても、より粗く区分したステップとしてもよい。
【0096】
なお、加熱装置によってはこの第2加熱段階では1つの加熱区域▲6▼のみであったり、3つ以上の加熱区域▲6▼、▲7▼、▲8▼、・・・を備えている場合もあり得る。図13(b)、(c)はこのような場合の領域Xの設定例を示している。加熱区域が1つの場合には、図13(b)に示す領域X内に入る加熱条件の検索を、当該加熱区域の加熱可能温度範囲で例えば2℃ステップでシミュレーションを行う。加熱区域が3つ(もしくは3つ以上)の場合には、例えば図13(c)に示すように先行する加熱区域▲6▼の終了点で耐熱限界温度Tmaxに達する上限と、最終加熱区域▲8▼の終了点で必要到達温度Treqに達する下限で囲まれる領域Xを設定しておき、各加熱区域の加熱可能温度範囲の全ての組み合せでシミュレーションを行う。但し、図13(a)〜(c)に示す領域Xの設定は1例を示したもので、勿論これ以外の領域設定も可能である。また、図の点Hと点E、点Hと点Fをそれぞれ結ぶ線が直線でなくてもよいことは上述と同様である。
【0097】
図14は、このようにして検索された加熱温度の組み合せに対する第1の基準測定点3bの各温度プロファイルのシミュレーション結果を示している。図ではリフロー段階の部分のみの温度プロファイルを表している。図において、第1の基準測定点3bに対する全ての加熱温度の組み合せの中から領域Xを満たしている6本の加熱条件が見出された場合を示している。各プロファイルは、いずれもその最高温度がTmax以下、Treq以上となる要求条件を既に満たしており、また、加熱区域▲6▼、▲7▼における加熱温度、加熱時間が各プロファイルごとに一義的に対応して決まっている。
【0098】
図11に戻って、次にステップ#32で、これらの見出された第1の基準測定点3bのプロファイルが、その他のリフロー段階の要求条件の1つである加熱保持温度及び同時間T2、t2(220℃、20秒以上)をクリアしているかがまず確認される(確認手順D)。この条件をクリアするものがなければ、それは加熱不足であることを意味し、その場合はステップ#33で予め定められた基準にしたがって加熱時間を長くする(搬送速度を遅くする)加熱条件の補正を加え、ステップ#25に戻ってこれまでの手順を繰り返す。
【0099】
ステップ#33における前記加熱時間を長くする補正を行う際の予め定められた基準の1例としては、加熱保持温度及び同時間の時間要件t2(20秒)に対するこれに対応した測定結果又は算出結果の時間の比率(t/t2、<1)をこれまでの搬送速度に乗ずる、もしくはこの比率でこれまでの加熱時間を除するなどの基準を予め定めておくことにより対応する。
【0100】
ステップ#32で第1の基準測定点3bのプロファイルが前記条件をクリアしているものがあれば、次にステップ#34で、リフロー段階の他の要求条件である耐熱上限温度及び同時間の時間条件t1(40秒以下)をクリアしているかが確認される(確認手順E)。この条件をクリアしているものがなければ、それは加熱オーバであることを意味しており、この場合にはステップ#35で予め定められた基準で加熱時間を短くする(搬送速度を早くする)加熱条件の補正を加え、ステップ#25に戻ってこれまでの手順を繰り返す。この場合の予め定められた基準としては、例えば前記耐熱上限温度及び同時間の時間要件t1に対するクリアしていない加熱条件におけるこれに対応した時間の比率(t/t1、>1)の内、最も1に近い値を元の搬送速度に乗ずること、あるいは前記最も1に近い値で元の加熱時間を除することなどを予め決めておく。
【0101】
