JP6930507B2 - 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置 - Google Patents

溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6930507B2
JP6930507B2 JP2018156306A JP2018156306A JP6930507B2 JP 6930507 B2 JP6930507 B2 JP 6930507B2 JP 2018156306 A JP2018156306 A JP 2018156306A JP 2018156306 A JP2018156306 A JP 2018156306A JP 6930507 B2 JP6930507 B2 JP 6930507B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot metal
metal temperature
predicted value
blast furnace
prediction error
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018156306A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020029596A (ja
Inventor
佳也 橋本
佳也 橋本
悠揮 岡本
悠揮 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2018156306A priority Critical patent/JP6930507B2/ja
Publication of JP2020029596A publication Critical patent/JP2020029596A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6930507B2 publication Critical patent/JP6930507B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Waste-Gas Treatment And Other Accessory Devices For Furnaces (AREA)
  • Manufacture Of Iron (AREA)

Description

本発明は、溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置に関する。
製鉄業における高炉プロセスにおいて溶銑温度は重要な管理指標である。特に近年の高炉プロセスは、原燃料コストの合理化を追及すべく低コークス比及び高微粉炭比の条件下で行われているために、炉況が不安定化しやすく、炉熱ばらつき低減のニーズが大きい。また、高炉プロセスは、固体が充填された状態で操業を行うために、プロセス全体の熱容量が大きく、アクションに対する応答の時定数が長いという特徴を有している。さらに、炉上部から装入された原料が炉下部に降下するまでには数時間オーダーの無駄時間が存在する。このため、炉熱制御のためには将来の炉熱予測に基づいたアクションの適正化が必須である。
特開平11−335710号公報
羽田野道春ら:"高炉非定常モデルによる火入れ操業の検討",鉄と鋼,68巻(1982)15号,p.2369-2376 冨岡亮太著:"スパース性に基づく機械学習",講談社,2015,p.1-30
従来の炉熱予測方法としては、特許文献1に記載されている高炉数学モデル(物理モデル)を用いた溶銑温度予測方法が知られている。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ヤードコークス(ヤードから供給されるコークス量)の変化、コークス水分(コークス炉から直送されるコークス及びヤードから供給されるコークスの水分量)の変化、ヤード焼結(ヤードから供給される焼結体量)の変化等の原料外乱や原料降下速度(荷下り速度)の変動による溶銑温度ノイズの影響によって溶銑温度の予測精度が低下する。特に原料外乱は実質的にコークス比の誤差に繋がるために、溶銑温度の予測誤差への影響が大きい。その上、これらの影響度は確率的であるために、その影響度を一律に物理モデルに反映させることによって溶銑温度の予測誤差を補正することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、原料外乱の影響を考慮して溶銑温度を精度よく予測可能な溶銑温度予測方法及び溶銑温度予測装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、原料外乱の影響を考慮して溶銑温度を精度よく制御可能な高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置を提供することにある。
