JP3809391B2 - 薄膜形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜形成装置、特に、有機金属気相成長(MOCVD)法を実施するためのCVD装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体素子に対する高い集積化の要求を満足するためには、CVD法により薄膜形成を行う際に、原料ガス中に含まれる異物微粒子や水分等を含む微少パーティクルをできるだけ少なくすることが必要である。従来から、例えば、これらのパーティクルをpptレベルまで除去するために、原料ガスを高い濾過特性を有するフィルター部材を通した後に、真空チャンバ(反応室)内へ導入することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
MOCVD法によって薄膜を形成する場合、一般に、気化した原料ガスと反応ガスとからなる混合ガス(以下、「成膜ガス」とも称す。)を反応室である真空チャンバ内に導入し、チャンバ内に配設されたステージ上に載置した基板上で気相化学反応により成膜する。該真空チャンバの上面には、ステージに対向してシャワープレートのようなガスヘッドが配設され、このガスヘッドにはガス混合室が付設されている。成膜時に、混合室に供給された原料ガスと反応ガスとは、所定の混合比の混合ガスとして、ガスヘッドを介して所定の真空度に排気された真空チャンバ内に導入され、基板上での化学反応により薄膜が形成される。
【0004】
この場合、基板上に均一な膜質及び膜厚分布を有する薄膜を形成するためには、真空チャンバ内や基板の直上における成膜ガスの均一な流れ分布、均一な濃度分布及び均一な温度分布が必要であると共に、成膜ガス、特に原料ガス中に含まれる微少パーティクルが少なければ少ないほどよい。
しかし、MOCVD法により薄膜を形成する際に、上記従来技術におけるように、原料ガスをフィルターを通してから反応室内へ導入したとしても、フィルターを通しただけでは、パーティクルは完全には除去されないという問題や、その際のフィルター寿命が短いという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、上記したような従来技術の問題点を解決することにあり、パーティクルが生ずることなくMOCVD法を有効に実施することのできる薄膜形成装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の薄膜形成装置によれば、内部に基板が載置されるステージを設けた真空チャンバを備え、該ステージに対向して該真空チャンバ上面に原料ガスと反応ガスとの混合ガスを真空チャンバ内に導入するためのガスヘッド、及び該ガスヘッドに接続して該混合ガスを生成するための混合室を配設し、さらに、該原料ガス用気化器( 以下、気化室とも称す )を設けた薄膜形成装置において、該気化器と該混合室との間、及び該混合室の下流側で該ガスヘッドの近傍に、それぞれ、温度コントロール可能なパーティクルトラップが配設されており、該混合室は、原料ガス導入管及び反応ガス導入管を備えた攪拌室と、該原料ガス及び反応ガスを攪拌・混合して得た混合ガスを拡散させる拡散室とを有し、該原料ガス導入管及び反応ガス導入管のそれぞれのガス導入口が互いに対向するようにして設けられており、該攪拌室と該拡散室との間に、該攪拌室の容積よりも該拡散室の容積の方が大きくなるように仕切り板が設けられ、該仕切り板には、該それぞれのガス導入口を結ぶ直線の鉛直方向下側の所定位置に一つのガス吹き出し口が設けられ、該ガス吹き出し口を介して該混合ガスが該攪拌室から該拡散室へと拡散されるように構成されていることを特徴とする。このように構成することにより、真空チャンバ内に導入される原料ガス中にパーティクルがほとんど含まれなくなり、良好な膜質を有する薄膜を形成することができる装置となる。
【0007】
また、上記のような混合室を用いれば、攪拌室で攪拌・混合されて得られた混合ガスを仕切り板の所定の位置に設けられた一つのガス吹き出し口から拡散室へ拡散させるようにしてあるので、導入されるガスの分子量が大きく異なる場合であっても、容積の大きな混合室を用いることなく、複数のガスを均一に混合することができる。したがって、分子量の大きく異なる複数のガスを混合する際に、その流量や種類によって混合室の容積を変える必要がない。そのため、混合室と次の工程の真空チャンバとを無駄なく直結することができるので、混合ガスを次の工程で使用する際に、均一に混合されたガスが再び乱流に戻るということはない。混合室の攪拌室に導入された各ガスが、以下述べるような形状を有する仕切り板の表面等に沿って移動することで対流が生じ、その結果、攪拌室内において、導入された混合ガスを効率良く確実に均一に攪拌・混合することが可能になる。また、上記ガス吹き出し口の位置及び大きさを調整することによって、導入された各ガスを最適の状態で攪拌・混合することができ、その結果、均一な混合ガスとして拡散室へ導入することが可能になる。
【0008】
この混合室の攪拌室において攪拌・混合された混合ガスが拡散室に導入される際に、攪拌室と拡散室との容積の差に起因する拡散現象によって自然に拡散されるため、また、その後、拡散室から均一に混合された混合ガスを効率よく真空チャンバ内に導入することができるため、混合ガスが乱流となることはない。したがって、原料ガス及び反応ガスの流量、種類によって容積が左右されない混合室内で、低い圧力でそれらのガスを均一に混合し、均一に混合した混合ガスを直結された真空チャンバ内にガスヘッドを介して導入することにより、混合ガスの乱流を抑え、成膜対象物上に形成する薄膜の膜質、膜厚分布を向上、安定化させることができる。
