JP6729514B2 - 溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置 - Google Patents

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本発明は、溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置に関する。
製鉄業における高炉プロセスにおいて、溶銑温度は重要な管理指標である。特に近年の高炉操業は、原燃料コストの合理化を追求すべく、低コークス比及び高微粉炭比の条件下で行われており、炉況が不安定化しやすい。このため、炉熱ばらつき低減のニーズが大きい。一方、高炉プロセスは、固体が充填された状態で操業を行うために、プロセス全体の熱容量が大きく、操作に対する応答の時定数が長いという特徴を有している。また、高炉の上部から装入された原料が高炉の下部に降下するまでには数時間オーダーの無駄時間が存在する。このため、炉熱制御のためには将来の炉熱予測に基づいた操作変数の操作量の適正化が必須となる。
このような背景から、特許文献1には、物理モデルを利用した炉熱予測方法が提案されている。具体的には、特許文献1に記載の炉熱予測方法は、現在の炉頂ガスの組成に合致するように物理モデルに含まれるガス還元速度パラメータを調整し、パラメータ調整後の物理モデルを用いて炉熱を予測する。
特開平11−335710号公報
しかしながら、物理モデルを用いて溶銑温度を予測する際には、鉄鉱石の被還元性やガス偏流等のモデル化が困難な外乱の影響によって溶銑温度の予測精度が低下する場合がある。なお、特許文献1記載の炉熱予測方法は、モデル化が困難な外乱の影響を打ち消すために、現在の炉頂ガスの組成に合致するように物理モデルに含まれるガス還元速度パラメータを調整している。ところが、特許文献1記載の発明は、溶銑温度の予測精度の評価方法として溶銑温度の絶対値の予測精度の向上を確認しているのみであり、溶銑温度の変化量の予測精度については言及していない。溶銑温度を精度よく制御するためには、溶銑温度の変化量の予測精度の方が溶銑温度の絶対値の予測精度よりも重要度が高い。これは、一般的なモデル予測制御においては、将来の予測値は予測された変化量に現在の実測値を加算することによって求められるためである。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、溶銑温度の変化量の予測精度を向上させて溶銑温度の予測精度を向上可能な溶銑温度予測方法及び溶銑温度予測装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、溶銑温度を精度よく制御可能な高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置を提供することにある。
本発明に係る溶銑温度予測方法は、非定常状態における高炉内の状態を計算可能な物理モデルを用いて高炉における溶銑温度を予測する溶銑温度予測方法であって、前記物理モデルを用いて高炉の操作変数の現在の操作量を保持した場合の将来の溶銑温度の予測値を算出する第1ステップと、前記物理モデルを用いて計算された過去の期間における高炉内の状態を示す変数の計算値と実績値との差の時間変化率を算出する第2ステップと、前記物理モデルを用いて計算された前記過去の期間における溶銑温度の計算値と実績値との差を溶銑温度の計算値の誤差として算出する第3ステップと、前記第2ステップにおいて算出された時間変化率を用いて前記第3ステップにおいて算出された溶銑温度の計算値の誤差を求める回帰式を構築する第4ステップと、前記物理モデルを用いて計算された現在における高炉内の状態を示す変数の計算値と実績値との差の時間変化率と前記第4ステップにおいて構築された回帰式とを用いて、現在における溶銑温度の計算値の誤差を算出する第5ステップと、前記第1ステップにおいて算出された溶銑温度の予測値に前記第5ステップにおいて算出された誤差を加算することによって、前記第1ステップにおいて算出された溶銑温度の予測値を補正する第6ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る溶銑温度予測装置は、非定常状態における高炉内の状態を計算可能な物理モデルを用いて高炉における溶銑温度を予測する溶銑温度予測装置であって、前記物理モデルを用いて高炉の操作変数の現在の操作量を保持した場合の将来の溶銑温度の予測値を算出する第1手段と、前記物理モデルを用いて計算された過去の期間における高炉内の状態を示す変数の計算値と実績値との差の時間変化率を算出する第2手段と、前記物理モデルを用いて計算された前記過去の期間における溶銑温度の計算値と実績値との差を溶銑温度の計算値の誤差として算出する第3手段と、前記第2手段によって算出された時間変化率を用いて前記第3手段によって算出された溶銑温度の計算値の誤差を求める回帰式を構築する第4手段と、前記物理モデルを用いて計算された現在における高炉内の状態を示す変数の計算値と実績値との差の時間変化率と前記第4手段によって構築された回帰式とを用いて、現在における溶銑温度の計算値の誤差を算出する第5手段と、前記第1手段によって算出された溶銑温度の予測値に前記第5手段によって算出された誤差を加算することによって、前記第1手段によって算出された溶銑温度の予測値を補正する第6手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る高炉の操業方法は、本発明に係る溶銑温度予測方法を用いて補正された溶銑温度に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る操業ガイダンス装置は、本発明に係る溶銑温度予測装置によって補正された将来における溶銑温度の予測値の推移及び適正操作を実行した場合における将来における溶銑温度の予測値の推移を提示することにより、高炉の操業を支援する手段を備えることを特徴とする。
本発明に係る溶銑温度制御方法は、本発明に係る溶銑温度予測方法によって補正された溶銑温度の予測値に基づいて溶銑温度を制御する溶銑温度制御方法であって、補正された溶銑温度の予測値と目標溶銑温度との差を最小にするように送風湿分、微粉炭吹込み量、コークス比、及び送風温度のうちの少なくとも1つを含む高炉の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る溶銑温度制御装置は、本発明に係る溶銑温度予測装置によって補正された溶銑温度の予測値に基づいて溶銑温度を制御する溶銑温度制御方法であって、補正された溶銑温度の予測値と目標溶銑温度との差を最小にするように送風湿分、微粉炭吹込み量、コークス比、及び送風温度のうちの少なくとも1つを含む高炉の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る溶銑温度予測方法及び溶銑温度予測装置によれば、溶銑温度の変化量の予測精度を向上させて溶銑温度の予測精度を向上させることができる。また、本発明に係る高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置によれば、溶銑温度を精度よく制御することができる。
図1は、本発明において用いる物理モデルの入力変数及び出力変数を示す図である。 図2は、操作変数の操作量の時系列データの一例を示す図である。 図3は、出力変数の計算結果の一例を示す図である。 図4は、過去の期間における溶銑温度以外の出力変数の計算値及び実績値と溶銑温度の計算値及び実績値とを示す図である。 図5は、過去の期間における溶銑温度以外の出力変数の誤差の時間変化率を示す図である。 図6は、物理モデル単体での溶銑温度の時間変化量の実績値及び予測値を示す散布図と、本発明を適用した場合の溶銑温度の時間変化量の実績値及び予測値を示す散布図である。 図7は、将来における溶銑温度の予測推移及び適正操作を実行した場合における溶銑温度の予測推移を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る溶銑温度予測方法、溶銑温度予測装置、高炉の操業方法、操業ガイダンス装置、溶銑温度制御方法、及び溶銑温度制御装置について説明する。
〔物理モデルの構成〕
まず、本発明において用いる物理モデルについて説明する。
本発明において用いる物理モデルは、参考文献1(羽田野道春ら:“高炉非定常モデルによる火入れ操業の検討”,鉄と鋼,vol.68,p.2369)記載の方法と同様、鉄鉱石の還元、鉄鉱石とコークスとの間の熱交換、及び鉄鉱石の融解等の複数の物理現象を考慮した偏微分方程式群から構成された、非定常状態における高炉内の状態を示す変数(出力変数)を計算可能な物理モデルである。
図1に示すように、この物理モデルに対して与える境界条件の中で時間変化する主なもの(入力変数,高炉の操作変数(操業因子ともいう))は、炉頂におけるコークス比(炉頂から投入されるコークス量に対する鉄鉱石量の比)、送風流量(高炉に送風される空気の流量)、富化酸素流量(高炉に吹き込まれる富化酸素の流量)、送風温度(高炉に送風される空気の温度)、微粉炭吹込み量(溶銑生成量1トンに対して使用される微粉炭の重量,PCI)、及び送風湿分(高炉に送風される空気の湿度)である。
また、物理モデルによって形成される主な出力変数は、炉内におけるガス利用率(CO/(CO+CO),ηCO)、原料及びガス温度、鉱石還元率、ソルーションロスカーボン量(ソルロスカーボン量)、酸素原単位、造銑速度(溶銑生成速度)、溶銑温度、炉体ヒートロス量(冷却水により炉体を冷却した際に冷却水が奪う熱量)、及び還元材比(溶銑1トンあたりの微粉炭吹込み量とコークス比との和,RAR)である。
