JP4222796B2 - タイヤ/ホイール組立体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランフラット用支持体を装着したタイヤ/ホイール組立体に関し、さらに詳しくは、耐久性を改善するようにしたタイヤ/ホイール組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の走行中に空気入りタイヤがパンクした場合でも、数百km程度の緊急走行を可能にするようにする技術が市場の要請から多数提案されている。これら多数の提案のうち、特開平10−297226号公報や特表2001−519279号公報で提案された技術は、リム組みされた空気入りタイヤの空洞部内側のリム上に支持体を装着し、その支持体によってパンクしたタイヤを支持することによりランフラット走行を可能にしたものである。
【0003】
上記ランフラット用支持体は、外周側を凸曲面に形成した支持面にすると共に内周側を開脚した開脚構造の環状シェルを有し、その両脚部に弾性リングを取り付けた構成からなり、その弾性リングを介してリム上に支持されるようになっている。このランフラット用支持体によれば、既存のホイール/リムに何ら特別の改造を加えることなく、そのまま使用できるため、市場に混乱をもたらすことなく受入れ可能にできる利点を有している。
【0004】
しかしながら、このようなランフラット用支持体を装着したタイヤ/ホイール組立体において、トレッドパターンの異なる空気入りタイヤを用いてタイヤが破壊するまでのランフラット走行距離をそれぞれ調べてみると、トレッドパターンによってその走行距離が大きく相違し、特にトレッド面にタイヤ周方向に延在する周方向溝を設けた空気入りタイヤを用いたタイヤ/ホイール組立体におけるランフラット走行時の距離が短く、耐久性が低いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、トレッド面に4本のタイヤ周方向に延在する周方向溝を設けた空気入りタイヤを使用したタイヤ/ホイール組立体において、耐久性を向上することが可能なタイヤ/ホイール組立体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のタイヤ/ホイール組立体は、トレッド面にタイヤ周方向に延在する周方向溝を設けた空気入りタイヤをホイールのリムに装着し、該空気入りタイヤの空洞部に、外周側を環状の頂面を有する凸曲面に形成した支持面にすると共に、内周側を二股状に開脚した環状シェルと前記二股状に開脚した脚部をリム上に支持する左右の弾性リングとからなるランフラット用支持体を配置したタイヤ/ホイール組立体において、前記空気入りタイヤに設けた周方向溝を4本にする一方、前記ランフラット用支持体の外周側をホイール回転軸方向に2個の凸曲面が並ぶように形成し、前記凸曲面の頂面をそれぞれ左右両側の2本ずつの前記周方向溝間に対向させ、これら凸曲面の頂面をホイール径方向に見て前記周方向溝と一致しないようにホイール回転軸方向にずらすと共に、前記周方向溝の開口端からホイール回転軸方向に、隣接する周方向溝の開口端間の長さLの1/4以上離間させた配置にし、かつ前記凸曲面の頂面のホイール回転軸方向に沿った断面形状をフラットにしたことを特徴とする。
【0007】
上述した本発明によれば、ランフラット走行時に凸曲面の頂面がトレッド部の厚肉部分に当接し、ランフラット用支持体がその厚肉部分を中心にして空気入りタイヤの内面を支持するので、周方向溝における破壊の発生を抑制して耐久性を向上することが可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、ランフラット用支持体は空気入りタイヤの空洞部に挿入される環状体として形成される。このランフラット用支持体は、外径が空気入りタイヤの空洞部内面との間に一定距離を保つように空洞部内径よりも小さく形成され、かつ内径は空気入りタイヤのビード部内径と略同一寸法に形成されている。そして、このランフラット用支持体は、空気入りタイヤの内側に挿入された状態で空気入りタイヤと共にホイールにリム組みされ、タイヤ/ホイール組立体に構成される。このタイヤ/ホイール組立体が車両に装着されて走行中に空気入りタイヤがパンクすると、そのパンクして潰れたタイヤがランフラット用支持体の外周面に支持された状態になるので、ランフラット走行を可能にする。
【0009】
上記ランフラット用支持体は、環状シェルと弾性リングとを主要部として構成されている。
【0010】
環状シェルは、外周側(外径側)にパンクしたタイヤを支えるため連続した支持面を形成し、内周側(内径側)は左右の側壁を脚部として二股状に開脚した形状にしている。外周側の支持面は、その周方向に直交する横断面での形状が外径側に凸となる凸曲面に形成される。その凸曲面はタイヤ軸方向に2個並ぶようにする。このように支持面を2個の凸曲面が並ぶように形成することにより、支持面のタイヤ内面(空洞部内面)に対する接触箇所を2箇所に分散させ、タイヤ内面に与える局部摩耗を低減するため、ランフラット走行を可能にする持続距離を延長することができる。
