JP4218942B2 - 薄膜製造装置及び薄膜製造方法 - Google Patents

薄膜製造装置及び薄膜製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜製造装置及び薄膜製造方法に関し、特に、MOCVD等のCVDプロセスによって薄膜を製造する際に用いられるパーティクル洗浄手段を備えた薄膜製造装置及びこの装置を用いて薄膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、原料液(液体原料、固体原料を溶解した液)を気化したものを原料ガスとして用い、この原料ガスと原料ガスよりも十分質量の軽い反応ガスとを混合したガスを成膜ガスとして用いるCVDプロセスにおいて、良好なCVD膜を得るためには、成膜ガス中の原料ガスと反応ガスとの均一な混合が必要不可欠とされている。原料ガスと反応ガスとを反応室内で混合する方法では、原料ガスと反応ガスとの均一な混合は難しく、原料ガスの濃度分布が膜厚分布に影響を与える他、反応室内での混合は反応室内に乱流を生じさせるために、流れの制御が行えず、その結果、再現性のある安定成膜が行えない。そのため、原料液を気化して原料ガスとして用いるCVDプロセスでは、質量差のある原料ガスと反応ガスとを均一に混合でき、かつ、制御できない乱流を反応室内に持ち込まない混合器が必要とされている。そのため、本発明者らは、質量差のあるガスを均一に混合でき、かつ、制御できない乱流を反応室内に持ち込まない混合器について提案している(特願2001−369279号)。
【0003】
また、近年の半導体素子に対する高い集積化の要求を満足するためには、MOCVD法等のCVD法により薄膜形成を行う際に、原料ガス中に含まれる異物微粒子や水分等を含む微小パーティクルをできるだけ少なくすることが必要である。従来から、例えば、これらのパーティクルをpptレベルまで除去するために、原料ガスを高い濾過特性を有するフィルター部材を通した後に、真空チャンバである反応室内へ導入することが提案されている。本発明者らは、原料ガス生成用気化室と混合室との間に、また、混合室内の下流側に、それぞれ、温度コントロール可能なパーティクルトラップを設けることにより、気化室及び配管で発生するパーティクルの成膜室への流入を防ぐ技術を提案している(特願2002−117123号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特願2001−369279号における薄膜製造装置を含めた従来の装置では、反応室と混合室とが配管を介さずに直結されており、すなわち、反応室の一部を構成するようにその上方に混合室が設けられており、原料ガスの反応室への導入/非導入のバルブが混合器の1次側にある。そのため、この装置を用いると、成膜初期(混合器に原料ガスを導入した直後)には、混合室内に導入される原料ガスと反応ガスとの流量が一瞬不安定となるので、原料ガスと反応ガスとの混合が不十分な、かつ、混合比率も不十分な成膜ガスが反応室に導入されることになる。その結果、CVD成膜で最も重要な成膜の初期段階の薄膜成長制御が不完全となる。
【0005】
また、原料ガスの反応室への導入/非導入のバルブが混合室の1次側にある場合には、成膜終了段階において原料ガスバルブを非導入側に切り替える際に、混合室内に導入される原料ガスと反応ガスとの流量が一瞬不安定となり、混合室内に残った成膜ガス、すなわち、原料ガスと反応ガスとの混合が不十分な、かつ、混合比率も不十分な成膜ガスが反応室に導入されて、意図しない成膜が基板上等で行われてしまう。最近、小型の混合器が開発されているが、その場合でも、その内部容積分の余分な成膜が起こることは回避できない事実である。
上記したように、薄膜製造装置における混合器の配置は成膜に影響を及ぼすのである。
【0006】
一般に、MOCVD法によって薄膜を製造する場合、気化した原料ガスと反応ガスとからなる混合ガス(成膜ガス)を真空チャンバである反応室内に導入し、反応室内に配設された基板ステージ上に載置した基板上で気相化学反応により成膜する。反応室の上面には、基板ステージに対向してシャワープレートのようなガスヘッドが配設され、このガスヘッドにはガス混合室が配管を介さずに直結されている。成膜時、混合室に供給された原料ガスと反応ガスとは、所定の混合比の混合ガスとして、ガスヘッドを介して所定の真空度に排気された反応室内に導入され、薄膜が形成される。この場合、基板上に均一な膜質及び膜厚分布を有する薄膜を形成するためには、反応室内や基板の直上における成膜ガスの均一な流れ分布、均一な濃度分布及び均一な温度分布が必要であると共に、成膜ガス、特に原料ガス中に含まれる微小パーティクルが少なければ少ないほどよい。
【0007】
しかし、MOCVD法により薄膜を形成する際に、上記従来技術におけるように、原料ガスをフィルター部材を通してから反応室内へ導入したとしても、フィルター部材を通しただけでは、パーティクルは完全には除去されないという問題や、そのフィルター部材の寿命が短いという問題がある。このようなパーティクルは装置の各所に付着するために、また、フィルターに捕獲されたパーティクルの堆積により生じるフィルターにおける圧力上昇を抑えるために、このパーティクルを定期的に簡単に洗浄・除去でき、連続成膜が長期に行えるメンテナンス周期の長い薄膜製造装置及び製造方法が望まれている。
【0008】
また、特願2002−117123号のように、成膜室へのパーティクルの流入を防ぐ為にパーティクルトラップを設けた成膜装置においても、成膜室にガスヘッドを介して原料ガス、反応ガス、キャリアガス等のガスを流し始める際に、その図1に示す混合室3内に配設されたパーティクルトラップの一次側と二次側との間に一時的に大きな圧力差が生じることがあり、それにより、混合室3内でパーティクルトラップからのパーティクルの巻き上げ、また、下流側への流出が起こり、製造ロットの初期ウェハーでのパーティクル数の増加が見られた。この成膜装置では、ウェハー毎の成膜開始時に、バルブ開閉により、原料ガスのベントラインから成膜室への切り替えが行われるが、その際にパーティクルが発生する。これは、パーティクルトラップの一次側と二次側との間での一時的な圧力変動によるものと考えられ、サイズが0.2μm以上のパーティクルのトータル数を減少させたいという技術目標を達成することの障害となっている。この場合も、パーティクルは装置の各所に付着するために、また、パーティクルトラップに捕獲されたパーティクルの堆積によるトラップにおける圧力上昇を抑えるために、このパーティクルを定期的に簡単に洗浄・除去でき、連続成膜が長期に行えるメンテナンス周期の長い薄膜製造装置及び製造方法が望まれている。
【0009】
さらに、従来の装置は、装置の各所に設けたフィルターやパーティクルトラップのようなパーティクル捕獲器を洗浄するためには、これらを一旦取り外して洗浄又は交換する必要があった。また、取り外さずに溶媒ガス等で洗浄できたとしても、多量のパーティクルを含んだ溶媒ガスを反応室に導入してしまう構造になっていた。特に、混合器内に設けたパーティクル捕獲器であって、原料ガスと反応ガスとが接した瞬間に発生するパーティクルを両ガスが均一に混合された後に捕獲する捕獲器は、定期的に洗浄する必要があるが、従来の装置では、溶媒ガス等で簡易に洗浄できる構成になっておらず、一旦取り外して洗浄又は交換する必要があった。なお、従来の装置では、配管を含めて各構成要素の内部に付着したパーティクルを簡易に洗浄・除去することが困難であった。
【0010】
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点を解決することにあり、装置各所で発生したパーティクルを反応室へ持ち込むことなく簡易に洗浄・除去できる構造にして、膜厚分布・組成分布・成膜レートが安定し、CVD法による連続成膜を再現性よく安定して長期にわたって有効に実施することができる薄膜製造装置及び薄膜製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の膜製造装置は、液体または固体の原料を溶媒に溶解させた原料液を供給する原料供給部及び気化部を有する気化システムと混合器と反応室と排気システムとを備えた膜製造装置において、該気化システムと混合器と反応室と排気システムとのそれぞれが配管で接続されて配置されていること、該気化部の内部に温度制御された気化部材を設けたこと、該混合器に原料ガス及び反応ガス導入用配管をそれぞれのガス導入口が互いに対向するように設け、その内部に下流側に向かって凸状になっている2次曲線形状を有する仕切り板を設けて混合器内を2つの空間に仕切り、該仕切り板のうち上流側の天井部分から下流側の底部までの鉛直距離の1/2に相当する位置にガス吹き出し口を設けて、該原料ガスと反応ガスとが該混合器内で均一に混合され、得られる成膜ガスが配管を介して該混合器から該反応室のガスヘッドへと導入されるように構成したこと、該反応室と該排気システムとの間に圧力調整バルブを設けたこと、装置の所定の箇所にパーティクル捕獲器を配置したこと、上記気化部内で気化させた溶媒ガスを配管に流して、該気化部から該反応室までの装置各所で発生しかつ装置各所に付着したパーティクルを洗浄・除去できるように、該原料液供給部に、パーティクル洗浄・除去用の溶媒であって上記原料を溶解する溶媒と同一のものを供給する溶媒供給部を設けたことを特徴とする。
【0013】