本発明では、出力変数を計算する際のタイムステップ(時間間隔)は30分とした。但し、タイムステップは目的に応じて可変であり、本実施形態の値に限定されることはない。本発明では、この物理モデルを用いて時々刻々変化する溶銑温度を含む出力変数を計算する。
〔溶銑温度の予測方法〕
次に、上記物理モデルを用いた溶銑温度の予測方法について説明する。
まず、本発明では、参考文献2(Jan著:“モデル予測制御”,東京電機大学出版,p.66)記載のモデル予測制御技術に基づいて、モデル予測制御の原則に則り、過去の一連の操作変数の操作量の時系列データを入力して出力変数を更新し、現在の操作変数の操作量が将来も一定に保持されたと仮定して物理モデルを加速実行することにより、溶銑温度を含む出力変数の予測値を算出する。図2(a)〜(f)は、操作変数の操作量の時系列データの一例を示す図である。図3(a)〜(e)は、出力変数の計算結果の一例を示す図であり、図中の実線及びプロットはそれぞれ出力変数の計算値及び実績値を示す。また、図2(a)〜(f)及び図3(a)〜(e)の横軸は時間(hr)を示し、本例では予測開始時点を0時間としている。また、図2(a)〜(f)の将来区間(0〜10時間)には一定に保持された操作変数の操作量(モデル入力の操作量)(実線)と実操作量(点線)とを図示した。
上述した通り、この段階では、出力変数の予測値の計算には操作変数の将来の実操作量が反映されていないのにも関わらず、図3(e)に示すように、予測開始時点(0時間)以後も溶銑温度の予測値と実績値との間に相応の合致がみられる。これは、炉内の熱容量が大きく、系の無駄時間が長いため、過去の操作の蓄積が将来の溶銑温度の変化に大きく影響を及ぼすことを意味する。なお、以下では、現在の操作変数の操作量が将来も一定に保持されたと仮定して物理モデルを用いて算出された時刻tにおける溶銑温度の予測値を自由応答HMTfree(t)と定義する。
ところが、将来の溶銑温度の予測値が実績値から外れる場合が時折発生することがある。図4(a)〜(f)は、過去の期間における溶銑温度以外の出力変数の計算値及び実績値と溶銑温度の計算値及び実績値とを示す図である。図4(f)に示すように、将来区間における溶銑温度の予測値(計算値(補正前))と実績値とが乖離している。この場合の乖離要因としては、図4(c)に示すように、実際のRARの時間変化率の方が計算上のRARの時間変化率よりも大きいため、RARの実績値の方がRARの計算値より上昇したことが考えられる。このため、本発明では、RARやソルロスカーボン量といった溶銑温度以外の出力変数の過去区間における誤差の時間変化率に基づいて溶銑温度の予測値を補正する。
具体的には、図5(a)〜(e)に示すように、まず、過去8時間分のガス利用率、ソルロスカーボン量、RAR、造銑速度、及び炉体ヒートロス量の誤差(計算値−実績値)δの時間変化率を求める。なお、図5(a)〜(e)には、図4(a)〜(d)に示したケースと同一ケースにおける誤差をプロットしている。ここで、Slope(δRAR)(i)は計算時点(i)におけるRARの誤差の1時間あたりの時間変化率を表す。ガス利用率等の他の出力変数も同様である。次に、将来8時間先の溶銑温度の実績時間変化率と計算時間変化率との差を求める。ここで、δHMT(i)は計算時点(i)から8時間先の溶銑温度の実績時間変化率と計算時間変化率との誤差を示す。以上のステップを過去1ヶ月について繰返すことにより以下の数式(1),(2)に示すようなデータセットが生成される。
Figure 0006729514
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なお、ここでの計算時間変化率とは、上記で述べたように操作変数の将来の操作量を現在値に保持したと仮定して計算された溶銑温度の時間変化率(予測時間変化率)ではなく、操作変数の将来の実操作量を反映した計算により求められた溶銑温度の時間変化率のことを意味する。以下、予測時間変化率ではなく計算時間変化率を用いる理由について説明する。なお、ここでいう「将来」とは、計算時点(i)を基点とした未来のことを意味し、「過去」とは計算時点(i)を基点とした過去のことを意味する。
溶銑温度の将来の予測誤差の要因の内訳として、(a)操作変数の操作量が計算時点から変化したことに由来する部分と、(b)過去の出力変数の誤差に由来する部分とがある。本発明の目的である溶銑温度のオンライン予測を行う際は、将来の操作量の実績値が存在しないため、(a)の影響を溶銑温度の予測に反映させることは難しい。このため、将来区間における操作量の実績値が判明している期間において、将来区間における操作量の実績値を反映させて溶銑温度を計算し、計算値と実績値との差分を溶銑温度の計算誤差として算出することによって(a)の影響を除く。そして、算出された計算誤差には、(b)の過去の反応結果の情報がより明確に現れる。このため、過去の出力変数の誤差から溶銑温度の将来の予測誤差への影響度を定量化するためには、計算時間変化率の方が予測時間変化率よりも適切であると考えられる。
