JP4219102B2 - 温風暖房装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バーナの燃焼により生じる温風を室内に送風することで暖房運転を行う温風暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファンヒータ等の温風暖房装置が使用される室内では、熱源であるバーナの燃焼にともない発生する二酸化炭素(CO2 )や一酸化炭素等(CO)によって酸素濃度が低下するため、換気が必要不可欠である。そこで、例えば特開昭62−202945号公報には、室温の上昇傾斜の測定値に基づき部屋の大きさを求め、部屋の大きさに基づいてタイマ時間を設定し、このタイマ時間にわたりバーナの燃焼が継続した場合には換気の必要を報知する方法が提案されている。また、特開昭62−223522号公報には、換気回数、部屋の大きさ、バーナの燃焼量、バーナの燃焼開始からの経過時間を測定し、これらの測定値に基づいてCO濃度を求め、このCO濃度が所定閾値を超えた場合に換気の必要を報知する方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、設定タイマ時間の経過を待って換気の必要を報知する方法では、当該タイマ時間の経過前に設定暖房温度の変更に伴うバーナの燃焼量増大により二酸化炭素等の発生量が大きくなり、換気が必要になっているにも関わらず当該報知はなされないので好ましくない。また、CO濃度と所定閾値との比較に基づき換気の必要を報知する方法では、CO濃度を正確に求めるために複雑な演算処理が必要となり、かかる演算処理機能を持たせるために温風暖房装置の製造コストが上昇するおそれがある。
【0004】
そこで、製造コストを低廉に抑えながら、室内の状況変化を逐次把握した上で室内換気の必要を報知可能な暖房装置を提供することを解決課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1発明の温風暖房装置は、バーナの燃焼により生じる温風を室内に送風することで温風暖房運転を行う温風暖房装置であって、室温を測定する室温センサと、前記温風暖房運転開始後、前記室温センサにより測定される室温の上昇度に基づいて室内の広さを測定する第1測定手段と、前記バーナの累積燃焼量を測定する第2測定手段と、前記第1測定手段により測定された前記室内の広さを記憶保持するとともに、前記第2測定手段により測定された前記バーナの累積燃焼量を逐次更新しながら記憶保持する記憶手段と、前記記憶手段により記憶保持されている前記室内の広さに対する前記バーナの累積燃焼量の比を判定パラメータとして算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記判定パラメータが所定閾値以上になったとき換気の必要を報知する報知手段とを備え、前記算出手段は前記バーナが燃焼停止してから一定時間が経過した後において、前記判定パラメータが時間経過とともに前記バーナの燃焼停止時における値から徐々に低くなるように減少補正する第2補正手段を備えていることを特徴とする。
【0006】
第1発明の温風暖房装置によれば、換気の必要を報知する判定基準となる判定パラメータは、室内の広さに対してバーナの累積燃焼量の比をとるという簡単な演算処理により得られる。このため、演算処理機能に要するコストを低廉に抑えることができる。また、判定パラメータにはバーナの燃焼量の変動が反映され、当該判定パラメータが所定閾値以上になったときに換気の必要が報知される。このため、室内の状況変化を逐次把握した上で室内換気の必要を報知することができる。さらに、バーナの燃焼停止から間もなく、室内にCO 2 等が多く残ってO 2 濃度が低い状態でバーナが再燃焼されたとき、判定パラメータが0にリセットされた等のために過小に演算され、換気の必要があるにも関わらず換気の必要が報知されない事態を回避することができる。
【0007】
第2発明の温風暖房装置は、第1発明の温風暖房装置において、前記室温センサにより測定される室温の下降度または前記バーナの燃焼状態を検知する熱電対の出力の上昇度に基づいて前記室内の換気量を測定する第3測定手段を備え、前記算出手段は第3測定手段により測定される換気量に応じて前記判定パラメータを減少補正する第1補正手段をさらに備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、室内換気によって室温が下降し又はバーナの燃焼状態が好転して熱電対の出力が上昇したことを受けて判定パラメータが減少補正される。従って、判定パラメータが過大に演算されて換気の必要性が低いにも関わらず換気の必要が報知される事態を回避することができる。
