JP4178042B2 - 陰唇間パッド - Google Patents

Description

【０００１】
発明の背景
技術分野
本発明は、女性陰唇間への装着が容易で経血のモレ防止効果が高い陰唇間パッドに関する。
【０００２】
関連技術
従来より、女性用生理用品としては、生理用ナプキン、タンポンが一般的に用いられている。ここで、生理用ナプキンについては、膣口付近への密着性の乏しさゆえに生じる隙間からの経血のモレを防ぐべく、多大なる努力が払われている。また、タンポンにおいても、その物品の属性に起因して、着用時の異物感や不快感、膣内への装着困難性を生じることから、これを除去するために多大な努力がなされている。
【０００３】
このような状況下、生理用ナプキンやタンポンの中間に位置する生理用品として、近年、陰唇間パッドなる生理用品が注目されるようになってきている。
【０００４】
一方、生理用ナプキンと身体との密着性を高めたものとして、身体に接する面の中央付近に吸収体を集中的に設けて他の部分よりも盛り上った部分を形成した生理用ナプキンが、実開平５−１８５２３号公報において開示されている（第２９図参照（同公報中の図１に対応））。かかる生理用ナプキンの構造によれば、盛り上がり部分が陰唇内に入り込むため、通常の生理用ナプキンよりは密着性が高いとも考えられる。
【０００５】
しかし、このような生理用ナプキンは、生理用ナプキンの突出部を所定位置に持って行くのが困難である。即ち、生理用ナプキンというものは下着に固定し、当該下着に固定されたものを下着ごと身体に装着させるものであるが、上記のような改良型生理用ナプキンでは、下着に固定された生理用ナプキンについて、下着の装着動作によって陰唇間の所定の位置にナプキンの突出部を上手く誘導するようにする必要があるのである。この作業において、生理用ナプキンの突出部の所定位置への誘導が間接的な作業となってしまうために、操作が困難であるとともに装着位置の正確性に欠けることとなる。また、吸収体の厚さを増すことによって盛り上がり部を形成しているため、その厚みによっては着用者に強い異物感を覚えさせる原因ともなりかねない。
【０００６】
これに対し、上述の陰唇間パッドは、上記従来例のように盛り上がり部を設けるまでもなく、陰唇間に直接挟み込むという物品属性に由来して、上記従来例と同じような密着性を確保できる。
【０００７】
しかしながら、陰唇間パッドは、目視困難な陰唇間という場所に装着されるものであるために、装着が容易ではなく、装着時にズレが発生しやすい。また、装着時には適切な位置に装着されていたとしても、着用者の活動によってズレが生じてしまうことがある。しかも、装着位置にズレが生じた場合には、生理用ナプキンよりもサイズが小さいために、経血のモレによる被害が甚大となってしまう。
【０００８】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、経血のモレの発生を低減できる陰唇間パッドであって、確実かつ衛生的な装着を行うことができる構造の陰唇間パッドを提供することにある。
【０００９】
発明の開示
上記のような課題を解決するために、本発明に係る陰唇間パッドは、シート体を二重構造として、かつ、左右側縁部において非接合部を設けることにより、それぞれのシート体がある程度独立して変形し、装着時や装着後に位置ズレが生じても、これを防止することができるようにしたことを特徴とする。
【００１０】
また、感覚が鋭い指先の腹の部分をうまく使って装着を行うことが可能な構造を備えた陰唇間パッド、具体的には、パッドの反身体側に指先をスムーズに差し込むことができるポケットを形成し、そこに指を差し込んだ状態で陰唇間への装着をスムーズに行うことができる陰唇間パッドとしたことをも特徴とする。
【００１１】
より具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
【００１２】
（１） 女性陰唇間に無理なく挟み込むことが可能な大きさの陰唇間パッドであって、体液の吸収を行う一対の吸収シート体を備え、当該一対の吸収シート体を構成する各シート体は、その長手方向の左右側縁部において非接合であるとともに、その長手方向の両端部において接合されていることを特徴とする陰唇間パッド。
【００１３】
本発明の陰唇間パッドによれば、体液の吸収が可能な吸収シート体が二重構造となっているため、身体に面する側のシート体で吸収されなかった経血が衣服に面する側のシート体で吸収されることとなり、同量の吸収体を使用した一重構造の陰唇間パッドと比較して、経血のモレ防止効果が高い。
【００１４】
また、両シート体は、長手方向の両端部の周縁部において接合され、それ以外の部分、即ち左右側縁部及び内縁から内側においては非接合状態となっている。このため、両シート体は上下に離間可能であり、一方のシート体が変形したとしても、他方のシート体へはその変形が直接に伝達せず、両シート体が異なった形状に変形することが可能である。
【００１５】
（２） 前記一対の吸収シート体は、身体側に面する透水性の表面側シートと反身体側になる透水性又は不透水性の裏面側シートとが体液を吸収する吸収体を内包した形態で接合されているものからなるメインシート体と、身体側になる透水性の表面側シートと衣服側に面する透水性又は不透水性の裏面側シートとが体液を吸収する吸収体を内包した形態で接合されているものからなるサブシート体と、からなることを特徴とする（１）記載の陰唇間パッド。
【００１６】
本発明に係る陰唇間パッドは、メインシート体とサブシート体とからなる。そして、両シート体の身体側面はいずれも透水性であり、各シート体においては吸収体が内包されている。このため、いずれのシート体においても経血の吸収が可能となっている。
【００１７】
ここで、メインシート体の裏面側シートに不透水性素材を使用した場合には、サブシート体へ透過吸収された経血が体圧等の圧力によりメインシート体へと逆戻りしてしまうことを防止することが可能となり、着用時の湿潤による不快感を低減することができる。
【００１８】
（３） 前記メインシート体と前記サブシート体との左右側縁部における非接合部は、陰唇間パッド上で長手方向の中心線を対称軸とした線対称となっていることを特徴とする（１）又は（２）記載の陰唇間パッド。
【００１９】
本発明の陰唇間パッドによれば、左右側縁部が長手方向の中心線を対称軸とした線対称に、メインシート体とサブシート体との非接合部が設けられている。このため、かかる非接合部に対応する範囲において、各シート体が陰唇間パッドの短手方向に対して独立して変形することが可能となる。これにより、陰唇間パッド装着時に適切な位置に装着されなかったり、装着後の着用者の活動によって位置ズレが生じたりした場合、メインシート体は身体側に向かって凸型に変形して陰唇間に嵌装され、経血を直接吸収する。そして、サブシート体は、このようなメインシート体の変形に完全に連動することなく、略平坦形状を維持したまま外陰部を覆うように位置付けられ、メインシート体が吸収できなかった経血を受け止めることができる。このように、本発明によれば、陰唇の中心線と陰唇間パッドの中心線がずれて装着されている場合でも、経血の横モレを効果的に防止することができるのである。
【００２０】
この点、既成の突出部が長手方向に延在して設けられている場合には、装着時に陰唇感パッドが適切な位置に装着されないとき、特に陰唇感パッドが着用者の身体に対して左右に位置ズレが生じたときには、かかる突出部が、陰唇間パッドの長手方向と同方向に延在する陰唇間溝に部分的にも嵌装されることはない。
【００２１】
これに対し、本発明に係る陰唇間パッドは、メインシート体のみが着用者の陰唇間溝内に入り込むことが可能な形状に適宜変形することができる。このため、着用者の陰唇と陰唇間パッドとの間に隙間が生じるようなことがなく、効果的に経血のモレが防止される。しかも、サブシート体は陰唇間に入り込むことがないので、着用者に強い異物感を与えるというようなこともない。
【００２２】
（４） 前記非接合部は、前記陰唇間パッドの長手方向の左右各側縁部において、各側縁部全体の５分の２から５分の４の範囲内で形成されていることを特徴とする（１）から（３）いずれか記載の陰唇間パッド。
【００２３】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、各側縁部全体の５分の２から５分の４の範囲が非接合状態となっている。仮に、陰唇間パッドの側部における非接合部が「左右各側縁部全体の５分の２」より短い場合には、メインシート体の側部が固定されてしまうこととなるため、メインシート体自身の変形の自由度が制限されることとなる。このため、メインシート体が陰唇間に嵌装されるのに十分な凸型に変形されることが困難となり、メインシート体と陰唇との接触面積率が低下して、製品脱落や経血モレの危険性が高まってしまう。
【００２４】
一方、陰唇間パッドの側部における非接合部が「左右各側縁部全体の５分の４」より長い場合には、必然的にメインシート体とサブシート体との接合度が低くなってしまうことから、装着した陰唇間パッドの反身体側面と下着やナプキンとの間に生じる摩擦によって、メインシート体とサブシート体とが離脱してしまうおそれがある。
【００２５】