次に、これらの誤差情報を用いて溶銑温度の予測値を補正するステップについて述べる。上記で述べたデータセットにより誤差δHMT(i)(i=1〜N)を目的変数、誤差の時間変化率Slope(δRAR)(i)等を説明変数とした回帰式を構築することができる。具体的には、数式(1)に示す行列X及び数式(2)に示すベクトルyを以下に示す数式(3)に代入することによって、未知変数ベクトルwを求めることができる。
Figure 0006729514
これにより、以下の数式(4),(5)に示すような溶銑温度の予測誤差に関する回帰式を構築できる。この回帰式に基づき溶銑温度の予測値ΔHMT(予測,モデル単体)を補正する。ここで、数式(4),(5)において、ΔHMT(予測,モデル単体)は物理モデル単体により求められた溶銑温度の時間変化量の計算値、ΔHMT(予測,補正後)は本発明により補正された溶銑温度の予測値を示す。また、(now)は実際のオンライン予測時点を意味する。
Figure 0006729514
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図4(a)〜(e)に示す場合について、本発明の手法を用いて溶銑温度の予測値を補正した結果を図4(f)に点線で示す。溶銑温度の予測値が、上方修正され、実績値の推移に近づいていることがわかる。また、10日間のデータ(N=480)を用いて溶銑温度の時間変化量の予測誤差を確認した結果を図6(a),(b)に示す。図6(a)が物理モデル単体での溶銑温度の時間変化量の実績値及び予測値を示す散布図であり、図6(b)が本発明を適用した場合の溶銑温度の時間変化量の実績値及び予測値を示す散布図である。図6(a)に示す散布図の根平均二乗誤差(RMSE)は12.4℃であったのに対して、図6(b)に示す散布図のRMSEは10.7℃であった。このことから、本発明を適用することにより溶銑温度の時間変化量の予測精度が向上することが確認できた。
次に、溶銑温度の制御方法について述べる。高炉プロセスは熱容量が大きいため、操作変数の操作量の変更に対する応答の時定数は12時間程度と非常に長い。このため、炉熱ばらつき低減のためには将来の炉内状態予測に基づいた制御則が有効である。そこで、本発明では、物理モデルによる将来予測に基づいたモデル予測制御系を構築した。
一般的な高炉プロセスでは、炉下部より吹込まれる高温送風の温度及び湿分(送風温度及び送風湿分)、微粉炭吹込み量、コークス比等を操作することにより、溶銑温度は一定に制御されている。以下では送風湿分を操作変数として選択したが、同様のロジックを他の操作変数についても構築可能である。
次に、操作変数の最適操作量の決定方法について述べる。一般的なモデル予測制御には、予測区間(どこまで先までの区間を評価関数とするか)及び制御区間(何手先までの操作量を最適化するか)という2つの調整パラメータが存在する。本実施形態では、予測区間は10時間、制御区間は1ステップとした。但し、これらは調整可能なパラメータであり、本実施形態の値に限定されるものではない。
本実施形態では、以下に示す数式(6),(7)を用いて、10時間先までの溶銑温度目標値HMTrefからの偏差の積分値と送風湿分の操作量ΔBMとから成る評価関数Jを最小化するための送風湿分の操作量ΔBMを求める。
Figure 0006729514
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ここで、HMTpre(t)は、送風湿分変更時の溶銑温度の予測値を示し、数式(7)に示すように自由応答HMTfree(t)に送風湿分の効果を重ね合わせたものである。また、数式(7)において、StpBM(t)は、送風湿分を単位量だけ変化させた際のステップ応答を示す。ステップ応答StpBM(t)は、実機実験により求めた値であってもよいし、数値シミュレーションの計算結果であってもよい。
本発明により求められた最適な送風湿分の操作量及び送風湿分操作時の溶銑温度の予測推移を図7(a),(b)に示す。図7(a),(b)に示すように、目標値(=1500℃)に対して過剰な溶銑温度を予測できた時点でガイダンスに従って送風湿分を先行させて上昇させることにより、過剰な溶銑温度を緩和できることがわかる。これにより、無操作時及びガイダンス操作(適正操作)時の溶銑温度の予測推移を提示することによって、ガイダンス操作の影響を直観的に把握可能な操業ガイダンス装置を構築できる。

Claims (6)

  1. 非定常状態における高炉内の状態を計算可能な物理モデルを用いて高炉における溶銑温度を予測する溶銑温度予測方法であって、
    前記物理モデルを用いて高炉の操作変数の現在の操作量を保持した場合の将来の溶銑温度の予測値を算出する第1ステップと、