【0011】
第3発明の温風暖房装置は、第1または第2発明の温風暖房装置において、前記報知手段は前記バーナの燃焼状態を検知する熱電対の出力が所定出力値以下になったとき換気の必要を報知することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、判定パラメータが所定閾値以上でなくても熱電対の出力が所定出力値以下となってバーナの燃焼不良が検知された場合、O2 濃度が低いものとして換気の必要を報知することができる。このため、万が一判定パラメータに基づく換気の必要報知が不調であっても、熱電対の出力値に基づいて換気の必要を報知することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の温風暖房装置の実施形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態の温風暖房装置の構成説明図であり、図2は本実施形態の温風暖房装置の報知機能説明図である。
【0014】
図1に示す温風暖房装置は、バーナ10と、燃焼ファン20と、燃焼ファン20の作動により吸気口311から室内空気が燃焼用空気として取り込まれる第1ダクト31と、同じく燃焼ファン20の作動により吸気口321から室内空気が取り込まれ、バーナ10の燃焼排気と混合されて送風口322から温風として外部に送風される第2ダクト32と、暖房温度等を設定可能な操作パネル40と、バーナ10の燃焼等を制御する制御ユニット50とを備えている。
【0015】
バーナ10は第2ダクト32内に配置された燃焼胴33内に設けられ、その上流において第1ダクト31に合流するガス供給路11と、その下流(上方)にある点火電極12とを備えている。また、バーナ10の下流には熱電対13が設けられている。さらに、ガス供給路11にはガス元電磁弁111と、ガス電磁弁112と、ガス比例弁113とが設けられている。
【0016】
燃焼ファン20は第2ダクト32内に設けられた回転羽根21と、回転羽根21を回転するモータ22とを備え、モータ22の回転軸にはホールIC等により構成された回転数センサ23が設けられている。
【0017】
第1、第2ダクト31、32の吸気口311、321には、塵芥等の第1、第2ダクト31、32への侵入を防止するフィルタ330が設けられている。第2ダクト32の吸気口321付近には室温センサ34が設けられている。第2ダクト32の送風口322にはギャドモータ35により駆動され、送風口322の開度を調節する可動式ルーバ36が設けられている。
【0018】
操作パネル40は温風暖房運転のON/OFFを切り替える運転ボタン41と、暖房温度を設定するための設定ボタン42と、換気の必要を報知する報知ランプ(報知手段)43とを備えている。
【0019】
制御ユニット50は第1測定手段51と、第2測定手段52と、第3測定手段53と、記憶手段54と、算出手段55と、報知手段56と、タイマ57とを備えている。
【0020】
第1測定手段51は室温センサ34により測定される室温Θの上昇度ΔΘ/Δt(>0)に基づいて室内の広さAを測定する。第2測定手段52はガス比例弁113の開度に基づいてバーナ10の累積燃焼量Qを測定する。第3測定手段53は室温センサ34により測定される室温Θの下降度ΔΘ/Δt(<0)に基づいて室内の換気量vを測定する。記憶手段54はRAM、ROM等により構成され、第1測定手段51により測定された室内の広さAや後述の所定閾値cを記憶保持するとともに、第2測定手段52により測定されたバーナ10の累積燃焼量Qを逐次更新しながら記憶保持する。
【0021】
算出手段55は記憶手段54により記憶保持されている室内の広さAに対するバーナ10の累積燃焼量Qの比Q/Aを判定パラメータkとして算出する。また、算出手段55は後述のように第3測定手段53により測定される換気量vに応じて判定パラメータkを減少補正する第1補正手段551と、同じく後述のようにバーナ10の燃焼停止後、タイマ57の計測時間に基づいて判定パラメータkを減少補正する第2補正手段552とを備えている。
【0022】
報知手段56は報知ランプ43を構成要素として包含し、算出手段55により算出された判定パラメータkが記憶手段54により記憶保持されている所定閾値c以上になったとき報知ランプ43を点灯して換気の必要を報知する。
【0023】
続いて、温風暖房装置の機能について図2を用いて説明する。
【0024】
