JP4219380B2 - 光ファイバ、マーカ溝形成装置、その方法及び光ファイバデバイスを作成する方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2、3には、光ファイバの軸方向の位置決め技術として、位置合わせ用壁や位置決め用部材を用い、これらを光ファイバの先端面の一部に突き当てる方法が開示されている。さらに、特許文献4には、特に端面を斜め研磨された光ファイバの先端面の一部を突き当てて位置決めする方法が開示されている。
また、特許文献5には、光ファイバの先端面にロッド状のレンズ部を接続してロッド状のレンズ部を備える光ファイバ端部を作成する方法が記載され、特許文献6には、レンズ付き光ファイバ端部の端面を斜め研磨する方法が記載されている。
これに対し、特許文献2、3の方法の場合、位置合わせ用壁等を光ファイバの先端面の一部のみに突き当て、当該位置合わせ用壁等が当該光ファイバからの出射光を遮らないようにするので、空間伝播型の光モジュールにも適用できる。しかし、特許文献2,3のような方法は、反射戻り光対策に頻用される斜め研磨された端面を有する光ファイバ端部を組み込む光モジュールには適用できない。そこで本願出願人は先に、斜め研磨を有する光ファイバを突き当てることによって位置決めすることのできる、特許文献4記載の発明を提案した。
このような光ファイバの場合、形成されたマーカ溝を基準として、容易に光ファイバの軸方向の位置決めを行うことができる。
また、第2の本発明では上記課題を解決するために、基板に、当該基板の板面に対して垂直な両側壁面を有する溝であって収容した光ファイバの側面を内壁面によって支持するファイバガイドと、そのファイバガイド内の1つの側壁面に形成されるN(N≧2)個の第1光ファイバ押圧ばねと、を少なくとも設けてなる、光ファイバ端部のマーカ溝形成装置であって、第1光ファイバ押圧ばねは、ファイバガイドに収容される光ファイバの側面に圧接される第1エッジと、ファイバガイド内の側壁面を支点として第1エッジを当該光ファイバの側面に押し付ける第1板ばね部とを具備し、当該光ファイバを、当該第1光ファイバ押圧ばねに対向するファイバガイド内の側壁面に押し付ける構成とされ、それぞれの第1エッジが、ファイバガイドの軸方向に、所定の距離を空けて配置される、光ファイバ端部のマーカ溝形成装置が提供される。
また、N≧3とし、各第1エッジ間の距離を全て同一としなかった場合、へき開するマーカ溝の選択により、へき開によって形成される光ファイバ端面から、光ファイバの軸方向の位置決めに用いるマーカ溝までの距離を変化させることができる。このように、光ファイバ端面から、光ファイバの軸方向の位置決めに用いるマーカ溝までの距離を変化させることができる光ファイバは、軸方向の位置決め位置が異なる複数の用途に流用できる汎用性をもつ。
また、第2の本発明において好ましくは、さらに、当該第1光ファイバ押圧ばねに対向するファイバガイド内の側壁面に形成されるM(1≦M≦N−1)個の第2光ファイバ押圧ばねを具備し、第2光ファイバ押圧ばねは、ファイバガイドに収容される光ファイバの側面に圧接される第2エッジと、ファイバガイド内の側壁面を支点として第2エッジを当該光ファイバの側面に押し付ける第2板ばね部とを具備し、全ての第2光ファイバ押圧ばねの各第2エッジは、何れかM個の第1光ファイバ押圧ばねの各第1エッジと、ファイバガイドの軸方向の位置がそれぞれ一致する。
このように、本発明は、光ファイバの端面ではなく、クラッド部の外周に形成されたマーカ溝を軸方向の位置決めの基準とするため、光ファイバの端部に接続されたロッド状の光導波部材を加工する際の軸方向の位置決めにも適用できる。その結果、従来のように異種光導波部材間のわずかな屈折率差を視認して位置決めを行っていた場合に比べ、位置決めが著しく容易となり、作業負担が軽減される。
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
