JP4219043B2 - 絞り装置 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、カメラ又はレンズ等の絞り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の開閉装置としては、例えば図4に示す絞り装置が知られている(特開昭64−70731号公報参照)。これは、図示するように、円環状に形成された固定調整板1と円環状に形成された回転調整板3とにより回転子10を構成して、この回転子10により、絞り羽根4の開閉調整を行なっている。両調整板1,3は、中心軸を一致させてネジ6により一体的に固定されており、回転調整板3には、ネジ6を挿通する挿通孔3bが円周方向に長く形成され、固定調整板1に対して回転調整板3がこの挿通孔3bの長さ範囲内で相対回転できるようになっている。
【0003】
固定調整板1には、絞り羽根4の固定ダボ4aが係合して半径方向に長く延びる長穴の第1係合穴1aが、円周方向に沿って等間隔に絞り羽根4の枚数と同数穿設されるとともに、偏心ピン2が偏心回転可能に軸支され、さらにネジ6が螺合するネジ穴1bが形成されている。偏心ピン2は、回転軸(固定調整板1に嵌合)の中心と頭部2bの軸中心とが偏心しており、頭部2bが偏心回転するようになっている。
【0004】
また、回転調整板3には、固定調整板1の各第1係合穴1aを通して各絞り羽根4の固定ダボ4aが係合する第2係合穴3aが、第1係合穴1aに対して斜め方向にそれぞれ形成されており、また、偏心ピン2が係合する半径方向に長い長穴の調整穴3cが形成されている。
さらに、カム板5には、絞り羽根4のカムダボ4bが係合するカム溝5aが、絞り羽根4と同数形成され、絞り羽根4を回転子10との間に回動自在に保持していて、回転子10を回転させることにより、固定ダボ4aを支点として全ての絞り羽根4をカム溝5aに従って回動させ、所望の絞り径開閉させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の絞り装置は、上記のように、第1係合穴1aと第2係合穴3aとを交差させて設け、2枚の調整板1,3を相対回転させることにより絞り羽根4の回転中心位置を移動可能にしている。かかる2枚の調整板1,3の固定にはネジ6を用いている。しかし、カムダボ4bとカム溝5aとのガタがあるため、複数の絞り羽根4がカム溝5a内で適宜右又は左に偏らせるため、絞り羽根4によって形成される絞り開口が正多角形とはならず歪な形状となり易い。
【0006】
また、二枚の絞り羽根だけで絞り開口が形成される絞り装置であれば、相互の羽根にばねを張架すれば良いが、それ以上の枚数の羽根だと、ばね張架が困難である。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、複数の絞り羽根を同一方向に偏らせるように構成して、絞り開口が正多角形となる絞り装置を得る事を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる絞り装置は、上記課題を解決するために、レンズ開口部を有する基板と、レンズ開口部のまわりに配置される複数の羽根部材と、各羽根部材と係合する複数のカム溝が形成される第一及び第二の羽根押えリングと、前記複数の羽根部材に設けられ、前記第一及び第二の羽根押えリングに形成された前記複数のカム溝内を摺動して前記複数の羽根部材により所定の絞り口径を得る複数のピン部と、前記複数の羽根部材を同一方向に偏らせる弾性部材と、羽根部材に係合しレンズ開口部のまわりに回動する駆動リングとを備え、前記第一の羽根押えリングは、前記レンズ開口部のまわりに回動可能に前記基板に取り付けられ、前記第二の羽根押えリングは、前記第一の羽根押えリングと略同一形状の前記カム溝を有し、該第一の羽根押えリングと相互に逆方向に回動可能に前記基板に取り付けられ、前記弾性部材は、前記第一及び第二の羽根押えリング間に張架され、該第一及び第二の羽根押えリングの前記複数のカム溝を相互に逆方向に回動付勢することにより該カム溝と前記ピン部材とのガタがなくなるよう嵌合させて前記複数の羽根部材を同一方向に偏らせる構成としたものである。このようにすれば、複数の絞り羽根を同一方向に偏らせることができるので、これらの絞り羽根によって絞り開口を安定して正多角形となるように形成することができ、また絞り口径精度も向上させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
このような構成の本発明においては、駆動リングを回動させると、これに係合する複数の羽根部材がレンズ開口部のまわりに回動すると同時に、羽根押さえリングのカム溝に係合しながら回動して羽根部材はレンズ開口部を狭くする方向に閉じる。この場合に、第一及び第二の羽根押さえリングは、相互に逆方向に回動付勢する弾性部材により、それぞれのカム溝が逆方向に回動する。従って、このカム溝に嵌合する絞り羽根のピンは二つのカム溝によって、ガタが一方向に偏らされた状態で作動する。即ち、複数の絞り羽根を同一方向に偏らせるので、これらの絞り羽根によって形成される絞り開口は正多角形となる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図1ないし図3に基づいて説明する。
図1および図2において、符号21は、外周面22が円形をなすとともに中央部に円形のレンズ開口部23を有し、プラスチック材料等で形成された基板である。この基板21の前面側(図2中の下方側)には、外周近傍に全周に亘って環状溝24が形成され、この環状溝24の外径面を形成するリング状の周縁部25が前方に突出形成されている。この周縁部25には複数(この図では3個)の可撓性の爪26(結合部)が互いにほぼ等間隔に配設されている。符号28及び30は、中央にレンズ開口部23が形成され、基板21の前方側に配設された第一及び第二の羽根押えリングである。
【0010】