まず、操作パネル40の運転ボタン41がOFFからONとされたとき、制御ユニット50により燃焼ファン20が作動を開始し、点火電極12が点火を行い、ガス電磁弁112を開き、ガス調節弁113の開度を調節する。これにより第1ダクト31においてガス供給路11から供給されるガスと、吸気口311から取り込まれた室内空気とが混合してバーナ10に供給され、バーナ10が燃焼を開始する(s1)。また、第2ダクト32において、吸気口321から取り込まれた室内空気がバーナ10の燃焼排気と混合し、温風として送風口322から室内に送風される。そして、室温Θが徐々に上昇していき、制御ユニット50は室温センサ34により測定される室温Θが操作パネル40の設定ボタン42により設定された暖房温度に一致するようにガス比例弁113の開度や燃焼ファン20の回転数を制御する。
【0025】
バーナ10の燃焼開始から1分経過後、それから3分間にわたって室温センサ34により測定される室温Θの上昇度ΔΘ/Δtに基づき、第1測定手段51により温風暖房器が置かれている室内の広さAを、記憶手段54に記憶保持されている所定の演算アルゴリズムや、上昇度ΔΘ/Δtと室内の広さAとの対応関係データテーブル等に基づいて測定する(s2)。例えば、温風暖房運転開始前の室温Θが5℃、設定暖房温度が22℃のとき、3分間にわたる上昇度ΔΘ/Δtが4.0℃、5.1℃、6.3℃ならばそれぞれ室内の広さAは12畳、8畳、6畳と測定される。このように、室内の広さAは上昇度ΔΘ/Δtが小さいほど大きくなる傾向をもっている。このとき、記憶手段54は測定された室内の広さAを記憶保持する。
【0026】
また、バーナ10の燃焼開始後、第2測定手段52がガス比例弁113の開度に基づいて累積燃焼量Qの測定を開始する(s3)。このとき、記憶手段54は第2測定手段52により測定された累積燃焼量Qを逐次更新しながら記憶保持する。
【0027】
次に算出手段55が記憶手段54により記憶保持されている累積燃焼量Qを室内の広さAで割ることで判定パラメータk(=Q/A)を算出する(s4)。
【0028】
続いて、第3測定手段53が室温Θの変化度ΔΘ/Δtが負になったか否かに基づき、室内換気の有無を判断する(s5)。
【0029】
室内が換気されたと判断されたとき(s5でYES)、第1補正手段551が室温Θの下降度ΔΘ/Δt(<0)に基づいて判定パラメータkの第1の減少補正を行う(s6)。例えば、下降度ΔΘ/Δtが−3.0[℃/min]未満の場合は室内が大いに換気されてこれ以上の換気の必要性に乏しいとしてkを0に減少補正する。また、下降度ΔΘ/Δtが−3.0[℃/min]以上−2.0[℃/min]未満の場合は室内が換気されて換気の必要が薄れたとしてkを0.5倍に減少補正する。なお、下降度ΔΘ/Δtが−2.0[℃/min]以上0[℃/min]未満の場合は室内換気が不十分でなおも換気の必要があるとしてkを減少補正しない。このように第1の減少補正は、判定パラメータkが室温Θの低下が大きいほど大きく減少補正される。
【0030】
次に、第1測定手段51が熱電対13の出力に基づいてバーナ10の燃焼が停止したか否かを判断する(s7)。
【0031】
バーナ10の燃焼が停止されたと判断されたとき(s7でYES)、タイマ57が時間計測を開始する。そして、第2補正手段552がタイマ57の計測時間に基づいて判定パラメータkの第2の減少補正を行う(s8)。第2の減少補正は、バーナ10の燃焼停止後すぐには換気の必要性は低減しないが、その後時間経過とともに徐々に室内のCO2 等の濃度が低減して換気の必要性が薄れていくという定性的考察に基づいて行われる。即ち、判定パラメータkがバーナ10の燃焼停止後一定時間までそのままに維持され、当該一定時間経過後徐々に減少補正される。
【0032】
そして、報知手段56が、算出手段55により算出され(s4)、適宜第1、第2補正手段551、552により減少補正された(s6、s8)判定パラメータkが記憶手段54により記憶保持されている所定閾値c以上であるか否かを判断する(s9)。
【0033】
判定パラメータkが所定閾値c以上であると判断されたとき(s9でYES)、報知手段56は報知ランプ43を点灯させて室内換気の必要を報知する(s10a)。一方、判定パラメータkが所定閾値c未満であると判定されたとき(s9でNO)、報知手段56は報知ランプ43を消灯した状態に維持するか、点灯している場合は消灯する(s10b)。
【0034】
その後、電源プラグ(図示略)がコンセントから抜かれ、温風暖房装置の通電状態が解除されない限り(s11でNO)、上述のs3〜s10の処理が実行され続ける。
【0035】