上記したように、溶媒供給部から供給された溶媒を気化部内で気化させ、この気化させた溶媒ガスを配管に流して、気化部から反応室までの装置各所に発生・付着したパーティクルを定期的に簡単に洗浄・除去できるように構成したことにより、パーティクル捕獲器がその性能を一定に維持するために原料ガス中の特定元素が加速度的に付着することが無く、常に一定量の成膜ガスを反応室に導入できる。また、パーティクル捕獲器が長期的にプロセスに影響を与えることが無く、パーティクルの詰まりによる装置各所に配置した各パーティクル捕獲器での圧力上昇が無いため、パーティクル捕獲器が長期的にプロセスに影響を与えることも無い。かくして、パーティクルの詰まりによるメンテナンス周期を延ばすことができ、長期的にパーティクルが少なく、膜厚分布・組成分布・成膜レートが安定し、連続成膜を再現性良く安定して行なうことのできる量産性・生産性に優れた膜製造装置を提供できる。
【0014】
本発明においては、上記気化部の内部に、原料液が気化した際に発生するパーティクルを捕獲するパーティクル捕獲器を備え、該気化部内から混合器を経て反応室内に至るまでのガス経路で発生するパーティクルを捕獲するために、装置の所定の箇所にパーティクル捕獲器を配置してもよい。このように構成することにより、原料液が気化する際に発生する残渣に基づくパーティクルを気化システム外へほとんど出すことがないので、混合器、反応室へ持ち込むことがなく、また、発生したパーティクルを定期的に簡単に洗浄・除去できる。その結果、膜厚分布・膜組成分布・成膜レートが安定し、連続成膜を再現性良く安定して行うことのできる量産性・生産性に優れた膜製造装置を提供できる。
【0015】
また、本発明においては、上記パーティクル捕獲器が該気化部と混合器との間の配管に配置されていてもよく、また、上記パーティクル捕獲器が該混合器内に配置されていてもよく、さらに、上記パーティクル捕獲器が該反応室の上部に設置したガスヘッド内に配置されていてもよい。この場合、上記各パーティクル捕獲器に捕獲されたパーティクルを上記気化部内で気化させた溶媒ガスを流して洗浄・除去するように構成すればよい。これにより、パーティクルが少ない成膜ガスを安定して反応室へ供給することができ、捕獲されたパーティクルを定期的に簡単に洗浄・除去できる。その結果、上記したような量産性・生産性に優れた膜製造装置を提供できる。
【0019】
上記したように、本発明の膜製造装置に用いる混合器においては、原料ガスと反応ガスとの導入口を対向して配置し、半球型等の2次曲線状の形状を有する仕切り板で混合器内部の容積に差が出るように2つの空間に仕切り、原料ガスと反応ガスとの混合ガスが狭い空間から広い空間へと円滑に出るように、仕切り板に設けた穴の位置・大きさを適切に設計して、2つの空間の間に圧力差を設ける構成としてある。そのため、仕切り板により生じる強烈な対流によって原料ガスと反応ガスとを攪拌・混合する過程と、仕切り板の穴から広い空間に出た原料ガスと反応ガスとの混合ガスを広い空間で拡散せしめる過程との2つの過程により均一に混合できるようになっている。そして、混合器内部圧力を低く保つことで、その1次側の気化部内部圧力を低くしてある。
【0020】
つまり、原料ガスと反応ガスとを攪拌・混合し、その後拡散により均一に混合するという2つの過程を1つの混合器内で行うことで、複雑な構造を用いず、原料ガスと反応ガスとの流量・種類に混合器の容積が左右されることなく、それらのガスを均一に混合できる。原料ガスと反応ガスとを均一に混合した後に反応室に導入することにより、反応室内で原料ガスと反応ガスとを混合する場合に比べ、混合の際に生じる乱流が成膜に影響を与えることがない。また、気化部内部の圧力を低く保つことで、気化部のメンテナンスサイクルを長くし、安定した原料ガスの供給、ひいては成膜ガスの反応室への供給が可能となるため、基板上に生成する膜の膜質・分布を向上させ、膜質・分布を安定させることが可能となる。
【0021】
また、上記したように、成膜ガスの反応室への導入/非導入のバルブを混合器の2次側に配置し、瞬時に成膜ガスの切替えを可能としてあるので、制御されていない成膜ガスによる基板上への意図しない成膜を防ぐことが可能となり、その結果として、膜質・膜性能を向上させ、膜質・膜組成分布・膜厚分布を安定させることが可能になる。
本発明で用いる混合器の仕切り板に設けたガス吹き出し口は、その位置及び大きさを適宜設定することによって一方の空間と他方の空間との間に圧力差を設け、それにより一方の空間内に生じる強烈な対流で重量の異なるガスを均一に混合し、混合ガスが一方の狭い空間から他方の広い空間内に拡散されるように構成されている。
【0022】
このガス吹き出し口については、上記溶媒ガス洗浄手段を有する装置において、さらに、ガス吹き出し口を、仕切り板の上流側の天井部分から下流側の底部までの鉛直距離の1/2程度に相当する位置に設けることが好ましい。これにより、均一に混合された混合ガスが効率よく一方の空間から他方の空間へと拡散され、撹拌・混合・拡散の過程が好都合に実施できる。
また、上記溶媒ガス洗浄手段を有する装置において、さらに、成膜ガスの反応室への導入/非導入時(装置待機時・搬送時も含む)に反応室内の圧力が変動しないように、反応室と排気システムとの間に設けた圧力調整バルブによる常時の圧力制御と同時に、非成膜時(装置待機時・搬送時も含む)にも成膜時と同量のガスを流せる構造とし、そして混合器の2次側に不活性ガス源と反応ガス源とを流量制御システムと共に接続し、不活性ガス又は反応ガス又は任意の比率の不活性ガスと反応ガスとの混合ガスを反応室に導入できるようにして、反応室内の圧力制御ができる構造としたことを特徴とする。
【0023】
装置待機連続成膜とを繰り返す当該膜製造装置の生産運用サイクルにおいて、上記圧力調整バルブによる圧力制御と、上記不活性ガス又は反応ガス又は任意の比率の不活性ガスと反応ガスを反応室に導入することによる圧力制御とを連続して行うことができる構造としたことを特徴とする。これにより、成膜ダストが少ない連続成膜が安定して再現性良く行われる。
また、本発明においては、上記溶媒ガス洗浄手段を有する装置において、さらに、反応室(又はガスヘッド)にも不活性ガス源と反応ガス源とを流量制御システムと共に接続し、不活性ガス又は反応ガス又は任意の比率の不活性ガスと反応ガスとの混合ガスを反応室へ導入し、これらのガスにより基板の昇温ができるように構成したことを特徴とする。
さらに、本発明においては、上記反応室と、不活性ガス源及び反応ガス源とを流量制御システムを介在させて接続し、不活性ガス又は反応ガス又を任意の比率の不活性ガスと反応ガスとの混合ガスを反応室へ直接導入しながら、加熱手段により基板が昇温できるように構成したことを特徴とする。
【0024】
また、本発明においては、成膜ガスの反応室への導入/非導入のバルブを混合器の2次側に配置したことを特徴とする。このようにガスバルブを設置することにより、気化部、混合器、排気システムの間の遮断が可能となり、これら要素のメンテナンスが容易になる。
さらに、本発明においては、原料ガスと反応ガスとを攪拌・混合する工程と、攪拌・混合されて得られた原料ガスと反応ガスとからなる成膜ガスを拡散させる工程と、パーティクルのほとんどない拡散された成膜ガスを反応室へ導入して、真空中で成膜対象物上に膜を形成する工程と、気化部内から反応室の上部に設けられたガスヘッド内までの装置各所に付着し又は捕獲されたパーティクルを原料液の溶媒と同じ溶媒のガスにより洗浄・除去する工程とを有することを特徴とし、好ましくは、上記膜製造装置を用いて実施される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる薄膜製造装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係わる薄膜製造装置の概略の構成を示す配置図であり、図2は原料液供給部と気化部とにより構成された気化システムであって、この原料液供給部に併設してパーティクル洗浄・除去用溶媒供給部が設けられている気化システムの概略の構成を示す配置図であり、図3(a)及び(b)は気化部内の構造を説明するための概略図であり、図4は混合器内部の構造を説明するための概略断面であり、図5(a)は混合器内の空間Aの内部構造及びガス流の経路を説明するための概略断面図であり、そして図5(b)は混合器内部の構造及びガス流の経路を説明するための概略上面図である。図1〜5において、同じ構成要素は同一の参照符号を付してある。
【0026】
本実施の形態の薄膜製造装置は、図1に示すように、真空排気システム1に圧力調整バルブ1aを介して接続された反応室2と、反応室の上部に設けられたガスヘッド3に成膜ガス配管4により離間して接続された混合器5と、混合器5に原料ガス配管6により接続された気化システム7とを有している。気化システム7から反応室2までのガス配管・各種バルブ・混合器・ガスヘッドを含む装置構成物には気化した原料ガスが液化/析出/成膜しない温度に保つために、ヒータ等の加熱手段や熱交換器が設けられている。気化システム7と混合器5との間の配管6にはバルブV3が、また、気化システム7と排気システム1との間の配管8にはバルブV4が設けられ、これにより気化システム7、混合器5、排気システム1を遮断できるように構成されている。これは、気化システム7、混合器5及び排気システム1の構成要素の各々のメンテナンスサイクルが異なるため、大気開放により成膜に悪影響を及ぼす水分等の物質がこれら構成要素に付着するのを避けることが目的である。1つの構成要素を大気開放してメンテナンスしている場合に、他の2つの構成要素をも大気開放することなく、真空を保持しうるように構成されている。
