JP3974891B2 - 光ファイバガイド、光素子モジュール - Google Patents
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Description
しかし光ファイバ光学系において空中伝搬との結合部位が存する場合には、一般にファイバ端面での反射戻り光伝送路への再結合を防ぐために、端面を斜めに切断などすることが望ましい。
一方、光ファイバの端面を斜めにするとそこから出射または入射する光束の光軸は光ファイバの軸から端面の傾斜の向きに従って偏向するため、これを装置に組込んで他の光部品と正確な結合をはかるためには、軸回りの方位に関する角度合わせをする必要が生じる。
斜めに傾斜した端面を有する光ファイバを上記の様な角度合わせする工程なしにパッシブに位置決めできるようにする発明としては、特許文献4ないし9記載のような各発明が存在する。
特許文献4記載の発明は、透光性樹脂で光ファイバ端面と結合相手となる光部品との間の空隙を充填する構成によるので、本発明が主に適用対象となるような光スイッチ等の空中伝搬光路中に可動部を有する光デバイスを配置する装置には適用することができない。
つぎに特許文献5記載の発明は、特定の角度に傾斜した溝を基板上に形成することの困難性とともに、傾斜が基板表面に対して深さ方向に設けられているため、光ファイバを固定する際に押え板を用いることができず、さらに光ファイバを軸方向に押しつけて端面を傾斜した壁面に突き当てる際に光ファイバ端部が斜面に従って基板表面上部へ飛び出す方向に力が作用し、垂直方向に位置ずれを生じるという問題があった。
特許文献8、9には傾斜を基板内方向に設ける構成の発明が記載されているが、これらはいずれも光ファイバと光導波路との結合をはかる装置であり、空中伝搬光路との結合、特に可動部を有するような光デバイスへの適用は不可能である。
この発明の目的は戻り光対策として必要な斜め端面を有する光ファイバ端部を、軸周りの角度合わせの工程を要することなく、空中伝搬光路に対して正確に位置決めし、固定することができる光ファイバガイド及びこの光ファイバガイドを用いて構成した光素子モジュールを提供しようとするものである。
基板の一方の面に形成され、断面が矩形の光ファイバ載置用溝と、この光ファイバ載置用溝の端部に設けられ、光ファイバの端面に形成した斜め端面の軸に対する角度と同一の角度で溝の軸に対して斜めとされ、且つその斜め面の法線が基板の面に平行とされた端面つき当て用壁面と、その端面突き当て用壁面の溝の溝幅の中央に形成された空中伝搬光束入出射用スリットとを具備した光ファイバガイドを提案する。
光ファイバの端面に付す斜面の角度を決定すると、光ファイバ載置用溝11A〜11Dの軸線のずれ量は計算で算出することができる。従って、この計算で求められた光ファイバ載置用溝11A〜11Dの位置(主に軸線のずれ量)を忠実に基板10上に再現し、再現された光ファイバ載置用溝11A〜11Dに光ファイバを実装すれば、各光ファイバは互に光軸が合致した状態にガイドされて配置され、無調整で光素子モジュールを製造することができる点がこの発明の特徴である。
光ファイバの端面に付す斜面の角度から各光ファイバ載置用溝11A〜11Dの位置を算出する方法に関しては、この発明の本質ではないから、ここでは説明を省略するが、その計算方法は公知である。
図3乃至図8はこの発明による光ファイバガイドに光ファイバを実装する工程を示す。各図のAは光ファイバガイドの平面図、Bは側面図を示す。ここでは図1に示した光ファイバ載置用溝11A〜11Dの中の1本を光ファイバ載置用溝11として代表して示し、光ファイバ20の実装方法を説明する。
光ファイバ20(先端は融着接続された短尺のグレーデッド・インデクス・ファイバ部であってもよい)を基板10の上空において冶具(特に図示していない)で把持し、上方から端面の傾斜を画像認識して端面が基板表面に対して略垂直になるように軸周り回転角度を粗調し、光ファイバ載置用溝11の上方で光ファイバ20の先端と端面突き当て用壁面12との距離を若干空けて保持する(図4参照)。
ステップ2
図4の状態で光ファイバ20を上から例えばガラス板で構成される押え板30で押圧し、光ファイバ20を光ファイバ載置用溝11の内部に押し込める(図5参照)。
押え板30で光ファイバ20に押圧力を印加した状態で、光ファイバ載置用溝11内に閉じこめた光ファイバ20を軸方向に押し、その先端面を端面突き当て用壁面12に向って前進させ、端面を端面突き当て用壁面12に押しつける(図6参照)。
このステップ3において、ステップ1における光ファイバの軸周りの角度合わせの粗調の残余としての角度エラーが、光ファイバ20自身の若干のねじれによって吸収補償され、光ファイバ20の端面は端面突き当て用壁面12の面に倣らって完全に一致するに至る。
そしてかかる光ファイバ20の自然のねじれを利用して、従来のアクティブな角度合わせでは困難であった高精度な角度アラインメントが容易に実現することは、本発明固有の効果である。
押え板30と基板との隙間(約30μmほど)にUV硬化型接着剤31を流し込む(図7参照)。紫外線を照射して接着剤31を図8に示す接着層32に硬化させ、位置決め固定を完了して押え板30への押圧を解放する。なお液相の接着剤は上述のステップ2の後に適用し、ステップ3における溝11内での光ファイバ20の運動の潤滑材として作用させたあと、位置決め後に紫外線を照射して硬化させてもよい。
