JP4220540B2 - 錠装置および建具 - Google Patents

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Description

本発明は、錠装置および建具に関し、詳しくは、スライド開閉可能な障子を施錠するためのクレセント錠および錠受けを有した錠装置、およびこの錠受けを備えた建具に関する。
従来、引違い窓や片引き窓、上げ下げ窓等の建具を施錠するための錠装置として、室内外の召合せ部(召合せ框)に設けられるクレセント錠および錠受けを備えたものが一般的である。このクレセント錠は、通常、室内側障子の召合せ框に回動可能に設けられた鎌錠が、室外側障子の召合せ框に設けられた錠受けに係合して施錠できるようになっている。このようなクレセント錠において、錠受けが係合可能な位置にない状態で施錠操作をしてしまう空掛けを防止する機構や、施錠状態においてクレセント錠の解錠操作を規制する二重ロックの機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されたクレセント錠では、錠受けが係合可能位置にあることを感知する感知部が設けられ、この感知部により空掛けが防止できるようになっている。すなわち、錠受けが係合可能位置になく感知部が錠受けに当接しない場合には、クレセント錠の回動が規制されて施錠操作が継続できず、錠受けが係合可能位置にあって感知部が錠受けに当接した場合には、感知部が移動されて施錠操作が継続できるようになっている。
また、施錠状態において感知部が台座に係止されることで、クレセント錠の回動が規制されて解錠操作ができないようにする二重ロック機構が構成されている。
特開平9−158585号公報
しかしながら、従来のクレセント錠では、二重ロックを解除する場合に、錠受けに係合した鎌錠近傍に位置する感知部を押さえて台座による係止を解除し、この感知部を押さえたままの状態でハンドルを回動操作しなければならず、解錠時の操作性が悪化してしまうという問題がある。すなわち、通常の引違い窓に設けられたクレセント錠では、施錠状態において錠受けに係合した鎌錠が下側に位置しているため、この鎌錠近傍の感知部が押さえにくく、かつハンドルが鎌錠と反対の上側に位置しているため、感知部を押さえたままでハンドルを片手で操作することは非常に困難であり、利便性が劣ってしまう。
本発明の目的は、空掛け防止機構および自動二重ロック機構を設けても解錠時の操作性向上を図ることが可能な錠装置および建具を提供することにある。
本発明の錠装置は、スライド開閉可能な障子を備えた建具における室内外の召合せ部のうち、室内側召合せ部に固定されたクレセント錠と、室外側召合せ部に固定された錠受けとの係合により当該建具を施錠する錠装置であって、前記クレセント錠は、前記室内側召合せ部に固定される台座と、この台座に支持されて前記錠受けに係合する施錠位置と係合しない解錠位置との間を回動自在に設けられた鎌錠と、この鎌錠に連結されて当該鎌錠を回動操作するための操作部材と、この操作部材の操作に連動して前記障子の閉鎖状態および非閉鎖状態を検知する検知部材と、前記鎌錠が施錠位置にある場合に当該鎌錠および操作部材の解錠方向への回動を規制する解錠規制部材とを備えて構成され、前記検知部材には、前記台座から室外側に向かって突出する方向に付勢された検知部と、前記鎌錠、前記操作部材、または前記解錠規制部材の移動を規制する規制部とが設けられ、前記解錠規制部材は、前記鎌錠の解錠位置に対応した第1位置と、この第1位置から所定距離だけ離れた第2位置と、この第2位置から所定距離だけ離れた第3位置との間をスライド移動可能、かつ室内側から操作可能に前記台座に設けられるとともに、前記第1位置に向かって付勢手段により付勢されかつ前記第3位置にて前記台座に係止されて位置決め可能に構成され、前記障子の非閉鎖状態で前記操作部材を施錠操作した場合には、前記解錠規制部材の第1位置から第2位置側への移動に伴って、前記検知部材の検知部が前記室外側障子に向かって所定量だけ突出することで、前記鎌錠、前記操作部材、または前記解錠規制部材が前記検知部材の規制部に係止されて施錠操作が規制され、前記障子の閉鎖状態で前記操作部材を操作した場合には、前記検知部材の検知部が前記錠受けに当接することで当該検知部が所定量まで突出せず、前記鎌錠、前記操作部材、または前記解錠規制部材が前記検知部材の規制部に係止されずに施錠操作が継続され、前記鎌