【0027】
ここで、基板毎のパーティクル捕獲器洗浄が不十分である場合、パーティクル捕獲器にパーティクルが残ってしまう。この状態でガス流れの変化が起こると、パーティクル捕獲器に捕獲されていたパーティクルが下流に流れることがある。
図6に示すグラフにおいて、1〜100枚までの基板処理ロット(25枚)毎にロット初期の顕著なパーティクルの増加が見られる。これは、装置の制御プログラム上、ロット処理スタート毎に圧力制御用のガスが一瞬停止した後にガスを流すため、装置各所のパーティクルが下流(反応室)に流れ込んでくるため発生する。従来、一般の装置は、ロット処理スタート時の動作確認としてガスバルブを閉めてしまう(又は一瞬閉める)のが通常である(状態確認/動作確認のためにそうするべきとされている)。しかしながら、パーティクル捕獲器を用いる装置において、ガス流れの一瞬の変化(圧力変化、流量変化、流れの緩急の変化等)が、パーティクル捕獲器に捕獲されたパーティクルを下流に流してしまうことは問題である。
【0028】
このパーティクルの増加を抑えるため、特に指示/設定をしない限り、装置待機→連続成膜→装置待機→連続成膜の装置の生産運用サイクルにおいて、ガス導入と圧力制御が一瞬の停止もすることなく行われるよう、装置制御システムを改善した。この制御システムを100枚目と101枚目(4ロット目と5ロット目)との間から用いている。その結果、この制御システムにより100枚目以降に(ロット間で)一瞬のガス停止も発生させなくすると、基板上で測定されるパーティクル数が顕著に減少する。もちろん、ロット内の基板間の間もガス流量制御/圧力制御が一瞬たりとも停止することはない。
【0029】
以下、上記各要素について詳細に説明する。
反応室2には、成膜対象物である基板を載置するための、基板加熱手段を有する基板ステージ2−1が配設されており、この加熱された基板上にガスヘッド3から成膜ガスが導入される。基板との反応に使用されなかった余剰の成膜ガス及び基板との反応により生じた成膜ガスとの副生成物ガスや、反応物ガスが排気システム1により排気される。反応室2の上部に設けられたガスヘッド3には、成膜ガス中に存在するパーティクルを捕獲するためのフィルターとしてのパーティクル捕獲器P6が配設されていてもよい。ガスヘッド3は適度に加熱され、導入ガスが液化/析出/成膜しない温度に保たれている。また、パーティクル捕獲器は、ガスヘッドのシャワーホール直前に設けられ、反応に必要な特定の気化した原料元素を付着・捕獲しない温度に適切に調整されていることが望ましい。
上記排気システム1と反応室2との間に設けられた圧力調整バルブ1aにより、様々な成膜圧力条件に容易に対応することが出来る。
【0030】
混合器5は、バルブV3が設けられている配管6により気化システム7に接続されると共に、バルブV5及び熱交換器9、次いでマスフローコントローラ20及び21を介してそれぞれガス源20−1(例えば、反応ガス源)及び21−1(例えば、不活性ガス源)にも連結されている。混合器5内で均一に混合された成膜ガスは、バルブV1が設けられている配管4を経てガスヘツド3に導入され、反応室2内において層流になることなく基板ステージ2−1上に載置された成膜対象物表面に供給される。この反応ガス源には、反応ガス源以外にキャリアガス等の不活性ガス(例えば、N等)の供給系も接続されており、各供給系は、弁要素の調節によって、反応ガスやキャリアガスをガス源から流量調節器、熱交換器を経て、混合器5へと配管により搬送するように構成されている。反応ガスには、原料ガスに合わせたガス、例えば、還元反応の際はH等、窒化の際はNH等、酸化の際はO等がある。原料ガスは、有機金属化合物等を有機溶媒に溶解した原料液を気化して得たガスである。
【0031】
混合器5では、反応ガス源から供給される適度に加熱された反応ガスと、気化システム7により生じ、液化/析出/成膜しない温度に保たれた配管6を経て送られる原料ガスとが導入・混合され、成膜ガス(反応ガス+原料ガス)が得られる。この原料ガスは、1種類の又は複数の種類のガスが混じったガスである。かくして得られた成膜ガスは、配管4を経て反応室2内に導入される。
この配管4及び6はVCR継手で接続されており、一部の配管各継手のVCRガスケットは、ただのリングではなく穴のところがパーティクル捕獲器となっているVCR型パーティクル捕獲器であることが望ましい。このVCR型パーティクル捕獲器のある継手部は、原料ガスが液化/析出しない温度よりも高く設定・保持され、かつ、反応に必要な特定の気化した原料元素を付着・捕獲しないようにすることが望ましい。
【0032】
混合器5と反応室2との間の成膜ガスラインには、成膜ガスの切替えを行うバルブ(V1及びV2)が混合器5の2次側に設けてある。バルブV1及びV2の下流側は、それぞれ、反応室2及び排気システム1に接続されている。成膜時は、バルブV1を開けてバルブV2を閉じ、成膜終了後は、バルブV2を開けてバルブV1を閉じる。原料ガスや反応ガスを混合器5に導入する初期の数瞬の間は、混合が均一でなく安定しないので、バルブV1を閉じてバルブV2を開け、排気システム1に原料ガスと反応ガスとの混合ガスを流すようにし、混合が安定した後に、バルブV2を閉じてバルブV1を開け、ガスヘッド3を介して反応室2に成膜ガスを導入できるようにする。また、成膜終了時には、瞬時の間バルブV2を開けてバルブV1を閉じ、混合器5内の余剰の成膜ガスを排気システム1に流すことにより、反応室への成膜ガスの導入を瞬時に止め、反応室2内に導入されることがないように構成する。
【0033】
気化システム7は、図2、図3(a)及び図3(b)に示すように、原料供給部7aと気化部7bとから構成されている。この気化システムは、加圧ガス(例えば、Heガス等の不活性ガス)により液体・固体原料を有機溶媒に溶解した原料液A、B、Cを加圧・搬送し、圧送された原料液のそれぞれの流量を各液体流量制御器A−1、B−1、及びC−1で制御して、気化部7bに運ぶように構成されている。また、この原料供給部7aには、原料液中の溶媒と同じ溶媒である溶媒からなる溶媒供給部Dが併設されており、溶媒の流量を流量制御器D−1で制御して気化部へ導入し、気化部7bで気化させ、パーティクル洗浄・除去用の溶媒ガスを得ることが可能なように構成されている。
【0034】
気化部7bは、流量の制御された原料液を効率よく気化させ、気化して得られた原料ガスを混合器5へ供給することができるように、また、溶媒供給部Dから供給された溶媒を効率よく気化させ、溶媒ガスを気化部より下流側へ供給することができるように構成されている。この気化部7bでは、液体原料が1種の場合は単液を、液体原料が複数の場合は複数の原料液を混合して気化させることができる。原料液を気化させる際は、原料液の液滴を気化させるだけでなく、液滴にガスを当てたり、物理的な振動を与えたり又は超音波を当てたりして、気化部の壁面に設けたノズル7b−1を介して更に細かい液粒として気化部内に導入して気化させ、気化効率を上げることが好ましい。気化部7bの内部には、液滴又は液粒が、効率良く気化すべき箇所で極力気化することができるように、かつ、後述するパーティクル捕獲器による液粒気化負荷の軽減のために、Al等の熱伝導の良い材料で作製された気化部材7b−2及び7b−3が配置されることが好ましい。また、気化部7bの内部には、原料液が気化する際に発生する残渣を元とするパーティクルを気化部外に出さないためや、少量流れ来る液滴が気化部外に真空により吸い込まれることなく気化できるようにするために、パーティクル捕獲器7b−4を設けてもよい。この気化部材とパーティクル捕獲器においては、これらに接触した液滴、細かい液粒が確実に気化できるように、かつ、反応に必要な特定の気化した原料元素を付着・捕獲しないように、適切な温度に気化条件が保たれていることが好ましい。
【0035】
次に、混合器について、図4、図5(a)及び図5(b)を参照してさらに詳細に説明する。なお、図5(a)及び(b)において、実線及び点線、並びに一点鎖線及び二点鎖線の矢印線は、それぞれ、反応ガス流及び原料ガス流のコンピューターシミュレーションによる流体解析結果の傾向を、それぞれのガスの流れとガス分布とに関して例示するものである。
図4に示すように、混合器5の外部・内部は円筒形であり、半球型仕切り板5−1により混合器内部は容積の異なる2つの空間A及びBに仕切られている。空間Aには、少なくとも1種の原料ガスを導入するための原料ガス導入管5−2及び反応ガスを導入するための反応ガス導入管5−3が取り付けられ、これらのガス導入管のそれぞれの原料ガス導入口5−2a及び反応ガス導入口5−3aは、各ガス流が空間A内に対向して導入されるように対向して配置されている。
【0036】
