JP6933196B2 - 高炉の荷下り速度予測モデルの学習方法、高炉の荷下り速度予測方法、高炉の操業ガイダンス方法、高炉の荷下り速度制御方法、溶銑の製造方法、高炉の操業方法、及び高炉の荷下り速度予測モデルの学習装置 - Google Patents

高炉の荷下り速度予測モデルの学習方法、高炉の荷下り速度予測方法、高炉の操業ガイダンス方法、高炉の荷下り速度制御方法、溶銑の製造方法、高炉の操業方法、及び高炉の荷下り速度予測モデルの学習装置 Download PDF

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本発明は、高炉の荷下り速度予測モデルの学習方法、高炉の荷下り速度予測モデル、高炉の荷下り速度予測方法、高炉の操業ガイダンス方法、高炉の荷下り速度制御方法、溶銑の製造方法、高炉の操業方法、及び高炉の荷下り速度予測モデルの学習装置に関する。
製鉄業における高炉プロセスにおいて原料降下(荷下り)速度を安定化させることは非常に重要である。特に近年の高炉プロセスは、低コークス比及び高微粉炭比の条件下で行われており、通気抵抗が原料の重力に拮抗しているために、荷下り速度が変動しやすい。このため、荷下り速度が変動した場合、高炉操業に携わるオペレータは、送風流量(高炉に送風される空気の流量)や富化酸素流量(高炉に吹き込まれる富化酸素の流量)等の操業変数を低下させることによって荷下り速度を安定化させている。ところが、このような操業変数の変更操作は、高炉の生産性を低下させる要因となるために必要最小限に留めるべきである。また、高炉プロセスは大規模プロセスであるため、操業変数の変更操作の影響が荷下り速度の変化に実際に現れるまでには時間遅れが存在する。しかしながら、現状、オペレータは直近の荷下り速度に基づいて操業変数を変更しており、操業変数の過度な変更操作によって高炉の生産性を低下せしめている。
宮坂尚親ら:"高炉の数学的モデルによる送風圧変動の予測",鉄と鋼,58巻(1972)1号,p.18-27 岡谷貴之著:"深層学習",講談社(2015) 羽田野道春ら:"高炉非定常モデルによる火入れ操業の検討",鉄と鋼,68巻(1982)15号,p.2369-2376
将来の荷下り速度の変化を予測できれば、操業変数を適切に設定できるので、高炉の生産性が低下することを抑制できる。従来技術として、荷下り速度を直接的に予測できる技術は存在しないが、類似概念として高炉の通気度を予測する技術が非特許文献1に記載されている。具体的には、非特許文献1には、物理モデルを利用して2時間先の高炉の通気度を予測する方法が記載されている。しかしながら、高炉の通気度は荷下り速度に影響を及ぼすが、より重要な変数であり適切な予測対象は荷下り速度である。通気度が変動しても荷下り速度が安定しているのであれば問題は生じないためである。このため、高炉の荷下り速度を精度よく予測可能な技術の提供が期待されていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、高炉の荷下り速度を精度よく予測可能な高炉の荷下り速度予測モデルの学習方法、高炉の荷下り速度予測モデル、高炉の荷下り速度予測方法、高炉の操業ガイダンス方法、高炉の荷下り速度制御方法、溶銑の製造方法、高炉の操業方法、及び高炉の荷下り速度予測モデルの学習装置を提供することにある。
本発明に係る高炉の荷下り速度予測モデルの学習方法は、高炉操業における送風流量、富化酸素流量、微粉炭吹込み量、送風湿分、及び炉頂におけるコークス比のうち、少なくとも1つ以上の操作変数を入力変数として含み、現在時刻の1つ先のタイムステップの高炉の荷下り速度を出力変数とする高炉の荷下り速度予測モデルを再帰型ニューラルネットワークモデルとして構築するステップと、高炉内の原料滞留時間を基準とした学習データを用いて、前記高炉の荷下り速度予測モデルの学習パラメータを決定するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る高炉の荷下り速度予測モデルは、本発明に係る高炉の荷下り速度予測モデルの学習方法により学習させたことを特徴とする。