本発明に係る溶銑温度予測方法は、非定常状態における高炉内の状態を計算可能な物理モデルを用いて、高炉の操作変数の現在の操作量を保持した場合の高炉における将来の溶銑温度の予測値を算出する第1ステップと、過去の操業データを用いて、過去の所定期間における炉熱指標の時系列パターンと溶銑温度の予測誤差の時系列パターンとを含む補正パターンを複数生成する第2ステップと、スパースモデリングの手法に基づいて、前記複数の補正パターンを用いて前記溶銑温度の予測誤差の予測値を算出する第3ステップと、前記第1ステップにおいて算出された溶銑温度の予測値に前記第3ステップにおいて算出された溶銑温度の予測誤差の予測値を加算することによって溶銑温度の予測値を補正する第4ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る溶銑温度予測方法は、上記発明において、前記第2ステップは、過去の操業データの中から原料銘柄が変更された後に溶銑温度の予測誤差が閾値以上になった操業データにおける炉熱指標及び溶銑温度の予測誤差の時系列パターンを抽出し、抽出された炉熱指標及び溶銑温度の予測誤差の時系列パターンを用いて過去の所定期間内における複数の異なる時点を起点とした炉熱指標及び溶銑温度の予測誤差の時系列パターン生成するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る溶銑温度予測装置は、非定常状態における高炉内の状態を計算可能な物理モデルを用いて、高炉の操作変数の現在の操作量を保持した場合の高炉における将来の溶銑温度の予測値を算出する手段と、過去の操業データを用いて、過去の所定期間における炉熱指標の時系列パターンと溶銑温度の予測誤差の時系列パターンとを含む補正パターンを複数生成する手段と、スパースモデリングの手法に基づいて、前記複数の補正パターンを用いて前記溶銑温度の予測誤差の予測値を算出する手段と、溶銑温度の予測値に溶銑温度の予測誤差の予測値を加算することによって溶銑温度の予測値を補正する手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る高炉の操業方法は、本発明に係る溶銑温度予測方法を用いて補正された溶銑温度に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る操業ガイダンス装置は、本発明に係る溶銑温度予測装置によって補正された将来における溶銑温度の予測値の推移及び適正操作を実行した場合における将来における溶銑温度の予測値の推移を提示することにより、高炉の操業を支援する手段を備えることを特徴とする。
本発明に係る溶銑温度制御方法は、本発明に係る溶銑温度予測方法によって補正された溶銑温度の予測値に基づいて溶銑温度を制御する溶銑温度制御方法であって、補正された溶銑温度の予測値と目標溶銑温度との差を最小にするように送風湿分、微粉炭吹込み量、コークス比、及び送風温度のうちの少なくとも1つを含む高炉の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る溶銑温度制御装置は、本発明に係る溶銑温度予測装置によって補正された溶銑温度の予測値に基づいて溶銑温度を制御する溶銑温度制御装置であって、補正された溶銑温度の予測値と目標溶銑温度との差を最小にするように送風湿分、微粉炭吹込み量、コークス比、及び送風温度のうちの少なくとも1つを含む高炉の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉の操作変数を制御する手段を備えることを特徴とする。
本発明に係る溶銑温度予測方法及び溶銑温度予測装置によれば、原料外乱の影響を考慮して溶銑温度を精度よく予測することができる。また、本発明に係る高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置によれば、原料外乱の影響を考慮して溶銑温度を精度よく制御することができる。