各ガス導入口5−2a、5−3aから対向して導入された原料ガスと反応ガスとは、半球型仕切り板5−1により空間Aで対流・攪拌・混合される。空間Aで攪拌・混合された原料ガスと反応ガスとは、原料ガス導入口5−2a側の仕切り板に設けられた1個の混合ガス吹き出し口5−4から空間Bに出る。混合された原料ガスと反応ガスとは、ガス吹き出し口5−4を経て空間Aから空間Bに出る際に、空間内の圧力・容積の違いにより気体の拡散現象が起こり均一に混合される。均一に混合された原料ガスと反応ガスとは、成膜ガスとして成膜ガス導入口5−5からガスヘッド3(図1)に通ずる配管4を経て、ガスヘッドを介して反応室2内に導入され、被処理基板に到達する。この場合、原料ガスと反応ガスとがあらかじめ均一に混合されて反応室に導入されるので、混合器内で原料ガスと反応ガスとの混合の際に生じる乱流が成膜室に持ち込まれず、成膜に影響を与えることはない。混合器5の内部には、パーティクル捕獲器を設けて、混合の際に発生した微量のパーティクルを捕らえ、かつ、反応に必要な特定の気化した原料元素を付着・捕獲しないよう配慮してもよい。
【0037】
図4に示すように、空間Aからの空間Bへの混合ガス吹き出し口5−4は、原料ガス導入口5−2aと反応ガス導入口5−3aとを結ぶ直線の鉛直方向であって、空間Aの天井部(半球型仕切り板5−1の周縁部)から半球型仕切り板5−1の底部までの鉛直距離の1/2程度の高さ(a≒b)に相当する位置に所定の大きさで設けられ、混合ガスを効率よく吹き出すことができるようになっている。この混合ガス吹き出し口5−4は、原料ガスと反応ガスとが攪拌・混合された後に空間Bに効率よく導入されるように構成されていれば、その位置・形状に制限はない。
【0038】
上記ガス吹き出し口5−4は、図4、図5(a)及び図5(b)に示すように、原料ガス導入管5−2の近傍に設けられて、この吹き出し口部分で激しく対流する混合ガスは、ガス吹き出し口5−4を介して円滑に空間B内に導入される。このガス吹き出し口5−4は、反応ガス導入管5−3の近傍に設けられていても良い。この場合も、上記したように、空間Aの容積より空間Bの容積の方が大きいため、混合ガスが空間Aから空間B内に導入される際に、その容積の差によって拡散現象が起こり、原料ガスと反応ガスとの分子量が大きく異なる場合であっても均一に混合され、この均一に混合されたガスは、離間して接続されたガスヘツドに対して導入され、反応室内において乱流になることなく基板に供給され得る。
これらの原料ガス導入管5−2及び反応ガス導入管5−3は、混合器5の空間Aの上部に、仕切り板5−1の中央部分(変曲点近傍)に対応する位置で、仕切り板5−1の中心点に対して点対称の位置に取り付けられ、ガス導入口5−2aと5−3aとは上記したようにそのガス導入方向が対向するように配置される。
【0039】
上記したように、仕切り板5−1は、2次曲線形状の凸面状仕切面を有する半球形状に形成されたものであり、原料ガス導入管5−2及び反応ガス導入管5−3が取り付けられた混合器の天井部に隙間のないように取り付けられることが望ましい。この仕切り板は、上記したように、混合器への各ガス導入側壁面に対して隙間が生じないように設けても良いし、また、各導入ガスが十分に攪拌・混合される得る限り、仕切り板と混合器の天井部との間に隙間を生じるように設けても良い。
上記したように、混合器5の内部は、仕切り板5−1によって、空間AとBとに仕切られ、空間Bの容積が空間Aの容積よりも大きくなるように構成されていることが望ましく、本実施の形態の場合、空間Aの容積と空間Bの容積との比は特に限定されないが、攪拌・混合と拡散とを満足に行うという観点からは、通常、1:5〜1:2程度とすることが望ましい。
【0040】
上記のように構成された混合器5においては、この混合器に離間してガス配管を介して接続された反応室2内を真空にした状態で、原料ガス導入管5−2及び反応ガス導入管5−3から、それぞれ、ガス導入口5−2a及び5−3aを介して、少なくとも1種の原料ガスと反応ガスとを混合器5の空間A内に導入する。これにより、図5(a)及び(b)に示すように、空間A内において、原料ガス流が反応ガス流により分断され、かつ、仕切り板5−1の表面では両ガスとも板5−1に沿って流れ、その結果、対流が発生して原料ガスと反応ガスとが攪拌され、混合される。次いで、図4に示すように、この混合された原料ガスと反応ガスとからなる混合ガスは、ガス吹き出し口5−4を介して空間B内に円滑に導入され、拡散される。上記したように空間Aの容積より空間Bの容積の方が大きいため、混合ガスは、空間Aから空間B内に導入される際に、その容積の差によって拡散現象が起こり、均一な混合ガス流として導入され、拡散される。
【0041】
空間A内における原料ガスと反応ガスとの流れ及びガス分布の流体解析結果の傾向を図5(A)及び(B)を参照して詳細に説明する。解析は実際の成膜条件と使用ガス・使用ガス以外のガスに関し、流量(ガス濃度100%)、各ガス導入口5−2a及び5−3aから空間Aへの噴出速度を変え解析を行なった。その結果、原料ガス及び反応ガスの比較的濃い領域(この領域は無数に存在するが代表的な所を例示してある)の存在位置は変わらず、その範囲が異なっているだけで、全て傾向は同じであった。ガス流れの方向(ガスベクトル)は非常に複雑であり、特に、半球型仕切り板5−1の内壁付近でのガスベクトルは全く規則性が無い。唯一の規則性は、半球型仕切り板5−1の底において、原料ガス導入口5−2aと反応ガス導入口5−3aの位置関係に対し各ガスの比較的濃い領域は反転する傾向があり、原料ガス導入口5−2aと混合ガス吹き出し口5−4との間に反応ガスの比較的濃い領域が存在し、原料ガス導入口5−2aの両脇には原料ガスの比較的濃い領域が存在する。この解析結果によれば、空間A内では対流・攪拌・混合が非常に効率良く行われていることが分かる。従って、原料液を用いたCVD成膜において、連続成膜処理を行ってもパーティクルが少なく、良好な膜質・組成の膜が長期の間再現性良く安定して量産できる。
【0042】
本実施の形態の薄膜製造装置においては、上記したように、装置各所にパーティクル捕獲器を配置しているが、以下、このパーティクル捕獲器について説明する。
MOCVD法等のCVD法によって薄膜を製造する場合、上記したように、基板上に均一な膜質及び膜厚分布を有する薄膜を製造するためには、反応室内や基板の直上における成膜ガスの均一な流れ分布、均一な濃度分布及び均一な温度分布が必要であると共に、成膜ガス中に含まれる微小パーティクルが少なければ少ないほどよい。しかし、従来技術により薄膜を製造する際に、原料ガスをフィルター部材を通してから反応室内へ導入したり、混合器内にフィルター部材を設けたとしても、製造ロットの初期基板上でのパーティクル数の増加が見られる。
【0043】
そこで、上記問題を解決するためには、温度制御可能なパーティクル捕獲器を気化部、ガス配管、混合器等に設置することが望ましい。これらのパーティクル捕獲器は、それぞれ、原料液を気化する際に発生するパーティクルと、気化部から既に気化して得られた原料ガスの一部が核となり発生/成長するパーティクルと、原料ガスと反応ガスとが接触した瞬間に発生するパーティクルとを捕獲し、下流にパーティクルを流さないように機能するものであればよい。また、ガスヘッドに設置されたパーティクル捕獲器は、混合器以降の流路で極微量発生する可能性の有るパーティクルを反応室直前の最終段階で捕獲するように機能するものであればよい。
【0044】
なお、バルブV2を開けることにより、図示してはいないが、気化させた溶媒ガスを気化部、原料ガス配管、混合器内に導入できるようにして、気化部、原料ガス配管、混合器等の内部に配置したパーティクル捕獲器やこれらの内部を溶媒ガスで洗浄できるように構成しても良い。特に、原料液を気化する際に発生するパーティクルと、原料ガスと反応ガスが接触する際に発生するパーティクルとの発生量は、既に気化した原料ガスの一部が核となり発生/成長するパーティクルの発生量と比べ格段に多い。そのため、これらの各パーティクルを捕らえるために気化部内部と混合器内部とに設置されるパーティクル捕獲器は詰まり易いので、この2つのパーティクル捕獲器を洗浄し、詰まりの懸念を無くし、かつ、そのパーティクルを多く含んだ溶媒ガスを反応室には流すことが無いように装置を配置・構成することが好ましい。また、この構成によれば、気化部、原料ガス配管、混合器に設置されたパーティクル捕獲器を成膜ロット毎のみではなく各基板成膜毎に洗浄できる。
【0045】
本実施の形態によれば、パーティクル捕獲器は、例えば、図1に示すように、気化部7b内と、気化部に接続された原料ガス配管6に取り付けられたバルブV3の上流側配管と、混合器5内と、混合器5に接続された配管4に取り付けられたバルブV1の上流側と、配管4と排気システム1とを接続する配管10の上流側と、ガスヘッド3の下流側のシャワーホール直前とに、それぞれ、P1〜P6として設けられる温度制御可能なパーティクル捕獲器である。これらの捕獲器は、それぞれの箇所で発生するパーティクルを捕獲する機能を有するものであれば、その材質や形状等に特に制限はない。
【0046】
気化部7b内に設けられたパーティクル捕獲器P1は、原料液を気化する際に発生するパーティクルを捕獲・除去するための温度制御可能な捕獲器として機能し、パーティクル捕獲器P2は、既に気化した原料ガスの一部が核となり発生/成長する原料ガス配管6におけるパーティクルを捕獲・除去するためのものであり、パーティクル捕獲器P3は、原料ガスと反応ガスとが接触した瞬間に発生するパーティクルを捕獲・除去するためのものであり、パーティクル捕獲器P4は、成膜ガス配管4で発生するパーティクルを捕獲・除去するためのものであり、そしてパーティクル捕獲器P5は、混合器5に接続する配管4と排気システム1とを接続する配管10で発生するパーティクルを捕獲・除去するためのものであり、それぞれが下流側にパーティクルを流さないように機能する。また、ガスヘッド3に設置されたパーティクル捕獲器P6は、混合器以降の流路で極微量発生する可能性の有るパーティクルを反応室直前の最終段階で捕獲するように機能するものである。