基板21の外周面22とほぼ同一の外径を有する第一の羽根押えリング28は、爪26により基板21にフリクションを与えられて係止されるようになっており、また爪26に対応する場所(3箇所)に爪26用の切欠き29が形成されている。この切欠き29の幅Dは爪26の幅dよりわずかに大きくなっているため、爪26に係止された第一の羽根押えリング28は基板21に対して光軸中心のまわりに、相対的に回動調節可能になっている。一方、第二の羽根押えリング30は、第一の羽根押えリング28と略同一形状の後述するカム溝を有し、第一の羽根押えリング28より外径が小さく、回動自在に基板21に取り付けられている。また、第一及び第二の羽根押えリング28,30の間にはばね60が張架され、相互に逆方向に回動するよう付勢されている。図3に示すようにばね60はコイル部をピン63により、基板21に固定されている。
【0011】
図2に示すように、環状溝24内には円環状の駆動リング41が回動自在に嵌合しており、この駆動リング41は、後方に突出した環状部42の外面に形成された歯部43に、ステップモータ等と連結する駆動軸44の歯車45が噛合することにより、正逆方向に所要角度回転駆動される。
この駆動リング41と羽根押えリング28との間には、複数(この実施例では5個であるが、図1では便宜上1個のみ図示している)の絞り羽根46が配設され、この絞り羽根46は、後面に固定されたピン47により駆動リング41に係合してピン47を中心として回動自在になっている。
【0012】
これにより、駆動リング41が回転すれば絞り羽根46もピン47を介してレンズ開口部23を中心とする円周方向に移動することとなる。絞り羽根46の前面にはピン48が固定されており、このピン48は、第一及び第二の羽根押えリング28及び30に形成された弧状のカム溝49,50に摺動自在に嵌合している。即ち、駆動リング41により絞り羽根46が回動してピン48がカム溝49,50内を摺動することにより、絞り羽根46がピン47のまわりに回動してレンズ開口部23を開閉する。ところで、絞り羽根46と駆動リング41は第二の羽根押えリング30を介在するが、第一の羽根押えリング28と基板21とにより挟まれて配置されている。
【0013】
次に、動作について説明すると、図示しないステップモータ等の駆動源により駆動軸44が回転し、この駆動力が歯車45,43を介して駆動リング41を回転させる。駆動リング41が回転すると、各ピン47を介して複数の絞り羽根46が駆動リング41と同方向に回転するが、このとき各絞り羽根46に設けられた各ピン48はカム溝49,50に案内されて摺動するため、絞り羽根46はピン47を中心として回転し、これにより複数個の絞り羽根46の重なりの結果、所定の絞り口径を得ることができる。この場合に各ピン48は、二つのカム溝49,50がバネ60により、相互に逆方向に付勢されているのでカム溝49,50との間のガタが一方向に偏らされ、しかもガタがなくなるように嵌合する。従って、複数の絞り羽根46は、ガタがなく、しかも同一方向に偏らして、正多角形の絞り開口を形成する。
【0014】
なお、上記実施例では、バネ60により、第一及び第二の羽根押えリング28,30に逆方向の回動付勢力を与えたがゴム等の弾性部材であっても同一の作用効果が得られる。
また、上記実施例においては、駆動リング41が絞り羽根46とともに、第二の羽根押えリング30を介在して、第一の羽根押えリング28と基板21との間に挟まれて配置されていたが、第二の羽根押えリング30を第一の羽根押えリング28の下側に配置してもよい。
【0015】
また、同一形状のカム溝49,50を第一及び第二の羽根押えリング28,30に設けたが、必ずしも同一形状とする必要はなく、ガタが退避する方向のカム溝は作用しないのであるから適宜変形していてもよい。さらに両リング28,30は同一外径で基板21に取り付けてあってもよい。
また、駆動軸44を回転させる駆動源としては、ステップモータでもよいが、手動で行ってもよく、あるいは他のモータを用いてもよい。
さらに本発明は、上記実施例のような絞り装置の他に、テレビカメラ用レンズや一眼レフカメラ用の交換レンズの絞り機構に適用することもできる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る絞り装置は第一及び第二の羽根押えリングが逆方向に弾性部材により回動付勢され、二つのカム溝に複数の絞り羽根のピンを挟持するようにしたから、各絞り羽根は、ガタが一方向に偏よらされ且つ安定するため、絞り開口が歪にならずに正多角形となり、絞り口径精度も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すものでその正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】従来の絞り装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
21 基板
23 レンズ開口部
26 爪(結合部)
28,30 羽根押えリング
41 駆動リング
46 絞り羽根(羽根部材)
49、50 カム溝
Claims (1)
- レンズ開口部を有する基板と、前記レンズ開口部のまわりに配置される複数の羽根部材と、前記各羽根部材と係合する複数のカム溝が形成される第一及び第二の羽根押えリングと、前記複数の羽根部材に設けられ、前記第一及び第二の羽根押えリングに形成された前記複数のカム溝内を摺動して前記複数の羽根部材により所定の絞り口径を得る複数のピン部と、前記複数の羽根部材を同一方向に偏らせる弾性部材と、前記羽根部材に係合し前記レンズ開口部のまわりに回動する駆動リングとを備え、
前記第一の羽根押えリングは、前記レンズ開口部のまわりに回動可能に前記基板に取り付けられ、
前記第二の羽根押えリングは、前記第一の羽根押えリングと略同一形状の前記カム溝を有し、該第一の羽根押えリングと相互に逆方向に回動可能に前記基板に取り付けられ、
前記弾性部材は、前記第一及び第二の羽根押えリング間に張架され、該第一及び第二の羽根押えリングの前記複数のカム溝を相互に逆方向に回動付勢することにより該カム溝と前記ピン部材とのガタがなくなるよう嵌合させて前記複数の羽根部材を同一方向に偏らせることを特徴とする絞り装置。
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- 1999-04-20 JP JP11179899A patent/JP4219043B2/ja not_active Expired - Fee Related
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