【0009】
上記薄膜形成装置において、該温度コントロール可能なパーティクルトラップの少なくとも一つの設定温度を、該気化器内で原料ガスを得る際の気化温度及び原料ガスを流す配管の温度よりも5〜80℃低く設定するように構成した。このように、パーティクルトラップの設定温度を気化温度や配管温度よりも低く設定することにより、原料に混入又は気化時に生成の可能性がある、原料化合物よりも蒸気圧の低い不純物や分解物を除去することができる。この温度範囲を外れると、不純物や分解物の除去が困難になる
【0010】
上記気化器と該混合室との間に配設したパーティクルトラップが慣性集塵式スクリーンからなり、また、該混合室の下流側で該ガスヘッドの近傍に配設したパーティクルトラップが多孔体フィルターからなることを特徴とする。この多孔体フィルターは、金属燒結フィルターであることが好ましい
【0011】
上記慣性集塵式スクリーンが、気体をほぼ45度の傾斜角を持って導入する多数の透孔を同一方向に穴開けした網目状集塵スクリーン板からなり、該集塵式スクリーンが該集塵スクリーン板を複数枚積層したものである場合は、互いに隣接するスクリーン板のそれぞれの透孔の傾斜角の方向が交互に90度交差した状態に構成されていることが好ましい。
パーティクルトラップを上記のように構成することにより、圧力損失が小さく、捕集量が大きく、目詰まりもなく、乾式/湿式のパーティクルを捕集することができので、混合室内に導入される原料ガス、ひいては真空チャンバ内に導入される混合ガス中にはパーティクルがほとんど存在しない。また、金属燒結フィルタのような多孔体フィルターの寿命も延びる。
【0012】
上記仕切り板は、混合室の底部に対して凸状の2次曲線形状を有するものであることが好ましい。このように、所定の曲面形状を有する仕切り板を混合室内に配設するだけで、極めて簡単な構成の所望の混合室が得られる。また、この混合室では、ガス吹き出し口は、その位置及び大きさを適宜設定することによって攪拌室と拡散室との間に圧力差を設け、それにより攪拌室内に生じる強烈な対流により重量の異なるガスを均一に混合し、混合ガスが攪拌室から広い空間を有する拡散室内に拡散されるように構成されている。例えば、上記仕切り板の周縁部分からその底部までの鉛直距離の1/2に相当する位置に設けられていることが好ましい。これにより、均一に混合された混合ガスが効率よく攪拌室から拡散室へと拡散され得る。
【0013】
請求項記載の本発明の薄膜形成装置によれば、パーティクルトラップを配設することに加え、上記ステージの周囲を所定の長さを有する円筒形状のスリーブ部材で囲い、該スリーブ部材と真空チャンバ内壁面との間の間隙を介して、排ガスが該ガスヘッドとステージとが形成する第1空間内で対流することなく該第1空間から排気されるように、真空排気手段が接続されたステージ下方の第2空間の容積が第1空間の容積より大きくなる位置にステージの高さ位置を設定したことを特徴とする。上記真空チャンバの内壁面に沿って不活性ガスを該真空チャンバ内に均等に導入するガスリングを真空チャンバの上面に設けることが好ましい。また、該スリーブ部材と真空チャンバ内壁面との間の間隙を10mm以上(好ましくは、10〜17mm)に設定し、また、該スリーブ部材の高さ寸法を70mm以上に設定することが好ましい。該間隙、高さ寸法をこのような範囲に設定すれば、膜厚分布を所望の値以内に維持することができる。
【0014】
上記のように構成することにより、混合室内に導入される原料ガス中、ひいては真空チャンバ内に導入される混合ガス中にパーティクルがほとんど含まれなくなると共に、基板の直上における混合ガスの均一な流れ分布、均一な濃度分布及び均一な温度分布が達成でき、その結果、基板上に均一な膜質及び膜厚分布を有する薄膜を形成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる薄膜形成装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本発明の薄膜形成装置は、例えば、図1に示すように、気化器1と、網目状集塵スクリーン2と、混合室3とを、所定の温度、例えば、180〜260℃に保温された配管で連結してなり、混合室3には原料ガス用配管4及び反応ガス用配管(図示せず)の一端が接続されている。この原料ガス用配管4の他端は気化器1に接続され、有機溶媒で希釈した有機金属を気化して得た原料ガスを集塵式スクリーン2を経て混合室内に導入できるようになっている。混合室3からの混合ガスは付設されたガスヘッドを介して真空チャンバ内へと導入される。この混合室3の下流側でガスヘッドの近傍には、多孔体フィルター(図示せず)(以下、金属燒結フィルターを例にとり説明する。)が配設され、混合ガスをさらに濾過できるようになっている。この金属燒結フィルターは、メッシュサイズの異なる複数のフィルターを直接ないしはスペーサーを挟んで重ねて使用しても良い。
【0016】
網目状集塵式スクリーン2は、気化器1と混合室3との間に配設され、原料ガス中のパーティクルを除去するための温度コントロール可能なパーティクルトラップとして機能する構成を有するものであればよい。例えば、この集塵式スクリーン2は、気体をほぼ45度の傾斜角を持って導入する多数の透孔を同一方向に穴開けした網目状集塵スクリーン板からなり、この集塵式スクリーンが該集塵スクリーン板を複数枚積層したものである場合は、互いに隣接するスクリーン板のそれぞれの透孔の傾斜角の方向は交互に90度交差した状態に構成されていることが好ましい。このような集塵スクリーン板として、例えば、株式会社布引製作所製のパイロ・スクリーン(登録商標)等を使用することができる。
