JP4224288B2 - 制動部材及び摩擦部材の固定方法 - Google Patents
制動部材及び摩擦部材の固定方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4224288B2 JP4224288B2 JP2002333876A JP2002333876A JP4224288B2 JP 4224288 B2 JP4224288 B2 JP 4224288B2 JP 2002333876 A JP2002333876 A JP 2002333876A JP 2002333876 A JP2002333876 A JP 2002333876A JP 4224288 B2 JP4224288 B2 JP 4224288B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- brake
- lock
- shoe
- lining
- friction member
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Braking Arrangements (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動部材及びその摩擦部材の固定方法に関し、より詳細には、ドラムブレーキ装置等のブレーキ装置に使用されるブレーキシュー及びそのライニングの固定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両や産業用機械に採用されるドラムブレーキ装置として、特許文献1に示すものが知られている。
【0003】
特許文献1に示すこの種のドラムブレーキ装置は、例えば、車輪等に固定され車輪と共に回転するブレーキドラムと、ブレーキドラムの内周面に接触して回転体たるブレーキドラムの回転を規制するライニングと、このライニングが固定されるシュー本体とからなるブレーキシューを備えている。
【0004】
シュー本体は、ブレーキドラムの曲率半径に略等しいアーチ状のウェブと、このウェブに裏面側を支持され且つ表面側にライニングの固定面が形成されるリムと、を備えている。また、ライニングは、シュー本体のリムに複数のリベットを介して強固に固定されている。
そして、例えば、作動カム等でブレーキシューをブレーキドラムの径方向に拡開することでライニングの摩擦面をブレーキドラムの内周面に押し当て、制動力を生じさせる。
【0005】
【特許文献1】
特開平06−050363号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車椅子等の軽車両では、ブレーキシューの設置スペースが少なく、ライニング固定面の面積も自ずと狭くなる。このため、例えば、リベットを用いたライニングの固定が困難になる、およびリベット止めによって摩擦面が大きく減るといった現象が発生する。
【0007】
また、上記した点は、ライニング固定面にライニングを接着固定することで回避可能である。しかしながら、ライニング固定面の面積が狭い小型のブレーキ装置では、接着面積を確保しづらいことに加え、通常のブレーキ装置に較べて大きな剪断力がライニングとライニング固定面との間に作用する。このため、接着強度を確保すべく、ライニング固定面に凹凸等の加工を別途施す必要がある。つまり、接着による固定は、製作コスト等を考えると必ずしも有効な解決策とは言えなかった。
【0008】
本発明は、上記した技術的背景を考慮してなされたもので、ライニング固定面の面積が狭く、ライニングの固定強度を十分に確保し難い構造のブレーキシューに於いても、十分な固定強度をもってライニングを固定できるライニングの固定技術を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した技術的課題を解決するため、本発明では以下の構成とした。
すなわち、本発明は、車輪と共に回転する回転体に接触して前記回転体の回転を規制するため、前記回転体の回転方向に位置する摩擦部材と、この摩擦部材が固定される保持部材と、を有する制動部材であって、前記摩擦部材は、摩擦面が形成されている基板部と、この基板部より前記保持部材の側面に沿って延びる側板部と、前記基板部及び前記側板部に塗布され、前記摩擦部材を前記保持部材に接着する接着剤と、前記摩擦部材を前記側板部を介して、前記保持部材の側面にさらに固定するリベットと、を有し、前記保持部材には、前記回転体の回転方向へ前記摩擦部材が移動することを規制する規制部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