【0047】
上記パーティクル捕獲器は、その配置・構成等がパーティクルを捕集可能なものであり、かつ、洗浄可能なものであれば、その材質や形状等に特に制限はなく、複数枚積層して用いても良く、例えば、ヒータ等の加熱手段により、配管とは独立した温度コントロールが可能なように構成されていることが望ましい。
パーティクル捕獲器の材質については、原料ガスや反応ガスに対する耐食性や機械的特性及び耐熱性(300℃程度)等を考慮して決められる。例えば、ニッケルやその合金(例えば、ハステロイ(登録商標)、インコネル(登録商標)等)、ステンレス鋼(316、316L等)、アルミニウム、チタン、セラミックス等から選択され得る。また、このパーティクル捕獲器と共に、温度制御可能ないわゆる金属燒結フィルターである多孔体フィルターを配設してもよい。
本実施の形態によれば、パーティクル捕獲器を上記のように配置することにより、圧力損失が小さく、捕集量が大きく、目詰まりもなく、乾式/湿式のパーティクルを効率的に捕集することができるので、反応室内に導入される成膜ガス中にはパーティクルがほとんど存在しない。
【0048】
次に、反応室内の等方排気について説明する。
図1に示すように、ガスヘッド3の周りには、乱流をおさえて整流作用を持たせ、かつ、反応室2の内壁への膜付着を防止するために、不活性ガス等を流しても良い。
この不活性ガスをガスヘッドの周りに流す配管12にはバルブV7が設けられ、この配管の一方の端には、熱交換器13、次いで流量制御システム(MFC)22及び23を介してそれぞれガス源22−1(例えば、反応ガス源)及び23−1(例えば、不活性ガス源)が接続され、また、他方の端は反応室2と接続されている。この配管12の任意の箇所に、成膜ガス配管4に接続されているガス配管11が接続されている。そのため、反応室2内に不活性ガス又は反応ガス又は任意の比率の不活性ガスと反応ガスとの混合ガスを流すことが可能であるので、プロセス・基板に対応した反応ガス昇温又は不活性ガス昇温又は任意の比率の不活性ガスと反応ガスの混合ガス昇温が可能である。また、非成膜時(バルブV1:閉、バルブV2:開)に、これらのガスと圧力調整バルブ1aとにより、基板の搬送時や昇温時等にも、反応室2内の圧力を常に成膜時と同様の圧力に一定に保つことができる。従って、圧力変化による基板温度変化が少なく、安定した成膜が行える他、圧力変化による膜へのストレスを軽減でき、基板ステージ2−1等の高温部に成膜された膜の剥れを抑制し、メンテナンスサイクルを延ばすことができる。同様に混合器5に接続されている反応ガス配管にも、反応ガス源と不活性ガス源とが流量制御システムと共に接続されており、成膜時には、反応ガスのみ又は反応ガスと不活性ガスとを任意の比率で混合器に導入でき、混合器内で原料ガスと均一に混合ができる。
【0049】
上記したように、薄膜製造装置は、円筒形状の反応室2を有しており、この反応室の内部には、シリコンウェハー等の基板が載置される円筒形状の基板ステージ2−1が設けられている。この基板ステージには、基板を加熱するための加熱手段が組み込まれている。また、反応室2は、基板ステージ2−1を反応室の成膜位置と反応室下方の基板搬送位置との間で昇降自在に構成するための手段を備えている。反応室2上側の中央部には、基板ステージ2−1に対向してガスヘッド3が設けられ、パーティクルの除去された成膜ガスがガスヘッド3から基板の中央部に向かって噴出されるように構成されている。
ところで、MOCVD法等のCVD法により基板上に薄膜を製造する場合、原料ガスがある温度以下に低下すると、原料ガスがパーティクルとして析出し、反応室内での成膜ダストの原因ともなる。そのため、従来から、反応ガス用配管に、ガス温度調節手段である熱交換器を設けたり、また、原料ガスの析出を防止するため、反応室2の外壁や基板ステージ2−1にヒータ等の加熱手段を設けている。
【0050】
ここで、MOCVDプロセスにおいて、基板上に製造する薄膜の膜厚分布及び組成分布を均一にすると共にその再現性を高めるには、基板の周囲から、プロセスに寄与しない混合ガス等を含む排ガスを等方排気して、ガスヘッド3から排気システム1までのガス流を均一にすることが重要になる。特に、ガスヘッド3の下方であって基板ステージ2−1の上方の第1空間C(図1)での対流、乱流の発生を防止する必要がある。そのためには、図1に示すように、所定の高さ寸法Lを有するスリーブ部材2−2で基板ステージ2−1の周囲を囲うことが望ましい。この場合、スリーブ部材2−2と反応室2の内壁面とが形成する環状の間隙(r)を介して排ガスが等方排気されるように、基板ステージ下側の第2空間Dの容積を第1空間Cの容積より大きく設定する。
【0051】
上記したように、基板を所定の温度まで加熱するために基板ステージ2−1に加熱手段を組み込んだ場合、基板の上方で熱対流が発生し得る。そこで、反応室2の内壁面に沿って不活性ガスを反応室内に均等に導入するガスリング2−3を、ガスヘッド3を囲うように反応室2の上部に設ける。ガスリング2−3から噴射される不活性ガスの強制的な整流作用により、スリーブ部材2−2と反応室2の内壁面との間の間隙rを通過して第2空間Dに排気される排ガスを、スリーブ部材2−2の周囲からより確実に等方排気ができるようになる。これにより、第1空間Cでの乱流、対流及び熱対流を防止できる。
【0052】
ところで、反応室2内の基板ステージ2−1の高さ位置は、図7(a)に示すように、ガスヘッド3から基板ステージ2−1までの距離が長いと、排ガスが排気されず反応室の上方の隅部で対流Eが発生し得る。他方で、図7(b)に示すように、ガスヘッド3から基板ステージ2−1までの距離が短いと、ガスヘッドから噴出された成膜ガスが基板で反射されて反応室2の上方の隅部で対流Eが発生し得る。このため、成膜位置でのガスヘッド3と基板ステージ2−1との距離は、そのような対流Eが生じ難い距離に設定するように構成する。
また、基板ステージ2−1まで基板を搬送するための基板搬送口を第1空間Cを臨む位置に設けたのでは、基板搬送口の周辺で乱流が発生し得る。このため、基板ステージ2−1が、反応室2上側の成膜位置と下側の基板搬送位置との間で昇降自在となるように基板ステージ2−1に昇降手段(図示せず)を付設する。そして、基板搬送位置に対応して反応室2に基板搬送口を設ける。
図1に示す薄膜製造装置の場合、MOCVD法において原料ガスがパーティクルとして析出しないように、ガスリング2−3から噴出される不活性ガスの温度を調節するために、ガスリングに通じるガス配管12に温度調節手段である熱交換器を設けてもよい。このガス配管にはバルブV7が設けられている。
【0053】
上記したように、本発明の薄膜製造装置は、特定形状の仕切り板が配設された混合器を備え、混合器の空間Aにおいて攪拌・混合されて得られる混合ガスが空間Bに導入される際に、空間AとBとの容積の差に起因する拡散現象によって自然に拡散されるようになっている。また、特定の気化システム、混合器、反応室及び排気システムが所定の配置となるように構成され、好ましくは、薄膜製造装置の各所にパーティクル捕獲器が設けられると共に発生・付着・捕獲されたパーティクルを洗浄・除去する手段が設けられ、さらに好ましくは、反応室にスリーブ部材やガスリングが設けられている。このため、この装置を用いれば、非常に簡単な構成で良好な膜質を有する薄膜を再現性良く製造することが可能である。すなわち、パーティクルがほとんどなくかつ均一に混合されている成膜ガスを反応室内に導入することができるため、反応室内で成膜ガスが乱流となることはなく、また、装置内のパーティクルを定期的に洗浄・除去できるので、製造される薄膜の膜質及び膜厚分布を向上及び安定化させることが可能になる。
【0054】
本発明においては、上記実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。例えば、仕切り板について、上記においては半球形状の仕切り板を例として用いたが、この仕切り板の曲率、形状(例えば、円柱形状、立方体形状、円錐形状)、大きさ等は、使用するガスの種類やプロセスに応じて適宜設計変更することが可能である。また、仕切り板に設けられるガス吹き出し口の位置や形状についても、空間Aで原料ガスと反応ガスが攪拌・混合された後に空間Bに均一に導入されるように構成されている限り、プロセスに応じて適宜設計変更することができる。上記したように、空間A内のガスが激しく対流する部分の近傍にガス吹き出し口を設けるようにすれば、混合ガスを円滑に空間B内に導入することができる。例えば、原料ガス導入口と反応ガス導入口とを結ぶ直線の中心点からその直線の上下方向に45度以内の範囲内にガス吹き出し口を設ければ、両ガスを均一に混合し、円滑に空間B内に導入することが可能である。
【0055】
また、上記実施の形態では、それぞれ1つの空間AとBとを設けた混合器を例にとって説明したが、2つ以上の空間AとBとを設けてガスの混合を行うようにすることも可能である。さらに、混合状態の程度によっては、空間Bを設けずに、空間Aからの成膜ガスをそのまま配管を介して反応室に導入して、反応を行わせることも可能である。
上記した混合器は、MOCVD法において、常温で液体である原料を用いる場合に、格別な効果がある。というのは、常温で液体である原料は、気化しても重いからである。