<本形態のマーカ溝形成装置1>
図1(a)は、第1の実施形態のマーカ溝形成装置1の構成を示した平面図である。また、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図であり、図1(c)は、図1(a)のB部分の拡大図である。
図1(a)(b)に示すように、本形態のマーカ溝形成装置1は、基板10に、当該基板10の板面に対して垂直な両側壁面13a,13bを有する溝であって収容した光ファイバの側面を内壁面によって支持するファイバガイド13と、そのファイバガイド13内の1つの側壁面13aに形成される2個の光ファイバ押圧ばね11,12(ともに「第1光ファイバ押圧ばね」に対応)と、を少なくとも設けてなる。各光ファイバ押圧ばね11,12は、それぞれ、ファイバガイド13に収容される光ファイバの側面に圧接されるエッジ11a,12a(ともに「第1エッジ」に対応)と、ファイバガイド13内の側壁面13aを支点11c,12cとしてエッジ11a,12aを当該光ファイバの側面に押し付ける板ばね部11b,12b(ともに「第1板ばね部」に対応)とを具備する。そして、後述のように、各光ファイバ押圧ばね11,12は、当該光ファイバを、各光ファイバ押圧ばね11,12に対向する側壁面13bに押し付ける構成となる。
次に、本形態の光ファイバの端部作成方法について説明する。
[第1工程]
第1工程では、本形態のマーカ溝形成装置1を用い、光ファイバの端部にへき開用マーカ溝と端面位置決め用マーカ溝とを形成する。
図2は、光ファイバの端部にへき開用マーカ溝と端面位置決め用マーカ溝とを形成する第1工程を説明するための図である。ここで、図2(a)(c)(e)は、第1工程の様子を示すマーカ溝形成装置1の平面図であり、図2(b)(d)(f)は、それぞれ、図2(a)(c)(e)のC−C,D−D,E−E断面図である。
まず、図2(a)〜(d)に示すように、マーカ溝形成装置1のファイバガイド13に直径125μmの光ファイバ20を収容する。この光ファイバ20の収容は、図2(a)に示すようにファイバガイド13の上に光ファイバ20を配置してから、図2(d)に示すようにガラス板30によって光ファイバ20の側面をファイバガイド13の底面13c方向に押し当てて行う。この収容過程において、マーカ溝以外の溝が光ファイバ20に形成されないようにするためである。この収容過程において、光ファイバ20の側面は、光ファイバ押圧ばね11,12の各エッジ11a,12aを側壁面13a方向に押し込む。一方、各エッジ11a,12aは、側壁面13aを支点11c,12cとした各板ばね部11b,12bの弾性力により、光ファイバ20の側面を押圧する。
なお、この光ファイバ20の軸周りの回転は、例えば、ファイバガイド13の軸方向に基板10から外部にはみ出た光ファイバ20を、回転ステージに取り付けられた握持手段に握持させて行う。この場合、握持手段が光ファイバ20を握持する位置は、なるべく基板10に近いほうが望ましい。光ファイバ20の軸周り回転に伴う光ファイバの軸方向の位置ズレを防ぐためである。
第1工程の後、第2工程が行われる。図3は、光ファイバのへき開用マーカ溝をへき開して光ファイバ端面を形成する第2工程を説明するための図である。ここで、図3(a)は、第1工程によって2本の平行なマーカ溝が形成された光ファイバ20を示し、図3(b)は、へき開用マーカ溝をへき開して光ファイバ端面が形成された光ファイバ20を示す。
図3(a)(b)に示すように、第2工程では、第1工程で光ファイバ20に形成された2本の平行なマーカ溝(へき開用マーカ溝21と端面位置決め用マーカ溝22)のうち、光ファイバ端面とする位置のへき開用マーカ溝21をへき開して光ファイバ端面を形成する。これにより、図3(b)に示すような、端面から軸方向に所定の距離(この例では200μm)だけ離れた位置において、クラッド部の外周に端面位置決め用マーカ溝22が切削形成された端部を有する光ファイバ20が形成される。