また、原料ガス用配管4にはヒータ等の加熱手段4aが設けられていることが好ましい。
【0017】
図1に示す集塵式スクリーン2は、例えば、図2(a)及び(b)に示すように配置・構成されたパーティクルトラップであり、ヒータ等の加熱手段Hにより、配管とは独立した温度コントロールが可能なように構成されている。
このパーティクルトラップの配置・構成は、パーティクルを捕集可能なものであれば特に制限はなく、例えば、図2(a)に示すように、気化器からの原料ガスを導入するための入口20から排出するための出口21へと向かう方向に対して、すなわち原料ガスの流れ方向に対して鉛直方向にスクリーン板22が平行に複数枚積層されている。このスクリーン板22が捕集されたパーティクルで汚れた場合、洗浄のために、上方から溶剤23を流し、この溶剤を下方から排出(ドレイン24)できるように構成されていることが好ましい。
【0018】
また、図2(b)に示すように、気化器からの原料ガスを下方の入口20から導入して上方の出口21から排出するように構成してもよい。この場合、スクリーン板22は、原料ガスの流れ方向に対して鉛直方向に平行に複数枚積層されている。このスクリーン板22が捕集されたパーティクルで汚れた場合、洗浄のために、上方から溶剤23を流し、この溶剤を下方から排出(ドレイン24)できるように構成されていることが好ましい。なお、積層されたスクリーン板の最上層の上で出口21の手前にフィールター25を設けてもよい。
【0019】
上記集塵式スクリーンの材質については、原料ガスに対する耐食性や機械的特性及び耐熱性(300℃程度)等を考慮して決められる。例えば、ニッケルやその合金(例えば、ハステロイ(登録商標)、インコネル(登録商標)等)、ステンレス鋼(316、316L等)、アルミニウム、チタン、セラミックス等から選択され得る。
【0020】
本発明ではまた、図3に示すように、有機溶媒で希釈した有機金属を気化して得た原料ガスと酸素ガス等の反応ガスとを混合する混合室の下方に、混合ガスを真空チャンバ内の基板上に向かって導入するためのシャワープレートのようなガスヘッドが配設されている。この混合室の下流側でガスヘッドの近傍にパーティクルトラップとして、少なくとも一つの金属燒結フィルターが配設されており、このフィルターは温度コントロールができるようになっている。この金属燒結フィルターは、上記集塵式スクリーンによる原料ガスからのパーティクル除去に加えて、真空チャンバ内の基板上に向かって導入される混合ガス中に存在するパーティクルをさらに除去し、良好な膜質を有する薄膜を形成しようとするものである。この金属燒結フィルターはいわゆる多孔体のフィルターであるが、使用温度領域、使用するガス種によっては、金属燒結フィルターの他にセラミックス、石英、フルオロカーボン(樹脂)等の多孔体材からなるフィルターであっても良い。
なお、上記金属燒結フィルターは、外部からの加熱ないしはフィルターサポートの加熱により温度コントロールがなされ、配管温度よりも高温に設定することも可能である。
【0021】
例えば、図3(a)に示す薄膜形成装置では、真空チャンバ30に接続して設けた混合室31の攪拌室31aの上部に気化器(図示せず)からの原料ガス用配管32及び反応ガス源からの反応ガス用配管33が設けられ、攪拌室で得られた混合ガスを拡散室31bへ拡散せしめ、拡散室31bからガスヘッド34を経て真空チャンバ内へ混合ガスを導入せしめるように構成されている。この混合室31の下流側には、固定治具により取り付けられた支持部材35上に、板状の金属燒結フィルター36が取り付けられている。このフィルター36は、図示されていないがヒータ等の加熱手段で加熱しても良い。また、フィルターの濾過面積を増やすために、板状に加工したプリーツ式金属燒結フィルターを取り付けても良い。
【0022】
また、図3(b)に示す薄膜形成装置では、図3(a)の場合と同様に、真空チャンバ30に接続して設けた混合室31の攪拌室31aの上部に気化器(図示せず)からの原料ガス用配管32及び反応ガス源からの反応ガス用配管33が設けられ、攪拌室で得られた混合ガスを拡散室31bへ拡散せしめ、拡散室31bからガスヘッド34を経て真空チャンバ内へ混合ガスを導入せしめるように構成されている。この混合室31内には、円筒式のプリーツ式金属燒結フィルター37が取り付けられている。このフィルター37は、図示されていないがヒータ等の加熱手段で加熱しても良い。
上記金属燒結フィルタの材質については、原料ガスや反応ガスに対する耐食性や機械的特性及び耐熱性を考慮して決められる。例えば、ニッケルやその合金(例えば、ハステロイ(登録商標)、インコネル(登録商標)等)やステンレス鋼(316、316L等)等の金属細線燒結体等から選択され得る。フィルター形状は、板状でも、筒状でも良く、濾過面積を増やすために、プリーツ状(波うたせて)に加工したものでも良い。また、異なるメッシュサイズの複数のフィルターを組み合わせたものでも良い。
例えば、日本精線株式会社製のステンレス鋼繊維からなるフィルターを使用することができる。
【0023】
本発明によれば、集塵式スクリーン及び金属燒結フィルターからなるパーティクルトラップを上記のように配置することにより、圧力損失が小さく、捕集量が大きく、目詰まりもなく、乾式/湿式のパーティクルを効率的に捕集することができるので、真空チャンバ内に導入される混合ガス中にはパーティクルがほとんど存在しない。また、金属燒結フィルター寿命もフィルターのみを配設した場合と比べて延びる。
【0024】