図1は、本発明において用いる物理モデルの入力変数及び出力変数を示す図である。 図2は、ヤードコークス割合の変化に対する羽口埋込温度及び溶銑温度の実測値の変化の一例を示す図である。 図3は、ヤードコークス割合の変化に対する羽口埋込温度及び溶銑温度の実測値の変化の他の例を示す図である。 図4は、通常の重回帰問題とスパースモデリングとの違いを説明するための図である。 図5は、溶銑温度予測方法へのスパースモデリングの適用方法を説明するための図である。 図6は、ヤードコークス割合の変化に対するRAR誤差、羽口埋込温度、及び溶銑温度誤差の変化の一例を示す図である。 図7は、高炉操業上のある時間断面での溶銑温度の予測結果の一例を示す図である。 図8は、本発明の適用前後での8時間先の溶銑温度の予測値と実績値の散布図である。 図9は、本発明により求めた送風湿分操作量及び送風湿分操作時の溶銑温度の予測推移の一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置について説明する。
〔物理モデルの構成〕
まず、本発明において、溶銑温度の予測に用いる物理モデルについて説明する。本発明において、溶銑温度の予測に用いる物理モデルは、非特許文献1に記載された物理モデルと同様、鉄鉱石の還元、鉄鉱石とコークスとの間の熱交換、及び鉄鉱石の融解等の複数の物理現象を考慮した偏微分方程式群から構成された、非定常状態における高炉内の状態を示す変数(出力変数)を計算可能な物理モデルである。
図1は、本発明において用いる物理モデルの入力変数及び出力変数を示す図である。図1に示すように、この物理モデルに対して与える境界条件の中で時間変化する主なもの(入力変数,高炉の操作変数(操業因子ともいう))は、炉頂におけるコークス比(炉頂から投入されるコークス量に対する鉄鉱石量の比)、送風流量(高炉に送風される空気の流量)、富化酸素流量(高炉に吹き込まれる富化酸素の流量)、送風温度(高炉に送風される空気の温度)、微粉炭吹込み量(溶銑生成量1トンに対して使用される微粉炭の重量,PCI)、及び送風湿分(高炉に送風される空気の湿度)である。
また、物理モデルによって計算される主な出力変数は、炉内におけるガス利用率(CO/(CO+CO),ηCO)、原料及びガス温度、鉱石還元率、ソルーションロスカーボン量(ソルロスカーボン量)、酸素原単位、造銑速度(溶銑生成速度)、溶銑温度、炉体ヒートロス量(冷却水により炉体を冷却した際に冷却水が奪う熱量)、及び還元材比(溶銑1トンあたりの微粉炭吹込み量とコークス比との和,RAR)である。
本発明では、出力変数を計算する際のタイムステップ(時間間隔)は30分とした。但し、タイムステップは目的に応じて可変であり、上記値に限定されることはない。本発明では、この物理モデルを用いて時々刻々変化する溶銑温度を含む出力変数を計算する。なお、溶銑温度の計算値と実測値との間には数時間程度のタイムラグが存在し、計算値が実測値よりも先行して変化する。
ここで、計算値としては炉内で滴下している溶銑温度を計算している一方、実測値としては炉底部の湯溜まりを経由して出銑した後の溶銑温度を測定している。このため、湯溜まりにおける溶銑の滞留時間分を先読みした溶銑温度の計算が可能となっている。
〔溶銑温度予測方法〕
ところで、高炉では、ヤードコークスの変化、コークス水分の変化、ヤード焼結の変化等の様々な原料外乱が生じている。いずれの原料外乱もコークス比の変動に繋がるため、原料外乱によって溶銑温度のばらつきが生じる。その上、これらの影響度は確率的であるため、その影響度を一律に物理モデルに反映させることはできない。例えば多量に水分を含む恐れのあるヤードコークス割合が減少した場合、図2(c)に示すように溶銑温度が計算値通りに変化する場合もあれば、図3(c)に示すように溶銑温度が計算値よりも極端に上昇する場合もあり、原料外乱の影響は確率的である。なお、図2(c),図3(c)において、実線L1は溶銑温度の計算値を示す。また、○のプロットは東側の出銑口で測定された溶銑温度の実績値を示し、△のプロットは西側の出銑口で測定された溶銑温度の実績値を示し、破線L2はこれら実績値の平均値を示す。
一方、熟練オペレータは溶銑温度に対する原料外乱の影響が現れる前に、羽口埋込温度やソルーションロスカーボン量等の炉熱指標に基づいて原料外乱の影響を推定し、原料外乱の影響が大きいと判断される場合にアクションを講じる操業を行っている。例えば図3(a),(b)に示すようにヤードコークス割合が低下した5,6時間後に羽口埋込温度が上昇した場合(時間0[hr]付近)、熟練オペレータは、溶銑温度に変化が現れる前から炉熱過剰を予測し、先手アクションを取る。
