JP4224303B2 - 陰唇間パッド及びその包装体 - Google Patents

Description

【０００１】
発明の背景
技術分野
本発明は、女性の陰唇に係着させて用いる、特に、生理用ナプキンと併用され得る陰唇間パッド、並びに、当該陰唇間パッドが個別包装用の包装容器に内包されている包装体に関する。
【０００２】
関連技術
従来より、女性用生理用品としては、生理用のナプキンやタンポンが一般的に用いられている。しかしながら、ナプキンについては、衣服に当接させて用いるものであり、膣口付近への密着性が乏しいために身体との隙間から経血のモレが生じ易く、一方、タンポンは、その物品の属性に起因して、装着時の異物感や不快感を生じ易く、膣内への装着が困難であるという問題があった。
このような状況下、ナプキンとタンポンの中間に位置する生理用品として、近年、陰唇間パッドなる生理用品が注目されるようになってきている。
【０００３】
この陰唇間パッドは、女性の陰唇間にその一部分を挟み込ませ、陰唇に当接させて装着するというものであり、生理用ナプキンに比して小型であるため装着感に優れ、快適であることの他、経血で身体を汚す範囲が狭いため衛生的で清潔であるという利点がある。また、生理用ナプキンよりも身体との密着性が高いためにモレが生じ難く、膣内に挿入するタンポンと比較して装着時の心理的抵抗も少ないという特徴を有している。
【０００４】
例えば、第２図に示す陰唇間パッド２４は、少なくとも陰唇内壁に接触する１対の吸収性パネル２６を備え、各々の吸収パネル２６はその一辺において結合部２８を介して結合されている。このような陰唇間パッド２４においては、着用時においては、吸収パネル２６が少なくとも陰唇内壁に接触するとともに、結合部２８が陰唇の最深部に挿入される。そして、結合部２８が膣口に密着することによって、膣口から流出する経血を確実に遮断し、吸収することができる。
【０００５】
しかしながら、第２図に示す陰唇間パッド２４は、着用者の動作時における陰唇最深部との密着性に劣り、いわゆる横モレやパッドの脱落が発生するという問題があった。陰唇は大腿部の動きに追従して動くものであるために、歩行や運動などの際の大腿部の動作に連動して吸収パネル２６は動く。これに伴って、吸収パネル２６に結合されている結合部２８も動いてしまい、結合部２８が陰唇最深部と密着し続けることができなくなるために、いわゆる横モレやパッドの脱落が発生するのである。
【０００６】
発明の開示
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、着用者の動作時においても陰唇最深部との密着性が良好で、いわゆる横モレやパッドの脱落が発生する危険性を防止することが可能な陰唇間パッドを提供することにある。
【０００７】
上記のような課題を解決するために、本発明においては、吸収シート部を、棒状又は帯状の独立した吸収体であり着用者の膣口近傍に接触する膣口接触吸収体と、平板状の独立した吸収体であり着用者の少なくとも陰唇内壁に接触する陰唇内壁接触吸収体と、を備えるものとし、陰唇内壁接触吸収体の身体側表面の略中心線に沿って膣口接触吸収体を配置することによって、着用者の動作時においても陰唇最深部との密着性を良好なものとし、いわゆる横モレやパッドの脱落が発生する危険性を防止することを可能とするものである。
【０００８】
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【０００９】
（１） 着用時には身体側に対向する吸収シート部と、この吸収シート部を裏打ちするサポートシート部と、から成るものであり、陰唇に係着させて用いる陰唇間パッドであって、前記吸収シート部は、棒状又は帯状の独立した吸収体であり着用者の体液排出口近傍に接触する体液排出口接触吸収体と、平板状の独立した吸収体であり着用者の少なくとも陰唇内壁に接触する陰唇内壁接触吸収体と、を備え、前記陰唇内壁接触吸収体の身体側表面の略中心線に沿って前記体液排出口接触吸収体が配置されていることを特徴とする陰唇間パッド。
【００１０】
本発明の陰唇間パッドは、吸収シート部と、当該吸収シート部を裏打ちするサポートシート部と、から成る。吸収シート部は、着用時には身体側に対向するようにして用いられる部分であり、例えば第３図及び第４図に示す例では、経血を吸収する吸収体４３と、その表面を被覆する透水性の被覆シート４１と、によって構成されている。一方、サポートシート部は、吸収シート部を裏打ちする部分であり、例えば第３図及び第４図に示す例では、不透水性のサポートシート４２によって構成されている。
【００１１】
本発明の陰唇間パッドは、例えば第３図及び第４図に示すように、棒状又は帯状の独立した吸収体であり着用者の体液排出口例えば膣口近傍に接触する膣口接触吸収体４３ａと、平板状の独立した吸収体であり着用者の少なくとも陰唇内壁に接触する陰唇内壁接触吸収体４３ｂと、を備える。そして、陰唇内壁接触吸収体４３ｂの身体側表面の略中心線４６に沿って膣口接触吸収体４３ａを配置したものである。
【００１２】
第３図及び第４図に示す陰唇間パッド４４は、装着時において陰唇間パッド４４を略中心線４６に沿って折曲し陰唇間に挟み込むと、膣口接触吸収体４３ａが膣口を含む陰唇の最深部に密着し、陰唇内壁接触吸収体４３ｂが少なくとも陰唇内壁（場合によっては更に外陰部）に密着するようになる。
【００１３】
このような形態は、吸収体４３が、膣口接触吸収体４３ａと陰唇内壁接触吸収体４３ｂとに分離されているため、各吸収体の自由度が高く、一方の吸収体の挙動が他方の吸収体に伝達され難い。即ち、歩行や運動などの際の大腿部の動作に連動して陰唇内壁接触吸収体４３ｂが動いた場合でも、膣口接触吸収体４３ａはその動きに左右されず陰唇最深部と密着し続けることができる。従って、着用者の動作時においても陰唇最深部とパッドとの密着性が良好なものとなり、いわゆる横モレやパッドの脱落が発生する危険性についても防止することができる。
【００１４】
通常、膣口から排出された経血は陰唇最深部と密着する膣口接触吸収体により吸収されるが、特に使用者の瞬間的な動作において、子宮内もしくは子宮頚部付近（膣の一番奥）に滞留していた経血が一時に排出された場合には、排泄された経血の流速は速くかつ多量であり、陰唇内壁を伝って身体下方向（重力方向）へ流れる。このような高速かつ多量の経血に対しては、膣口接触吸収体の吸収能を超える場合があるが、膣口接触吸収体の下端側に位置する陰唇内壁接触吸収体によってオーバーフローした経血を吸収することができるので、経血の横モレを防止することが可能である。
【００１５】
（２） 前記体液排出口接触吸収体と前記陰唇内壁接触吸収体とが、各々独立した被覆シートに被覆されている上記（１）に記載の陰唇間パッド。
【００１６】
膣口接触吸収体及び陰唇内壁接触吸収体は、例えば第３図及び第４図に示すように、１枚の被覆シート４１により被覆してもよいが、第５図に示すように、膣口接触吸収体４３ａと陰唇内壁接触吸収体４３ｂとを、各々独立した透水性シート４１ａ，４１ｂに被覆したものであることが好ましい。１枚の被覆シート４１により被覆した場合と比較して、各吸収体の自由度がより高いものとなり、一方の吸収体の挙動は他方の吸収体に更に伝達され難くなるため、着用者の動作時における膣口接触吸収体４３ａと陰唇最深部との密着性が向上するからである。
【００１７】
（３） 前記体液排出口接触吸収体と前記陰唇内壁接触吸収体との接合面積率が、身体側から見た前記体液排出口接触吸収体の見かけ面積に対し、２〜８０％の範囲内である上記（１）又は（２）に記載の陰唇間パッド。
【００１８】
膣口接触吸収体と陰唇内壁接触吸収体との接合面積率は、身体側から見た膣口接触吸収体の見かけ面積に対し、２〜８０％の範囲内であることが好ましく、３〜３０％の範囲内であることが更に好ましく、５〜１０％の範囲内であることが特に好ましい。この範囲未満であると着用者の動作によって膣口接触吸収体と陰唇内壁接触吸収体とが完全に分断されてしまい、その機能を果たすことができなくなるおそれがあるからである。一方、この範囲を超える場合には、各吸収体の自由度が低下し、一方の吸収体の挙動が他方の吸収体に伝達され易くなってしまう場合が生じ得るからである。