次に、本発明の薄膜形成装置で用いる混合室の一実施の形態を図4を参照して説明する。
図4は混合室の内部構成を模式的に示す断面図であり、図5(a)は、図4の混合室内の撹拌室の内部構成を模式的に示す断面図であり、図5(b)は、図5(a)の模式的上面図である。図4及び5において、同じ構成要素は同じ参照符号で示す。なお、図5(a)及び(b)において、実線及び点線、並びに一点鎖線及び二点鎖線の矢印線は、それぞれ、反応ガス流及び原料ガス流のコンピューターシミュレーションによる流体解析結果の傾向を、それぞれのガスの流れとガス分布とに関して例示するものである。
【0025】
図4に示すように、混合室41は、所定の大きさの中空円筒形状を有し、撹拌室42、拡散室43、及び撹拌室と拡散室との間を仕切るための仕切り板44から構成されており、得られた成膜ガスを用いて次の処理を行うための真空チャンバと直接に結合されている。撹拌室42の上方部分には、少なくとも1種の原料ガスを導入するための原料ガス導入管45、及び反応ガス導入管46が取り付けられ、そのガス導入口45a及び46aが互いに対向するように配置されている。仕切り板44には、混合された原料ガスと反応ガスとからなる成膜ガスを撹拌室42から拡散室43へ効率よく導入するために、ガス導入口45aと46aとを結ぶ直線の鉛直方向下側で、仕切り板44の周縁部分からその底部までの鉛直距離の1/2程度に相当する位置に所定の大きさの一つのガス吹き出し口47が設けられている。
【0026】
これらの原料ガス導入管45及び反応ガス導入管46は、図4、図5(a)及び図5(b)に示すように、混合室41の上側壁面に、仕切り板44の中央部分(変曲点近傍)に対応する位置で、仕切り板44の中心点に対して点対称の位置に取り付けられ、ガス導入口45aと46aとは上記したようにそのガス導入方向が対向するように配置される。
上記混合室においては、仕切り板44は、2次曲線形状の凹面状仕切面を有する半球形状に形成されたものであり、原料ガス導入管45及び反応ガス導入管46が取り付けられた混合室の上方壁面側にその周縁が隙間のないように取り付けられている。
【0027】
上記したように、混合室41の内部は、仕切り板44によって、攪拌室42と拡散室43とに仕切られ、拡散室43の容積が攪拌室42の容積よりも大きくなるように構成されている。上記混合室の場合、攪拌室42の容積と拡散室43の容積との比は特に限定されないが、攪拌・混合と拡散とを満足に行うという観点からは、通常、1:5〜1:2程度とすることが好ましい。
【0028】
上記のように構成された混合室においては、これに直結された真空チャンバ内を真空にした状態で、原料ガス導入管45及び反応ガス導入管46から、それぞれ、ガス導入口45a及び46aを介して、少なくとも1種の原料ガスと反応ガスとを混合室41の攪拌室42内に導入する。これにより、図5(a)及び(b)に示すように、攪拌室42内において、原料ガス流が反応ガス流により分断され、かつ仕切り板44の表面では両ガスとも板44に沿って流れ、その結果、対流が発生して原料ガスと反応ガスとが攪拌され、混合される。次いで、図4に示すように、この混合された原料ガスと反応ガスとからなる成膜ガスは、ガス吹き出し口47を介して拡散室43内に円滑に導入され、拡散される。上記したように攪拌室42の容積より拡散室43の容積の方が大きいため、成膜ガスは、攪拌室42から拡散室43内に導入される際に、その容積の差によって拡散現象が起こり、均一な混合ガス流として導入され、拡散される。
【0029】
上記混合室を備えた薄膜形成装置は、真空排気システムに接続された真空チャンバを有し、この真空チャンバ内には、成膜対象物である基板を支持するためのウェハステージが配設されている。真空チャンバの上面にはガスヘッドが設けられ、このガスヘッドは、真空チャンバの上部に取り付けられた混合室に直接接続されている。そして、この混合室は、原料ガスの気化システムにパーティクルトラップとしての集塵式スクリーンを介して連結されるとともに、反応ガス源にも連結されている。上記のようにして均一に混合された成膜ガスは、混合室に隣接配置され、直接接続されたガスヘツドに対して最短距離で導入され、真空チャンバ内において乱流になることなくウェハステージ上に載置された成膜対象物表面に供給される。
【0030】
上記したような混合室によれば、原料ガスと反応ガスとを攪拌室42において攪拌・混合した後、この攪拌・混合されて得られた成膜ガスを拡散室43において拡散させるようにしたことから、原料ガスと反応ガスとの分子量が大きく異なる場合であっても、原料ガスと反応ガスとを均一に混合することができ、従来のように容積の大きな混合室を用いる必要がない。したがって、成膜ガスの流量や種類によって混合室の容積が左右されることはなく、混合室と真空チャンバとを直結することができるので、均一に混合された成膜ガスが再び乱流になることはない。
【0031】
上記混合室を使用する場合、仕切り板44に設けられたガス吹き出し口47は、図4、図5(a)及び図5(b)に示すように、原料ガス導入管45の近傍に設けられており、この部分で激しく対流する成膜ガスは、ガス吹き出し口47を介して円滑に拡散室43内に導入される。なお、仕切り板44に設けられたガス吹き出し口47は、反応ガス導入管46の近傍に設けられていても良い。そして、上記したように、攪拌室42の容積より拡散室43の容積の方が大きいため、成膜ガスが攪拌室42から拡散室43内に導入される際に、その容積の差によって拡散現象が起こり、均一に混合される。この均一に混合された成膜ガスは、隣接配置され、直接接続されたガスヘツドに対して最短距離で導入され、真空チャンバ内において乱流になることなく基板に供給される。
