JP4224185B2 - 複合テープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合テープに関し、特に、引裂特性と耐熱接着強度に優れ、さらに反りが発生しにくい複合テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミドフィルムに銅箔等の金属箔を貼り合わせた複合テープが、例えばTAB(Tape Automated Bonding)テープ等の電子部品材料の基材として広く使用されている。このような複合テープとしては、ポリイミドフィルムと金属箔を接着剤を介して接合したものと、金属箔の表面にポリイミドを直接塗布、焼付けしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ポリイミドフィルムと金属箔の接合に使用される接着剤としては、ポリアミド系樹脂ベースにエポキシ系硬化剤を添加したもの、あるいはポリアミド酸を経由したポリイミド系樹脂が一般に使用されてきている。ポリアミド系樹脂ベースにエポキシ系硬化剤を添加した接着剤は、耐熱性に劣るという問題がある。ポリアミド酸を経由したポリイミド系樹脂を接着剤とする場合は、ポリイミドフィルムと金属箔の間にポリイミド酸を主成分とする溶液を介在させた後、ポリアミド酸をイミド化すると共に脱水するために300℃という高温で所定時間加熱するため、この加熱操作により反りが発生しやすくなるという問題がある。また、金属箔の表面にポリイミドを直接塗布、焼付けした複合テープは、機械的特性、特に引裂強度に劣るという問題がある。
【0004】
従って、本発明の目的は、引裂特性と耐熱接着強度に優れ、さらに反りが発生しないポリイミドフィルムと金属箔の複合テープを提供することにある。
【0005】
本発明は、上記目的を達成するため、ポリイミドフィルムと金属箔との間に、2種類以上のジアミンと2種類以上の酸ジ無水物を反応させることにより得られる4成分以上の共重合体であり、ラクトン系触媒の存在下、加熱した極性溶媒中で3,4ジアミノジフェニルエーテルビシクロ(2,2,2)オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸ジ無水物を反応させ、更にビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンと3,4,3,4−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物とを添加反応させる逐次添加反応により、直接イミド化して得られるブロック共重合ポリイミドを接着成分として介在させてなることを特徴とする複合テープを提供するものである。
【0006】
前記金属箔としては、銅、ステンレスあるいはアルミニウムより選択される材料からなることが好ましい。前記ポリイミドフィルムの厚さは25〜100μm、前記接着成分の厚さは5〜20μm、前記金属箔の厚さは5〜30μmとすることが、電子材料の基材に適用する上で好ましい。
【0007】
本発明で使用するブロック共重合ポリイミドは、溶剤可溶のポリイミドであり、溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、アニソール、ジオキソラン、ジオキサン、ブチロラクトンなどが用いられる。
【0008】
これらの溶剤中に、ジアミンと酸ジ無水物とをほぼ同モル加え、触媒の存在下に加熱して、脱水イミド化反応によって直接ポリミド溶液を製造する。
【0009】
触媒は、二成分系の複合触媒であるγ−バレロラクロン又はクロトン酸と、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン等の塩基との混合物をあげることができる。混合比は1:1〜5(モル当量)、好ましくは1:1〜2(モル当量)である。
【0010】
ジアミンとしては、3,4ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4ベンゼンジアミン、1,3ベンゼンジアミン、6−メチル1,3−ベンゼンジアミン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチル−1.1′−ビフェニル、4,4′−メチレンビス(ベンゼンアミン)、4,4′−オキシビス(ベンゼンアミン)、3,3′−カルボニル(ベンゼンアミン)、4,4′−チオビス(ベンゼンアミン)、4,4′−スルホニル(ベンゼンアミン)、4,4′−ジアミノベンズアニリド、2,6−ジアミノピリジン、4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−テトラメチルビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ジアミノベンズアニリドなど等の芳香族ジアミンをあげることができる。