ステップ#34で第1の基準測定点3bのプロファイルが前記条件をクリアしているものがあれば、そのクリアしたものの中から加熱保持温度及び同時間の時間条件t2(20秒以上)を最も短い時間でクリアした第1基準測定点3bのプロファイルA(図13参照)を抽出する。第1の基準測定点3bはサンプル加熱時に最低温度であり、しかもこの抽出されたプロファイルAに対応する加熱条件は基準測定点3bの全ての要求条件をクリアしているものである。これ以外の測定点3a、3cは、いずれも当該プロファイルAよりも高温側(上側、すなわち耐熱上限温度及び同時間が長くなる側)にあるものと想定されている。したがって、測定点3bに対しては最も低温側の(すなわち、最も短い時間でクリアする)プロファイルAを抽出して、ステップ#36でこのプロファイルAに対応する加熱区域▲6▼、▲7▼の加熱条件をリフロー加熱条件として仮設定する。
【0102】
次に、ステップ#37において、前記仮設定された加熱条件によってその他全ての測定点を加熱したときの温度プロファイルを前記各m値を利用してシミュレーションを行う。ステップ#38でこのシミュレーション結果に基き、これら他の測定点についてもリフロー段階の各要求条件をクリアしているかが確認される(確認手順F)。この場合において、上述したサンプル加熱で最高温度を示した第2の基準測定点3cが耐熱限界温度Tmaxほかの他の要求条件を全てクリアしているかの確認をまず行う。第2の基準測定点3cがこれをクリアしていなければ、他の測定点の確認を行うまでもなく当該温度条件は適用できないことが判断できるからである。
【0103】
前記第2の基準測定点3cが前記の条件を満たしていることがシミュレーションで確認されれば、その他の測定点は第1と第2の両基準測定点3b、3cの温度プロファイルの間に位置すると想定され、これらもリフロー段階の要求条件をクリアするものと想定され得る。但し、これらその他の測定点に関しても、必要に応じて同様にシミュレーションを行い、要求条件を満たしていることを確認しておくことが好ましい。
【0104】
このように、全ての測定点に関して全ての要求条件がクリアされているかがチェックされ、このクリアが確認できればステップ#39で加熱条件が確定される。逆に、ステップ#38で他の測定点に対するシミュレーションの結果、要求条件をクリア出来ない測定点が1つでも見つかった場合、再度加熱条件の補正が必要となる。この際、サンプル測定における最低温度の第1の基準測定点3bが要求条件をクリアしていることから、クリアできていない測定点は加熱オーバであることを意味している。したがってステップ#35で被加熱物の加熱時間を予め定められた基準で短くする(搬送速度を早くする)補正を加え、ステップ#25に戻って新たな条件設定により再度これまでの手順を繰り返す。
【0105】
ステップ#35における加熱時間を短くする補正を行う際には、加熱保持温度及び同時間t2(20秒)に対するクリアしなかった測定点のこれに対応したシミュレーション結果の時間の比率(t/t2、>1)、耐熱上限温度及び同時間t1(40秒)に対するクリアしなかった測定点のこれに対応したシミュレーション結果の時間との比率(t/t1、>1)のいずれか一方、もしくこの双方の比率の内の最も1に近い比率をこれまでの搬送速度に乗ずる、もしくはこの最も1に近い比率でこれまでの加熱時間を除するなどの基準を予め定めておくことにより対応する。
【0106】
以上の手順の結果、ステップ#38の要求条件のクリアが確認できれば、ステップ#39で最終的な加熱条件を確定することができる。この確定された加熱条件で被加熱物を加熱した場合、全ての測定点において第1および第2の両加熱段階の要求条件をクリアできることが、少なくともシミュレーションにおいて確認されたこととなる。図11のフローには記されていないが、この後に同一の加熱条件で実際に被加熱物サンプルを加熱して各測定点の測定し、前記の加熱条件が適切であることを検証するようにしてもよい。
【0107】