【0032】
上記した本発明の薄膜形成装置は、特定形状の仕切板が配設された混合室を備えているため、また、混合室の攪拌室において攪拌・混合されて得られる成膜ガスが拡散室に導入される際に、攪拌室と拡散室との容積の差に起因する拡散現象によって自然に拡散されるため、さらには、上記したようなパーティクルトラップが配設されているため、この薄膜製造装置を用いれば、非常に簡単な構成で良好な膜質を有する薄膜を形成することができる。すなわち、パーティクルがほとんどなく、かつ、均一に混合されている成膜ガスを真空チャンバ内に直接導入することができるため、成膜ガスが乱流となることはなく、形成される薄膜の膜質及び膜厚分布を向上及び安定化させることが可能になる。
【0033】
本発明おいては、上記実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。例えば、仕切り板について、上記においては、半球形状の仕切り板を用いたが、この仕切り板の曲率、形状(例えば、円柱形状、立方体形状、円錐形状)、大きさ等は、使用するガスの種類やプロセスに応じて適宜設計変更することが可能である。また、仕切り板に設けられるガス吹き出し口の位置や形状についても、原料ガスと反応ガスが攪拌・混合された後に拡散室に均一に導入されるように構成されている限り、プロセスに応じて適宜設計変更することができる。上記したように、攪拌室内のガスが激しく対流する部分の近傍にガス吹き出し口を設けるようにすれば、成膜ガスを円滑に拡散室内に導入することができる。例えば、原料ガスの導入口と反応ガスの導入口とを結ぶ直線の中心点からその直線の上下方向に45°以内の範囲内にガス吹き出し口を設ければ、両ガスを均一に混合し、円滑に拡散室内に導入することが可能である。
【0034】
上記においては、仕切り板を混合室のガス導入側壁面に対して隙間が生じないように設けたが、成膜ガスが十分に攪拌・混合される限り、仕切り板周縁部と混合室のガス導入側壁面との間に隙間を設けるようにすることも可能である。
また、上記では、それぞれ1つの攪拌室と拡散室を設けた場合を例にとって説明したが、2つ以上の攪拌室と拡散室を設けて成膜ガスの混合を行うようにすることも可能である。
さらに、目的とする混合状態の程度によっては、拡散室を設けずに、攪拌室から成膜ガスを直接に真空チャンバに導入して、反応を行わせることも可能である。
【0035】
上記した混合室は、MOCVD法において、常温で液体である原料を用いる場合に、格別な効果がある。というのは、常温で液体である原料は、気化しても重いからである。
上記した薄膜形成装置を用いれば、原料源としてPt、Ir、Ru等を用いて電極膜、また、Ti、Ta、Al等の原料を用いて窒化物膜や酸化物膜からなるバリア膜等を形成することができる。また、形成される薄膜の膜特性をさらに改善するために、添加材(原料源)として、La(DPM)、Sr(DPM)、Ca(DPM)等を使用することもできる。
【0036】
次に、上記したようなパーティクルトラップ及び混合室を備えた薄膜形成装置を用い、強誘電体であるPZTの原料ガスと反応ガスである酸素ガス(O)とを適宜選択して、PZT薄膜を形成せしめる。
Figure 0003809391
【0037】
真空チャンバ内の圧力を6Torrに調圧する。この時の混合室の拡散室内の圧力は13Torrであり、原料ガスの気化部の圧力は18Torrである。一般に液体原料の安定気化は30Torr以下が望ましいため、十分にその要件を満足している。
【0038】
まず、図4に示す半球型仕切り板44を設けた混合室41内に、上記原料ガス及び反応ガスを、それぞれ、ガス導入管45及び46を経てガス導入口45a及び46aから混合室内へ導入して攪拌・混合・拡散し、混合室41から真空チャンバ内に成膜ガスを導入し、この真空チャンバ内で、MOCVD方法によって通常の条件で基板上にPZT薄膜を形成する。真空チャンバ内に導入された成膜ガス中にはパーティクルは含まれていない。かくして形成された薄膜の膜厚分布の概略を図6(a)に示す。図中、60は基板、61は膜厚の厚い部分、62は膜厚の薄い部分を示す。この図から明らかなように、混合室内に仕切り板44を設けたものを使用した場合は、基板60上に形成された膜の厚さが均一であり、良好な膜質を有する膜を連続的に形成することができる。この時の膜厚分布は±1.2%であり、デバイス製作上の観点から半導体チップの歩留まりを上げるために必要な±3%以下を充分に満足する。この結果は、所定の仕切り板44を設けたことにより、撹拌室42及び拡散室43での対流・撹拌・混合・拡散が効率よく行われ、原料ガスと反応ガスとが均一に混合され、均一な厚さを有する薄膜が形成されたことを示している。
【0039】
本発明の上記パーティクルトラップを備えているが、上記仕切り板を有しない従来型の混合室を用い、混合室内に上記と同じ原料ガス及び反応ガスを導入して混合・拡散し、MOCVD方法によって薄膜を形成する。かくして形成された薄膜の膜厚分布の概略を図6(b)に示す。図中、符号60、61、62は図6(a)の場合と同じである。この場合、基板60上に形成された膜の厚さの厚い部分61は反応ガス導入口側に偏っており、薄い部分62は原料ガス導入口側に偏っている。また、混合室内の空間(仕切り板を設けた場合の撹拌室と拡散室とを合わした空間)において、その空間の底では、各導入口の位置に対する各ガス濃度の比較的濃い領域の反転現象が起こり、成膜ガス排出口からガスヘッドまでその反転現象を引きずったまま層流となり、基板へその濃度分布が転写されたものと推察される。この時の膜厚分布は±6.3%であり、デバイス製作上の観点から半導体チップの歩留まりを上げるために必要な±3%以下の倍以上であり、好ましくない。