この点、本発明に係る陰唇間パッドによれば、左右各側縁部における非接合部が適切な範囲で設けられているため、上記のような問題が生じることなく、好適に着用者の陰唇間に装着されることとなる。なお、この非接合部は、前端部から５分の２の位置より後端部から５分の１の位置において設けるのが好ましい。このように非接合部を位置付けることにより、装着状態をより一層好適なものとすることができる。
【００２６】
また、本発明に係る陰唇間パッドによれば、メインシート体とサブシート体とが接合する範囲が、後端部より前端部において広く設けられている。これは、経血が粘膜との親和性が高いという性質に鑑みたものである。即ち、膣口から流出した経血は粘膜のある前方（陰核付近）に引き寄せられてしまうため、前方においてモレが生じやすいことから、メインシート体が変形しないサブシート体との接合部を略平坦状領域として広く設けることにより、かかる領域が外陰部を覆って経血の流出を遮ることができるようにしているのである。
【００２７】
なお、本明細書において、陰唇間パッドの「前端部」とは、着用時に着用者の前方、即ち陰核近辺に位置付けられる一方端部をいい、「後端部」とは、着用時に着用者の後方、即ち肛門近辺に位置付けられる他方端部をいう。
【００２８】
（５） 前記メインシート体の短手方向の長さは、前記サブシート体の短手方向の長さと同一、あるいは、前記サブシート体の短手方向の長さよりも短いことを特徴とする（１）から（４）いずれか記載の陰唇間パッド。
【００２９】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、短手方向においてメインシート体がサブシート体よりも長くなることはない。このため、メインシート体で吸収しきれなかった経血をサブシート体で吸収することが可能となる。
【００３０】
なお、メインシート体においては、裏面側シートに不透水性素材を使用した場合には、短手方向の長さが吸収体を被覆するのに最小限の長さとするのが好ましい。これにより、表面側シートを透過した経血が裏面側シートに阻害されて、サブシート体に吸収されないという事態が生じるのを防止することが可能となるのである。
【００３１】
（６） 前記メインシート体の短手方向における剛軟度は、前記サブシート体の剛軟度より小さいことを特徴とする（１）から（５）いずれか記載の陰唇間パッド。
【００３２】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、メインシート体とサブシート体との短手方向における剛軟度に差が設けられている。そして、メインシート体の剛軟度のほうがサブシート体の剛軟度より小さくされている。このようにすることにより、陰唇間パッドを装着した際に、陰唇の挟持力によりメインシート体は変形するが、サブシート体はほぼそのままの形状を維持することが可能となる。具体的には、メインシート体とサブシート体との非接合領域において、メインシート体は容易に身体側に向かって凸型に変形して陰唇間に嵌装されるが、サブシート体は略平坦な形状を維持する。このため、略平坦な形状となっているサブシート体は外陰部を覆うように位置づけられ、メインシート体に吸収されずに流れてきた経血の流出方向に対してサブシート体が垂直となって短手方向からの経血の流出を防止することができるのである。
【００３３】
（７） 前記メインシート体の短手方向における剛軟度は、１．５ｍＮ以下であることを特徴とする（６）記載の陰唇間パッド。
【００３４】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、メインシート体は、中央部の短手方向における剛軟度が１．５ｍＮ以下となっている。仮に、剛軟度を１．５ｍＮより大きくすると、凸型に変形しにくく、陰唇間に陰唇間パッドを確実に装着するのが困難となるため、陰唇間パッドが脱落してしまうおそれがある。また、無事にメインシート体が嵌装されたとしても、着用者の陰唇形状を本来の自然な形状とは異なる形状に変形させてしまい、着用者に違和感を与える可能性がある。
【００３５】
この点、本発明に係る陰唇間パッドのように、剛軟度を１．５ｍＮ以下とした場合には、装着時において着用者の自然のままの陰唇形状を徒に変形させることなく、メインシート体のみが容易に凸型に折り曲げられるため、好適かつ確実に、陰唇間パッドを装着させることができる。
【００３６】
（８） 前記メインシート体に内包される吸収体には、短手方向の中央に折り曲げ誘導線が設けられていることを特徴とする（１）から（７）いずれか記載の陰唇間パッド。
【００３７】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、メインシート体における吸収体の短手方向の中央域に、少なくとも一条の連続もしくは間欠に長手方向に延在した凸型折り曲げ誘導線が配されている。このため、メインシート体は、折り曲げ誘導線に沿って容易に折り曲げられ、凸型の突起領域がメインシート体に迅速に形成されることとなるのである。
【００３８】
前記「凸型折り曲げ誘導線」は、誘導線を設ける箇所とそれ以外の箇所に剛性差を付与することによって形成することが可能である。例えば、誘導線を設ける箇所を圧縮してその周囲部との密度差をつけたり、吸収体積層工程において誘導線を設ける箇所よりもその両側の積層量を高めることにより厚み差をつけたり、誘導線を設ける箇所に切れ目を付けたりする方法などが挙げられる。
【００３９】
（９） 前記サブシート体には、身体側に向かって隆起している隆起領域が形成されていることを特徴とする（１）から（８）いずれか記載の陰唇間パッド。
【００４０】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、サブシート体において、身体側に向かって隆起する隆起領域が形成されている。このため、着用者は、サブシート体の反身体側から隆起領域の内側に感覚の鋭い指先を当てることができるため、陰唇間パッドを介して膣口を探知することが容易となる。なお、最も好適な箇所、即ち、陰唇間パッドの中心線と陰唇の中心線とが重なるような箇所に陰唇間パッドを装着できるようにするために、前記隆起領域は短手方向の中央部分に設けられているのが好ましい。
【００４１】
なお、前記隆起領域は、かかる機能が発揮されるのであれば、連続して設けても、指先が当たる箇所のみに部分的に設けるようにしてもよい。
【００４２】
（１０） 前記サブシート体の裏面側シートの衣服側には、前記裏面側シートとの間において指挿入用口を形成するミニシート片が取り付けられていることを特徴とする（１）から（９）いずれか記載の陰唇間パッド。
【００４３】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、陰唇間パッドの反身体側面に取り付けられているミニシート片は、裏面側シートの短手方向において、ミニシート片の両袖部のうち少なくとも一方の袖部が、裏面側シートの面に対して接合されていない。これにより、非接合状態にあるミニシート片の一方袖部と裏面側シートとの間に袖口が形成され、かかる袖口が指の挿入が可能な指挿入用口となる（第２図参照）。
【００４４】
また、裏面側シートの長手方向においては、ミニシート片は裏面側シートの左右側部においてのみ接合され、内側については接合（貼着）されていない。このため、ミニシート片は裏面側シートの一側部から他側部にまたがった状態で取り付けられることとなり、かかる一側部から他側部にまたがった部分において、指を挿入して保持できる空間（指挿入用空間）が形成される。
【００４５】
ここで、裏面側シートの短手方向において、ミニシート片の両袖部が裏面側シートに対して非接合状態にある場合には、前記指挿入用空間は貫通孔（トンネル状態）となり、ミニシート片の一方袖部が接合されている場合には前記指挿入用空間は洞穴状態となることになる。
なお、本発明において、裏面側シートの長手方向における「側部」には、陰唇間パッドの周縁部に該当する部分のみならず、ミニシート片の接合可能な周縁部近傍も含まれる。
【００４６】
このように、本発明に係る陰唇間パッドによれば、ミニシート片が指挿入用口及びそれに続く指挿入用空間を形成するように裏面側シートに取り付けられているので、かかる指挿入用口に指を挿入することにより、指先に陰唇間パッドを一時的に固定して保持することが可能となる。これにより、目視困難な陰唇間という場所への装着であっても、正確な装着ポイントを的確に把握しながら、陰唇間パッドを適切な位置に嵌装することが可能となる。
【００４７】
（１１） 生理用ナプキンと併用される生理用ナプキン併用用陰唇間パッドであることを特徴とする（１）から（１０）いずれか記載の陰唇間パッド。
【００４８】
このような本発明に係る陰唇間パッドによれば、生理用ナプキンと重ねて使用した場合であっても、着用感にあまり悪影響を及ぼすことなく、かつ、かぶれやムレの低減を図ることができる。
【００４９】
即ち、生理用ナプキン着用者の中には、経血の量が多いときは何枚か重ねて使用するという者もいるが、ゴワゴワする等、着用感が悪く、アウターにも響いてしまうという問題があった。また、重ね使用が不要な部分である膣口付近以外にまで生理用ナプキンが重ねられてしまうため、かぶれやムレの原因ともなっていたのである。
【００５０】
この点、本発明に係る陰唇間パッドによれば、陰唇とその周辺部分にだけに生理用品が重ねられることとなるため、着用感やアウターにさほど影響を及ぼさず、しかも尻付近等におけるムレやかぶれを低減させることが可能となる。