このように構成された制動部材では、摩擦部材が基板部と側板部とを有し、基板部及び側板部のいずれにも接着剤が塗布されるため、保持部材における摩擦部材の固定面積を十分に確保でき、以て、保持部材に対する摩擦部材の固定強度を高めることができる。
【0012】
また、この構成では、摩擦部材を保持部材の側面側に延長し、保持部材の側面側で保持部材に摩擦部材を固定する。すなわち、保持部材の幅(摩擦部材取付面の幅)に左右されない保持部材の側面を利用して摩擦部材の固定面を確保している。
【0014】
この構成では、回転体の回転方向へ摩擦部材が移動することを規制する規制部を保持部材に備えるため、回転体の回転に引きずられてその回転方向へ移動しようとする摩擦部材の移動を規制できる。また、例えば、保持部材の側面に摩擦部材を固定した場合において、その固定場所に作用する剪断力を上記規制部によって軽減できる。
【0015】
また、前記摩擦部材は、アルミニウム系金属材料で形成するとよい。
すなわち、硬質ゴム、焼結金属及び非石綿に較べて機械的強度に富み、また、鉄、鋳鉄、焼結金属等に較べて軟質なアルミニウム系金属材料を用いることで、回転体の過剰な摩耗を抑制しつつ、摩擦部材の機械的強度を高めている。
【0016】
また、上記した技術的課題を解決するため、本発明では以下の方法とした。
すなわち、車輪と共に回転する回転体に接触して前記回転体の回転を規制するため、前記回転体の回転方向に位置する摩擦部材と、この摩擦部材が固定される保持部材と、を有する制動部材における摩擦部材の固定方法であって、前記摩擦部材として、前記摩擦面が形成される基板部と、この基板部より前記保持部材の側面に沿って延びる側板部とを備えたものを用い、前記基板部及び前記側板部に接着剤を塗布して前記摩擦部材を前記保持部材に接着した後、さらにリベットで前記摩擦部材を前記保持部材に固定し、前記回転体の回転方向への前記摩擦部材の移動を規制する規制部を前記保持部材に設け、この規制部で前記摩擦部材の前記回転体の回転方向への移動を規制することを特徴とする。
【0017】
この方法では、摩擦部材として、基板部及び側板部の両方で接着する摩擦部材を用いるようになっているため保持部材と摩擦部材との固定面積を十分に確保でき、以て、保持部材に対する摩擦部材の固定強度を高めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
なお、本実施の形態では、本発明の制動装置を車椅子に用いられるブレーキ装置に適用した例について説明する。
【0019】
本発明に係る制動部材が適用されるブレーキ装置1は、一般に「内拡式ドラムブレーキ」と称される種類のブレーキ装置であり、車輪101と共に回転するブレーキドラム(回転体)3と、ブレーキドラム3の内周面に接触作用して制動力を生み出すメインシュー(制動部材)4及びロックシュー(制動部材)6と、メインシュー4及びロックシュー6等をブレーキドラム3内に支持するバックプレート5(支持部材)等、を備えている。
【0020】
ブレーキドラム3は、車輪101の回転中心となるハブ102若しくはハブ102より放射状に延出されたスポーク103に固定されている(図2参照)。
より詳しくは、ハブ102又はスポーク103に固定される円形の基部3aと、車椅子100への装着状態に於いてこの基部3aの周縁より車椅子100のフレーム側に向かって延出された周壁3bとによって構成され、その周壁3bの内周がメインシュー4及びロックシュー6の接触面となる。
【0021】
バックプレート5は、十分な強度を有する鋼板等から構成され、車椅子100のフレームと車輪101との間に取り付けられている。
より詳しくは、バックプレート5の中央に車軸挿通孔5bを形成しておき、この車軸挿通孔5bに、車軸(回転軸)を貫装させた状態でバックプレート5を車椅子100のフレームに固定する。
そして、このバックプレート5上であって且つブレーキドラム3の内方に、ブレーキ装置1を構成する主要構成部品の略全てが集約して設けられている。
【0022】
バックプレート5に設けられるブレーキ装置1の主要構成部品としては、ブレーキドラム3の内周面3cに接触してブレーキドラム3の正転方向及び逆転方向に於いて制動力を呈する一対のメインシュー4,4と、各メインシュー4,4をブレーキドラム3の内周面3cより離間させた位置に保持するリターンスプリング13と、ブレーキドラム3の内周面3cに接触してブレーキドラム逆転方向への回転を規制するロックシュー6と、ロックシュー6をブレーキドラム3の内周面3cより離間させた位置に保持するロックシューリターンスプリング7と、各リターンスプリング13,7の張力に逆らってメインシュー4及びロックシュー6を、個々に制動力を呈する位置に移動させる作動カム8、などを例示できる。