【００１９】
なお、本明細書において、「見かけ面積」とは、第６図に示すように、膣口接触吸収体４３ａを身体側から見た場合における最大長さＬに最大幅Ｗを掛け合わせた面積Ｓを意味する。当該面積Ｓに対する、膣口接触吸収体４３ａと陰唇内壁接触吸収体４３ｂとの接合面積（各吸収体が被覆シート４１ａ，４１ｂによって被覆されている場合には被覆シート４１ａ，４１ｂ同士の接合面積）の比率を接合面積率とする。
【００２０】
（４） 前記体液排出口接触吸収体の長手方向中央部における前記膣口接触吸収体と前記陰唇内壁接触吸収体との接合部の身体左右方向への曲げ剛性値が１．５ｍＮ以下である上記（１）から（３）のいずれかに記載の陰唇間パッド。
【００２１】
前記膣口接触吸収体の長手方向中央部における膣口接触吸収体と陰唇内壁接触吸収体との接合部の身体左右方向への曲げ剛性値は、１．５ｍＮ以下であることが好ましく、１．０ｍＮ以下であることが更に好ましく、０．５ｍＮ以下であることが特に好ましい。この範囲を超える場合には、各吸収体の自由度が低下し、一方の吸収体の挙動が他方の吸収体に伝達され易くなってしまう場合が生じ得るからである。
曲げ剛性値は、株式会社安田精機製作所のガーレー式柔軟試験機（Ｇｕｒｌｅｙ’ｓ Ｓｔｉｆｆｎｅｓｓ Ｔｅｓｔｅｒ）により測定した値を使用する。
【００２２】
例えば、第７図に示すように、陰唇間パッドの接合部４８を含むように縦方向寸法２５ｍｍ、横方向寸法３８ｍｍにカットした試験片をチャック４７にセットし、各おもりをセットして、試験片が振り子４９の回転ロッドを離れる瞬間の目盛りを読み、換算式により横方向の曲げ剛性値を評価する。この際、横方向寸法３８ｍｍの端部６．３ｍｍの片方が振り子４９にかかる部分となるように、もう片方の端部で長さを調整してからチャック４７側にセットする。このようにすることにより、横方向寸法３８ｍｍにおける２５ｍｍ寸法と縦方向２５ｍｍ寸法の曲げ剛性値を正確に測定することができる。なお、膣口接触吸収体４３ａと陰唇内壁接触吸収体４３ｂとが接合部４８の一部においてのみ接合されている場合には、接合されていない部分も含めて２５ｍｍ長さの部分をカットし、通常通り測定を行えばよい。全く接合されていない場合にはその部分の曲げ剛性はゼロとみなす。
【００２３】
各おもりには、試験片が振り子４９の回転ロッドを離れる瞬間の目盛りが３〜６の間になるように、補助おもりを取り付ける。そして、スイッチを押して、試験片が振り子４９の回転ロッドを離れる瞬間の目盛りを読む。これを上記横方向の両端部において行う。
【００２４】
曲げ剛性値は次の換算式によって得られるものとする。すなわち、試験片の左側から得られた目盛りと右側から得られた目盛りの平均値（１）と、おもりを入れた場合の孔の位置が１インチ目であればおもりの重量［ｇ］を、２インチ目であればおもりの重量［ｇ］の２倍値を、４インチ目であればおもりの重量［ｇ］の４倍値を、それぞれ加算した値を５で割った値（２）と、横方向の実質寸法２５ｍｍ＝１ｉｎｃｈを２乗した値を縦方向寸法２５ｍｍ＝１ｉｎｃｈで割った値（３）とを、それぞれ乗算し、更に９．８８で乗算した値を曲げ剛性値とする。具体的には、下記式で算出する。
【００２５】
曲げ剛性値［ｍＮ］＝｛（ｌｅｆｔ＋ｒｉｇｈｔ）／２｝×｛（＜１＞×１＋＜２＞×２＋＜３＞×４）／５｝×｛Ｌ２［ｉｎｃｈ］／Ｗ［ｉｎｃｈ］｝×９．８８×０．００９８０７
（但し、「ｌｅｆｔ」は試験片の左側から得られた目盛りを、「ｒｉｇｈｔ」は「試験片の右側から得られた目盛り」を意味し、おもりを入れた場合の孔の位置は１インチ目を＜１＞［ｇ］、２インチ目を＜２＞［ｇ］、４インチ目を＜３＞［ｇ］とし、「Ｌ」は横方向の実質寸法である１［ｉｎｃｈ］を、「Ｗ」は縦方向の寸法である１［ｉｎｃｈ］を意味する。）
【００２６】
（５） 前記体液排出口接触吸収体が、その長手方向の両端部において陰唇内壁接触吸収体と接合された状態にあり、その中央部においては陰唇内壁接触吸収体と未接合の状態である上記（１）から（４）のいずれかに記載の陰唇間パッド。
【００２７】
本発明の陰唇間パッドは、例えば、第８図に示すように、膣口接触吸収体４３ａ（或いはこれを被覆する被覆シート４１ａ）が、その長手方向の両端部５０において陰唇内壁接触吸収体４３ｂ（或いはこれを被覆する被覆シート４１ｂ）と接合された状態にあり、その中央部５２においては陰唇内壁接触吸収体４３ｂ（或いはこれを被覆する被覆シート４１ｂ）と未接合の状態であることが好ましい。既述の如く、膣口接触吸収体４３ａの長手方向中央部における膣口接触吸収体４３ａと陰唇内壁接触吸収体４３ｂとの接合部の身体左右方向への曲げ剛性値は小さいほど好ましいが、中央部５２を陰唇内壁接触吸収体４３ｂと未接合の状態とすることにより、その曲げ剛性値をゼロとできるからである。このような態様は、各吸収体の自由度が著しく向上し、一方の吸収体の挙動が他方の吸収体に伝達される事態を確実に防止することができる。
【００２８】
（６） 前記体液排出口接触吸収体の身体前後方向に沿って弾性回復材が配置されている上記（１）から（５）のいずれかに記載の陰唇間パッド。
【００２９】
本発明の陰唇間パッドは、膣口接触吸収体の身体前後方向に沿って弾性回復材が配置したものであることが好ましい。このような形態は、膣口接触吸収体が陰唇の中で最も挟持力の高い陰唇最深部に装着されるものであるところ、その陰唇最深部に弾性回復材が配置されることになるため、外圧或いは陰唇間狭持力に対して弾性回復材の反発力が作用する。従って、その反発力によって膣口接触吸収体が陰唇最深部に密着し続けることが可能となり、陰唇間パッドの陰唇からの脱落をも防止することができる。
【００３０】
弾性回復材の配設位置については、膣口接触吸収体の身体前後方向に沿って配設されている限り特に限定されないが、例えば、第９図に示すように、膣口接触吸収体４３ａの内部に埋設することが好ましい。このようにすることにより、膣口接触吸収体４３ａの厚みが弾性回復材５４の形状や反発力を陰唇内壁に直接伝えることを緩衝できるので、陰唇内壁が必要以上に押圧力を受けることがなく、異物感が生じたり、陰唇を傷つけたりすることを防止することができる。更には、万が一、陰唇間パッド４４装着中に弾性回復材５４を構成するポリマー中の成分が溶出した場合においても膣口接触吸収体４３ａがそれを吸収するため身体に対する安全性にも優れる。
【００３１】
なお、本明細書において、「弾性回復材」というときは、その弾性に基づいて、しなやかな柔軟性と、応力を加えて変形させても速やかにもとの形状に回復する形状回復性と、を併有する材料を意味する。
【００３２】
（７） 前記サポートシートの衣服側に、当該サポートシートの長手方向の各側部において一箇所以上の接合部分と、当該サポートシートの短手方向において一箇所以上の非接合部分と、をもって接合されたミニシート片を備え、前記一箇所以上の非接合部分の少なくとも一つが、前記ミニシート片と前記サポートシートとの間において、前記サポートシートの面方向に指幅の開口が直接的に確保される指挿入用口を形成するものである上記（１）から（６）のいずれかに記載の陰唇間パッド。
【００３３】
本発明の陰唇間パッドには、例えば、第１０図又は第１１図に示すように、指挿入用口６４を形成するためのミニシート片６２を付設することができる。第１０図、第１１図に示すように、ミニシート片６２は、サポートシート４２の短手方向においては、ミニシート片６２の両袖部のうち少なくとも一方の袖部が、サポートシート４２の表面に対して接合されていない。これにより、非接合状態にあるミニシート片６２の一方の袖部とサポートシート４２との間に袖口が形成され、かかる袖口が指の挿入が可能な指挿入用口６４となる。
【００３４】
また、サポートシート４２の長手方向においては、ミニシート片６２はサポートシート４２の左右側部においてのみ接合され、内側については接合（貼着）されていない。このため、ミニシート片６２はサポートシート４２の一の側部から他の側部にまたがった状態で取り付けられることとなり、かかる一の側部から他の側部にまたがった部分において、貫通した或いは非貫通の空間（指挿入用空間）が形成される。かかる空間には、指を挿入して保持することが可能である。