なお、図11の各確認手順にそれぞれ加えられているステップ#50では、要求条件に適合できずに加熱条件が補正されてシミュレーションが繰り返される場合、同一のループでのシミュレーションの繰り返し回数nをカウントする。このnが予め定められた回数を越えた場合にはステップ#51で加熱条件設定不能であることを出力する。これはオプションの手順であり、与えられた要求条件を満たす加熱条件が見出せないことを短時間に結論付けることを可能にしている。従来技術による被加熱物サンプルを加熱して検証する手順においてはこのような判断を短時間に出すのは困難であった。ステップ#51の出力の際には、要求温度に対してどの要求条件が満足されていないかを含めた演算結果を出力することがその後の対応策を分析する上で好ましい。
【0108】
但し、状況によっては加熱条件設定不能との結論を出さず、要求条件を満たさないまでも、近似する加熱条件をあくまでも見出したい場合があり得る。このような場合の対応策となるアルゴリズムを以下のように設定することができる。図15(a)〜(c)は、図11に示す手順に従ってシミュレーションを重ねる過程で得られた加熱保持温度(T2)及び時間における時間(t2)と、耐熱上限温度(T1)及び時間における時間(t1)とに対応する各測定点3a〜3bの算出結果を示している。図15(a)に示す段階では、丸印で示す第2の基準測定点3cがt1(40秒以下)の要求条件を満たしておらず、図11のステップ#38がクリアされていない。このため、ステップ#35に進んで加熱時間を短くする加熱条件補正の後、再度シミュレーションが繰り返される。
【0109】
図15(b)は、この再度のシミュレーションによって得られた同様内容の結果を示している。この結果を見ると、加熱時間が短く補正されたため先の第2の基準測定点3cはt1をクリア(40秒)したものの、今度は第1の基準測定点3bがt2(20秒以上)の条件を満たさなくなっている。図11のステップに従えば、これはステップ#32がクリアされないこととなり、今度はステップ#33に進んで加熱時間を長くする条件補正が加えられて、再度シミュレーションが繰り返されることとなる。しかしながらこの手順によれば、加熱時間が長くなることによって次に第2の基準測定点3cが再びt1の要求条件(40秒以下)をクリアできなくなることは明白であり、以下閉ループで同じ手順を繰り返すこととなる。
【0110】
このような場合の近似解の設定手順を図16に示す。図16は便宜的に図11の第2加熱(リフロー)段階のみを示しているが、図11と同様に第1加熱(予熱)段階を加えるものとしても良い。図16に示す手順では、図11の手順に対してステップ#52〜#54が追加されている。図16において、図15(b)の結果に至った場合、上述のようにステップ#32がクリアされないためにステップ#52に進み、第2の基準測定点3cが耐熱上限温度及び同時間の時間t1(40秒以内)の限界にあるかがチェックされる。ここでいう限界とは、t1の時間要件である40秒ギリギリであるか、あるいは既に40秒をオーバしていることをいう。第2の基準測定点3cが耐熱上限温度及び同時間の時間条件t1の限界にあれば、ステップ#33に進んで加熱時間を長くする補正をしたところで、第2の基準測定点3cがこのt1の条件をクリアできなくなることは明らかである。なお、ここで一旦ステップ#38に進んで第2の基準測定点3cが耐熱上限温度及び同時間の時間条件(t1)をクリアできず、ステップ#35で加熱時間を短くする補正を加えた後に再度ステップ#25以降を繰り返した際にこのステップ#34がクリアできなかった場合には、既に第2の基準測定点3cはステップ#52でいう限界にあるといえる。
【0111】
この場合にはステップ#53に進み、第1の基準測定点3b以外はその他の要求条件をクリアしているかがチェックされる。これは先の手順のステップ#38に相当する。但し、最も高い測定温度の第2の基準測定点3cが限界にあることから、その他の測定点はこの第1と第2の基準測定点3b、3cの間にあることが想定されており、したがって図の破線で示すように、このステップ#53はスキップすることとしてもよい。
【0112】