【0011】
弾性リングは、環状シェルの内径側に二股状になった両脚部の端部にそれぞれ取り付けられ、左右のリムシート上に当接することにより環状シェルを支持している。この弾性リングはゴム又は弾性樹脂から構成され、パンクしたタイヤから環状シェルが受ける衝撃や振動を緩和するほか、リムシートに対する滑り止めを行って環状シェルを安定支持するようにしている。
【0012】
ランフラット用支持体は、パンクしたタイヤを介して車両重量を支えるようにしなければならないため、環状シェルは剛体材料から構成されている。その構成材料には、金属、樹脂などが使用される。このうち金属としては、スチール、アルミニウムなどを例示することができる。また、樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれでもよい。熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ポリエステルなどを挙げることができ、また熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。樹脂は単独で使用してもよいが、補強繊維を配合して繊維強化樹脂として使用してもよい。
【0013】
弾性リングは、環状シェルを安定支持できればいずれのゴムや弾性樹脂から構成してもよく、例えば、ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴムなど、弾性樹脂としては、発泡ポリウレタンなどの発泡樹脂を挙げることができる。
【0014】
本発明のタイヤ/ホイール組立体に使用されるランフラット用支持体は、上述した構成を前提とする。
【0015】
以下、本発明を図に示す実施形態により具体的に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態からなるタイヤ/ホイール組立体(車輪)の要部を示す子午線断面図であり、1はホイール外周のリム、2は空気入りタイヤ、3はランフラット用支持体である。
【0017】
空気入りタイヤ2は、トレッド面2Aにタイヤ周方向に沿ってストレート状に延在する4本の周方向溝2Bが設けられ、これら周方向溝2B間にリブ2Rが区分形成されている。リム1、空気入りタイヤ2、ランフラット用支持体3は、図示しないホイール回転中心軸を中心として共軸に環状に形成され、リム1に装着した空気入りタイヤ2の空洞部2Yにランフラット用支持体3を配置した構成になっている。
【0018】
ランフラット用支持体3は、金属、樹脂などの剛性材から形成された環状シェル4と、ゴム、弾性樹脂などの弾性材から形成された左右の弾性リング5,5とから構成されている。
【0019】
環状シェル4は外周側に曲率半径を有する2個の凸曲面6a,6aをシェル幅方向においてもつ支持面6を形成し、その支持面6は空気入りタイヤ2が正常なときは空気入りタイヤ2の内面2aから離間しているが、パンクしたとき潰れたタイヤを支持するようになっている。また、環状シェル4の内周側は両側壁がそれぞれ脚部7,7として二股状に開脚し、その内周側に弾性リング5,5を取り付けている。
【0020】
上記凸曲面6a,6aは、それぞれホイール回転中心軸に沿った断面フラットな環状の頂面xを有し、環状の頂面x,xは周方向溝2B間に位置し、ホイール径方向に見て周方向溝2Bと一致しないようにホイール回転中心軸方向(図の左右方向)にずらした構成になっている。
【0021】
上記ランフラット用支持体3は、リム組み時に、空気入りタイヤ2の内側に挿入され、弾性リング5,5を空気入りタイヤ2のビード部2C,2Cと共にリム1のリムシート1s,1sに同時に装着するようになっている
本発明者らは、トレッド面にタイヤ周方向に延在する周方向溝を設けた空気入りタイヤを用いたタイヤ/ホイール組立体において、ランフラット走行時の空気入りタイヤの破壊状態を観察すると、いずれも周方向溝に沿って破壊が発生し、ランフラット走行を不能にしていた。
【0022】
そこで、周方向溝とランフラット用支持体の関係を調べてみると、タイヤを支持する凸曲面の頂線がホイール径方向に見た際にトレッド部で最も厚さが薄くなる周方向溝と重なり、そのトレッド部の薄肉部分を中心にしてランフラット用支持体がタイヤを支持するためにタイヤ破壊が早まり、ランフラット走行距離を短くする原因になっていることがわかった。
【0023】
このような知見に基づき、本発明では、上述したように凸曲面6a,6aの頂面x,xをホイール径方向に見て周方向溝2Bと一致しないようにホイール回転中心軸方向においてずらしたのである。これにより、ランフラット走行時に凸曲面6a,6aの頂面x,xがトレッド部2Dのリブ2Rの部分(厚肉部分)に当接し、ランフラット用支持体3がトレッド部2Dの厚肉部分を中心にして空気入りタイヤ2の内面2aを支持することができるので、周方向溝2Bでの破壊を抑制し、耐久性を向上することができる。
【0024】