ここで、本明細書において「指幅」とは、指の厚みではないことを意味し、具体的には爪の広がり方向の指の幅のことをいい、「指幅の開口」とは、指を挿入することができるのに十分な大きさを有する開口をいう。
【００３５】
また、サポートシートの面方向に指幅の開口が「直接的に確保される」とは、パッド装着のために指をパッドに自然な形で挿入した場合に（指の腹がサポートシートの衣服側表面に向くようにしてそのまま挿入した場合に）、パッド自体が一次的に指挿入に適するような形となるように形成されていることを意味する。このため、着用者が指を挿入した後に指を回転させることにより面方向に指幅の開口を確保できるというような、二次的にサポートシートの面方向に指幅の開口が形成される場合は除かれることとなる。
【００３６】
以上に説明したようなミニシート片を備えたパッドにおいては、前記指挿入用口に指を挿入することにより、指先にパッドを一時的に固定して保持することが可能となる。この場合において、指挿入用口は、着用者の指幅の開口となるように形成されているため、扁平な形状である指先が、サポートシートに対して異方向となることなく、自然にサポートシートの面に接するように挿入されるようになる。即ち、指挿入用口が着用者の指先形状に倣ってサポートシートの面方向に幅広な形状となっているため、着用者の指挿入方向が決定され、指先の腹で装着ポイントを探知するように着用者を仕向けることができるのである。これにより、目視困難な陰唇間への装着であっても、正確な装着ポイントを的確に把握しながら、適切な位置にパッドを装着することが可能となる。
なお、本発明において、サポートシートの長手方向における「側部」には、パッドの周縁部のみならず、ミニシート片の接合可能な周縁部近傍も含まれる。
【００３７】
（８） 生理用ナプキンと併用される生理用ナプキン併用用陰唇間パッドである上記（１）から（７）のいずれかに記載の陰唇間パッド。
【００３８】
生理用ナプキン（以下、単に「ナプキン」と記す。）の利用者の中には、経血の量が多いときは何枚か重ねて使用するという者もいるが、ゴワゴワする等、装着感が悪く、衣服の外部からパッドの存在を察知され易い（目立つ）という問題があった。また、膣近傍以外の重ね使用が不要な部分にまでナプキンが重ねられてしまうため、かぶれやムレの原因ともなっていた。しかし、パッドとナプキンを併用することにより、膣近傍のみに生理用品が重ねられることとなるため、上記の問題を回避することが可能である。更には、ナプキンを交換することなく、パッドのみを交換することができるため、着用者は人目につき易い大きさのナプキンを持ち歩かずに済む、という効果もある。
ここで生理用ナプキンとは経血吸収用として販売されているナプキンだけでなく、おりもの吸収用シートも含んでよい。
【００３９】
（９） 前記陰唇間パッドは尿失禁用の陰唇間パッドであることを特徴とする上記（１）から（８）のいずれかに記載の陰唇間パッド。
【００４０】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、尿失禁用の吸収パッドとして使用することができる。即ち、経血を排出する膣口と尿を排出する尿道口とはいずれも陰唇間に位置するものであるため、本発明に係る陰唇間パッドを陰唇間に挟み込んで使用した場合には、尿を吸収することができる。
このように、本発明によれば、尿を陰唇間、特に尿道口付近で吸収できるので、尿失禁特に軽度の尿失禁に対して有効な吸収パッドを得ることができる。
【００４１】
（１０） 前記陰唇間パッドはおりもの吸収用の陰唇間パッドであることを特徴とする上記（１）から（８）のいずれかに記載の陰唇間パッド。
【００４２】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、陰唇間パッドをおりもの吸収用として使用することができる。即ち、本発明に係る陰唇間パッドは陰唇間に挟み込んで使用するものであることから、膣口からの経血以外の分泌物（おりもの）も吸収することができるので、そのための用途（おりもの吸収用）にも使用することができるのである。
このように、本発明によれば、おりものを吸収して着用者の不快感を軽減することができるため、生理時以外の着用者にとっても有効である。
【００４３】
（１１） 上記（１）から（１０）のいずれかに記載の陰唇間パッドが個別包装用の包装容器に内包されている包装体。
【００４４】
陰唇間パッドを個別包装すると、パッドを一つずつ（個別包装毎に）持ち運ぶことが可能となる。このような形態は、複数のパッドを１つの包装容器内に内包させた場合と比較して、パッドを清潔に保ちつつ、持ち運びが容易となり、簡便な取扱いに資する。
【００４５】
（１２） 上記（７）から（１０）のいずれかに記載の陰唇間パッドが、開封口を有する個別包装用の包装容器に内包されている包装体であって、前記陰唇間パッドが、前記指挿入用口が前記開封口に向かって開口するように、前記包装容器に内包されている包装体。
【００４６】
「指挿入用口が開封口に向かって開口するように」とは、第１２図に示すように、包装体７２を開封するとその開封口にミニシート片６２、ひいてはそれによって形成される指挿入用口６４が表出し、即時に指挿入用口６４に指を挿入することができるように内包されていることを意味する。例えば、第１２図に示す包装体７２は、包装容器７６の上面側に付設されたタブテープ７４を、図の右側に向かって引っ張ることにより開封することができ、その開封口に指挿入用口６４が表出し、開封口に向かって開口する。従って、着用者は、即時に指挿入用口６４に指を挿入することができる。
【００４７】
（１３） 前記陰唇間パッドが、前記ミニシート片が前記陰唇間パッドの長手方向の略中心線に沿って衣服側方向に向かって山折り状となるように、前記包装容器に内包されている上記（１２）に記載の包装体。
【００４８】
「衣服側方向に山折り状となるように」とは、衣服側を凸として完全に折曲している場合の他、第１３図に示すように、衣服側を凸として湾曲している場合も含む意味である。このように、陰唇間パッド４４を包装容器７６内に内包させることによって、包装容器７６の開封時に折り畳まれた指挿入用口６４が自然に開くため、着用者は指を挿入する箇所を容易に把握することができ、パッドの装着を一層迅速かつ簡易なものとすることができる。
【００４９】
この態様においては、ミニシート片が「山折り状」となっていればよく、パッド全体が「山折り状」となっていることを要しない。従って、例えば第１３図に示すように、陰唇間パッド４４全体を「山折り状」に折り畳んで包装容器７６内に内包した包装体７２以外に、第１４図に示すように、ミニシート片６２のみを「山折り状」とする一方、陰唇間パッド４４の本体部分については、衣服側に向かって谷折り状に折り畳んで包装容器７６内に内包した包装体７２であってもよい。
【００５０】
また、包装容器の開封形式は特に限定されず、第１３図や第１４図に示すように、その上端側を切り取って開封する包装容器７６の他、第１５図に示すように、上端から左右両側に（いわゆる観音開き式に）開封する包装容器７６のようなものであってもよい。
【００５１】
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好適な実施形態の例について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書において、「嵩高」というときは吸収シート体が突出している方向の寸法を意味し、「幅」というときはパッドの短手方向への寸法を意味し、「長さ」というときはパッドの長手方向への寸法を意味する。
第１図は、本発明に係る陰唇間パッド１４を示す図であり、（ａ）は上面図であり、（ｂ）は（ａ）のＡ−Ａ’断面図である。
【００５２】
［（Ａ）基本的な陰唇間パッドの構成］