【００５１】
そしてまた、交換時においては、ナプキンを交換しないままにして、本発明に係る陰唇間パッドのみを交換することが可能となり、着用者は人目につきやすい大きさのナプキンを持ち歩かずに済む、という効果もあることとなるのである。ここで生理用ナプキンとは経血吸収用として販売されているナプキンだけでなく、おりもの吸収用シートも含んでよい。
【００５２】
（１２） 前記陰唇間パッドは尿失禁用の陰唇間パッドであることを特徴とする（１）から（１１）いずれか記載の陰唇間パッド。
【００５３】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、尿失禁用の吸収パッドとして使用することができる。即ち、経血を排出する膣口と尿を排出する尿道口とはいずれも陰唇間に位置するものであるため、本発明に係る陰唇間パッドを陰唇間に挟み込んで使用した場合には、尿を吸収することができる。
このように、本発明によれば、尿を陰唇間、特に尿道口付近で吸収できるので、尿失禁特に軽度の尿失禁に対して有効な吸収パッドを得ることができる。
【００５４】
（１３） 前記陰唇間パッドはおりもの吸収用の陰唇間パッドであることを特徴とする請求項（１）から（１１）いずれか記載の陰唇間パッド。
【００５５】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、陰唇間パッドをおりもの吸収用として使用することができる。即ち、本発明に係る陰唇間パッドは陰唇間に挟み込んで使用するものであることから、膣口からの経血以外の分泌物（おりもの）も吸収することができるので、そのための用途（おりもの吸収用）にも使用することができるのである。
【００５６】
このように、本発明によれば、おりものを吸収して着用者の不快感を軽減することができるため、生理時以外の着用者にとっても有効である。
【００５７】
（１４） （１）から（１３）いずれか記載の陰唇間パッドが個別包装用の包装容器に内包されている包装体。
【００５８】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、陰唇間パッドが個別包装されているため、一つずつ持ち運んで使用することができる。このため、複数の陰唇間パッドが同じ包装容器内に内包されている場合に比べて、清潔かつ便利な取り扱いが可能となる。
【００５９】
（１５） （１０）から（１３）いずれか記載の陰唇間パッドが個別包装用の包装容器に内包されている包装体であって、前記陰唇間パッドが前記包装容器に直交する方向で内包されていることを特徴とする包装体。
【００６０】
本発明に係る陰唇間パッドによれば、包装容器との間で異方性を持たせて陰唇間パッドが内包されているため、包装容器開封時にミニシート片によって形成された指挿入用口が着用者に向かって開くように包装体が形成されることとなる。このため、開封方向と指先挿入方向とを着用者にとって同一方向とすることができ、着用者の指の挿入を容易なものとすることができる。
【００６１】
発明を実施するための最良の形態
次に、本実施形態の陰唇間パッドについて、図を参照しつつ説明する。
【００６２】
［基本構造］
まず、本実施形態に係る陰唇間パッド１の構成について説明する。本実施形態に係る陰唇間パッド１は、メインシート体２と、サブシート体６と、サブシート体６の反身体側に取り付けられたミニシート片１４と、から成る。第１図は、本実施形態の陰唇間パッド１の身体側を示す概略斜視図であり、第２図は、本実施形態の陰唇間パッド１の反身体側を示す概略斜視図であり、第３図は、本実施形態の陰唇間パッド１を示す第１図のＸ−Ｘ視断面図であり、第４図は、本実施形態の陰唇間パッド１を示す第１図のＹ−Ｙ視断面図である。
【００６３】
本実施形態の陰唇間パッド１は、第１図に示されるように、身体側に面するメインシート体２と反身体側に面するサブシート体６とを有する。前記メインシート体２は、第３図及び第４図に示されるように、吸収体１３を閉じ込めるようにして表面側シート１１と裏面側シート１２とが周縁部１５において接合されることにより一体的に形成されている。吸収体１３は、その接合をする周縁部１５において挟み込まれないようにするのが好ましく、例えば、表面側シート１１と裏面側シート１２とのみを接合して、吸収体１３をその周縁部１５の接合部に袋状に囲まれたところに閉じ込めるようにすることにより、周縁部１５に吸収体１３が挟み込まれて当該周縁部１５が硬くなってしまうことが回避され、着用感がより好適なものとなる。なお、吸収体１３の長さ寸法は、陰唇間パッド１と同程度であってもよく、前記周縁部１５に挟み込まれないようにするために、陰唇間パッド１の外輪郭から２〜１０ｍｍの範囲の間隔が設けられるように予め縮小した寸法としてもよい。
【００６４】
前記サブシート体６は、第３図及び第４図に示されるように、メインシート体２と同様に、吸収体６３を閉じ込めるように表面側シート６１と裏面側シート６２とが周縁部６５において接合されることにより、一体的に形成されている。そして、吸収体６３は、その接合をする周縁部６５において挟み込まれないようにするのが好ましい。
【００６５】
メインシート体２における表面側シート１１と裏面側シート１２との接合、及び、サブシート体６における表面側シート６１と裏面側シート６２との接合は、ヒートエンボス型接着剤及び／又はホットメルト型接着剤により複合化されている。また、吸収体１３は表面側シート１１及び裏面側シート１２に対する層間分離を、吸収体６３は表面側シート６１及び裏面側シート６２に対する層間分離を、それぞれ防止するために、各シートに対して貼着された状態となっている。
【００６６】
メインシート体２とサブシート体６との接合は、特に限定されるものではないが、湿潤時の上下層の離脱を防止するためとしては、ホットメルト型接着剤よりもヒートエンボス型粘着剤のほうが適している。なお、メインシート体２とサブシート体６とが接合されている領域において、接合されているのは各シート体の周縁部のみであり、内側については非接合（非貼着）状態となっている。
【００６７】
［メインシート体とサブシート体との接合］
第３図に示されるように、メインシート体２とサブシート体６とは、その先端部と後端部において周縁部１５と周縁部６５とが接合されているが、その内側は非貼着状態となっているため、かかる部分において中空部５が形成される。また、第４図に示されるように、メインシート体２の裏面側シート１２とサブシート体６の表面側シート６１が非貼着状態であるため、かかる部分において中空部５が形成される。このため、両シート体２及び６は上下方向に離間して移動することが可能であり、メインシート体２のみが着用者の陰唇間に嵌装されることが可能となる。
【００６８】
メインシート体２とサブシート体６の左右側部においては、第５図に示されるように、前端部から５分の２までの範囲である接合領域１ａと、後端部から５分の１までの範囲である接合領域１ｂとにおいて接合されており、それ以外の部分では非接合領域１ｃを形成している。そして、上述のように、内縁から内側において非貼着状態となっているため、非接合領域１ｃ、即ち、第１図のＹ−Ｙ視においては、第４図に示されるように、前記中空部５が短手方向においてトンネル状となっている。このため、かかる非接合領域１ｃに対応する範囲において、メインシート体２とサブシート体６とが左右に変形可能となっている。
【００６９】
［ミニシート片］
次に、サブシート体６の反身体側に取り付けられた指挿入用口１９を形成するミニシート片１４について説明する。本実施形態においては、第２図に示されるように、ミニシート片１４は、裏面側シート６２の外縁部にある接合部１７で裏面側シート６２と接合され、外縁部から内側については非接合状態となっている。このため、ミニシート片１４は裏面側シート６２の一側部から他側部にまたがった状態で取り付けられることとなり、かかる一側部から他側部にまたがった部分において、中空部７が形成される。サブシート体６の裏面側シート６２とミニシート片１４とは、周縁部６５において、ミニシート片１４の一方袖部１４ａを除いた接合部１７で接合されており、周縁部６５から内側においては非接合状態となっている。このため、裏面側シート６２の反身体側面６２ａとミニシート片１４との間においては、指の挿入が可能な指挿入用口１９及びそれに続いた指挿入用空間となる中空部７が形成される。なお、ミニシート片１４は複数枚とすることも可能であり、かかる場合には、裏面側シート６２の長手方向において、左右側部における接合部１７はその枚数に応じて増加し、例えばミニシート片１４が２枚であれば、それぞれ２箇所ずつ接合部が設けられることとなる。
【００７０】
上述のようにミニシート片１４が複数取り付けられている場合においては、第６図の（Ａ）のように、全てのミニシート片１４が同一形状である必要はなく、例えば第６図の（Ｂ）のように、それぞれのミニシート片１４が異なる形状となっていても構わない。このようにすることにより、指先への経血の付着を防止するとともにミニシート片１４に使用する材料量の低減を図ることができる。
【００７１】