【0011】
酸ジ無水物としては、ビシクロ(2,2,2)オクタ−7−エテン−2,3,5,6テトラカルボン酸ジ無水物、3,4,3,4−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、チオフェンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ジ無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などをあげることができる。
【0012】
ラクトン系触媒の存在下、加熱した極性溶媒中でジアミンと酸ジ無水物を反応させ、更にジアミンと酸ジ無水物を添加する逐次添加反応法により1段で4成分系以上のブロック共重合ポリイミドを生成するものであり、アミド酸間で起こる変換反応によるランダム共重合を防止でき、各構成成分本来の特性を十分に発揮することができる。
【0013】
本発明においては、ブロック共重合ポリイミドの重量平均分子量は20,000〜150,000とすることが好ましく、20,000を下回ると耐熱性が不十分であると共にワニスからの成膜性に劣り、150,000を越えるとワニス状態においてゲル化が起こり易いので保存安定性が低下し、接着性も不十分となる。好ましい分子量範囲は、40,000〜100,000である。
【0014】
上記のブロック共重合ポリイミドは、NMPやDMP等の極性溶媒に固形分含有量が20〜40重量%の範囲となるように調整してワニスを形成し、このワニスをポリイミドフィルムに塗布し、60〜150℃で加熱して溶媒を乾燥させた後金属箔を積層し、150〜250℃の温度で加圧することにより複合テープを得ることができる。ポリイミドフィルムにワニスを塗布するには、マイクログラビアロールを使用することにより連続的に薄く且つ均一に塗布することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
<実施例>
ブロック共重合ポリイミドを生成するための1000mlのセパラブル3つ口フラスコに、攪拌器及び玉付冷却管を取り付ける。この玉付冷却管は、シリコンコック付トラップを備えている。この3つ口フラスコに、9.93gのビシクロ(2,2,2)オクタ−7−エン−2,3,5,6テトラカルボン酸ジ無水物、12.01gの3,4ジアミノジフェニルエーテル、1.5gのγ−バレロラクトン、2.4gのピリジン、200gのNMP、及び30gのトルエンを入れ、常温の窒素雰囲気中で、攪拌器により10分間攪拌した。その後、180℃まで昇温し、攪拌器の回転速度を180rpmにして1時間攪拌した。
【0016】
次に、この反応液を空冷し、29.42gの3,4,3,4−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物、17.3gのビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、16.4gの2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、160gのNMP、及び30gのトルエンを入れて、再び180℃に昇温し、攪拌器によって5時間攪拌反応させ、反応液(ワニス)を生成させた。このとき、攪拌器の回転速度は、最初180rpmに設定し、反応が進行するに従って低下させる。また、反応中に生成される水は、シリコンコックから取り除いた。ワニスの重量平均分子量を調べたところ、Mw(ポリスチレン換算)=55000であり、ワニスを250℃で2時間加熱し、その固形分量を調べたところ20.5%であった。
【0017】
このワニスをグラビアロールを有する塗装装置を用いてポリイミドフィルムに塗布する例を図1を参照して説明する。接着剤(ワニス)1を収容した貯槽2の中にグラビアロール3を配置し、このグラビアロール3の回転方向と反対方向に走行するポリイミドフィルム4に塗布するようになっている。5は、過剰な接着剤を排除して塗布量を一定にするブレードである。なお、グラビアロール3は、ロール外周面に網目状の彫刻部が刻設されており、薄いフィルムに対して接着剤を均一な厚さに塗布することが可能である。
【0018】
#35の網目模様を有し、0.5m/分で回転するグラビアロールを用い、ポリイミドフィルム4(宇部興産社製、商品名「ユーピレックス50SGA」、厚さ40μm)の表面に、溶剤濃度が80%の接着剤1を塗布し、140℃で乾燥することにより、厚さ10μmの接着剤層1′を形成した。なお、図1では接着剤層1′は乾燥前のものが示されている。