第１図の（ａ）及び第１図の（ｂ）に示すように、本発明の基本的な陰唇間パッド１４は、吸収シート部と、吸収シート部を裏打ちするサポートシート部と、から成る。吸収シート部は、少なくとも経血を吸収する吸収体１３を備え、その表面を所望により透水性の被覆シート１１にて被覆して成るものであって、着用時には身体側に対向するようにして用いられる。そして、吸収シート部は、棒状又は帯状の独立した吸収体であり着用者の膣口近傍に接触する膣口接触吸収体１３ａと、平板状の独立した吸収体であり着用者の少なくとも陰唇内壁に接触する陰唇内壁接触吸収体１３ｂと、を備えている。膣口接触吸収体１３ａは陰唇内壁接触吸収体１３ｂの身体側表面の略中心線に沿って配置されている。一方、サポートシート部１４ｂは、不透水性のサポートシート１２によって構成されている。
【００５３】
なお、陰唇間パッド１４の全体形状としては、陰唇に係着するのに好適な形状であれば特に限定されないが、実質的に縦長の形状であることが好ましく、例えば、楕円型、卵型、ひょうたん型、雫型等の形状とすることができる。陰唇間パッド１４のサイズは、長さは５０〜１５０ｍｍであることが好ましく、８０〜１２０ｍｍであることが更に好ましい。この範囲を超えると、陰唇間に挟み込まれない領域がナプキンやショーツ等に擦れて摩擦を生じることにより、パッドが陰唇間から脱落するおそれがある。この範囲未満であると、陰唇間に挟み込まれる領域が減少するため、陰唇との接触面積が低下し、着用者の動作等の衝撃によりパッドが陰唇間から脱落するおそれがある。
【００５４】
また、膣口接触吸収体の身体側からみた見かけ幅（短手方向の長さ）に対する陰唇内壁接触吸収体の見かけ幅は１５０〜６００％の範囲であることが好ましい。更に、陰唇内壁接触吸収体の見かけ幅を１０〜６０ｍｍ、好ましくは２０〜４０ｍｍの範囲とすることによって、膣口接触吸収体は陰唇の最深部に密着し、殷賑内壁接触吸収体は陰唇内壁に密着し、外陰部をも被覆するように装着される。このような形態は、陰唇内壁接触吸収体が外陰部を被覆するように装着されるので、高速かつ多量で陰唇内壁を身体下方向（重力方向）へ流れる経血に対して、陰唇内壁接触吸収体の吸収面が垂直に位置することになり、より確実に経血を吸収することが可能となる。
【００５５】
膣口接触吸収体の身体側からみた見かけ幅は１．５〜４０ｍｍ、好ましくは３〜２５ｍｍの範囲であることが好ましい。この範囲未満であると、膣口接触吸収体の吸収能が低くなってしまうおそれがあり、この範囲を超えると、膣口接触吸収体が陰唇内壁と接触する面積が増大し、陰唇内壁の挙動変化が膣口接触吸収層に伝達されてしまうため、陰唇最深部に対する膣口接触吸収体の密着性を阻害するおそれがある。膣口接触吸収体の断面形状は、円型、楕円型、三角型、四角型、ドーナツ（中空）状等、特に限定されないが、パッドを陰唇間に進入させる装着過程や装着時において、陰唇最深部と密着し続けるためには、楕円型、或いは中空の楕円型であることが好ましい。
【００５６】
なお、被覆シート１１に内包される吸収体１３のサイズは、被覆シート１１に内包した際にその周縁部が硬くなり装着感を悪化させることを防止するべく、被覆シート１１の外輪郭から２〜１０ｍｍ程度小さく構成することが好ましい。
【００５７】
膣口接触吸収体１３ａと陰唇内壁接触吸収体１３ｂ（或いはこれらを被覆する被覆シート１１ａ，１１ｂ）との接合方法は、ヒートエンボス加工や接着剤による接着を単独で若しくは組み合わせて使用することができる。陰唇間パッド１４使用時（経血による湿潤時）を考慮すると、上記各吸収体（或いはこれらを被覆する被覆シート）をヒートエンボス加工による接合、若しくはヒートエンボス加工と接着剤による接着を組み合わせて接合することが好ましい。この際使用される接着剤としては、水不溶性のスチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体（ＳＥＢＳ）、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体（ＳＢＳ）、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体（ＳＩＳ）等の合成ゴムを主体とする感圧型接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）等の熱可塑性樹脂を主体とする感熱型接着剤、水溶性の熱可塑性樹脂（例えば、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ））を主体とする接着剤、デンプン糊、或いは、アクリル酸を主体とし、これに架橋剤、可塑剤又は水を含んで成る感水性ジェル、シリコーンを主体とし、これに架橋剤と可塑剤を含んで成る不感水性ジェル等が挙げられる。接着剤の配置の仕方としては、面状、ドット状、網目状、筋状などから適宜選択すればよい。
【００５８】
［被覆シート］
被覆シートは、透水性であって、肌に刺激を与えない材料から選択することが好ましい。例えば、メルトブローン、スパンボンド、スルーエア、ポイントボンド、ニードルパンチ、スパンレース等の製造方法から得られる不織布を用いることができるが、陰唇内壁との接触率を考慮すると、スパンレース、メルトブローン、ニードルパンチ等の製造方法から得られる不織布を単独で、或いはいくつか複合して用いることが好ましい。
【００５９】
レーヨン、アセテート、天然繊維であるコットンやパルプ、或いは合成樹脂からなる単独繊維または芯鞘構造の複合繊維、親水化処理された合成繊維等から選択される単独または混合された繊維をシート状としたものも好ましい。具体的には、合成繊維を１０〜１質量％、天然コットンを４〜３０質量％、レーヨン又はアセテートを６０〜９５質量％の比率で配合した繊維を、目付２０〜５０ｇ／ｍ２の範囲で調整した後に、水流交絡法により繊維同士を交絡させ、乾燥させ、厚みを０．１〜１．０ｍｍの範囲で調整したスパンレース不織布等が挙げられる。
【００６０】
上記スパンレース不織布に合成繊維を配合するのは、被覆シートが経血に接触して湿潤した場合でもその嵩や繊維間距離を維持し易いためである。また、合成繊維の配合比がやや低いのは、経血により湿潤した場合でもその単糸剛性が保たれるため、必要以上に配合すると、高い単糸剛性により陰唇内壁を傷つけるおそれがあるからである。合成繊維は、ＰＰ、ＰＥ、ＰＥＴ等の単繊維、またはＰＥとＰＰのグラフト重合体で形成された繊維、さらには芯部がＰＰまたはＰＥＴで鞘部がＰＥの芯鞘構造、偏芯タイプの芯鞘構造、サイドバイサイド構造の複合合成繊維であることが好ましい。また、必要に応じて酸化チタンや炭酸カルシウム等からなるフィラーを０．５〜１０質量％の範囲で混入させることにより、白濁化させて使用することも好ましい。
【００６１】
上記スパンレース不織布に使用する繊維は、天然コットンであれば繊維長１５〜６０ｍｍの範囲、レーヨンまたはアセテートであれば繊維長２５〜５１ｍｍの範囲であって、その繊度が１．１〜６．６ｄｔｅｘの範囲から選択されるものである。この場合においては、比表面積が高い繊維を使用すると、陰唇内壁との接触面積を増大できるので、パッドの陰唇からの脱落を低減できる点において好ましい。例えば、繊維断面形状がＹ型やＣ型などの異型断面形状であるレーヨン又はアセテートを用いることが好ましい。断面形状を異型断面形状とすると、真円形状と比較して比表面積が増大する他、繊維間の空隙が増大し、被覆シートの剛性値が低下するため、陰唇内壁への密着性が高まり、パッドの陰唇からの脱落や、経血モレの危険性が低下する点においても好ましい。
【００６２】
別の好ましい被覆シートの例としては、合成繊維を１５〜５質量％、天然コットンを５０〜１０質量％、更にレーヨン又はアセテートを３５〜８５質量％の比率で配合した目付２０〜５０ｇ／ｍ２のスパンレース不織布を、幅方向に１０〜８０％程度拡幅し、更に長手方向に１０〜８０％程度延伸したスパンレース不織布が挙げられる。このスパンレース不織布は、平面状態において粗密勾配が高く、かつ、繊維間の交絡が一旦緩むため、各繊維、特に単糸剛性の高い合成繊維がスプリングバックしているものであり、陰唇内壁側に突起する略ループ形状の繊維を有するスパンレース不織布である。
【００６３】
この突起した略ループ形状の繊維は、陰唇内壁とパッド表面におけるせん断方向への摩擦抵抗を緩衝できるため、陰唇内壁を破損する危険性が低下するばかりでなく、略平坦形状をした陰唇内壁を下着方向へ伝って流れる経血の流速を低下させることができ、パッド内部の吸収体に経血を移行し易くなる。