本温風暖房装置によれば、換気の必要を報知する判定基準となる判定パラメータkは、室内の広さAに対してバーナ10の累積燃焼量Qの比をとるという簡単な演算処理により得られる(図2s4)。このため、演算処理機能に要するコストを低廉に抑えることができる。また、判定パラメータkにはバーナ10の燃焼量の変動が反映され、当該判定パラメータkが所定閾値c以上になったときに換気の必要が報知される(図2s10a)。このため、室内の状況変化を逐次把握した上で室内換気の必要を報知することができる。
【0036】
また、室内換気によって室温センサ34により測定される室温℃が下降したことを受けて判定パラメータkに第1の減少補正が施される(図2s6)。従って、判定パラメータkが過大に演算されて換気の必要性が低いにも関わらず換気の必要が報知される事態を回避することができる。
【0037】
さらに、バーナ10の燃焼停止後からの経過時間に応じて判定パラメータkに第2の減少補正が施される(図2s8)。従って、バーナ10の燃焼停止から間もなく、室内にCO2 等が多く残ってO2 濃度が低い状態でバーナ10が再燃焼されたとき、判定パラメータkが過小に演算され、換気の必要があるにも関わらず換気の必要が報知されない事態を回避することができる。
【0038】
なお、本実施形態では報知ランプ43の点灯により換気の必要が視覚的に報知されたが、他の実施形態として報知ブザー等により換気の必要が聴覚的に報知されてもよい。
【0039】
本実施形態では判定パラメータkのみに基づいて換気の必要が報知されたが、他の実施形態として報知手段56が判定パラメータkが所定閾値c以上になったときのみならず、バーナ10の燃焼状態を検知する熱電対13の出力が所定出力値以下になったとき換気の必要を報知してもよい。
【0040】
当該他の実施形態によれば、判定パラメータkが所定閾値c以上でなくても熱電対13の出力が所定出力値以下となってバーナ10の燃焼不良が検知された場合、O2 濃度が低いものとして換気の必要を報知することができる。このため、万が一判定パラメータkに基づく換気の必要報知が不調であっても、熱電対13の出力値に基づいて換気の必要を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の温風暖房装置の構成説明図
【図2】本実施形態の温風暖房装置の報知機能説明図
【符号の説明】
10‥バーナ、13‥熱電対、34‥室温センサ、43‥報知ランプ、51‥第1測定手段、52‥第2測定手段、53‥第3測定手段、54‥記憶手段、55‥算出手段、56‥報知手段、551‥第1補正手段、552‥第2補正手段

Claims (3)

  1. バーナの燃焼により生じる温風を室内に送風することで温風暖房運転を行う温風暖房装置であって、
    室温を測定する室温センサと、
    前記温風暖房運転開始後、前記室温センサにより測定される室温の上昇度に基づいて室内の広さを測定する第1測定手段と、
    前記バーナの累積燃焼量を測定する第2測定手段と、
    前記第1測定手段により測定された前記室内の広さを記憶保持するとともに、前記第2測定手段により測定された前記バーナの累積燃焼量を逐次更新しながら記憶保持する記憶手段と、
    前記記憶手段により記憶保持されている前記室内の広さに対する前記バーナの累積燃焼量の比を判定パラメータとして算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された前記判定パラメータが所定閾値以上になったとき換気の必要を報知する報知手段とを備え、
    前記算出手段は前記バーナが燃焼停止してから一定時間が経過した後において、前記判定パラメータが時間経過とともに前記バーナの燃焼停止時における値から徐々に低くなるように減少補正する第2補正手段を備えていることを特徴とする温風暖房装置。
  2. 請求項1記載の温風暖房装置において、
    前記室温センサにより測定される室温の下降度または前記バーナの燃焼状態を検知する熱電対の出力の上昇度に基づいて前記室内の換気量を測定する第3測定手段を備え、
    前記算出手段は第3測定手段により測定される換気量に応じて前記判定パラメータを減少補正する第1補正手段をさらに備えていることを特徴とする温風暖房装置。
  3. 請求項1または2記載の温風暖房装置において、
    前記報知手段は前記バーナの燃焼状態を検知する熱電対の出力が所定出力値以下になったとき換気の必要を報知することを特徴とする温風暖房装置。
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