次に、上述のように端面位置決め用マーカ溝22が切削形成された端部を有する光ファイバ20の端面に光導波部材を接続・加工する方法を説明する。
図4は、端面位置決め用マーカ溝22が切削形成された端部を有する光ファイバ20の端面に光導波部材を接続・加工する方法を説明するための図である。
まず、端面位置決め用マーカ溝22が切削形成された端部を有する光ファイバ20(図4(a))の端面23にロッド状のレンズ部の素材であるロッド状の光導波部材を接続する。そして、接続されたロッド状の光導波部材を、端面位置決め用マーカ溝22を基準に切断面42を決定し、当該光導波部材を定められた長さに切断し、レンズ部40を形成する(図4(b))。さらに、必要に応じ、レンズ部40の切断面42を、端面位置決め用マーカ溝22を基準にして斜め研磨し、斜め研磨面43を形成してもよい。
次に、上述のように端面位置決め用マーカ溝が切削形成された端部を有する光ファイバ、又は、その先端面にロッド状のレンズ部を備える光ファイバの端部を、位置決め固定基板に位置決め固定してなる光ファイバデバイスを例示する。
図5は、このような光ファイバデバイスの一例であるフィルタモジュール100の構成を例示した図である。ここで、図5(a)は、フィルタモジュール100の平面図であり、図5(b)は、図5(a)のF−F断面図である。
図5(a)(b)に例示するように、この例のフィルタモジュール100では、シリコン基板等の位置決め固定基板110に、その板面に対して垂直な両側壁面を有する溝であって収容した光ファイバ20,120の側面を内壁面によってそれぞれ支持する2つのファイバガイド113,153が設けられる。なお、収容される光ファイバ20,120は、それぞれ、クラッド外部に端面位置決め用マーカ溝22,122が1本ずつ形成され、各先端面は斜め研磨されたものである。
この例のファイバガイド113,153は、断面が矩形に形成され、それぞれの先端部が連結部160を介して接合される。ここで、収容される光ファイバ20,120からの出射光の屈折角を考慮し、ファイバガイド113,153は、それらの軸が相互にずれた状態で配置される。ファイバガイド113,153間の連結部160には、光学フィルタ140が配置される。この光学フィルタ140は、光ファイバ20,120の一方から出射された光が当該光学フィルタ140を通過し、他方の光ファイバ20,120に光結合する位置に配置される。
図6(a)(b)は、光ファイバデバイスの他の例である光スイッチ200の構成を例示した平面図である。
図6(a)(b)に例示するように、この例の光スイッチ200では、シリコン基板等の位置決め固定基板210に、その板面に対して垂直な両側壁面を有する溝であって収容した光ファイバ221〜224の側面を内壁面によってそれぞれ支持する4つのファイバガイド241〜244が設けられる。なお、収容される光ファイバ221〜224は、それぞれ、クラッド外部に上述した端面位置決め用マーカ溝221a〜224aが1本ずつ形成され、各先端面は斜め研磨されたものである。
この例のファイバガイド241〜244は、断面が矩形に形成され、それぞれの先端部が連結部260を介し、略十字型に接合される。ここで、収容される光ファイバ221〜224からの出射光の屈折角を考慮し、端面が対向するファイバガイド241と243、及びファイバガイド242と244は、それぞれ、軸が相互にずれた状態で配置される。また、ファイバガイド241〜244の連結部260には、可動ミラー240が抜差し可能に設けられる。ここで、ファイバガイド241〜244及び可動ミラー240は、可動ミラー240が連結部260に挿入された際(図6(a))、ファイバガイド242に収容される光ファイバ222からの出射光が可動ミラー240で反射してファイバガイド241に収容される光ファイバ221に結合し、ファイバガイド243に収容される光ファイバ223からの出射光が可動ミラー240で反射してファイバガイド244に収容される光ファイバ224に結合し、可動ミラー240が連結部260から抜き出された際(図6(b))、光ファイバ221からの出射光が光ファイバ223に結合し、光ファイバ222からの出射光が光ファイバ224に結合するように構成される。