本発明において、凸曲面6a,6aの頂面x,xの位置としては、周方向溝2Bの開口端2B1間のホイール回転軸方向長さ(タイヤ幅方向におけるリブ幅)Lの1/4以上開口端2B1からホイール回転中心軸方向において離間させるようにする。こうすることで、耐久性をより効果的に改善することができる。望ましくは、開口端2B1間の中央部(リブ2Rの中央部)に位置させるのがよい。
【0025】
上記頂線x,xの位置は、パンクしてエアが抜けたランフラット走行状態になった際に、周方向溝2Bがホイール回転中心軸方向における位置変化をほとんど起こさずにタイヤが縮径した状態になるため、パンク前のエア充填状態にあるタイヤの状態で決められるが、ランフラット走行状態になったタイヤを基準にしてもよい。
【0026】
上記実施形態では、周方向溝2Bがストレート状の例を示したが、図2に示すように、ジグザグ状の溝であってもよい。その場合も、凸曲面6a,6aの頂面x,xの位置を上記のようにホイール回転軸方向長さLの1/4以上開口端2B1から離間させる。なお、このように周方向2Bがジグザグ状の場合には、ジグザグ状に延在する左右の開口端2B1のジグザグ幅中心位置Aを、頂面x,xの位置を決めるための開口端位置とする。
【0030】
〔参考例〕
タイヤサイズを205/55R16、リムサイズを16×6 1/2JJで共通にし、ランフラット用支持体の凸曲面を、断面フラットな環状の頂面に代えて、頂線を有するように形成し、この頂線を周方向溝間の略中央に位置させた図1に示す構成の本発明のタイヤ/ホイール組立体に類似の参考例と、本発明のタイヤ/ホイール組立体において、凸曲面の頂線を周方向溝に一致させた従来のタイヤ/ホイール組立体(従来例)をそれぞれ作製した。
【0031】
両試験タイヤ/ホイール組立体を以下に示す測定方法により、耐久性の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
耐久性
各試験タイヤ/ホイール組立体を空気圧0kPa の状態で排気量2.5リットルの乗用車の前右輪に装着し、時速90kmでテストコースを走行した際に、走行不能になった距離を測定し、その結果を従来のタイヤ/ホイール組立体を100とする指数値で評価した。この値が大きい程、耐久性が優れている。
【0032】
なお、後右輪以外は、上記と同じサイズのタイヤとリムを使用し、その空気圧は200kPa にした。
【0033】
【表1】
表1から、断面フラットな頂面に代えて頂線を有するようにした参考例のタイヤ/ホイール組立体であっても、凸曲面を周方向溝からずらすだけで耐久性を改善できることがわかる。従って、本発明の断面フラットな頂面の凸曲面の場合、参考例と同等あるいは同等以上の耐久性が得られることがわかる。
【0034】
【発明の効果】
上述したように本発明は、2個の凸曲面の頂面をホイール回転中心軸に沿った断面フラットな環状の頂面にすると共に、それぞれホイール径方向に見て周方向溝と一致しないようにホイール回転中心軸方向にずらし、ホイール回転軸方向長さLの1/4以上開口端から離間させたので、トレッド面にタイヤ周方向に延在する4本の周方向溝を設けた空気入りタイヤを使用したタイヤ/ホイール組立体の耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなるタイヤ/ホイール組立体の要部を示す子午線断面図である。
【図2】本発明のタイヤ/ホイール組立体に使用される空気入りタイヤの周方向溝の他の例を示す要部説明図である。
【図3】本発明のタイヤ/ホイール組立体に使用されるランフラット用支持体を拡大して示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 (ホイールの)リム
2 空気入りタイヤ
2A トレッド面
2B 周方向溝
2B1 開口端
2Y 空洞部
3 ランフラット用支持体
4 環状シェル
5 弾性リング
6 支持面
6a 凸曲面
7 脚部
L ホイール回転中心軸方向長さ
x 頂面
Claims (1)
- トレッド面にタイヤ周方向に延在する周方向溝を設けた空気入りタイヤをホイールのリムに装着し、該空気入りタイヤの空洞部に、外周側を環状の頂面を有する凸曲面に形成した支持面にすると共に、内周側を二股状に開脚した環状シェルと前記二股状に開脚した脚部をリム上に支持する左右の弾性リングとからなるランフラット用支持体を配置したタイヤ/ホイール組立体において、
前記空気入りタイヤに設けた周方向溝を4本にする一方、前記ランフラット用支持体の外周側をホイール回転軸方向に2個の凸曲面が並ぶように形成し、前記凸曲面の頂面をそれぞれ左右両側の2本ずつの前記周方向溝間に対向させ、これら凸曲面の頂面をホイール径方向に見て前記周方向溝と一致しないようにホイール回転軸方向にずらすと共に、前記周方向溝の開口端からホイール回転軸方向に、隣接する周方向溝の開口端間の長さLの1/4以上離間させた配置にし、かつ前記凸曲面の頂面のホイール回転軸方向に沿った断面形状をフラットにしたタイヤ/ホイール組立体。
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