本発明に係る高炉の荷下り速度予測方法は、本発明に係る高炉の荷下り速度予測モデルを用いて高炉の荷下り速度を予測するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る高炉の操業ガイダンス方法は、本発明に係る高炉の荷下り速度予測モデルを用いて、予め定めた所定期間先の高炉の荷下り速度を予測し、予測結果に基づいて現在の操作変数の操作量をガイダンスするステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る高炉の荷下り速度制御方法は、本発明に係る高炉の荷下り速度予測モデルに基づいて高炉の荷下り速度を制御する高炉の荷下り速度制御方法であって、予測された荷下り速度と目標荷下り速度との差を含む評価関数を定め、該評価関数に基づいて高炉の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る溶銑の製造方法は、本発明に係る高炉の荷下り速度制御方法を用いて高炉の操業を行うことにより溶銑を製造するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る高炉の操業方法は、本発明に係る高炉の荷下り速度制御方法を用いて高炉の操業を行うステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る高炉の荷下り速度予測モデルの学習装置は、高炉操業における送風流量、富化酸素流量、微粉炭吹込み量、送風湿分、及び炉頂におけるコークス比のうち、少なくとも1つ以上の操作変数を入力変数として含み、現在時刻の1つ先のタイムステップの高炉の荷下り速度を出力変数とする高炉の荷下り速度予測モデルを再帰型ニューラルネットワークモデルとして構築する手段と、高炉内の原料滞留時間を基準とした学習データを用いて、前記高炉の荷下り速度予測モデルの学習パラメータを決定する手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、高炉の荷下り速度を精度よく予測可能な高炉の荷下り速度予測モデルの学習方法、高炉の荷下り速度予測モデル、高炉の荷下り速度予測方法、高炉の操業ガイダンス方法、高炉の荷下り速度制御方法、溶銑の製造方法、高炉の操業方法、及び高炉の荷下り速度予測モデルの学習装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態である高炉操業システムの構成を示す模式図である。 図2は、LSTMモデルの構成を示すブロック図である。 図3は、LSTMブロックの構成を示すブロック図である。 図4は、荷下り速度の予測結果の一例を示す図である。 図5は、荷下り速度の予測結果の他の例を示す図である。 図6は、荷下り速度の予測変化量及び計算変化量と実績変化量との散布図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である高炉の荷下り速度予測方法、高炉の荷下り速度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、高炉の荷下り速度制御方法、及び高炉の荷下り速度制御装置について説明する。
〔高炉操業システム〕
まず、図1を参照して、本発明が適用される本発明の一実施形態である高炉操業システムの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である高炉操業システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である高炉操業システム1は、高炉2の操業データを収集、格納する操業データベース3と、操業データベース3内に格納されている操業データを用いて高炉2の荷下り速度を予測する荷下り速度予測装置4と、荷下り速度予測装置4によって予測された高炉2の荷下り速度の推移を提示することにより、高炉の操業を支援する操業ガイダンス装置5と、荷下り速度予測装置4によって予測された高炉2の荷下り速度に基づいて荷下り速度の予測値と目標荷下り速度との差を最小にするように高炉2の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉2の操作変数を制御する荷下り速度制御装置6と、を備えている。
荷下り速度予測装置4は、コンピュータ等の情報処理装置によって構成され、情報処理装置内部のCPU等の演算処理装置がコンピュータプログラムを実行することによってモデル構築部4a及び荷下り速度予測部4bとして機能する。モデル構築部4aは、高炉操業における送風流量、富化酸素流量、微粉炭吹込み量(溶銑生成量1トンに対して使用される微粉炭の重量,PCI)、送風湿分(高炉に送風される空気の湿度)、及び炉頂におけるコークス比(炉頂から投入されるコークス量に対する鉄鉱石量の比)のうち、少なくとも1つ以上の操作変数を入力変数とし、高炉2の荷下り速度を出力変数とする再帰型ニューラルネットワークモデルを構築する。なお、本実施形態では、再帰型ニューラルネットワークモデルの一例であるLSTM(Long Short Term Memory)モデルの一形態を示すが、本発明は本実施形態に限定されることはなく異なる形態であってもよい。LSTMモデルの詳細については、後述する。荷下り速度予測部4bは、モデル構築部4aによって構築されたLSTMモデルを用いて、現在の操作変数の操作量が現在値のまま保持される又は設定値に変更されると仮定して高炉2の将来の荷下り速度を予測する。