【0023】
一対のメインシュー4,4は、一端に作動カム8との接触点4aを有し、他端にメインシュー4の回動中心となるアンカーピン12を受け入れる連結孔4bが設けられた弓形(アーチ状)のメインシュー本体10と、メインシュー本体10とブレーキドラム内周面3cとの接触面であって、且つメインシュー本体10側に固定されたライニング(摩擦部材)11と、を備えている。また、各メインシュー4,4は、バックプレート5の下方寄りに設けられたアンカーピン12に前記連結孔4bを介して回動自在に取り付けられている。
【0024】
すなわち、各メインシュー4,4は、アンカーピン12を介して互いに連結され、作動カム8の回動に伴い、前記接触部4aを力点とし、アンカーピン12を支点としてブレーキドラム内周面3cに押圧され制動力を呈する。
【0025】
なお、各メインシュー4,4はリターンスプリング13によって相互に連結されており、常態に於いてブレーキドラム内周面3cより離間した位置に保持されている。なお、ここで常態とは、作動カム8の回動に伴う外力がメインシュー4に作用していない状態である。また、メインシュー4の動作については後に詳述する。
【0026】
ロックシュー6は、ブレーキドラム3の内周面3cに接触してブレーキドラム3の回転を規制するアルミニウム合金製のロックライニング(摩擦部材)60と、このロックライニング60が固定されるロックシュー本体65(保持部材)と、を備えている。
【0027】
まず、ロックシュー本体65は、その全長が、アンカーピン12とブレーキドラム3との最短距離に比べて十分に長く形成された弓形の平板からなり、一端にロックライニング60が固定され、他端にロックシューリターンスプリング7が連結されている。
【0028】
また、ロックライニング60が設けられる一端とロックシューリターンスプリング7に連結される他端との間で且つロックシューリターンスプリング7に連結される他端寄りには、アンカーピン12との連結部となる連結孔6aが設けられている。そして、ロックシュー本体65は、この連結孔6aを介してアンカーピン12に回動自在に取り付けられている。
【0029】
また、ロックライニング60が固定されるロックシュー本体65の端部近傍には、作動カム8との接触点6bが設けられ、作動カム8の角度に対応して、ロックシュー本体65が回動し、その都度、ブレーキドラム内周面3cとロックライニング60との距離が変化する。
【0030】
また、ロックシュー6は、ブレーキドラム3からアンカーピン12に至る放線L上より正転方向にオフセットされた状態で、アンカーピン12に取り付けられている。このためブレーキドラム3の逆転時であって、且つロックシュー6とブレーキドラム3との接触時には、ロックシュー6とブレーキドラム3との間にセルフ・エナージャイジング効果(くさび効果)が生じる。したがって、このセルフ・エナージャイジング効果によって、ブレーキドラム3の逆転方向における回転が強制的に規制される。このようにロックシュー6は、ブレーキドラム3の逆回転を規制している。
【0031】
なお、ロックシュー6は、通常、ロックシューリターンスプリング7の張力によってブレーキドラム3の内周面3cから離間した位置に保持されている。このため、常態(ロックシュー6がブレーキドラム3の内周面3cに接触していない状態)では、上記セルフ・エナージャイジング効果の発生が阻止されている。
【0032】
作動カム8は、接触点4aに於いてメインシュー本体10に接するメインシュー4用の作動カム部8aと、このメインシュー4用の作動カム部8aの径方向に更に延出されたロックシュー6用の作動カム部8bと、を備えている。
また、各作動カム部8a,8bは、バックプレート5の背後に設けられた作動レバー15に連結され、この作動レバー15の揺動に追従して、作動カム部8a及び作動カム部8bが一体に回動する。
【0033】
一方、作動レバー15の端部は、車椅子100のフレーム104に設けられたブレーキレバー110にワイヤー111を介して連結されており、ブレーキレバー110の操作時にはブレーキレバー110の操作と連動して作動レバー15が揺動する仕組みになっている。つまり、ブレーキレバー110の操作によって作動レバー15が揺動し、この動作が作動カム部8a、8bに伝達されて作動カム部8a、8bが回動する。
【0034】
なお、ブレーキレバー110は図3に示すように車椅子100のフレーム104に固定されたベースプレート112と、ベースプレート112の下方に向かって延出されたブレーキレバー支持ブラケット113と、ブレーキレバー支持ブラケット113に設けられたブレーキレバー支持ピン114と、ブレーキレバー支持ピン114に回動自在に設けられたレバー本体115と、を備えている。