なお以上では、光ファイバデバイスとして、空中伝播光軸がいずれも基板面に平行なフィルタモジュールと光スイッチとについて具体的に例示したが、本発明の位置決め用マーカ溝が切削形成された端部を有する光ファイバとそれを用いた位置決め技術とは、これ以外にも、光ファイバ端部から光ファイバを搭載する基板の板面に平行でない向きに光を入出射させる光ファイバデバイス、例えば特開平8−21930号公報に記載されるような板面に垂直な方向に光を入出射させて光素子との結合をはかる装置などにも、その光ファイバ軸回り方位調整の自由度を利用して、好適にこれを適用することができる。
次に、ファイバガイド及び光ファイバ押圧ばねの製造方法を例示する。なお、以下では、図1等に示したマーカ溝形成装置1のファイバガイド及び光ファイバ押圧ばねの製造方法を説明する。しかし、この方法は、図5,図6に示したフィルタモジュールや光スイッチのファイバガイド及び光ファイバ押圧ばねの製造にも適用可能である
図7は、ファイバガイド及び光ファイバ押圧ばねの製造方法を説明するための図である。ここで、図7(a)(c)(e)(g)は、ファイバガイド及び光ファイバ押圧ばねが形成される基板の平面図を示し、図7(a)(c)(e)(g)は、それぞれ、図7(a)(c)(e)(g)のJ−J断面図を示す。
基板10は2層構造の例えばシリコン基板を用いることができる。1層目のシリコン層10bはファイバガイド13の深さに対応する厚みに選定され、その表面に酸化膜である絶縁層10aが形成される。シリコン層10bの下面には、酸化膜である絶縁層10cが形成され、さらにその下面側に1層目のシリコン層10dが形成される。
まず、基板10の絶縁層10aの表面に例えば光硬化性樹脂で構成されるレジスト層1 5を被着する。そして、このレジスト層15にファイバガイド13及び光ファイバ押圧ばね11,12の形状をフォトリソによってパターニングし、エッチング除去すべき部分のレジスト層15を除去する(図7(a)(b)参照)。
[工程2]
次に、RIE(反応性イオンエッチング)装置を用いてドライエッチングを施し、絶縁層10aのレジスト層15に覆われていない部分を除去する(図7(c)(d)参照) 。
[工程3]
次に、レジスト層15を除去する(図7(e)(f)参照)。
[工程4]
次に、絶縁層10aをマスクとし、ICP(誘導結合プラズマ)エッチング装置を用いたディープRIE エッチングにより、シリコン層10bに必要の深さの垂直の壁面をもつファイバガイド13及び光ファイバ押圧ばね11,12を形成する。ディープエッチングは基板10の温度条件や、プラズマの条件によっては従来型のRIE技術によっても可能であるが、ICP装置を利用するのが便利である(図7(g)(h)参照)。
なお、本形態では、ファイバガイドを断面矩形に形成することとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、特開2005−279919号公報にあるように、底面に凹部を有し、かつ、板面に対して垂直な両側壁面を有する溝をファイバガイドとしてもよい。
また、本形態では、ファイバガイド13内の1つの側壁面13aに2個(N=2)の光ファイバ押圧ばね11,12を具備するマーカ溝形成装置1の構成を例示した(図1等)。しかし、ファイバガイド13内の1つの側壁面13aに3個以上(N≧3)の光ファイバ押圧ばねを具備するマーカ溝形成装置としてもよい。この場合、光ファイバにN個のマーカ溝が形成される。