〔LSTMモデル〕
次に、図2,3を参照して、上記LSTMモデルの一形態について説明する。
図2は、LSTMモデルの構成を示すブロック図である。図2に示すように、モデル構築部4aが構築するLSTMモデル7は、RNN(再帰型(リカレント)ニューラルネットワーク)の一種であり(非特許文献2参照)、入力層7a、LSTMブロック7b、及び出力層7cを備えている。詳しくは、LSTMモデル7は、RNNの中間層のユニットをLSTMブロック7bと呼ばれるメモリと3つのゲートを有するブロックに置き換えた構成となっている。
RNNは、通常のニューラルネットワーク(NN)とは異なり、1タイムステップ前の状態変数(高炉の場合は温度分布や還元率といった高炉の内部状態を表す変数)を現在のタイムステップの入力として用いるという特徴を有している。なお、非定常状態における高炉内の状態を示す変数を計算可能な非定常物理モデル(非特許文献3参照)も熱的慣性の影響を表すために1タイムステップ前の状態変数を入力として用いる。つまり、RNNや非定常物理モデルは、状態変数の更新則を扱っているという点で共通し、アクションの遅れを考慮した予測を行うという点において通常のNNより有利である。ところが、RNNは、状態変数の慣性を扱うことができるものの、10タイムステップ以上過去の入力を出力に反映させることは困難である。但し、高炉プロセスの場合には、1タイムステップを0.5時間とし、10タイムステップ(5時間)以前の操作が現在の荷下り速度に影響することは十分に有り得る。そこで、本発明では、RNNの中でも過去の状態変数を長期に渡って保持可能なLSTMモデルを用いた。換言すれば、高炉プロセスはアクションの効果が発現するまでの遅れ時間が大きく、過去の時系列データの履歴を考慮した予測方法が有利であると考え、LSTMモデルを用いて高炉2の荷下り速度を予測することとした。これにより、本発明によれば、高炉の荷下り速度を精度よく予測できる。
なお、非定常物理モデルであっても、レースウェイでのコークス燃焼、コークスのガス化、鉱石溶解による体積消費等によって荷下り現象自体を再現することはできる。しかしながら、非定常物理モデルの短所として、実プロセスで生じる送風流量及び富化酸素流量が一定の条件下での荷下り速度の変動を再現することが困難であるという点がある。これは、非定常物理モデルでは、原料が連続体として扱われるため、風圧によらず体積消費分の原料が炉上部から必ず供給されるという仮定に起因している。このような問題を解決するために、離散要素法的なアプローチを用いることによって風圧と重力のバランスを考慮することも考えられるが、反応計算や伝熱計算と連成させてオンライン計算を行うことは現状のマシンパワーでは非現実的である。このため、本発明ではLSTMモデルを用いて荷下り速度を予測する。
ここで、図3を参照して、LSTMブロック7bの構成について詳しく説明する。図3は、LSTMブロック7bの構成を示すブロック図である。図3に示すように、LSTMブロック7bは、入力ブロック11、双曲線正接関数ブロック12、入力ゲートブロック13、シグモイド関数ブロック14、乗算ブロック15、忘却ゲートブロック16、シグモイド関数ブロック17、乗算ブロック18、加算ブロック19、双曲線正接関数ブロック20、出力ゲートブロック21、シグモイド関数ブロック22、乗算ブロック23、及び出力ブロック24を備えている。
入力ブロック11は、以下に示す数式(1)に入力層7aの出力x(t)及びLSTMブロック7bの1タイムステップ前の出力z(t−1)を入力することにより出力u(t)を算出する。なお、()内のtはタイムステップを示す。また、数式(1)において、Win,W,binは重み係数を示す。
Figure 0006933196
双曲線正接関数ブロック12は、双曲線正接関数(tanh関数)に入力ブロック11の出力u(t)を入力することにより出力tanh(u(t))を算出する。
入力ゲートブロック13は、以下に示す数式(2)に入力層7aの出力x(t)、LSTMブロック7bの1タイムステップ前の出力z(t−1)、1タイムステップ前の加算ブロック19の出力s(t−1)を入力することにより出力uI(t)を算出する。なお、数式(2)において、Win(I),W(I),Wcell(I),bin(I)は重み係数を示す。
Figure 0006933196
シグモイド関数ブロック14は、以下に示す数式(3)に入力ゲートブロック13の出力uI(t)を入力することにより出力gI(t)を算出する。
Figure 0006933196