錠が施錠位置まで回動されて前記錠受けに係合されるとともに、これらの鎌錠および操作部材に連動して前記解錠規制部材が第2位置にスライド移動し、この解錠規制部材で当該鎌錠および操作部材の解錠操作が規制され、前記鎌錠が施錠位置まで回動された状態で、前記解錠規制部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記第2位置から第3位置にスライド操作することで、当該解錠規制部材が前記台座に係止されて位置決めされるとともに解錠操作の規制が外れ、前記鎌錠および操作部材を解錠操作した場合には、これらの鎌錠および操作部材に連動して当該解錠規制部材が第3位置から第1位置にスライド移動されることを特徴とする。
ここで、本発明の錠装置によって施錠される建具としては、引違い窓や片引き窓、上げ下げ窓等のサッシ窓であってもよく、引違い形式や片引き形式の引き戸であってもよい。そして、建具が片引き窓や片引き戸である場合には、障子(可動障子や戸)と、これらの室外側または室内側にて建物や枠体に固定された固定障子や袖壁、縦骨等とが、見込み方向に重なって障子が閉じ、可動障子の框材や戸の縁部等で室内側または室外側の召合せ部が構成され、固定障子の框材や袖壁の縁部、縦骨等で室外側または室内側の召合せ部が構成されていればよい。
以上の本発明によれば、錠受けが係合可能位置にない状態で施錠操作をしてしまっても、所定量だけ突出した検知部材の規制部により鎌錠および操作部材の施錠操作が規制されるので、空掛けを防止することができる(空掛け防止機構)。一方、錠受けが係合可能位置にあれば、検知部材の規制部に規制されずに施錠操作を継続し、鎌錠を錠受けに係合させて施錠することができるとともに、この施錠した状態において、解錠規制部材が第2位置にスライド移動されることにより、鎌錠および操作部材の解錠操作が規制され、自動的に二重ロックを掛けることができる(自動二重ロック機構)。そして、解錠規制部材を第2位置から第3位置にスライド操作することにより、解錠規制部材による規制を解除して鎌錠および操作部材を解錠操作することができる。この解錠規制部材を室内側から操作可能に台座に設けたことで、二重ロックを解除してから鎌錠および操作部材を回動させる解錠操作が容易になって、操作性を向上させることができる。さらに、解錠規制部材を第2位置から第3位置にスライド操作して二重ロックを解除した場合には、解錠規制部材が台座に係止されて位置決めされるので、解錠規制部材から指等を離しても二重ロック解除状態が維持され、この状態で操作部材を操作して解錠すればよいため、解錠操作性をより一層向上させることができる。
また、解錠規制部材を台座にスライド自在に設け、この解錠規制部材のスライドによって検知部材の突出移動を制御することで、解錠規制部材の配置や形態、寸法等の設定に応じて検知部材の突出位置や突出量を幅広く設定することができ、設計条件に対応した空掛け機構の設計自由度を高めることができる。さらに、空掛け時に鎌錠および操作部材の施錠操作を規制するとともに、二重ロックを掛けて鎌錠および操作部材の解錠操作を規制することで、空掛け時や二重ロック時に作用する規制力を解錠規制部材に負担させることができ、従来のクレセント錠のように小さな検知部に規制力を負担させるものと比較して、耐久性を向上させつつ空掛け防止や二重ロックを確実に機能させることができる。
この際、本発明の錠装置では、前記解錠規制部材には、前記台座を介して室内側から視認可能なロック表示手段が設けられており、前記ロック表示手段は、前記解錠規制部材が第1位置および第3位置にスライドされた状態で視認不能、かつ当該解錠規制部材が第2位置にスライドされた状態で視認可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、第2位置に解錠規制部材が位置した状態、すなわち鎌錠および操作部材の解錠操作が解錠規制部材で規制された二重ロック状態において、解錠規制部材のロック表示手段が視認可能になっていることで、二重ロックが掛かっていることが利用者に判別できる。換言すると、解錠規制部材を第2位置から第3位置にスライド移動さして二重ロックが解除された場合に、操作部材が解錠操作可能であることが利用者に判別できる。従って、二重ロック状態において無理に操作部材を解錠操作するような誤操作による部品の破損等が防止でき、製品寿命を長期化することができる。
この際、解錠規制部材には、ロック表示手段の他に、第1位置や第3位置にスライドされた状態で室内側から視認可能な表示手段として、施錠操作可能表示手段や解錠操作可能表示手段が設けられていてもよい。
一方、本発明の建具は、左右または上下にスライド開閉可能な少なくとも1枚の障子を備え、この障子の召合せ框と、他の障子の召合せ框または他の召合せ部とが見込み方向に重なって閉じ、前述したいずれかの錠装置によって施錠可能に構成されたことを特徴とする。
このような本発明の建具によれば、前述した錠装置と同様に、施錠および解錠操作の操作性を向上させることができるとともに、空掛け防止機構および自動二重ロック機構によって防犯性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(A),(B)は、本発明の実施形態に係る錠装置10を示す側面図である。図2および図3は、錠装置10の施錠時の動作を示す側面図である。図4(A),(B)は、錠装置10の施錠状態を示す側面図である。図5(A),(B)および図6は、それぞれ錠装置10の解錠操作を示す側面図である。
図1〜図3において、本発明の建具である引違い窓1は、図示しない窓枠内部に開閉自在に支持された室内外一対の障子2,3(図2、図3)を有して構成されている。障子2,3は、それぞれ上下左右の框を四周框組みした内部に、ガラスパネルを嵌め込んで構成されており、召合せ部の縦框である内召合せ框2A(室内側召合せ部)と外召合せ框3A(室外側召合せ部)とが見込み方向に重なって閉じるようになっている。なお、障子2,3としては、ガラスパネルを嵌め込んだものに限らず、樹脂製パネル等の面材を嵌め込んだり貼り付けたりしたものでもよい。そして、引違い窓1は、室内側障子2の内召合せ框2Aに固定されたクレセント錠11と、室外側障子3の外召合せ框3Aに固定された錠受け12とで構成された錠装置10によって施錠されるようになっている。
クレセント錠11は、内召合せ框2Aに固定される台座13と、この台座13に支持されて錠受け12に係合する施錠位置と係合しない解錠位置との間を回動自在に設けられた鎌錠14と、この鎌錠14に連結されて鎌錠14を回動操作するための操作部材としてのノブ15とを有して構成されている。そして、台座13の内部には、鎌錠14の回動軸141に固定された裏金16と、この裏金16に連結されて鎌錠14およびノブ15を施錠位置または解錠位置のいずれかに付勢するコイルばね17と、鎌錠14の回動に連動して障子2,3の閉鎖状態および非閉鎖状態を検知する検知部材としてのトリガ18と、台座13に上下スライド自在に支持されて鎌錠14の施錠位置から解錠位置への回動を規制する解錠規制部材としての二重ロック部材19と、この二重ロック部材19を台座13に対して下方に付勢する付勢手段としてのコイルばね20とが設けられている。
二重ロック部材19は、台座13から室内側に露出した解錠操作部191と、この解錠操作部191に連結されて台座13内部に設けられたスライド部192とを有して形成されている。スライド部192には、裏金16におけるコイルばね17との連結部分の突起161に当接する第1および第2の当接部193,194と、施錠位置にある裏金16の突起161に当接して鎌錠14の解錠方向への回動を規制する規制面部195とが設けられている。さらに、スライド部192には、トリガ18の被案内部184(後述)に当接する案内部196と、空掛け時にトリガ18の係止部183(後述)に係止される第1被係止部197と、当該スライド部192の下端部に設けられた第2被係止部198と、台座13における上側のビスホール131の室内側に沿って上方に延びる延出片199とが形成されている。
このような二重ロック部材19は、鎌錠14の解錠位置から施錠方向への回動に伴って裏金16の突起161が第1当接部193に当接することで、図1に示す鎌錠14の解錠位置に対応した第1位置から上方に押し上げられ、図4に示す鎌錠14の施錠位置に対応した第2位置にスライド移動されるようになっている。なお、第1位置から第2位置までのスライド移動途中において、図3に示すように、二重ロック部材19の第2被係止部198は、台座13の下側のビスホール131に形成された係止部132よりも上側まで移動せず、コイルばね20によって下方に付勢されることで、図4に示す第2位置に位置決めされるようになっている。また、コイルばね20の付勢力に抗して解錠操作部191を上方に操作し、図5に示すように、第2被係止部198が係止部132に係止される第3位置に二重ロック部材19はスライド移動可能に構成され、係止部132に係止されることで第3位置に位置決め可能に構成されている。さらに、二重ロック部材19は、図6に示すように、鎌錠14の解錠位置への回動に伴って裏金16の突起161が第2当接部194に当接することで、下方に押し下げられて係止部132の係止が外れ、第3位置から第1位置にスライド移動されるようになっている。
トリガ18は、回動軸181によって台座13に回動自在に軸支されるとともに、回動軸181を挟んで一方側(上側)に設けられて台座13から突出可能な検知部182と、他方側(下側)に設けられて二重ロック部材19の第1被係止部197を係止可能な係止部183と、二重ロック部材19の案内部196に案内される被案内部184とを有して形成されている。そして、トリガ18は、台座13との間に設けられたコイルばね185によって、検知部182が台座13から室外側に突出する方向(図中、右回転方向)に付勢されるとともに、第1位置側にある二重ロック部材19の案内部196によって被案内部184の下端部が下方に押圧されることで、台座13内に没入するようになっている。このようなトリガ18は、二重ロック部材19のスライド部192が上方にスライドし、案内部196による被案内部184の下方への押圧が解除されることで、コイルばね185の付勢力によって回動し、検知部182が室外側に突出するようになっている。
一方、台座13には、その室内側側面に開口した窓部133が設けられ、二重ロック部材19の延出片199の室内側側面には、ロック表示手段としてのロック表示部199Aが設けられている。このロック表示部199Aは、二重ロック部材19の表面色とは相違する色を有した板材から構成され、延出片199の表面に貼り付けられたものである。そして、図1に示すように、鎌錠14およびノブ15が解錠位置にあり、二重ロック部材19が第1位置にある状態において、ロック表示部199Aは、台座13の室内側側面に隠蔽されて室内側から見えないようになっている。また、図4に示すように、鎌錠14およびノブ15が施錠位置にあり、二重ロック部材19が第2位置にある状態(二重ロック状態)において、ロック表示部199Aは、台座13の窓部133を介して室内側に露出されて室内側から視認できるようになっている。さらに、図5に示すように、鎌錠14およびノブ15が施錠位置にあり、二重ロック部材19が第3位置にある状態(二重ロック解除状態)において、ロック表示部199Aは、台座13の室内側側面に隠蔽されて室内側から見えないようになっている。
以上のようなクレセント錠11の鎌錠14が係合するとともにトリガ18の検知部182が当接する錠受け12は、金属板材からプレス加工により一体成形されたものであって、図2および図3に示すように、外召合せ框3Aにビス止め固定される板状の錠受け本体121と、この錠受け本体121に形成されて鎌錠14に係合される係合片122と、錠受け本体121の上下端縁に設けられた一対の突片(被検知部)123とを有して形成されている。一対の突片123は、係合片122と略同一見込み位置において、見込み方向に直交しかつ障子2,3の開閉方向に直交する方向である上方および下方に、それぞれ錠受け本体121から突出して形成され、これらの突片123の左右には他の突起物等が形成されておらず、突片123のみにトリガ18の検知部182が当接し、突片123以外の錠受け本体121等には検知部182が当接しないようになっている。
次に、錠装置10における施錠時の動作について説明する。
ここで、錠装置10における施錠操作とは、図1に示すように、クレセント錠11の鎌錠14およびノブ15が解錠位置にあり、鎌錠14が錠受け12に係合していない状態から、図2、図3に示すように、ノブ15を室内側(図の左側)上方に操作して鎌錠14を施錠方向に(施錠位置に向かって)回動させる操作である。
また、錠装置10における解錠操作とは、図5、図6に示すように、クレセント錠11の鎌錠14およびノブ15が施錠位置にあり、鎌錠14が錠受け12に係合した状態から、ノブ15を室内側下方に操作して鎌錠14を解錠方向に(解錠位置に向かって)回動させる操作である。
先ず、図1〜図3に示すように、錠受け12が係合可能位置にある状態、すなわち室内外の障子が閉じている閉鎖状態で、ノブ15を施錠操作して鎌錠14を回動させた場合には、裏金16の突起161が二重ロック部材19の第1当接部193を押し上げ、解錠操作部191およびスライド部192が上方にスライドする。そして、スライド部192の案内部196の上昇に伴ってトリガ18の被案内部184が室内側に移動してトリガ18が回動し、検知部182が室外側に突出する。このように突出した検知部182が錠受け12の上側の突片123に当接すると、図2、図3に示すように、係止部183の移動がスライド部192の第1被係止部197よりも室外側位置で止まり、この係止部183に第1被係止部197が係止されない。従って、二重ロック部材19の解錠操作部191およびスライド部192の上方へのスライドが継続され、台座13の係止部132付近まで第2被係止部198が上昇した後にコイルばね20によって下方に引き戻され、図4に示す第2位置に二重ロック部材19が位置決めされる。
そして、図4に示すように、鎌錠14の回動操作を継続して鎌錠14を施錠位置まで回動させた施錠状態において、裏金16の突起161が二重ロック部材19の規制面部195よりも室外側まで回動しており、第2位置にある二重ロック部材19の規制面部195に裏金16の突起161が当接することで、裏金16の解錠方向への回動が規制され、これにより鎌錠14およびノブ15の解錠操作が不能になる、つまり自動的に二重ロックが掛かる。さらに、この二重ロック状態において、第2被係止部198が係止部132の下側に位置し、かつ二重ロック部材19がコイルばね20で下方に付勢されていることで、二重ロック部材19の上方への移動が規制され、二重ロック状態が維持されるようになっている。なお、鎌錠14を施錠位置まで回動させた状態において、コイルばね17で裏金16が施錠方向に付勢されているため、鎌錠14が施錠位置に維持されるようになっている。
以上のようにして施錠され、かつ二重ロックが掛かった状態の錠装置10において、二重ロック部材19の解錠操作部191を上方にスライド操作して第3位置(図5)まで移動させ、第2被係止部198を係止部132に係止させることで、スライド部192の規制面部195による裏金16の突起161の規制が外れ、裏金16が解錠方向に回動可能になり、鎌錠14およびノブ15の解錠操作ができる。そして、図6に示すように、鎌錠14およびノブ15を解錠方向に回動操作すれば、裏金16の突起161がスライド部192の第2の当接部194に当接してスライド部192を押し下げ、係止部132による第2被係止部198の係止が外れることで、コイルばね20に付勢された二重ロック部材19が第1位置までスライド移動するとともに、案内部196で被案内部184を押し下げられたトリガ18が回動して台座13内に没入する。この解錠状態において、裏金16がコイルばね17によって解錠方向に付勢されているため、鎌錠14が解錠位置に維持されるようになっている。
次に、錠装置10における空掛け時の動作について図7、図8に基づいて説明する。
図7は、錠装置10の空掛け時の動作を示す側面図である。図8(A),(B)は、錠装置10の空掛け時の動作を拡大して示す側面図である。
図7、図8に示すように、錠受け12が係合可能位置にない状態、すなわち室内外の障子2,3が閉じていない非閉鎖状態で、ノブ15を施錠操作して鎌錠14を回動させた場合には、トリガ18の検知部182が錠受け12の突片123に当接しないため、検知部182が室外側に所定量だけ突出し、すなわちトリガ18が台座13に当接する位置まで回動する。このように検知部182が所定量だけ突出すると、トリガ18の係止部183がスライド部192の規制面部195の上方位置まで移動し、この係止部183に第1被係止部197が係止される。従って、二重ロック部材19のスライド部192の上方へのスライドが規制され、この位置よりも上方に鎌錠14を回動操作することができず、空掛け状態であることが利用者から判別できるようになっている。そして、施錠操作を中止、つまりノブ15から指や手を離せば、コイルばね17,20の付勢力で裏金16および二重ロック部材19が下方に移動され、鎌錠14およびノブ15が解錠方向に向かって回動され、自動的に解錠位置に戻されるとともに、二重ロック部材19が第1位置までスライド移動される。
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、障子2,3が閉じていない非閉鎖状態(錠受け12が係合可能位置にない状態)で施錠操作をしてしまっても、所定量だけ検知部182が突出したトリガ18の係止部183で二重ロック部材19の第1被係止部197が係止され、鎌錠14およびノブ15の施錠操作が規制されるので、空掛けを防止することができる。そして、施錠操作を中止すれば、コイルばね17の付勢力で自動的に鎌錠14およびノブ15が解錠位置に戻されるため、空掛け状態であることが利用者から容易に判別できる。
(2)一方、障子2,3が閉じていて錠受け12が係合可能位置にある状態では、施錠操作を継続して施錠することができるとともに、この施錠した状態において、コイルばね20に付勢された二重ロック部材19が第2位置に位置決めされ、その規制面部195によって裏金16の解錠方向への回動が規制されることで、自動的に二重ロックを掛けることができる。そして、解錠操作部191を操作して二重ロック部材19を第3位置にスライド移動させて二重ロックを外すだけで、鎌錠14およびノブ15が回動可能になるので、容易に解錠操作が実施できて操作性を向上させることができる。
(3)さらに、二重ロックを解除する際には、第3位置にスライドさせた二重ロック部材19の第2被係止部198が台座13の係止部132に係止され、この第3位置で位置決めされるので、解錠操作部191から指等を離しても二重ロック解除状態が維持され、この状態でノブ15を操作して解錠すればよいため、片手でも容易に解錠操作することができ、解錠操作性をより一層向上させることができる。
(4)また、二重ロック部材19およびトリガ18が台座13に設けられているので、これらの部材を鎌錠14側に設けた場合と比較して部材サイズの制約を受けにくくなり、部材強度を高めて耐久性を向上させることができる。そして、トリガ18の係止部183、二重ロック部材19の被係止部197、および裏金16の突起161の各部材で鎌錠14およびノブ15の回動を規制して空掛けを防止することで、空掛け時に作用する操作力を分散させて各部材に作用する力を小さくすることができ、さらに耐久性を向上させることができる。また、二重ロック状態において、二重ロック部材19の規制面部195、および裏金16の突起161で鎌錠14およびノブ15の回動を規制することで、二重ロックが掛かったままでノブ15を解錠操作した場合に作用する操作力を分散させることができる。
(5)さらに、二重ロック状態において、ロック表示部199Aが台座13の窓部133を介して室内側から視認可能に構成されているので、二重ロックが掛かっていることが利用者に容易に判別できるとともに、二重ロックを解除すれば、ロック表示部199Aが視認されず、二重ロック状態ではなく解錠操作可能であることが利用者に判別できる。従って、二重ロック状態において無理にノブ15を解錠操作することが防止され、このような誤操作による部品の破損等が防止でき、製品寿命を長期化することができる。
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記各実施形態においては、引違い窓1に錠装置10を設けた例を示したが、本発明の建具はこのような引違い窓1に限られず、片引き窓や上げ下げ窓等であってもよい。また、錠装置は、引き違い形式の窓や戸以外にも適用可能であり、例えば、開き窓や縦辷り出し窓等のスイングタイプの窓や戸に設けてもよく、さらに窓や戸以外の開閉部材の施錠に本発明の錠装置を用いてもよい。
また、前記実施形態では、二重ロック状態の場合のみに視認可能なロック表示部199Aを二重ロック部材19の延出片199に設けたが、これに限らず、二重ロック部材19が第3位置にある状態、つまり二重ロックが解除された状態において視認可能で、ロック表示部199Aとは相違する色の表示部を設けてもよい。このような構成とすれば、二重ロック状態であるか、あるいは非二重ロック状態であるかがより一層判別しやすくなり、さらに操作性を向上させることができる。
また、前記実施形態では、ロック表示部199A(ロック表示手段)が二重ロック部材19の延出片199に貼り付けた板材で構成されていたが、ロック表示部としては、これに限らず、塗装やシールでもよい。さらに、ロック表示手段を室内側から視認可能にする構成としては、台座に設けた窓部133に限らず、例えば、二重ロック部材19に突片を形成するとともに台座13に挿通孔を形成しておき、二重ロック部材19が第3位置にスライドされた場合に突片が挿通孔から突出するような構成でもよい。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
(A),(B)は、本発明の実施形態に係る錠装置を示す側面図である。 前記錠装置の施錠時の動作を示す側面図である。 前記錠装置の施錠時の動作を示す側面図である。 (A),(B)は、前記錠装置の施錠状態を示す側面図である。 (A),(B)は、前記錠装置の解錠操作を示す側面図である。 前記錠装置の解錠操作を示す側面図である。 前記錠装置の空掛け時の動作を示す側面図である。 (A),(B)は、前記錠装置の空掛け時の動作を拡大して示す側面図である。
符号の説明
2…室内側障子、2A…内召合せ框(室内側召合せ部)、3…室内側障子、3A…外召合せ框(室外側召合せ部)、10…錠装置、11…クレセント錠、12…錠受け、13…台座、14…鎌錠、15…操作部材であるノブ、18…検知部材であるトリガ、19…解錠規制部材である二重ロック部材、20…付勢手段であるコイルばね、133…窓部、182…検知部、183…規制部である係止部、199A…ロック表示手段であるロック表示部。

Claims (3)

  1. スライド開閉可能な障子を備えた建具における室内外の召合せ部のうち、室内側召合せ部に固定されたクレセント錠と、室外側召合せ部に固定された錠受けとの係合により当該建具を施錠する錠装置であって、
    前記クレセント錠は、前記室内側召合せ部に固定される台座と、この台座に支持されて前記錠受けに係合する施錠位置と係合しない解錠位置との間を回動自在に設けられた鎌錠と、この鎌錠に連結されて当該鎌錠を回動操作するための操作部材と、この操作部材の操作に連動して前記障子の閉鎖状態および非閉鎖状態を検知する検知部材と、前記鎌錠が施錠位置にある場合に当該鎌錠および操作部材の解錠方向への回動を規制する解錠規制部材とを備えて構成され、
    前記検知部材には、前記台座から室外側に向かって突出する方向に付勢された検知部と、前記鎌錠、前記操作部材、または前記解錠規制部材の移動を規制する規制部とが設けられ、
    前記解錠規制部材は、前記鎌錠の解錠位置に対応した第1位置と、この第1位置から所定距離だけ離れた第2位置と、この第2位置から所定距離だけ離れた第3位置との間をスライド移動可能、かつ室内側から操作可能に前記台座に設けられるとともに、前記第1位置に向かって付勢手段により付勢されかつ前記第3位置にて前記台座に係止されて位置決め可能に構成され、
    前記障子の非閉鎖状態で前記操作部材を施錠操作した場合には、前記解錠規制部材の第1位置から第2位置側への移動に伴って、前記検知部材の検知部が前記室外側障子に向かって所定量だけ突出することで、前記鎌錠、前記操作部材、または前記解錠規制部材が前記検知部材の規制部に係止されて施錠操作が規制され、
    前記障子の閉鎖状態で前記操作部材を操作した場合には、前記検知部材の検知部が前記錠受けに当接することで当該検知部が所定量まで突出せず、前記鎌錠、前記操作部材、または前記解錠規制部材が前記検知部材の規制部に係止されずに施錠操作が継続され、前記鎌錠が施錠位置まで回動されて前記錠受けに係合されるとともに、これらの鎌錠および操作部材に連動して前記解錠規制部材が第2位置にスライド移動し、この解錠規制部材で当該鎌錠および操作部材の解錠操作が規制され、
    前記鎌錠が施錠位置まで回動された状態で、前記解錠規制部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記第2位置から第3位置にスライド操作することで、当該解錠規制部材が前記台座に係止されて位置決めされるとともに解錠操作の規制が外れ、前記鎌錠および操作部材を解錠操作した場合には、これらの鎌錠および操作部材に連動して当該解錠規制部材が第3位置から第1位置にスライド移動される錠装置。
  2. 前記解錠規制部材には、前記台座を介して室内側から視認可能なロック表示手段が設けられており、
    前記ロック表示手段は、前記解錠規制部材が第1位置および第3位置にスライドされた状態で視認不能、かつ当該解錠規制部材が第2位置にスライドされた状態で視認可能に構成されている請求項1に記載の錠装置。
  3. 左右または上下にスライド開閉可能な少なくとも1枚の障子を備え、この障子の召合せ框と、他の障子の召合せ框または他の召合せ部とが見込み方向に重なって閉じ、前記請求項1または請求項2に記載の錠装置によって施錠可能に構成された建具。
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