【0019】
次に、接着剤層1′が形成されたポリイミドフィルムに銅箔を貼り合わせる例を図2を参照して説明する。ポリイミドフィルム4と銅箔6(日本電解社製、商品名「SLP」、厚さ18μm)を接着剤層1′が間になるようにして200〜220℃の温度に設定された一対の加熱ロール7の間に導入し、圧着力0.2〜0.3MPa、速度0.25〜0.6m/分の条件でもって貼り合わせることにより、キュア前の複合テープ8を得、次いで恒温槽でキュアすることにより複合テープを作製した。
【0020】
<従来例1>
厚さ75μmのポリイミドフィルムにポリアミド/エポキシ系接着剤を厚さ13μmに塗布乾燥した接着剤付フィルムに、ラミネート温度130〜140℃、ロール圧力0.2〜0.3MPa、ラミネート速度0.25〜0.6m/minの条件でもって厚さ18μmの銅箔を貼り合わせ、恒温槽でキュアすることにより、複合テープを作製した。
【0021】
<従来例2>
厚さ18μmの銅箔に変性ポリイミドを厚さ40μmに塗布乾燥した複合テープ(市販品)を用いて評価を行った。
【0022】
実施例及び従来例の銅箔複合テープについて引裂強度及び耐熱接着強度を評価した結果を表1に示した。評価方法は、次の通りである。
【0023】
引裂強度は、銅箔複合テープを50mmにカットし、カッターにより長さ20mmの切れ目を入れ、これを常温で(株)オリエンテック製テンシロンMPW−300Sを用い、50mm/minの速度で引裂いたときの強度を求めた(常温での引裂伝播抵抗)。
【0024】
耐熱接着強度は、(株)オリエンテック製テンシロンMPW−300Sを用い、JISC6481に準拠して90°剥離試験を行った。なお、剥離試験は加熱前の銅箔複合テープと、150℃に設定した恒温槽で1000時間加熱処理した銅箔複合テープについて行った。
【0025】
【表1】
Figure 0004224185
【0026】
表1から明らかなように、本発明の実施例による複合テープは、引裂強度及び耐熱接着強度の双方において優れている。従来例1の複合テープは、加熱による劣化が大きく、従来例2の複合テープは引裂強度が劣っている。
【0027】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明による複合テープは、ポリイミドフィルムと金属箔を貼り合わせる接着剤として、特定のブロック共重合ポリイミドを接着剤として使用するため、引裂強度及び耐熱接着強度に優れた複合テープを実現できる。また、本発明の複合テープは、従来のポリイミドのようにポリアミド酸を経てイミド化するときの高温処理が行われなくなるため、反りの発生がなくなるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合テープの製造において、ポリイミドフィルムに接着剤を塗布するときに使用されるグラビアロールを備えた塗布装置の説明図。
【図2】本発明の複合テープの製造において、接着剤を塗布したポリイミドフィルムと金属箔とを積層するラミネート装置の説明図。
【符号の説明】
1 接着剤
1′ 接着剤層
3 グラビアロール
4 ポリイミドフィルム
5 ブレード
6 銅箔
8 キュア前の複合テープ

Claims (3)

  1. ポリイミドフィルムと金属箔との間に、2種類以上のジアミンと2種類以上の酸ジ無水物を反応させることにより得られる4成分以上の共重合体であり、ラクトン系触媒の存在下、加熱した極性溶媒中で3,4ジアミノジフェニルエーテルビシクロ(2,2,2)オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸ジ無水物を反応させ、更にビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンと3,4,3,4−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物とを添加反応させる逐次添加反応により、直接イミド化して得られるブロック共重合ポリイミドを接着成分として介在させてなることを特徴とする複合テープ。
  2. 前記金属箔は、銅、ステンレスあるいはアルミニウムより選択される材料からなることを特徴とする請求項1記載の複合テープ。
  3. 前記ポリイミドフィルムの厚さは25〜100μm、前記接着成分の厚さは5〜20μm、前記金属箔の厚さは5〜30μmであることを特徴とする請求項1記載の複合テープ。
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