そこで、本発明では、このような考え方を高炉の操業ガイダンスに反映させるためにスパースモデリングの手法を適用する。ここで、スパースモデリングとは、統計的回帰手法の一種である(非特許文献2参照)。詳しくは、図4(a)に示すように、通常の重回帰問題では、データ数が未知変数の数よりも十分に多いという前提条件の下で、最小二乗法等で回帰係数を求めるのが一般的である。これに対して、図4(b)に示すように、スパースモデリングでは、データ数が未知変数の数よりも少ない条件下であっても、未知変数の大多数はゼロであるという前提条件の下、非ゼロの変数及び変数の値を決定する。つまり、スパースモデリングは、変数選択と変数の値との2つを同時に決定できる手法である。なお、通常の重回帰問題及びスパースモデリングも目的変数y=データ行列A×変数xに近づくように変数xを求める点では共通している。
以下、溶銑温度予測方法へのスパースモデリングの適用方法について説明する。高炉では、種々の原料外乱が重畳しており、それらの原料外乱が過去何時間前のものなのかによって様々な原料外乱に起因した誤差の時系列パターンが考えられる。スパースモデリングによれば、それら時系列パターンの中から最もらしい時系列パターンを選択し、且つ、その影響度を決定できる。詳しくは、図5に示すように、過去x時間(x=5〜16時間の間で複数候補を生成)前に外乱が発生した場合の炉熱指標(羽口埋込温度やガス組成等)の時系列パターンを予め用意しておき、実際の炉熱指標の時系列変化(実データ)に最も合致する時系列パターン及びその影響度をスパースモデリングにより決定するという考え方である。
まず、原料外乱により生じたと考えられる出力変数の予測誤差の典型的な時系列パターンを抽出した。詳しくは、過去の操業データの中から原料銘柄が変更された(原料割合が所定値以上変化した)後に溶銑温度の予測誤差が閾値以上になった時間断面(図6(a)〜(d)参照)を抽出し、各出力変数の誤差の平均値を算出することにより各出力変数の誤差に対する原料外乱の影響度(物理モデル計算値からの解離度)を定量化した。図6(a)〜(d)に示す例では、原料銘柄が変更されてから12時間後に羽口埋込温度が上昇すると共にRAR(炉頂ガス組成情報からCバランスにより求められる)に計算値と実績値との解離(実績値>計算値)が生じ、その後溶銑温度が低めに外れる(実績値が計算値よりも上昇する)傾向が抽出できた。
このようにして抽出したRARの誤差ΔRARpat、羽口埋込温度Ttuy pat、及び溶銑温度の予測誤差(計算値−実測値)ΔHMTpatの時系列パターンを本実施例では以下の数式(1)〜(3)のように表す。なお、数式(1)〜(3)において、Lは時系列パターンの過去区間における時間長、Lは時系列パターンの将来区間における時間長である。また、本例では、1タイムステップを30分として、L=40タイムステップ、L=20タイムステップとした。
Figure 0006930507
Figure 0006930507
Figure 0006930507
次に、溶銑温度の予測値の補正量を決定するステップについて述べる。まず、スパースモデリングの考え方に基づき、実際の炉熱指標の推移をよく説明する時系列パターンを抽出し、且つ、その影響度を決定する。この問題は、係数wの要素がほぼ全てゼロであるとの仮定の下、以下の数式(4)に示す回帰問題を解くことに帰着させることができる。
Figure 0006930507
ここで、数式(4)において、Xは、以下の数式(5)に示すように、先に述べた時系列パターンにおけるRARの誤差ΔRARpat及び羽口埋込温度Ttuy patの時系列データを過去の所定区間内における時点から所定時間ずつずらした時系列パターンを列方向に並べた行列を示す。また、数式(5)の()内はタイムステップを示す。なお、ΔRARpat及び羽口埋込温度Ttuy pat以外の炉熱指標を用いることも可能である。また、ここでは1タイムステップずつずらした5つの時系列パターンを列挙したが、他の時系列パターンも任意に加えることが可能である。
Figure 0006930507
また、数式(4)において、yは、以下の数式(6)に示す通り、直近のRARの予測誤差(計算値−実測値)δRAR及び羽口埋込温度Ttuyを示す。ここで、数式(6)中の()内はタイムステップであり、現時刻を0とする。
Figure 0006930507
これにより、溶銑温度の予測誤差の予測値ypreは、スパースモデリングによって求められる係数wを用いることにより以下に示す数式(7)〜(9)により求めることができる。すなわち、スパースモデリングによって求められる係数wの要素はほとんどがゼロであるため、非ゼロの要素に対応する誤差パターンが自動的に選択され、且つ、その影響度が係数wの値に現れる。