【0035】
なお、フレーム104に対するブレーキレバー110の取付位置は任意であるが、図1に示すように、好ましくは使用者が操作しやすい車椅子100の手すり部分116に設けるとよい。
【0036】
ベースプレート112には、図4に示すようにレバー本体115のガイドとなるモード切換溝112aが形成され、レバー本体115は、ブレーキレバー支持ピン114を介して、そのモード切換溝112aに挿通された状態でブレーキレバー支持ブラケット113に取り付けられている。
【0037】
モード切換溝112aは、図4に示すように車椅子100の前進時及び後進時の両方向において任意にブレーキをかけることができる主ブレーキモードと、前進時及び後進時のいずれの方向においてもブレーキがかからないブレーキ解除モードと、車椅子100の後進時に自動的にブレーキがかかる補助ブレーキモードに区分けされている。
【0038】
また、ブレーキレバー支持ブラケット113には、モード切換溝112a内に臨むように形成された切起こし113aが形成され、この切起こし113aによってレバー本体115の動きが規制されるようになっている。
【0039】
なお、後に詳述するが主ブレーキモードにおいては、図4中の矢印Aの区間においてレバー本体115をスライドさせることで制動力を変化させることができる。また、ブレーキ解除モードにおいては図4中B点にレバー本体115を係止させることで全てのブレーキが解除される。また、補助ブレーキモードにおいては図4中C点にレバー本体115を係止させることで、ブレーキドラム逆転時に制動力を生じさせる。つまり、レバー本体115を各モードに切り換えることによってブレーキの作用を任意に切り換えることができる。
【0040】
なお、レバー本体115とワイヤー111を介して連結する作動レバー15の端部には、作動レバーリターンスプリング15bが設けられている。
作動レバーリターンスプリング15bは、バックプレート5より延出されたリターンスプリング支持アーム5aと作動レバー15との間に設けられており、作動レバー15を、リターンスプリング支持アーム5aから常時遠ざける方向に付勢している。したがって、主ブレーキモードでは、レバー本体115がブレーキ解除モード側に付勢されている。
【0041】
続いて、上記した各構成部品の動作について、図5〜図10を参照して説明する。なお、図5では、主ブレーキモードの作動状態を示している。また、図6では、主ブレーキモードでのブレーキレバー110の操作状態を説明している。また、図7には、ブレーキ解除モードの作動状態を示している。また、図8には、ブレーキ解除モードでのブレーキレバー110の操作状態を説明している。また、図9には、補助ブレーキモードの作動状態を示している。また、図10では、補助ブレーキモードでのブレーキレバー110の操作状態を説明している。
【0042】
<主ブレーキモード>
主ブレーキモードとは、車椅子100の前進時及び後進時の双方向において、使用者が任意にブレーキを作動させることができるモードであり、上記したメインシュー4によってその制動力は生み出されている。
【0043】
より詳しくは、図6矢印A方向にレバー本体115を押し付けるとブレーキがかかり、レバー本体115を戻すとレバー本体115が作動レバーリターンスプリング15bの張力によって図6矢印A’方向に引き戻され、ブレーキが解除される。
【0044】
また、各構成部品の動作は、以下の通りである。
まず、ブレーキを作用させるべく図6中矢印A方向にレバー本体115を押し付けると、作動カム部8aが図5中矢印N方向に回転して各メインシュー4、4が外方に広がり、ライニング11がブレーキドラム3の内周面3cに押し当てられブレーキが掛かる。一方、レバー本体115を戻すと、図5中矢印R方向に作動カム8が戻り、リターンスプリング13の張力によって、各メインシュー4、4がブレーキドラム内周面3cより離間する。よって、ブレーキが解除される。
【0045】
なお、主ブレーキモードでは、ロックシュー6用の作動カム部8bが図5中矢印Y方向に回動するため、ロックシュー6は、ロックシューリターンスプリング7の張力によって、ブレーキドラム内周面3cから、更に離間した位置に移動する。このため、主ブレーキモードでは、ロックシュー6による制動力が得られない。
【0046】
<ブレーキ解除モード>
ブレーキ解除モードとは、車椅子100の前進及び後進時の何れの方向においてもブレーキが作用しないモードであり、メインシュー4及びロックシュー6は図7に示すように、常にブレーキドラム内周面3cから離間した位置に支持されている。
【0047】
また、各構成部品の動作は以下の通りである。