また、この際、へき開するマーカ溝を当該へき開後の光ファイバに2以上のマーカ溝が残存するように選択すれば、2以上の位置決め用マーカ溝を有する光ファイバ端部が形成できる。このように複数のマーカ溝が形成された光ファイバは、軸方向の位置決め位置が異なる複数の用途に流用できる汎用性をもつ。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本形態のマーカ溝形成装置は、ファイバガイド内の1つの側壁面にN(N≧2)個の第1光ファイバ押圧ばねが形成され、当該第1光ファイバ押圧ばねに対向するファイバガイド内の側壁面にM(1≦M≦N−1)個の第2光ファイバ押圧ばねが形成される。以下、では、第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、第1の実施の形態と共通する事項については説明を省略する。なお、本形態では、N=2,M=1の場合を例にとって説明するが、これは本発明を限定するものではない。
図8は、第2の実施形態のマーカ溝形成装置301の構成を示した平面図である。
図8に示すように、本形態のマーカ溝形成装置301は、基板310に、当該基板310の板面に対して垂直な両側壁面314a,314bを有する溝であって収容した光ファイバの側面を内壁面によって支持するファイバガイド314と、そのファイバガイド314内の1つの側壁面314aに形成される2個の光ファイバ押圧ばね311,312(ともに「第1光ファイバ押圧ばね」に対応)と、側壁面314bに形成される1個の光ファイバ押圧ばね313(「第2光ファイバ押圧ばね」に対応)とを少なくとも設けてなる。
図8に示すように、各光ファイバ押圧ばね311,312は、それぞれ、ファイバガイド314に収容される光ファイバの側面に圧接されるエッジ311a,312a(ともに「第1エッジ」に対応)と、ファイバガイド314内の側壁面314aを支点311c,312cとしてエッジ311a,312aを当該光ファイバの側面に押し付ける板ばね部311b,312b(ともに「第1板ばね部」に対応)とを具備する。
次に、本形態の光ファイバの端部作成方法について説明する。
図9は、光ファイバの端部にへき開用マーカ溝と端面位置決め用マーカ溝とを形成する工程を説明するための図である。ここで、図9(a)(c)は、第1工程の様子を示すマーカ溝形成装置301の平面図であり、図9(b)(d)は、それぞれ、図9(a)(c)のK−K断面図である。また、図9(e)(f)は、第2工程の様子を示すマーカ溝形成装置301の平面図であり、図9(b)(d)は、光ファイバのへき開用マーカ溝をへき開して光ファイバ端面を形成する第2工程を説明するための図である。
第1工程では、本形態のマーカ溝形成装置301を用い、光ファイバの端部にへき開用マーカ溝と端面位置決め用マーカ溝とを形成する。
本形態の第1工程では、ファイバガイド314に収容された光ファイバ320を、0°よりも大きい360°未満の角度だけ軸回りに回転させることにより、光ファイバ押圧ばね311,312,313の各エッジ311a,312a,313aが、当該光ファイバ320のクラッド部の外周を切削して、当該光ファイバ320に所定の間隔(エッジ311a,312a間の間隔)をもつ2本の平行なマーカ溝を形成する。以下、この第1工程を説明する。
まず、マーカ溝形成装置301のファイバガイド314に光ファイバ320を収容する。第1の実施形態と同様、この光ファイバ320の収容は、ファイバガイド314の上に光ファイバ320を配置してから、図9(b)に示すようにガラス板30によって光ファイバ320の側面をファイバガイド314の底面方向に押し当てて行う。この収容過程において、光ファイバ320の側面は、光ファイバ押圧ばね311,312の各エッジ311a,311bを側壁面314a方向に押し込み、光ファイバ押圧ばね313のエッジ313aを側壁面314b方向の凹部314ba内に押し込む。逆に、各エッジ311a,312aは、側壁面314aを支点311c,312cとした各板ばね部311b,312bの弾性力により、光ファイバ320の側面を側壁面314b側に押圧し、エッジ313aは、側壁面314bの凹部314ba内面を支点313cとした板ばね部311cの弾性力により、光ファイバ320の側面を側壁面314a側に押圧する。