本実施形態の陰唇間パッド１においては、ミニシート片１４は、指挿入用口１９が爪の広がり方向の指の幅に対して十分な大きさを有する開口を形成するように取り付けられている。これにより、扁平な形状である指先が、シート面に対して異方向となることなく、自然にシートの面に接するように挿入されるようになる。この点、従来例の尿失禁防止パッド（特表平６−５０６３６８号公報）に比べ、指挿入の容易さが格段に向上していることになる。即ち、従来例の尿失禁防止パッドでは、常態では指穴７０（同公報の符号７６）が閉じられているために（第３０図参照（同公報中の図２０に対応））、まず、当該尿失禁防止パッドと直角をなすような方向に指を向けて挿入し（第３１図参照（同公報中の図２２に対応））、その後に指を回転することにより初めて尿失禁防止パッド側に指の腹を向けることができる。これに対して、本実施形態の陰唇間パッド１によれば、従来例の尿失禁防止パッドのように二次的に裏面側シートの面方向に指幅の開口が形成されるというのではなく、指を自然な形で挿入できるように一次的に指の挿入に適する指挿入用口１９が形成されている。このため、陰唇間パッド１の着用者は指挿入方向を特定付けられることとなり、自然に指先の腹で装着ポイントを探知するため、陰唇間への正確な装着がより一層容易となる。
【００７２】
第７図は、「指挿入用口１９の内側の全周囲長」の説明を具体的に行うために、陰唇間パッド１の一部を切り欠いた陰唇間パッド１の短手方向の一部断面図である。この第７図において、「指挿入用口１９の内側の全周囲長」の長さの説明において不要な部分は一点鎖線で示してある。ここで、「指挿入用口１９の内側の全周囲長」というのは、第７図中の「Ｌ」で示される距離である。
【００７３】
前記指挿入用口１９の内側の全周囲長は、３０〜１２０ｍｍが好ましく、４０〜８０ｍｍとするのがより好ましい。前記指挿入用口１９の内側の全周囲長が３０ｍｍより短い場合には、指挿入用口１９自体が小さくなって指の出し入れに不都合が生じる。この一方で、１２０ｍｍより長い場合には、指に陰唇間パッド１が固定されず、指の腹がシート面に確実に接することができにくくなるため、装着に不都合が生じるようになる。このことから、本実施形態においてその「Ｌ」の長さは４０ｍｍ程度となっている。
【００７４】
本実施形態においては、上述の第２図に示されるように、ミニシート片１４と裏面側シート６２に対する非接合部分は、指挿入用口１９を形成する一方袖部１４ａのみであるが、もう一方の袖部１４ｂをも非接合状態とすることができる。かかる場合において、ミニシート片１４の長さは、長手方向に１０％以上、好ましくは１０〜８０％、より好ましくは３０〜６０％の範囲の寸法を有するのがよい。第８図は、ミニシート片１４が長手方向に１０％以上の範囲の長さを有する状態を示す図であり、この図から明らかなように、ミニシート片１４がかかる長さ寸法を有することにより、指の挿入方向がＡの方向であることを明らかにすることができる。この意味で、「ミニシート片１４の１０％以上の長さ」というのは、本発明に係る陰唇間パッド１において、指挿入方向を暗示する役割を果たしているのである。また、このような長さとすることにより、指挿入用口１９に一度挿入した指が抜けてしまったり、中空部７の中で指が動いてしまったりすることがなく、指の腹が裏面側シート６２の反身体側面６２ａに向いている状態を維持することができる。
【００７５】
第９図は、本実施形態の陰唇間パッド１に取り付けられたミニシート片１４の裏面側シート６２における非接合部の位置を示す図である。指挿入用口１９を形成する非接合部１４ａ以外の第２の非接合部１４ｃを設けた場合には、指の先端部分がそこから露出して、陰唇間パッド１装着時に経血に接触してしまうという事態が生じるおそれがある。この点、第９図の（Ａ）のように、第２の非接合部１４ｃを着用者の指先がすっぽり隠れる箇所に位置付けることにより、第９図の（Ｂ）のように、指先が露出するということがなくなり衛生的である。
【００７６】
更に、第９図の（Ｃ）に示すように、ミニシート片１４が複数取り付けられている場合であって、非接合部が複数あったとしても、最端に第２の非接合部１４ｃが設けられていれば、同様に指先が露出するのを防ぐことができる。
【００７７】
［ミニシート片の接合位置］
次に、本実施形態におけるメインシート２体及びサブシート体６と、ミニシート片１４との接合状態について説明する。第１０図の（Ａ）に示すように、メインシート体２における表面側シート１１と裏面側シート１２との接合箇所である周縁部１５と、サブシート体６における表面側シート６１と裏面側シート６２との接合箇所である周縁部６５とが接合されているのと同一の箇所に、ミニシート片１４と裏面側シート６２との接合部１７を位置付けて一緒に固定した場合には、陰唇間パッド１の外縁側部が硬くなってしまい、着用感を阻害する。これについては、周縁部６５の部分以外に接合部１７を配置してミニシート片１４を固定することにより回避することができる。
【００７８】
しかし、第１０図の（Ｂ）に示すように、当該接合部１７を周縁部６５の部分よりも外側に位置付けた場合には、第１０図の（Ｃ）に示すように、着用者の動作に応じて動くことにより摩擦が生じ、着用者に刺激を与えてしまう可能性もあると考えられる。
【００７９】
このようなことから、実施に際しては、第１０図の（Ｄ）に示すように、周縁部１５と接合部１７とは位置をずらし、かつ、周縁部６５の部分よりも内側に接合部１７を配置するのが好ましい。
【００８０】
ミニシート片１４を取り付けるに際しては、接着剤として感圧型ホットメルト、感熱型ホットメルト等を使用することができ、また、その塗布形態としては、面状、線状、螺旋状、点状等のものを採用することができる。
なお、ミニシート片１４は、上記のような取り付け部分に適合するように予め裁断しておいてもよく、また、接合する箇所を他のシートと異ならせるだけで、裁断は他のシートと一緒に行うようにしてもよい。
【００８１】
［陰唇間パッドの形状］
本実施形態に係る陰唇間パッド１の形状は、陰唇間に装着するのに好適な形状であればよく、楕円型、卵型、瓢箪型、雫型等の形状としてもよいが、本実施形態と同様な形状とすることにより、陰唇間及び指の双方にフィットしやすいものとすることができる。
【００８２】
また、本実施形態における陰唇間パッド１の各シートは柔軟性シートから成り、外部からの押圧力により弾性変形自在となっている。従って、陰唇間パッド１の形状は、見かけ上折れ曲がったり、捻り状に変形している可能性はあるが、各シートの変形を取り除いて引き延ばした状態において、上述した形状をなす。
【００８３】
［基本的な材料］
メインシート体２の表面側シート１１、サブシート体６の表面側シート体６１は透水性素材であり、各々の表面側シート１１、６１に使用する材料は、織物及び不織布、有孔プラスチックシート等の液体を透過する構造であれば特に限定されるものではないが、熱可塑性フィルムをパーフォレーション又は熱エンボス又は機械加工等により開孔した開孔フィルムや、開孔フィルムと不織布との複合シート等のほか、以下に示すものを使用することができる。
【００８４】
織物や不織布としては、天然繊維のものとしてコットン、シルク、麻等を、再生繊維のものとして再生セルロース繊維、例えばレーヨン繊維、アセテート繊維等を、合成繊維のものとしてポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維を、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン系繊維、ナイロン等の単繊維及び芯鞘構造等の複合繊維を例として挙げることができる。なお、特に不織布の場合には、ウェブフォーミングは乾式（カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等）や湿式等を単独、又は複数組み合わせることにより製造してもよい。また、ボンディングは、柱状流を利用したスパンレース、サーマルボンディング、ニードルパンチ等が挙げられる。
【００８５】
このような材料のうち、陰唇内面からの液移動性や活性剤による化学的刺激及び陰唇内壁との密接性を考慮すると、身体面側には繊度１．１〜４．４ｄｔｅｘ、繊維長７〜５１ｍｍからなるレーヨンを合計目付に対して４０〜８０％を積層、その衣服面側には繊度１．１〜４．４ｄｔｅｘ、繊維長７〜５１ｍｍからなり合計目付に対して１４〜４２％のレーヨンと繊度１．１〜４．４ｄｔｅｘ、繊維長７〜５１ｍｍからなり合計目付に対して６〜１８％のＰＥＴを混合して積層し、２層の合計目付が２０〜６０ｇ／ｍ２となるよう積層した後、水流交絡により繊維同士を絡合させて乾燥させ、厚みを０．１３〜０．５０ｍｍの範囲で調整したスパンレース不織布が好ましい。この際、衣服面側にＰＥＴを混入する事により、透水性シートが湿潤状態になっても嵩を維持しやすいため陰唇内壁との密接性を保つことができる。
【００８６】
有孔プラスチックシートとしては、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）といった熱可塑性樹脂の有孔シートや、多孔性の発泡材等を用いることができる。また、これらについては、必要に応じて酸化チタンや炭酸カルシウム等から成るフィラーを０．５〜１０重量％の範囲で混入することにより、白濁化させて使用するのも好ましい。また、熱可塑性フィルムをパーフォレーション、熱エンボス加工又は機械加工等により開孔した開孔フィルムを使用してもよく、開孔フィルムと不織布との複合シートを使用するようにしてもよい。
【００８７】