【0040】
上記PZTの原料ガスとして、Zr(DPM)/THFの代わりにZr(DMHD)/THFを用いて、また、BSTの原料ガスと反応ガスとを用いて、上記方法を繰り返す。ここで、DMHDはジメチルヘプタジオナト、CH13Oを意味する。両者とも、形成された薄膜の膜質も膜厚分布も上記と同じ傾向が得られ、本発明の薄膜製造装置を用いれば、パーテイクルのない成膜ガスを用いて、効率よく均一な膜厚分布を有する薄膜を連続的に製造することができる。膜厚分布は±3%を充分に満足する。
【0041】
次いで、本発明の薄膜形成装置に係わる別の実施の形態について、図7、図8(a)及び図8(b)を参照して説明する。
図7において、薄膜形成装置70は円筒形状の真空チャンバ71を有している。該真空チャンバ71の内部には、シリコンウェハー等の基板が載置される円筒形状のステージ72が設けられている。ステージ72には基板を加熱するための加熱手段(図示せず)が組み込まれている。また、ステージ72を、真空チャンバ71の成膜位置と真空チャンバ下方の基板搬送位置との間で昇降自在に構成するための手段を備えている。
【0042】
真空チャンバ71の下方には2個所の排気ポート73が設けられ、排気ポート73には、ターボ分子ポンプ、ロータリポンプ等の真空ポンプから構成される真空排気手段74が排気管75を介して接続されている。真空チャンバ71上側の中央部には、ステージ72に対向してガスヘッド76が設けられている。
【0043】
ガスヘッド76の上流側には混合室77が設けられ、該混合室77には、一端が気化室78に接続された原料ガス用配管79の他端及び一端がガス源に接続された反応ガス用配管80の他端がそれぞれ接続されている。そして、図7に示す薄膜形成装置においては、図2に示す集塵式スクリーンである集塵式スクリーン81が混合室77と気化室78との間に設けられ、また、図3に示す金属燒結フィルターである金属燒結フィルター82が混合室77の下流側でガスヘッド76の近傍に設けられている。このように構成することにより、混合室77に原料ガスと反応ガスとをマスフローコントローラ(図示せず)により流量制御して供給し、該混合室77で所定の混合比に均一に混合され、パーティクルの除去された混合ガスがガスヘッド76から基板の中央部に向かって噴出される。すなわち、原料ガスは、気化室78から集塵式スクリーン81を経て混合室77へ導入され、また、混合ガスは、金属燒結フィルター82を経て、混合室77からガスヘッド76を介して真空チャンバ71内へ導入される。
【0044】
ところで、MOCVD法により基板上に薄膜を形成する場合、原料ガスが気化温度以下に低下する場合、原料ガスがパーティクルとして析出し、真空チャンバ71内での成膜ダストの原因ともなる。このため、原料ガス用配管79に、温度調節手段である熱交換器(図示せず)を設けてもよい。また、原料ガスの析出を防止するため、真空チャンバ71の外壁やステージ72にヒータのような加熱手段を設けてもよい。
ここで、MOCVDプロセスにおいて基板上の薄膜の膜厚分布及び組成分布を均一にすると共にその再現性を高めるには、基板の周囲から、プロセスに寄与しない混合ガス等を含む排ガスを等方排気してガスヘッド76から真空排気手段74までのガス流を均一にすることが重要になる。このため、特に、ガスヘッド76下方であってステージ72上方の第1空間71aでの対流、乱流の発生を防止する必要がある。
【0045】
そのため、所定の高さ寸法Lを有するスリーブ部材83でステージ72の周囲を囲うこととする。この場合、スリーブ部材83と真空チャンバ71内壁面とが形成する環状の間隙(r)を介して排ガスが等方排気されるように、ステージ下側の第2空間71bの容積を第1空間71aより大きく設定する。MOCVDプロセスに応じて圧力条件が変更可能であるように、排気管75に圧力調節バルブ75aを設けてもよい。
【0046】
上記したように、基板を所定の温度まで加熱するためにステージ72に加熱手段を組み込んだ場合、基板の上方で熱対流が発生し得る。そこで、真空チャンバ71の内壁面に沿って不活性ガスを真空チャンバ71内に均等に導入するガスリング84を、ガスヘッド76を囲うように真空チャンバ71の上部に設ける。ガスリング84から噴射される不活性ガスの強制的な整流作用により、スリーブ部材83と真空チャンバ71の内壁面との間の間隙を通過して第2空間71bに排気される排ガスを、スリーブ部材83の周囲からより確実に等方排気ができるようになる。これにより、第1空間での乱流、対流及び熱対流を防止できる。なお、ステージ72の成膜位置における第1空間の容積が、例えば、2.8L、第2空間の容積を13Lとなるように設定することができる。
【0047】
ところで、真空チャンバ71内のステージ72の高さ位置は、図8(a)に示すように、ガスヘッド76からステージ72までの距離が長いと、排ガスが排気されず真空チャンバ71の上方の隅部で対流Cが発生し得る。他方で、図8(b)に示すように、ガスヘッド76からステージ72までの距離が短いと、ガスヘッド76から噴出された混合ガスが基板で反射されて真空チャンバ71の上方の隅部で対流Cが発生し得る。このため、成膜位置でのガスヘッド76とステージ72との距離はそのような対流Cが生じ難い距離に設定するように構成する。
【0048】
また、ステージ72まで基板を搬送するための基板搬送口を第1空間71aを臨む位置に設けたのでは、基板搬送口の周辺で乱流が発生し得る。このため、ステージ72が、真空チャンバ71上側の成膜位置と下側の基板搬送位置との間で昇降自在となるようにステージ72に昇降手段(図示せず)を付設する。そして、基板搬送位置に対応して真空チャンバ71に基板搬送口86(図7)を設ける。