ステップ#53がクリアされておれば、第1の基準測定点3bがt2の条件をクリアできるようステップ#54に進んで加熱時間を予め定められた基準で長くする補正を加え、この補正後の加熱条件をもってステップ#39で加熱条件設定の最終解を確定するものとする。図15(c)は、この確定された加熱条件によるシミュレーション結果を示している。加熱時間を長くしたことによって第1の基準測定点3bはt2(20秒以上)をクリアしている。しかしながら、今度は第2の基準測定点3cがt1(40秒以内)をクリアしていない状態となる。特にリフロー加熱の場合においては、半田を確実に溶融させることが主目的であるため、全ての測定点がt2をクリアすることを最優先した結果である。目的が異なる場合には、例えばt1を優先させる他のアルゴリズムとすることができる。ステップ#54における加熱時間を長くする前記予め定められた補正の基準として、例えばt2の要求時間と測定点3bの算出時間の比率(t/t2、<1、図15(b)に示す例では、18/20)をこれまでの搬送速度に乗ずる、あるいはこの比率でこれまでの加熱時間を除するなどを予め定めておく。
【0113】
ステップ#53で他の測定点が要求条件をクリアしていない場合、ステップ#51で初めて加熱条件設定不能と判断する。但し、これは判断の問題であり、どんな形にせよ近似解が必要な場合には、先の破線で示すように、ステップ#53のチェック手順を加えることなく、ステップ#54、#39と進んで最終解を求めるようにしても良い。
【0114】
図11を参照したこれまでの説明では、加熱要求条件として第1の加熱段階と第2の加熱段階とにおける熱解析を含めたプログラムを対象しているが、これ以外の場合にも同プログラムの適用は可能である。例えば1つの加熱段階の要求条件のみが与えらる加熱においては、図11に示す第1の加熱段階、あるいは第2の加熱段階のいずれか一方を実施して加熱条件を確定してもよい。また、3つ以上の加熱段階に対して異なる要求条件がそれぞれ与えられる加熱においては、この第1、第2の各加熱段階のいずれか一方もしくは双方の各ステップを選択的に繰り返し実施し、加熱条件を確定してもよい。
【0115】
これまで述べた手順においては、加熱される被加熱物の要求条件、例えば耐熱限界温度Tmax、耐熱上限温度及び同時間T1、t1などを被加熱物である回路基板全体に対して1つのみ設定するものとしている。これは、複数の電子部品が温度管理の対象であるとき、その電子部品の内の熱的に最も厳しい要求条件を回路基板がクリアすべき最低条件としておけば、その他の電子部品に対しては問題を生ずることはないとの前提による。これに対し、各測定点ごとに個別の要求条件を別途入力しておき、これを補助の判断基準として利用することができる。加熱条件が熱的に非常に厳しいときには、回路基板に設定された耐熱限界温度(例えば、240℃)を測定点(すなわち、電子部品)の1つにおいてこれをオーバする(例えば245℃)事態となった場合であっても、当該電子部品がこれを上回る耐熱許容温度(例えば、250℃)を備えていれば、当該加熱条件は許容できるものと判断することもできる。特に要求条件を満たす加熱条件が見出せない場合において、このような救済ロジックを設定しておくことは加熱条件設定上、有利となる。
【0116】
なお、上述の説明ではリフロー加熱を例にしており、ここでは被加熱物が加熱装置の搬送装置で搬送されるため、加熱時間の長い・短いと搬送速度の早い・遅いとを互換的に表現している。例えばバッチ処理装置などの搬送装置を持たない加熱装置においては、搬送速度は関係なく、したがってこの場合には当該加熱装置内で所定温度で保持される間の加熱時間が加熱条件の対象となる。
【0117】
また、本実施の形態の冒頭に記載した記憶媒体は、これまで述べた手順を実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0118】