【００６４】
突起させる略ループ形状の高さやピッチは、不織布の拡幅率や延伸率を変化させるか、不織布の製法によって繊維間交絡力を変化させるか、或いは合成繊維として、偏芯タイプの芯鞘構造又はサイドバイサイド構造の複合合成繊維を使用し、樹脂の熱収縮率の差を利用して各繊維単糸の捲縮率を調整する等の方法により制御することができる。
【００６５】
更に別の好ましい被覆シートの例としては、熱可塑性フィルムをパーフォレーションまたは熱プレス等により開孔したフィルム、もしくはこれと不織布とを複合シートとしたものが挙げられる。中でも、前記複合シートの不織布部分にウォータージェット処理をすることにより、起毛した微細な突起物を多数設けたものが好ましい。前記突起物により生ずる表面抵抗が経血の被覆シート表面での流動速度を低下させ、経血を流下させず、確実に吸収させることが可能となる。突起物の高さ及び突起物間の距離は０．１〜４ｍｍの範囲であることが好ましい。この範囲未満であると経血がパッド内部へ入り込む隙間が小さくなることから経血を確実に吸収することが困難となるため、この範囲を超えると装着時の体圧などによって突起物が倒れてしまうおそれがあるため、いずれも好ましくない。
【００６６】
なお、被覆シートには、部分的もしくは全体的に開孔を施したものであってもよく、その開孔率は３〜３０％の範囲であることが好ましい。この範囲未満であると経血を吸収体側に移行する効果が低いため、この範囲を超えると陰唇内壁との接触率が低下するためにパッドが陰唇間から脱落する危険性があるため、いずれも好ましくない。
【００６７】
このような材料のうち、陰唇内面からの液移動性や活性剤による化学的刺激及び陰唇内壁との密接性を考慮すると、身体面側には繊度１．１〜４．４ｄｔｅｘ、繊維長７〜５１ｍｍからなるレーヨンを合計目付に対して４０〜８０％を積層、その衣服面側には繊度１．１〜４．４ｄｔｅｘ、繊維長７〜５１ｍｍからなり合計目付に対して１４〜４２％のレーヨンと繊度１．１〜４．４ｄｔｅｘ、繊維長７〜５１ｍｍからなり合計目付に対して６〜１８％のＰＥＴを混合して積層し、２層の合計目付が２０〜６０ｇ／ｍ２となるよう積層した後、水流交絡により繊維同士を絡合させて乾燥させ、厚みを０．１３〜０．５０ｍｍの範囲で調整したスパンレース不織布が好ましい。この際、衣服面側にＰＥＴを混入する事により、透水性シートが湿潤状態になっても嵩を維持しやすいため陰唇内壁との密接性を保つことができる。
【００６８】
［吸収体］
吸収体は液体（経血）の吸収保持が可能であればよく、嵩高であり、型崩れし難く、化学的刺激が少ないものであることが好ましい。例えば、粉砕パルプ、レーヨン、アセテート、天然コットン、ケミカルボンド処理されたエアレイドパルプ、高吸収性ポリマー、繊維状高吸収性ポリマー、合成繊維などを適宜配合して成るものである。また、先に述べた被覆シートと同様のシート状物を使用してもよい。
【００６９】
吸収体は、液体（体液）の吸収保持が可能であればよいが、嵩高であり、型崩れし難く、化学的刺激が少ないもので、さらには陰唇への適合が高い柔軟性を有することが好ましい。具体的には、衣服面側には、繊維長１〜１０ｍｍの範囲から選ばれるパルプを５０〜１５０ｇ／ｍ２積層し、その身体面側には、繊度１．１〜４．４ｄｔｅｘ、繊維長２０〜５１ｍｍの範囲から選ばれるレーヨンを６０〜９０％、天然コットンを４０〜１０％の混合比で１５０〜２５０ｇ／ｍ２積層してドット状のエンボス加工によりシート化させた、嵩２〜１０ｍｍ、好ましくは３〜５ｍｍに調整した不織布シートが挙げられる。これにより、身体面側から衣服面側へ液体を移行させやすく、吸収保持力が高まる。さらには、上記パルプ層の身体面側には繊度１．１〜４．４ｄｔｅｘ、繊維長２５〜５１ｍｍからなるレーヨンを目付１５〜４０ｇ／ｍ２に調整したメッシュスパンレース不織布を敷設する事により、身体面側から移行してきた液体をメッシュスパンレースにより拡散させ、パルプ層のほぼ全域に液体を誘導させる事ができるので、効率良くより多くの液体を吸収する事が可能である。
【００７０】
［サポートシート］
サポートシートに使用する材料は、透水性の素材を用いる場合には被覆シートと同様のものを用いることができる。この場合には、パッドを生理用ナプキンと併用することが好ましい（生理用ナプキン併用用パッド）。
【００７１】
また、前記サポートシートに不透水性の素材を用いる場合には、吸収体に保持された経血が陰唇間パッドの外へ漏れ出すことを防止することができる。更に、透湿性素材から成ることにより、装着時のムレを低減させることができ、装着時における不快感を低減させることが可能となる。
【００７２】
不透水性の素材を採用する場合にあっては、ＰＥ，ＰＰ等の合成樹脂を薄膜化した不透水性フィルム、合成樹脂に無機フィラーを充填して延伸処理を施して成る通気性フィルム、紙や不織布と不透水性フィルムを複合化したラミネートフィルム、撥水処理されたスパンボンド又はスパンレースなどの不織布の裏面に通気性の樹脂フィルムが接合されたものなどを好適に用いることができる。なお、不透水性シートに通気性を付与する方法としては、１０〜３０％の開孔率で、孔径０．１〜０．６ｍｍの毛細管を吸収体に向けて形成する方法などが挙げられる。
【００７３】
不透水性の素材を採用する場合のより具体的な構成例としては、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）樹脂を主体とした、密度０．９００〜０．９２５ｇ／ｃｍ３、目付１５〜３０ｇ／ｍ２の範囲から得られるフィルムが挙げられる。装着感を損なわない柔軟性を考慮したものである。
【００７４】
さらに好ましくは、陰唇間に装着されている際に、不透水性シート同士、または併用するパッド、下着などに接触した時に、摩擦が高く陰唇間パッドが陰唇から脱落してしまう危険性を低下させるために、上記フィルムにエンボス加工をし、凸状の隆起部を設ける事で、接触率を低下させ摩擦抵抗値を少なくさせてあっても良い。
【００７５】
［弾性回復材］
弾性回復材としては、例えば、エラストマー成分、発泡ポリエチレンなどの発泡体等を単独で若しくは所定の比率で混合して使用することができる。具体的には、エラストマー成分は１０〜９０質量％、好ましくは１５〜６０質量％の範囲で含有するものが好ましい。１０質量％未満であると十分な圧縮回復率が得られず、９０質量％以上であれば圧縮回復率の飛躍的な向上は見られない一方で、シート成形が困難となる不具合がある。
【００７６】
エラストマー成分としては、例えば、ポリエステル系、ウレタン系、オレフィン系、スチレン系、ポリアミド系の熱可塑性エラストマー、メタロセン触媒を用いた低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられ、これらの成分を単独で或いは適宜混合して使用すればよい。
【００７７】
ポリエステル系エラストマーとしては、芳香族ポリエステルをハードセグメントに、非晶性ポリエーテルや脂肪族ポリエステルをソフトセグメントにしたもの等が挙げられる。ウレタン系エラストマーとしては、ポリエステル、低分子グリコール、メチレンビスフェニルイソシアネート等から成るポリウレタンがあり、具体的には、ポリラクトンエステルポリオールに、短鎖ポリオールの存在下、ポリイソシアネートを付加重合したものが挙げられる。
【００７８】
オレフィン系エラストマーとしては、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体やこれに第三成分としてジエンを共重合させたものが挙げられる。スチレン系エラストマーとしては、ＳＥＢＳ、ＳＩＳ、ＳＥＰＳ、ＳＢＳ等のブロック共重合体が挙げられる。ポリアミド系エラストマーとしては、ナイロンをハードセグメントに、ポリエステルまたはポリオールをソフトセグメントにしたものが挙げられる。
【００７９】