まず、使用者がレバー本体115を操作して図8中のB点にレバー本体115をスライドさせブレーキ解除モードに切り換えると、作動カム部8aは中立状態に固定され、各メインシュー4はリターンスプリング13の張力によってブレーキドラム内周面3cより離間した位置に保持される。
【0048】
また、ロックシュー6も主ブレーキモードと同様に、ロックシューリターンスプリング7によって拘束された状態であり、車椅子100の後進時においてもブレーキは作用することはない。このように、ブレーキ解除モードでは、各メインシュー4及びロックシュー6共に、ブレーキドラム3の内周面より離間した状態に保持されているため、車椅子100の前進及び後進時の何れの方向においてもブレーキが作用しない状態となる。
【0049】
<補助ブレーキモード>
補助ブレーキモードとは、車椅子100の後進時、即ち、車輪101の逆転時において自動的にブレーキがかかるモードであり、上記したロックシュー6によってその制動力は生み出されている。
【0050】
補助ブレーキモードにおいてブレーキを作用させる際には、まず、図10のC点にレバー本体115をスライドさせる。そして、車椅子100が坂道などにさしかかり車輪101が逆転する状況になると、使用者の意志によらず自動的にブレーキが作用する。
【0051】
なお、各構成部品の動作は以下の通りである。
補助ブレーキを作用させるべく図10のC点にレバー本体115をスライドさせると、作動カム部8bは、図9中矢印K方向に回動してロックシュー本体65をブレーキドラム3の内周面3c寄りに移動させる。また、このロックシュー本体65の動きに伴ってロックライニング60がブレーキドラム3の内周面3cに接触した状態となる。
【0052】
そして、ブレーキドラム3が逆転方向に回転すると、ロックシュー6とブレーキドラム3との間にセルフ・エナージャイジング効果(くさび効果)が生じ、ブレーキドラム逆転方向への回転が規制される。
また、車椅子100の使用者が車輪101を正転方向に回転させて前進した場合には、ブレーキドラム3も正転方向に回転するため、ロックシュー6とブレーキドラム内周面3cとの係合状態が解かれ、前進可能となる。
【0053】
なお、補助ブレーキモードにおいて車輪101が正転している場合においても、ロックシュー6とブレーキドラム内周面3cとの接触状態は維持されているが、ブレーキドラム3の正転時においては、セルフ・エナージャイジング効果が発揮されないためブレーキドラム3に対してブレーキが掛かることはない。
【0054】
そして、レバー本体115を他のモードに切り換えた場合には、作動カム部8bが図9中矢印D方向に回動するため、ロックシュー6はロックシューリターンスプリング7の張力によって、再びブレーキドラム内周面3cから離間した定位置に戻る。よって、車輪101の逆転時においてもブレーキが作用しない状態となる。
【0055】
ところで、上述の如く本実施の形態に示すドラムブレーキ装置では、車輪101とフレーム104との間にブレーキドラム3を取り付けるため、ブレーキドラムの幅(奥行き)が狭くなっている。また、ロックシュー6は、メインブレーキシューに較べて遙かに狭い接触面積にてブレーキドラム3の回転を規制するため、ロックシュー6本体とロックライニングとの間には、大きな剪断力が作用する。
【0056】
このため本実施の形態では、ロックシュー本体65とロックライニング60との固定強度をより十分に確保すべく、本来の固定場所たるロックライニング60の裏面側に加え、ロックシュー本体65の側面でロックライニング60を固定している。
【0057】
まず、ロックライニング60は、図11から図13に示されるように、ブレーキドラム3の内周面3cに接する摩擦面を形成する基板部60aと、この基板部60aより延出され且つロックシュー本体65の側面65aに沿って延びる側板部60bと、を備え、ロックライニング60は、基板部60aの裏面側に加え、側板部60bを介してロックシュー本体65に固定される。
【0058】
なお、本実施の形態では、ロックライニング60とロックシュー本体65との固定にあたり、まず、基板部60a及び側板部60bの裏面側に接着剤を塗布してロックシュー本体65に接着し、さらに、側板部60bに於いてロックシュー本体65と側板部60bとをリベットRを用いて固定している。
【0059】
また、ロックライニング60の固定部たるロックシュー本体65の先端には、基板部60aの端面に接触して、ロックライニング60の移動を規制する突当面65bを形成している。
【0060】
より詳しくは、正転方向から逆転方向に向けて、ロックシュー本体65の先端を切り欠き、ブレーキドラム3の逆転方向に位置した基板部60aの端面を、この切り欠きの逆転方向側に位置した突当面(端面)65bに突き当てた状態で、ロックライニング60をロックシュー本体65の先端に固定している。