次に、本発明にかかる第3の実施の形態につき説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態で述べた熱解析方法を実施する熱解析装置、及び第2の実施の形態で述べたプログラムもしくは記録媒体を利用して加熱装置の温度制御を行う加熱制御装置、及び当該加熱制御装置を使用した加熱装置に関する。図1は、本実施の形態に係る加熱装置の1例でもある。図において、加熱装置10は複数の過熱区域▲1▼〜▲7▼を含んでおり、各加熱区域には個別に加熱温度が制御可能な加熱源7が含まれている。被加熱物1は搬送装置8によって加熱装置10に搬入され、前記各加熱区域▲1▼〜▲7▼を通過する間に、所定の要求条件に適合する温度プロファイルに沿って加熱される。
【0119】
加熱装置10には、加熱制御装置20が接続され、もしくは一体に形成され、この加熱制御装置20は各加熱区域▲1▼〜▲7▼ごとの加熱温度、及び被加熱物の搬送速度の制御が可能である。加熱制御装置20は、被加熱物サンプル1の加熱よって得られた測定温度を基に、先の実施の形態で説明した加熱特性値であるm値の算出が可能である。また、この算出されたm値を基に、入力された要求条件に適合した加熱条件を算出し、その算出結果に応じて加熱装置10の加熱条件を制御することができる。この際、加熱制御装置20は、第2の実施の形態で例示したプログラムを記録した記録媒体30を利用することができる。
【0120】
図17は、このような構成にかかる加熱制御装置20の概略ブロック図を示している。加熱制御装置20は入力手段28を含み、この入力手段には加熱温度21、加熱時間22を含む加熱条件、更には被加熱物の要求条件27が入力され得る。これとは別に、加熱特性値(m値)を算出する際には被加熱物サンプル1を加熱装置10で加熱した際の測定温度結果23が入力される。加熱制御装置20はメモリ手段24を含み、このメモリ手段24には被加熱物の温度を算出する加熱基本式(算式7)、加熱特性値であるm値の算出式(算式8)などを予め記憶することができる。さらに演算手段25は、これらの情報を基にしてm値を算出することができ、更に補正された加熱条件に対応する温度を、この算出されたm値を利用してシミュレーションすることができる。また、加熱制御装置20は記録媒体読み取り手段29を設け、記録媒体30に記録されたプログラムのアルゴリズムを利用して、前記シミュレーション結果に基いて要求条件に適合した加熱条件を見出し、これを出力手段26から出力することによって加熱装置10を制御することができる。この場合の記録媒体30は、第2の実施の形態で述べたものを利用することができる。
【0121】
図17は、上述のように出力手段26によって加熱制御装置10を制御する機能を備えたものであるが、このような制御目的の出力手段26を備えず、入力手段28からの入力と、メモリ手段24に記録された情報とに基いて加熱特性値を算出し、また、この算出された加熱特性値を利用して入力された加熱条件に対応する被加熱物の温度をシミュレーションする熱解析装置として利用することもできる。さらには、必要に応じて記録媒体読み取り手段29を備え、第2の実施の形態で述べた記録媒体を読み取ることによって予め定められたアルゴリズムに応じた温度シミュレーションをも行う熱解析装置とすることができる。
【0122】
なお、上述したように、図1に示すリフロー加熱装置は本実施の形態の1例を示すものであって、搬送装置を持たない加熱装置であっても、本発明の適用は可能である。具体的には、鋼材などの熱処理に用いられる熱処理装置、焼結合金の加熱などに用いられる焼結装置、セラミック材などの焼成に用いられる焼成装置、各種材料の溶解に用いられる溶解装置、あるいは廃材の焼却に用いられる焼却装置など、凡そ温度制御、管理が必要とされる各種加熱装置に対して被加熱物を所定の温度プロファイルに沿って加熱する際に広く適用することが可能である。
【0123】