なお、第1の実施形態と同様、この光ファイバ320の軸周りの回転は、なるべく基板310に近い位置を握持して行われることが望ましい。
第1工程の後、第2工程が行われる。
図9(e)(f)に示すように、第2工程では、第1工程で光ファイバ320に形成された平行なマーカ溝のうち、エッジ313aとファイバガイド314の軸方向の位置が一致しないエッジ311aのみによって形成されたへき開用マーカ溝321をへき開して光ファイバ端面を形成する。これにより、図9(f)に示すような、端面から軸方向に所定の距離だけ離れた位置において、クラッド部の外周に端面位置決め用マーカ溝322が切削形成された端部を有する光ファイバ320が形成される。
なお、本形態では、ファイバガイドを断面矩形に形成することとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、特開2005−279919号公報にあるように、底面に凹部を有し、かつ、板面に対して垂直な両側壁面を有する溝をファイバガイドとしてもよい。
また、本形態では、ファイバガイド314内の1つの側壁面314aに2個(N=2)の光ファイバ押圧ばね311,312を設け、他方の側壁面314bに1個の光ファイバ押圧ばね311を設ける構成とした(図8等)。しかし、ファイバガイド314内の1つの側壁面314aにN(N≧2)個の第1光ファイバ押圧ばねを設け、対向する側壁面314bにM(1≦M≦N−1)個の第2光ファイバ押圧ばねを設け、全ての第2光ファイバ押圧ばねのエッジと、何れかM個の第1光ファイバ押圧ばねのエッジと、のファイバガイド314の軸方向の位置を一致させる構成としてもよい。この場合、光ファイバにM個の端面位置決め用マーカ溝と、N−M個のへき開用マーカ溝とを形成することができ、第1の実施形態で述べたような汎用性の高いマーカ溝が形成された光ファイバ端部を形成できる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
20,120,221〜224,320 光ファイバ
100 フィルタモジュール
200 光スイッチ
Claims (7)
- 基板に、当該基板の板面に対して垂直な両側壁面を有する溝であって収容した光ファイバの側面を内壁面によって支持するファイバガイドと、そのファイバガイド内の1つの側壁面に形成されるN(N≧2)個の第1光ファイバ押圧ばねと、を少なくとも設けてなる、光ファイバ端部のマーカ溝形成装置であって、
前記第1光ファイバ押圧ばねは、
前記ファイバガイドに収容される光ファイバの側面に圧接される第1エッジと、前記ファイバガイド内の側壁面を支点として前記第1エッジを当該光ファイバの側面に押し付ける第1板ばね部とを具備し、当該光ファイバを、当該第1光ファイバ押圧ばねに対向する前記ファイバガイド内の側壁面に押し付ける構成とされ、
前記各第1エッジは、
前記ファイバガイドの軸方向に、所定の距離を空けて配置される、
ことを特徴とする光ファイバ端部のマーカ溝形成装置。 - 請求項1に記載の光ファイバ端部のマーカ溝形成装置であって、
さらに、当該第1光ファイバ押圧ばねに対向する前記ファイバガイド内の側壁面に形成されるM(1≦M≦N−1)個の第2光ファイバ押圧ばねを具備し、
前記第2光ファイバ押圧ばねは、
前記ファイバガイドに収容される光ファイバの側面に圧接される第2エッジと、前記ファイバガイド内の側壁面を支点として前記第2エッジを当該光ファイバの側面に押し付ける第2板ばね部とを具備し、
全ての前記第2光ファイバ押圧ばねの各第2エッジは、
何れかM個の前記第1光ファイバ押圧ばねの各第1エッジと、前記ファイバガイドの軸方向の位置がそれぞれ一致する、