【0061】
したがって、補助ブレーキモードに於いて、ロックライニング60にセルフ・エーナージャイジング効果が働くと、基板部60aの端面が、この切り欠きにて形成された突当面65bに押し当てられ、ブレーキドラム逆転方向へのロックライニング60(基板部60a)の移動が規制される。また、本実施の形態では、この切り欠きによって、本発明に係る規制部を構成している。
【0062】
このように本実施の形態に示すブレーキ装置1では、本来の固定場所たるロックライニング60の裏面側と異なる位置に於いても、ロックライニング60をロックシュー本体65に固定している。したがって、ロックシュー本体65とロックライニング60との固定面積を十分に確保でき、以て、ロックシュー本体65にロックライニング60をより確実に固定できる。
【0063】
また、本実施の形態では、上述の如くロックライニング60をロックシュー本体65の側面側に延長して、ロックシュー本体65の側面65aで固定している。すなわち、ロックシュー本体65の本来のライニング固定面Pの面積に左右されないロックシュー本体65の側面を利用してロックライニング60の固定面積を確保するため、十分にロックライニング60の固定強度を高めることができる。
【0064】
また、ロックシュー本体65には、ブレーキドラム3の逆転方向に位置したロックライニング60の端面に接触して、ブレーキドラム逆転方向へのロックライニング60の移動を規制する突当面65bを形成しているため、例えば、本実施の形態のように、ロックシュー本体65の側面でロックライニング60を固定した場合においても、その固定場所に作用する剪断力を上記切り欠きの突当面65bによって受けることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、上述の如くロックライニング60をアルミニウム系金属材料で形成しているため、ブレーキドラム3の過剰な摩耗を抑制しつつ、十分な機械的強度を確保できる。なお、アルミニウム系金属材料としては、種々例示できるが、本実施の形態では、日本工業規格(JIS)のA6061アルミニウム合金を使用している。
【0066】
なお、上記した実施形態は、あくまでも一実施例であって、その詳細は、ブレーキ装置の仕様に応じて適宜変更可能である。
例えば、図15に示すように、ロックライニング60の側板部60bをロックシュー本体65の両側面に沿って延びるように形成し、ロックシュー本体65の両側面にてロックライニング60を固定するなどの構成が考えられる。このようにロックライニング60の裏面側と異なる位置でロックライニング60の固定状態を維持できれば、その固定場所は、適宜変更可能である。
【0067】
また、上記では、ロックライニング60をロックシュー本体65にリベット止め及び接着固定してるが、必ずしもその必要はなく、リベットRのみ、若しくは接着剤のみによっても十分な固定強度をもってロックライニング60を固定することができる。すなわち、固定面積が広いため十分な固定強度が得られる。
【0068】
さらに、上記した実施形態では、ブレーキドラム3の逆転方向に位置したロックライニング60(基板部60a)の端面に接触する突当面65bをロックシュー本体65側に形成したが、図14に示すように、ブレーキドラム3の正転方向に位置したロックライニング60の端面にも接触し得る形状の切り欠き形状としてもよい。この場合には、ブレーキドラム3の逆転方向のみならずブレーキドラム3の正転方向におけるロックライニング60の位置ズレも規制できる。
【0069】
また、上記では、ロックシュー6におけるロックシュー本体65とロックライニング60との固定を例に説明したが、本ライニングの固定方法は、勿論、メインシュー4にも適用できる。
【0070】
また、上記した実施形態では車椅子100用ブレーキ装置1を例に説明したが、本発明のブレーキ装置1及びライニングの固定方法は、車椅子のみならずベビーカー、自転車、台車、産業用機械、自動二輪車、自動車用ブレーキなどにも適用できる。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ライニング固定面の面積が狭く、ライニングの固定強度を確保し難い構造のブレーキ装置に於いても、十分な固定強度をもってライニングを固定できるライニングの固定技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドラムブレーキ装置が採用された車椅子の側面図。
【図2】本実施の形態に係るブレーキドラムを車輪に固定した状態を示す斜視図。
【図3】本実施の形態に係るブレーキレバーを示す側面図。