さらに、上述したように、加熱を広義に解釈し、本発明にかかる加熱装置には、冷蔵装置、冷凍装置、保冷装置などの冷却(マイナス加熱)装置を含むことができ、また、本発明にかかるm値を利用してシミュレーションを行う加熱方法は冷却方法として、上述の冷却装置へ全く同様に適用することができる。
【0124】
【発明の効果】
本発明にかかる熱解析方法によれば、被加熱物の温度管理が必要な加熱装置の加熱条件を、長時間を要する試行錯誤を繰り返すことによって見出す必要はなく、短時間でのシミュレーションを実施して容易に見出すことができ、熱解析に要する工数の低減と生産時においては設備の稼働率の向上、生産品質の向上を図ることができる。
【0125】
また、従来提案されているシミュレーション手法と比較した場合、被加熱物の物性値をその都度入力する手間が省略され、より効率的な加熱条件の設定、もしくは熱解析が可能となる。特に、被加熱物の物性値が何らかの理由で得られない場合においても熱解析が可能となることから有利である。本発明にかかる加熱装置、被加熱物の各物理的特性を踏まえた加熱特性値(m値)を使用することから、加熱装置の各測定位置及び被加熱物の各測定点に特有な加熱特性を反映させた精度の高いシミュレーションの実施が可能となる。
【0126】
さらに、本発明にかかるプログラム、もしくはコンピュータ読み取り可能なプログラムを記録した記録媒体によれば、シミュレーションの結果に基く加熱条件の補正に際し、要求条件をクリアする蓋然性の高い加熱条件の補正をコンピュータ自身で設定することができ、熟練作業者の感と経験に頼ることなく、短時間で適切な加熱補正条件を見出すことができる。
【0127】
また、前記記録媒体を備えた加熱制御装置、又は当該加熱制御装置を備えた本発明に係る加熱装置によれば、被加熱物を所定の要求温度で加熱すべき加熱条件を短時間で容易に見出すことができ、設備の稼働率を高め、製品の歩留まり率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかる熱解析方法の適用が可能なリフロー装置と、当該リフロー装置で加熱される典型的な温度プロファイルを示す説明図である。
【図2】 加熱装置と被加熱物との間の熱伝達の関係を示す説明図である。
【図3】 被加熱物サンプルと、各測定点における温度測定の状況を示す斜視図である。
【図4】 加熱装置の1加熱区域における加熱特性値(m値)の測定位置を示す説明図である。
【図5】 本発明の実施の形態にかかかる熱解析方法によるシミュレーションの実験結果1を示す表である。
【図6】 本発明の実施の形態にかかかる熱解析方法によるシミュレーションの他の実験結果2を示す表である。
【図7】 本発明の実施の形態にかかかる熱解析方法によるシミュレーションの結果求められる温度プロファイルを示すグラフである。
【図8】 本発明の実施の形態にかかる熱解析方法の手順を示すフローチャートである。
【図9】 本発明の実施の形態にかかかる熱解析方法によるシミュレーションの更に他の実験結果3を示す表である。
【図10】 対流加熱における熱風速度と加熱特性値との関係を求めた実験結果である。
【図11】 本発明の他の実施の形態に係るプログラムの実施手順を示すフローチャートである。
【図12】 図11に示すプログラムの第1の加熱段階における加熱条件補正の基準例を示す説明図である。
【図13】 図11に示すプログラムの第2の加熱段階における加熱条件を見出すアルゴリズムを示す説明図である。
【図14】 図11に示すプログラムの第2の加熱段階における加熱条件を見出すアルゴリズムを示す他の説明図である。
【図15】 本発明に係る熱解析によって得られる算出結果の例を示す表である。
【図16】 図11に示すプログラムの第2の加熱段階の代替手順を示すフローチャートである。
【図17】 本発明の更に他の実施の形態に係る加熱制御装置、熱解析装置の概略ブロック図である。
【符号の説明】