吸収体１３及び吸収体６３は、液体（経血）の吸収保持が可能であればよいが、使用する材料としては、パルプ、化学パルプ、レーヨン、アセテート、コットン、粒子状高分子吸収体、繊維状高分子吸収体、合成繊維の単独又は混合物から得られるものが好ましい。また、吸収体として、セルロース発泡体、合成樹脂の連続発泡体等も使用することができる。更に、前記シートや発泡体を粉砕した後に吸収体に成形したものを使用することも可能である。これらの材料を吸収体に成形する方法は、特に限定されるものではないが、例えばエアレイド法、メルトブローン法、スパンレース法、抄紙法等によってシート化されたものが使用される。
【００８８】
吸収体は、液体（体液）の吸収保持が可能であればよいが、嵩高であり、型崩れし難く、化学的刺激が少ないもので、さらには陰唇への適合が高い柔軟性を有することが好ましい。具体的には、衣服面側には、繊維長１〜１０ｍｍの範囲から選ばれるパルプを５０〜１５０ｇ／ｍ２積層し、その身体面側には、繊度１．１〜４．４ｄｔｅｘ、繊維長２０〜５１ｍｍの範囲から選ばれるレーヨンを６０〜９０％、天然コットンを４０〜１０％の混合比で１５０〜２５０ｇ／ｍ２積層してドット状のエンボス加工によりシート化させた、嵩２〜１０ｍｍ、好ましくは３〜５ｍｍに調整した不織布シートが挙げられる。これにより、身体面側から衣服面側へ液体を移行させやすく、吸収保持力が高まる。さらには、上記パルプ層の身体面側には繊度１．１〜４．４ｄｔｅｘ、繊維長２５〜５１ｍｍからなるレーヨンを目付１５〜４０ｇ／ｍ２に調整したメッシュスパンレース不織布を敷設する事により、身体面側から移行してきた液体をメッシュスパンレースにより拡散させ、パルプ層のほぼ全域に液体を誘導させる事ができるので、効率良くより多くの液体を吸収する事が可能である。
【００８９】
メインシート体２の裏面側シート１２とサブシート６の裏面側シート６２とに使用する材料としては、織物、不織布、プラスチック等のシート状構造物であれば特に限定するものではないが、不透水性素材の場合には、ＰＥ，ＰＰ等を主体とした液不透過性フィルム、通気性の樹脂フィルム、撥水処理されたスパンボンド又はスパンレースなどの不織布の裏面に通気性の樹脂フィルムが接合されたものなどが挙げられる。着用感を損なわない柔軟性を考慮すると、例えば、ＬＤＰＥ（低密度ポリエチレン）樹脂を主体とした目付１５〜３０ｇ／ｍ２の範囲から得られるフィルムが使用するのが好ましい。
【００９０】
さらに好ましくは、陰唇間に装着されている際に、不透水性シート同士、または併用するパッド、下着などに接触した時に、摩擦が高く陰唇間パッドが陰唇から脱落してしまう危険性を低下させるために、上記フィルムにエンボス加工をし、凸状の隆起部を設ける事で、接触率を低下させ摩擦抵抗値を少なくさせてあっても良い。
【００９１】
前記サブシート体６の裏面側シート６２を不透水性素材とすることにより、吸収体６３に保持された経血が陰唇間パッド１の外へ漏れ出すことを防止することができ、また、透湿性素材とすることにより、着用時のムレを低減させることができる。これにより、着用者の着用時における不快感を低減させることができるようになる。
【００９２】
ミニシート片１４に使用する材料としては、指を挿入した際に破損しない程度の強度を有することを考慮した上で選択するのが好ましく、不織布シート、弾性伸縮性不織布、フィルム、フォームフィルム、弾性伸縮性フィルム、発泡シート、薄葉紙等の単独又はそれらのラミネート材料から限定なく選択することが可能である。具体的には、ＬＤＰＥ樹脂を主成分とした厚さ１５〜３０μｍのフィルムを選択することができる。また、ミニシート片１４に対しては、ミニシート片１４の識別を着用者が容易に行うことができるようにするために、着色や模様等の印刷といった方法を用いて、サブシート体６の裏面側シート６２とは異なる色調や模様、色度を有するように調整することもできる。
【００９３】
前記ミニシート片１４は、着用者の指先サイズにかかわらず、本発明に係る陰唇間パッド１を効果的に使用することができるようにするために、裏面側シート６２の短手方向に対して伸長性もしくは弾性伸縮性を持たせることも有効である。
【００９４】
ミニシート片１４に伸長性を持たせるためには、つかみ間隔１００ｍｍ、引張速度を１００ｍｍ／分で定速伸張した場合の５％伸長時の応力が０．１〜０．５Ｎ／２５ｍｍである伸長性スパンボンド不織布を使用することができる。
【００９５】
また、ミニシート片１４に弾性伸縮性を持たせるためには、熱可塑性エラストマー樹脂を使用した繊維状シートやフィルムシート、及びそれら熱可塑性エラストマー樹脂や天然ゴム等の弾性伸縮性素材を単独で使用してもよく、又は非弾性伸縮性素材と組み合わせて使用してもよい。
【００９６】
［生分解性素材、水分散性素材、水溶性素材］
本発明の陰唇間パッド１は、生分解性、水分散性及び水溶性のいずれか、又はそれらを組み合わせた素材で構成することができる。これにより、陰唇間パッド１は、使用後において経時的にもしくは積極的に自然分解されるものとなるため、使用後はそのままトイレに流せるということとなり、使用済みの陰唇間パッド１の廃棄が簡便かつ清潔に行える。即ち、着用者は陰唇間パッド１を廃棄するに際し、トイレに行って便器に向かって内股を開き、陰唇間から陰唇間パッド１を便器内に脱落させるだけでよく、着用者はわざわざ手を使って使用済み製品を廃棄するという面倒な作業から開放される。また、これに加えてトイレ内のゴミの低減を図ることもできるという利点もある。
【００９７】
また、本発明に係る陰唇間パッド１を内包する個別包装容器をも生分解性素材及び／又は水溶性素材及び／又は水分散性素材で構成することにより、包装容器もトイレ内に流すことができる。これにより、着用者は包装容器の廃棄の煩しさから開放されるとともに、トイレ内のゴミの低減をより一層図ることが可能となる。
【００９８】
なお、本明細書において、「生分解性」とは、菌類、細菌、放線菌及び他の微生物の存在下、自然界のプロセスに従って、嫌気性／好気性条件下で物質が二酸化炭素又はメタン等のガス、水及びバイオマスに分解されることをいい、生分解速度及び生分解度といった合成材料の生分解能が、落ち葉等の自然に生じる材料、もしくは同一環境下で生分解性として一般に認識される合成ポリマーに匹敵することをいう。「水分散性」とは、水解性と同じ意味であって、使用時の限定された量の水分（経血）では影響はないものの、多量の水又は水流中では、繊維同士、少なくとも一般のトイレ配管を詰まらせることがない程度の小断片に容易に分散される性質のことをいう。「水溶性」とは、使用時の限定された量の水分（経血）では影響はないものの、多量の水又は水流中においては溶解する性質のことをいう。
【００９９】
上記に示す条件を満たす素材、構成であれば特に限定されるものではないが、以下に示すものを適用することが可能である。まず、透水性材として用いる繊維としては、天然繊維及び／又は化学繊維を使用することが可能であり、天然繊維としては、ティッシュ、粉砕パルプ、水溶性樹脂により化学結合したエアレイドパルプ、又はコットン等が、親水性化学繊維としては、再生セルロースであるレーヨン、フィブルレーヨン等が、合成繊維としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等に親水性処理を施した合成繊維等が、合成生分解性繊維としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等が、あるいは水溶性を有する素材の例として、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等が挙げられ、中でもパルプやコットンなどの天然繊維、レーヨン、ポリ乳酸等の生分解性を有する繊維を用いることが好ましい。なお、これらを単独もしくは所要の配合により混合して、ウェブ又は不織布に成形して用いることも可能である。ポリ乳酸やポリブチレンサクシネート等の合成生分解繊維のウエブフォーミングは、カード法、スパンボンド法、メルトブローン法又はエアレイド法による乾式や湿式等のいずれか、又はこれらを複数組み合わせたものでもよい。
【０１００】
ボンディングは、柱状流を利用したスパンレース、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディング等が挙げられるが、水分散性を有する成形方法の例として、繊維同士の水素結合でシート状に形成した水解紙、又は繊維を交絡させシート状に形成した水解紙などが挙げられる。
【０１０１】
なお、良好な水分散性能を持たせるためには、繊維長を２〜５１ｍｍの範囲とするのが好ましく、より好適には２〜１０ｍｍの範囲とするのがよい。更に、水分散性と使用時に破損を生じることのない強度とを考慮した場合には、繊度（太さ）は１．１〜４．４ｄｔｅｘの範囲から選ぶのが望ましい。
【０１０２】
また、透水性材の目付は、２０〜６０ｇ／ｍ２の範囲とするのが好ましい。液透過材の破断強度（つかみ間隔１００ｍｍ、引張速度１００ｍｍ／分で定速伸長した場合の破断強度）は、縦横ともに少なくとも８００ｍＮ／２５ｍｍであり、より好適には、着用時の柔軟性をも考慮して１０００〜７０００ｍＮ／２５ｍｍの範囲から選ぶのがよい。
【０１０３】
透水性材の例として具体的なものは、１．１〜４．４ｄｔｅｘで５〜１０ｍｍの長さのレーヨン繊維と木材パルプとを９０対１０〜７０対３０の重量比で混合し、目付を２５〜４０ｇ／ｍ２、厚みを０．２〜０．５ｍｍに調整した湿式スパンレース不織布が挙げられる。なお、透水性材には複数の孔部を設けることもできる。この場合、孔径を０．５〜１．５ｍｍの範囲で、孔部面積率（面積当たりの開孔率）を３〜２０％の範囲で形成すればよい。
【０１０４】
吸収体１３及び吸収体６３には、天然繊維及び／又は化学繊維を使用することが可能である。天然繊維としては、ティッシュ、粉砕パルプ、水溶性樹脂により化学結合したエアレイドパルプ、コットン等が、親水性化学繊維としては、再生セルロースであるレーヨン、フィブリルレーヨン等が、合成繊維としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等に親水性処理を施した合成繊維等が、合成生分解性繊維としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等が、あるいは水溶性を有する素材の例として、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリルなどが挙げられ、中でもパルプやコットンなどの天然繊維、レーヨン、ポリ乳酸等の生分解性の繊維を用いることが好ましく、これらを単独又は所要の配合により混合して用いてもよく、更にはアルギン酸ソーダ、デンプン、スターチ、カルボキシメチルセルロース等の高吸収性ポリマーを粒状物もしくは繊維状物に成形し、この高吸収性ポリマーなどと所要の配合により混合して用いることも可能である。
【０１０５】
このような吸収体１３の具体的な例としては、木材パルプを目付１５０〜５００ｇ／ｍ２に積層してティッシュに封入し、これをプレス装置にて厚み２〜１０ｍｍに調整したものが挙げられる。デンプンなどの吸収材を５〜３０ｇ／ｍ２を、上記吸収体に混入させることにより、経血の吸収や保持能力を増加させることも可能である。
【０１０６】
生分解性及び／又は水溶性を有する不透水性材の例として、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸エーテル、ポリビニルピロリドン、イソブチレンと無水マレイン酸との共重合体のような水溶性高分子、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、デンプン、デキストリンなどを挙げることもできる。
【０１０７】
これらについては、単独もしくは所要の配合により混合してフィルムシートに成形してもよく、更にはこのフィルムシートにシリコーンなどの撥水素材を塗布あるいは混入してもよく、また、不織布にラミネート処理成形するようにしたものであってもよい。
【０１０８】
このようなシートの具体的な例としては、ポリビニルアルコールを目付２０〜５０ｇ／ｍ２に調整したフィルムの少なくとも片面、より好適には両面に、シリコーン又はフッソを０．５〜５μｍ塗布したものが挙げられる。
【０１０９】
ミニシート片１４に好適な材料としては、ポリビニルアルコールフィルム、あるいは、ポリビニルアルコールとティッシュのラミネート材などが挙げられる。
【０１１０】
また、適用される接合としては、水溶性又は水膨潤性を有するポリビニルアルコールなどによる接着、ヒートシール又は水素結合などにより単独もしくは組み合わせて接合させる接合方法を用いることができる。
【０１１１】
水溶性素材又は水分散性素材から成る包装容器の具体的な例としては、目付１５〜４０ｇ／ｍ２に調整されたティッシュと目付２０〜５０ｇ／ｍ２のポリビニルアルコールとをラミネートし、ポリビニルアルコール側に０．５〜１μｍの範囲でシリコーンが塗布された複合材料や、ポリ乳酸繊維を主体として目付１５〜４０ｇ／ｍ２に調整されたスパンボンド不織布等が挙げられる。
【０１１２】
［大きさ］
メインシート体２の短手方向の長さ寸法は、１０〜５０ｍｍの範囲とするのが好ましく、より好ましくは２０〜３０ｍｍの範囲とするのがよい。短手方向の長さ寸法が５０ｍｍより長い場合には、メインシート体２の周縁部が、着用者の大腿部とこすれてしまい、これにより生じた摩擦力が陰唇自体の力を上回った場合には、陰唇間パッド１が脱落してしまうおそれがある。また、短手方向の長さ寸法が１０ｍｍより短いと、陰唇間に介在し得るメインシート体２の面積が小さくなる結果、両陰唇とメインシート体２の表面との接触面積が低下し、陰唇間パッド１の脱落の危険性が生じやすくなる。
【０１１３】
一方、メインシート体２の長手方向の長さ寸法は、５０〜１５０ｍｍの範囲が好ましく、更に好ましくは８０〜１２０ｍｍの範囲とするのがよい。長手方向の長さ寸法が１５０ｍｍより長い場合には、陰唇間に介在されることのない平坦状領域４がショーツや生理用ナプキンなどにこすれて摩擦が生じ、この摩擦力の大きさが陰唇自体の力を上回り、陰唇間パッド１が脱落するおそれがある。また、長手方向の長さ寸法が５０ｍｍより短い場合には、陰唇間に介在できるメインシート体２の範囲が少なくなるため、陰唇とメインシート体２との接触面積が減少し、陰唇間パッド１の脱落の危険性が生じやすくなる。
【０１１４】
サブシート体６の短手方向の長さ寸法は、１０〜６０ｍｍの範囲であることが好ましく、更に好ましくは３０〜４０ｍｍの範囲であるのがよい。サブシート体６の短手方向の長さ寸法が６０ｍｍより短いと、メインシート体２の長手方向の長さ寸法より短くなってしまい、メインシート体２から離脱した経血を受け止めるように外陰部を覆うことができなくなる結果、前方や後方において経血のモレが生じてしまうのである。
各シート体を以上のような範囲の長さ寸法とすることにより、経血のモレ防止効果が高く、着用感に優れた陰唇間パッド１とすることができる。
【０１１５】
なお、メインシート体２における裏面側シート１２を不透水性素材とした場合には、第１１図に示されるように、当該裏面側シート１２を吸収体１３を被覆するのに最小限の大きさとし、サブシート体６における表面側シート６１よりも小さいサイズとする。このようにすることにより、メインシート体２で吸収しきれなかった経血がサブシート体６へ透過するのを不透水性の裏面側シート１２が阻害して、経血が陰唇間パッド１の外へと漏れ出してしまうことを防止するこができる。
【０１１６】
［指挿入用口］
次に、本発明に係る陰唇間パッド１に設けられた指挿入用口１９及びそれに続く指挿入用空間７について説明する。第１２図は、本実施形態の陰唇間パッド１を使用する際に指挿入用口１９から中空部７に人差し指を入れる様子を説明するための説明図であり、第１３図は、本実施形態の陰唇間パッド１を装着する状態を示す図である。
【０１１７】
第１２図に示すように、指挿入用口１９から中空部７へ、サブシート体６の裏面側シート６２の反身体側面６２ａに指の腹を接触させるようにして指を挿入する。このように指挿入用口１９に指を挿入することより、受容器が多く点在している人差し指の第１関節の指紋面が、裏面側シート６２の反身体側面６２ａに接触した状態となる。このため、陰唇間パッド１を陰唇１８に誘導する際には、第１３図に示すように、陰唇１８にメインシート体２における表面側シート１１の身体側面１１ａを接触させて、感覚が鋭い指先によって陰唇１８の凹凸を感知しながら、目視困難な陰唇１８の間の奥深くに陰唇間パッド１を装着することが可能となる。
【０１１８】
また、指挿入用空間（中空部７）を形成するミニシート片１４は、その内側が裏面側シート６２と貼着されていないため、陰唇間パッド１を装着後に当該指挿入用口１９から指が引き抜かれた後は、第１４図に示すように、身体側とは反対方向に弛んでいる。このため、使用済み陰唇間パッド１を取り外すに際しては、第１５図に示すように弛んだ状態のミニシート片１４を引っ張ることができる。また、ミニシート片１４を不透水性、あるいは透湿性素材とすることにより、着用者がミニシート片１４を掴んだ場合でも、指が汚染されることなく、陰唇間パッド１を取り外すことが可能となる。
【０１１９】
なお、メインシート体２の裏面側シート１２及びサブシート体６の裏面側シート６２において、挿入した指の腹が接する箇所に極微小の凸凹を備えるようにすることにより、指先の腹面と裏面側シート１２及び裏面側シート６２の反身体側面との接触面積を少なくして、指先と陰唇間パッド１との間において摩擦や張り付きといったような現象を生じにくくすることもできる。このようにした場合には、着用者の指先の状態、例えば湿潤環境に影響されて着用者が意図しない場所へ陰唇間パッド１が装着されてしまうというような事態を防ぐことができ、また、装着後の指の引き抜きもスムーズに行うことができるので、装着後の装着ズレを防止することが可能となる。
【０１２０】
［剛軟度］
本実施形態の陰唇間パッド１においては、メインシート体２の剛軟度は、サブシート体６の剛軟度以下である。このようにすることにより、陰唇間パッド１が身体に接したときに、容易に凸型に変形するように折り曲げられることが可能となる。
【０１２１】
特に、吸収体１３を内包するメインシート体２は、短手方向における剛軟度を１．５ｍＮ以下とすることにより、メインシート体２のみが着用者の陰唇の自然の形状を変形させることなく、陰唇間に嵌装されるのである。
【０１２２】
ここで、各シートの剛軟度の評価方法の一例の詳細について説明する。本実施形態にかかる評価方法は、株式会社安田精機製作所のガーレー式柔軟試験機（Ｇｕｒｌｅｙ’ｓ Ｓｔｉｆｆｎｅｓｓ Ｔｅｓｔｅｒ）による。
【０１２３】
試験片は、陰唇間パッド製品の中央部を縦方向寸法２５ｍｍ、横方向寸法３８ｍｍにカットしてチャックにセットし、各おもりをセットして、試験片が振り子の回転ロッドを離れる瞬間の目盛りを読み、換算式により横方向の剛軟度を評価する。この際、横方向寸法３８ｍｍの端部６．３ｍｍの片方が振り子にかかる部分となるように、もう片方の端部で長さを調整してからチャック側にセットする。このようにすることにより、横方向寸法３８ｍｍにおける２５ｍｍ寸法と縦方向２５ｍｍ寸法の剛軟度を正確に測定することができる。
【０１２４】
各おもりには、試験片が振り子の回転ロッドを離れる瞬間の目盛りが３〜６の間になるように、補助おもりを取り付ける。そして、スイッチを押して、試験片が振り子の回転ロッドを離れる瞬間の目盛りを読む。これを上記横方向の両端部において行う。
【０１２５】
剛軟度は次の換算式によって得られるものとする。すなわち、試験片の左側から得られた目盛りと右側から得られた目盛りの平均値（１）と、おもりを入れた場合の孔の位置が１インチ目であればおもりの重量［ｇ］を、２インチ目であればおもりの重量［ｇ］の２倍値を、４インチ目であればおもりの重量［ｇ］の４倍値を、それぞれ加算した値を５で割った値（２）と、横方向の実質寸法２５ｍｍ＝１ｉｎｃｈを２乗した値を縦方向寸法２５ｍｍ＝１ｉｎｃｈで割った値（３）とを、それぞれ乗算し、更に９．８８で乗算した値を剛軟度とする。
【０１２６】
具体的には、下記式で算出する。
剛軟度［ｍＮ］＝｛（ｌｅｆｔ＋ｒｉｇｈｔ）／２｝×｛＜１＞×１＋＜２＞×２＋＜３＞×４）／５｝×｛Ｌ２［ｉｎｃｈ］／Ｗ［ｉｎｃｈ］｝×９．８８×０．００９８０７
（但し、「ｌｅｆｔ」は試験片の左側から得られた目盛りを、「ｒｉｇｈｔ」は「試験片の右側から得られた目盛り」を意味し、おもりを入れた場合の孔の位置は１インチ目を＜１＞［ｇ］、２インチ目を＜２＞［ｇ］、４インチ目を＜３＞［ｇ］とし、「Ｌ」は横方向の実質寸法である１［ｉｎｃｈ］を、「Ｗ」は縦方向の寸法である１［ｉｎｃｈ］を意味する。）
【０１２７】
［折り曲げ誘導線］
次に、メインシート体２に内包される吸収体１３に施される折り曲げ誘導線について説明する。本実施形態の陰唇間パッド１の縦断面図である第１６図に示されるように、メインシート体２に内包される吸収体１３の短手方向の中央部分において、折り曲げ誘導線１３ａが設けられている。このため、着用者が本実施形態の陰唇間パッド１を装着した際には、第１７図に示されるように、メインシート体２がかかる折り曲げ誘導線１３ａに沿って、身体側に向かって凸状となるように容易に折り曲げられるのである。
【０１２８】
［隆起領域］
次に、サブシート体６に設けられた隆起領域６ａについて説明する。縦断面図１８に示されるように、サブシート体６には身体側に向かって隆起領域６ａが形成されている。このため、着用者は中空部７に指を挿入する際に、かかる隆起領域６ａにおいて裏面側シート６２の反身体側面６２ａに指の腹が接するようにして指を嵌め込むことにより、陰唇間パッド１と指先の一体感を増幅させることができる。これにより、陰唇間への陰唇間パッド１の装着を一層容易なものとすることができる。
【０１２９】
［装着状態］
本実施形態に係る陰唇間パッド１を装着した状態について説明する。第１９図は、陰唇の中心線と陰唇間パッド１の中心線が合致した状態の本実施形態の陰唇間パッド１の装着状態を示す非接合領域の縦断面図であり、第２０図は、本実施形態の陰唇間パッド１の装着状態を示す斜視図であり、第２１図は、既成の突出部２１を有する陰唇間パッドの位置ズレが生じた装着状態を示す断面図であり、第２２図は、本実施形態に係る陰唇間パッド１の位置ズレが生じた装着状態を示す断面図である。
【０１３０】
上述の第５図に示すように、本実施形態の陰唇間パッド１は、メインシート体２とサブシート体６との間において非接合領域１ｃが設けられている。このため、かかる非接合領域１ｃにおいては、第１９図に示されるように、着用時においてメインシート体２が、身体側に向かって凸型を形成するように変形する。一方、サブシート体６はメインシート体２の変形に直接連動することなく、ほぼそのままの形状を維持し、その後は、第２０図に示されるように、サブシート体６が外陰部を覆うように変形して位置付けられるのである。
【０１３１】
ここで、陰唇間パッドの中央線が着用者の陰唇１８の中央線に対して左右いずれかにずれてしまった場合において、既成の突出部２１を有する陰唇間パッドを使用したときは、第２１図に示されるように、既成の突出部２１が着用者の陰唇１８に引っかかるように位置付けられてしまうため、かかる突出部２１が着用者の陰唇１８の間にしっかり介在するように装着することが困難となる。この結果、着用者の陰唇１８と陰唇間パッドとの間に隙間を生じさせることとなり、そこから経血が漏れ出してしまうおそれがある。
【０１３２】
これに対し、本実施形態に係る陰唇間パッド１によれば、陰唇１８の中心線と陰唇間パッド１の中心線が着用者の身体に対して左右にずれた場合であっても、第２２図に示されるように、サブシート体６と離間可能なメインシート体２が陰唇１８に嵌装されるのに好適な形状に変形するため、長手方向に陰唇１８の間に介在されることができ、陰唇１８と陰唇間パッド１との間に隙間を発生させるというようなことがなく、経血のモレが生じるというようなこともない。そして、サブシート６は陰唇１８の間に介在されないことから、陰唇間パッド１の厚み全体が陰唇１８の間に介在されてしまう一重構成の陰唇間パッド１と比較して、着用者に与える異物感を著しく低減することができる。
【０１３３】
なお、本実施形態の陰唇間パッド１が、その中央線と着用者の陰唇１８の中央線が一致するように装着された状態を身体側から見た場合には、メインシート体２は第２３図のように変形しており、一方、本実施形態の陰唇間パッド１の中央線が着用者の陰唇１８の中央線とずれて装着された状態を身体側から見た場合には、第２４図のように変形することとなる。
【０１３４】
［粘着剤の塗布］
メインシート体２の表面側シート１１及び／又はサブシート体６の表面側シート６１の一部に予め粘着剤を塗布しておくことにより、陰唇間パッド１の陰唇間内への固定及び密着性を強化して、着用者の身体動作に伴って陰唇間パッド１と身体との間に隙間が生じることを防止することができる。これにより、陰唇間パッド１の脱落の危険性を低減させることが可能となる。
【０１３５】
このような粘着剤としては、水溶性高分子、架橋剤、可塑剤、水分から成るゲル粘着剤等を用いることができる。ここで使用することができる水溶性高分子としては、例えばゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース等が挙げられ、架橋剤としては塩化カルシウム、硫酸マグネシウムのような水溶性金属塩が挙げられ、可塑剤としてはグリセリン、ワックス、パラフィン等が挙げられる。
【０１３６】
他の粘着剤としては、いわゆる感圧型ホットメルトも使用することができる。因みに、この感圧型ホットメルトは、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体（ＳＩＳ）、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体（ＳＢＳ）、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体（ＳＥＢＳ）、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体（ＳＥＰＳ）のような合成ゴム樹脂を主成分とし、そこにテルペン樹脂、ロジン樹脂である粘着付与剤とワックス等の可塑剤を溶融混合することによって得られる粘着剤である。
【０１３７】
更に、この他の粘着剤としては、シリコーン系粘着剤も使用することが可能であり、そのようなものとしては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂を主成分とし、白金、モリブデン、アンチモンの金属塩等の架橋剤、エステル系ワックス、グリセリン、マシンオイル等の可塑剤を混合して得られる混合物等が挙げられる。
【０１３８】
ここで、塗布安定性をも考慮した場合には、粘着剤としては感圧型ホットメルトが好ましい。より具体的には、ＳＥＢＳ１５〜２５重量％、可塑剤１５〜３５重量％、粘着付与剤４０〜７０重量％で溶融混合した粘着剤である。また、この感圧型ホットメルトについては、場合によっては酸化防止剤、蛍光防止剤等を０．１〜１．０重量％の範囲で添加することも可能である。
【０１３９】
粘着剤に対しては、粘着剤の部分を、一般的に得られる剥離紙である薄葉紙にシリコン樹脂をコートしたシート又はフィルムにシリコン樹脂をコートしたシートで被覆するのが好ましい。こうすることにより、保管時における粘着部の汚損や剥離を防止し得る。
【０１４０】
粘着剤の配置の仕方としては、面状、ドット状、網目状、筋状等のものが挙げられる。粘着剤の塗布位置は、身体への固定を可能とするものであれば特に限定されるものではないが、陰唇付近、特に陰唇の手前部分にある発毛部分の存在を考慮した上で、陰唇間パッド１の両側部付近に筋状に１〜５ｍｍ程度の幅寸法の範囲で塗布をするのが好ましい。
【０１４１】
この粘着力の評価方法の一例の詳細について説明する。かかる評価方法は、粘着剤の剥離強度（第２５図）、及び粘着剤のせん断強度（第２６図）を測定するものであり、定速伸張引張試験機及び長さ８０ｍｍ、幅５０ｍｍのステンレス板３５を用いて行う。
【０１４２】
評価試験を行うに際しては、予め、ポリエチレンフィルム３６に、粘着剤３７を幅２５ｍｍ、長さ５０ｍｍとなるように塗布したものを２０℃の室温下に３０分間放置しておく。次に、ステンレス板３５に粘着剤３７が接触するようポリエチレンフィルム７２を重ねて軽くのせ、２ｋｇのローラーを１回（片道のみ）かける。その後に２０℃の室温下に３０分間放置して試験片を作製する。
【０１４３】
前記のように作製した試験片のポリエチレンフィルム３６の部分を、剥離強度試験においては第２５図に示す矢印Ｂの方向に引っ張って剥離し、せん断強度試験においては第２６図に示す矢印Ｃの方向に引っ張る。但し、試験条件としては、チャック間隔（つかみ間隔）７０ｍｍ、引張速度を１００ｍｍ／ｍｉｎとする。
【０１４４】
上記測定方法で測った場合において、着用者の肌への負担も考慮すると、剥離強度の測定値が１００〜２０００ｍＮ／２５ｍｍ、せん断力強度の測定値が２９００〜１５０００ｍＮ／２５ｍｍであることが好ましい。
【０１４５】
［陰唇間パッドの他の使用形態］
本実施形態の陰唇間パッド１は、第２７図に示すように、通常の生理用ナプキン３０と併用して用いることもできる。装着方法としては、陰唇間パッド１を陰唇間内へ装着し、生理用ナプキン３０を下着に装着する。このように生理用ナプキン３０と併用することにより、経血量が多い日であっても、本発明の陰唇間パッド１をより効果的に用いることができる。
【０１４６】
［個別包装］
本発明に係る陰唇間パッド１を個別包装するに際しては、包装容器開封後すぐに指を挿入できるように、開封方向と指先挿入方向とが同一方向となるように包装容器と異方性を持たせた状態として内包したり、指挿入のためのミニシート片１４が破り口に近くなるように配置したりするのが好ましい。
【０１４７】
また、第２８図に示すように、陰唇間パッド１の指挿入用口１９に着用者がすぐに指を挿入することができるように、包装容器４０の開封時に指挿入用口１９が自然に開くように折り畳んで内包するのも好ましい。このようにすることにより、着用者は指を挿入する箇所を容易に把握することができるようになるため、陰唇間パッド１の装着をより一層迅速かつ簡易なものとすることができる。
【０１４８】
産業上の利用の可能性
以上のような本発明によれば、陰唇間パッドの中央線が着用者の陰唇の中央線に対して左右いずれかにずれて装着された場合であっても、メインシート体２が着用者の陰唇間に嵌装されるように適宜変形されるため、経血の横モレが防止される。
【図面の簡単な説明】
【０１４９】
第１図は、本実施形態の陰唇間パッドの身体側を示す概略斜視図である。
第２図は、本実施形態の陰唇間パッドの反身体側を示す概略斜視図である。
第３図は、本実施形態の陰唇間パッドを示す第１図のＸ−Ｘ視断面図である。
第４図は、本実施形態の陰唇間パッドを示す第１図のＹ−Ｙ視断面図である。
第５図は、本実施形態の陰唇間パッドにおけるメインシート体とサブシート体の接合部と非接合部の割合を説明するための説明図である。
第６図は、複数枚のミニシート片が取り付けられている本実施形態の陰唇間パッドを示す図である。
第７図は、本実施形態の陰唇間パッドに取り付けられたミニシート片の指挿入用口の内側の全周囲長を説明するための説明図である。
第８図は、本実施形態の陰唇間パッドに取り付けられたミニシート片が長手方向に１０％以上の範囲の長さを有する状態を示す図である。
第９図は、本実施形態の陰唇間パッドに取り付けられたミニシート片の裏面側シートにおける非接合部の位置を示す図である。
第１０図は、本実施形態の陰唇間パッドのミニシート片の取り付け位置を説明するための説明図である。
第１１図は、本実施形態の陰唇間パッドのメインシートにおける裏面側シートの寸法がサブシート体における表面側シートの寸法よりも小さい状態を示す図である。
第１２図は、本実施形態の陰唇間パッドを使用するに際して指挿入用口に人差し指を入れる様子を説明するための説明図である。
第１３図は、本実施形態の陰唇間パッドを陰唇間に装着する状態を示す図である。
第１４図は、本実施形態の陰唇間パッド装着後のミニシート片の状態を示す正面から見た縦断面図である。
第１５図は、本実施形態の陰唇間パッドをミニシート片を引っ張って取り外す状態を示す説明図である。
第１６図は、本実施形態の陰唇間パッドのメインシート体に内包される吸収体に折り曲げ誘導線が施されている状態を示す縦断面図である。
第１７図は、本実施形態の陰唇間パッドのメインシート体が吸収体に施された折り曲げ誘導線に沿って折り曲げられた状態を示す図である。
第１８図は、本実施形態の陰唇間パッドのサブシート体に身体側に向かって隆起領域が設けられていることを説明するための縦断面図である。
第１９図は、陰唇の中心線と本実施形態の陰唇間パッドの中心線とが一致した状態で装着されたメインシート体とサブシート体との非接合領域を説明するための縦断面図である。
第２０図は、本実施形態の陰唇間パッドの装着状態を示す斜視図である。
第２１図は、陰唇の中心線と陰唇間パッドの中心線とがずれた状態で装着された既成の突出部を有する陰唇間パッドの装着状態を示す断面図である。
第２２図は、陰唇の中心線と本実施形態の陰唇間パッドの中心線とがずれた状態で装着された本実施形態に係る陰唇間パッドの装着状態を示す断面図である。
第２３図は、陰唇の中心線と本実施形態の陰唇間パッドの中心線とが一致した状態で装着された本実施形態の陰唇間パッドの斜視図である。
第２４図は、陰唇の中心線と本実施形態の陰唇間パッドの中心線とがずれた状態で装着された本実施形態の陰唇間パッドの斜視図である。
第２５図は、粘着剤の離剥力測定の実験状況を示す図である。
第２６図は、粘着剤のせん断力測定の実験状況を示す図である。
第２７図は、本実施形態の陰唇間パッドを生理用ナプキンと併用して使用する状態を示す図である。
第２８図は、本実施形態に係る陰唇間パッドを個別包装した状態を示す図である。
第２９図は、既成の盛り上がり部分を有する生理用ナプキンに係る従来例を示す図である。
第３０図は、指穴を有する尿失禁防止パッドに係る従来例を示す図である。
第３１図は、指穴を有する尿失禁防止パッドに係る従来例の指の挿入状態を説明する図である。

Claims (12)

1. 女性陰唇間に無理なく挟み込むことが可能な大きさの陰唇間パッドであって、
   身体側に面する透水性の表面側シートと反身体側になる透水性又は不透水性の裏面側シートとが体液を吸収する吸収体を内包した形態で接合されているものからなるメインシート体と、身体側になる透水性の表面側シートと衣服側に面する透水性又は不透水性の裏面側シートとが体液を吸収する吸収体を内包した形態で接合されているものからなるサブシート体と、を備え、
   前記メインシート体及び前記サブシート体は、それぞれの長手方向の左右側縁部において非接合であるとともに、それぞれの長手方向の両端部において接合されており、
   前記メインシート体に内包される吸収体の反身体側面には、該吸収体の短手方向の中央領域に長手方向に延びる折り曲げ誘導線が設けられており、
   前記サブシート体には、身体側に向かって隆起している隆起領域が形成されていることを特徴とする陰唇間パッド。
2. 前記メインシート体と前記サブシート体との左右側縁部における非接合部は、陰唇間パッド上で長手方向の中心線を対称軸とした線対称となっていることを特徴とする請求の範囲第１項記載の陰唇間パッド。
3. 前記非接合部は、前記陰唇間パッドの長手方向の左右各側縁部において、各側縁部全体の５分の２から５分の４の範囲で形成されていることを特徴とする請求の範囲第１項又は第２項記載の陰唇間パッド。
4. 前記メインシート体の短手方向の長さは、前記サブシート体の短手方向の長さと同一、あるいは、前記サブシート体の短手方向の長さよりも短いことを特徴とする請求の範囲第１項から第３項のいずれか記載の陰唇間パッド。
5. 前記メインシート体の短手方向における剛軟度は、前記サブシート体の剛軟度より小さいことを特徴とする請求の範囲第１項から第４項のいずれか記載の陰唇間パッド。
6. 前記メインシート体の短手方向における剛軟度は、剛軟度１．５ｍＮ以下であることを特徴とする請求の範囲第５項記載の陰唇間パッド。
7. 前記サブシート体の裏面側シートの衣服側には、前記裏面側シートとの間において指挿入用口を形成するミニシート片が取り付けられていることを特徴とする請求の範囲第１項から第６項のいずれか記載の陰唇間パッド。
8. 生理用ナプキンと併用される生理用ナプキン併用用陰唇間パッドであることを特徴とする請求の範囲第１項から第７項のいずれか記載の陰唇間パッド。
9. 前記陰唇間パッドは尿失禁用の陰唇間パッドであることを特徴とする請求の範囲第１項から第８項のいずれか記載の陰唇間パッド。
10. 前記陰唇間パッドはおりもの吸収用の陰唇間パッドであることを特徴とする請求の範囲第１項から第９項のいずれか記載の陰唇間パッド。
11. 請求の範囲第１項から第１０項のいずれか記載の陰唇間パッドが個別包装用の包装容器に内包されている包装体。
12. 請求の範囲第７項から第１０項のいずれか記載の陰唇間パッドが個別包装用の包装容器に内包されている包装体であって、前記陰唇間パッドが前記包装容器に直交する方向で内包されていることを特徴とする包装体。

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