上記した薄膜製造装置を用いれば、原料源としてPt、Ir、Ru等を含む原料、例えば、液体原料としてPb(DPM)、Zr(DMHD)、Ti(i−PrO)(DPM)を用いて強誘電体膜PZTのCVD成膜及びこのPZTにLa、Sr、Ca、Al等の添加元素を加えたCVD成膜や、液体原料としてBa(DPM)、Sr(DPM)、Ti(i−PrO)(DPM)を用いて強誘電体膜BSTのCVD成膜を行うことができると共に、Cu、Al等のメタル配線用途を主とした薄膜や、TiN、TaN、ZrN、VN、NbN、Al等のバリア用途を主とした薄膜や、その他にSBT、STO等の誘電体薄膜及びこの誘電体にLa、Sr、Ca、Al等の添加元素を加えた膜をCVD法により製造することができる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の薄膜製造装置を用いて、MOCVD法により金属酸化物薄膜を形成する方法の実施例及び比較例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
本実施例ではMOCVD法による強誘電体PZT膜の成膜例を挙げる。
PZTの原料ガスと反応ガスである酸素ガス(O)とを混合する場合について、原料ガス等の種類及び設定流量を以下に示すようにして、図1に示した薄膜製造装置を用いてPZT薄膜を製造した。
【0057】
Figure 0004218942
【0058】
配置したパーティクル捕獲器は、以下の通りであった。
気化部内部パーティクル捕獲器 :粒径1.0μm用
混合器パーティクル捕獲器 :粒径0.5μm用
原料ガス・成膜ガス配管パーティクル捕獲器 :粒径0.5μm用
ガスヘッドパーティクル捕獲器 :粒径0.3μm用
成膜圧力は、圧力調整バルブと不活性ガスと反応ガスとにより常に5Torrに調圧した。この時の装置各所の圧力は、混合器の空間Bにおいて14Torr、気化部において19Torrであった。一般的に液体原料の安定気化は30Torr以下が望ましいため、十分にその要件を満足している。
【0059】
図1に示す半球型仕切り板を設けた混合器5内に、上記原料ガス及び反応ガスを、それぞれ、ガス導入管5−2及び5−3を経てガス導入口5−2a及び6−3aから混合器内へ導入して攪拌・混合・拡散し、混合器から反応室2内に成膜ガスを導入し、この反応室内で、MOCVD方法によって上記条件で基板上にPZT薄膜を形成した。また、仕切り板を設けない混合器を用いて、同じ成膜プロセスを行った。かくして形成された薄膜の膜厚分布の概略を図8(a)及び(b)に示す。図中71は基板、72は膜厚の厚い部分、73は膜厚の薄い部分を示す。 図8(a)から明らかなように、仕切り板無しの混合器を用いた場合、膜の薄い部分73が原料ガス導入口側に、また、膜の厚い部分72が反応ガス導入口側に形成された。これは、仕切り板を取り除いた空間A+B内において、空間A+Bの底部では上記流体解析に見られた各ガス導入口位置に対する各ガスの比較的濃い領域の反転現象が起こり、成膜ガス排出口からガスヘッドまでその反転現象を引きずったまま層流となり、基板上へその濃度分布が転写されたものと容易に推察される。この時の膜厚分布は±6.3%であった。デバイス製作上の観点からは、半導体チップの歩留まりを上げる為には膜厚分布3%以下が確実に必要であるので、仕切り板を設けない混合器を用いて得られた薄膜は、不具合である。
【0060】
これに対し、仕切り板を設けた混合器を使用した場合(原料ガスと反応ガスとの各導入口の位置は同様である)は、図8(b)から明らかなように、基板71上に均一な膜厚を有する薄膜を膜厚分布±1.2%で連続的に製造することができた。これは、仕切り板により、各空間A及びBにおいて対流・攪拌・混合・拡散が効率よく行われ、原料ガスと反応ガスとが均一に混合されている為である。デバイス製作上の観点からは、半導体チップの歩留まりを上げるために必要な±3%以下を充分に満足していた。
図9に、パーティクル捕獲器無しの場合と、気化部、原料ガス・成膜ガス配管、混合器、ガスヘッドにパーティクル捕獲器を設置した場合と、基板毎にパーティクル捕獲器の洗浄を行った場合とについて、捕獲された積算総パーティクル数(0.2μm以上のサイズ)の変化を示す。図9中のパーティクル捕獲器無し以外は気化部内部には気化部材を設けてある。パーティクル数の測定は、1ロット:25枚×4ロット=100枚中の各ロットの2、5、15、25枚目の基板について行った。
【0061】
図9中、●で表示されているグラフは気化部内部▲1▼にパーティクル捕獲器を設置した場合、□で表示されているグラフは▲1▼+混合器内部▲2▼とにパーティクル捕獲器を設置した場合、▲で表示されているグラフは▲1▼+▲2▼+原料ガス・成膜ガス配管▲3▼にパーティクル捕獲器を設置した場合、■で表示されているグラフは▲1▼+▲2▼+▲3▼にパーティクル捕獲器を設置し、かつ、溶媒ガス洗浄を行った場合、△で表示されているグラフは▲1▼+▲2▼+▲3▼+▲4▼にパーティクル捕獲器を設置し、かつ、溶媒ガス洗浄を行った場合、○で表示されているグラフはパーティクル捕獲器を設置しなかった場合における結果を示す。
【0062】
図9から明らかなように、装置にパーティクル捕獲器が無い場合、基板上に降り注ぐパーティクルは基板を処理するに従い増える傾向を示す。その量も既に膨大であり膜質に対する悪影響は確実であり、100枚処理以後もさらに増加し続けるであろうと予測できる。また、初期パーティクル数が後半に比べ少ないことから、発生量は多いが気化部内部で発生量そのものが増加しているとは考えにくく、多くは装置内に付着・堆積し捕獲されたパーティクルが次第に溢れ出し下流に流れてきていると推察される。
【0063】
気化部内部に気化部材とパーティクル捕獲器を設置した場合(図9中の▲1▼の場合)には、パーティクル総数がパーティクル捕獲器無しの場合に比べて約1/8に減少している。気化部に設置された気化部材が、下流に流れようとする原料液粒の大半を気化することで発生するパーティクルそのものが減少し、パーティクル捕獲器に流れる液粒を抑え、パーティクル捕獲器が気化部から下流に流れるパーティクルと気化部材による気化を逃れた極少量の液粒を気化したため、気化部からガスに乗り流れ出るパーティクルの多くが削減された。
【0064】
気化部と混合器内部とにパーティクル捕獲器を設置した場合(図9中の▲1▼+▲2▼の場合)には、混合器にパーティクル捕獲器を設置したことで、原料ガスと反応ガスとの接触の際発生するパーティクルが捕獲され、反応室内の基板で測定されるパーティクル総数が▲1▼の場合よりも減少している。しかし、100枚処理後には総数1000個を越え、膜質に対する悪影響は確実であり、さらに基板100枚処理以後も増加し続けるであろうと予測できる。また、印象的なのは1ロット(基板25枚)以後に大きな増加傾向が見られることである。このことから混合器よりも下流において成膜ガス中の既に気化した原料ガスの一部が核となり発生/成長するパーティクルの他に、ある時期からパーティクル捕獲器のパーティクルを捕獲する効力が小さくなっているため、下流に流れ、反応室で測定されるパーティクル数が増加していると考えられる。図10(a)及び(b)に混合器内に設置したパーィクル捕獲器の顕微鏡写真を示す。発生しているパーティクルは、0.2μmよりも小さいサイズであるが、幾重にも重なっているパーティクル捕獲器の鋼線に付着する形で捕獲されている。この鋼線がパーティクルで覆われるとパーティクル捕獲器がパーティクルを捕獲し難くなり次第に下流にパーティクルが流れてしまう。従って、各箇所のパーティクル捕獲器の運用はパーティクルがパーティクル捕獲器の鋼線を覆い尽くさぬように、すなわち、飽和しないように、定期的に又は随時パーティクル捕獲器のパーティクルを洗浄・除去する必要がある。
【0065】
気化部と混合器の他、原料ガス配管と成膜ガス配管にパーティクル捕獲器を設置した場合(図9中の▲1▼+▲2▼+▲3▼の場合)には、図9中の▲1▼+▲2▼の場合の挙動と同様に基板毎に増加しているが、増加傾向が約1ロット遅れている。これはパーティクル捕獲器を増やしたことでパーティクル捕獲器の飽和までの時間が延ばされただけであり根本的な解決にはなっていない。
そこで、気化部、混合器、原料ガス配管、成膜ガス配管にパーティクル捕獲器を設置した状態で基板毎に溶媒ガスによる洗浄を行った場合(図9中の▲1▼+▲2▼+▲3▼+▲5▼の場合)には、基板50枚以後から若干パーティクル数は増えるが、そこからパーティクル数は約100個以下で安定している。以上により、液体原料を気化し原料ガスとして用いるCVD法おいて装置各所に設置したパーティクル捕獲器がその機能を十分果すためには定期的に又は随時パーティクル捕獲器を洗浄することが必要である。
【0066】
更に、この実施例ではガスヘッド内にもパーティクル捕獲器を設けている場合(図9中の▲1▼+▲2▼+▲3▼+▲4▼+▲5▼の場合)には、装置各所のパーティクル捕獲とその捕獲器の洗浄によりガスヘッド内に流れ込むパーティクル数が極小となったため、ガスヘッド内のパーティクル捕獲器は詰まり難く、他の捕獲器よりも非常にメンテナンス周期が長い。また、反応室直前の最終段階で反応室に流れ込むパーティクルも捕獲できるため、反応室内で測定されるパーティクル数は更に低減している。