    前記物理モデルを用いて計算された過去の期間における高炉内の状態を示す変数の計算値と実績値との差の時間変化率を算出する第2ステップと、
    前記物理モデルを用いて計算された前記過去の期間における溶銑温度の計算値と実績値との差を溶銑温度の計算値の誤差として算出する第3ステップと、
    前記第2ステップにおいて算出された時間変化率を用いて前記第3ステップにおいて算出された溶銑温度の計算値の誤差を求める回帰式を構築する第4ステップと、
    前記物理モデルを用いて計算された現在における高炉内の状態を示す変数の計算値と実績値との差の時間変化率と前記第4ステップにおいて構築された回帰式とを用いて、現在における溶銑温度の計算値の誤差を算出する第5ステップと、
    前記第1ステップにおいて算出された溶銑温度の予測値に前記第5ステップにおいて算出された誤差を加算することによって、前記第1ステップにおいて算出された溶銑温度の予測値を補正する第6ステップと、を含み、
    前記回帰式は、溶銑温度の計算値の誤差を目的変数、溶銑温度の予測時点におけるガス利用率の計算値と実績値との差の時間変化率、溶銑温度の予測時点におけるソルーションロスカーボン量の計算値と実績値との差の時間変化率、溶銑温度の予測時点における還元材比の計算値と実績値との差の時間変化率、溶銑温度の予測時点における造銑速度の計算値と実績値との差の時間変化率、及び溶銑温度の予測時点における炉体ヒートロス量の計算値と実績値との差の時間変化率を説明変数とする回帰式であることを特徴とする溶銑温度予測方法。
  2. 非定常状態における高炉内の状態を計算可能な物理モデルを用いて高炉における溶銑温度を予測する溶銑温度予測装置であって、
    前記物理モデルを用いて高炉の操作変数の現在の操作量を保持した場合の将来の溶銑温度の予測値を算出する第1手段と、
    前記物理モデルを用いて計算された過去の期間における高炉内の状態を示す変数の計算値と実績値との差の時間変化率を算出する第2手段と、
    前記物理モデルを用いて計算された前記過去の期間における溶銑温度の計算値と実績値との差を溶銑温度の計算値の誤差として算出する第3手段と、
    前記第2手段によって算出された時間変化率を用いて前記第3手段によって算出された溶銑温度の計算値の誤差を求める回帰式を構築する第4手段と、
    前記物理モデルを用いて計算された現在における高炉内の状態を示す変数の計算値と実績値との差の時間変化率と前記第4手段によって構築された回帰式とを用いて、現在における溶銑温度の計算値の誤差を算出する第5手段と、
    前記第1手段によって算出された溶銑温度の予測値に前記第5手段によって算出された誤差を加算することによって、前記第1手段によって算出された溶銑温度の予測値を補正する第6手段と、を備え
    前記回帰式は、溶銑温度の計算値の誤差を目的変数、溶銑温度の予測時点におけるガス利用率の計算値と実績値との差の時間変化率、溶銑温度の予測時点におけるソルーションロスカーボン量の計算値と実績値との差の時間変化率、溶銑温度の予測時点における還元材比の計算値と実績値との差の時間変化率、溶銑温度の予測時点における造銑速度の計算値と実績値との差の時間変化率、及び溶銑温度の予測時点における炉体ヒートロス量の計算値と実績値との差の時間変化率を説明変数とする回帰式であることを特徴とする溶銑温度予測装置。
  3. 請求項1に記載の溶銑温度予測方法を用いて補正された溶銑温度に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする高炉の操業方法。
  4. 請求項2に記載の溶銑温度予測装置によって補正された将来における溶銑温度の予測値の推移及び適正操作を実行した場合における将来における溶銑温度の予測値の推移を提示することにより、高炉の操業を支援する手段を備えることを特徴とする操業ガイダンス装置。
  5. 請求項1に記載の溶銑温度予測方法によって補正された溶銑温度の予測値に基づいて溶銑温度を制御する溶銑温度制御方法であって、補正された溶銑温度の予測値と目標溶銑温度との差を最小にするように送風湿分、微粉炭吹込み量、コークス比、及び送風温度のうちの少なくとも1つを含む高炉の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする溶銑温度制御方法。
  6. 請求項2に記載の溶銑温度予測装置によって補正された溶銑温度の予測値に基づいて溶銑温度を制御する溶銑温度制御方法であって、補正された溶銑温度の予測値と目標溶銑温度との差を最小にするように送風湿分、微粉炭吹込み量、コークス比、及び送風温度のうちの少なくとも1つを含む高炉の操作変数の適正操作量を決定し、決定した適正操作量に従って高炉の操作変数を制御するステップを含むことを特徴とする溶銑温度制御装置。
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