Figure 0006930507
Figure 0006930507
Figure 0006930507
このようにして求まった溶銑温度の予測誤差の予測値に基づき、以下に示す数式(10)を用いて溶銑温度の予測値を補正する。なお、数式(10)において、HMT(予測:補正後)は補正された溶銑温度の予測値、HMT(予測:モデル単体)は物理モデルによって求められた溶銑温度の予測値、ΔHMT(予測)は溶銑温度の予測誤差の予測値を示す。これにより、原料外乱の影響を考慮して溶銑温度を精度よく予測できる。
Figure 0006930507
図7(a)〜(e)は、高炉操業上のある時間断面での溶銑温度の予測結果の一例を示す図である。図7(a)の○で示したポイントがヤードコークス割合の変化が生じた可能性のある時点である。本例では変化点が明確であり、複数の時系列パターンの候補は不要のように思える。しかしながら、ヤードコークス割合は小刻みな変動が多く、且つ、炉内降下時間のタイムラグが前後する可能性があるため、時系列パターンの候補に幅を持たせる必要がある。本例では、13時間程度前を変化点としたパターンが選択され、図7(e)に示すように、溶銑温度の予測線はモデル単体の予測線L1から実線L3のように補正されている。実線L3は、溶銑温度の実績値(破線L2)に近づいていることがわかる。このようにして、溶銑温度に変化が現れる前にヤードコークス割合の変化の影響を定量的に予測できた。また、図8(a)は本発明の適用前における8時間先の溶銑温度の予測値と実績値の散布図を示し、図8(b)は本発明の適用後における8時間先の溶銑温度の予測値と実績値の散布図を示す。図8(a),(b)に示すように、本発明により溶銑温度の予測誤差を大幅に低減できることが確認された。
〔溶銑温度制御方法〕
次に、炉熱ばらつき低減のための操作変数の適正操作量の決定方法について述べる。上記で述べた通り、高炉プロセスは熱容量が大きいため、操作変数の変更に対する応答の時定数は12時間適度と非常に長い。よって、炉熱ばらつき低減のためには、将来の炉内状態予測に基づいた操作変数の制御則が有効である。そこで、本発明では、非定常物理モデルとスパースモデリングを用いた溶銑温度の将来予測に基づいたモデル予測制御系を構築した。
まず、溶銑温度のばらつき低減のための操作変数の最適操作量の決定方法について述べる。なお、以下では送風湿分の操作による溶銑温度制御を想定するが、送風湿分以外の操作変数を用いても問題はない。一般に、モデル予測制御では、予測区間(どこまで先までの区間を評価関数とするか)及び制御区間(何手先までの操作量を最適化するか)という2つの調整パラメータが存在する。以下に示す例では、予測区間は10時間とし、制御区間は1タイムステップとした。但し、これらは、調整可能なパラメータであり、本例の値に限定されるものではない。
次に、以下の数式(11),(12)に示す10時間先までの溶銑温度目標値HMTrefからの偏差の積分値と操作量から成る評価関数Jを最小化する送風湿分操作量ΔBMを最適な送風湿分操作量として求める。ここで、HMTpreとは送風湿分変更時の溶銑温度の予測値であり、自由応答に送風湿分の効果を重ね合わせたものである。StpBM(t)は現時刻を基準とした時間ステップtにおける送風湿分のステップ応答である。以上の問題を2次計画問題に帰着して解くことにより送風湿分操作量ΔBMを求めることができる。
Figure 0006930507
Figure 0006930507
本発明により求めた送風湿分操作量ΔBM及び送風湿分操作時の溶銑温度の予測推移の一例を図9(a),(b)に示す。なお、図9(a),(b)中には、ガイダンス時点では得られない溶銑温度の将来の実績データも比較のため図示している。図9(a),(b)において、実線L4は送風湿分の計算値、破線L5は送風湿分の実績値、実線L6は送風湿分のガイダンス値、実線L7は溶銑温度の目標値、実線L8は無操作時における溶銑温度の予測値、L9はガイダンス操作時の溶銑温度の予測値、破線L10は溶銑温度の実績値を示している。図9(a),(b)に示す例によれば、炉熱過剰を予測できた時点で先行させて送風湿分を上昇させることにより炉熱過剰を緩和可能であることがわかる。このように無操作時及びガイダンス操作時の溶銑温度の予測推移を提示することにより、ガイダンス操作の影響を直観的に把握可能な操業ガイダンスを構築することができる。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。