装置各所に配置したパーティクル捕獲器はPZT組成比に影響を与えてしまう。図11に気化部、混合器、原料ガス・成膜ガス配管にパーティクル捕獲器を設置した場合のPb/(Zr+Ti)、Zr/(Zr+Ti)比の組成変化を示す。パーティクル数の測定は、1ロット:25枚×4ロット=100枚中の各ロットの3、14、24枚目の基板について行った。
【0067】
図11から明らかなように、Zr/(Zr+Ti)比に変動は無いものの、Pb/(Zr+Ti)比が基板処理を重ねる毎に減少している。これは、装置各所に配置されたパーティクル捕獲器にPb元素のみが付着していることを表し、かつ、次第にPb元素の付着量が増えていることを示している。Pb元素の付着量の増加はパーティクル捕獲器に堆積するパーティクル量が上述のように経時的に変化していることと関係していると考えられる。
次に、図12にパーティクル捕獲器無しの場合と、気化部、混合器、原料ガス・成膜ガス配管、ガスヘッドにパーティクル捕獲器を設置した場合と、基板毎にパーティクル捕獲器の洗浄を行った場合とについて、Pb/(Zr+Ti)比の組成変化を示す。
【0068】
図12から明らかなように、パーティクル捕獲器を設置しない場合と、気化部内部に気化部材及びパーティクル捕獲器を設置した場合とは、基板毎のPb/(Zr+Ti)比の減少が起こらない。しかし、混合器、原料ガス・成膜ガス配管、ガスヘッドとパーティクル捕獲器を増設していくごとに、基板毎のPb/(Zr+Ti)比の減少傾向が強く現れる。Pb元素は優先的にパーティクル捕獲器に捕獲される。これに対し、基板毎のパーティクル捕獲器洗浄を行うと幾分Pb/(Zr+Ti)比の減少傾向が抑えられる。このことから、薄膜組成制御の面でも、各箇所のパーティクル捕獲器の適用は、パーティクルがパーティクル捕獲器の鋼線を覆い尽くさぬように、すなわち、飽和しないように、定期的に又は随時パーティクル捕獲器のパーティクルを洗浄・除去する必要がある。
【0069】
また、装置各所に配置したパーティクル捕獲器の温度を上げることでPb元素の優先的付着を防ぐことが可能である。図13に気化部、混合器、原料ガス・成膜ガス配管、ガスヘッドにパーティクル捕獲器を設置し、各温度設定を10℃毎に挙げていった場合の基板毎のPb/(Zr+Ti)比の変化を示す。図13から明らかなように、パーティクル捕獲器の温度を上げるごとにPb/(Zr+Ti)の減少が少なくなり、パーティクル捕獲器の温度を20℃以上げた時点でPb/(Zr+Ti)比の減少が無くなる。
本実施例では装置各所の設定温度を210℃とした場合、装置各所及びパーティクル捕獲器の温度は205〜210℃であった。このことから、パーティクル捕獲器の温度を+20℃、つまり設定温度を230℃とした場合、パーティクル捕獲器の温度は225℃〜230℃となった。従って、気化部を除く装置各所のパーティクル捕獲器の温度を225℃以上とし、パーティクル捕獲器を定期的に又は随時に洗浄することで、パーティクル捕獲器へのPb元素の優先的付着を防ぎ、組成が安定した薄膜を再現性良く連続に成膜できる。
【0070】
ここで気化部内の気化部材とパーティクル捕獲器とについて言及する。
気化部内の気化部材とパーティクル捕獲器は気化するための最適温度に設定した。不十分な気化温度に設定すると、下流に対する影響が強すぎるために各影響が見えなくなるからである。液体原料を気化する箇所の設定温度を240℃とし、この時の気化部内の気化部材とパーティクル捕獲器との温度も十分な気化ができるよう240℃に設定した。パーティクル捕獲器の実温度は240〜245℃であった。従って、気化部内部の気化部材とパーティクル捕獲器とは、Pb元素の優先的付着が起こらない温度であった。しかし、図9の▲1▼の場合に見られるようにパーティクルが大幅に減少しているが、図12の▲1▼の場合に見られるようにPb/(Zr+Ti)比が減少傾向を示さない。パーティクルの捕獲量に対するPb/(Zr+Ti)比の変動傾向が他のパーティクル捕獲器とは異なる。これは、温度が240℃以上と高いことに加え、気化部の気化部材とパーティクル捕獲器とは、下流に流れる液滴の効率的気化に重点をおいた構造とし、パーティクル捕獲器で液粒が気化するという特異な条件によるところが大きい。
【0071】
更に、本実施例では顕著に表れなかったが、膜中のPb元素が減るということは、減った元素量に相当する膜厚が減少するということである。従って、組成変動は成膜レートの不安定にもつながる。本発明者らの他の検証において、Pb/(Zr+Ti)比が0.4減少すると膜厚が約10〜15nm減少し、原料ガスと反応ガスとの混合が支配的な膜厚分布には変化が無いことが確認されている(図示せず)。従って、装置各所のパーティクル捕獲器の温度を225℃以上とし、パーティクル捕獲器を定期的に又は随時に洗浄することでパーティクル捕獲器へのPb元素の優先的付着を防ぎ、膜厚が安定した薄膜を再現性良く連続に成膜できる。
【0072】
以上より、上記成膜例において、原料ガスと反応ガスとを均一に混合できる混合器を備え、かつ、この混合器が成膜初期と成膜終了時に膜質に影響しない配置構成とし、かつ、搬送時、成膜時、非成膜時に反応室内の圧力を一定に保ち膜剥れを抑制し、かつ、気化部内部の気化部材とパーティクル捕獲器とにより気化効率を上げて、気化部からのパーティクルの発生を抑制し、かつ、装置各所にパーティクル捕獲器を配置し、反応室に流れるパーティクルを抑え、かつ、このパーティクル捕獲器を洗浄可能な構造とし、かつ、このパーティクル捕獲器をの温度を配管温度よりも高くすることで組成変動と膜厚変動を抑えることができるため、膜厚分布・組成分布・成膜レートが良好かつ安定し、成膜ダストが少なく、連続成膜が安定して再現性良く行なえる。
【0073】
(実施例2)
実施例1と同様にBSTプロセスにおいても評価を行った。BSTの原料ガスと反応ガスである酸素ガス(O)とを混合する場合について、原料ガス等の種類及び設定流量を以下に示すようにして、図1に示した薄膜製造装置を用いてBST薄膜を製造した。
Figure 0004218942
【0074】
配置したパーティクル捕獲器は、以下の通りであった。
気化部内部パーティクル捕獲器 :粒径1.0μm用
混合器パーティクル捕獲器 :粒径0.5μm用
原料ガス・成膜ガス配管パーティクル捕獲器 :粒径0.5μm用
ガスヘッドパーティクル捕獲器 :粒径0.3μm用
成膜圧力は、圧力調整バルブと不活性ガスと反応ガスとにより常に8Torrに調圧した。
図1に示す半球型仕切り板を設けた混合器5内に、上記原料ガス及び反応ガスを、それぞれ、ガス導入管5−2及び5−3を経てガス導入口5−2a及び6−3aから混合器内へ導入して攪拌・混合・拡散し、混合器から反応室2内に成膜ガスを導入し、この反応室内で、MOCVD方法によって上記条件で基板上にBST薄膜を形成した。また、仕切り板を設けない混合器を用いて、同じ成膜プロセスを行った。その結果、本発明の場合、実施例1と同様の効果が得られた。
【0075】
(実施例3)
実施例1と同様にCuプロセスにおいても評価を行った。Cu薄膜の原料ガスと反応ガスである水素ガス(H)等の種類及び設定流量を以下に示すようにして、図1に示した薄膜製造装置を用いてCu薄膜を製造した。
Figure 0004218942
【0076】
配置したパーティクル捕獲器は、以下の通りであった。
気化部内部パーティクル捕獲器 :粒径5.0μm用
混合器パーティクル捕獲器 :粒径0.3μm用
原料ガス・成膜ガス配管パーティクル捕獲器 :粒径0.3μm用
ガスヘッドパーティクル捕獲器 :粒径0.1μm用
成膜圧力は、圧力調整バルブと不活性ガスと反応ガスとにより常に0.8Torrに調圧した。
図1に示す半球型仕切り板を設けた混合器5内に、上記原料ガス及び反応ガスを、それぞれ、ガス導入管5−2及び5−3を経てガス導入口5−2a及び6−3aから混合器内へ導入して攪拌・混合・拡散し、混合器から反応室2内に成膜ガスを導入し、この反応室内で、CVD方法によって上記条件で基板上にCu薄膜を形成した。また、仕切り板を設けない混合器を用いて、同じ成膜プロセスを行った。その結果、本発明の場合、実施例1と同様の効果が得られた。
【0077】
本発明の薄膜製造装置及び製造方法は、上記実施例の他に、液体原料を気化し原料ガスとして用いる全てのCVD成膜の場合に適用可能である。
本発明によれば、上記実施例の他に、液体原料を気化して原料ガスとして用い、質量差の有る原料ガスと反応ガスとを均一に混ぜることが可能であり、また、反応室圧力を原料元素に合わせた圧力とし、常に一定に維持可能であり、また、気化条件(気化温度、キャリアガス、気化圧力)を適切に設定すれば、原料液の種類に依らず原料液粒を効率良く気化することも可能であり、また、気化部を含む装置各所にパーティクル捕獲器の目の粗さを適切に選択したものを適宜配置することにより、反応室に流れ込むパーティクルを抑えることも可能であり、また、装置各所のパーティクル捕獲器の温度を原料に合わせた配管温度よりも高く適切な温度とすることで、反応に必要な特定の元素がパーティクル捕獲器に付着することを防ぐことも可能であり、さらに、この装置各所に配置したパーティクル捕獲器や装置各所の内部や配管が洗浄可能である。このため、液体原料を気化したガスと反応ガスとを成膜ガスとして用いるCVD法において、膜厚分布・組成分布・成膜レートが良好かつ安定し、成膜ダストが少なく、連続成膜が安定して再現性良く行なえる薄膜製造装置及びその製造方法を確立することが可能である。