エラストマー成分の構成ポリマー中には弾性材の成形を安定させるために、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、或いは線状低密度ポリエチレン等を配合してもよい。更には、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消剤、その他の各種改良剤を配合することもできる。
【００８０】
弾性回復材は繊維状物の集合体から成るものであってもよい。繊維状物の集合体はエラストマー成分及び非エラストマー成分から構成することができ、得られる弾性材の圧縮回復性に優れ、成形時に繊維同士を熱で融着できる点において好ましい。前記繊維状物の集合体における非エラストマー成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系成分、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系成分、更にはナイロン、アクリル等が挙げられる。非エラストマー成分の構成ポリマーの中には紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消剤、着色剤、その他の各種改良剤が配合されていてもよい。
【００８１】
弾性回復材の断面形状は、円型、楕円型、三角型、四角型、ドーナツ状等特に限定されないが、無荷重時の幅は１〜１０ｍｍの範囲であることが好ましい。この範囲未満であると、着用中の陰唇間狭持力に対する弾性回復材の反発力が吸収体によって完全に緩衝されてしまい、パッドの脱落の危険性が高まってしまう。この範囲を超えると、製品着用時に弾性回復材が屈曲して逆Ｖ字型となるように折り込まれるため、弾性回復材に座屈反発力が発生してしまう。座屈反発力は一方向への力であり、力がかかる場所が集中するために使用者に違和感を与えさらには陰唇を傷つけるおそれがある。
【００８２】
目付は１０〜１００ｇ／ｍ^２の範囲であることが好ましい。この範囲未満であると、圧縮回復率や弾性回復材の反発力が低下してしまい、パッドの脱落の危険性が高まってしまう。一方、この範囲を超えると剛性が高まり着用者に異物感を与えてしまう。
【００８３】
弾性回復材の圧縮回復率は５０％以上、反発力は５０％圧縮時において４９０〜４９００Ｐａの範囲であることが好ましい。この範囲未満であると、吸収体によって反発力が完全に緩衝されてしまう。この範囲を超えると陰唇内壁が必要以上に押圧され、着用者に異物感を与え、陰唇を傷つけるおそれもある。
【００８４】
なお、圧縮回復率及び反発力はカトーテック社のＫＥＳ圧縮特性ＦＢ−３ ＡＵＴＯ−Ａ Ｔｅｓｔｅｒ（商品名）を使用し、測定条件は端子面積２ｃｍ２、最大荷重４９００Ｐａ、速度５０ｓｅｃ／ｍｍに設定し、１００ｍｍ×１００ｍｍにカットした試験片を試験台の上にセットして測定した値である。
【００８５】
［ミニシート片］
ミニシート片は、織布及び不織布、プラスチックシート等のシート状構造物であれば特に限定されないが、エンボス賦型、プリーツ賦型や噴火口賦型といった表面凹凸加工によって表面接触面積を低下させたシート状構造物であることが好ましい。また、短手方向に伸長性もしくは伸縮性を有するシート状構造物が好ましい。
【００８６】
ミニシート片を構成する材質としては、天然繊維であるコットン、シルク、麻等、再生繊維である再生セルロース繊維、レーヨン、銅アンモニアレーヨン等、合成繊維であるポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維（ナイロン等）、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアクニロニトリル系繊維、ポリウレタン等が挙げられる。
【００８７】
特に、ミニシート片を不織布で構成する場合、ウェブフォーミングは乾式（カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法）や湿式等の何れか、または複数の方法を組み合わせてもよい。また、ボンディングの方法としては、サーマルボンディング、ニードルパンチ等の方法が挙げられるが、特に限定はなく、水流交絡法により形成したスパンレースも好適に用いることができる。
【００８８】
また、ミニシート片をプラスチックシートで構成する場合、熱可塑性樹脂（ＰＥ、ＰＰ、ＰＥＴ、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等）のシート、多孔性発泡体等を用いることができる。短手方向に伸長性もしくは伸縮性を付与する方法としては、ミニシート片を熱可塑性エストラマー樹脂を使用した繊維状シートやフィルムシートにより構成する方法、或いはミニシート片を非弾性伸縮性素材と熱可塑性エラストマーや天然ゴム等の弾性伸縮性素材とを組み合わせた素材により構成する方法がある。
【００８９】
ミニシート片の形態としては、例えば、第１６図に示すように、陰唇間パッド４４を構成するサポートシート４２の衣服側表面に沿って、陰唇間パッド４４の短手方向に帯状のミニシート片６２を横断的に配置する形態が挙げられる。この形態では、ミニシート片６２は陰唇間パッド４４の両側端において固定され、陰唇間パッド４４の長手方向に向かって開口部、即ち指挿入用口６４が形成されている。
【００９０】
上記形態においては、指７８の腹をサポートシート４２に当接させながら指挿入用口６４に指７８を挿入すると、第１７図に示すように、陰唇間パッド４４の長手方向と陰裂８０の方向とが同一方向を向く。そして、指７８の腹で陰唇間パッド４４を陰唇内部に押し込むことができるため、陰唇間パッド４４を確実に装着することが可能となる。
【００９１】
また、ミニシート片は、例えば、第１８図に示すように、陰唇間パッド４４の長手方向の中央部近傍から当該長手方向の一の縁端８２まで、陰唇間パッド４４を構成するサポートシート４２が完全に被覆されるように構成してもよい。このような形態は、指７８の先端がミニシート片６２から露出することが防止され、経血と指７８とが非接触の状態に保たれるため、衛生的な取扱いが可能となる点において好ましい。
【００９２】
なお、例えば、第１９図に示すような、帯状のミニシート片６２を間隔を空けて複数形成した陰唇間パッド４４も、指９１の先端がミニシート片５２から露出することが防止されるため、第１８図に示す陰唇間パッド４４と同様に、衛生的な取扱いが可能となるという効果を得ることができる。
【００９３】
また、ミニシート片とサポートシートとが適当な強度で接合されるように、その接合強度については、パッドの短手方向の破断強度を０．３〜１．２Ｎ／１０ｍｍの範囲に設定することが好ましい。なお、この破断強度は、１０ｍｍ幅当りの破断強度であり、テンシロン引張試験機にて、チャック間隔２０ｍｍで、上部チャックにミニシート片を、下部チャックにサポートシートを挟み、速度１００ｍｍ／ｍｉｎで引っ張って評価した値である。
【００９４】
また、ミニシート片に対しては、ミニシート片の識別を着用者が容易に行うことができるようにするために、着色や模様等の印刷といった方法を用いて、サポートシートとは異なる色調や模様、色度を有するように調整することもできる。
【００９５】
［粘着部］
パッドが陰唇間から脱落する危険性を更に低減させるため、膣口接触吸収体、陰唇内壁接触吸収体、或いはこれらを被覆する被覆シートの表面に粘着剤を塗布して粘着部を形成することが好ましい。この粘着部を着用者の陰唇付近に接着させることでパッド脱落の危険性が低下する。
【００９６】
粘着部の配置の仕方としては、面状、ドット状、網目状、筋状などが挙げられる。粘着部の位置は身体への固定が可能であれば特に限定されないが、陰唇付近、特に陰唇の手前部分にある陰毛の存在を考慮した上で、パッドの両側部近傍に筋状に１〜５ｍｍ程度の幅で配置することが好ましい。
【００９７】
「粘着部」は表面側シートに粘着剤を塗布することにより形成することができる。本発明において使用可能な粘着剤としては、水溶性高分子、架橋剤、可塑剤、水分から成るゲル粘着剤等が挙げられる。より具体的には、水溶性高分子の例として、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース等が、架橋剤の例として、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムのような水溶性金属塩が、可塑剤の例として、グリセリン、ワックス、パラフィン等が挙げられる。