Claims (6)

  1. 非定常状態における高炉内の状態を計算可能な物理モデルを用いて、高炉の操作変数の現在の操作量を保持した場合の高炉における将来の溶銑温度の予測値を算出する第1ステップと、
    過去の操業データを用いて、過去の所定期間における炉熱指標の時系列パターンと溶銑温度の予測誤差の時系列パターンとを含む補正パターンを複数生成する第2ステップと、
    スパースモデリングの手法に基づいて、前記複数の補正パターンを用いて前記溶銑温度の予測誤差の予測値を算出する第3ステップと、
    前記第1ステップにおいて算出された溶銑温度の予測値に前記第3ステップにおいて算出された溶銑温度の予測誤差の予測値を加算することによって溶銑温度の予測値を補正する第4ステップと、を含み、
    前記第2ステップは、過去の操業データの中から原料銘柄が変更された後に溶銑温度の予測誤差が閾値以上になった操業データにおける炉熱指標及び溶銑温度の予測誤差の時系列パターンを抽出し、抽出された炉熱指標及び溶銑温度の予測誤差の時系列パターンを用いて過去の所定期間内における複数の異なる時点を起点とした炉熱指標及び溶銑温度の予測誤差の時系列パターン生成するステップを含むことを特徴とする溶銑温度予測方法。
  2. 非定常状態における高炉内の状態を計算可能な物理モデルを用いて、高炉の操作変数の現在の操作量を保持した場合の高炉における将来の溶銑温度の予測値を算出する手段と、
    過去の操業データを用いて、過去の所定期間における炉熱指標の時系列パターンと溶銑温度の予測誤差の時系列パターンとを含む補正パターンを複数生成する手段と、
    スパースモデリングの手法に基づいて、前記複数の補正パターンを用いて前記溶銑温度の予測誤差の予測値を算出する手段と、
    溶銑温度の予測値に溶銑温度の予測誤差の予測値を加算することによって溶銑温度の予測値を補正する手段と、を備え
    前記補正パターンを複数生成する手段は、過去の操業データの中から原料銘柄が変更された後に溶銑温度の予測誤差が閾値以上になった操業データにおける炉熱指標及び溶銑温度の予測誤差の時系列パターンを抽出し、抽出された炉熱指標及び溶銑温度の予測誤差の時系列パターンを用いて過去の所定期間内における複数の異なる時点を起点とした炉熱指標及び溶銑温度の予測誤差の時系列パターン生成することを特徴とする溶銑温度予測装置。
  3. 請求項に記載の溶銑温度予測方法を用いて補正された溶銑温度に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする高炉の操業方法。
  4. 請求項に記載の溶銑温度予測装置によって補正された将来における溶銑温度の予測値の推移及び適正操作を実行した場合における将来における溶銑温度の予測値の推移を提示することにより、高炉の操業を支援する手段を備えることを特徴とする操業ガイダンス装置。
  5. 請求項に記載の溶銑温度予測方法によって補正された溶銑温度の予測値に基づいて溶銑温度を制御する溶銑温度制御方法であって、補正された溶銑温度の予測値と目標溶銑温度との差を最小にするように送風湿分、微粉炭吹込み量、コークス比、及び送風温度のうちの少なくとも1つを含む高炉の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする溶銑温度制御方法。
  6. 請求項に記載の溶銑温度予測装置によって補正された溶銑温度の予測値に基づいて溶銑温度を制御する溶銑温度制御装置であって、補正された溶銑温度の予測値と目標溶銑温度との差を最小にするように送風湿分、微粉炭吹込み量、コークス比、及び送風温度のうちの少なくとも1つを含む高炉の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉の操作変数を制御する手段を備えることを特徴とする溶銑温度制御装置。
JP2018156306A 2018-08-23 2018-08-23 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置 Active JP6930507B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018156306A JP6930507B2 (ja) 2018-08-23 2018-08-23 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018156306A JP6930507B2 (ja) 2018-08-23 2018-08-23 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020029596A JP2020029596A (ja) 2020-02-27
JP6930507B2 true JP6930507B2 (ja) 2021-09-01