乗算ブロック15は、シグモイド関数ブロック14の出力gI(t)と双曲線正接関数ブロック12の出力tanh(u(t))との乗算値gI(t)*tanh(u(t))を算出する。
忘却ゲートブロック16は、以下に示す数式(4)に入力層7aの出力x(t)、LSTMブロック7bの1タイムステップ前の出力z(t−1)、1タイムステップ前の加算ブロック19の出力s(t−1)を入力することにより出力uF(t)を算出する。なお、数式(4)において、Win(F),W(F),Wcell(F),bin(F)は重み係数を示す。
Figure 0006933196
シグモイド関数ブロック17は、以下に示す数式(5)に忘却ゲートブロック16の出力uF(t)を入力することにより出力gF(t)を算出する。
Figure 0006933196
乗算ブロック18は、シグモイド関数ブロック17の出力gI(t)と1タイムステップ前の加算ブロック19の出力s(t−1)との乗算値gF(t)*s(t−1)を算出する。
加算ブロック19は、以下に示す数式(6)に乗算ブロック15の出力gI(t)*tanh(u(t))と乗算ブロック18の出力gF(t)*s(t−1)とを代入することにより出力s(t)を算出する。
Figure 0006933196
双曲線正接関数ブロック20は、tanh関数に加算ブロック19の出力s(t)を入力することにより出力tanh(s(t))を算出する。
出力ゲートブロック21は、以下に示す数式(7)に入力層7aの出力x(t)、LSTMブロック7bの1タイムステップ前の出力z(t−1)、加算ブロック19の出力s(t)を入力することにより出力uO(t)を算出する。なお、数式(7)において、Win(O),W(O),Wcell(O),bin(O)は重み係数を示す。
Figure 0006933196
シグモイド関数ブロック22は、以下に示す数式(8)に出力ゲートブロック21の出力uO(t)を入力することにより出力gO(t)を算出する。
Figure 0006933196
乗算ブロック23は、以下に示す数式(9)にシグモイド関数ブロック22の出力gO(t)及び双曲線正接関数ブロック20の出力tanh(s(t))を入力することにより出力z(t)を算出する。
Figure 0006933196
出力ブロック24は、以下に示す数式(10)に乗算ブロック23の出力z(t)を入力することにより出力y(t)を算出する。なお、数式(10)において、Wout,coutは重み係数を示す。
Figure 0006933196
なお、LSTMブロック7bにおいて求めるべき重み係数は、上述したWin、bin、Wcell等の重み係数群である。本発明では、これらの重み係数を逆誤差伝播法によって収束計算する。勾配更新のアルゴリズムとしてAdam法を用いた。なお、逆誤差伝播法のアルゴリズムの妥当性は数値微分行列と逆誤差伝播法による微分行列の一致によって確認済みである。
本実施例では、送風流量BV(Nm/min)、富化酸素流量BVO(Nm/min)、微粉炭吹込み流量PCI(kg/min)、送風湿分BM(g/Nm)、炉頂におけるコークス比CR(kg/t)、及び現タイムステップにおける荷下り速度Vch(ch/hr)を状態変数として次タイムステップの荷下り速度を予測した。ここで、chはチャージを示す。高炉の原料投入は、高炉内原料の表面レベルが一定以下となった時に新しい層(バッチ)を投入するが、この単位をチャージ(ch)と呼ぶ。また、現時点をタイムステップtとし、送風流量BV(t)、富化酸素流量BVO(t)、微粉炭吹込み流量PCI(t)、送風湿分BM(t)、炉頂におけるコークス比CR(t)、及び現タイムステップにおける荷下り速度Vch(t)を用いて次タイムステップの荷下り速度Vch(t+1)を予測する問題設定とした。すなわち、出力x(t),y(t)を以下の数式(11),(12)に示すように定めた。
Figure 0006933196
Figure 0006933196
なお、本発明の目的の一つは、長い時定数を有する高炉の動特性をLSTMによりモデル化することにある。そのための重み変数群の学習では、損失関数(Los関数)を予測された次タイムステップの荷下り速度Vch(t+1)と実際の次タイムステップの荷下り速度Vch(t+1)との差分値の二乗和とした。ここで、二乗和の区間は上記動特性を反映した十分な時間が必要である。前述のように高炉プロセスでは、操作量変更の影響が5時間程度先に現れるということがあり得るため、そのような時定数の長い現象を学習させる必要がある。そこで、本発明の発明者らは、高炉内に原料等を投入して溶銑として出銑するまでの高炉内での原料滞留時間を一つの基準と考えた。これは、原料が高炉に装入されてから溶銑となるまでのひとまとまりの現象を表す期間と考えられるからである。この時間は高炉の容量等にもよるが、例えば6時間〜10時間を要する場合がある。学習データとして、この原料滞留時間1回分以上の期間があることで、高炉原料が溶銑に至るまでの現象が学習できる。また、望ましくはこの原料滞留時間2回分以上の複数回を学習評価期間として与えることで良好な精度のモデル学習が可能となると考えた。但し、学習データの期間を増やせば精度向上するが、データの収集時間や計算時間を鑑みれば、原料滞留時間の0.5倍程度であってもある程度の特性は学習できる可能性はある。