【0078】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、CVD薄膜製造装置において、気化部、混合室、ガスヘッド及びガス配管に配置したパーティクル捕獲器により捕獲されたパーティクルや、ガス配管を含めて装置の各構成要素で発生しかつこれらに付着したパーティクルを洗浄・除去する構造としたことにより、装置各所のパーティクル捕獲器の寿命を延ばし、その結果、装置稼働時間を延ばすことができる。また、この洗浄によりパーティクル捕獲器に付着する反応に必要な特定元素の量を低減でき、その結果、膜組成変動や膜厚変動を抑えることができ、膜厚分布・組成分布・成膜レートが良好で安定し、成膜ダストが少なく、連続成膜が安定して再現性良く行える。
【0079】
本発明によれば、この洗浄による効果に加えて、原料ガスと反応ガスとを均一に混合できる混合器を備えているので、混合のための乱流を反応室に持ち込まず、膜厚分布とその再現性が向上し、また、この混合器が成膜初期と成膜終了時に膜質に影響しない装置構造・配置としたので、膜質とその再現性が向上する。さらに、このような構造において、搬送時、成膜時、非成膜時に反応室内の圧力を一定に保つことができるようにしたので、膜剥れを抑制し、装置の稼働時間を延ばし、パーティクルの発生を低減することができる。さらにまた、気化部内部の気化部材とパーティクル捕獲器とにより、気化効率を上げて気化部からのパーティクルの発生を抑制し、その下流に位置する装置各所のパーティクル捕獲器の寿命を延ばして、装置稼働時間を延ばすことができると共に、装置各所に配置したパーティクル捕獲器により、反応室に流れるパーティクルを抑え、製品に不具合を来す基板上のパーティクルを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の薄膜製造装置の構成を示す概略構成図。
【図2】 図1に示す本発明の薄膜製造装置における気化システムの概略構成図。
【図3】 図1に示す本発明の薄膜製造装置における気化部内部の概略構成図であり、(a)はその断面図、(b)はその斜視図。
【図4】 図1に示す本発明の薄膜製造装置における混合器の概略断面図。
【図5】 図4に示す混合器のガス分布とガス流れを説明するための図であり、(a)は混合器内の空間A部分の断面図、(b)は混合器の上面図。
【図6】 連続成膜における基板毎の総パーティクル数の推移を示すグラフ。
【図7】 本発明における反応室内の排気ガスの流れを説明するための反応室の一部の断面図であり、(a)は基板ステージが基板搬送位置にある場合の断面図、(b)は基板ステージが成膜位置にある場合の断面図。
【図8】 仕切り板が無い場合と有りの場合の成膜結果を示す基板上面図。
【図9】 各連続成膜における基板毎の総パーティクル数の推移を示すグラフ。
【図10】 混合器内部に設けられたパーティクル捕獲器の電顕写真であり、(a)はその表面状態を示す電顕写真、(b)はその拡大写真。
【図11】 気化部+混合器+原料ガス・ガス配管にパーティクル捕獲器設置した場合の総合影響による組成変化(Pb/(Zr+Ti)とZr/(Zr+Ti))を示すグラフ。
【図12】 各パーティクル捕獲器設置条件での組成変化(Pb/(Zr+Ti))を示すグラフ。
【図13】 気化部+ガス配管+混合器+ガスヘッドにパーティクル捕獲器を設置し、さらに基板毎の、パーティクル捕獲器を溶媒ガス洗浄した時におけるパーティクル捕獲器温度の組成(Pb/(Zr+Ti))への影響を示すグラフ。
【符号の説明】
1 排気システム 1a 圧力調整バルブ
2 反応室 2−1 基板ステージ
2−2 スリーブ部材 2−3 ガスリング
3 ガスヘッド 4 成膜ガス配管
5 混合器 5−1 仕切り板
5−2 原料ガス導入管 5−2a 原料ガス導入口
5−3 反応ガス導入管 5−3a 反応ガス導入口
5−4 ガス吹き出し口 5−5 成膜ガス導入口
6 原料ガス配管 7 気化システム
7a 原料液供給部 7b 気化部
7b−1 ノズル 7b−2、7b−3 気化部材
7b−4 パーティクル捕獲器 8 配管
9、13 熱交換器 10、11、12 配管
20、21、22、23 マスフローコントローラ
20−1、21−1、22−1、23−1 反応ガス/不活性ガス源
A、B、C 原料液 D 溶媒供給部

Claims (12)

  1. 液体または固体の原料を溶媒に溶解させた原料液を供給する原料供給部及び気化部を有する気化システムと混合器と反応室と排気システムとを備えた膜製造装置において、
    該気化システムと混合器と反応室と排気システムとのそれぞれが配管で接続されて配置されていること、
    該気化部の内部に温度制御された気化部材を設けたこと、
    該混合器に原料ガス及び反応ガス導入用配管をそれぞれのガス導入口が互いに対向するように設け、その内部に下流側に向かって凸状になっている2次曲線形状を有する仕切り板を設けて混合器内を2つの空間に仕切り、該仕切り板のうち上流側の天井部分から下流側の底部までの鉛直距離の1/2に相当する位置にガス吹き出し口を設けて、該原料ガスと反応ガスとが該混合器内で均一に混合され、得られる成膜ガスが配管を介して該混合器から該反応室のガスヘッドへと導入されるように構成したこと、
    該反応室と該排気システムとの間に圧力調整バルブを設けたこと、
    装置の所定の箇所にパーティクル捕獲器を配置したこと、
    上記気化部内で気化させた溶媒ガスを配管に流して、該気化部から該反応室までの装置各所で発生しかつ装置各所に付着したパーティクルを洗浄・除去できるように、該原料液供給部に、パーティクル洗浄・除去用の溶媒であって上記原料を溶解する溶媒と同一のものを供給する溶媒供給部を設けたことを特徴とする膜製造装置。
  2. 上記気化部の内部に、原料液が気化した際に発生するパーティクルを捕獲するパーティクル捕獲器を備え、
    該気化部内から混合器を経て反応室内に至るまでのガス経路で発生するパーティクルを捕獲するために、装置の所定の箇所にパーティクル捕獲器を配置したことを特徴とする請求項1記載の膜製造装置。
  3. 上記パーティクル捕獲器が該気化部と混合器との間の配管に配置されていることを特徴とする請求項2記載の膜製造装置。
  4. 上記パーティクル捕獲器が該混合器内に配置されていることを特徴とする請求項2記載の膜製造装置。
  5. 上記パーティクル捕獲器が該反応室の上部に設置したガスヘッド内に配置されていることを特徴とする請求項2記載の膜製造装置。
  6. 上記各パーティクル捕獲器に捕獲されたパーティクルを上記気化部内で気化させた溶媒ガスを流して洗浄・除去するように構成したことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の膜製造装置。
  7. 上記成膜ガスの反応室への導入/非導入時に反応室内の圧力が変動しないように、該反応室と排気システムとの間に設けた圧力調整バルブによる常時の圧力制御と同時に、非成膜時にも成膜時と同量のガスを流せる構造とし、そして混合器の2次側に不活性ガス源と反応ガス源とを流量制御システムと共に接続し、不活性ガス又は反応ガス又は任意の比率の不活性ガスと反応ガスとの混合ガスを反応室に導入できるようにして、該反応室内の圧力制御ができる構造としたことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の膜製造装置。
  8. 装置待機連続成膜とを繰り返す当該膜製造装置の生産運用サイクルにおいて、上記圧力調整バルブによる圧力制御と、上記不活性ガス又は反応ガス又は任意の比率の不活性ガスと反応ガスを反応室に導入することによる圧力制御とを連続して行うことができる構造 したことを特徴とする請求項に記載の膜製造装置。
  9. 上記反応室と、不活性ガス源及び反応ガス源とを流量制御システムを介在させて接続し、不活性ガス又は反応ガス又を任意の比率の不活性ガスと反応ガスとの混合ガスを反応室へ直接導入しながら、加熱手段により基板が昇温できるように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の膜製造装置。
  10. 上記混合器に通じる反応ガスの配管と、反応ガス源及び不活性ガス源とを流量制御システムを介在させて接続し、該混合器内にて、不活性ガス又は反応ガス又は任意の比率の不活性ガスと反応ガスとの混合ガスを気化部で気化させた原料ガスと混合できるように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の膜製造装置。
  11. 上記成膜ガスの反応室への導入/非導入のバルブを混合器の2次側に配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の膜製造装置。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の膜製造装置を用いて膜を製造する方法であって、原料ガスと反応ガスとを攪拌・混合する工程と、該攪拌・混合されて得られた原料ガスと反応ガスとからなる成膜ガスを拡散させる工程と、パーティクルのほとんどない該拡散された成膜ガスを反応室へ導入して、真空中で成膜対象物上に膜を形成する工程と、該気化部内から反応室の上部に設けられたガスヘッド内までの装置各所に付着し又は捕獲されたパーティクルを原料液の溶媒と同じ溶媒のガスにより洗浄・除去する工程とを有することを特徴とする膜製造方法。
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