ことを特徴とする光ファイバ端部のマーカ溝形成装置。 - 請求項1に記載される光ファイバ端部のマーカ溝形成装置を用いて、端面から軸方向に所定の距離だけ離れた位置において、クラッド部の外周にマーカ溝が切削形成された光ファイバの端部を作成する方法であって、
前記ファイバガイドに収容された光ファイバを軸回りに回転させることにより、前記第1光ファイバ押圧ばねの各第1エッジが、当該光ファイバのクラッド部の外周を切削して、当該光ファイバに所定の間隔をもつN本の平行なマーカ溝を形成する第1工程と、
前記光ファイバに形成されたN本の平行な前記マーカ溝のうち、光ファイバ端面とする位置のマーカ溝をへき開して光ファイバ端面を形成する第2工程と、
を有することを特徴とする光ファイバの端部を作成する方法。 - 請求項2に記載される光ファイバ端部のマーカ溝形成装置を用いて、端面から軸方向に所定の距離だけ離れた位置において、クラッド部の外周にマーカ溝が切削形成された光ファイバの端部を作成する方法であって、
前記ファイバガイドに収容された光ファイバを、0°よりも大きい360°未満の角度だけ軸回りに回転させることにより、前記第1光ファイバ押圧ばねの各第1エッジと前記第2光ファイバ押圧ばねの各第2エッジとが、当該光ファイバのクラッド部の外周を切削して、当該光ファイバに所定の間隔をもつ複数の平行なマーカ溝を形成する第1工程と、
前記光ファイバに形成された複数の平行な前記マーカ溝のうち、前記第2エッジと前記ファイバガイドの軸方向の位置が一致しない前記第1エッジのみによって形成された前記マーカ溝をへき開して光ファイバ端面を形成する第2工程と、
を有することを特徴とする光ファイバの端部を作成する方法。 - 請求項4に記載される光ファイバの端部を作成する方法であって、
前記第1工程が、前記ファイバガイドに収容された光ファイバを、180°以上360°未満の角度だけ軸回りに回転させる工程である、
ことを特徴とする光ファイバの端部を作成する方法。 - 先端にロッド状のレンズ部を備える光ファイバの端部を作成する方法であって、
端面から軸方向に所定の距離だけ離れた位置において、クラッド部の外周にマーカ溝が切削形成された光ファイバの端部に、前記ロッド状のレンズ部の素材であるロッド状の光導波部材を接続する工程と、
前記接続されたロッド状の光導波部材を、前記マーカ溝を基準にして定められる長さに切断又は端面研磨する工程と、
を有することを特徴とする、先端にロッド状のレンズ部を備える光ファイバの端部を作成する方法。 - 端面から軸方向に所定の距離だけ離れた位置において、クラッド部の外周にマーカ溝が切削形成された光ファイバの端部、又は、請求項6に記載される方法で作成される先端にロッド状のレンズ部を備える光ファイバの端部を、位置決め固定基板に位置決め固定して光ファイバデバイスを作成する方法であって、
前記位置決め固定基板には、その板面に対して垂直な両側壁面を有する溝であって収容した光ファイバの側面を内壁面によって支持するファイバガイドと、そのファイバガイド内の1つの側壁面の定められた位置に形成される光ファイバ押圧ばねとが設けられ、
前記光ファイバ押圧ばねは、
前記ファイバガイドに収容される光ファイバの側面に圧接されるエッジと、前記ファイバガイド内の側壁面を支点として前記エッジを当該光ファイバの側面に押し付ける板ばね部とを具備し、当該光ファイバを、当該光ファイバ押圧ばねに対向する前記ファイバガイド内の側壁面に押し付ける構成とされ、
前記光ファイバの端部を、
そこに形成された前記マーカ溝に前記光ファイバ押圧ばねの前記エッジを整合することで、軸方向について位置決めし、さらにその軸方向の位置を確保しながら当該光ファイバの軸回り方位を回転調整する工程を有する、
ことを特徴とする光ファイバデバイスを作成する方法。
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