1.被加熱物(回路基板)、 3.電子部品(測定点)、 4.温度測定装置(熱電対)、 6.記録装置、 7.加熱源、 8.搬送装置、 10.加熱装置(リフロー装置)、 11.冷却装置、 20.加熱制御装置、 30.記録媒体。
Claims (8)
- 加熱装置へ搬入される被加熱物を予め定められた要求条件に適合する温度プロファイルに沿って加熱するための加熱条件を見出す熱解析方法において、
前記被加熱物が前記加熱装置へ搬入されてから昇温する段階における各加熱時間毎に、前記被加熱物の少なくとも1つの測定点における温度を測定し、
前記加熱装置内の基板搬送方向において、各加熱時間毎に前記被加熱物が通過する位置である測定位置における加熱温度と前記被加熱物の測定温度とに基づき、各測定位置毎の加熱特性値を算出し、
前記各測定位置毎の加熱特性値を用いて、加熱条件を変更した場合における被加熱物の温度プロファイルをシミュレーションすること、
を特徴とする熱解析方法。 - 加熱条件を変更した場合における被加熱物の温度プロファイルのシミュレーション結果で、要求条件を満足するか否かを判断し、要求条件を満足する加熱条件に決定することを特徴とする、請求項1に記載の熱解析方法。
- 前記各測定位置毎の加熱特性値の算出において、
前記加熱装置の各測定位置における加熱温度、および前記被加熱物の各測定点における測定温度、加熱時間を入力して加熱特性値を求める算出式を用いて、前記加熱特性値を算出すること、を特徴とする請求項1に記載の熱解析方法。 - 加熱条件を変更した場合における被加熱物の温度プロファイルのシミュレーションを行う際に、
前記各測定位置毎の加熱特性値、および変更後の加熱条件における前記各測定位置毎の加熱温度に基づき前記被加熱物の温度を求める算出式を用いて、前記被加熱物の温度を算出することにより、被加熱物の温度プロファイルを作成することを特徴とする、請求項1に記載の熱解析方法。 - 前記被加熱物の温度を求める算出式は、
前記加熱時間t経過した際の前記加熱装置における加熱温度をTa、前記加熱時間経過した際の前記被加熱物の測定温度をTs、前記被加熱物の初期温度をTint、前記加熱特性値をmとしたとき、
Ts=Ta−(Ta−Tint)e−mt
とすることを特徴とする、請求項5に記載の熱解析方法。 - 加熱装置へ搬入される被加熱物を予め定められた要求条件に適合する温度プロファイルに沿って加熱するための加熱条件を見出す熱解析装置において、
前記被加熱物が前記加熱装置へ搬入されてから昇温する段階における各加熱時間毎に、前記被加熱物の少なくとも1つの測定点における温度を測定し、
前記加熱装置内の基板搬送方向において、各加熱時間毎に前記被加熱物が通過する位置である測定位置における加熱温度と前記被加熱物の測定温度とに基づき、各測定位置毎の加熱特性値を算出し、
前記各測定位置毎の加熱特性値を用いて、加熱条件を変更した場合における被加熱物の温度プロファイルをシミュレーションすることを特徴とする熱解析装置。 - 加熱装置へ搬入される被加熱物を予め定められた要求条件に適合する温度プロファイルに沿って加熱するための加熱条件を見出す処理をコンピュータに実行さ せるためのプログラムであって、
前記被加熱物が前記加熱装置へ搬入されてから昇温する段階における各加熱時間毎に、前記被加熱物の少なくとも1つの測定点における温度を測定する手順と、
前記加熱装置内の基板搬送方向において、各加熱時間毎に前記被加熱物が通過する位置である測定位置における加熱温度と前記被加熱物の測定点における測定温度とに基づき、各測定位置毎の加熱特性値を算出する手順と、
前記各測定位置毎の加熱特性値を用いて、加熱条件を変更した場合における被加熱物の温度プロファイルをシミュレーションする手順と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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