【００９８】
この他にも、感圧型ホットメルト粘着剤も粘着部を形成するための粘着剤として使用することができる。感圧型ホットメルト粘着剤は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体（ＳＩＳ）、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体（ＳＢＳ）、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体（ＳＥＢＳ）、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体（ＳＥＰＳ）のような合成ゴム樹脂を主たる成分とし、そこにテルペン樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤とワックス等の可塑剤を溶融混合することによって得られる。
【００９９】
更には、シリコーン樹脂系粘着剤も使用することが可能である。シリコーン樹脂系粘着剤としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂を主たる成分とし、白金、モリブデン、アンチモン等の金属塩等の架橋剤、エステル系ワックス、グリセリン、マシンオイル等の可塑剤を混合して成る混合物などが挙げられる。
【０１００】
このように粘着部を形成するための粘着剤は多種類存在するが、塗布安定性を考慮すると、感圧型ホットメルト粘着剤を用いることが好ましい。塗布安定性が高い感圧型ホットメルト粘着剤としては、ＳＥＢＳを１５〜２５質量％、可塑剤を１５〜３５質量％、粘着付与剤を４０〜７０質量％で溶融混合したものが挙げられる。この感圧型ホットメルト粘着剤については、酸化防止剤、蛍光防止剤などを０．１〜１．０質量％の範囲で添加してもよい。
【０１０１】
この粘着力の評価方法の一例について説明する。かかる評価方法は、粘着剤の剥離強度（第２０図）、及び粘着剤のせん断強度（第２１図）を測定するものであり、定速伸張引張試験機及び長さ８０ｍｍ×幅５０ｍｍのステンレス板８４を用いて行う。評価試験を行うに際しては、予め、ステンレス板８４と略同サイズのポリエチレンフィルム８６に、粘着剤８８を幅２５ｍｍ、長さ５０ｍｍとなるよう塗布したものを室温下（２０℃）で３０分放置しておく。次に、ステンレス板８４に粘着剤８８が接触するようポリエチレンフィルム８６を重ねて軽く載せ、３０ｇ／ｃｍ２の押圧力でローラーを１回（片道のみ）かける。その後に室温下（２０℃）に３０分放置して試験片を作製する。
【０１０２】
前記のように作製した試験片のポリエチレンフィルム８６の部分を、剥離強度試験においては第２０図に示す矢印Ａの方向に引っ張って剥離し（１８０°剥離）、せん断強度試験においては第２１図に示す矢印Ｂの方向に引っ張る。但し、試験条件は、引張速度を１００ｍｍ／ｍｉｎとする。
【０１０３】
上記方法により測定した場合における剥離強度の測定値は１００〜２０００ｍＮ／２５ｍｍ、せん断強度の測定値は３０００〜１５０００ｍＮ／２５ｍｍであることが好ましい。着用者の肌への負担を考慮したものである。
【０１０４】
なお、粘着部については、一般に剥離紙として用いられている薄葉紙にシリコーン樹脂をコーティングして成るシート、又はプラスチックフィルムにシリコーン樹脂をコーティングして成るシートで被覆しておくことが好ましい。こうすることにより、保管時における粘着部の汚損や剥離を防止し得る。
【０１０５】
［包装容器］
本発明の陰唇間パッドを包装する包装容器は、従来公知のものを用いることができる。例えば、ＰＥ、ＰＰ、ＰＥＴ等から成る不織布や厚さ１５〜６０μｍ程度のフィルム、紙、或いはこれらをラミネート加工したラミネート材などが挙げられる。
【０１０６】
なお、包装容器の内表面側については、柔軟な風合いを考慮して、目付１５〜５０ｇ／ｍ２の範囲であるクレープティッシュ、コットンとパルプの混合物であって、少なくとも１０質量％以上のコットンを含む、目付１５〜７０ｇ／ｍ２の範囲である湿式スパンレース不織布、少なくとも３０質量％以上のレーヨンを含む、目付２０〜７０ｇ／ｍ２の範囲であるスパンレース不織布、目付２０〜５０ｇ／ｍ２の範囲である、ＰＰからなるメルトブローン不織布などで構成することが好ましい。また、目付５〜２０ｇ／ｍ２の範囲であるメルトブローン不織布を、目付６〜１０ｇ／ｍ２の範囲であるスパンボンド不織布によりサンドイッチして成る複合不織布などで構成してもよい。一方、包装容器の外表面側については、耐水圧を考慮して、目付１０〜３０ｇ／ｍ２の範囲であるＰＥから成るフィルム、開孔率が１０〜３０％、目付が１５〜３０ｇ／ｍ２の範囲である開孔プラスチックシートなどで構成することが好ましい。
【０１０７】
上記包装容器の内表面側材料と外表面側材料とは、ホットメルト接着剤、熱エンボス加工、超音波シール等の公知の方法により、ラミネート加工して一体化する。この際、ホットメルト接着剤の場合には、塗布量３〜１０ｇ／ｍ２、塗布面積率５〜４０％の範囲で、螺旋状ないし筋状に塗布することが好ましく、熱エンボス加工や超音波シールの場合には、シール面積率５〜２０％の範囲で、線状、ドット状ないし交差線状等の配列で貼着される。ラミネート材の風合いを考慮したものである。
【０１０８】
［（Ｂ）生分解性・水分散性・水溶性を付与した陰唇間パッドの構成］
本発明の陰唇間パッドは生分解性素材及び／又は水分散性素材及び／又は水溶性素材で構成されていることが好ましい。このようなパッドは使用後そのままトイレに脱落させて流すことができるため、パッドの破棄を簡便かつ清潔に行うことができ、トイレ内のゴミの低減を図ることもできるからである。
【０１０９】
本明細書において、「生分解性」とは、放線菌をはじめとする細菌、その他の微生物の存在下、自然界のプロセスに従って、嫌気性又は好気性条件下で物質が二酸化炭素又はメタン等のガス、水及びバイオマスに分解されることをいい、当該物質の生分解能（生分解速度、生分解度など）が、落ち葉等の自然に生じる材料、もしくは同一環境下で生分解性として一般に認識される合成ポリマーに匹敵することをいう。「水分散性」とは、水解性と同じ意味であって、使用時の限定された量の水分（経血）では影響はないものの、多量の水または水流中では、繊維同士が、少なくとも一般のトイレ配管を詰まらせることがない程度の小断片に容易に分散される性質のことをいう。「水溶性」とは、使用時の限定された量の水分（経血）では影響はないものの、多量の水または水流中においては溶解する性質のことをいう。
【０１１０】
［被覆シート］
生分解性・水分散性・水溶性を付与するための被覆シートの素材としては、スパンレース不織布を使用することができ、繊維長が１〜１５ｍｍの範囲である湿式スパンレース不織布を用いることが好ましい。他の材料としてはポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の、いわゆる生分解性樹脂も用いることができ、例えば、ポリ乳酸を原料として作られる目付が２０〜６０ｇ／ｍ２の範囲で調整されたメルトブローン不織布や目付が１５〜３０ｇ／ｍ２の範囲であって、繊度が１．０〜３．０ｄｔｅｘの範囲で調整されたスパンボンド不織布などを好適に用いることができる。他の材料としては、アセテート、レーヨン、合成繊維の単独又は連続繊維である、いわゆるトウを目付１０〜８０ｇ／ｍ２の範囲に調整し繊維同士を解繊したものも使用することができる。
【０１１１】
［吸収体］
生分解性・水分散性・水溶性を付与するための吸収体の素材としては、透水性の被覆シートと同様のものを用いることができる。更には、アルギン酸ソーダ、デンプン、カルボキシメチルセルロース等の吸収材や高吸収性ポリマーの粒状物又は繊維状物を単独で若しくは前記被覆シートと同様の素材と混合し、これを成形したものを用いることも可能である。
【０１１２】