【図4】図3に示すブレーキレバーに設けられたベースプレートの平面図。
【図5】本実施の形態に示すブレーキ装置の主ブレーキモードにおける各構成部品の動作を示す図。
【図6】本実施の形態に示すブレーキ装置の主ブレーキモードにおけるブレーキレバーの位置を示す図。
【図7】本実施の形態に示すブレーキ装置のブレーキ解除モードにおける各構成部品の動作を示す図。
【図8】本実施の形態に示すブレーキ装置のブレーキ解除モードにおけるブレーキレバーの位置を示す図。
【図9】本実施の形態に示すブレーキ装置の補助ブレーキモードにおける各構成部品の動作を示す図。
【図10】本実施の形態に示すブレーキ装置の補助ブレーキモードにおけるブレーキレバーの位置を示す図。
【図11】本実施の形態に示すロックライニングとロックシュー本体との固定状態を示す要部拡大斜視図。
【図12】本実施の形態に示すロックシューの側面図。
【図13】図12のA−A’断面図。
【図14】ブレーキドラムの正転方向及び逆転方向の双方に突当面が形成されたロックシュー本体の側面図。
【図15】ロックシュー本体の両側面に沿って延びる側板部を備えたロックライニングの断面図。
【符号の説明】
1 ブレーキ装置
3 ブレーキドラム
3a 基部
3b 周壁
3c 内周面
4 メインシュー(制動部材)
4a 接触点
4b 連結孔
5 バックプレート
5a リターンスプリング支持アーム
5b 車軸挿通孔
6 ロックシュー(制動部材)
6a 連結孔
6b 接触点
7 ロックシューリターンスプリング
8 作動カム
8a メインシュー用の作動カム部
8b ロックシュー用の作動カム部
10 メインシュー本体(保持部材)
11 ライニング(摩擦部材)
12 アンカーピン
13 リターンスプリング
15 作動レバー
15b 作動レバーリターンスプリング
60 ロックライニング(摩擦部材)
60a 基板部
60b 側板部
65 ロックシュー本体(保持部材)
65a ロックシュー本体の側面
65b 突当面
100 車椅子
101 車輪
102 ハブ
103 スポーク
104 フレーム
110 ブレーキレバー
111 ワイヤー
112 ベースプレート
112a モード切換溝
113 ブレーキレバー支持ブラケット
114 ブレーキレバー支持ピン
115 レバー本体
116 手すり部分
P ライニング固定面
R リベット
Claims (3)
- 車輪と共に回転する回転体に接触して前記回転体の回転を規制するため、前記回転体の回転方向に位置する摩擦部材と、この摩擦部材が固定される保持部材と、を有する制動部材であって、
前記摩擦部材は、摩擦面が形成されている基板部と、
この基板部より前記保持部材の側面に沿って延びる側板部と、
前記基板部及び前記側板部の裏面側に塗布され、前記摩擦部材を前記保持部材に接着する接着剤と、
前記摩擦部材を前記側板部を介して、前記保持部材の側面にさらに固定するリベットと、を有し、
前記保持部材には、前記回転体の回転方向へ前記摩擦部材が移動することを規制する規制部が設けられていることを特徴とする制動部材。 - 前記摩擦部材は、アルミニウム系金属材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の制動部材。
- 車輪と共に回転する回転体に接触して前記回転体の回転を規制するため、前記回転体の回転方向に位置する摩擦部材と、この摩擦部材が固定される保持部材と、を有する制動部材における摩擦部材の固定方法であって、
前記摩擦部材として、
前記摩擦面が形成される基板部と、
この基板部より前記保持部材の側面に沿って延びる側板部とを備えたものを用い、
前記基板部及び前記側板部の裏面側に接着剤を塗布して前記摩擦部材を前記保持部材に接着した後、
さらにリベットで前記摩擦部材を前記保持部材に固定し、
前記回転体の回転方向への前記摩擦部材の移動を規制する規制部を前記保持部材に設け、この規制部で前記摩擦部材の前記回転体の回転方向への移動を規制することを特徴とする摩擦部材の固定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002333876A JP4224288B2 (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 制動部材及び摩擦部材の固定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002333876A JP4224288B2 (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 制動部材及び摩擦部材の固定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004169760A JP2004169760A (ja) | 2004-06-17 |