本実施例では、対象高炉の原料滞留時間が8時間程度であることから、その2回分の時間として、過去16時間前の状態変数の初期値をゼロとし、時間順方向に数式を繰り返し解くことにより次タイムステップの荷下り速度Vch(t+1)を予測した。そして、前述の損失関数を最小化するようにLSTMブロック7bの重み変数群の値を決定した。学習データのセットは約5000セット準備し、学習に用いた。また、得られた重み変数群を用いて荷下り速度を予測する際には、将来区間における操作量の情報は現時点では得られないので、現時点の高炉の操作変数の操作量が将来も保持されていると仮定して荷下り速度を予測した。
但し、本実施例では、現時点の高炉の操作変数の操作量が将来も保持されていると仮定したが、送風流量の設定値等の将来の操作変数の操作量に関する情報が利用可能である場合には、それを荷下り速度の予測の際に用いても構わない。また、将来の荷下り速度は現時点ではわからないが、次タイムステップの荷下り速度の予測の際に現時点の荷下り速度の値が必要なので、タイムステップt+Fにおける荷下り速度の予測値をタイムステップt+F+1における荷下り速度の予測の際の入力条件とする。
このようにして荷下り速度を予測した結果の一例を図4(a)〜(i)に示す。図中のNowで示した時点が荷下り速度を予測するタイミングであり、Nowで示した時点以降の操作変数の操作量は現時点での値が保持されていると仮定して荷下り速度を予測した。なお、図4(a)〜(e)において、実線は荷下り速度の予測に用いた値を示し、破線は実績値を示している。また、図4(g)において、実線L1及び破線L2,L3はそれぞれ図3における出力s(t)の各要素の値(潜在変数)を示し、図4(h)において、実線L4及び破線L5,破線L6はそれぞれ図3における出力gI(t)の各要素の値(入力重み)を示し、図4(i)において、実線L7及び破線L8,破線L9はそれぞれ出力gF(t)の各要素の値(記憶重み)を示す。図4(f)に示すように、将来区間における操作変数の操作量の変更が小さい場合には、荷下り速度の予測値(実線)は実績値(プロット)と一致しているケースが多いことが確認された。
一方、荷下り速度の予測結果の他の一例を図5(a)〜(i)に示す。図中のNowで示した時点が荷下り速度を予測するタイミングであり、Nowで示した時点以降の操作変数の操作量は現時点での値が保持されていると仮定して荷下り速度の予測を行っている。なお、図5(a)〜(e)において、実線は荷下り速度の予測に用いた値を示し、破線は実績値を示している。本例では、図5(f)に示すように将来区間の荷下り速度の予測値(実線)は実績値(プロット)と解離しているが、これは図5(a),(b)に示すように将来区間における送風流量及び富化酸素流量が大きく変更されたためである。
このような将来区間における操作変数の操作量の変更を反映した荷下り速度の計算結果を図5(f)に破線で図示した。図5(f)に示すように計算値(破線)は実績値(プロット)をトレースできており、操作変数の操作量の変更の影響を正しく考慮したLSTMモデルを構築できていることが確認された。なお、このような将来区間における荷下り速度の計算を行った際も将来区間における荷下り速度の実績値を入力として使用せずに荷下り速度の計算値を繰り返し使用することにより、次タイムステップにおける荷下り速度を計算した。これは、オンラインで荷下り速度を計算する場合には将来区間における荷下り速度の実績値を用いることができないためである。
このようにして算出した4時間先までの荷下り速度の予測変化量ΔVch(pre)と実績変化量ΔVch(Act)の散布図を図6(a)に示す。また、同期間の荷下り速度の計算変化量ΔVch(cal)と実績変化量ΔVch(Act)の散布図を図6(b)に示す。なお、図6(a),(b)における変化量の各値は規格化(normalized)されている。図6(a),(b)に示すように、予測変化量ΔVch(pre)及び計算変化量ΔVch(cal)と実績変化量ΔVch(Act)とは良好な相関関係を示している。予測ガイダンスの目的は送風流量等の操作変数の変化の影響を考慮した荷下り速度の将来予測であるため、計算変化量ΔVch(cal)によりLSTMモデルの精度評価を行うことが適切であると考えられる。従って、荷下り速度の変化量を精度よく計算できたことは荷下り速度を精度よく制御する足掛りとなると考えられる。