Family

ID=69623930

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018156306A Active JP6930507B2 (ja) 2018-08-23 2018-08-23 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6930507B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022009617A1 (ja) * 2020-07-06 2022-01-13 Jfeスチール株式会社 溶銑温度の制御方法、操業ガイダンス方法、高炉の操業方法、溶銑の製造方法、溶銑温度の制御装置および操業ガイダンス装置
JP7272326B2 (ja) * 2020-07-06 2023-05-12 Jfeスチール株式会社 操業ガイダンス方法、高炉の操業方法、溶銑の製造方法、操業ガイダンス装置
JP7384150B2 (ja) * 2020-12-09 2023-11-21 Jfeスチール株式会社 操業ガイダンス方法、高炉の操業方法、溶銑の製造方法及び操業ガイダンス装置
CN115198040B (zh) * 2022-07-12 2024-01-05 广东韶钢松山股份有限公司 一种喷煤量控制方法、装置、设备及存储介质
CN116432542B (zh) * 2023-06-12 2023-10-20 国网江西省电力有限公司电力科学研究院 一种基于误差序列修正的开关柜母排温升预警方法及系统

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4244477B2 (ja) * 1999-12-14 2009-03-25 住友金属工業株式会社 高炉操業方法
JP4948304B2 (ja) * 2006-11-13 2012-06-06 株式会社神戸製鋼所 高炉の溶銑温度予測方法
JP6024718B2 (ja) * 2013-11-15 2016-11-16 Jfeスチール株式会社 高炉炉熱予測装置及び高炉炉熱予測方法
JP6531782B2 (ja) * 2016-08-02 2019-06-19 Jfeスチール株式会社 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置
JP6493447B2 (ja) * 2016-08-02 2019-04-03 Jfeスチール株式会社 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020029596A (ja) 2020-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6930507B2 (ja) 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置
JP6531782B2 (ja) 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置
JP6729514B2 (ja) 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置
JP6493447B2 (ja) 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置
US20200158437A1 (en) System and method for dynamic process modeling, error correction and control of a reheat furnace
JP6897723B2 (ja) 学習モデル生成方法、学習モデル生成装置、高炉の溶銑温度制御方法、高炉の溶銑温度制御ガイダンス方法、及び溶銑の製造方法
WO2022009617A1 (ja) 溶銑温度の制御方法、操業ガイダンス方法、高炉の操業方法、溶銑の製造方法、溶銑温度の制御装置および操業ガイダンス装置
JP5086767B2 (ja) 高炉装入物の層厚分布推定方法及びこの方法を用いた装置
JP2018178199A (ja) 溶鋼中りん濃度推定方法、転炉吹錬制御装置、プログラム及び記録媒体
JP2012188752A (ja) 燃料原単位評価装置及び加熱炉制御システム
JP2014118599A (ja) 高炉の炉熱制御方法
KR101246436B1 (ko) 고로의 용선 생산량 예측 방법
JP7173115B2 (ja) スタティック吹錬制御方法、温度補正項推定装置および転炉制御装置
JP2007077427A (ja) ベルレス型高炉の原料層厚の制御装置および制御方法
JPS6324044B2 (ja)
JP6866822B2 (ja) 焼結クーラ設備の風量制御装置
TW201639971A (zh) 高爐高鋁渣流動性之控制方法
JP6933196B2 (ja) 高炉の荷下り速度予測モデルの学習方法、高炉の荷下り速度予測方法、高炉の操業ガイダンス方法、高炉の荷下り速度制御方法、溶銑の製造方法、高炉の操業方法、及び高炉の荷下り速度予測モデルの学習装置
JP2696114B2 (ja) 高炉の操業管理方法
JPS62109887A (ja) コ−クス炉の火落時間制御方法
JP7384326B1 (ja) 高炉の溶銑温度予測方法、高炉の溶銑温度予測モデルの学習方法、高炉の操業方法、高炉の溶銑温度予測装置、高炉の溶銑温度予測システムおよび端末装置
JP7541656B1 (ja) 溶銑温度制御方法、溶銑温度制御装置、溶銑温度制御システム及び端末装置
JP4311669B2 (ja) 高炉温度制御システム及び高炉温度制御方法
JPS6055561B2 (ja) 高炉の操業方法
KR100383277B1 (ko) 고로 내의 가스류 변동측정방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200324

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210318

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210713

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210726

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6930507

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250