JP4224288B2 true JP4224288B2 (ja) | 2009-02-12 |
Family
ID=32698466
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002333876A Expired - Fee Related JP4224288B2 (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 制動部材及び摩擦部材の固定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4224288B2 (ja) |
-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002333876A patent/JP4224288B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004169760A (ja) | 2004-06-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102007684B1 (ko) | 드럼 브레이크 어셈블리용 브레이크 라이닝 | |
JP6114106B2 (ja) | ドラムブレーキ装置 | |
JP6746789B2 (ja) | ディスクブレーキ | |
JP4224288B2 (ja) | 制動部材及び摩擦部材の固定方法 | |
JP2007271064A (ja) | ディスクブレーキ | |
JP5094851B2 (ja) | ドラムブレーキ | |
KR100435197B1 (ko) | 드럼브레이크 | |
JP4672130B2 (ja) | シュー間隙自動調節機構付きドラムブレーキ | |
JP5087491B2 (ja) | ディスクブレーキ | |
JP4540820B2 (ja) | ドラムブレーキ、およびブレーキシュー | |
JP2007092848A (ja) | ディスクブレーキ装置 | |
JP2007255597A (ja) | ディスクブレーキ | |
JP4530594B2 (ja) | ブレーキ装置のケーブル導入構造 | |
JP4597345B2 (ja) | ドラムブレーキ | |
JP5087645B2 (ja) | ピンレールキャリパを有するディスクブレーキ | |
JPS628439Y2 (ja) | ||
JP3551222B2 (ja) | ドラムブレーキのアンカー装置 | |
JP4159371B2 (ja) | ディスクブレーキ用パッドクリップ | |
JP2009196638A (ja) | 自転車 | |
JP4540836B2 (ja) | ドラムブレーキ | |
JP2005344833A (ja) | 車両用ドラムブレーキのバックプレート | |
JP2008536074A5 (ja) | ||
JP2007508509A (ja) | ばね組体を有するスポットタイプディスクブレーキ | |
JP3910460B2 (ja) | ドラムブレーキのケーブルガイド | |
JP2003314594A (ja) | ドラムブレーキ装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051108 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071025 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071030 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071214 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080909 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081021 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081111 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081121 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121128 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |