JP4416711B2 - 建具 - Google Patents
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Description
さらに、従来の錠装置では、クレセント錠が内召合せ框の見付け方向外側面(見込み面)に取り付けられ、錠受けが外召合せ框の見付け方向内側に取り付けられているため、障子のガラスパネルを通して室外から視認されやすくなっていることで、施錠位置が特定され、ガラス破り等による不法行為を抑止しにくく、防犯性の点で問題があった。このような防犯性の問題を解決するために、室外側障子の下框などに補助錠を設けることも提案されているが、補助錠を設けると、クレセント錠の施錠操作と併せて補助錠の施錠操作も行わなければならず、操作が煩雑になって操作性が劣ってしまうという問題がある。
また、室内側召合せ部や内召合せ框に操作部を設け、この操作部の操作により室外側召合せ部や外召合せ框の室内露出面部に設けた受動部および伝達部を介して、受動部から離隔した位置の施錠部を施錠状態とすることで、室外から施錠部の位置を容易に特定することができず、施錠または解錠のいずれの状態であるかが分からないとともに、施錠部の位置が特定できないためガラス破り等を抑止することができ、防犯性を向上させることができる。
また、操作部が室内側召合せ部や内召合せ框に設けられているので、この操作部を操作しやすい大きさに形成することで操作性を向上させることができ、一方、受動部や施錠部の大きさおよび室内露出面部の見つけ寸法を、機能上必要な最小限のサイズとすることができ、部品のコストが低減できるとともに、障子の良好な意匠性が確保できる。そして、施錠部を複数箇所に設けた場合でも、1つの操作部の一度の操作で受動部および伝達部を介して複数の施錠部を施錠操作することができ、操作性を一層良好にすることができる。
このような構成によれば、操作部の突出部材を室外側に突出させ、この突出部材で受動部の移動部材を押して移動させることで、連動手段および伝達部を介して施錠位置に移動された係止部材で施錠できるため、操作部や受動部等の構造を単純にすることができ、破損しにくく耐久性に優れた錠装置が構成できる。
また、本発明の建具では、前記操作部は、前記室内側に向かって突出された突出部材が突出位置から室内側に向かって没入する移動を規制する規制手段を有し、この規制手段で規制された前記突出部材と前記受動部の受動部本体とが互いに係合可能に構成されていてもよい。
これらのような構成によれば、施錠操作を中止または完了した際に、操作部の操作部付勢手段で突出部材が操作部本体に没入される、つまり突出部材が室内側に向かって戻るようにした場合には、室外から操作部が見えたとしても、施錠状態か解錠状態かが判断できず、防犯性をさらに高めることができる。
一方、施錠操作を中止または完了した際に、操作部の突出部材を突出位置で規制して受動部の受動部本体に係合するようにした場合には、施錠部に加えて操作部および受動部によっても施錠することができ、施錠位置が増えることになって、このような構成によっても防犯性を向上させることができる。
このような構成によれば、障子が完全に閉鎖されず若干開いている状態において、操作部の操作によって突出部材を突出させた際に、突出部材や受動部本体に形成した傾斜面によって障子が閉鎖方向に移動される、つまり傾斜面によって引き分け機能が実現されるので、障子が確実に閉鎖した状態で施錠することができる。
このような構成によれば、施錠部が施錠部本体を有し、この施錠部本体に係止部材および接続部材を支持させたことで、施錠部をユニット化することができ、室外側召合せ部や外召合せ框への取付が容易にできる。さらに、係止部材付勢手段で係止部材を施錠位置または解錠位置に付勢することで、振動等により係止部材が不用意に移動してしまうことが防止でき、係止部材の施錠位置または解錠位置を維持して、施錠および解錠を確実に実施することができる。
このような構成によれば、室内露出面部から室内側に突出した施錠位置と室内露出面部に没入した解錠位置との間を係止部材が回動するだけで、施解錠が実施できるので、従来のクレセント錠のように略180°回動させる必要がなく、施錠部の構造を簡単化できるとともに、操作部の操作距離(突出部材の突没移動量)や伝達部の移動距離(スライド量)を小さくして、これらの構造も簡単化することができる。さらに、室内露出面部から室内側に突出した係止部材が室内側召合せ部や内召合せ框の見込み面に当接して障子が施錠されるので、室内側召合せ部や内召合せ框に従来のような錠受けを設ける必要がなく、この点でも錠装置の構造を簡単化して部品点数を削減することができる。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
図1(A),(B)は、本発明の第1実施形態に係る建具である引違い窓1の障子2,3を示す室内側から見た斜視図である。図2(A),(B)は、引違い窓1の召合せ框に設けられた錠装置10を示す縦断面図である。図3(A),(B)は、錠装置10の操作部20および受動部30位置での召合せ框を示す横断面図である。図4は、錠装置10の操作部20を示す分解斜視図である。図5は、錠装置10の受動部30を示す分解斜視図である。図6は、錠装置10の施錠部40を示す分解斜視図である。図1〜図3において、図1(A)、図2(A)、図3(A)には、それぞれ錠装置10の解錠状態が示され、図1(B)、図2(B)、図3(B)には、それぞれ錠装置10の施錠状態が示されている。
錠装置10は、内召合せ框5Aの見込み面5Dに設けられた操作部20と、外召合せ框5Bの室内露出面部5Cに設けられた受動部30と、この受動部30から離隔した下方における室内露出面部5Cに設けられた施錠部40と、外召合せ框5B内部に設けられた伝達部50とを備え構成されている。
操作部20は、室内側から施錠操作可能に設けられており、受動部30は、操作部20の施錠操作を受けて作動し、伝達部50を介して施錠部40に施錠動作を伝達するものである。施錠部40は、伝達部50の施錠動作を受けて内召合せ框5Aを係止することで、室内外の障子2,3を施錠するとともに、室内側からの解錠操作を受けて解錠するものである。
操作部20は、図4に示すように、内召合せ框5Aの見込み面5Dに固定される操作部本体21と、この操作部本体21に回動自在に支持された操作レバー22と、操作部本体21にスライド自在に支持されて見込み方向室外側に突没可能に設けられた突出部材23と、操作レバー22を軸支する回動軸24と、回動軸24回りに設けられて操作レバー22を付勢する操作部付勢手段としてのねじりコイルばね25とを有して構成されている。
操作部本体21は、対向する一対の側壁部211,212を有して全体略凹字状に形成されており、側壁部211,212の下端部間に回動軸24を支持するとともに、側壁部211,212の対向面に突出部材23を案内する一対の案内溝213が設けられている。
ケース体31は、室内側に向かって開口した開口部311と、スライド部材34を上下に案内する案内溝312とを有し形成されており、開口部311を塞ぐようにして回動部材32が設けられている。そして、開口部311の一方の縦縁部には、面取りが施された被当接縁313が形成ており、この被当接縁313に前記操作部20における突出部材23の傾斜面235が当接することで、室内外の障子2,3を引き分けることができるようになっている。つまり、図3(A)に示すように、室内外の障子2,3が完全に閉鎖位置にない状態で操作部20を施錠操作した場合でも、突出部材23の傾斜面235がケース体31の被当接縁313に当接して押すことで、図3(B)に示すように、室内外の障子2,3が完全に閉じるとともに、施錠されるようになっている。
ケース体41は、室内側に向かって開口した開口部411と、スライド部材44を上下に案内する案内溝412とを有し形成されており、開口部411を塞ぐようにして係止部材42が設けられている。
(1)すなわち、障子2,3を閉じた状態において室内側に露出する室内露出面部5Cに錠装置10の受動部30および施錠部40を設けたので、障子2,3を閉じていない状態においては、室内露出面部5Cが室内側障子2(内召合せ框5A)に重なって、受動部30および施錠部40が室内側に露出しないため、障子2,3を閉じなければ施錠操作することができないため、空掛けを確実に防止することができる。
次に、本発明の第2実施形態を図7、図8に基づいて説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る建具である引違い窓1における錠装置10の操作部20を示す分解斜視図である。図8は、操作部20を示す横断面図である。
本実施形態において、引違い窓1の構成や錠装置10の構成は、前記第1実施形態と略同様であり、操作部20の構造が一部相違している。以下、相違点について詳しく説明する。
規制手段26は、操作部本体21の側壁部212の案内溝213に形成した2つの凹部214と、突出部材23に設けたコイルばね236と、このコイルばね236で案内溝213に向かって付勢されたボール237とを有して構成されている。そして、2つの凹部214は、それぞれ突出部材23が操作部本体21に没入した位置(解錠位置)と、突出した位置(施錠位置)とに対応して設けられており、これらの凹部214にボール237が嵌ることで、突出部材23が位置決めされるようになっている。そして、突出した状態で突出部材23が位置決めされれば、突出部材23の引分け片233および当接片234が、受動部30におけるケース体31の開口部311に挿入された状態、すなわち突出部材23を介して内外の召合せ框5A,5B同士が係合された施錠状態となる。これにより、操作レバー22を施錠操作して突出部材23を操作部本体21から突出されれば、前記実施形態で説明したように受動部30および伝達部50を介して施錠部40の係止部材42による施錠が実施されるとともに、操作部20の突出部材23および受動部30のケース体31によっても施錠できるようになっている。
(7)すなわち、施錠部40による施錠に加えて操作部20および受動部30によっても施錠することができ、施錠位置が増えることで防犯性を向上させることができる。
例えば、前記実施形態においては、引違い窓1に錠装置10を設けた例を示したが、本発明の建具はこのような引違い窓1に限られず、片引き窓や上げ下げ窓等であってもよい。片引き窓としては、外動片引き窓および内動片引き窓のいずれであってもよく、外動片引き窓の場合には、室内側障子が固定障子となってその縦骨が内召合せ框となり、内動片引き窓の場合には、室外側障子が固定障子となってその縦骨が外召合せ框となる。
また、前記実施形態では、操作部20が操作レバー22を有した構成とされていたが、このような構成に限らず、操作部がボタンやつまみ等を有し、これらによって突出部材が突出移動されるような構成であってもよい。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (8)
- スライド開閉可能に設けられた障子を備え、この障子に設けられた第1の召合せ部と、当該障子の室内側または室外側に設けられた第2の召合せ部とが、見込み方向に重なった状態において錠装置によって施錠可能な建具であって、
前記第1および第2の召合せ部のうち、当該第1および第2の召合せ部が重なった状態で室外側に位置する室外側召合せ部は、室内側に位置する室内側召合せ部よりも見付け寸法が大きく、かつ室内空間に露出する室内露出面部を有して形成され、
前記錠装置は、前記室内側召合せ部の見込み面に設けられた操作部と、前記室外側召合せ部の室内露出面部に設けられて前記操作部の操作を受けて作動する受動部と、この受動部から離隔した上方および下方の少なくとも一方における前記室内露出面部に設けられた施錠部と、前記受動部と前記施錠部とを接続して施錠部に施錠動作を伝達する伝達部と、を備え構成され、
前記施錠部は、前記室内側召合せ部を係止する施錠位置と係止しない解錠位置との間を移動可能な係止部材を有し、前記伝達部を介して伝達された施錠動作により前記係止部材が施錠位置に移動して当該障子が施錠されるとともに、当該係止部材を解錠位置に移動させる解錠操作により当該障子が解錠される建具。 - 少なくとも一方が開閉可能に設けられた室内外一対の障子を備え、当該室内側障子の内召合せ框と室外側障子の外召合せ框とが重なって閉じた状態において錠装置によって施錠可能な建具であって、
前記外召合せ框は、前記内召合せ框よりも見付け寸法が大きく、かつ前記一対の障子を閉じた状態で室内空間に露出する室内露出面部を有して形成され、
前記錠装置は、前記内召合せ框の見込み面に設けられた操作部と、前記外召合せ框の室内露出面部に設けられて前記操作部の操作を受けて作動する受動部と、この受動部から離隔した上方および下方の少なくとも一方における前記室内露出面部に設けられた施錠部と、前記受動部と前記施錠部とを接続して施錠部に施錠動作を伝達する伝達部と、を備え構成され、
前記施錠部は、前記内召合せ框を係止する施錠位置と係止しない解錠位置との間を移動可能な係止部材を有し、前記伝達部を介して伝達された施錠動作により前記係止部材が施錠位置に移動して当該障子が施錠されるとともに、当該係止部材を解錠位置に移動させる解錠操作により当該障子が解錠される建具。 - 前記操作部は、前記室内側召合せ部または前記内召合せ框の見込み面に固定される操作部本体と、この操作部本体に支持されて見込み方向室外側に突没可能に設けられた突出部材とを有して構成され、
前記受動部は、前記室外側召合せ部または前記外召合せ框に固定される受動部本体と、前記室外側に突出した突出部材に押されて移動する移動部材と、この移動部材と前記伝達部とを接続して当該移動部材に連動させて当該伝達部を上方または下方にスライドさせる連動手段とを有して構成され、
前記連動手段を介してスライドした前記伝達部で前記施錠部の係止部材が施錠位置に移動される請求項1または請求項2に記載の建具。 - 前記操作部は、前記突出部材を前記操作部本体に対して室内側に向かって付勢する操作部付勢手段を有し、前記突出部材を室外側に突出させる施錠操作を中止した場合には、前記操作部付勢手段の付勢力で当該突出部材が前記操作部本体に没入される請求項3に記載の建具。
- 前記操作部は、前記室内側に向かって突出された突出部材が突出位置から室内側に向かって没入する移動を規制する規制手段を有し、この規制手段で規制された前記突出部材と前記受動部の受動部本体とが互いに係合可能に構成されている請求項3に記載の建具。
- 前記操作部の突出部材と前記受動部の受動部本体との少なくとも一方には、当該突出部材の突出に伴って他方に当接するとともに、前記障子を閉鎖方向に移動させる傾斜面が形成されている請求項3から請求項5のいずれかに記載の建具。
- 前記施錠部は、前記室外側召合せ部または前記外召合せ框に固定されるとともに前記係止部材を支持する施錠部本体と、この施錠部本体に対して前記係止部材を施錠位置または解錠位置に付勢する係止部材付勢手段と、前記施錠部本体に移動自在に支持されるとともに前記係止部材と前記伝達部とを接続する接続部材とを有して構成され、
前記伝達部を介して伝達された前記操作部、受動部および伝達部の施錠動作により前記接続部材が移動され、この移動に伴って前記係止部材が施錠位置に移動される請求項1から請求項6のいずれかに記載の建具。 - 前記施錠部の係止部材は、前記室外側召合せ部または前記外召合せ框の室内露出面部から室内側に突出して前記室内側召合せ部または前記内召合せ框の見込み面に当接することで前記障子を施錠する施錠位置と、前記室内露出面部と略フラットに前記施錠部本体内部に没入する解錠位置との間を回動自在に設けられている請求項7に記載の建具。
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