吸収体の具体的な構成としては、例えば、木材パルプを目付１５０〜５００ｇ／ｍ２に積層してティッシュに封入し、これをプレス装置にて厚み２〜１０ｍｍに調整したもの、等が挙げられる。デンプンなどの吸収材を５〜３０ｇ／ｍ２の比率で上記吸収体に混入させることにより、経血の吸収や保持能力を増加させることも可能である。
【０１１３】
［サポートシート］
生分解性・水分散性・水溶性を付与することができ、かつ、不透水性のサポートシートの素材としては、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）フィルム、ＰＶＡフィルムの片面もしくは両面の全部又は一部にシリコーン樹脂などによる撥水処理を施したフィルムシート、シリコーン樹脂を混合したＰＶＡフィルム、デンプンフィルム、ポリ乳酸またはポリブチルサクシネート等のいわゆる生分解性樹脂を原料としたフィルム及びティッシュ等とのラミネート紙などが挙げられる。これらは、必要に応じて無機顔料を０．１〜５％の範囲で混合して着色を施してもよい。
【０１１４】
不透水性のサポートシートの具体的な構成としては、例えば、ポリ乳酸から成るフィルムと、厚さ１０〜２０μｍ、目付１５〜２０ｇ／ｍ２の範囲であるティッシュとを、貼り合わせ面積率５〜４０％の範囲でラミネート加工して成るラミネート紙が挙げられる。このようなラミネート紙は、パッドの湿潤時においても不透水性を維持することができ、浄化槽に過度の負担を与えない点において好ましい。
【０１１５】
［ミニシート片］
生分解性・水分散性・水溶性を付与するためのミニシート片の素材としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ＰＶＡ等から成るフィルム、或いは、これらの材質から成るフィルムとティッシュとのラミネート材などが挙げられる。
【０１１６】
［弾性回復材］
生分解性・水分散性・水溶性を付与するための弾性回復材の素材としては、天然ゴム（シス−１、４−ポリイソプレン）が挙げられる。
【０１１７】
［包装容器］
生分解性・水分散性・水溶性を付与するためには、包装容器に水溶性繊維を使用した繊維シート、生分解性又は水溶性樹脂を使用したフィルム、或いは上記繊維シートと上記フィルムのラミネート材、上記フィルムとティッシュとのラミネート材等で構成するとよい。
【０１１８】
［接合方法］
また、生分解性・水分散性・水溶性を付与するための接合方法としては、水溶性又は水膨潤性を有するポリビニルアルコール等による接着、ヒートシール、或いは水素結合による接合、等の接合方法を単独で若しくは適宜組み合わせて用いることができる。
【０１１９】
産業上の利用の可能性
以上説明したように、本発明においては、吸収シート部を、棒状又は帯状の独立した吸収体であり着用者の膣口近傍に接触する膣口接触吸収体と、平板状の独立した吸収体であり着用者の少なくとも陰唇内壁に接触する陰唇内壁接触吸収体と、を備えるものとし、陰唇内壁接触吸収体の身体側表面の略中心線に沿って膣口接触吸収体を配置したので、着用者の動作時においても陰唇最深部との密着性が良好となり、いわゆる横モレやパッドの脱落が発生する危険性を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【０１２０】
第１図は、本発明の陰唇間パッドの構成を示す図であって、第１図の（ａ）は上面図、第１図の（ｂ）は第１図の（ａ）のＡ−Ａ’断面図である。
第２図は、従来の陰唇間パッドの構成を示す斜視図である。
第３図は、本発明の陰唇間パッドの断面を示す斜視図である。
第４図は、本発明の陰唇間パッドの断面を示す斜視図である。
第５図は、本発明の陰唇間パッドの断面を示す斜視図である。
第６図は、本発明の陰唇間パッドの断面を示す一部切欠斜視図である。
第７図は、陰唇間パッドの曲げ剛性の試験方法を示す工程図である。
第８図は、本発明の陰唇間パッドの構成を示す断面図である。
第９図は、本発明の陰唇間パッドの構成を示す断面図である。
第１０図は、本発明の陰唇間パッドの構成を示す斜視図である。
第１１図は、本発明の陰唇間パッドの構成を示す斜視図である。
第１２図は、本発明の包装体の開封方法を示す工程図である。
第１３図は、本発明の包装体の構成を示す斜視図である。
第１４図は、本発明の包装体の構成を示す斜視図である。
第１５図は、本発明の包装体の構成を示す斜視図である。
第１６図は、本発明の陰唇間パッドに係るミニシート片の態様を示す上面図である。
第１７図は、本発明の陰唇間パッドの装着方法を示す説明図である。
第１８図は、本発明の陰唇間パッドに係るミニシート片の態様を示す上面図である。
第１９図は、本発明の陰唇間パッドに係るミニシート片の態様を示す上面図である。
第２０図は、粘着剤の剥離強度測定の実験状況を示す図である。
第２１図は、粘着剤のせん断強度測定の実験状況を示す図である。

Claims (11)

1. 着用時には身体側に対向する吸収シート部と、該吸収シート部を裏打ちするサポートシート部と、を備える陰唇間パッドであって、
   前記吸収シート部は、平板状であり少なくとも着用者の陰唇内壁に接触する陰唇内壁接触吸収体と、該陰唇内壁接触吸収体の身体側表面の略中心線に沿って配置される棒状又は帯状の体液排出口接触吸収体と、を備え、
   前記体液排出口接触吸収体及び前記陰唇内壁接触吸収体は、各々独立した被覆シートに被覆されており、
   前記体液排出口接触吸収体を被覆する前記被覆シートの一対の側縁は、前記体液排出口接触吸収体に対して前記着用者の反身体側で接合されており、
   前記体液排出口接触吸収体の内部には、該体液排出口接触吸収体の身体前後方向に沿って延びる弾性回復材が埋設され、
   前記弾性回復材は、中実で断面略円形状であることを特徴とする陰唇間パッド。
2. 前記体液排出口接触吸収体と前記陰唇内壁接触吸収体との接合面積率が、身体側から見た前記体液排出口接触吸収体の見かけ面積に対し、２から８０％の範囲内である請求の範囲第１項に記載の陰唇間パッド。
3. 前記体液排出口接触吸収体の長手方向中央部における前記膣口接触吸収体と前記陰唇内壁接触吸収体との接合部の身体左右方向への曲げ剛性値が１．５ｍＮ以下である請求の範囲第１項又は第２項に記載の陰唇間パッド。
4. 前記体液排出口接触吸収体が、その長手方向の両端部において陰唇内壁接触吸収体と接合された状態にあり、その中央部においては陰唇内壁接触吸収体と未接合の状態である請求の範囲第１項から第３項のいずれかに記載の陰唇間パッド。
5. 前記サポートシートの衣服側に、当該サポートシートの長手方向の各側部において一箇所以上の接合部分と、当該サポートシートの短手方向において一箇所以上の非接合部分と、をもって接合されたミニシート片を備え、前記一箇所以上の非接合部分の少なくとも一つが、前記ミニシート片と前記サポートシートとの間において、前記サポートシートの面方向に指幅の開口が直接的に確保される指挿入用口を形成するものである請求の範囲第１項から第４項のいずれかに記載の陰唇間パッド。
6. 生理用ナプキンと併用される生理用ナプキン併用用陰唇間パッドである請求の範囲第１項から第５項のいずれかに記載の陰唇間パッド。
7. 前記陰唇間パッドは尿失禁用の陰唇間パッドであることを特徴とする請求の範囲第１項から第６項のいずれかに記載の陰唇間パッド。
8. 前記陰唇間パッドはおりもの吸収用の陰唇間パッドであることを特徴とする請求の範囲第１項から第６項のいずれかに記載の陰唇間パッド。
9. 請求の範囲第１項から第８項のいずれかに記載の陰唇間パッドが個別包装用の包装容器に内包されている包装体。
10. 請求の範囲第５項から第８項のいずれかに記載の陰唇間パッドが、開封口を有する個別包装用の包装容器に内包されている包装体であって、
    前記陰唇間パッドが、前記指挿入用口が前記開封口に向かって開口するように、前記包装容器に内包されている包装体。
11. 前記陰唇間パッドが、前記ミニシート片が前記陰唇間パッドの長手方向の略中心線に沿って衣服側方向に向かって山折り状となるように、前記包装容器に内包されている請求の範囲第１０項に記載の包装体。

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