【0049】
図7に示す薄膜形成装置の場合、MOCVD法において原料ガスがパーティクルとして析出しないように、ガスリング84から噴出される不活性ガスの温度が調節できるように、ガスリング84に通じるガス配管85に温度調節手段である熱交換器85aを設けてもよい。
次に、図7に示す薄膜形成装置を用いて、MOCVD法によりPZT膜を成膜する例を説明する。Pb、Zr、Tiの各原料ガス濃度及び流量とキャリアガスN及び反応ガスOの流量は以下の条件とする。そして、8インチの電極基板上にPZT膜を形成する。なお、真空チャンバ内の圧力は、圧力調整バルブで5Torrに維持する。
【0050】
Figure 0003809391
【0051】
図9に、真空チャンバ71内壁面とスリーブ部材83との間の間隙(排気口の大きさ)の寸法r(排気クリアランスr:mm)とスリーブ部材の高さ寸法Lを変化させて、膜厚100nmのPZT膜を成膜したときの膜厚分布(%)を示す。図10に、間隙rと高さ寸法Lを変化させてPZT膜を成膜したときの基板中央部の成膜レート(Rate)(nm/min)を示す。
【0052】
ここで、膜厚分布を2%以内に維持するには、高さ寸法L70mm以上の場合、間隙rを10mm以上に設定する必要がある。量産性を考慮すれば、成膜時間は3min以下が望ましいので、膜厚100nmの薄膜を成膜する場合、成膜レートが35nm/min以上でなければならない。従って、図10から明らかなように、間隙の寸法rを10mm以上、好ましくは10mmから17mmに、高さ寸法Lを70mm以上に設定しておけば、良好な膜厚分布と量産に適した成膜レートとが得られる。
【0053】
次に、上記条件より間隙rを15mm、高さ寸法Lを70mmに設定して、ガスリング84からプロセスに寄与しない不活性ガスNを真空チャンバ71内に導入して膜厚分布と成膜ダストとを測定する。図11は、ガス(Gas)ヘッド周り不活性ガスを0〜4000sccmの流量の範囲で変化させて8インチの電極基板上にPZT膜を形成したときの膜厚分布と成膜ダスト(パーティクルTotal)の関係を示す。図11から明らかなように、ガスリング84から1000〜2000sccmの範囲で不活性ガスを流した場合、パーティクル数が最も小さくなった。このため、不活性ガスを流さない場合に比べて優位性を有する。
【0054】
図12は、上記と同様に、間隙rを15mm、高さ寸法Lを70mmに設定すると共に、ガスリング84から不活性ガスNを0〜4000sccmの流量の範囲で変化させて真空チャンバ71内に導入し、8インチの電極基板上にPZT膜の成膜したときの組成比(線a)と膜厚分布(線b)とを示す。図12によれば、不活性ガスの流量を変更しても膜厚分布に変化は見られないが、不活性ガス流量が2000sccmの近傍で組成比が乱れる。なお、組成比は、Zr/(Zr+Ti)の比を意味する。
【0055】
図9〜12から明らかなように、図7に示す薄膜形成装置では、間隙rが10mm以上、好ましくは10〜17mm、スリーブ部材83高さ寸法Lが70mm以上、及びガスリング84から真空チャンバ71に導入される不活性ガスの流量を1000〜1500sccmの範囲にすると、ガスリング84からの不活性ガス自体が乱流、対流の発生源とはならず、その整流作用を最大限に発揮させることができる。その結果、膜厚分布(2%以下)、組成比、組成分布及び成膜レートが良好であって、安定し、その上、成膜ダストが少なく(0.2μm以上のパーティクルが20個以下)、連続成膜を行い得る。
【0056】
PZT膜の代わりにBST膜を形成する場合も、上記と同様の結果が得られる。
また、ステージ72に昇降手段を付設しなくても防着板を配置することで、対流、乱流及び熱対流することなく等方排気するようにすれば混合ガスのガス流を均一にできる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、原料ガス中のパーティクルを除去するために、特定のパーティクルトラップを、気化器と混合室との間に、また、混合室の下流側でガスヘッドの近傍に、それぞれ、少なくとも一つ配設してあるので、特に、気化器と混合室との間に慣性集塵式スクリーンを配設し、また、混合室の下流側で該ガスヘッドの近傍にフィルターを配設してあるので、原料ガス、ひいては成膜ガス中のパーティクルをほとんど除去することが可能であり、その結果、良好な膜質を有する薄膜を形成しうる薄膜形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の薄膜形成装置の構成の概略を模式的に示す構成図。
【図2】 本発明で用いる集塵式スクリーンの構成・配置を模式的に示す図であり、(a)はその構成・配置の一例を模式的に示す断面図、(b)はその構成・配置の別の例を模式的に示す断面図。
【図3】 本発明で用いる金属燒結フィルターの配置・構成を模式的に示す図であり、(a)は板状の金属燒結フィルターの配置・構成の一例を模式的に示す断面図、(b)はプリーツ式金属燒結フィルターの配置・構成の一例を模式的に示す断面図。
【図4】 本発明の薄膜形成装置で用いる混合室の一例を模式的に示す断面図。
【図5】 図4に示す混合室の撹拌室の内部構成を模式的に示す図であり、(a)は断面図、(b)は上面図。
【図6】 本発明及び従来技術の薄膜形成装置を用いて形成した薄膜の膜厚分布の概略を説明するための図であり、(a)は本発明の場合、(b)は従来技術の場合の基板の上面図。