以上によりこの発明の特徴とする光ファイバ20の先端の位置決め状態について理解できよう。以下では基板10への光ファイバ載置用溝11と、端面突き当て用壁面12及びスリット13の形成方法とこの発明の実用例について説明する。
基板10は2層構造の例えばシリコン基板を用いることができる。1層目のシリコン層10Aは光ファイバ載置用溝11の深さに対応する厚みに選定され、その表面に第1の絶縁層10Cが形成され、下面に第2の絶縁層10Dが形成される。第2の絶縁層10Dの下面側に第2のシリコン層10Bが形成される。この第2のシリコン層10Bが光ファイバ載置用溝11の形成部分の強度を持ったことになる。
絶縁層10Cと10Dはシリコン酸化膜とされ、絶縁層10Cの上面に例えば光硬化性樹脂で構成されるレジスト層14を被着し、このレジスト層14に光ファイバ載置用溝11の形状と、端面突き当て用壁面12の形状及びスリット13の形状をフォトリソによってパターニングを行ない、エッチング除去すべき部分のレジスト層14を除去する(図9参照)。
工程2
RIE(反応性イオンエッチング)装置を用いてドライエッチングを施し、レジスト層14から露出されている絶縁層10Cを除去する(図10参照)。
露出している絶縁層10Cをエッチングにより除去した後、レジスト層14を除去する(図11参照)。
工程4
酸化膜10CをマスクとしてICP(誘導結合プラズマ)エッチング装置を用いてディープRIEエッチングによりシリコン層10Aに必要の深さの垂直の壁面を持つ光ファイバ載置用溝11と端面突き当て用壁面12及びスリット13を形成する。ディープエッチングは基板の温度条件や、プラズマの条件によっては従来型のRIE技術によっても可能であるが、ICP装置を利用するのが便利である(図12参照)。
図13に光ファイバ載置用溝11の寸法数値例を示す。光ファイバ載置用溝11の幅Wは光ファイバ20の直径が125μmの場合、W=126μmとされ、更に深さDは光ファイバ20の直径より浅い100μm程度に設定される。端面突き当て用壁面12の角度θはここではθ=6°とした場合を示す。
尚、光スイッチを構成する場合、空中伝搬光路長が比較的長くなることから光ファイバ20の先端にコリメータを付設して集光性能を持たせ、平行光束を入出射するように構成することが望ましい。その具体的な構造としては、伝送用の光ファイバと同径のグレーテッド・インデクス光ファイバを伝送用の光ファイバの先端に融着して接続した後に、設計される焦点距離に相応する長さ分だけ残して切断し、その切断端面を斜めとすることで実現することができる。グレーテッド・インデクス型の光ファイバはそのまま円柱レンズとして用いることができ、コリメータとして作用する。ここではコリメータ付の光ファイバを用いるものとするが、以下では単に光ファイバと称して説明する。
このように、図14及び図15に示した光素子モジュールによれば光信号の系路を切替る光スイッチを構成することができ、この発明によればこのような光スイッチを簡単に製造することができる。特にエッチングで光ファイバ載置用溝11A〜11Dと端面突き当て用壁面12及びスリット13を形成するから、これらの各要素は寸法が精度よく均一に製造できるため、光ファイバを基板10に実装すれば、その状態で各光ファイバ相互の光結合が最良の状態に組みたてられ、均一な特性の光素子モジュールを多量に製造できることになる。
11,11A〜11D 光ファイバ載置用溝
12 端面突き当て用壁面
13 スリット
14 レジスト層
20,20A〜20D 光ファイバ
30 押え板
40 可動ミラー
Claims (2)
- 基板上に、軸に対して端面が斜めとされた光ファイバ端部を位置決め固定し、空中伝搬光束の入出射をはかる光ファイバガイドであって、
基板の板面に断面が矩形状に形成された光ファイバ載置用溝と、
この溝の端部に設けられ、前記光ファイバの斜め端面の軸に対する角度と同一の角度で溝の軸に対して斜めとされ、且つその斜めの面の法線が前記基板の面に対して平行とされた端面突き当て用壁面と、
この端面突き当て用壁面の中央に形成された空中伝搬光束入出射用のスリットと、
前記溝に載置された光ファイバを下方へ押圧する押え板とからなることを特徴とする光ファイバガイド。 - 請求項1記載の光ファイバガイドには前記端面突き当て用壁面が向い合せる姿勢で複数の光ファイバ載置用溝が形成され、これら複数の光ファイバ載置用溝のそれぞれに端面が斜めとされた光ファイバの各端面が各光ファイバ載置用溝に形成された端面突き当て用壁面に接して前記押え板で押えられて載置され、押え板と前記基板との間を接着して、各光ファイバ載置用溝の内部に光ファイバが固定され、前記向い合せの姿勢で配置された端面突き当て用壁面の相互の間に、前記スリットを通じて光ファイバの一方から他方への光を伝搬させる光の空中伝搬路を形成するための空間を具備し、この空間に光デバイスを配置していることを特徴とする光素子モジュール。
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