例えば、学習されたLSTMモデルに基づいて予測した5時間後の荷下がり速度変化が適切な範囲を超えると判断した場合は、操作量である送風流量や富化酸素流量等を選定変更することで荷下がり速度の変化を抑制することができる。例えば、上記LSTMモデルを用いて送風流量や富化酸素流量等の一定の変更量を最適化計算等で算出することが可能である。具体的には、5時間後等の所定時間を定め、所定時間後の高炉の荷下がり速度の目標値を設定し、荷下がり速度の目標値と予測値をもとに定める評価関数(評価区間における誤差の二乗和等)を最小化する、送風流量や富化酸素流量を含む操作量を求める構成が可能であり、より詳しくはLSTMモデルを用いた非線形のモデル予測制御を構成することができる。ここで、操作量決定に際しては評価関数を必ずしも最小化する必要はなく、ある程度の許容範囲を定め、あるいは、繰り返し計算の回数を定めて、計算を打ち切り、操作量を決定しても構わない。このように、数時間程度の長い時定数を有する高炉では、LSTMモデルに適切な学習期間のデータを与えパラメータを学習させることで、従来の高炉モデルではできなかった長期予測を可能とすることができる。また、学習されたLSTMモデルに基づくモデル予測制御等により、高炉内現象の将来の予測に基づく適切な操作量を決定し、最適な高炉操業を実現できることとなる。さらにこれにより、安定した溶銑の製造が実現できることとなる。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 高炉操業システム
2 高炉
3 操業データベース
4 荷下り速度予測装置
4a モデル構築部
4b 荷下り速度予測部
5 操業ガイダンス装置
6 荷下り速度制御装置
7 LSTMモデル
7a 入力層
7b LSTMブロック
7c 出力層

Claims (7)

  1. 高炉操業における送風流量、富化酸素流量、微粉炭吹込み量、送風湿分、及び炉頂におけるコークス比のうち、少なくとも1つ以上の操作変数を入力変数として含み、現在時刻の1つ先のタイムステップの高炉の荷下り速度を出力変数とする高炉の荷下り速度予測モデルを再帰型ニューラルネットワークモデルとして構築するステップと、
    高炉内の原料滞留時間を基準とした前記入力変数及び前記出力変数を学習データとして用いて、高炉の荷下り速度予測モデルから出力された高炉の荷下り速度と実際の高炉の荷下り速度との差分値の二乗和が最小に近づくように前記高炉の荷下り速度予測モデルの重み係数を決定するステップと、
    を含むことを特徴とする高炉の荷下り速度予測モデルの学習方法。
  2. 請求項に記載の高炉の荷下り速度予測モデルを用いて高炉の荷下り速度を予測するステップを含むことを特徴とする高炉の荷下り速度予測方法。
  3. 請求項に記載の高炉の荷下り速度予測モデルを用いて、予め定めた所定期間先の高炉の荷下り速度を予測し、予測結果に基づいて現在の操作変数の操作量をガイダンスするステップを含むことを特徴とする高炉の操業ガイダンス方法。
  4. 請求項に記載の高炉の荷下り速度予測モデルに基づいて高炉の荷下り速度を制御する高炉の荷下り速度制御方法であって、予測された荷下り速度と目標荷下り速度との差を含む評価関数を定め、該評価関数に基づいて高炉の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする高炉の荷下り速度制御方法。
  5. 請求項に記載の高炉の荷下り速度制御方法を用いて高炉の操業を行うことにより溶銑を製造するステップを含むことを特徴とする溶銑の製造方法。
  6. 請求項に記載の高炉の荷下り速度制御方法を用いて高炉の操業を行うステップを含むことを特徴とする高炉の操業方法。
  7. 高炉操業における送風流量、富化酸素流量、微粉炭吹込み量、送風湿分、及び炉頂におけるコークス比のうち、少なくとも1つ以上の操作変数を入力変数として含み、現在時刻の1つ先のタイムステップの高炉の荷下り速度を出力変数とする高炉の荷下り速度予測モデルを再帰型ニューラルネットワークモデルとして構築する手段と、
    高炉内の原料滞留時間を基準とした前記入力変数及び前記出力変数を学習データとして用いて、高炉の荷下り速度予測モデルから出力された高炉の荷下り速度と実際の高炉の荷下り速度との差分値の二乗和が最小に近づくように前記高炉の荷下り速度予測モデルの重み係数を決定する手段と、
    を備えること特徴とする高炉の荷下り速度予測モデルの学習装置。
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