【図7】 本発明の薄膜形成装置の別の構成の概略を模式的に示す構成図。
【図8】 図7に示す装置において、真空チャンバ内の混合ガスのガスの流れを説明する図であり、(a)はステージとガスヘッドとの間隔が広い場合、(b)はステージとガスヘッドとの間隔が狭い場合についての真空チャンバ断面図。
【図9】 図7に示す装置で間隙r及び高さ寸法Lを変化させてPZT膜を形成したときの膜厚分布を示すグラフ。
【図10】 図7で示す装置で間隙rと高さ寸法Lを変化させてPZT膜を成膜したときの基板中央部の成膜レートを示すグラフ。
【図11】 図7に示す装置でガスリングを介して不活性ガスの流量を変化させて基板上にPZT膜を形成したときの膜厚分布と成膜ダストの関係を示すグラフ。
【図12】 図7に示す装置でガスリングからの不活性ガスの流量を変化させて真空チャンバ内に導入し、基板上にPZT膜を形成したときの組成分布と膜厚分布とを示すグラフ。
【符号の説明】
1 気化器 2 集塵式スクリーン
3 混合室 4 原料ガス用配管
22 スクリーン板 25 フィルター
30 真空チャンバ 31 混合室
31a 攪拌室 31b 拡散室
32 原料ガス用配管 33 反応ガス用配管
34 ガスヘッド 36 板状フィルター
37 プリーツ式フィルター 41 混合室
42 撹拌室 43 拡散室
44 仕切り板 45 原料ガス導入管
45a 原料ガス導入口 46 反応ガス導入管
46a 反応ガス導入口 47 ガス吹き出し口
60 基板 61 膜厚の厚い部分
62 膜厚の薄い部分 70 薄膜形成装置
71 真空チャンバ 71a 第一空間
71b 第二空間 72 ステージ
76 ガスヘッド 77 混合室
78 気化室 81 集塵式スクリーン
82 金属燒結フィルター 83 スリーブ部材
84 ガスリング
86 基板搬送口

Claims (10)

  1. 内部に基板が載置されるステージを設けた真空チャンバを備え、該ステージに対向して該真空チャンバ上面に原料ガスと反応ガスとの混合ガスを真空チャンバ内に導入するためのガスヘッド、及び該ガスヘッドに接続して該混合ガスを生成するための混合室を配設し、さらに、該原料ガス用気化器を設けた薄膜形成装置において、該気化器と該混合室との間、及び該混合室の下流側で該ガスヘッドの近傍に、それぞれ、温度コントロール可能なパーティクルトラップが配設されており、該混合室は、原料ガス導入管及び反応ガス導入管を備えた攪拌室と、該原料ガス及び反応ガスを攪拌・混合して得た混合ガスを拡散させる拡散室とを有し、該原料ガス導入管及び反応ガス導入管のそれぞれのガス導入口が互いに対向するようにして設けられており、該攪拌室と該拡散室との間に、該攪拌室の容積よりも該拡散室の容積の方が大きくなるように仕切り板が設けられ、該仕切り板には、該それぞれのガス導入口を結ぶ直線の鉛直方向下側の所定位置に一つのガス吹き出し口が設けられ、該ガス吹き出し口を介して該混合ガスが該攪拌室から該拡散室へと拡散されるように構成されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 請求項1において、該温度コントロール可能なパーティクルトラップの少なくとも一つの設定温度を、該気化器内で原料ガスを得る際の気化温度及び原料ガスを流す配管の温度よりも5〜80℃低く設定するように構成したことを特徴とする薄膜形成装置。
  3. 請求項1又は2において、該気化器と該混合室との間に配設したパーティクルトラップが慣性集塵式スクリーンからなり、また、該混合室の下流側で該ガスヘッドの近傍に配設したパーティクルトラップが多孔体フィルターからなることを特徴とする薄膜形成装置。
  4. 請求項3において、該慣性集塵式スクリーンが、気体をほぼ45度の傾斜角を持って導入する多数の透孔を同一方向に穴開けした網目状集塵スクリーン板からなり、該集塵式スクリーンが該集塵スクリーン板を複数枚積層したものである場合は、互いに隣接するスクリーン板のそれぞれの透孔の傾斜角の方向が交互に90度交差した状態に構成されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、該仕切り板が、該混合室の底部に対して凸状の2次曲線形状を有するものであることを特徴とする薄膜形成装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、該ガス吹き出し口が、該仕切り板の周縁部分からその底部までの鉛直距離の1/2に相当する位置に設けられていることを特徴とする薄膜形成装置。
  7. 請求項1〜4のいずれかにおいて、該ステージの周囲を所定の長さを有する円筒形状のスリーブ部材で囲い、該スリーブ部材と真空チャンバ内壁面との間の間隙を介して、排ガスが該ガスヘッドとステージとが形成する第1空間内で対流することなく該第1空間から排気されるように、真空排気手段が接続されたステージ下方の第2空間の容積が第1空間の容積より大きくなる位置にステージの高さ位置を設定したことを特徴とする薄膜形成装置。
  8. 請求項において、該真空チャンバの内壁面に沿って不活性ガスを該真空チャンバ内に均等に導入するガスリングを真空チャンバの上面に設けたことを特徴とする薄膜形成装置。
  9. 請求項7又は8において、該スリーブ部材と真空チャンバ内壁面との間の間隙を10mm以上に設定し、また、該スリーブ部材の高さ寸法を70mm以上に設定したことを特徴とする薄膜形成装置。
  10. 請求項において、該多孔体フィルターが金属燒結フィルターであることを特徴とする薄膜形成装置。
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